特許第6586777号(P6586777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586777
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】打込機
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/06 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   B25C1/06
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-107740(P2015-107740)
(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公開番号】特開2016-221595(P2016-221595A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴士
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 穣
(72)【発明者】
【氏名】遠田 潤
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−090506(JP,A)
【文献】 特開2011−136410(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/010634(WO,A1)
【文献】 特開2009−172762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバブレードを往復動可能に支持するハウジングと、
前記ハウジング内に形成され、かつ、前記ドライバブレードを空気圧で移動させる蓄圧室と、
前記ドライバブレードを前記蓄圧室の空気圧に抗して移動させるモータと、
前記蓄圧室の空気圧で移動する前記ドライバブレードが打撃する止具が供給されるノーズ部と、
前記ノーズ部に供給する前記止具を収容し、かつ、前記ドライバブレードが沿って動作する中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記中心線に対して交差する方向に延ばされたマガジンと、
前記ハウジングに接続され、かつ、前記中心線を含む前記ハウジングの側面視及び前記中心線に対して垂直な平面視で、前記中心線に対して交差する方向に延ばされたハンドルと、
前記中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記ハンドルにおける前記ハウジングとは反対側の端部に着脱可能であり、かつ、前記ハンドルの端部装着部に取り付けられ、前記モータに電力を供給するバッテリと、
前記中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記ハウジングの外面から前記中心線に対して交差する方向に延ばされ、かつ、前記モータを収納するモータケースと、
を備えた打込機であって、
前記モータにより回転され、かつ、ピニオンを有する回転部材と、
前記ドライバブレードに設けられて前記ピニオンが係合及び離脱可能であり、かつ、前記ピニオンが係合すると前記ドライバブレードを前記蓄圧室の空気圧に抗して移動させるラックと、
前記中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記マガジンと前記バッテリとがオーバーラップして配置され、
前記中心線に対して垂直な前記ハウジングの平面視で、前記マガジンが前記ハンドルに対してオフセットして配置され、かつ、前記モータの回転中心を表す回転中心線及び前記バッテリは、前記マガジンが前記ハンドルに対して配置されている側とは反対側にオフセットして配置され、
前記中心線に対して垂直な前記ハウジングの平面視で、前記回転中心線と、前記中心線と交差し、かつ、前記ハンドルにおいて前記ハウジングから前記バッテリに向けて配置されたハンドル中心線とが、略平行に配置されている、打込機。
【請求項2】
前記ハンドルにおける前記ハウジングとは反対側の端部に装着部が設けられ、
前記バッテリは、前記装着部に着脱可能である、請求項1記載の打込機。
【請求項3】
作業者により操作される表示部が、前記モータケースの前記ハンドル側の表面に配置されている、請求項1または2記載の打込機。
【請求項4】
前記装着部と前記モータケースとが接続され、
作業者により操作される表示部が、前記装着部と前記モータケースとの結合部に配置されている、請求項1または2記載の打込機。
【請求項5】
作業者により操作される表示部が、前記ハウジングと前記モータケースとの結合部に配置されている、請求項1または2記載の打込機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マガジンから供給される止具を打撃機構の力で被打込部材へ打ち込む打込機に関する。
【背景技術】
【0002】
マガジンから供給される止具を打撃機構の力で被打込部材へ打ち込む打込機が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された打込機は、ハウジングと、ハウジング内に設けた打撃機構と、打撃機構により打撃されるドライバブレードと、打撃機構を動作させる電動モータと、ハウジングに連続して形成されたハンドルと、ハンドルに設けた電力供給部と、ハウジングに固定されたノーズ部と、ノーズ部に取り付けられたマガジンと、を有する。
【0003】
電力供給部から電動モータに電力が供給され、電動モータの出力軸が回転する。打撃機構は、モータギヤ、フライホイール、コイルスプリングを備えている。マガジン内に止具が収容され、止具はノーズ部へ供給される。ノーズ部にコンタクト部が設けられている。また、ハンドルにトリガが設けられている。
【0004】
コンタクト部が被打込部材へ押し付けられ、かつ、トリガに操作力が加えられると、モータが回転する。電動モータの動力は打撃機構を介してドライバブレードに伝達され、ドライバブレードは、コイルスプリングの弾性力に抗して、ノーズ部から離れる向きで動作する。モータの動力がドライバブレードに伝達されなくなると、コイルスプリングの弾性力でドライバブレードが止具を打撃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−119780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された打込機は、ドライバブレードの動作軸に対して交差する平面視で、電力供給部の側方にマガジンの一部が配置されており、ハンドルの幅方向に、打込機が大型化する問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ハンドルの幅方向に大型化することを抑制可能な打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の発明は、ドライバブレードを往復動可能に支持するハウジングと、前記ハウジング内に形成され、かつ、前記ドライバブレードを空気圧で移動させる蓄圧室と、前記ドライバブレードを前記蓄圧室の空気圧に抗して移動させるモータと、前記蓄圧室の空気圧で移動する前記ドライバブレードが打撃する止具が供給されるノーズ部と、前記ノーズ部に供給する前記止具を収容し、かつ、前記ドライバブレードが沿って動作する中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記中心線に対して交差する方向に延ばされたマガジンと、前記ハウジングに接続され、かつ、前記中心線を含む前記ハウジングの側面視及び前記中心線に対して垂直な平面視で、前記中心線に対して交差する方向に延ばされたハンドルと、前記中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記ハンドルにおける前記ハウジングとは反対側の端部に着脱可能であり、かつ、前記ハンドルの端部装着部に取り付けられ、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記ハウジングの外面から前記中心線に対して交差する方向に延ばされ、かつ、前記モータを収納するモータケースと、を備えた打込機であって、前記モータにより回転され、かつ、ピニオンを有する回転部材と、前記ドライバブレードに設けられて前記ピニオンが係合及び離脱可能であり、かつ、前記ピニオンが係合すると前記ドライバブレードを前記蓄圧室の空気圧に抗して移動させるラックと、前記中心線を含む前記ハウジングの側面視で、前記マガジンと前記バッテリとがオーバーラップして配置され、前記中心線に対して垂直な前記ハウジングの平面視で、前記マガジンが前記ハンドルに対してオフセッ
トして配置され、かつ、前記モータの回転中心を表す回転中心線及び前記バッテリは、前記マガジンが前記ハンドルに対して配置されている側とは反対側にオフセットして配置され、前記中心線に対して垂直な前記ハウジングの平面視で、前記回転中心線と、前記中心線と交差し、かつ、前記ハンドルにおいて前記ハウジングから前記バッテリに向けて配置されたハンドル中心線とが、略平行に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態の発明は、マガジンとバッテリとをオーバーラップして配置し、モータ及びバッテリは、マガジンがハンドルに対して配置されている側とは反対側にオフセットして配置されているため、ハンドルの幅方向に打込機が大型化することを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態である打込機の正面図である。
図2図1に示す打込機の左側面図である。
図3図1に示す打込機の右側面図である。
図4図1に示す打込機の平面図である。
図5図1に示す打込機の底面図である。
図6】打込機に設ける操作パネルの配置例を示す左側面図である。
図7図6に示す打込機の斜視図である。
図8】打込機に設ける操作パネルを表す図である。
図9】打込機に設ける操作パネルの他の配置例を示す左側面図である。
図10図9に示す打込機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。それぞれの図において、共通する部材には同一の符号が付されている。
【0012】
図1図5に示す打込機10は、ハウジング11と、ハウジング11の下方に配置されたノーズ部12と、ハウジング11に連続して設けられたハンドル13と、ハウジング11に連続して設けられたモータケース14と、ノーズ部12に取り付けられたマガジン15と、を備えている。
【0013】
ハウジング11内にシリンダ16が収容され、シリンダ16内にピストン17が往復動可能に設けられている。ピストン17は、シリンダ16の第5中心線A5方向に移動可能である。第5中心線A5はピストン17の中心を通る仮想線である。ハウジング11内にバンパが設けられている。ハウジング11の開口部を覆うカバー47が設けられ、カバー47内に蓄圧容器18が設けられている。蓄圧容器18は、シリンダ16の第5中心線A5方向の端部に固定されている。シリンダ16内から蓄圧容器18内に亘って、蓄圧室B1が形成されている。ピストン17は、蓄圧室B1の圧力を受けてノーズ部12へ向けて押される。ピストン17にドライバブレード19が連結されている。ノーズ部12に射出口が設けられ、ドライバブレード19は、射出口内で第5中心線A5方向に動作可能である。
【0014】
図4のように、マガジン15内に釘20が収容され、釘20は第4中心線A4に沿って1列に並べられている。釘20は、軸部と頭部とを有する。打込機10の平面視で、第4中心線A4は、マガジン15の幅方向における中央を通る仮想線である。図3のように、マガジン15に送り機構21が設けられており、送り機構21は、釘20を射出口へ1本ずつ供給する。釘20は第4中心線A4に沿って直線状に送られる。図3のように、打込機10を側面視すると、マガジン15の高さ方向の中心線A7と、第5中心線A5との間に形成される角度は90度ではない。また、図3のように、打込機10を側面視すると、マガジン15は、ハンドル13に対して斜めに配置されている。第1中心線A1は、ハンドル13の幅方向の中心を通る仮想線である。つまり、図3に示す打込機10において、中心線A7は、第1中心線A1に対して傾斜している。図3は、第1中心線A1及び第5中心線A5を含む側面視で打込機10を表している。なお、マガジン15の高さ方向は、収容した釘20の長さ方向と同じである。
【0015】
さらに、図4のように、打込機10を平面視すると、マガジン15は、ハンドル13に対して斜めに配置されている。つまり、第4中心線A4は、第1中心線A1に対して傾斜している。図4は、第5中心線A5に対して垂直な平面視で、打込機10を表している。
【0016】
モータケース14内に電動モータ22が収納されている。電動モータ22は、モータケース14に対して固定されたステータ23と、モータケース14内で回転可能なロータ24と、を有する。電動モータ22は、ブラシレスモータであり、ステータ23は通電用のコイルを有する。ロータ24は、出力軸25に固定されており、ロータ24に永久磁石が取り付けられている。モータケース14内に減速機26が設けられている。減速機26は、複数組の遊星歯車機構で構成されている。減速機26から伝達される動力を、ドライバブレード19に伝達する動力変換機構27が設けられている。動力変換機構27は、減速機26の駆動軸28に固定された回転部材29と、回転部材29に設けたピニオン30と、を有する。動力変換機構27は、リフト機構と呼ぶことも可能である。
【0017】
図1のように、ドライバブレード19にラック31が設けられており、ピニオン30はラック31へ係合及び離脱が可能である。図2のように、電動モータ22及び減速機26及び駆動軸28の第2中心線A2は、共通の中心線である。第2中心線A2は、出力軸25及び減速機26の回転要素及び駆動軸28の回転中心となる仮想線である。また、第2中心線A2と第5中心線A5とが90度の角度で交差する。モータケース14は、第2中心線A2方向の第1端部がハウジング11へ接続され、かつ、第2中心線A2方向の第2端部が装着部32へ接続されている。打込機10を正面視する図1において、第2中心線A2は、第5中心線A5からオフセットした位置にある。
【0018】
ハンドル13は、図2のように、ハウジング11の外面から、第5中心線A5と交差する方向に延ばされており、ハンドル13の第1中心線A1は、第5中心線A5に対して90度の角度で交差する。打込機10を側面視した図2において、第1中心線A1と第2中心線A2とは、互いに平行である。ハンドル13においてハウジング11とは反対側の端部に装着部32が設けられている。図2に示す打込機10の側面視で、装着部32は、ハンドル13とモータケース14との間に設けられている。このため、モータケース14とハンドル13とハウジング11と装着部32との間に、四角形、つまり、台形の空間が形成されている。そして、装着部32にバッテリ33が取り付けられている。バッテリ33は、装着部32へ着脱可能であり、バッテリ33は、収容ケース34と、収容ケース34内に収容した複数の電池セル35と、を有する。電池セル35はリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池などからなる二次電池である。
【0019】
電池セル35は円柱形状であり、図4のように、電池セル35の径方向に第3中心線A3が位置する。複数の電池セル35は、第3中心線A3方向に2段に並べられている。第3中心線A3は、装着部32及び収容ケース34の幅方向の中央を通る仮想線である。つまり、第3中心線A3は、バッテリ33及び装着部32で共通である。収容ケース34の幅方向は、電池セル35の長さ方向と同じである。収容ケース34内から収容ケース34の外部に亘って、第1端子34Aが設けられている。第1端子34Aは、リード線を介して各電池セル35へ接続されている。装着部32に第2端子32Aが固定されており、バッテリ33を装着部32へ取り付けると、第1端子34Aと第2端子32Aとが接続される。
【0020】
装着部32内に制御基板36が設けられ、制御基板36に制御回路が設けられている、制御回路は、コントローラ及びインバータ回路を含む。第2端子32Aは、リード線を介して制御基板36に接続されている。ハンドル13にトリガ37が設けられ、ハンドル13内にトリガスイッチ38が設けられている。トリガスイッチ38は、トリガ37の操作によりオンオフされ、トリガスイッチ38の信号は、コントローラへ入力される。
【0021】
図1図3のように、ノーズ部12にコンタクト部39が取り付けられており、コンタクト部39が被打込部材へ押し付けられたことを検出する押し付け検出スイッチが、ノーズ部12に設けられている。押し付け検出スイッチの信号は、コントローラへ入力される。また、ハウジング11またはモータケース14に操作パネルが設けられており、操作パネルは、作業者が操作する電源スイッチを有し、作業者が電源スイッチを操作すると、コントローラが起動または停止する。
【0022】
コントローラは、コンタクト部39が被打込部材から離れ、かつ、トリガ37の操作力が解除されている場合、電動モータ22を停止する。このため、ピストン17は蓄圧室B1の空気圧でダンパへ押し付けられ、ピストン17及びドライバブレード19は、下死点で停止している。
【0023】
次いで、コントローラは、コンタクト部39が被打込部材に押し付けられ、かつ、トリガ37に操作力が加えられていることを検出すると、インバータ回路を制御してステータ23への通電を制御し、電動モータ22を回転する。すると、電動モータ22のトルクが減速機26を介して回転部材29に伝達され、回転部材29が、図1で反時計方向に回転する。すると、ピニオン30がラック31と係合し、ピストン17及びドライバブレード19が上昇し、蓄圧室B1の圧力が上昇する。このように、電動モータ22は、ドライバブレード19を下死点から上死点に移動させる。そして、ピストン17が上死点に到達し、かつ、ピニオン30がラック31から外れると、蓄圧室B1の空気圧でピストン17が下死点に向けて動作し、ドライバブレード19が、射出口にある釘20を打撃する。このため、釘20は被打込部材へ打ち込まれる。また、ピストン17がバンパに衝突し、バンパは、ピストン17及びドライバブレード19の運動エネルギを吸収または低減する。なお、コントローラは、ピニオン30がラック31から外れた後に電動モータ22を停止し、次回の打撃操作に備える。
【0024】
次に、打込機10を構成する要素のレイアウトを説明する。打込機10を平面視する図4において、バッテリ33の第3中心線A3と、ハンドル13の第1中心線A1とは、互いに平行であり、かつ、第3中心線A3は第1中心線A1に対してオフセットした位置に配置されている。オフセットした位置とは、異なる位置という意味である。また、打込機10を平面視する図4において、第1中心線A1と第2中心線A2と第3中心線A3とは、互いに平行であり、バッテリ33の第3中心線A3は、第1中心線A1と第2中心線A2との間に配置されている。なお、バッテリ33の重心は、図4で第3中心線A3上に位置する。さらに、蓄圧容器18の外周面形状は円形であり、シリンダ16の第5中心線A5は、蓄圧容器18の中心A6から偏心した位置にある。
【0025】
打込機10を側面視した図2において、マガジン15の配置領域は、バッテリ33の配置領域及びモータケース14の配置領域及び装着部32の配置領域と重なっている。打込機10を側面視した図3において、マガジン15の配置領域は、バッテリ33の配置領域とが、オーバーラップしている。打込機10を平面視した図4において、マガジン15の配置領域は、ハンドル13及びバッテリ33の配置領域から外れた箇所にある。つまり、マガジン15は、モータケース14の側方、バッテリ33の側方、装着部32の側方に亘って配置されている。
【0026】
さらに、打込機10を平面視した図4において、マガジン15の第4中心線A4は、第5中心線A5と交差する。さらに、蓄圧容器18の中心A6は、第1中心線A1方向で、ハンドル13と第5中心線A5との間に配置されている。さらに、ドライバブレード19は、第5中心線A5を中心として往復動する。
【0027】
打込機10は、図4のように、バッテリ33の第3中心線A3が第2中心線A2と第1中心線A1との間に配置され、かつ、マガジン15の一部は、バッテリ33の側方に配置されている。つまり、電動モータ22及びバッテリ33が、第1中心線A1に対してオフセットされている位置は、マガジン15が、第1中心線A1に対してオフセットされている位置とは反対側である。このため、打込機10を平面視した図4において、第1中心線A1と第4中心線A4との間に形成される鋭角側の傾斜角度を、なるべく小さくできる。したがって、モータケース14の外面からマガジン15の外面までの全幅L1を、なるべく短くすることができる。全幅L1は、第1中心線A1に対して直角な方向の長さの最大値である。つまり、図4に示す打込機10の平面視で、ハンドル13の側面からマガジン15が突出する量が増加することを抑制できる。したがって、マガジン15が作業者の邪魔になることを回避できる。
【0028】
さらに、図4に示す打込機10の平面視で、モータケース14の外面と、カバー47の外面と、バッテリ33の収容ケース34の外面とが、概ね同一平面上に配置される。このため、打込機10を使用しない場合に、屋根や作業現場の床に仮置きする際に、モータケース14の外面と、カバー47の外面と、バッテリ33の収容ケース34の外面とが、3箇所で置き場所に接触し、打込機10がぐらつかずに安定した状態となる。
【0029】
さらに、図4のように、バッテリ33の第3中心線A3を第1中心線A1と第2中心線A2との間に配置し、かつ、マガジン15の一部は、バッテリ33の側方に配置されている。このため、バッテリ33とハウジング11との距離を、第1中心線A1方向でなるべく短くすることができる。特に、バッテリ33の配置領域の全部は、第1中心線A1方向でマガジン15の配置領域内にある。したがって、ハウジング11の外面からバッテリ33の外面までの全長L2を、なるべく短くすることができる。全長L2は、第1中心線A1方向の長さの最大値である。なお、全幅L1及び全長L2は、マガジン15とバッテリ33との接触を回避することを前提として、可能な限り別々に短くすることができる。
【0030】
また、マガジン15とバッテリ33とをオーバーラップして配置したことにより、図3に示すように、打込機10の全高L3を低くすることができる。全高L3は、第5中心線A5方向で、カバー47の上面から、下死点で停止しているドライバブレード19の先端までの長さである。これにより、打込機10をコンパクト化することができ、打込機10は、狭い場所での使い勝手が良くなり、打込機10は、狭い場所でも作業性良く釘打ちを行うことができる。
【0031】
打込機10は、各要素の寸法、重心の位置、等のファクターを考慮して、バランスよく配置することで、図4における打込機10の全幅L1及び全長L2を、最小化することができる。打込機10の全構成部品の中で、バッテリ33の質量比率は、他の部品の質量比率よりも大きく、そのバッテリ33の第3中心線A3の位置を、第1中心線A1に対してオフセットして配置することは、打込機10の全体における重心バランスの調整に有効である。
【0032】
次に、操作パネルの配置例を、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7において、図1図5と同じ構成については、図1図5と同じ符号を付してある。図7の打込機10では、バッテリ33が装着部32から取り外されている。図8は、操作パネル40の構成例を示す。操作パネル40は、ハウジング11とモータケース14との接続箇所、つまり、結合箇所の表面に設けられている。操作パネル40は、電源スイッチ41、単発モード・連発モード切替スイッチ42、表示ランプ43,44,45,46を有する。単発モードは、釘20を単発で打ち込むモードであり、連発モードは、釘20を連続で打ち込むモードである。表示ランプ43は、バッテリ33の電圧が制御回路へ印加されていると点灯し、バッテリ33の電圧が制御回路へ印加されていなければ消灯する。表示ランプ44は、連発モードが選択されていると点灯し、単発モードが選択されていると消灯する。表示ランプ45は、マガジン15に収容されている釘20の数が所定値を超えていると消灯し、釘20の数が所定値以下になると点灯する。表示ランプ46は、バッテリ33の放電残量が所定値を超えていると消灯し、バッテリ33の放電残量が所定値以下であると点灯する。
【0033】
次に、操作パネルの他の配置例を、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10において、図1図5図6図7と同じ構成については、図1図5図6図7と同じ符号を付してある。図9及び図10の操作パネル40は、図8の操作パネル40と同様に構成されている。図10では、バッテリ33が装着部32から取り外されている。図9及び図10では、操作パネル40が、モータケース14と装着部32との連結箇所、つまり、結合部の表面に設けられている。
【0034】
さらに、操作パネル40は装着部32の表面部32aに配置してもよい。図9に示す打込機10の側面視で、表面部32aは、装着部32において、第2中心線A2方向でハウジング11に最も近い箇所である。さらに、図9に示す打込機10の側面視で、モータケース14の表面部14aに操作パネル40を配置してもよい。モータケース14は円筒形状であり、表面部14aは、モータケース14の外表面のうち、第2中心線A2よりもハンドル13に近い箇所である。操作パネル40を、表面部32aまたは表面部14aに配置することで、打込機10が物に接触したりした時に、操作パネル40の破損を防止できる。また、作業者が打込機10を操作中に、操作パネル40の視認性を良好に確保できる。
【0035】
ここで、本実施形態で説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、釘20が、本発明の止具に相当し、ドライバブレード19が、本発明のドライバブレードに相当し、ハウジング11が、本発明のハウジングに相当し、打込機10が、本発明の打込機に相当し、ハンドル13が、本発明のハンドルとに相当し、電動モータ22が、本発明のモータに相当し、装着部32が、本発明の装着部に相当し、バッテリ33が、本発明のバッテリに相当し、マガジン15が、本発明のマガジンに相当する。
【0036】
第5中心線A5が、中心線に相当し、第2中心線A2が、回転中心線に相当し、中心線A1が、ハンドル中心線に相当する。図2図3及び図6に表す打込機10のハウジング11が、「ドライバブレードの移動方向を表す中心線を含むハウジングの側面視」に相当する。また、図4に表す打込機10のハウジング11が、中心線に対して垂直なハウジングの平面視に相当する。さらに、モータケース14が、本発明のモータケースに相当し、ノーズ部12が、本発明のノーズ部に相当し、操作パネル40が、本発明の表示部に相当する。
【0037】
本発明の打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ピストンに圧力を加える蓄圧室は、シリンダ及び蓄圧容器内に形成する構造の他、伸縮自在なベローズ内に蓄圧室を形成する構造を含む。ベローズ内に蓄圧室を形成する場合、筒形状のシリンダは設けなくてもよい。つまり、ベローズにピストンを固定し、そのピストンを往復動可能に支持するガイド部材を設ければよい。
【0039】
本発明の電動モータは、ブラシ付きモータ、または、ブラシレスモータの何れでもよい。また、電動モータは、直流電動モータまたは交流電動モータの何れでもよい。本発明の打込機で打撃される止具は、軸部のみで頭部の無い釘、コ字形の釘を含む。
【符号の説明】
【0040】
10…打込機、11…ハウジング、12…ノーズ部、13…ハンドル、14…モータケース、15…マガジン、19…ドライバブレード、20…釘、22…電動モータ、32…装着部、33…バッテリ、40…操作パネル、A1…第1中心線、A2…第2中心線、A3…第3中心線、A4…第4中心線、A5…第5中心線。
図1
図2
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図7
図8
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図10