(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する。)に係る一実施形態を、
図1〜
図9に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。
【0023】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ノブ28が設けられている。操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0024】
図2に示すように、遊技領域R1には、始動入賞口14A,14Bと大入賞口15,17とが備えられ、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球すると当否判定が行われる。当否判定の結果は、後述する表示画面30Gにて、その結果に基づいた演出と共に表示される。大入賞口15,17は、通常は、可動扉15T,17Tにより閉塞され遊技球が入球困難な状態になっていて、上記当否判定の結果が当りとなったときに開放されて遊技球が入球可能な状態となる。また、各種入賞口に遊技球が入球すると、賞球が上皿26に払い出される。
【0025】
遊技領域R1は、遊技板11の前面より前方に突出したガイドレール12によって囲まれている。ガイドレール12は、帯状の金属板を円弧状に湾曲させてなる第1レール12Aと、樹脂製の第2レール12B及び第3レール12Cとからなる。
【0026】
第1レール12Aは、遊技板11の外縁部における下辺の左端部寄り位置と、左辺の中央位置と、上辺の中央位置と、右上角部近傍の右辺寄り位置とを繋げる円弧状をなして延びている。第2レール12Bは、遊技板11の外縁部の下辺中央部より上方に離れた位置から遊技板11の左上角部近傍で第1レール12Aより内側に遊技球1つ分ずれた位置まで、第1レール12Aに沿った円弧状をなして延びている。なお、第2レール12Bには、下端寄り位置から遊技板11の下辺部に向かって第2レール12Bの円弧の接線方向に延びた分岐レール12Xが一体に備えられている。
【0027】
また、第3レール12Cは、遊技板11の外縁部の下辺と右辺とに沿って延びて、その下辺に沿った部分の先端が第2レール12Bの始端部に接合される一方、右辺に沿った部分の上側が第1レール12Aの終端部に接合されている。
【0028】
これらガイドレール12のうち第2レール12Bと第3レール12C及び第1レール12Aの上辺部分とに囲まれた領域が遊技領域R1に相当し、第1レール12Aと第2レール12Bとの間、つまり遊技領域R1の左側部で上下方向に延びた領域が、本発明の発射通路13に相当する。
【0029】
図2に示すように、遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、演出窓10Hが貫通形成されている。そして、この演出窓10Hを通して、表示装置30の表示画面30Gが前方に臨んでいる。詳細には、遊技板11の後面には、
図3に示す裏側筐体40が固定されていて、表示装置30は、この裏側筐体40に取り付けられることで、演出窓10Hの後方に配されている。
【0030】
裏側筐体40は、遊技板11の後面と対向した主板壁41と、その外縁部から前方に起立した囲壁42とを有し、前面開放の箱形構造をなしている。そして、囲壁42の前端縁を遊技板11の後面の外縁部に突き当てた状態で遊技板11と裏側筐体40とがネジ止めされて固定されている。なお、主板壁41の上部には四角形の貫通孔41Aが形成されていて、表示装置30は表示画面30Gによって貫通孔41Aを閉塞するように固定されている。
【0031】
図3に示すように、囲壁42の左辺部の前端には、外方へ張り出した前端壁42Zが形成されていて、この前端壁42Zの上下両端部には、前方に突出した突当突起42Tが形成されている。なお、前端壁42Zの両側端部には僅かに前方に突出した側壁42S,42Sが設けられていて、前端壁42Zと側壁42S,42Sとから浅い溝部42Mが構成されている。また、
図8に示すように、遊技板11の後面のうち左辺部分には、この突当突起42Tを受容するための受容凹部11Uが形成されていて、これら突当突起42Tと受容凹部11Uとにより、裏側筐体40が遊技板11に対して位置決めされる。ここで、前端壁42Zから突出した突当突起42Tが遊技板11の後面の一部である受容凹部11Uの底部に突き当たることで、前端壁42Zの前面と遊技板11の後面との間に隙間Sが生じている(
図9参照)。
【0032】
また、裏側筐体40の内部には、装飾用の部材が複数取り付けられ、その一部が演出窓10Hから視認可能となっている。例えば、裏側筐体40の内側のうち右側辺には羽根を象った右側装飾部材45が設けられていて、この右側装飾部材45が演出窓10Hから視認される(
図2及び
図4参照)。
【0033】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、遊技板11が透明樹脂により構成されていて、遊技板11を通して、その後方が透視可能となっている。例えば、
図4に示すように、裏側筐体40の内側のうち演出窓10Hよりも下方の領域には、下側装飾部材46が備えられていて、前方から透視される。
【0034】
また、
図7及び
図8に示すように、遊技板11の後面には、遊技領域R1の裏側部分を含む領域を、その周辺領域よりも後方に段付き状に突出させてなる丘陵部11Kが備えられている。遊技板11のうち丘陵部11Kを備えている部分は、板厚が厚くなっているので、遊技領域R1内の障害釘や役物を取り付けるネジを深く打ち込んだり、ネジ込むことができ、それらの支持が強固になる。つまり、遊技板11のうち丘陵部11Kを備えている部分は、少なくとも障害釘を打ちつけ可能な厚さを有している。そして、この丘陵部11Kとその周辺領域(周縁部11E)との段差部11Dは、遊技板11の前面に対して傾斜していて、発射通路13に沿って円弧状に延びている。
【0035】
なお、遊技板11の外縁には、丘陵部11Kよりも後方に突出した外縁突壁11Fが備えられている。この外縁突壁11Fは、透明樹脂により構成された遊技板11の強度を保ったり、透明樹脂でない従来からあるべニアの遊技板との厚みの整合性(例えば19mm)を取る役割を有している。また、遊技板11全体を、遊技板11のうち丘陵部11Kを備えている部分と同じ厚みにするのではなく、段差部11Dを介して周縁部11Eから丘陵部11Kが突出した構成とすることで、周縁部11Eの厚みを減らすことができ、樹脂容量を抑えることが可能となると共に、多量の樹脂による成形収縮によって生じるひけ(へこみ等)の発生を抑制することも可能となる。
【0036】
また、遊技板11を全体か一部かに拘わらず透明にすることにより、遊技板11の外縁部(段差部11Dの周縁部11E(
図7参照))が透明になると、下側装飾部材46等で飾り付けられた裏側筐体40の内部に比べて何も装飾されておらず遊技板11に取り付けられるためだけの殺風景な裏側筐体40の外縁部が見えてしまい、興醒め感を抱かせて趣向性を低下させる虞があるが、本実施形態のパチンコ遊技機10では、裏側筐体40の外縁部である前端壁42Zと遊技板11との間に外縁装飾部材50が備えられている(
図5参照)。
【0037】
図6に示すように、外縁装飾部材50は、細長い透明樹脂板に装飾が施された第1及び第2の装飾部材50A,50Bからなる。なお、第1の外縁装飾部材50Aの下端辺と第2の外縁装飾部材50Bの上端辺とは互いに当てはまるように湾曲している。これら第1及び第2の外縁装飾部材50A,50Bは、上下に並んだ状態で、裏側筐体40の前端壁42Zのうち2つの突当突起42T,42Tの間、つまり、前端壁42Zと遊技板11との間の隙間S(
図9参照)に配されている。これにより遊技板11及び外縁装飾部材50が擦れ合うことが防がれる。また、
図2に示すように、第1及び第2の外縁装飾部材50A,50Bは、遊技板11を裏側筐体40に重ねた状態では、発射通路13の後方(段差部11Dの後方)に位置している。
【0038】
なお、第1及び第2の装飾部材50A,50Bは、第1及び第2の装飾部材50A,50Bの後面における上下方向の両端部に形成された筒部50H(
図6参照)に、前端壁42Zから突出したネジ孔突起42J(
図3参照)を受容させることで位置決めされ、この状態で前方からネジ止めされて前端壁42Zに強固に固定されている。また、第1及び第2の装飾部材50A,50Bの後面には、2つの筒部50H,50Hの間で延びた突条50T(
図6参照)が形成されていて、第1や第2の装飾部材50A,50Bの強度が強化されると共に、第1及び第2の装飾部材50A,50Bを裏側筐体40に当てはめた際に突条50Tが裏側筐体40の溝部42Mに受容されることによっても位置決めが可能になる。
【0039】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、このパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。パチンコ遊技機10では、操作ノブ28が回動操作されると、弾き出された遊技球が発射通路13を通過して遊技領域R1へと向かう。ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、発射通路13に立体的な段差部11Dが重ね合わされているので装飾性が高くなり、しかも、その段差部11Dが遊技板11の後面に設けられているので遊技球の通過の妨げにもならない。また、段差部11Dは、発射通路13に沿って延びているので、発射通路13を通過する遊技球の軌道のように見せることができ、この点においても、発射通路13の装飾性を高くすることが可能となる。しかも、遊技板11に障害釘や役物を取り付けるための丘陵部11Kの段差部11Dが発射通路の装飾に流用されているので、丘陵部11Kの有効利用を図ることが可能となる。
【0040】
さらに、段差部11Dに対して後方から外縁装飾部材50が重ねられているので、外縁装飾部材50が屈曲して見え、段差部11Dと外縁装飾部材50との融合により、装飾性をより一層高くすることが可能となる。また、この外縁装飾部材50は、裏側筐体40の前端壁42Zに設けられているので、遊技板11に取り付けられるためだけの殺風景な裏側筐体40の外縁部がそのまま見えてしまう虞を軽減することもできる。
【0041】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0042】
(1)上記実施形態では、パチンコ遊技機10に本発明を適用していたが、遊技機であれば、コイン遊技機やスロットマシン等に適用してもよい。
【0043】
(2)遊技板11は、全体が透明であってもよいし、前面又は後面にペイントが施される等して一部のみが透明であってもよい。例えば、段差部11Dに沿って又は段差部11Dに、ペイントが施された場合、段差部11Dとペイントとの融合により、装飾性をより一層高くすることが可能となる。
【0044】
(3)例えば、遊技板11の後側に、段差部11Dに側方から光を照射する発光手段を備えてもよい。この構成にすれば、段差部11Dを発光した帯のように見せることができ、装飾性をより一層高くすることが可能となる。
【0045】
(4)上記実施形態では、本発明の「段差部」が、遊技板11の後面の丘陵部11Kとその周辺領域との境界部分であったが、丘陵部11Kを設けずに、発射通路13の後方に突条を設けて「段差部」を形成する構成であってもよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、外縁装飾部材50が遊技板11と裏側筐体40との間に配される際に裏側筐体40側に固定されていたが、遊技板11側に固定されていてもよい。また、遊技板11の後面と裏側筐体40の前端部との間で挟み付けられて固定される構成であってもよい。