特許第6586680号(P6586680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586680
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   A61F13/511 100
   A61F13/511 300
   A61F13/511 400
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-110234(P2015-110234)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-220937(P2016-220937A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 浩二
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−015707(JP,A)
【文献】 特開2003−275239(JP,A)
【文献】 特開2014−200446(JP,A)
【文献】 特開2009−000512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備え、
前記トップシートは、第1トップシートと、前記第1トップシートよりも非肌当接面側に設けられた第2トップシートとを含み、
前記第1トップシートは、断面視において肌当接面側に凸状であって、平面視において略六角形状に形成された第1接合部と、略五角形状に形成された第2接合部とをもって前記第2トップシートと部分的に接合されており、各接合部で囲まれる領域が前記肌当接面側に凸状であり、
前記凸状は、中空構造であり、
各接合部が互いに隣接する他の接合部と少なくとも一部の辺を共有し、
4つの辺が第1の点において交差するとき、各接合部が前記第1の点を起点として、各辺に沿ってドット状の接合点を有し、
3つの辺が第2の点において交差するとき、各接合部が前記第2の点を起点として、各辺に沿って略Y字状の接合点を有し、
前記第1接合部の各辺の中点近傍には、前記ドット状の接合点を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記第1接合部及び前記第2接合部で囲まれる凸状領域は、20mm以上100mm以下の底面積を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1接合部と前記第2接合部の接合点は、前記第2トップシートに対して、2%以上5%以下の合計面積を有することを特徴とする請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1トップシート及び/又は前記第2トップシートが20g/m以上30g/m以下の坪量と、1.3dtex以上5.0dtex以下の繊度を有する短繊維サーマルボンド不織布であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、軽失禁パッド、尿取りパッド、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シートの間に配置された吸収体と、で構成されている。これにより、尿、汗等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収され、バックシートにより外部へ漏れないようになっている。このような吸収性物品のトップシートは、体液吸収前にはさらさらとした肌触りであること、吸収後には体液が逆戻りせず、じめじめとした不快感を与えないことが求められている。
【0003】
したがって、表面の肌触りや吸収後のドライ性を向上させるために、トップシートには表面にエンボス等の賦形処理が行われている。例えば、特許文献1には、上下2層の不織布の内、上層に所定の凹凸形状に賦形を施し、積層して接合したトップシートを備える吸収性物品が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上下2層のシートを有した表面(トップ)シートに、上層、下層が部分的に接合されて凹凸形状を形成し、凹凸形状や接合部の配列を規定した吸収性物品用の表面(トップ)シートが開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、上下2層からなるトップシートを有し、該両層の間に空洞を保持して上層側に突出した凸部を有し、上層の上側層と下側層で構成する繊維長が異なる吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−275239号公報
【特許文献2】特開2004−174234号公報
【特許文献3】特開2009−131593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、表面の肌触りや吸収後のドライ性を向上させるために、トップシートの表面に賦形処理を行う場合、賦形処理により形成された多数の接着部により、トップシートが硬くなり、かえって肌触りが悪化することがあった。また、接着部は、トップシートの皺の原因となり、結果、吸収性能が低下することが分かった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、賦形処理をしながら、シートの硬さや皺の形成が改善され、肌触りや吸収後の表面ドライ性に優れたトップシートを備える吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本願発明に係る1つの態様は、吸収性物品であって、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記トップシートと上記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備え、上記トップシートは、第1トップシートと、上記第1トップシートよりも非肌当接面側に設けられた第2トップシートとを含み、上記第1トップシートは、断面視において肌当接面側に凸状であって、平面視において略六角形状に形成された第1接合部と、略五角形状に形成された第2接合部とをもって上記第2トップシートと部分的に接合されており、各接合部で囲まれる領域が上記肌当接面側に凸状であり、各接合部が互いに隣接する他の接合部と少なくとも一部の辺を共有し、4つの辺が第1の点において交差するとき、各接合部が上記第1の点を起点として、各辺に沿ってドット状の接合点を有し、3つの辺が第2の点において交差するとき、各接合部が上記第2の点を起点として、各辺に沿って略Y字状の接合点を有し、上記第1接合部の各辺の中点近傍には、上記ドット状の接合点を有することを特徴とする。
(2) 本発明の他側面に係る吸収性物品は、(1)記載の吸収性物品であって、上記第1接合部及び第2接合部で囲まれる凸状領域は、20mm以上200mm以下の底面積を有することを特徴とする。
(3) 本発明の他側面に係る吸収性物品は、上記(1)または(2)記載の吸収性物品であって、上記第1接合部と上記第2接合部の接合点は、第2トップシートに対して、2%以上5%以下の合計面積を有することを特徴とする。
(4) 本発明の他側面に係る吸収性物品は、上記(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、上記第1トップシート及び/又は上記第2トップシートが20g/m以上の坪量と、1.3dtex以上5.0dtex以下の繊度を有する短繊維サーマルボンド不織布であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸収性物品は、賦形処理をしながら、シートの硬さや皺の形成が改善され、肌触りや吸収後の表面ドライ性に優れたトップシートを備える吸収性物品を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の吸収性物品の一実施形態の平面図である。
図2図1のA−A’線における吸収性物品の断面図である。
図3図3(a)は、本発明の吸収性物品の一実施形態に係る第1トップシートを抜き出した平面図である。図3(b)は、接合部の一部を示す拡大平面図である。
図4図4(a)は、図3(a)のX−X’線におけるトップシートを抜き出した断面図であり、図4(b)は、図3(a)のX2−X2’線におけるトップシートを抜き出した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図4を参照して、本発明の実施形態に係る吸収性物品について詳細に説明する。なお、実施形態の説明は、全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。本明細書の説明において、体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらにまた、吸収性物品の着用時とは、吸収性物品の装着時及び着用後の少なくとも一方を示す。なお、本明細書の説明において、吸収性物品の長手方向とは、吸収性物品が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中符号Yで示す場合がある。また、吸収性物品の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中符号Xで示す場合がある。
【0013】
本発明の実施形態に係る吸収性物品としては、例えば、軽失禁パッド、パンティーライナー、紙おむつ、紙おむつライナー、生理用ナプキンが例示されるが、これに限定されるものではなく、その他の吸収性物品であってもよい。
【0014】
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態の平面図であり、図2は、図1のA−A’線における吸収性物品の断面図である。図1及び図2に示すように、吸収性物品1は、肌当接面側に配された液透過性のトップシート2と、トップシート2に対向して配置された液不透過性のバックシート3と、トップシート2とバックシート3との間に配置された吸収体4と、を備える。これにより、吸収体4は、トップシート2とバックシート3の間に挟まれた構造となっている。また、例えば、体液や便の閉じ込め空間を形成して、それらの横漏れを防止するために、立体ギャザーシート7aと、立体ギャザーシート7aの自由端部に沿って配された立体ギャザー用弾性部材7bと、を備えた立体ギャザー7を形成する。
【0015】
(トップシート)
図3(a)は、本発明の吸収性物品の一実施形態に係る第1トップシートを抜き出した平面図であり、図3(b)は、接合部の一部を示す拡大平面図である。なお、図3(a)における円形破線部は、第1接合部で囲まれた範囲を概念的に示したものである。また、図4(a)は、図3(a)のX−X’線におけるトップシートを抜き出した断面図であり、図4(b)は、図3(a)のX2−X2’線におけるトップシートを抜き出した断面図である。図4に示すように、トップシート2は、肌当接面側に設けられた第1トップシート2aと、第1トップシート2aよりも非肌当接面側に設けられた第2トップシート2bとを含み、第1トップシート2aは、複数の接合部により、第2トップシート2bと部分的に接合されている。
【0016】
図2に示されたトップシート2の点線で囲んだ範囲を平面視すると、図3に示すように、第1トップシート2aは、断面視において肌当接面側に凸状であって、平面視において略六角形状に形成された第1接合部6Aと、略五角形状に形成された第2接合部6Bとをもって第2トップシートと部分的に接合されている。図3(b)に示すように、第1接合部6Aの各辺と隣接する第2接合部6Bの一辺とが共有され、また、第2接合部6Bどうし一部の辺が共有されて、第1接合部6Aは第2接合部6Bに囲まれるよう、各接合部が配置されている。第2接合部6Bは、別の第2接合部6Bと一部の辺を共有して隣接している。こうして、各接合部は、互いに隣接する他の接合部と少なくとも一部の辺を共有し、ドット状の接合点6a、6cと、略Y字状の接合点6bを有している。また、美粧性の観点から、同一線上に並ぶ第1接合部6Aどうしの中心間隔は、10mm以上であることが好ましい。
【0017】
図3(b)に示すように、第1接合部6Aの各辺の中点近傍には、ドット状の接合点6aを有する。ドット状の接合点6aの形状は、円形状を例示しているが、矩形状、多角形状等であってもよい。また、ドット状の接合点6aそれぞれの面積は、接合性保持と美粧性の観点から、同一であることが好ましい。
【0018】
また、図3(b)に示すように、ドット状の接合点6cは、第2接合部6Bの4つの辺が第1の点P1において交差するとき、第2接合部6Bが第1の点P1を起点として、各辺に沿って形成される。ドット状の接合点6cの形状は、円形状を例示しているが、第1接合部6Aの各辺の中点近傍に形成されたドット状の接合点6aの形状と同様、矩形状、多角形状等であってもよいが、加工性の観点から、円形状が好ましい。ドット状の接合点6aとドット状の接合点6cは、美粧性の観点から、同じ形状であることが好ましい。また、ドット状の接合点6aそれぞれの面積は、接合性保持と美粧性の観点から、略同一であることが好ましい。さらに、ドット状の接合点6aとドット状の接合点6cの面積は、トップシート2に均一的な保持力を付与する観点から、略同一であることが好ましい。
【0019】
さらに、図3(b)に示すように、略Y字状の接合点6bは、接合部の3つの辺が第2の点P2において交差するとき、各接合部6A、6Bが第2の点P2を起点として、各辺に沿って形成される。また、略Y字状の接合点6bそれぞれの面積は、接合性保持と美粧性の観点から、同一であることが好ましい。ここで、略Y字状の形状は、互いに斜め方向に突出していればよく、その傾きの程度や長さ、太さは、必要に応じて適宜設定できる。
【0020】
第1接合部6Aの接合点と第2接合部6Bの接合点の合計面積、すなわちドット状の接合点6a、6cと、略Y字状の接合点6bとを合わせた面積は、風合いと接合保持の観点から、第2トップシート2bの面積に対して、2%以上5%以下であることが好ましい。接合部6A、6Bの面積は、例えば、トップシート2を上部より撮影し、画像解析ソフトであるWin ROOF(三谷商事株式会社製)を用いて画像処理を行うことで測定できる。
【0021】
ドット状の接合点6a、6cと、略Y字状の接合点6bを組み合わせ、略六角形状に形成された第1接合部6Aと、略五角形状に形成された第2接合部6Bとを第1トップシート2aに形成することにより、第1トップシート2aと第2トップシート2bがしっかりと接合できるので、この構造を有しないものと比較して、接合部の形成が少ない面積で済み、トップシート2のシート硬さが減少し、皺の形成が抑制され、表面ドライ性に優れたトップシート2となる。
【0022】
図4(a)に示すように、第1トップシート2aに形成された第1接合部6Aで囲まれた部分は、肌当接面側に凸状になっている。この第1接合部6Aによる凸状領域51の内部は、肌当接面側の第1トップシート2aと非肌当接面側の第2トップシート2bとにより構成されており、吸収保持力の点から、中空構造であることが好ましい。凸状領域51の形状としては、特に限定はなく、円錐体形状、円錐形状、直方体形状、四角錐形状、半球体形状、三角錐形状、截頭円錐体形状、截頭角錐体形状等があげられる。第1接合部6Aの底面積51aは、美粧性に優れることから、それぞれ20mm以上100mm以下の底面積51aを有することが好ましいく、50mm以上100mm以下がさらに好ましい。また、凸状領域51が着用したときにつぶれにくく、肌触りが良好な点から、凸状領域51の形状は、上面積よりも底面積が広い、半球体形状、截頭円錐体形状又は截頭角錐体形状が好ましい。第1接合部6Aによる凸状領域51の高さ51hは、1mm以上5mm以下が好ましい。凸状領域51の高さ51hが1mmより低いと美粧性が減少し、5mmを超えると着用性が低下する。
【0023】
また、第1トップシート2aに形成された第2接合部6Bで囲まれた部分は、第1接合部6Aによる凸状領域51と同様に、肌当接面側に凸状になっている。この第2接合部6Bによる凸状領域52の内部は、図4(b)に示すような、肌当接面側の第1トップシート2aと非肌当接面側の第2トップシート2bとにより構成されており、吸収保持力の点から、中空構造であることが好ましい。凸状領域52の形状としては、特に限定はなく、円錐体形状、円錐形状、直方体形状、四角錐形状、半球体形状、三角錐形状、截頭円錐体形状、截頭角錐体形状等があげられる。第2接合部6Bの底面積52aは、美粧性に優れることから、それぞれ20mm以上100mm以下の底面積52aを有することが好ましいく、50mm以上100mm以下がさらに好ましい。また、凸状領域52が着用したときにつぶれにくく、肌触りが良好な点から、凸状領域52の形状は、上面積よりも底面積が広い、半球体形状、截頭円錐体形状又は截頭角錐体形状が好ましい。第2接合部6Bによる凸状領域52の高さ52hは、1mm以上5mm以下が好ましい。凸状領域52の高さ52hが1mmより低いと美粧性が減少し、5mmを超えると着用性が低下する。肌当接面積が低減されて着用感が向上すること、体液を吸収体に誘導しやすくなることから、第1接合部6Aによる凸状領域51の高さ51hと第2接合部6Bによる凸状領域52の高さ52hは異なることが好ましく、さらに美粧性を加味すると、第1接合部6Aによる凸状領域51の高さ51hが第2接合部6Bによる凸状領域52の高さ52hより低いことがより好ましい。
【0024】
凸状領域の底面積51a、52aは、それぞれ、簡略的に第1接合部6A、第2接合部6Bの接合点で囲まれた面積と定義し、例えば、トップシート2を上部より撮影し、上述した画像解析ソフトであるWin ROOF(三谷商事株式会社製)を用いて画像処理を行うことで測定できる。同様に、凸状領域の高さ51h、52hは、トップシート2のみ、あるいは吸収性物品1を変形させないように剃刀等を用いて切り出し、その断面を底面積の測定と同様に、画像解析ソフトであるWin ROOF(三谷商事株式会社製)を用いて画像処理を行うことで測定できる。
【0025】
トップシート2の基材は、血液、体液等の液体が吸収体4へと移動するような液透過性を備えていればよく、例えば、エアースルー不織布を代表とするサーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。強度及び加工性の観点から、第1トップシート2a及び/又は第2トップシート2bは、20g/m以上40g/m以下の坪量と、1.3dtex以上5.0dtex以下の繊度を有する短繊維サーマルボンド不織布であることが好ましく、20g/m以上30g/m以下の坪量と、2.0dtex以上4.0dtex以下の短繊維サーマルボンド不織布であることがさらに好ましい。第1トップシート2aと第2トップシート2bは、同一基材でも異なる基材でもよく、美粧性の観点から、第2トップシート2bに着色した基材を使用してもよい。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート2に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。
【0026】
(吸収体)
吸収体4は、フラッフパルプと高吸収性樹脂(SAP)を含有し、前部から股部を経由して後部まで配置されている。吸収体4の基材は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布といった材料から形成される。この中で、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。かかるフラッフパルプとしては、木材パルプ及び合成繊維、ポリマー繊維等や非木材パルプを綿状に解繊したものをあげることができるまた、吸収性能および肌触りを損なわないよう、吸収体4の基材の坪量を100g/m以上800g/m以下とすることが好ましい。
【0027】
また、吸収体4の高吸収性樹脂(SAP)は、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、といった材料から形成される。この中で、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。また、吸収性能および肌触りを損なわないよう、吸収体4のSAPは、50g/m以上500g/m以下の坪量とすることが好ましい。
【0028】
吸収体4の基材とSAPは、基材中に高SAP粒子を混合して形成したもの、あるいは、基材間に高吸収性ポリマー粒子を固着したSAPシートとすることが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体4の形状を安定させるために、吸収体4をキャリアシートに包むことが好ましい。キャリアシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布をあげることができる。キャリアシートを複数備える場合は、キャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0029】
吸収体4の形状としては、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、矩形状、砂時計状、I字状等をあげることができる。また、吸収体4の表面にエンボス加工を施すと、体液の拡散をコントロールすると共に、使用者の体型に応じて吸収体4が容易に変形するので好ましい。さらに、吸収体を2層以上重ねたものでもよい。
【0030】
吸収体4の上面への尿等の液体の拡散を促進するために、第2トップシート2bと吸収体4の間に、液拡散性シート8を設けることができる。液拡散性シート8が親水性不織布であることが好ましい。また、液拡散性シート8の素材は、親水性不織布が使用でき、特には、エアースルー不織布が好ましい。また、液拡散性シート8としては、例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布があげられる。液拡散性シート8の厚さは、0.1mm以上が好ましく、その坪量は15g/m以上、特には18g/m以上が好ましい。厚さが0.1mm未満、あるいは、坪量が15g/m未満であると、吸収体4の上面全体への液体の拡散が十分に行われないので好ましくない。また、液拡散性シート8の形状は、特に制限はないが、体液が、くまなく吸収体4に拡散するように、吸収体4の表面を完全に覆うことができる形状であることが好ましい。
【0031】
(バックシート)
バックシート3の基材は、吸収体4が保持している体液が下着に漏れないような液不透過性を備えたものであればよく、不織布、樹脂フィルム、あるいはこれらを積層した複合シートといった材料から形成される。かかる不織布は、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料があげられる。また、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等があげられる。バックシート3には、下着等に粘着させる粘着剤を設け、その外側に剥離紙を設けることが好ましい。
【0032】
強度および加工性の点から、バックシート3の坪量は、15g/m以上40g/m以下程度であることが好ましく、18g/m以上のポリエチレンフィルムがさらに好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、バックシート3は通気性を持たせることが好ましい。透湿性を備えさせるために、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシート3にエンボス加工を施すことがあげられる。フィラーとしては、炭酸カルシウムをあげることができ、その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0033】
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3との間に吸収体4を挟持し、さらに適宜液拡散性シート8や立体ギャザー7を配置した後、トップシート2とバックシート3とを一部あるいは全周にわたってホットメルト接着剤を用いて固定することで、製造することができる。接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下程度の、スチレン/ブタジエン/スチレン系共重合体、スチレン/イソプレン/スチレン系共重合体等の合成ゴム系;又はエチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系のホットメルト接着剤を使用できる。ホットメルト接着剤の塗布方法には、ノズルから溶融状態の接着剤を糸状に非接触で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等があり、公知のあらゆる方法が利用できる。
【0034】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 吸収性物品
2 トップシート
2a 第1トップシート
2b 第2トップシート
3 バックシート
4 吸収体
51 第1接合部による凸状領域
52 第2接合部による凸状領域
51a 第1接合部の底面積
52a 第2接合部の底面積
51h 第1接合部による凸状領域の高さ
52h 第2接合部による凸状領域の高さ
6A 第1接合部
6B 第2接合部
6a、6c ドット状の接合点
6b 略Y字状の接合点
7 立体ギャザー
7a 立体ギャザーシート
7b 立体ギャザー用弾性部材
8 液拡散性シート
P1 第1の点
P2 第2の点
図1
図2
図3
図4