(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化チタンを含む熱可塑性樹脂基材層と、該熱可塑性樹脂基材層に絵柄模様が印刷されてなる印刷層と、該印刷層の表面の艶を調整する透明艶調整層と、電離放射線硬化型樹脂からなり、前記絵柄模様と同調した形状を有する凸部と、がこの順番で形成され、
前記凸部は、高さが30μm以上100μm以下であり、かつ前記凸部同士の間隔が1mm以上2mm以下であり、前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して粒径が3μm以上10μm以下の粒状粒子を20質量部以上30質量部以下含有し、
前記印刷層は、黒色顔料を含み、該黒色顔料は、ペリレン系黒色顔料であり、
前記熱可塑性樹脂基材層は、前記印刷層の側の面に酸化チタンからなる酸化チタン層を有し、
前記熱可塑性樹脂基材層における前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上40質量部以下であり、
前記酸化チタン層を有する前記熱可塑性樹脂基材層の前記酸化チタンの含有量は、23質量部以上であることを特徴とする化粧シート。
前記印刷層は、前記黒色顔料の他、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
前記凸部は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して反応型シリコーン樹脂を10質量部以上50質量部以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
前記透明艶調整層表面の前記凸部が設けられていない部分に厚さが0.5μm以上1.5μm以下の透明耐汚染樹脂層を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の化粧シート及び化粧材について説明する。
(化粧材)
図1は、本実施形態の化粧材1を説明するための断面図である。本実施形態の化粧材1は、化粧シート3と、基材20と、化粧シート3と基材20とを貼り合わせる接着層21と、を有している。
本実施形態の化粧材1は、波長が0.7μm〜1000μmの赤外光に対する印刷層13の透過率を高め、透過した赤外光を熱可塑性樹脂基材層11で反射することによって基材20の蓄熱を防いでいる。
【0010】
(化粧シート)
化粧シート3は、熱可塑性樹脂基材層11と、この熱可塑性樹脂基材層11に絵柄模様が印刷されてなる印刷層13と、印刷層13の表面の艶を調整する透明艶調整層15と、電離放射線硬化型樹脂からなり、絵柄模様と同調した形状を有する凸部17と、がこの順番で形成されたものである。即ち、化粧シート3は、熱可塑性樹脂基材層11の側から、熱可塑性樹脂基材層11、印刷層13、透明艶調性層15、凸部17及び耐汚染薄膜19を有している。
以下、化粧シート3の各層について説明する。
【0011】
〈熱可塑性樹脂基材層〉
本発明における熱可塑性樹脂基材層11としては、後述する印刷層13を印刷等により設けることが可能であり、化粧シート3としての加工適性を有するものであれば公知のものが使用可能である。ただし、本実施形態では、塩化ビニルを使用しないものとしてポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート等が好ましい。熱可塑性樹脂基材層11には、必要に応じ、従来公知の充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を常法に従って添加することができる。熱可塑性樹脂基材層11の厚みは、化粧シート3の用途等によるが、50μm〜100μm程度が好ましい。
【0012】
また、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材層11における赤外光の反射率を高めるため、上記材料に酸化チタンを添加し、熱可塑性樹脂基材層に含有させてもよい。このとき、本実施形態では、熱可塑性樹脂基材層11が酸化チタンを23質量部以上含有させることにより、遮熱性が向上させる。
また、熱可塑性樹脂基材層11に隠蔽層として酸化チタンを用いる場合、隠蔽層としての酸化チタンの含有量と添加された酸化チタンとの合計が23質量部以上であればよい。また、熱可塑性樹脂基材層11が隠蔽層として酸化チタンを23質量部以上含む場合、これ以上酸化チタンを添加しなくともよい。
【0013】
ただし、熱可塑性樹脂基材層11に添加される酸化チタンが多くなると、熱可塑性樹脂基材層11の膜質に酸化チタンが影響を及ぼす。このため、熱可塑性樹脂基材層11の酸化チタンの好適な含有量は、23質量部以上40質量部以下である。
また、本実施形態は、
図1に示したように、熱可塑性樹脂基材層11の印刷層13の側の面に酸化チタンを塗布して酸化チタン層111を設けてもよい。なお、酸化チタン層111を設ける場合であっても、酸化チタン層111によって熱可塑性樹脂基材層11が酸化チタンを23質量部以上含有すれば熱可塑性樹脂基材層11による基材20への遮熱性が向上する。このような条件により、酸化チタン層111の厚さとしては、5μm〜10μmが好ましい。
【0014】
〈印刷層〉
印刷層13は、目的とする化粧シートに所望の絵柄模様の意匠性を付与する目的で設けられるものである。本発明においては熱可塑性樹脂基材層11の表面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄模様を有する印刷層13が設けられる。
印刷層13は、熱可塑性樹脂基材層11に好適なインキを用いて設けられる。具体的には熱可塑性樹脂基材層11がポリプロピレン樹脂であれば、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂の混合物が好適に用いられる。
【0015】
着色剤としては、特に黒色顔料として、ペリレン系の黒色顔料が用いられる。代表的なペリレン系の黒色顔料としては、ペリレンブラックがある。この点により、本実施形態は、既存の化粧シートが黒色顔料としてカーボンブラックを用いることが多く、近赤外光領域(0.781μm〜2.5μm)においての反射率が低かったため、赤外光による熱の吸収によって、蓄熱作用が発生するという不具合を改善することができる。
【0016】
また、黒色顔料以外の顔料として、印刷層13には、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタンの少なくとも一つ以上が用いられる。
本発明の発明者らは、以上の着色剤を使って木目柄を印刷し、印刷層13の総合的な赤外光透過率を測定した。この測定によれば、波長が0.781μm〜2.5μmの光の透過率は、40%以上であった。なお、各顔料の透過率のより詳細なデータを後に示す。
【0017】
その他、印刷層13には、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、硬化剤、硬化促進剤または硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
印刷層13の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インキジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には前記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービームまたは電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、またはこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
【0018】
また、印刷層13の形成に先立ち、必要に応じて、熱可塑性樹脂基材層11の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカーまたはプライマー処理等の表面処理を施すことによって、熱可塑性樹脂基材層11と印刷層13との間の密着性を向上することもできる。
印刷層13が構成する絵柄の種類には特に制限はなく、従来より化粧シートの分野において広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であってもよく、要するに、目的の化粧シートの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
【0019】
〈透明艶調性層〉
本実施形態の透明艶調性層15は、化粧シート3の表面の光沢を調整するための層である。透明艶調性層15の樹脂成分(バインダー)としては、各種の透明熱可塑性樹脂層との接着の汎用性、化粧シート3を導管溝内へ彎曲させる際の変形追従性、及び耐擦傷性の点から、2液硬化型ウレタン樹脂が選択される。透明艶調性層15は、所望の艶に応じて艶調整剤(マット剤或いは艶消剤とも呼ばれる)を添加或いは無添加とした組成物を塗工して得られる。艶調整剤は、表面を高光沢とする場合に添加されず、低光沢とする場合には添加される。艶調整剤としては、シリカ、アルミナ(α−アルミナ等)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリナイト、アルミノシリケート等の無機物、或いはポリカーボネート、ナイロン、ウレタン樹脂等の有機物(樹脂)の微粒子が使用される。艶調整剤の平均粒径は、1μm〜10μm程度が好ましく、添加量は所望の光沢に応じて適宜選択されるが、通常は最大で30質量部程度である。
【0020】
2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主体とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。
【0021】
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。また、このような各種イソシアネートの付加体または多量体を用いることができる。付加体または多量体としては、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。
【0022】
なお、イソシアネートにおいて、脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートは耐候性、耐熱黄変性も良好にできる点で好ましく、具体的には例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が使用できる。
透明艶調性層15の艶は、各艶調整剤を添加し、マット部分を反射光沢係数値で3から5程度とするのが意匠的に好ましい。
【0023】
〈凸部〉
本実施形態の凸部17は、電離放射線硬化型樹脂からなり、高さが30μm以上100μm以下であり、凸部17同士の間隔が1mm以上2mm以下である。また、凸部17の電離放射線硬化型樹脂には、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して粒径が3μm以上10μm以下の粒状粒子を20質量部以上30質量部以下含有したものが用いられる。
【0024】
電離放射線硬化型樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、電離放射線または紫外線硬化性樹脂組成物として慣用されている公知の重合性モノマー、重合性オリゴマー及びプレポリマーの中から適宜選択された部材が用いられる。
【0025】
具体的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートまたはメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で用いられるものであってもよいし、2種以上が組み合わせて用いられるものであってもよい。
【0026】
本実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本実施形態の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等がある。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0029】
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
【0030】
本実施形態は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に含有される粒状粒子として、樹脂等の有機系、ガラスやシリカ等の無機系の粒子を使用する。粒子は、特に限定はされないが、特には手触り感と耐汚染性の点から真球状のアクリルビーズが好適である。電離放射線硬化型樹脂の粒子含有のプロセスにおいて、粒子の含有量が20質量部より少ないと、手触り感があまり感じられないものとなり、30質量部より多いと耐汚染性が悪くなる傾向がある。そして、粒径が3μmより小さいと、手触り感があまり感じられないものとなり、10μmより大きいと耐汚染性が悪くなる傾向がある。
【0031】
また、本実施形態は、凸部17に、所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が使用される。
また、本実施形態の凸部17の上面視の形状は、特に限定されず、丸、四角形、6角形の規則的に並んだような定形の形状でも、不定型な絵柄であってもよく、不定型な絵柄であると触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましい。また凸部17を印刷層17の絵柄模様と同調させることにより、絵柄のリアル感が得られる。
【0032】
本発明では、凸部17が反応型シリコーン樹脂を10質量部以上50質量部以下含有することが好ましい。反応型シリコーン樹脂としては、主鎖にシリコン骨格をもった材料、剥型剤等に使用されるシリコーンオイル、等が挙げられるが、特には耐汚染性の点から側鎖にシリコン骨格をもった紫外線効果型アクリレート樹脂が好適である。このような条件は、反応型シリコーン樹脂の含有量が10質量部より少ないと耐汚染性が悪くなる傾向があり、50質量部より多いとシリコンのブリードアウトによる基材との接着不良等の不具合が起こる可能性があることによって規定される。
また、反応型シリコーン樹脂は、後述する耐汚染薄膜コーティング樹脂層19に用いられる樹脂と同様ものであれば、化粧シート3表面全体が同様の樹脂からなり、好ましいものとなる。
【0033】
〈耐汚染薄膜〉
本実施形態の耐汚染薄膜19は、コーティング樹脂を材料とする厚さが0.5μm以上1.5μm以下の薄膜である。コーティング樹脂は、特に限定されるものではないが、ブロックイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。また、厚さに関しては、0.5μmより薄いと十分な耐汚染の効果が得られず、1.5μmより厚いと立体感と意匠性を損なうものとなる。
【0034】
(基材)
基材20は、表面に化粧シート3を貼着(ラミネート)して使用するものである。基材20には、金属系基材や木質系基材等の各種材料のものがある。金属系基材としては、アルポリック材がある。アルポリック材は、塗装や鏡面仕上げ等の表面加工処理が施された金属板で樹脂材を挟んだアルミ樹脂複合板である。金属板としては、アルミ、ガルバリウム鋼板、ステンレス及びチタン等が使用される。また、樹脂材としては、ポリエチレン単体、あるいはポリエチレンに無機材を加えたもの等が使用される。
また、木質系基材としては、例えば、MDF(medium density fiberboard)や合板、パーチクルボード等が使用される。
基材20へのシート3の貼り付けには、例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用される。
【0035】
(接着層)
接着層21としては、床用化粧シートと基材との貼り合わせに使用される公知の接着剤であれば、どのようなものを用いてもよい。また、本実施形態では、例えば、反応性ホットメルト系の接着剤を使用して接着層21を形成することができる。特に、反応性ホットメルト系の接着剤のうち、2液タイプのポリウレタンの接着剤を用いて接着層21を形成してもよい。このような接着層21のうち、本実施形態では、特に、一般社団法人日本壁装協会の規定による不燃認定を受けている部材を用いることが望ましい。
【0036】
接着層21は、紫外線吸収剤や光安定剤等を含有するものであってもよい。また、接着層21の厚みは、5μm〜50μm程度が好ましい。
以上説明した本実施形態によれば、黒色顔料としてペリレン系の黒色顔料を用いたため、印刷層13における光の透過率が既存の化粧シートよりも高まる。印刷層13を透過した赤外光は熱可塑性樹脂基材層11で反射されるため、基材20に熱が伝わらず、基材20の蓄熱を防ぐことができる。そして、基材20の蓄熱を防ぐことにより、太陽光に曝される等の環境で使用しても反り等が発生し難い化粧材1を得ることができる。
【0037】
また、本実施形態は、電離放射線硬化型樹脂からなる凸部17に粒径と割合を限定した粒状粒子を含有することで、視覚的及び触感的に優れた立体感と手触り感を有し、かつ表面の耐汚染性等に優れた化粧シート3を提供することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0038】
また、実施形態中の図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は上記説明を参酌して判断すべきものである。
【実施例】
【0039】
次に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1では、ポリブチレンテレフタラート樹脂100質量部に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を3質量部、紫外線吸収剤を1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤を1質量部、酸化チタンを23質量部添加して、厚み75μmの熱可塑性樹脂基材層を作製した。
【0040】
次に、実施例1では、熱可塑性樹脂基材層の表面に印刷層を形成した。印刷層は、木目柄をグラビア印刷にて印刷することによって作製された。印刷のインキには、ウレタン樹脂と塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂を7:3の割合で混合したもの100質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートを2:8の割合で混合した硬化剤を3質量部添加し、イソインドリノン、ポリアゾ、フタロシアニン及びペリレンブラックからなる顔料を3質量部添加したものが使用された。
【0041】
印刷層の乾燥後、印刷層の表面に透明艶調整層を形成した。透明艶調整層は、シリカ粉末を添加して艶を低く調整し、反応型シリコーン樹脂を20質量部と、適量の紫外線開始剤とを添加した紫外線硬化型樹脂を乾燥後の塗布量が10g/m
2となるように塗工することによって作製された。実施例1で作製された透明艶調整層の反射光沢係数は4であった。
【0042】
透明艶調整層の架橋硬化後、実施例1では、耐汚染薄膜コーティング樹脂層を作製した。耐汚染薄膜コーティング樹脂層は、ブロックイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂を乾燥後の塗布量が1g/m
2となるように塗工することによって作製された。耐汚染薄膜コーティング樹脂層の乾燥後、電離放射線硬化型樹脂製の凸部を作製した。凸部は、印刷層の絵柄と同調する絵柄模様の印刷版で、凸部の高さが30μm、凸部同士の間隔が1mmとなるように盛上げ印刷を行うことにより作製された。
盛上げ印刷に使用されたインキは、紫外線硬化型樹脂100質量部に粒径5μmのウレタンビーズを30質量部、反応型シリコーン添加剤を20質量部添加して作製された。以上の工程により、実施例1の化粧シートが作製された。
【0043】
[実施例2]
実施例2の化粧シートは、凸部となる電離放射線硬化型樹脂のウレタンビーズの含有量に係る条件以外は実施例1の化粧シートと同じ条件で製造された。実施例2の化粧シートの凸部は、粒径5μmのウレタンビーズを20質量部含有している。
[比較例1]
比較例1の化粧シートは、印刷層の黒色顔料に係る条件以外は実施例1の化粧シートと同じ条件で製造された。比較例1の化粧シートは、インキ層の黒色顔料として、カーボンブラックを使用している。
【0044】
[比較例2]
比較例2の化粧シートは、凸部となる電離放射線硬化型樹脂のウレタンビーズの含有量に係る条件以外は実施例1の化粧シートと同じ条件で製造された。比較例2の化粧シートの凸部は、粒径5μmのウレタンビーズを5質量部含有している。
[比較例3]
比較例3の化粧シートは、凸部となる電離放射線硬化型樹脂のウレタンビーズの含有量に係る条件以外は実施例1の化粧シートと同じ条件で製造された。比較例3の化粧シートの凸部は、粒径5μmのウレタンビーズを40質量部含有している。
【0045】
[評価]
本発明の発明者らは、上記実施例1、実施例2及び比較例1から比較例3について、それぞれ感触、耐汚染性、遮熱性能及び蓄熱性能を評価した。
〈感触〉
本発明の発明者らは、感触(手触り感)をブラインド評価により行った。ブラインド評価は、評価者が化粧シートを見ることができない状態において行われた。そして、評価者が実施例1、実施例2及び比較例1から比較例3の化粧シート3の表面と、感触評価のために作製された評価用の化粧シートの表面とを触り、手触り感に違いが感じられた場合に「〇」と評価し、手触りの違いが感じられなかった場合に「×」と評価した。評価用の化粧シートは、ウレタンビーズに係る条件以外は実施例1の化粧シートと同じ条件で製造された。評価用の化粧シートは、凸部の電離放射線硬化型樹脂がウレタンビーズを含有していない。
【0046】
〈耐汚染性〉
耐汚染性の評価は、化粧シートの表面の一部を油性の黒色マーカーで塗り、黒色マーカーが塗られた部分をティッシュペーパでふき取ることによって行われた。そして、簡単に黒色マーカーが拭き取れた場合を「○」と評価し、拭き残しが発生した場合を「×」と評価した。
【0047】
〈遮熱性能〉
本発明の発明者らは、遮熱性能を、JIS規格、K5602に規定された塗膜の日射反射率の測定方法を用いて測定した。測定は、株式会社島津製作所製分光光度計UV3600(製品名)によって行われた。そして、JIS規格、K5602の規定により、塗膜の日射反射率が40%以上であれば「〇」と評価し、40%以下であれば「×」と評価した。
【0048】
〈蓄熱性能〉
蓄熱性能の評価では、本発明の発明者らは、縦21cm、横29.7cm、厚みが0.5mmの無塗装鋼板の片側の表面に接着剤を用いて化粧シートを貼り合わせ、試験片を作製した。そして、試験片表面の真上であって、表面から15cm離れた位置にハロゲン球を設置し、120分間ハロゲン光を照射しながら試験片の表面と裏面の温度を1分毎に測定し、その最高温度を記録した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1は、上記遮熱性能、蓄熱性能及び耐候性の評価をまとめて示している。表1によれば、黒色顔料としてペリレンブラックを用いた実施例1、実施例2、比較例2及び比較例3の化粧シートは、60℃から62℃になったのに対し、比較例1の試験片は71℃にまで温度が上昇した。このような差異は、実施例1、実施例2、比較例2及び比較例3がペリレン系の黒色顔料を使用しているのに対し、比較例1は黒色顔料としてカーボンブラックを使用しているために生じたと考えられる。
【0051】
また、凸部が紫外線硬化型樹脂100質量部にウレタンビーズを30質量部含む実施例1は、感触及び耐汚染性の両方で「○」と評価された。また、凸部が紫外線硬化型樹脂100質量部にウレタンビーズを20質量部含む実施例2は、感触及び耐汚染性の両方で「○」と評価された。一方、凸部が紫外線硬化型樹脂100質量部にウレタンビーズを5質量部含む比較例2は、感触の点で「×」と評価されている。このような評価は、比較例2の凸部に含まれるウレタンビーズが適正な量よりも少ないために生じたものと考える。
さらに、凸部が紫外線硬化型樹脂100質量部にウレタンビーズを40質量部含む比較例3は、耐汚染性の点で「×」と評価されている。このような評価は、比較例3の凸部に含まれるウレタンビーズが適正な量よりも多いために生じたものと考える。