(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定位置まで伸ばした鉛直計測管、直状管、又は曲げ自在管の先端開口から土壌水分計、間隙水圧計、又は間隙空気圧計のセンサーを出脱させて前記測定位置の飽和度を測定する請求項5に記載のファインバブル水置換工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に係るマイクロバブル液体注入装置は、地下水を重力排水式により揚水するものであり、また、特許文献2に係る地盤不飽和化システムは、真空ポンプの負圧のみにより地下水を揚水するものであるため、いずれも十分に地下水位を低下させられず、地盤中に注入したマイクロバブル水に残った地下水が混入し、十分に地下水をマイクロバブル水に置換できないという問題が有る。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、効率よく地下水をマイクロバブル水等のファインバブル水に置換可能なファインバブル水置換工法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにはされた発明は、 止水壁で囲繞してなる地盤改良対象領域の地下水をファインバブル水に置換するファインバブル水置換工法であって、前記地盤改良対象領域に設けた揚水井を用いて前記地盤改良対象領域の地下水を揚水する揚水工程と、前記地盤改良対象領域に設けた注水管からファインバブル水を注入するファインバブル水注入工程とを備え、前記揚水工程において、前記地盤改良対象領域に垂設される竪穴と、前記竪穴内に立設されるとともに周壁に地下水流入孔を有する井戸管と、
前記地下水流入孔を覆うように前記井戸管に環装されるとともに地下水を通す通水部を有するストレーナと、前記井戸管の上部開口を閉塞する蓋部材と、前記竪穴と前記ストレーナの隙間を埋めるフィルタ材と、前記井戸管の内部を減圧する真空ポンプと、前記井戸管内部に取り込まれた地下水を揚水する揚水ポンプとを有し、前記地下水流入孔が、前記通水部の最上端より下方位置に設けられた揚水井を用い、
前記ファインバブル水注入工程において、前記井戸管を前記注水管として用い、前記ファインバブル水としてウルトラファインバブル水を用い、前記井戸管に蓋をして、前記井戸管内に上端までウルトラファインバブル水を充填して前記地下水流入孔からウルトラファインバブル水を注水することを特徴とする。
【0008】
かかる揚水井を用いる揚水工法を、本出願人らは、ウルトラディープ工法(登録商標)と称しており、ストレーナの通水部上端より井戸管の地下水流入孔を下方位置に設けるとともに井戸管内部を真空ポンプで負圧にすることを特徴としている。これにより、該工法は、地下水流入孔よりも井戸管中の水位を高めて空気を吸引せず地下水のみを揚水ポンプで吸引できるため、強力な揚水能力を備えている。
本発明のファインバブル水置換工法は、このウルトラディープ工法を用いて揚水工程を実施するため、地盤改良対象領域から十分に地下水を除去した後、ファインバブル水注入工程を実施することができ、効率よく、地下水をファインバブル水に置換することができる。
【0009】
ここで「ファインバブル」とは、直径が1μmを越え、100μm以下の気泡からなる「マイクロバブル」と、直径が1μm以下の「ウルトラファインバブル」とからなるものとし、「ファインバブル水」、及び「ウルトラファインバブル水」は、それぞれファインバブル、ウルトラファインバブルを含む水をいうものとする。
ウルトラファインバブルは、マイクロバブルに比べて水中に長く滞在するため、ファインバブル水として、ウルトラファインバブル水を用いることで、より効果的に土中の飽和度を改善できる。
【0010】
また、前記ファインバブル水注入工程において、前記井戸管内にファインバブル水を充填し、前記地下水流入孔からファインバブル水を注入することで、別途注水管を設ける手間を省略できる。
【0011】
前記地盤改良対象領域が建造物を有する場合に、前記揚水工程において、前記建造物を挟んで対向する少なくとも2本の揚水井を用いて地下水の揚水を行い、前記ファインバブル水注入工程において、前記2本の揚水井のうち1本の揚水井から揚水を行いながら、他方の揚水井からファインバブル水を注入することが好ましい。このように、建造物を挟んで対向する2本の揚水井で揚水を行うことにより、効率よく地下水を揚水できる。また、2本の揚水井のうち一方の揚水井で揚水を行いながら、他方の揚水井からファインバブル水の注入を行うことで、他方の揚水井から地盤中へ注入されたファインバブル水を一方の揚水井で吸引できるため、効率よく地盤改良対象領域にファインバブル水を行き渡らせることができる。
【0012】
前記ファインバブル水注入工程において、前記2本の揚水井のうち1本の揚水井から揚
水を行うにあたり、間欠的に揚水を行うことが好ましい。こうすることで、止水壁の周囲
から地盤改良対象領域へ地下水が浸透することを抑制できる。
また、前記揚水工程において、前記建造物を挟んで対向する2本の揚水井を含み前記建造物を囲むように設けた4本の前記揚水井を用いて地下水の揚水を行い、前記ファインバブル水注入工程において、前記4本の揚水井のうち1乃至3本の揚水井でファインバブル水の注水を行いながら他の揚水井で地下水の揚水を行うとともに、ファインバブル水の注水を行う揚水井と地下水の揚水を行う揚水井を適宜に変更しながら、ファインバブル水を注入することが好ましい。
【0013】
本発明に係るファインバブル水置換工法は、前記ファインバブル水注入工程前に前記地
盤改良対象領域の地中内に設定した測定位置の飽和度を測定する注入前飽和度測定工程と
、前記ファインバブル水注入工程後に前記測定位置の飽和度を測定する注入後飽和度測定
工程と、を備えることが好ましい。
こうすることで、ファインバブル水の注入前後における飽和度を比較できるため、ファ
インバブル水が注入されているかどうかを確実に把握できる。
また、
前記測定位置まで伸ばした鉛直計測管、直状管、又は曲げ自在管の先端開口から土壌水分計、間隙水圧計、又は間隙空気圧計のセンサーを出脱させて前記測定位置の飽和度を測定することが好ましく、前記測定位置が、平面視における同じ位置において、液状化層の最上部、中間高さ位置、及び最下部に設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明のファインバブル水置換工法は、前記測定位置が平面視における前記建造物と前記止水壁の間であって、前記2本の揚水井が対向する方向と交差する方向に対向する少なくとも2つの位置に設けられていることが好ましい。
こうすることで、建物周囲の地盤にまで、ファインバブル水が注水されていることを確認できる。
【0015】
本発明のファインバブル水置換工法は、前記測定位置が、前記建造物の直下の位置に設けられていることが好ましい。こうすることで、建造物直下にファインバブル水が注水されていることを、直接確認できる。
【0016】
本発明のファインバブル水置換工法は、前記建造物周辺の地表から前記測定位置まで湾曲自在な曲げ自在管を延ばして飽和度の測定を行うことが好ましい。こうすることで、建造物の杭基礎を回避しながら建造物直下に計測管を配設できる。また、計測管を地表から建造物直下の地中へ投入することが可能となるため、計測管の設置にかかる手間を省略できる。
【0017】
本発明のファインバブル水置換工法は、前記建造物周辺に設けた立坑から前記測定位置まで曲げ自在管、又は直状管を延ばして飽和度の測定を行うようにしてもよい。このように立坑を設けることで、地表に設備や配管等がある場所からも曲げ自在管や直上管を設置できる。
【0019】
本発明は、止水壁で囲繞してなる地盤改良対象領域の地下水をファインバブル水に置換するファインバブル水置換装置であって、
前記地盤改良対象領域の地下水を揚水する揚水井と、
前記地盤改良対象領域にファインバブル水を注水する注水管と
を備え、
前記揚水井は、前記地盤改良対象領域に垂設される竪穴と、前記竪穴内に立設されるとともに周壁に地下水流入孔を有する井戸管と、
前記地下水流入孔を覆うように前記井戸管に環装されるとともに地下水を通す通水部を有するストレーナと、前記井戸管の上部開口を閉塞する蓋部材と、前記竪穴と前記ストレーナの隙間を埋めるフィルタ材と、前記井戸管の内部を減圧する真空ポンプと、前記井戸管内部に取り込まれた地下水を揚水する揚水ポンプとを有し、前記地下水流入孔が、前記通水部の最上端より下方位置に設けられ、
前記井戸管は、前記注水管を兼ねており、前記ファインバブルとしてウルトラファインバブルを供給されるよう構成されており、蓋を閉じて、内部を上端までウルトラファインバブル水で充填した状態で、前記地下水流入孔からウルトラファインバブル水を注水可能に構成されていることを特徴とするファインバブル水置換装置を含む。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明のファインバブル水置換工法、及びファインバブル水置換装置によれば、効率よく地下水をファインバブル水に置換することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態の構成は、他の実施形態における構成と適宜に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るファインバブル水置換装置100を示している。ファインバブル水置換装置100は、既存の建造物Aを止水壁3で囲繞してなる地盤改良対象領域T(T1,T2)の地下水を、ファインバブル水BWに置換するための装置である。地盤改良対象領域Tは,建造物A直下の地盤T1と、平面視におけるその周辺の地盤T2とからなる。
ファインバブル水置換装置100は、地盤改良対象領域Tの地下水を揚水する揚水井1と、地盤改良対象領域Tにファインバブル水BWを注水する注水管2と、地盤改良対象領域Tを囲繞する止水壁3と、ファインバブル水BWを生成するファインバブル発生ユニット4とを主に備える他、汲み上げた水を貯留し土砂を沈殿させる第1ノッチタンク5と、周辺の地盤T2に垂設される鉛直計測管61,62(
図6参照)と、周辺の地盤T2の地表GSから直下の地盤T2まで延出する曲げ自在管63(
図7参照)と、鉛直計測管61,62、曲げ自在管63に挿入して土壌水分を測定する土壌水分計7(
図5参照)とを備えている。
【0023】
揚水井1は、
図8(b)に示すように、平面視における建造物Aの周辺(建造物Aと止水壁3の間)の地盤T2において、少なくとも一対が、建造物Aの平面視における対角方向に対向するよう設けられる。揚水井1は、いわゆるウルトラディープ式の揚水井であり、
図2に示すように、地盤中に垂設される竪穴11と、竪穴11内に立設される井戸管12と、井戸管12に環装されるストレーナ121と、井戸管12の上部開口を閉塞する蓋部材12bと、竪穴11とストレーナ121の隙間を埋めるフィルタ材14と、井戸管12の内部を減圧する真空ポンプ15と、井戸管12内部に取り込まれた地下水を揚水する揚水ポンプ16とを主に備えている。
【0024】
井戸管12は、有底の円筒鋼管からなり、上端縁にフランジ12cが設けられ、底壁12fからやや離間した位置の周壁に、円形貫通孔からなる多数の地下水流入孔12aが、周方向、及び長手方向に分散配置されている。地下水流入孔12aから底壁12fまでの空間は、砂溜まり12gを構成する。また、井戸管12、及びストレーナ121と竪穴11の周壁の間の間隙は、砂や硅砂等からなるフィルタ材14が充填されている。
【0025】
ストレーナ121は、
図3に示すように、枕材122を介して井戸管12に線材を巻回した円筒コイル状をなしている。ストレーナ121は、隣接する線材間に若干の隙間を有しており、この隙間が特許請求の範囲でいうところの通水部121bに該当する。枕材122は、井戸管12の長手方向に延びる直状の管材からなり、複数が井戸管12の周方向に等間隔で設けられ、井戸管12とストレーナ121の間に間隙123を形成している。
ストレーナ121は、井戸管12の地下水流入孔12aが設けられた部分全体を概ね被覆するとともに、通水部121bの最上端が、地下水流入孔12aから十分に間隔を開けて上方に位置するよう設けられている。ストレーナ121と井戸管12の間隙123は、その上方で円環状の蓋材121aにより閉塞されている。
尚、ストレーナ121を構成する線材は、例えば、亜鉛メッキを施した断面が三角形の鋼線からなるウエッジワイヤが用いられるが、材質、形状ともに、これに限られるものではない。
【0026】
真空ポンプ15は、
図2に示すように、蓋部材12bを貫通する吸引口12d、吸引ホース151を介して井戸管12の内部の空気を吸引する。揚水ポンプ16は、井戸管12の内部を垂下する揚水管161の下端に吊設され、揚水管161、ゲートバルブ162、チャッキバルブ163を介して、第1ノッチタンク5に汲み上げた水を貯留する。
図1では、揚水井1本につき真空ポンプ15を1つ設けるよう記載しているが、2本の揚水井1を1つの真空ポンプ15で吸引するようにしてもよい。
【0027】
一対の揚水井1のうち一方の揚水井1は、
図2に示すように、フィルタ材14中に注水管2が立設される。注水管2は、
図4に示すように、注水外管21と、注水外管21に挿入される注水内管22とを備えている。
注水外管21は、樹脂製パイプや鋼管からなる複数の短管211をゴム製スリーブからなる逆止弁212により連結して形成されている。逆止弁212は、長手方向の略中央に周方向に等間隔に並ぶ複数の注入ノズル212aが設けられている。逆止弁212は、連結金具213により短管211に連結される。
【0028】
注水内管22は、外径が短管211の内径より小さい金属製の内管本体221と、内管本体の上下に設けられる一対のパッカー222とを備えている。内管本体221は、上下一対のパッカー222間の略中央に、周方向に等間隔に並ぶ複数の吐出孔221aが設けられている。上下一対のパッカー222は、地上の作動流体供給装置(不図示)から供給される作動流体により膨張して、その間に加圧室23を形成する。吐出孔221aから吐出されたファインバブル水BWは、加圧室23に加圧状態で充填されて注入ノズル212aから放出される。
【0029】
止水壁3は、
図1に示すように、周辺からの地下水の浸透を防止すべく、液状化層Lの下側の非液状化層Nまで達するよう設けられる。止水壁3は、好ましくは、鋼矢板により形成されるが、コンクリートや、SWM(ソイルミキシングウオール、地中連続壁(鉄筋コンクリート壁)、鋼管杭矢板壁、薬液注入等により形成してもよい。
【0030】
ファインバブル発生ユニット4は、
図1に示すように、第2ノッチタンク41と、渦流タービンポンプ42と、余剰エア分離タンク43と、気泡発生用バルブ44とを備えている。第2ノッチタンク41には、第1ノッチタンク5から還流された上澄み水が貯留される。渦流タービンポンプ42は、第2ノッチタンク41から流送される水とともに外部の空気を吸引し、タービンにより発生する渦流により空気を水中に加圧溶解させる。こうして形成された加圧空気溶存水は、余剰エア分離タンク43により余剰空気を放出した後、気泡発生用バルブ44から放出されて減圧されることにより、ファインバブルを発生させる。
【0031】
鉛直計測管61,62(
図6参照)は、金属製、又は樹脂製の中空の円形管からなり、建造物Aの周辺の地盤T2に垂設される。
鉛直計測管61は、
図6(b)に示すように、建造物Aの平面視における長方形の長辺側に沿って複数本(図示の例では3本)が並び、鉛直計測管62は、その短辺側に沿って複数本が並んでいる。
鉛直計測管は、建造物Aの周囲に万遍なく設けることが好ましいが、鉛直計測管の数が限られる場合は、当該長辺側に沿った鉛直計測管61が、建物の中心に近いことから優先される。
図6に示すように、鉛直計測管61a,61b,61c、及び、鉛直計測管62a,62b,62cは、内部が土の無い空洞に形成され、
図6に示すように、下端がそれぞれ液状化層Lの最上部、中間高さ位置、最下部のいずれかに開口している。
【0032】
曲げ自在管63は、
図7に示すように、建造物Aの周辺の地盤T2の地表から建造物Aの直下に向けて傾斜するように地中へ入り込んだのち、建造物直下の地盤T1中の所定の測定位置まで延出している。曲げ自在管63は、弾性に富む短管を、例えばその両端に設けたねじ山により多数螺結して湾曲自在に形成されている。弾性に富む短管としては、クロムモリブデン鋼等の金属製やポリエチレン等の樹脂製のものを用いることができる。曲げ自在管63は、先端部分に方位や傾き等を測定してその情報を地上の受信機へ送信する機構(不図示)を有し、該情報に基づき、杭基礎A1等の障害物を回避しながら地中を走行する。曲げ自在管63の設置方法は特に限定されないが、例えば、特開2006−205121号公開公報や、特開2005−344450号公開公報に記載された方法を用いることができる。本実施形態では、
図7に示すように、平面視における1箇所について、液状化層の最上部、中間高さ位置、最下部に先端開口を有する3本の曲げ自在管63(631a〜c,632a〜c,633a〜c)を設ける。尚、
図7中の符号60は曲げ自在管63を打ち込むボーリングマシンである。
また、鉛直計測管61,62、及び曲げ自在管63については、浸透流解析により地下水位が低下しにくいと推測される測定位置に、適宜追加して設置するのが好ましい。
【0033】
土壌水分計7は、
図5に示すように、円筒状のヘッド71と、ヘッド71の先端から延出するセンサー72と、ヘッド71の基端から延出するケーブル73とを備えている。ケーブル73は、地上側の端縁が不図示のデータロガーに接続されている。ヘッド71,及びセンサー72は、防護管8に収容された状態で、鉛直計測管61,62や曲げ自在管63に挿入され、操作管83によりこれらの先端まで搬送される。
尚、このようなセンサーを備える土壌水分計として、土壌の誘電率を測定するTDR(Time Domain Reflectometry)式、FDR(Frequency Domain Reflectometry)式、ADR(Amplitude Domain Reflectometry)式のものが挙げられるが、これに限らず、土壌の水ポテンシャルを測定するテンシオメーター等、公知の土壌水分計を適宜に用いることできる。
【0034】
防護管8は、塩化ビニル等の硬質樹脂製の配管部材を組み合わせて形成され、
図5に示すように、先端側のヘッド収容部81と、基端側の摺動部82と、摺動部82から後方(
図5の上方)へ延出する操作管83とを備えている。ヘッド収容部81は、キャップ811に、短管812を接着して形成され、摺動部82は、短管821を異径継手822に接着して形成されている。短管821の先端は、キャップ811の基端開口部811aに差し込まれて、ストッパー823により、キャップ811のフランジ部811bに係止して、ヘッド収容部81に対し抜け落ち不能に、かつ摺動可能に設けられている。操作管83は、両端にねじ山の設けられた複数の延長短管831を螺合して長尺に形成されている。操作管83は、ケーブル73を被覆して保護する作用を有する他、防護管8に収容された土壌水分計7を鉛直計測管61,62や曲げ自在管63内を搬送するために用いられ、また防護管8の摺動部82を摺動操作して、土壌水分計7のセンサーを土中に差し込むために用いられる。このため、延長短管831は、曲げ自在管63内に挿入された際に、曲げ自在管63に沿って容易に湾曲可能で、かつ土壌水分計7を押圧可能な程度に強固な素材が用いられる。
【0035】
次に、第1実施形態に係るファインバブル水置換装置100を用いて、地下水をファインバブル水BWに置換する方法、及び装置各部の作用・効果について説明する。
本実施形態では、建造物A直下の地盤T1とその周辺の地盤T2とからなる地盤改良対象領域Tにファインバブル水BWを注入する。地盤改良対象領域Tは、例えば、地下水位WSが地表面から10m以内であり、地下水に浸漬された上下2つの非液状化層N,Nの間に液状化層Lが存する地盤が想定される。建造物Aは、平面視で矩形をなし、下側の非液状化層Nまで達する杭基礎(又は直接基礎)A1を有している。
【0036】
<止水壁設置工程S1(以下、単に「工程S1」の様にいうことが有る。)>
本実施形態に係るファインバブル水置換工法は、例えば、鋼矢板からなる止水壁3を圧入装置により打込むことにより開始する。止水壁3は、
図6(b)に示すように、建造物Aに合わせて平面視で矩形に形成し、下端が下側の非液状化層Nに達するまで打ち込む。こうすることで、止水壁3の背後から地盤改良対象領域Tへ地下水が浸透することを抑制し、周辺地域の地盤沈下を抑制できる。
【0037】
<鉛直計測管設置工程S2>
鉛直計測管設置工程S2(
図6参照)は、ファインバブル水BWの注入前に、周辺の地盤T2における地中の飽和度を測定するための鉛直計測管61,62を地盤改良対象領域Tへ設置する工程である。工程S2は、ファインバブル水BWの注入前であれば、止水壁設置工程S1の前に実施しても良く、揚水井設置工程S6の設置の後に実施してもよい。
【0038】
<曲げ自在管設置工程S3>
曲げ自在管設置工程S3(
図7参照)は、ファインバブル水BWの注入前に、建造物Aの直下の地盤T1中の測定位置まで延びる曲げ自在管63を設置する工程である。工程S3は、ファインバブル水BWの注入前であれば、止水壁設置工程S1の前に実施しても良いし、揚水井設置工程S6の設置の後に実施してもよい。
【0039】
<周辺地盤の注入前飽和度測定工程S4>
鉛直計測管設置工程S2の実施後、ファインバブル水BWの注入前に、工程S4を実施して建造物Aの周辺の地盤T2における飽和度を算出する。飽和度を算出する際には、
図5に示すように、鉛直計測管61,62に、順に防護管8を被着させた土壌水分計7のヘッド71を挿入し、延長短管831を継ぎ足して操作管83を徐々に伸長してヘッド71を鉛直計測管61,62の下端開口まで降下させる。ヘッド71が下端開口まで到達したら、操作管83を押し込むよう操作してヘッド71を前進させ、センサー72を鉛直計測管61,62が貫入されているボーリング孔の先端となる土中へ差し込む。この際、防護管8のヘッド収容部81は、
図5(b)に示すように、短管821に沿って、防護管8の基端側へ摺動して、センサー72を露出させる。センサー72を土中に差し込んだら、土壌水分計の電源を入れて、ロッド間の出力電圧を計測し、計測データを図外のデータロガーに転送する。計測した出力電圧は、予め求めた換算式により体積含水率に換算し、体積含水率から予め作成した体積含水率と飽和度の関係図から飽和度を算出する。土壌水分計7としては、デカゴン社製EC−5土壌水分センサーや、DELTA−T社製SE−ML3等の誘電率水分計を用いることができる。
【0040】
<建造物直下の地盤の注入前飽和度測定工程S5>
曲げ自在管設置工程S3の実施後、ファインバブル水BWの注入前に、工程S5を実施して建造物Aの直下の地盤T1における土中水分を測定する。曲げ自在管63へ防護管8を被着した土壌水分計7のヘッド71を挿入し、これに延長短管831を順次連結して操作管83を延長しながら、ヘッド71を奥の方へと進入させる。ヘッド71が曲げ自在管63の先端開口に達したら、操作管83を長手方向に押圧操作して、ヘッド71を前進させる。すると、ヘッド収容部81は、曲げ自在管63の外部の土に当接してヘッド71に対し相対的に後退し、土壌水分計7のセンサー72は、ヘッド収容部81から露出して曲げ自在管63が貫入されているボーリング孔の先端となる土中へ進入する。この状態で、土壌水分計7を起動して、土中の水分を測定する。同様にして、9本の曲げ自在管63(631a〜c,632a〜c,633a〜c)に順に土壌水分計7を挿入して出力電圧を測定し、土壌水分を算出する。
注入前飽和度測定工程S4,S5で使用した鉛直計測管61,62、曲げ自在管63はそのまま存置してもよいし、金属製である場合等は塩ビ管に置き換えて存置してもよい。
【0041】
<揚水井設置工程S6>
揚水井設置工程S6は、揚水井1の他、揚水井1から揚水を行うために必要な装置一式を設置する工程である。本実施形態においては、工程S6において、併せて注水管2も設置する。揚水井1を設置する際には、周辺の地盤T2における建造物Aを挟んで対向する位置に、掘削機を用いて一対の竪穴11を設ける。次に、予め一体的に形成した井戸管12、及びストレーナ121を竪穴11に挿入する。続けて、井戸管12と竪穴11の間における建造物Aに最も近い位置に注水管2を挿入し、井戸管12、ストレーナ121と竪穴11の間にフィルタ材14を充填し、注水管2を固定する。井戸管12の内部に揚水ポンプ16を挿入したのち蓋部材12bを閉じ、井戸管12を真空ポンプ15に連結する。
【0042】
<揚水工程S7>
揚水工程S7(
図8参照)は、一対の揚水井1を用いて、地盤改良対象領域Tの地下水を揚水する工程である。揚水を行う際には、まず、真空ポンプ15を起動して、井戸管12内部を減圧する。すると、地盤改良対象領域Tの地下水が、地下水の自重と井戸管内部の負圧によりストレーナ121、及び地下水流入孔12aを介して井戸管12の内部へ流入する。井戸管12内に十分に地下水が溜まったら、揚水ポンプ16を起動して、地下水を汲み上げる。
ここで、地下水流入孔12aが、ストレーナ121の通水部121bの上端より下方に位置することで、ストレーナ121を通過した空気は、地下水位WSが地下水流入孔12aの上端の高さを下回らない限り、地下水流入孔12aから井戸管12へ流入せず、井戸管12内部の負圧を損ねることがない。
【0043】
地下水の揚水は、
図10に示した様に、ゲートバルブ162(
図2参照)を開閉操作して、間欠的に行う。こうすることで、止水壁3の周辺から地盤改良対象領域Tに地下水が流入することを抑制でき、止水壁3の周辺地盤が沈下することを抑制できる。地下水の揚水は、鉛直計測管61,62により地下水位WSを観測しながら、地下水位WSが液状化層Lとその下側の非液状化層Nとの層境L1まで下がるまで行う。
揚水した地下水は、第1ノッチタンク5に貯留して、土砂を沈殿させる。
【0044】
<ファインバブル水注入工程S8>
図9は、地盤改良対象領域Tにファインバブル水BWを注入するファインバブル水注入工程S8を示している。揚水工程S7が終了したあと、建造物Aを挟んで対向する一対の揚水井1のうち、一方(
図9右側)の揚水井1による揚水は継続して行い、他方(
図9左側)の揚水井1の揚水ポンプ16を停止し、渦流タービンポンプ42を駆動するとともに気泡発生用バルブ44を開放して、他方の揚水井1に設けられた注水管2から地盤中にファインバブル水BWを注入する。このように、一方の揚水井1から揚水を行いながら他方の揚水井1から同時にファインバブル水を注入することで、他方の揚水井1から地中へ注入されたファインバブル水を、建造物Aの下を通して一方の揚水井1へと誘導できるため、建造物直下の地盤の地下水を効率よくファインバブル水BWに置換することができる。
工程S8においても、一方の揚水井1からの揚水は間欠的に行うことが好ましい。
また、本実施形態では、ファインバブル水BWの注水は、地下水位WSが揚水工程S7を行う前の水位に復元するまで行う。こうすることで、液状化層Lの地下水位低下による建造物Aの沈下や杭基礎A1への悪影響を抑制できる。
本実施形態では、
図9(b)に示すように、平面視において、矩形の建造物Aの対角線方向にファインバブル水を注入する。こうすることで、止水壁3内の領域全体により均等にファインバブル水を注入できる。
また、地盤へ注入するファインバブル水としては、特に限定されず、マイクロバブル水を用いることもできるが、ウルトラファインバブル水が好ましい。こうすることで、注入前にファインバブル水から気泡が放散して減少することを抑制できるため、効果的に地下水をファインバブル水に置換できる。
【0045】
<周辺地盤の注入後飽和度測定工程S9、及び建造物直下の地盤の注入後飽和度測定工程S10>
工程S9、及び工程S10は、ファインバブル水注入工程S8の完了後に地盤改良対象領域Tの土中の飽和度を測定する工程である。工程S9、工程S10においても、鉛直計測管設置工程S2で設置した鉛直計測管61,62、及び曲げ自在管設置工程S3で設置した曲げ自在管63を用い、注入前飽和度測定工程S4,S5と同様にして土中の飽和度を求める。注入後飽和度測定工程S9,S10で求めた飽和度を注入前飽和度測定工程S4,S5で求めた飽和度を比較することにより、ファインバブル水が地盤改良対象領域Tに十分に注入されたかどうかを判断する。
尚、飽和度測定工程S4,S5,S9,S10において、土中の飽和度は、土壌水分計に限らず、間隙水圧計や、間隙空気圧計等を、鉛直計測管61,62や曲げ自在管63に挿通して測定したデータから算出してもよい。
【0046】
<ファインバブル水追加注入工程S11>
工程S11(不図示)は、注入後飽和度測定工程S9,S10で測定した飽和度が、注入前飽和度測定工程S5,S6で測定した飽和度から十分に低下しない測定位置が有る場合に、当該測定位置に再度ファインバブル水を注入する工程である。本工程におけるファインバブル水の注入は、揚水井1の注水管2から行うのではなく、地表から、あるいは、第2実施形態に示すような立坑から、飽和度の改善が見られなかった測定位置まで曲り注水管(不図示)を挿入し、これを用いて当該測定位置へ直接ファインバブル水を注水する。曲り注水管は、曲げ自在管63と同様に多数の金属製、又は樹脂製の短管を連結して形成し、曲げ自在管と同様の方法により地中に挿入する。曲り注水管を地中に挿入したら、曲り注水管の内部に曲り注水管用の注水内管(不図示)を通して、地中へファインバブル水を注入する。この曲り注水管を用いた注水方法としては、公知の方法を適宜に用いることができ、例えば、特開2006−205121号公開公報に記載の方法を用いることができる。
本実施形態の様に、建造物Aが杭基礎A1を備える場合には、ファインバブル水注入工程S8において揚水井1の注水管2から注水するだけでは、杭基礎A1の陰になる場所等へファインバブル水が十分に浸透しない虞がある。このように、飽和度が改善されない所へ直接ファインバブル水を注入することで、地盤改良対象領域全体により均一にファインバブル水を行き渡らせることができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。ただし、第1実施形態と共通する装置や工程については説明を省略し、第1実施形態と異なる部分だけを説明する。第1実施形態と共通する部材については、同一符号を付す。
【0048】
図11から
図13は、第2実施形態に係るファインバブル水置換装置200を示している。ファインバブル水置換装置200は、
図13に示すように、4本の揚水井1を備えている。各揚水井1は、第1実施形態における注水管2を備えず、揚水ポンプ16を引抜くことで、注水管2の代わりに井戸管12からファインバブル水の注入を行えるよう構成されている。
【0049】
第2実施形態では、
図11に示すように、止水壁3の外側に設けた立坑65から曲げ自在管64、又は直状管64(
図11では、直状管64と、曲げ自在管64を特に区別せずに記載)を延出させて建造物A直下の飽和度を測定する。
立坑65は、
図10(b)に示すように、鋼矢板等の止水壁により平面視矩形に設けてもよいし、
図10(c)に示すように、ライナープレートにより円形孔に設けてもよい。
尚、本実施形態においても、第1実施形態同様、地表から曲げ自在管64や直状管64を地中へ差し入れるようにしてもよいし、第1実施形態において、立坑65から曲げ自在管64や直状管64を地中へ差し入れるようにしてもよいことは、いうまでもない。
【0050】
第2実施形態に係るファインバブル発生ユニット204は、
図12に示すように、第2ノッチタンク41と、渦流タービンポンプ42と、余剰エア分離タンク43と、加圧ポンプユニット45と、ゲートバルブ46とを備えている。また、ファインバブル水置換装置200は、井戸管12から第2ノッチタンクにファインバブル水を還流する安全バルブ47、バルブ48、リターン管路49が設けられている。
【0051】
<揚水工程S207、及びファインバブル水注入工程S208>
本実施形態では、平面視における地盤改良対象領域Tの隅部に設けた4本の揚水井1から揚水を行う。揚水が完了したら、続けて、
図12に示すように、ファインバブル水の注入を行う揚水井1から揚水ポンプ16を引き上げ、ファインバブル発生ユニット204を駆動して、この揚水井1の井戸管12へファインバブル水を供給する。
ファインバブル発生ユニット204の渦流タービンポンプ42と加圧ポンプユニット45とを起動すると、第2ノッチタンク41から渦流タービンポンプ42へ供給された水が空気と混合撹拌されて加圧水を形成し、該加圧水は、余剰エア分離タンク43で余剰エアと分離されたのち加圧ポンプユニット45へ圧送される。加圧ポンプユニット45から圧送された加圧水は、ゲートバルブ46により減圧されてマイクロバブルを発生させる。こうして形成したファインバブル水は、大気圧より高い圧力に加圧された状態を維持しながら井戸管12の内部へ充填される。
ファインバブル水が井戸管12に過剰に充填さると、安全バルブ47が開放され、バルブ48、リターン管路49を介し、第2ノッチタンク41へ余剰のファインバブル水が還流される。
井戸管12がファインバブル水BWで満たされると地下水流入孔12aから周辺の土中へファインバブル水が注入される。
図13の例では、ファインバブル水の注入は、3本の揚水井から注入したファインバブル水BWを、他の1本の揚水井1で吸水するようにしているが、1本、又は2本の揚水井1からファインバブル水の注入を行い、他の揚水井1から吸水を行うようにしてもよい。また、4本全ての揚水井1を用いて、ファインバブル水の注入を行ってもよいし、使わない揚水井1があってもよい。ファインバブル水の注入の途中で、ファインバブル水の注入を行う揚水井1と吸水を行う揚水井1とを交代してもよい。本実施形態では、4本の揚水井1が同じ構成を有するため、ファインバブル水BWを地盤改良対象領域T全体へ万遍なく行き渡らせるために、ファインバブル水の注水を行う揚水井1を適宜に変更できる。
【0052】
<建造物直下の地盤の注入前飽和度測定工程S205、建造物直下の地盤の注入後飽和度測定工程S210>
本実施形態では、
図11に示したように、建造物A直下の地盤T1の飽和度は、立坑から延出させた曲げ自在管(又は、直状管)64(641,642,643)に土壌水分計7を挿入して測定する。飽和度を測定する計測管として、曲げ自在管を用いる場合には、計測管を正確に測定位置に誘導することができる。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限らず、例えば、地盤改良対象領域は、建造物を備えなくともよい。揚水井は、1本でも、3本でも、5本以上でもよく、ファインバブル水の注水に用いる揚水井も、2本でも4本以上でもよい。地下水の揚水は、間欠的に行わなくともよく、ファインバブル水の注入は、揚水とは独立して行うこともできる。ファインバブル水の形成は、上述した装置や方法に限らず、公知のものを適宜に用いることができる。
止水壁は、非液状化層まで達しなくともよい。
【解決手段】ファインバブル水置換工法は、揚水井1を用いて地下水を揚水する揚水工程と、注水管2からファインバブル水BWを注水するファインバブル水注入工程とを備え、揚水工程において、竪穴11と、周壁に地下水流入孔を有する井戸管12と、井戸管12に環装されるストレーナ121と、井戸管の上部開口を閉塞する蓋部材と、竪穴11とストレーナ121の隙間を埋めるフィルタ材14と、井戸管12の内部を減圧する真空ポンプ15と、井戸管12内部に取り込まれた地下水を揚水する揚水ポンプ16とを有し、地下水流入孔が、ストレーナ121の通水部の最上端より下方位置に設けられた揚水井1を用いる。