特許第6586784号(P6586784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586784
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】レンジ用パウチ収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20191001BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20191001BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B65D81/34 U
   B65D5/42 F
   B65D5/54 301L
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-121070(P2015-121070)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-1739(P2017-1739A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石川 千雄
(72)【発明者】
【氏名】菱田 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】寺島 寛
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−227203(JP,A)
【文献】 特開2012−246056(JP,A)
【文献】 特開2015−009821(JP,A)
【文献】 特開2011−225266(JP,A)
【文献】 特開2002−166929(JP,A)
【文献】 特開2003−128054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 5/42
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジによって加熱調理可能なレンジ用パウチを内部に収納する紙箱であって、前記紙箱は、上面板と、前記上面板の左側端に上端が連続する左側面板と、前記上面板の右側端に上端が連続する右側面板と、前記左側面板の下端及び前記右側面板の下端に連続しかつ上面板に対向する底面板と、前記上面板の前端に連続する前面板と、前記上面板の後端に連続する後面板と、前記上面板と前記左側面板と前記右側面板とにわたって連続して繋がっておりかつ前面板寄りに配置されている開口易切断線と、を含み、
前記底面板は、前記開口易切断線に繋がるようにかつ直線状に延びる底折り曲げ線と、前記底折り曲げ線に重なるようにかつ破線状に連続して配置される複数の底切れ込み線と、を有し、
複数の前記底切れ込み線のうちの一部であって、前記左側面板および前記右側面板の近傍に設けられた前記底切れ込み線は、前記底面板の中央側の一端が前記底面板の後端に向かって曲げられた形状の曲がり切れ込み線であり、
前記曲がり切れ込み線の前記中央側とは反対側の一端は前記底折り曲げ線に重なり、前記中央側の一端は前記底折り曲げ線と重なっていない、ことを特徴とするレンジ用パウチ収納箱。
【請求項2】
前記曲がり切れ込み線は、複数の前記底切れ込み線のうち前記左側面板および前記右側面板に最も近い位置に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のレンジ用パウチ収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジ用パウチを紙箱に入れたまま、電子レンジで高周波加熱により調理可能なレンジ用パウチ収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
調理済みレトルトカレーのように、加熱するだけで賞味することができる食品類は、簡単に食事をとる事ができる為、近年、独身者のみならず、高齢者や、料理に時間をかけられない人々にとって、簡便に食事を取ることができる手段になっている。
このような食品は、カレー、シチュー、酢豚、ミートボール煮、八宝菜など、内部に水分が入っていて、水分が高周波でエネルギー準位をあげる励起現象を起こし、振動や回転をすることによって、周囲の他の成分もそのエネルギーが伝わることで、加熱調理される。加熱された水の一部は、蒸気となって膨張し、包装容器であるパウチを内部から押し広げる力となり、内部圧力が上昇し、丸く膨んでくる。
もし、そのままパウチ内部の圧力が上昇し、発生した蒸気が外部に逃げないとパウチが破裂し、高温になった内容物が飛び散るおそれがある。そこで、このような事が起きないよう、パウチには、蒸気抜き機能を設けている。
さらに、加熱が終了し、取り出す時にパウチが高温になっていて、加熱直後に取り出そうとすると、火傷を負うおそれなどがあった。
【0003】
このような事故が起きないように、このパウチを紙箱に入れてそのまま電子レンジで加熱できるようにすれば、より安全であり、電子レンジ内へ置く場合にも、はっきり表記し易いなどのメリットもある。
特に、紙箱の断熱性により、取り出す時に、熱くなく持ちやすいというメリットがある。
【0004】
このような電子レンジによるレトルト食品の紙箱に入れたまま行う加熱について、例えば、特許文献1では
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であり、
上壁と、前記上壁の左側端に上端が連続する左側壁と、前記上壁の右側端に上端が連続する右側壁と、前記左右側壁の下端に連続し、前記上壁に対向する下壁と、前記各壁の前端に続く前壁及び後端に続く後壁を含んでいて前記左右側壁間距離及び前記前後壁間距離より前記上下壁間距離が短い扁平形状を呈しており、
前記上壁は該上壁の前後端間の中間位置より上壁前端寄りの部位に形成された上壁後端側へ突出する円弧状に延びる中央破断用部、前記中央破断用部の左端から前記上壁の左側端へ延びる左破断用部、前記中央破断用部の右端から前記上壁の右側端へ延びる右破断用部及び前記中央破断用部より上壁前端寄りの部位に形成された、前記左右破断用部間に延びる上壁折り曲げ用部を有しており、
前記左側壁は前記上壁の左破断用部に続いて上下方向に延びる左側壁破断用部を有しており、
前記右側壁は前記上壁の右破断用部に続いて上下方向に延びる右側壁破断用部を有しており、
前記下壁は前記左右の側壁破断用部の下端間に延びる下壁折り曲げ用部を有していることを特徴とする食品密封収容袋包装箱を提案している。この食品密封収容袋包装箱は単純に箱の向きを確認して電子レンジに入れ、加熱できるので手間なく調理可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−246056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電子レンジ加熱時に、前側側壁と中央破断用部より上壁前端寄りの部位、左側壁破断用部より前端寄りの左側壁、右側壁破断用部より前端寄りの右側壁、下壁折り曲げ用部より前端寄りの下壁などで構成される枕部は、下壁折り曲げ用部で曲げても、反発して、元に戻ろうとする。
特に、(1)下壁折り曲げ用部で180度の曲げを行ってもそれ以上に曲げられないこと、(2)開口部近傍には電子レンジ用の蒸気抜き部があり、重心が後ろ側にあること、(3)パウチの入った包装箱全体が開口部を上側にして傾斜させることによって、レンジ用パウチが後ろ側に寄ってしまうこと、が要因となり、枕部の折り曲げ状態を安定的に確保できない。
また、枕部と周囲の連結部とを破断させる時、力がいるので、無理な力が入り過ぎて、下壁折り曲げ用部も合わせて破断してしまいがちであった。
さらに、食品密封収容袋包装箱を押さえながら加熱することは出来ないので、確実に下壁折り曲げ用部で180度折り曲げていないと、電子レンジで加熱中に枕部が、箱の下壁から外れて、パウチの入った包装箱全体の傾斜が確保できず、内容物が加熱時に沸騰して、勢いよく漏れ出すことが発生してしまうなどの問題を抱えていた。
【0007】
そこで、電子レンジ加熱時に、易破断用部を無理せずに、かつ、確実に破断し、枕部をしっかり折り曲げ、確実に開口側を上側になるように、レンジ用パウチ収納箱を傾斜できる収納箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子レンジによって加熱調理可能なレンジ用パウチを内部に収納する紙箱であって、
前記紙箱は、上面板と、前記上面板の左側端に上端が連続する左側面板と、前記上面板の右側端に上端が連続する右側面板と、前記左側面板の下端及び前記左側面板の下端に連続しかつ上面板に対向する底面板と、前記上面板の前端に連続する前面板と、前記上面板の後端に連続する後面板と、前記上面板と前記左側面板と前記右側面板とにわたって連続して繋がっておりかつ上面板寄りに配置されている開口易切断線と、を含み、
前記底面板は、前記開口易切断線に繋がる底折り曲げ線と、前記底折り曲げ線に重なるようにかつ破線状に配置された底切れ込み線と、を有し、
前記左側面板および前記右側面板の近傍に設けられた前記底切れ込み線は、前記底面板の中央側の一端が前記底面板の下端に向かうように傾斜している曲がり切れ込み線である、ことを特徴とするレンジ用パウチ収納箱である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレンジ用パウチ収納箱は、底面板に、開口易切断線に繋がる折り曲げ線と、折り曲げ線に重ねて破線状に切れ込み線を設けたので、枕部をしっかり折り曲げて、確実に開口側が上側になるよう、レンジ用パウチ収納箱の開口部を上側になるように傾斜できる。
この為、レンジ用パウチ収納箱の開口部前面板側の、前面板と開口易切断線より前面板寄りの上面板、開口易切断線より前面板寄りの左側面板、開口易切断線より前面板寄りの右側面板、底面折り曲げ線より前面板寄りの底面板などで構成される枕部は、確実に180度折り曲げられ、開口部分の下側に折り込まれ、開口側を上側に保った状態で、レンジ加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のレンジ用パウチ収納箱の一例における展開図である。
図2】本発明のレンジ用パウチ収納箱の一例で、展開図に合わせて作成したブランクから組立て始める第1工程の状態と、組み立てて、内容物を収納した状態を示す斜視図である。
図3】本発明のレンジ用パウチ収納箱の一例で、レンジ用パウチを収納した状態を示す断面図と、加熱前に枕部を立てる為、中央破断線を押し破る断面図と、レンジ加熱する状態を示す断面図である。
図4】本発明のレンジ用パウチ収納箱に入れるレンジ用パウチの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のレンジ用パウチ収納箱の実施形態例について、図を用いて詳細に説明する。
図1−1は本発明のレンジ用パウチ収納箱1の一例で、収納箱の展開図である。
上面板11と、上面板の左側端に上端が連続する左側面板133と、上面板の右側端に上端が連続する右側面板134と、左右の側面板の下端に連続しかつ上面板に対向する底面板12と、前記各面板の前端に続く前面板131及び後端に続く後面板132を設けている。
上面板11の前面板寄りに、上面開口易切断線111を設け、上面開口易切断線111に連続して繋げて、左側面板133に左側面開口易切断線1111、右側面板134に右側面開口易切断線1112、右側面板のりしろ1340に右側面のりしろ開口易切断線11120を設けている。
これらの易切断線は、破線状のミシン目によって構成され、易切断線の際を押し込む若しくは収容箱を変形させることによって、切断することが出来るようになっている。通常、この破線状のミシン目は、切り残った長さが、切り離された長さよりも充分に短く設定している。
上面開口易切断線111は、中央が大きな曲率を持って箱の中央寄りに、膨らんだ曲線にしている。これは、上面開口易切断線111を中央から破断しやすいようにするためである。その他、破断した一部の上面開口易切断線111から手を差し込み、破断部を広げて側面の易切断線まで開口部を広げやすくすることもできる。また、レンジ加熱後、パウチを取り出しやすくすることもできる。
【0012】
上面板、左側面板、右側面板および底面板の各面板間の境界部分において、開口易切断線は、0.3〜0.8mmほどのわずかな切り残し部分を設けただけで、直ぐに切り込みが入るようになっている。
収容箱を組み立ててパウチを収容する際、もしくはパウチを収容した状態で搬送する際に、外部からの物理的な衝撃を受けやすい箱の角部に対応する境界部分から、破断が始まりにくくすることができる。また、収容箱を開封する際には、ミシン目に沿って破断し始めた切れ目が、境界部分で他の位置に広がらないで、想定する範囲のみに切れていくようにすることができる。
【0013】
図1−2に、底折り曲げ線121と底切れ込み線122近傍の拡大図を示した。
底面板12には、前記開口易切断線に繋がる底折り曲げ線121と、折り曲げ線に重なるようにかつ破線状に配置した底切れ込み線122を設けた。
底折り曲げ線121は、左側面開口易切断線1111、右側面のりしろ開口易切断線11120に繋がって設けられている。上面開口易切断線111から破断させ、引き続き、左側面開口易切断線1111、右側面開口易切断線1112を破断した場合、そのまま、勢い良く破断していくと、底折り曲げ線121などの、底面板12の意図していない部分も破断してしまいがちであった。
【0014】
そこで、左側面板133および右側面板134の近傍に設けられた底切れ込み線を、板
の中央側の一端が底面板の下端に向かうように傾斜している曲がり切れ込み線とした。ここでは、左側面板133の近傍に設けられたものを左曲がり切れ込み線123とし、右側面板134の近傍に右曲がり切れ込み線124として設けている。なお、曲がり切れ込み線は、左側面板133および右側面板134の近傍に設けられていれば良い。例えば、図1に示すように、底切れ込み線のうち左側面板および右側面板に最も近い位置に設けられていることとしても良い。また、図示しないものの、底切れ込み線のうち左側面板および右側面板から2番目に近い位置に設けられていることとしても良いが、これに限定されない。
上面板の上面開口易切断線111の中央部分を指で破断した後、前面板側と後面板側とをそれぞれ掴んで、収容箱を折るようにして、開封する場合など、上面板の上面開口易切断線111に繋がる左側面開口易切断線1111と右側面開口易切断線1112とが、勢いで良く破断したとする。しかし、そのまま底折り曲げ線121に向かって力が掛かっても、折れ曲がった左曲がり切れ込み線123と右曲がり切れ込み線124があることによって、破断する力が向かう方向を、底折り曲げ線121のある位置に向かわないように外すことが出来る。その結果、左曲がり切れ込み線123と右曲がり切れ込み線124の間にある底折り曲げ線121が切れないように保護することが出来る。
結果として、パウチ収納箱を傾斜させる時に使用する枕部、底面板、および枕部と底面板とのつなぎ目にあたる底折り曲げ線の破損を抑えられることになり、レンジ加熱時の問題を発生しないことになる。
【0015】
底面板には、底折り曲げ線121と、折り曲げ線に重なるようにかつ破線状に配置した底切れ込み線122と、が設けられている。この破線状の底切れ込み線によって切り離された部分の長さが、左右の端部間の長さに対し60パーセント以上にならないよう、切り残す長さを確保して、切り離されないように設定している。
この時、ミシン目の入った部分は、確実に折り曲げられるので、曲げ易く、かつ、曲げが戻りにくく、確実に枕部5を立てて、パウチ収納箱に傾斜をつけてレンジ内部に置く事ができる。
【0016】
さらに、図1−1のように、前面板と上面板、後面板と上面板、前面板のりしろと底面板、後面板のりしろと底面板、の境界折り曲げ部分に、破線状に半切れによって構成される半切れ込み加工を施すと共に、底面板の後面側中央に指穴部125として周囲にミシン刃を設けて、収納箱を廃棄する時に分解しやすくしても良い。
【0017】
図2−1は、展開図に合わせて作成したブランクから組立て始める第1工程の状態を示す斜視図である。
右側面板134と、右側面板のりしろ1340とを糊付けして、収納箱を四角の筒状とした状態を示す。
【0018】
図2−2は、収納箱を組立てながら、パウチ2を収納した状態の斜視図である。
すなわち、右後面フラップ1342、左後面フラップ1332を折り込み、後面板のりしろ1320と後面板132を折り畳みながら貼り合わす。
この状態で、内容物である電子レンジ用パウチを、蒸気抜き部21を上面開口易切断線111に近い位置に配置されるようにして、収納する。
そして、右前面フラップ1341、左前面フラップ1331を折り込み、前面板のりしろ1310と前面板131を折り畳みながら貼り合わす。
【0019】
図3−1は、パウチが収容された状態のパウチ収納箱1の断面図である。
枕部5は、前面板131と開口易切断線より前面板寄りの上面板11、開口易切断線より前面板寄りの左側面板、開口易切断線より前面板寄りの右側面板、底折り曲げ線より前面板寄りの底面板12などで構成され、開口易切断線が破断されていない状態では、収納箱
の胴部と一体になっている。
パウチ収納箱1に収納されているパウチ2は、内容物3が入っているが、少し空気や水蒸気などの気体4が入った状態になっている。
パウチ2の周囲はシール部20でシールされているが、その一端に蒸気抜き部21が設けられ、枕部5に近い位置に配置されている。
【0020】
図3−2は、上面開口易切断線111に沿った一端を押し込んで破断させた状態を示す断面図である。
上面開口易切断線111は、破線状にミシン刃で切って形成されており、破線状のミシン目は、切り残った長さが、切り離された長さよりも充分に短く設定しているので、押圧で破断できる。
上面開口易切断線111は中央が大きな曲率を持って箱の中央寄りに、膨らんだ曲線にしているので、破断した一部の上面開口易切断線111から手を差し込み、破断部を広げて側面の易切断線まで開口部を広げることができる。
また、上面板の上面開口易切断線111の中央部分を指で破断した後、前面板側と後面板側とをそれぞれ掴んで、収容箱を折るようにして、開封することもできる。
【0021】
図3−3は、枕部5を底折り曲げ線121で180度折り曲げて、パウチ収納箱1を傾斜させて電子レンジ内に置いた状態を示す断面図である。
傾斜させると、パウチ2内部の気体4は蒸気抜き部21側に移動し、内容物3が蒸気抜き部21近傍から離れることになる。
この状態で電子レンジに掛ける。
電子レンジに掛けると、パウチ内部の内容物3は沸騰し、水蒸気を多量に発生させる。発生した水蒸気で、パウチ2は膨らむ。そして、パウチ2内部が一定の圧力に達すると、小さな蒸気抜き部21が開口する。
蒸気抜き部21が開口しても、パウチ2が傾斜し、内容物3が蒸気抜き部21に直接接していないので、水蒸気のみ蒸気抜き部21から排出され、電子レンジ加熱され、加熱調理される。
その為、内容物が飛び散ることは無く、確実に加熱調理できる。
なお、この加熱時にパウチが膨らむことで、枕部5が支持する箱胴部も上面板と下面板とが大きく変形する。このとき、枕部5は変形しないことから、箱胴部と枕部とのつなぎ目に相当する底折り曲げ線に、変形による応力が集中することになる。しかし、曲がり切れ込み線の中央側の一端が底面板に向かうように傾斜していることによって、応力が、曲がり切れ込み線から、当該曲がり切れ込み線と隣接する底折り曲げ線へ、伝わりにくくなる。その結果、底折り曲げ線が破壊されにくくなる。よって、加熱時においてもパウチを確実に傾斜させて支持することができる。
【0022】
図4は、パウチ2の蒸気抜き部21を有するパウチ2の代表的な例を示した。
表裏に積層フィルムを配し、周囲にシール部20を設けているが、そのシール部を変形させて、蒸気抜き部21を設けている。
例えば、図4−1や図4−4で示す蒸気抜き部31は、シール部が周囲の融着部よりも内側に突出してあって、そこが内部圧力により周囲よりも先に剥離して開口する機構で開口する。
また、図4−2、図4−3のように、穴があり、その周囲の融着部が、内部圧力で先に剥離するものなどがあるが、パウチの端部近傍に蒸気抜き部を設け、その蒸気抜き部のみ開口して水蒸気だけが排出されるようであれば、どのようなものでもかまわない。
【0023】
本発明に用いられるレンジ用パウチは、通常のレトルト用パウチと同じ構成のフィルムを使用できる。
例えば、外層から、ポリアミド/無水マレイン酸変性ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物/無水マレイン酸変性ポリエチレン/ポリエチレン、ポリエチレン/酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン、
ポリプロピレン/酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン、
酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、
などの構成が考えられる。
酸化珪素蒸着のポリエチレンフィルムは香りを逃がさない役目を担っている。ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは8〜25μmなどが使用できる。
これらのフィルムは、通常のドライラミネーション機、エクストルーダーラミネート機などで製造できる。
【0024】
レンジ用パウチ収納箱に用いられる台紙は、内容物の重量によって異なるが、通常、紙の厚みである坪量は、120g/mから400g/mの範囲で使用可能である。また、紙の密度を0.6〜1.1g/cmの範囲にする。
内面あるいは内外面をポリエチレンなどでコートしたものでも良い。
【0025】
本発明のレンジ用パウチ収納箱1は以上のような構成であり、枕部周囲の破断部を切れやすくすると共に、底面板の左右端部の近くに、開封時および加熱時にかかる力の逃がしを設けて、底面板と枕部との繋ぎが切れ過ぎないようにしている。
また、枕部と底面板を繋ぐ底折り曲げ線で折り込みやすくし、確実に180度枕部を折り込めるので、安定したレンジ加熱が可能なパウチ収納箱である。
さらに、これらの製造は、抜き刃の形状変更のみで対応可能なので、生産性も高く、費用もほとんど掛からず、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0026】
1・・・・・・・・・レンジ用パウチ収納箱
11・・・・・・・・上面板
111・・・・・・・上面開口易切断線
1111・・・・・・左側面開口易切断線
1112・・・・・・右側面開口易切断線
11120・・・・・右側面のりしろ開口易切断線
12・・・・・・・・底面板
121・・・・・・・底折り曲げ線
122・・・・・・・底切れ込み線
123・・・・・・・左曲がり切れ込み線
124・・・・・・・右曲がり切れ込み線
125・・・・・・・指穴部
13・・・・・・・・側面板
131・・・・・・・前面板
1310・・・・・・前面板のりしろ
132・・・・・・・後面板
1320・・・・・・後面板のりしろ
133・・・・・・・左側面板
134・・・・・・・右側面板
1340・・・・・・右側面板のりしろ
2・・・・・・・・・レンジ用パウチ
20・・・・・・・・シール(パウチ周囲シール部)
21・・・・・・・・蒸気抜き部
3・・・・・・・・・内容物
4・・・・・・・・・気体(水蒸気、空気)
5・・・・・・・・・枕部
図1
図2
図3
図4