【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2のようなチルト装置付き車両用シートにおいて、例えば、チルト装置を持たない車両用シートとのフレーム共用化を果たすことができれば、コスト削減や組み付け作業の効率化につながる。
また、フレーム共用化を目指すにあたり、チルト装置の有無に関わらず着座者の座面位置を統一することができれば、シート全体の部品共用化を達成することができ、着座者の着座感も良好なものとなる。
そこで、車両用シートの仕様や種類によらず、シートフレームの共用化を果たすことが可能な車両用シート、特にチルト装置付きの車両用シートが望まれていた。
【0007】
また、特許文献1、2のようなチルト装置付き車両用シートにおいて、チルト装置の組み付け剛性を一層向上させると共に、チルト装置の組み付け位置を工夫することでコンパクトな配置を実現したものが求められていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、車両用シートの仕様や種類によらず、シートフレームの共用化を果たすことが可能な車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、シートフレームの共用化を目指すにあたり、チルト装置の有無に関わらず着座者の座面位置を統一することが可能な車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、チルト装置の組み付け剛性を向上させ、チルト装置のコンパクトな配置を実現した車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の車両用シートによれば、着座部の骨格となるクッションフレームを備え、該クッションフレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、シート前後方向に延びているサイドフレームと、左右の該サイドフレームの間に架け渡され、プレート状からなるパンフレームと、を有し、前記サイドフレームと前記パンフレームとの連結部分の間には、前記パンフレームを支持するための支持ブラケットが介在し、前記サイドフレームのうち、前記連結部分において前記パンフレームを支持するための支持面には、前記支持ブラケットを収納するための収納凹部が所定位置に形成されていること、により解決される。
上記のように、サイドフレームのうち、パンフレームを支持するための支持面には、支持ブラケットを収納するための収納凹部が所定位置に形成されているため、車両用シートの仕様や種類に応じて支持ブラケットを取り外すことがあった場合にも、シートフレーム全体の組み付け位置を変更することなく、フレーム共用化を果たすことができる。
また、支持ブラケットの有無に関わらず着座者の座面位置を統一することができる。
さらに、サイドフレームの連結部分のうち、所定位置に凹部形状を形成することで、サイドフレームの剛性向上が期待できる。
【0010】
このとき、前記支持ブラケットは、前記サイドフレームに対して回転可能に取り付けられ、上下方向に回転移動することで前記パンフレームを昇降させるためのチルトブラケットであると良い。
上記構成により、チルトブラケット(チルト装置)の有無に関わらず、着座者の座面位置を統一することが可能な車両用シートを実現できる。
また、チルトブラケットを収納凹部に収納することで、チルトブラケット(チルト装置)のコンパクトな配置を実現できる。
【0011】
このとき、前記収納凹部は、前記サイドフレームの前記支持面となる上面に形成され、前記パンフレームのシート幅方向における端部分が、上下方向において前記支持面と、前記収納凹部に収納された前記支持ブラケットの上面とに当接可能な位置に配置されていると良い。
上記構成により、パンフレームが、上下方向においてサイドフレームと支持ブラケットとの両方によって支持されるため、パンフレームの組み付け剛性が向上する。
【0012】
このとき、前記収納凹部は、シート前後方向において所定の間隔を空けて複数形成され、前記支持面と交互に並ぶように配置されていると良い。
上記構成により、車両用シートの仕様に応じて支持ブラケットを取り外した場合にも、パンフレームがサイドフレームによってバランス良く支持される。
また、収納凹部が間隔を空けて複数形成されているため、支持ブラケットが各収納凹部に収納されて組み付けられることで、支持ブラケットの組み付け剛性を高められる。
【0013】
このとき、前記支持ブラケットは、前記サイドフレームの上面に載置される上壁部と、該上壁部のシート幅方向における端部分から下方に向かって屈曲し、前記サイドフレームの側面と対向しながら延びている側壁部と、を有し、該側壁部の後方部分が、前記サイドフレームの側面に回転軸を介して取り付けられていると良い。
上記構成により、支持ブラケットがサイドフレームに沿わせた形状を有しているため、支持ブラケットのサイドフレームに対する組み付け剛性を高められる。
【0014】
このとき、前記収納凹部は、前記サイドフレームの上面に形成され、前記上壁部を収納するための第1収納凹部と、該第1収納凹部に隣接して設けられ、前記サイドフレームの側面に形成され、前記側壁部を収納するための第2収納凹部と、を有していると良い。
上記構成により、支持ブラケットを第1、第2収納凹部に収納することで、支持ブラケットを上下方向及びシート幅方向においてコンパクトに配置することができる。
【0015】
このとき、前記側壁部のうち、前記回転軸を介して前記サイドフレームに取り付けられた部分は、シート前後方向において前記サイドフレームのうち、前記
第1収納凹部が形成された部分と異なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、サイドフレームの側面において支持ブラケットが取り付けられる部分の面積を確保し易くなるため、支持ブラケットの組み付け剛性を高められる。
【0016】
このとき、前記側壁部は、シート幅方向において前記サイドフレームの外側面と対向しながら延びていると良い。
上記構成により、パンフレームに着座荷重が掛かったときに、支持ブラケット及びサイドフレームがパンフレームを安定して支持できる。
【0017】
このとき、前記支持ブラケットは、チルトブラケットであって、前記サイドフレームに対して前記チルトブラケットを上下方向に回転移動させることで前記パンフレームを昇降させることが可能なチルト装置を備え、該チルト装置は、シート幅方向において前記サイドフレームの内側に配置される駆動ユニットと、該駆動ユニットと前記チルトブラケットの間に介在し、該チルトブラケットを上下方向に回転させるために駆動する駆動リンクと、を有し、該駆動リンクは、一端側が前記駆動ユニットに対して取り付けられ、他端側が前記サイドフレームの側面に形成された貫通穴を通過して外側に突出し、前記チルトブラケットの前記側壁部に取り付けられていると良い。
上記のように、チルト装置の本体部分となる駆動ユニットが、シート幅方向の外側に張り出すことなく、左右のサイドフレームの間に配置されているため、チルト装置をコンパクトに配置できる。
【0018】
このとき、前記サイドフレームにおいて前記貫通穴が形成された部分は、シート前後方向において前記
第1収納凹部が形成された部分と異なる位置に配置されていると良い。
上記のように貫通穴の形成位置を工夫することで、サイドフレームのうち、収納凹部周辺の剛性低下を抑制できる。
【0019】
このとき、前記パンフレームのうち、前記連結部分の所定位置には、上下方向に貫通した開口孔が形成され、該開口孔が形成された部分は、シート前後方向において前記サイドフレームの前記支持面のうち、前記
第1収納凹部が形成された部分と異なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、例えば仕様に応じて支持ブラケット(チルトブラケット)を不要とした場合には、パンフレームの開口孔を利用してパンフレームとサイドフレームとを接着剤や溶接で容易に接合できる。
また、例えばチルトブラケットが取り付けられる仕様であっても、チルトブラケットがパンフレームを安定して昇降させることができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、車両用シートの仕様や種類に応じて支持ブラケットを取り外すことがあった場合にも、シートフレーム全体の組み付け位置を変更することなく、フレーム共用化を果たせる。また、支持ブラケットの有無に関わらず着座者の座面位置を統一できる。また、サイドフレームの剛性向上が期待できる。
請求項2の発明によれば、チルトブラケット(チルト装置)の有無に関わらず、着座者の座面位置を統一できる。また、チルト装置のコンパクトな配置を実現できる。
請求項3の発明によれば、パンフレームの組み付け剛性が向上する。
【0021】
請求項4、5の発明によれば、車両用シートの仕様に応じて支持ブラケットを取り外した場合にも、パンフレームがサイドフレームによってバランス良く支持される。また、支持ブラケットの組み付け剛性を高められる。
請求項6の発明によれば、支持ブラケットを上下方向及びシート幅方向においてコンパクトに配置できる。
請求項7の発明によれば、支持ブラケットの組み付け剛性を高められる。
【0022】
請求項8の発明によれば、支持ブラケット及びサイドフレームがパンフレームを安定して支持できる。
請求項9の発明によれば、チルト装置をコンパクトに配置できる。
請求項10の発明によれば、サイドフレームの収納凹部周辺の剛性低下を抑制できる。
請求項11の発明によれば、仕様に応じてチルトブラケットを不要とした場合には、パンフレームの開口孔を利用してパンフレームとサイドフレームを接着剤等で容易に接合できる。また、チルトブラケット有りの仕様であっても、チルトブラケットがパンフレームを安定して昇降させることができる。