(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記底面用のフレーム部材と前記捕捉用のフレーム部材は、両端が同一形状の前記突き合せ部に形成されていて、前記突き合せ部は、前記ウエッブの先端が長手方向に対して第1の傾斜角度に傾斜するウエッブ傾斜辺と、前記上下のフランジ部の先端が幅方向において左右対称に第2の傾斜角度に傾斜するフランジ傾斜辺を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の流下物捕捉体。
前記突き合せ部は、隣り合う前記フレーム部材同士を連結し、前記フレーム部材を挟持するように設けられた締結板同士をボルト・ナットにより締結することで固定されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の流下物捕捉体。
前記一つの流下物捕捉体又は並設される複数の前記流下物捕捉体と、前記流下物捕捉体に対応して設置される一又は複数のフィルターとを一組の流下物捕捉システムとし、前記流下物捕捉システムを上流側から下流側に向けて複数設置したことを特徴とする請求項8または9に記載の治山工法。
並設される複数の前記流下物捕捉体を主流下物捕捉体とし、隣接する前記主流下物捕捉体の間に形成される領域に、前記流下物捕捉体と同構造の副流下物捕捉体を設置したことを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載の治山工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、土壌浸食痕の一つで、地表の流水による溝状の浸食で深さ30cm未満のもの(沢の源頭部など、地形的に集水するものは除く)を「リル」といい、「リル」がさらに発達した溝状の浸食で深さ30cm以上に達したもの(沢の源頭部など地形的に集水するもの、常に流水があるものは除く)を「ガリー」という。
【0010】
一般に、山頂や尾根付近の山肌が火山活動や気象災害等で荒れると、降雨によって、山腹斜面が浸食されリル化し、さらにV字状に深い溝(ガリー)が形成されることがある。
【0011】
ガリーが深くなるにつれてガリーの両壁面も削られ、ガリーの幅が拡がる。流水と共に岩石や倒木も下流に向かって流れ下る。ガリーの深さが浅い段階では石礫等の小さいサイズの石が流れ、ガリーが深くなるにつれて、大きな岩が掘り出され、土石流となって流れ下る。
【0012】
したがって、山腹一帯において、ガリーがまだ浅い段階で、土石礫の流下を軽減することができれば、ガリーの拡大進行とともに下流域への影響を低減することができる。
【0013】
しかしながら、従来のスリット堰堤は、コンクリートの打設による基礎工事を伴って設置する構造であり、ガリー等の治山対象地に載置するだけで施工できることを前提としたものではない。また、従来のスリット堰堤は、長さ、形状等のサイズが異なる複数のフレーム部材を組み合わせた構造としているが、同一サイズのフレーム部材で構成できれば、コストダウンが図れ、一通りの締結方法での組み立て作業が可能となる。
【0014】
一方、岩石、砂礫、流木等が流下するのを食い止めるだけでなく、植生の回復を図って環境を保全し、治山することが望まれる。
【0015】
本発明の第1の目的は、基礎工事を不要として水と共に流れる石、木材を捕捉し水を通す流下物捕捉体を提供しようとするものである。
【0016】
本発明の第2の目的は、流下物を有効に捕捉でき、しかも植生の回復が図れる治山工法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の目的を実現する流下物捕捉体の第1の構成は、地面に載置されて上流側から供給される岩石、流木等の流下物を捕捉する流下物捕捉体に関する。この流下物捕捉体は、枠形状に形成された四面体により構成され、枠形状の4面のいずれか一面を地面に載置する底面枠部とし、他の3面を前記底面枠部に対して上方に突出した流下物の捕捉面をなす捕捉面枠部
とする。
【0018】
そして、前記枠形状に形成された四面体は、前記底面枠部を構成する3本の底面用のフレーム部材と、前記3面の捕捉面枠部を構成する3本の捕捉面用のフレーム部材とを有し、前記3本の底面用のフレーム部材は、一本の底面用のフレーム部材の両端に他の底面用のフレーム部材の端部同士が突き合せされて枠形状の三角形が形成され、前記3面の捕捉面枠部は、前記各捕捉面用のフレーム部材の一端が前記底面用のフレーム部材の各突き合せされた底面側の突き合せ部に突き合せされ、前記各捕捉面用のフレーム部材の他端が頂部側の突き合せ部に互いに突き合せされてい
て、前記底面用のフレーム部材と前記捕捉面用のフレーム部材は、ウエブの高さ方向上下端に上フランジと下フランジをそれぞれ形成したI型鋼またはH型鋼により構成したことを特徴とする。
【0019】
本発明の第1の目的を実現する流下物捕捉体の第
2の構成は、上記し
た構成において、前記四面体は、正四面体であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第1の目的を実現する流下物捕捉体の第
3の構成は、上記したいずれかの構成において、前記四面体の頂面を尖らせていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第1の目的を実現する流下物捕捉体の第
4の構成は、上記した
いずれかの構成において、前記底面用のフレーム部材と前記捕捉用のフレーム部材は、両端が同一形状の前記突き合せ部に形成されていて、前記突き合せ部は、前記ウエッブの先端が長手方向に対して第1の傾斜角度に傾斜するウエッブ傾斜辺と、前記上下のフランジ部の先端が幅方向において左右対称に第2の傾斜角度に傾斜するフランジ傾斜辺を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の第1の目的を実現する流下物捕捉体の第
5の構成は、上記し
たいずれかの構成において、前記突き合せ部は、隣り合う前記フレーム部材同士を連結し、前記フレーム部材を挟持するように設けられた締結板同士をボルト・ナットにより締結することで固定されることを特徴とする。
【0024】
本発明の第1の目的を実現する流下物捕捉体の第
6の構成は、上記したいずれかの構成において、前記底面枠部には、アンカーボルトの上端部が装入されるアンカーボルト孔が形成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第1の構成は、治山対象に、上記したいずれかの構成の
流下物捕捉体を一又は幅方向に複数設置したことを特徴とする。
【0026】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第2の構成は、上記した治山工法の第1の構成において、前記
流下物捕捉体の下流側に、前記一又は並設される複数の流下物捕捉体に対して、水を通過させるが土砂を非通過とするフィルターを一又は並設して複数設置し、前記一又は並設される複数のフィルターと前記一又は複数の
流下物捕捉体との間に非通過の土砂を堆積させる空間を形成したことを特徴とする。
【0027】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第3の構成は、上記した治山工法のいずれかの構成において、前記並設される複数の流下物捕捉体は、隣接する流下物捕捉体同士を連結部材で連結したことを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第4の構成は、上記した治山工法の第2または第3の構成において、前記一つの流下物捕捉体又は並設される複数の前記流下物捕捉体と、前記流下物捕捉体に対応して設置される一又は複数のフィルターとを一組の流下物捕捉システムとし、前記流下物捕捉システムを上流側から下流側に向けて複数設置したことを特徴とする。
【0029】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第5の構成は、上記した治山工法のいずれかの構成において、上記治山工法のいずれかの流下物捕捉体を第1の流下物捕捉体とし、前記第1の流下物捕捉体の上流側に、上記流下物捕捉体の第1から第
3のいずれかの構成の流下物捕捉体を木製とした第2の流下物捕捉体を設置したことを特徴とする。
【0030】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第6の構成は、上記した治山工法のいずれかの構成において、前記流下物捕捉体は、底面枠部における三角形の角部を上流側または下流側に向けて設置したことを特徴とする。
【0031】
本発明の第2の目的を実現する治山工法の第7の構成は、上記した治山工法のいずれかの構成において、並設される複数の前記流下物捕捉体を主流下物捕捉体とし、隣接する前記主流下物捕捉体の間に形成される領域に、前記流下物捕捉体と同構造の副流下物捕捉体を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る流下物捕捉体によれば、地面に載置するだけで、降雨により流れ下る岩石や流木を捕捉し、例えばガリーの浸食を食い止めることができる。このため、設置場所でコンクリート打ちなどの基礎工事が不要となり、安価でしかも短期間に流下物捕捉体を目的の場所に設置することができる。
【0033】
また、四面体の枠形状に構成しているので、頑強で、軽量化が図れる。
【0034】
また、本発明によれば、6本のフレーム部材で流下物捕捉体を構成することができる。また、一のフレーム部材の端部は、隣接するフレーム部材の端部と付き合わされているので、流下物捕捉体に巨岩が衝突しても各フレーム部材に衝撃力が略均等に分散するため、流下物捕捉体の破損を招くことなく岩石の捕捉が行える。
さらに、高剛性のフレーム部材を使用するため、高速で流れ下る巨岩に対する耐衝撃性に優れ、しかも軽量であるため、設置現場まで、人手でフレーム部材を搬送することができる。
【0035】
請求項
2に係る発明によれば、流下物捕捉体を正四面体とすることで、4面のいずれの面も底面とすることができ、設置する際の面の向きを間違えることがない。また、各面を構成するフレーム部材の長さを等しくすることができ、コストダウンを図れ、また、組み立てを容易に行える。
【0036】
請求項
3に係る発明によれば、上流側から流れ下る岩石や流木が衝突する際、衝突力により底面の尖った頂面が設置される地面に食い込み、流下物捕捉体を設置位置から移動するのを阻止することができる。
【0038】
請求項
4に係る発明によれば、流下物捕捉体を構成する全てのフレーム部材に互換性を持たせ、しかも各角部の先端を尖らすことができる。そして、一のフレーム部材に対し、突き合せされる他のフレーム部材の対応する各傾斜面同士を当接させることができ、衝撃力の分散化をより一層図ることができる。
【0039】
請求項
5に係る発明によれば、簡単な構成で全てのフレーム部材を強固に固定することができる。
【0040】
請求項
6に係る発明によれば、流れ下る岩石や流木の衝撃で流下物捕捉体が移動するおそれがある場合には、アンカーボルトを利用することが提案できるが、この場合、底面枠部にアンカーボルト孔を形成するだけで流下物捕捉体をアンカーボルトに固定することができる。
【0041】
本発明の請求項
7に係る治山工法によれば、雨水などにより流れ下る岩石や流木による治山対象が浸食されるのを防止することができる。
【0042】
請求項
8に係る発明によれば、フィルターとの間に設けた空間に土砂を堆積させて緑化でき、治山を図ることができる。また、流下物捕捉体の下流側にはフィルターにより土砂が堆積するため、流下物捕捉体の下流側が流水により洗掘されるのを防止することができる。
【0043】
請求項
9に係る発明によれば、並設される流下物捕捉体をボルト等で連結すると、流下物捕捉体同士を剛的に連結でき、ワイヤーやチェーンで連結すると各流下物捕捉体をある程度自由に移動させることができる。
【0044】
請求項
10に係る発明によれば、広範囲の治山対象に対して対応することができる。
【0045】
請求項
11に係る発明によれば、第2の流下物捕捉体により岩石や流木の速度を低減し、第1の流下物捕捉体の損傷を軽減することができる。
【0046】
請求項
12に係る発明によれば、底面枠部における三角形の角部を上流側に向けて設置すれば、岩石等が衝突する際に衝撃速度を緩和させて斜め後方に下流側に容易に移動させることができる。また、底面枠部における三角形の角部を下流側に向けて設置すれば、衝突する岩石等を受け止めて容易に流下物を捕捉することができる。
【0047】
請求項
13に係る発明によれば、主流下物捕捉体で捕捉できなかった岩石や流木を副流下物捕捉体により捕捉できるので、下流側へ流下する岩石や流木を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0050】
第1の実施形態
図1は本発明による流下物捕捉体の第1の実施形態を示す正面図、
図2は
図1の流下物捕捉体の上面図である。
図3の(a)は
図1の流下物捕捉体を構成するフレーム部材の正面図、(b)はフレーム部材の先端部の拡大斜視図である。
図4は
図1に示すフレーム部材をボルト締めにより締結するための締結板を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のAA矢視図。
図5は締結板とボルト・ナットによるフレーム部材の締結状態を示し、
図2のBB矢視図である。
【0051】
本実施形態において、流下物捕捉体1は、6本のフレーム部材10(第1フレーム部材11,第2フレーム部材12,第3フレーム部材13,第4フレーム部材14,第5フレーム部材15,第6フレーム部材16)と、4つの頂点P(P1,P2,P3,P4)で3本のフレーム部材10の先端部をボルト31およびナット32を介して挟持固定する締結板17と、を有し、組み付け状態で枠形状の正四面体に形成されている。
【0052】
6本のフレーム部材10はI形鋼により同一サイズ(形状、長さ等)に形成される。したがって、同一長さのフレーム部材10を多数本用意することで、同一サイズの流下物捕捉体1を多数個形成することができる。
【0053】
流下物捕捉体1は、4つの頂点P1〜P4において、3本のフレーム部材10の先端部21が互いに突き合せされた状態で固定される。
【0054】
図3に示すように、フレーム部材10を構成するI形鋼は、ウエッブ18の上下にフランジ部19、20を形成した形状を有する。フレーム部材10は、頂部Pにおいて、両隣に位置する他の2本のフレーム部材10と突き合せするために、フレーム部材10の長さ方向における両側の先端部21の形状を
図3(b)に示すように形成する。
【0055】
図3(b)において、フレーム部材10の先端部21は、ウエッブ18の先端が所定の角度α1(35.26度)に傾斜した第1傾斜辺18aに形成されている。このため、上フランジ部19の先端位置に対し、下フランジ部20の先端位置は後退した位置に存在している。
【0056】
上フランジ部19の先端部21は、幅方向の中央を通る中心線L1を中心として左右線対称の第2傾斜辺19a、19bに形成されている。第2傾斜辺19a、19bの頂角α2を45度としている。下フランジ部20の先端部21は、上フランジ部19の先端部21と同様に、幅方向の中央を通る中心線L1を中心として左右線対称で、頂角α2の第3傾斜辺20a、20bに形成されている。
【0057】
本実施形態において、頂点Pで突き合せられる3本のフレーム部材10は、各第1傾斜辺18aが互いに当接する。また、上フランジ部19の左右の第2傾斜辺19a、19bは、隣接する他のフレーム部材10の上フランジ部19の左右の第2傾斜辺19a、19bと当接する。さらに、下フランジ部20の左右の第3傾斜辺20a、20bは、隣接する他のフレーム部材10の下フランジ部20の左右の第3傾斜辺20a、20bと当接する。
【0058】
本実施形態において、流下物捕捉体1は、各頂点Pにおいて、3本のフレーム部材10の先端部21のウエッブ18、上フランジ部19および下フランジ部20同士が互いに大きな接触面積を有して当接する。このため、流下物捕捉体1は、フレーム部材10に外力が作用すると、加わった力を他のフレーム部材10に分散する。したがって、流下物捕捉体10を構成するフレーム部材10が曲がったり、折れたりするといった損傷を防止することができる。
【0059】
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、頂点Pにおいて、互いに突き合せされる3本のフレーム部材10は、隣接するフレーム部材10の先端部21同士を締結板17によりボルト31とナット32を用いて締結する。
【0060】
締結板17は、厚鋼板により上面略V字形状に形成される。締結板17は、中心線L2を中心として、左右対称に第1締結片17aと第2締結片17bを有する。第1締結片17aと第2締結片17bのなす頂角α3は、正面視において60度に設定している。また、締結板17は、中心線L2を折り曲げ線として、第1締結片17aと第2締結片17bのなす折り曲げ角α4を120度に設定している。
【0061】
第1締結片17aと第2締結片17bは、上フランジ部19と下フランジ部20との間で、ウエッブ18に接して隙間なく嵌め込まれる。締結板17のV字尖端は、突き合せ状態にある隣接する2本のフレーム部材10の先端に合致して配置される。第1締結片17aと第2締結片17bには、締結用のボルト31が挿通される第1ボルト孔17cと第2ボルト孔17dがそれぞれ形成される。
【0062】
一方、フレーム部材10の先端部21のウエッブ18には、第1ボルト孔17cと第2ボルト孔17dに対応して、第3ボルト孔18bと第4ボルト孔18cが形成されている。
【0063】
各頂点Pにおいて、締結板17は、3個使用される。
図2において、頂点P4を例にすると、頂点P4では第4フレーム部材14と、第5フレーム部材15と、第6フレーム部材16との各先端部21が突き合わされる。第4フレーム部材14と第5フレー部材15を第1締結板17−1により締結し、第4フレーム部材14と第6フレーム部材16を第2締結板17−2により締結し、第5フレーム部材15と第6フレーム部材16を第3締結板17−3により締結する。
【0064】
第1締結板17−1の第2締結片17bと第2締結板17−2の第2締結片17aにより第4フレーム部材14が挟持される。同様に、第2締結板17−2の第2締結片17bと第3締結板17−3の第1締結片17aにより第6フレーム部材16が挟持され、第1締結板17−1の第1締結片17aと第3締結板17−3の第2締結片17bにより第5フレーム部材15が挟持される。
【0065】
第4フレーム部材14と第5フレーム部材15と第6フレーム部材16を挟んで対向する各第1締結片17aと第2締結片17bの第1ボルト孔17cは、ウエッブ18の第3ボルト孔18bと共に同じ位置に設けられ、同様に第2ボルト孔17dは第4ボルト孔18cと共に同じ位置に設けられている。
【0066】
そして、
図5に示すように、ボルト31を例えば第2締結板17−2の第1締結片17aに設けた第1ボルト孔17cから第4フレーム部材14のウエッブ18に設けた第3ボルト孔18bを通し、さらに第1締結板17−1の第2締結片17bに設けた第1ボルト孔17cを貫通してナット32をねじ込んで締結する。もう一つの第2ボルト孔17d、第3ボルト孔18cについても同様にボルト31を挿通してナット32をねじ込んで締結する。
【0067】
本実施形態の流下物捕捉体1は、第1フレーム部材11と第2フレーム部材12と第3フレーム部材13とにより形成される正三角形形状の第1面と、第1フレーム部材11と第4フレーム部材14と第5フレーム部材15とにより形成される正三角形形状の第2面と、第2フレーム部材12と第4フレーム部材14と第6フレーム部材16とにより形成される正三角形形状の第3面と、第3フレーム部材13と第5フレーム部材15と第6フレーム部材16とにより形成される正三角形形状の第4面とにより剛構造に構成される。
【0068】
本実施形態の流下物捕捉体1は、例えば普段は水が流れていないが雨が降ると水が流れ、流れる水と共に下流側に向けて岩石、流木等の流下物が移動する川床に配置され、前記流下物を捕捉する。流下物捕捉体1の第1面(第2面〜第4面)のサイズは、捕捉対象の流下物のサイズに合わせて適宜決定される。流下物捕捉体1は、例えばガリーの川床に配置される。ガリーとは、例えば山肌が荒れた山において、降雨による流水で山頂付近の山肌が浸食されて形成されるV字状の溝である。
【0069】
流下物捕捉体1は、前記第1面から前記第4面のいずれかの面を底面としガリー床等の川床に設置される。流下物捕捉体1を前記第1面から前記第4面の正四面体とし、平坦な地面に設置する場合、底面の全面は地面に接する。
【0070】
一方、
図6に示すように、前記第1面〜前記第4面を形成するフレーム部材10は、下フランジ部20が設置面、例えば川床Qに対し、所定の角度β(0<β<90)で内側に向けて傾いている。すなわち、下フランジ部20の先端は、川床Qに対して食い込むように傾斜している。
【0071】
本実施形態において、流下物捕捉体1を川床に設置する際、底面の正三角形を形成するフレーム部材10の向きが川の流れ方向に対して特定されることはない。例えば、
図2において、前記第1面を底面とする場合、第1フレーム部材11を川の上流側で川の流れ方向に対して直交する方向に向けて設置する第1設置方向が示される。また、第1フレーム部材11を川の下流側で川の流れ方向に対して直交する方向に向けて設置する(底面の三角形の角部を川の流れ方向の上流側に設置する)第2設置方向、第1フレーム部材11を前記第1設置方向と前記第2設置方向との間の任意の向きに設置する第3設置方向が示される。
【0072】
流下物捕捉体1を前記第1設置方向、前記第2設置方向、前記第3設置方向のいずれの向きに設置にしても、水と共に下流側に向けて移動する岩や流木が流下物捕捉体1に衝突した場合、衝突に伴う衝撃力により、流下物捕捉体1を川床に向けて斜め下流側に作用する分力が発生する。このため、流下物捕捉体1は前記分力の作用で川床に押し付けられ、水の流れや岩、流木の移動により流下物捕捉体1が下流側に移動することが殆ど生じない。また、
図6に示すように、フレーム部材10の下エッジ20の内向き先端が川床Qに食い込むため、流下物捕捉体1の下流側への移動がより一層規制される。したがって、流下物捕捉体1を川床に固定するために、川床を掘って鉄筋コンクリートなどの基礎部分を設ける必要はない。
【0073】
しかし、
図6に示すように、川床Qにねじ込んだアンカーボルト41を用いて、フレーム部材10を川床Qに固定することを否定するものではない。
図6において、アンカーボルト41は、不図示の治具を用いて所定の角度で先端部を残して川床Qにねじ込まれる。流下物捕捉体1を構成するフレーム部材10のウエッブ18には、アンカーボルト41の先端部が挿通されるアンカー孔18dが形成される。アンカー孔18dは、フレーム部材10の長手方向両端部に形成される。アンカー孔18dを挿通したアンカーボルト41の先端部には、ワシャー42を介装してナット43が螺着される。
【0074】
流下物捕捉体1の底面を形成する3本のフレーム部材10を川床Qに固定するアンカーボルト41は、ねじ切りの要領で川床Qにねじ込むだけで良いため、簡単で短時間に川床Qに植設される。アンカー孔18dの内径はアンカーボルト41の軸径と同径としても良いが、長孔にしたり、内径を大きくすることが望ましい。これにより、フレーム部材10に形成される2つのアンカー孔18dの間隔にずれが生じた場合、植設する2本のアンカーボルト41の間隔にずれが生じても、これらのずれを吸収してアンカー孔18dにアンカーボルト41を挿通することができる。
【0075】
このように、アンカーボルト41により流下物捕捉体1を川床Qに固定することにより、流下物捕捉体1が下流側や川幅方向へ移動したり、旋回することを確実に阻止することができる。なお、アンカー孔18dにワイヤー、ロープや鎖などの一端側を連結し、他端側を離れた位置に植設したアンカーボルトに連結するようにしても良い。植設されるアンカーボルトは、川床や側壁面等に穿設した取り付け孔に接着剤を介して固定されるようにしてもよい。また、アンカーボルトとしては、先端部に頭部を有する構成とし、ワイヤー、ロープや鎖をアンカーボルトの頭部に引っ掛けるようにしても良い。
【0076】
流下物捕捉体1は、川床Qに載置するだけで設置することができる。流下物捕捉体1は、予め組み立てたものを設置場所まで運ぶことができる。また必要な数のフレーム部材10、締結板17、ボルト31、ナット32、アンカーボルト41、ナット43、ワッシャ42等の部品を設置現場の近くまで運び、そこで組み立てたものを人力で設置現場まで運ぶ。
【0077】
山の頂上付近に形成されるガリーは、川幅も狭く、谷の深さも浅いため、そこに設置する流下物捕捉体1は小さなサイズが適している。このため、一人または二人程度の作業者が流下物捕捉体1を手で持って設置場所まで運ぶことが可能である。
【0078】
一方、山の中腹付近に発生するガリーは、川幅も広くなり、谷の深さも深くなる。このため、設置する流下物捕捉体1は大きなサイズとなる。この場合は、例えば設置現場で部品を組み立てて流下物捕捉体1を完成させる。
【0079】
図7および
図8に示すように、流下物捕捉体1は、例えばガリーGの川床Qに設置され、設置場所を流れる岩石、流木を捕捉するが水は通過させる。上流側から水と共に流れる岩石は、流下物捕捉体1の外側でフレーム部材10に引っ掛かるものもあれば、流下物捕捉体1の中をすり抜けるものもある。また、流下物捕捉体1の中をすり抜けられずに流下物捕捉体1内でフレーム部材10に引っ掛かるものもある。
【0080】
引っ掛かる岩石のサイズは、流下物捕捉体1の底面を除く各面の正三角形に形成される枠のサイズよりも大きいもの(以下、大サイズ岩石Rとする)もあれば、小さいもの(以下、小サイズ岩石Sとする)もある。
【0081】
大サイズ岩石Rが流下物捕捉体1に衝突した場合、大サイズ岩石Rは流下物捕捉体1に捕捉されるか、流下物捕捉体1への衝撃反力で跳ね上がり、減速されて下流側に移動する。流下物捕捉体1は、全ての岩石等を捕捉する必要はなく、減速できればその目的を達成する。
【0082】
一方、例えば流下物捕捉体1のフレーム部材10に小サイズ岩石Sが引っ掛かった場合、引っ掛かった小サイズ岩石Sが核となって小岩石Sを捕捉する。小岩石Sが捕捉されると、その上流側に砂礫が捕捉される。
【0083】
また、流木Wも流下物捕捉体1のフレーム部材10に引っ掛かって捕捉される。さらに、捕捉された小岩石Sと流木Wにより小岩石Sや流木Wが引っ掛かって捕捉される。捕捉された流木Wは、そのまま朽ち、岩石はそのまま定置化する。
【0084】
上記した実施形態では、流下物捕捉体1を構成するフレーム部材10の全てをI型鋼で形成しているが、H型鋼で形成しても良い。また、流下物捕捉体1のフレーム部材1の外側を向く上フランジ部19の表面に木材などの衝撃緩衝材を取り付けるようにしても良い。衝撃緩衝材は、岩石等が流下物捕捉体1に衝突する際の衝撃を和らげ、衝突した岩石の跳ね上がりを小さくするため、フレーム部材10の損傷を防止しつつ捕捉効率を向上させる。
【0085】
締結板17をボルト締めするために、フレーム部材10のウエッブ18には、フレーム部材10の長手方向に沿って第3ボルト孔18bと第4ボルト孔18cを形成しているが、第1傾斜辺18aに沿って第3ボルト孔18bと第4ボルト孔18cを形成してもよい。したがって、締結板17に形成する第1ボルト孔17cと第2ボルト孔17dをこれに合わせて形成する。
【0086】
なお、本実施形態において、流下物捕捉体1は、フレーム部材10をI型鋼、H型鋼等の鋼材を用いているが、フレーム部材10を木材により形成しても良い。このような木製流下物捕捉体は、大きな岩石が流下しないリルに設置したり、流速の低い場所に設置することができる。この場合、木製流下物捕捉体には岩石や流木により大きな衝撃が加わらず、フレーム部材が折れにくい。木製の流下物捕捉体は、軽量化できるため、山頂付近まで容易に搬入でき、また設置場所での組み立ても容易に行える。
【0087】
第2の実施形態
図9及び
図10は本発明の第2の実施形態を示す。
【0088】
ガリー等の上流側から雨水など共に流れ落ちる岩石、砂礫、流木等は下流側の川床や壁面を削り、川幅を広げると共に、川床を深くする。このため、流下物捕捉体1を山頂や山腹に設置することにより、岩石、砂礫、流木等を捕捉し、ガリー等の谷が大きくなるのを防止する。
【0089】
しかし、土砂は流下物捕捉体1を通過して下流側に流れ落ちるため、川床に定着しない。川床に土砂が定着すると、種子が付着して緑化が促進されると共に、ガリーの浸食を鈍化させ、さらには縮小することができ、環境保全、治山が図れる。
【0090】
本第2実施形態は、治山工法の一例を示す。
【0091】
本実施形態の治山工法は、流下物捕捉体1を第1設置方向(底面の第1フレーム部材11を川の上流側で川の流れ方向Uに対して直交する方向に向けて設置される方向)に向けて設置する。さらに、流下物捕捉体1の下流側に、横長のフィルター60を配置する。フィルター60は、流下物捕捉体1との間に、土砂の堆積層を形成する。フィルター60は、例えば充填材と、充填材を保持する保持部材とを有し、上流側(流下物捕捉体1側)から水と共に流れる土砂を長手方向の外周面で捕捉し、下流側に水を排水する。
【0092】
フィルター60の構成としては、予め保持部材に充填材を保持した状態で構成される第1の構成と、設置時には水と土砂を通過させ、経時的に土砂が捕捉されて自然に充填される第2の構成を例示することができる。第1の構成では、設置時から土砂を流下物捕捉体1との間に堆積させることができる。第2の構成では、保持部材のみを設置場所に運べばよいため、設置工事が簡単に済む。
【0093】
流下物捕捉体1は、流下物捕捉体1の幅方向全長をカバーするように外観が三日月状であって、透水性を有するが土砂を非通過とするフィルター60を配置する。フィルター60の両端は例えば
図6に示すアンカーボルト41と同様のアンカーボルトによりそれぞれ固定される。
【0094】
流下物捕捉体1に対するフィルター60の設置間隔は特に限定されるものではなく、
図9に示すように、近接して設置する場合に限らず、距離を隔てて、設置するようにしても良い。例えば設置するリル、あるいはガリーの深さや幅、傾斜等に応じて適宜設定される。
【0095】
流下物捕捉体1の下流側に、フィルター60を設置することで、流下物捕捉体1とフィルター60との間に土砂の堆積層が形成される。このため、流下物捕捉体1が設置される設置面の洗掘を防止することができ、流下物捕捉体1の設置姿勢、設置位置が安定する。
【0096】
フィルター60は、三日月形状の湾曲した内側に流下物捕捉体1の下流側との間に土砂を貯留する空間Vを形成する。フィルター60は、例えば空間Vに堆積する土砂の圧力を均一に受けることができるように、湾曲させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、直線状に形成した構成としても良い。
【0097】
水と共に流下物捕捉体1を通過した土砂は、フィルター60に向けて流れるが、土砂はフィルター60の前記内側空間Vに堆積する。フィルター60を水のみが通過するため、土砂はフィルター60の高さまで堆積する。仮にフィルター60に透水性がない場合には内側空間V内に水と土砂が貯まり、フィルター60の高さに水位が達するが土砂はフィルター60の高さまで達せず、水と共に溢れ出る。このため、土砂の貯留性が悪い。しかし、本実施形態のフィルター60は透水性を有しているため、土砂はフィルター60の高さ位置まで達することができる。フィルター60の内側空間V内に土砂が堆積すると、草、木等の植物の種子が付着し、植生の回復が図れる。
【0098】
本実施形態において、流下物捕捉体1を第1設置方向に設置しているが、第1設置方向とは前後方向が逆の第2設置方向に設置しても良い。流下物捕捉体1を第1設置方向に設置するか第2設置方向に設置するかは、岩石や流木などの流下物を効率よく捕捉できる向きであればいずれの向きであっても良い。
【0099】
フィルター60は流下物捕捉体1のように、設置後朽ちて自然界に戻る材質で構成することが環境保全の点から望ましい。また、フィルター60は流下物捕捉体1と同様に、山頂や山腹などの設置現場で組み立てできる構成とすることが望ましい。
【0100】
フィルター60として、金網や椰子網等のように経時変化により朽ちる包装資材にスコリア等の塊状多孔質部材等のフィルター基材の中詰め材を多層状態に内包した構成を例示することができる。スコリアは、火山噴出物の塊状多孔質のもので、火山の噴火などで山に堆積しており、スコリアの存在する場所は一般にガリーが形成される傾向がある。このため、包装資材をフィルター60の設置場所付近まで運べば、フィルター60の設置場所でフィルター60を製作することができる。包装資材によるフィルター60の製作は、拡げた状態の包装資材上にスコリアを広範囲にばら撒き、包装資材を端からロールケーキを作るような要領で巻き上げると多層のロール構造のフィルターが形成される。その際、フィルター60の長手方向中央部分が膨らみ、端に向うに従って細くなり、かつ自然に長手方向の外側に拡がろうとする応力と、逆に長手方向の内側に向おうとする応力が発生することで、フィルター60が三日月形状に形成される。勿論、本発明において、フィルター60の構造はこの構成に限定されることはない。
【0101】
第3の実施形態
図11は第3の実施形態を示す。
【0102】
本実施形態の治山工法は、
図9に示す流下物捕捉体1とフィルター60との組み合わせで構成される流下物捕捉システム50を1単位とし、1単位の流下物捕捉システム50を上流側から下流側に千鳥状に配置している。
【0103】
本実施形態の治山工法は、リル、またはガリー等の谷に適用するだけでなく、例えば草や木が枯れて山肌が荒れた場所に適用することができる。山肌が荒れているが、未だ山腹にリルが発生していない状況において、雨が降ると、小さな流水路がいたるところに発生する。このような小さな流水路が集合して一本の流水路ができると徐々に浸食されてリルが発生し、さらに浸食が進むとガリーが発生する。
【0104】
図11に示すように、山腹に流下物捕捉システム50を千鳥状に設置すると、前記の小さな流水路が山腹のいずれに発生しても、流下物捕捉体1で岩石や流木を捕捉し、フィルター60により土砂を堆積させて緑化を図ることができる。したがって、小さな流水路が成長して大きな流水路になり、大きくなった流水路が集合してさらに大きな流水路が成長するのを妨げることができる。
【0105】
また、
図11に示す千鳥状の設置において、下流側に設置される流下物捕捉体1のサイズを上流側に設置される流下物捕捉体1のサイズよりも大きくし、下流側で巨岩を捕捉できるようにしても良い。
【0106】
流下物捕捉体1は、第1設置方向に向けて設置しているが、
図12に示すように、第2設置方向に向けて設置しても良い。流下物捕捉体1を第2設置方向に向けて設置した場合、上流側には幅方向の中央位置に一本のフレーム部材10が立設し、これを後方に立設する2本のフレーム部材10で支持する構成となる。
【0107】
このため、前方のフレーム部材10に衝突して捕捉されなかった岩石Sは、斜め後方(下流側)に減速されて移動し易い。そして、斜め後方に設置された流下物捕捉体1に衝突して捕捉されるか、再度跳ね飛ばされて減速される。
【0108】
したがって、第2設置方向に流下物捕捉体1を設置した場合には、岩石Sの移動速度の減速効果が期待できる。
【0109】
流下物捕捉体1は、流下物捕捉体1のフレーム部材10をI型鋼として、高速で移動する巨岩の衝撃に耐えるようにしている。しかし、大きな衝撃が加わるおそれが無いような設置状況では、フレーム部材10を例えば平板状の鋼板で形成しても良い。
【0110】
第4の実施形態
図13は第4の実施形態を示す。
【0111】
図9はフィルター60の長さを流下物捕捉体1の幅と略同じ長さとしている場合を示している。
【0112】
これに対し、本実施形態は、
図13(a)に示すようにフィルター60の長さを流下物捕捉体1の幅よりも長く、あるいは
図13(b)に示すように短くしている。
【0113】
第5の実施形態
図14は第5の実施形態を示す。
【0114】
上記した第2の実施形態および第3の実施形態において、流下物捕捉システム50は、一台の流下物捕捉体1と一つのフィルター60との組み合わせを一単位としているが、これに限定されるものではない。
【0115】
本実施形態は、流下物捕捉システム50の組み合わせとして、一台の流下物捕捉体1と、一台の流下物捕捉体1の下流側に設置される並設される複数のフィルター60との組み合わせ、あるいは並設される複数台の流下物捕捉体に対して設置される1または複数の並設されるフィルター60の組み合わせとしたものである。
【0116】
図14は、一台の流下物捕捉体1に対して複数のフィルター60を横方向に沿って直列に配置した場合を示す。
【0117】
第6の実施形態
図15は第6の実施形態を示す。
第2の実施形態および第3の実施形態では、流下物捕捉システム50を千鳥状に配置している。
【0118】
これに対し、本実施形態では、
図15に示すように、水の流れ方向に対して直交する方向に複数の流下物捕捉体1を隙間なく設置したものである。
【0119】
この場合、流下物捕捉体1を一列または複数列配置しても良い。流下物捕捉体1を複数列に配置した場合、上流側の流下物捕捉体1の列と、下流側の流下物捕捉体1の列とはズレを有して設置してもズレなく設置しても良い。隣接する流下物捕捉体1同士は、ボルト・ナット等の連結部材で連結する。
【0120】
また、水の流れ方向に対して直交する方向に複数の流下物捕捉体1を適当な間隔を有して設置し、隣接する流下物捕捉体1同士をチェーンやワイヤー等で連結しても良い。
【0121】
図15(a)は、川幅方向に流下物捕捉体1を複数台並列に設置し、フィルター60を流下物捕捉体1毎に設置した場合を示す。
図15(b)は、並設される複数の流下物捕捉体1に対して一つのフィルター60を設置した場合を示す。
図15(c)は、並設される流下物捕捉体1の数よりも多いフィルター60を設置した場合を示す。
【0122】
また、
図15(d)に示すように、水の流れ方向に対して直交する方向に複数の流下物捕捉体1を隙間なく、あるいは間隔を有して設置する構成において、隣接する流下物捕捉体1の間の設置面には三角形の領域Gが生じる。この三角形の領域Gに、流下物捕捉体1の向きとは逆の向きに、流下物捕捉体1´を設置するようにしても良い。
【0123】
第7の実施形態
上記した第1〜第6の実施形態において、流下物捕捉体1をI形鋼又はH形鋼等の鋼材で形成しても、岩石や流木を捕捉する際には大きな衝撃力を受ける。
【0124】
そこで、本実施形態では、鋼材製の流下物捕捉体(以下、主流下物捕捉体と称す)1の上流側に、主流下物捕捉体1と同構造の木材製の副流下物捕捉体を設置する。
【0125】
本実施形態によれば、副流下物捕捉体1に衝突してから主流下物捕捉体1に岩石や流木が衝突するため、主流下物捕捉体1への衝撃が緩和され、主流下物捕捉体1の損傷が低減する。