特許第6586798号(P6586798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586798
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20191001BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B65D75/62 A
   B65D33/38
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-135009(P2015-135009)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-13882(P2017-13882A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大塚 浩之
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−168792(JP,A)
【文献】 特開2012−162295(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/081102(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0315508(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた表裏一対のフィルムの周端部に、天シール部、左右の側端シール部、及び、底シール部が設けられ、
これらのシール部で囲まれた内部に、内容物収納部が形成された収納容器であって、
該内容物収納部より外方の隅部に向かって突き出た注出路の両側に、一対の注出路シール部が形成され、
前記一対の注出路シール部のうちの一方は前記天シール部側に形成される注出路天シール部であり、他方の注出路シール部は一方の側端シール部側に形成される注出路側端シール部であり、
前記側端シール部の上端には、外端が内側に曲がって前記注出路側端シール部の付け根部に連接する肩部が形成されており、
前記注出路側端シール部には、表裏方向に蛇腹状になるように凹凸加工された凹凸加工部が形成されており、かつ、前記注出路側端シール部の付け根部が前記凹凸加工部となっており、
前記凹凸加工部の複数の凸状部分が外端より内方に向かって形成されていることを特徴とする収納容器。
【請求項2】
請求項1に記載の収納容器であって、
前記肩部と前記注出路側端シール部との間の角度は90度以下であることを特徴とする収納容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の収納容器であって、
前記注出路側端シール部の付け根部には、前記内容物収納部側に凹む凹部が形成されていることを特徴とする収納容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の収納容器であって、
前記注出路の先端には、前記注出路天シール部から前記注出路側端シール部にかけて切り取って注出口を形成するための切り取り予定線が設けられており、
前記切り取り予定線に接続して、前記注出路の先端の外方につまみ部を形成するように、切り込み線が設けられていることを特徴とする収納容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の収納容器であって、
前記注出路天シール部は、斜めに形成され、前記注出路天シール部の付け根部は、先端部
より下方に位置していることを特徴とする収納容器。
【請求項6】
請求項5に記載の収納容器であって、
前記注出路の先端には、前記注出路天シール部から前記注出路側端シール部にかけて切り取って注出口を形成するための切り取り予定線が設けられており、
前記切り取り予定線に接続して、前記注出路の先端の外方につまみ部を形成するように、切り込み線が設けられており、
前記つまみ部を切り取った後の前記天シール部の上端と、前記注出路天シール部の付け根部との間に接続シール部が形成され、
前記接続シール部と前記注出路天シール部との間の角度は90度以下であることを特徴とする収納容器。
【請求項7】
請求項5または6に記載の収納容器であって、
前記注出路天シール部の付け根部には、内容物収納部側に凹む凹部が形成されていることを特徴とする収納容器。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1に記載の収納容器であって、
前記注出路天シール部の付け根部が、表裏方向に蛇腹状になるように凹凸加工された凹凸加工部になっていることを特徴とする収納容器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1に記載の収納容器であって、
前記凹凸加工部の複数の凸状部分は、外端より内方に向かって間隔が広がる放射状に形成されていることを特徴とする収納容器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1に記載の収納容器であって、
前記底シール部は、前記表裏一対のフィルムの下端に、二つ折りされた底テープが折り部を上にして下端部分に差し込まれてシールされ、自立性袋を形成していることを特徴とする収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器に関する。特には、繰り返し使用するプラスチックボトルなどの容器に詰め替える内容物が充填され、詰め替えやすいように注出路を設けた詰め替え用の収納容器に関するものである
【背景技術】
【0002】
シャンプー、リンス、パーマ液、ヘアカラー液、液体洗濯用洗剤、柔軟剤等の液体製品の容器には、従来、プラスチックボトルが多く用いられてきた。しかし、廃棄物の増加に関する環境問題への関心の高まりから、廃棄物の減量化や省資源化を目的として、近年、プラスチックボトルへの詰め替え用の収納容器が広く使用されるようになってきた。
【0003】
これらの収納容器は、プラスチックボトルへの詰め替えが完了した後は小さく丸めて廃棄できるよう、軟包装フィルムからなる柔軟な収納容器の上方に、注出路及び注出口を形成したり、口栓を取付けたりしたものが一般的に使用されている。
【0004】
このような詰め替え用の収納容器からプラスチックボトルへの詰め替えは、使用者が収納容器を上下逆さまに保持した状態で、プラスチックボトルのキャップやポンプを外した開口部に、収納容器の注出路を挿入して行うが、詰め替え作業中に、収納容器内の内容物の重みで、プラスチックボトルの開口部から収納容器の注出路が外れてしまったり、該注出口の位置が安定しなかったりして詰め替えにくい、という問題があった。
【0005】
この問題を解決する方法として、収納容器の注出路に、収納容器のフィルムとは別部材の成型パーツを挿入して、注出口の開口面積を確保すると共に、注出口周辺の剛性を高めることにより、プラスチックボトル開口部への差し込みを容易にする技術が知られている(特許文献1)。
【0006】
しかし、特許文献1の収納容器のような注出路に別部材を備えた容器では、容器の製造工程で別部材を配する特別な工程が必要となり、コストアップの原因となってしまう。
また、製袋した収納容器は注出路付近が大きく盛り上がった状態となっているため、内容物充填前の収納容器を輸送・保管する場合に余計なスペースを要してしまう。
さらに、プラスチックボトル開口部と接するのは注出路付近のフィルムであり、当該注出路付近のフィルムのふらつきが解消されなければ、注出路内部に別部材を挿入しても、プラスチックボトル開口部から収納容器の注出路が外れてしまうという問題は依然残ったままであった。
【0007】
プラスチックボトル開口部への差し込みを容易にすることを目的として、収納容器の注出路の上下に係合溝を設けた収納容器も開発されている(特許文献2)。
【0008】
しかし、特許文献2に示されたような収納容器では、プラスチックボトル開口部への差し込みは容易になるが、係合溝部分のフィルム端部が、点若しくは線でプラスチックボトル開口部の内側に接することになるため、詰め替え作業中には、当該接点を中心に左右にふらつきやすい、という問題は解決されないままであった。
【0009】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−132069号公報
【特許文献2】特開2000−025799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、詰め替え作業時に、収納容器の注出路がプラスチックボトル開口部から外れることなく、当該注出路の該開口部内での位置を安定させることにより、詰め替え作業を容易にする収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、本発明の収納容器は、重ね合わせた表裏一対のフィルムの周端部に、天シール部、左右の側端シール部、及び、底シール部が設けられ、
これらのシール部で囲まれた内部に、内容物収納部が形成された収納容器であって、
該内容物収納部より外方の隅部に向かって突き出た注出路の両側に、一対の注出路シール部が形成され、
前記一対の注出路シール部のうちの一方は前記天シール部側に形成される注出路天シール部であり、他方の注出路シール部は一方の側端シール部側に形成される注出路側端シール部であり、
前記側端シール部の上端には、外端が内側に曲がって前記注出路側端シール部の付け根部に連接する肩部が形成されており、
前記注出路側端シール部には、表裏方向に蛇腹状になるように凹凸加工された凹凸加工部が形成されており、かつ、前記注出路側端シール部の付け根部が前記凹凸加工部となっており、
前記凹凸加工部の複数の凸状部分が外端より内方に向かって形成されていることを特徴とする。
【0014】
このとき、前記肩部と前記注出路側端シール部との間の角度は90度以下であったり、前記注出路側端シール部の付け根部には、内容物収納部側に凹む凹部が形成されたりしていると、なお良い。
【0015】
また、本発明の収納容器の前記注出路の先端には、前記注出路天シール部から前記注出路側端シール部にかけて切り取って注出口を形成するための切り取り予定線が設けられており、前記切り取り予定線に接続して、前記注出路の先端の外方につまみ部を形成するように、切り込み線が設けられていると良い。
【0016】
また、本発明の収納容器の注出口は、前記注出路天シール部が斜めに形成され、前記注出路天シール部の付け根部は、先端部より下方に位置しているように形成されても良い。このとき、前記つまみ部を切り取った後の前記天シール部の上端と、前記注出路天シール部の付け根部との間に接続シール部が形成され、前記接続シール部と前記注出路天シール部との間の角度を90度以下としても良いし、前記注出路天シール部の付け根部には、内容物収納部側に凹む凹部を形成しても良い。
また、前記注出路天シール部の付け根部が、表裏方向に蛇腹状になるように凹凸加工された凹凸加工部になっていると、なお良い。
【0017】
また、本発明の収納容器の前記凹凸加工部の複数の凸状部分は、外端より内方に向かって間隔が広がる放射状に形成されていても良い。
【0018】
また、本発明の収納容器の前記底シール部は、前記表裏一対のフィルムの下端に、二つ折りされた底テープが折り部を上にして下端部分に差し込まれてシールされ、自立性袋を形成していても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の収納容器は、収納容器をプラスチックボトル開口部に挿入する際に最初に接する部分である注出路側端シール部に、蛇腹状に折り曲げられた凹凸加工部が形成されていることにより、プラスチックボトル開口部に接した際の、接点の剛性が高まると共に、複数の点で接するようになることにより、プラスチックボトル開口部内での収納容器の注出路の位置が安定し、詰め替え作業中にも外れることなく、容易に詰め替えを行うことが可能となる。
【0020】
また、注出路側端シール部の付け根部は、前記側端シール部の外端より内側に位置して、一方の前記側端シール部の上端には、外端が内側に曲がって前記注出路側端シール部の付け根部に連接する肩部が形成されていることにより、注出路側端シール部の付け根部が内方にくびれたような形状となるため、収納容器の注出路をプラスチックボトル開口部に容易に挿入でき、詰め替え作業中のプラスチックボトル開口部内での当該注出路の位置もより安定させることが可能となる。
【0021】
また、前記肩部と前記注出路側端シール部との間の角度が90度以下であることにより、プラスチックボトル開口部の周縁と係合する溝のような形状となるため、プラスチックボトル開口部への挿入も、詰め替え作業中の位置の安定性も、より増すことが可能となる。
さらに、前記注出路側端シール部の付け根部には、内容物収納部側に凹む凹部が形成された場合には、くびれや溝形状に比べ保持力が向上するため、上記の効果をより高めることが可能となる。
【0022】
また、前記注出路の先端のつまみ部を切り取り予定線で切り取って注出口を形成する構造とすることにより、使用前の輸送・保管時の衛生は確保しつつ、使用時には手で容易に注出口を形成することが可能となり、使用者の利便性を高めることができる。
【0023】
また、前記注出路天シール部が斜めに形成され、前記注出路天シール部の付け根部が先端部より下方に位置していることにより、注出路の付け根が広がりすぎず下方にくびれたような形状になり、プラスチックボトル開口部に当該注出路の付け根付近までしっかりと挿入することができるため、詰め替え作業中の安定性が増し、より容易に詰め替えを行うことが可能となる。
【0024】
また、前記つまみ部を切り取った後の前記天シール部の上端と、前記注出路天シール部の付け根部との間に接続シール部が形成され、前記接続シール部と前記注出路天シール部との間の角度は90度以下であることにより、プラスチックボトル開口部の周縁と係合する溝のような形状となるため、プラスチックボトル開口部への挿入も、詰め替え作業中の位置の安定性も、より増すことが可能となる。
さらに、前記注出路天シール部の付け根部には、内容物収納部側に凹む凹部が形成された場合には、くびれや溝形状に比べ保持力が向上するため、上記の効果をより高めることが可能となる。
【0025】
また、前記注出路天シール部の付け根部が凹凸加工部となっていることにより、プラスチックボトル開口部に接した際の、接点の剛性が高まると共に、複数の点で接するようになることにより、プラスチックボトル開口部内での収納容器の注出路の位置が安定し、詰め替え作業中にも外れることなく、容易に詰め替えを行うことが可能となる。
【0026】
また、前記凹凸加工部を構成している複数の凸状部分は、外端より内方に向かって互いの間隔が広がる放射状に形成されていることにより、プラスチックボトル開口部に接する部分のフィルムの剛性がより高まるため、安定して接することができるようになる。
【0027】
また、本発明の収納容器が自立性袋となっていることにより、使用前の保管に場所を取らず、詰め替え作業中に一時休止するときにも、収納容器を立たせておくことができるため、非常に便利に詰め替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の収納容器の第1の実施形態を模式的に示した説明図である。
図2図1の収納容器の注出路付近を拡大した説明図である。
図3図2のA−A断面を模式的に示した断面説明図である。
図4】本発明の収納容器の第1の実施形態の使用例を模式的に示した説明図である。
図5】本発明の収納容器の凹部を有する第1の実施形態を模式的に示した説明図である。
図6】本発明の収納容器の第1の実施形態の使用時の状態を模式的に示した説明図である。
図7】本発明の収納容器の第2の実施形態の注出路付近を模式的に示した説明図である。
図8】本発明の収納容器の第2の実施形態の使用例を模式的に示した説明図である。
図9】従来の収納容器を模式的に示した説明図である。
図10】従来の別の収納容器を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施形態>
以下、本発明を実施するための第1の実施形態につき図1〜6を参照して説明する。
【0030】
第1の実施形態の収納容器1は詰め替え用の容器であり、例えばパウチ(袋状柔軟性包装体)として用いられる。収納容器1の内部には、詰め替え先の容器であるプラスチックボトルに補充するための液状の内容物が充填される。内容物としては、例えば、液体調味料や、化粧品、液体洗剤などが挙げられる。
【0031】
収納容器1は、図1に示すように、一対の表フィルム2と裏フィルム3の周端部に、天シール部51、側端シール部52、底シール部53が設けられ、これらのシール部で囲まれた内部に内容物収納部4が形成されている。
【0032】
表フィルム2及び裏フィルム3には、通常軟包装袋に使用される、基材とシーラント層からなる積層体を用いることができる。
基材としては、1層ないしは数層からなる金属箔や合成樹脂フィルムを使用する。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルム、金属箔等が単体または、複合して使用される。なお、基材には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0033】
シーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0034】
積層体の具体的な構成例としては、PET/印刷層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/接着剤層/LLDPE、などが挙げられる。
【0035】
収納容器1は、スリットした一対の表フィルム2及び裏フィルム3に、切り取り予定線64をハーフカット加工した後、表フィルム2及び裏フィルム3のそれぞれのシーラント層を内側にして対向させ、表フィルム2の周端部のシーラント層と、対向する裏フィルムの周端部のシーラント層と、を熱融着させることにより、天シール部51、側端シール部52、及び底シール部53を形成した後、打ち抜くことにより容器となる。
【0036】
収納容器1は、図1、2に示すように、天シール部51、側端シール部52、及び底シール部53で囲まれた内容物収納部4より、外方の隅部に向かって突き出た注出路60を有しており、注出路60の両側には一対の注出路シール部61、62が形成されている。注出路シール部61、62のうち一方は、側端シール部52側に形成される注出路側端シール部61、他方は、天シール部51側に形成される注出路天シール部62である。
【0037】
注出路60の形状は特に限定されないが、収納容器1内の内容物を、詰め替え先の容器であるプラスチックボトルに、注出路60を介して詰め替える際に、できるだけ短い時間で残さず詰め替えることができるようにするため、プラスチックボトルの開口部に挿入可能な大きさの範囲で可能な限り横幅を広く取った上で、注出路の先端から付け根に向かって広がるような形状であることが好ましい。
【0038】
注出路60の両側に形成される注出路側端シール部61及び注出路天シール部62は、詰め替え時に収納容器1内の内容物が注出路60に集中しても耐えられるだけのシール強度とシール幅を有していれば良く、この限りにおいて、注出路60の横幅を可能な限り広く取るために、注出路側端シール部61及び注出路天シール部62の幅は細くすることが好ましい。
【0039】
注出路側端シール部61には、図1〜3に示すように、表裏方向に蛇腹状になるように凹凸加工された凹凸加工部10が形成されている。
【0040】
凹凸加工部10は注出路側端シール部61に設けられ、注出路60の付け根側に位置する。凹凸加工部10が形成される位置は、図4に示すように、プラスチックボトル500の開口部501に注出路60を挿入して詰め替える際に、開口部501に最初に接する場所であり、詰め替え開始から詰め替え終了までの間、凹凸加工部10と開口部501との位置関係がずれることなく安定していることにより、スムーズな詰め替えが可能となる。
【0041】
凹凸加工部10は、図3に示すように、表フィルム2と裏フィルム3が表裏方向に蛇腹形状となっていることにより、プラスチックボトル500の開口部501に接する部分の剛性を高めることができる。これにより、凹凸加工部10と開口部501との位置関係をずれずに安定させることが可能となる。詰め替え開始から詰め替え終了までの詰め替え作業中、収納容器1の、プラスチックボトル500の開口部501に対する位置、特には、注出路60の開口部501内での位置が変化しないことにより、途中で注出路60が開口部501から外れて収納容器1の内容物を散乱させたりする危惧がなくなり、使用者が短時間で確実に詰め替え作業を行うことが可能となる。
【0042】
凹凸加工部10の凹凸の間隔や高さは、上述の効果が得られるものであれば良く、特に限定されない。
【0043】
凹凸加工部10の複数の凸状部分は、外端より内方に向かって間隔が広がる放射状に形成されていることが好ましい。
これは、外端では間隔が狭くなることにより、プラスチックボトル500の開口部501と接する部分の剛性をより高めることができるため、詰め替え作業中の注出路60の開口部501内での位置を安定させる効果を高めることが可能となるからである。
【0044】
なお、凹凸加工部10が形成される注出路側端シール部61の付け根には、側端シール部52の上端の外端が内側に曲がった肩部521が連接されている。肩部521と注出路側端シール部61との間の角度は、90度以下であることが好ましい。
ここで、肩部521と注出路側端シール部61との間が90度よりも大きな鈍角を構成してしまうと、注出路60をプラスチックボトル500の開口部501に挿入する際に、凹凸加工部で止まらずにもっと奥まで入り込んでしまう可能性があり、その結果、内容物収納部4が開口部501によって圧縮されてしまい、注出路60に至るより前に、収納容器1内の内容物が開口部501付近で詰まってしまうため、詰め替えをスムーズに行うことができなくなってしまう可能性がある。
【0045】
また、凹凸加工部10には、図5に示すように、内容物収納部4側に凹む凹部30を形成しても良い。凹部30を形成することにより、詰め替え作業時には、凹部30がプラスチックボトル500の開口部501を挟み込むようになるため、収納容器1とプラスチックボトル500との位置関係をより安定させることが可能となる。その結果、途中で注出路60が開口部501から外れて収納容器1の内容物を散乱させたりする恐れがさらに少なくなり、使用者がより短時間で確実に詰め替え作業を行うことが可能となる。
【0046】
収納容器1の使用者が、収納容器1の内容物をプラスチックボトル500に詰め替える際には、つまみ部63を持ち、切り込み線65から誘導される切り取り予定線64を切り取ることにより、図6に示すような注出口67を開口する。その後、図4に示すように、凹凸加工部10をプラスチックボトル500の開口部501の縁に沿わせるようにして注出路60を開口部501に挿入することにより、収納容器1の内容物を詰め替えることができる。
【0047】
詰め替え作業が進み、収納容器1内の内容物が少なくなってくると、つまみ部63を切り取ることにより現れる、注出路天シール部62の付け根部もプラスチックボトル500の開口部501に接するようになる。
【0048】
なお、注出路天シール部62の付け根には、つまみ部63を切り取った後の天シール部51の上端と、注出路天シール部62の付け根部との間に接続シール部66が形成されており、接続シール部66と注出路天シール部62との間の角度は、90度以下であることが好ましい。
ここで、接続シール部66と注出路天シール部62との間が90度よりも大きな鈍角を構成してしまうと、詰め替え作業の終盤に、注出路天シール部62の付け根部をプラスチックボトル500の開口部501に係合させる際に、係合せずに斜めに傾き過ぎてしまう可能性があり、その結果、内容物収納部4が開口部501によって圧縮されてしまい、注出路60に至るより前に、収納容器1内の内容物が開口部501付近で詰まってしまうため、詰め替えを最後までスムーズに行うことができなくなってしまう可能性がある。
【0049】
また、注出路天シール部62の付け根部には、内容物収納部4側に凹む凹部(図示せず
)を形成しても良い。当該凹部を形成することにより、詰め替え作業の終盤には、当該凹部がプラスチックボトル500の開口部501を挟み込むようになるため、収納容器1とプラスチックボトル500との位置関係をより安定させることが可能となる。その結果、途中で注出路60が開口部501から外れて収納容器1の内容物を散乱させたりする恐れがさらに少なくなり、使用者がより短時間で確実に詰め替え作業を行うことが可能となる。
【0050】
収納容器1は、表フィルム2及び裏フィルム3の下端に、二つ折りされた底テープが折り部を上にして下端部分に差し込まれてシールされることにより、自立性袋とすることができる。当該自立性袋に内容物が充填されると、内容物の重量により底テープの折り目が下方に移動するとともに、底テープが前後方向に広がる。これにより、収納容器1の容積が増加するとともに、収納容器1に自立性が付与される。
なお、底テープには、表フィルム2及び裏フィルム3と同様の積層体が適用可能である。
【0051】
<第2の実施形態>
以下、本発明を実施するための第2の実施形態につき図7及び図8を参照して説明する。
【0052】
第2の実施形態の収納容器100は、注出路天シール部62の付け根部に、表裏方向に蛇腹状になるように凹凸加工された凹凸加工部20が形成されている以外は、第1の実施形態の収納容器1と同様である。
【0053】
凹凸加工部20は注出路天シール部62に設けられ、注出路60の付け根側に位置する。図8に示すように、プラスチックボトル500の開口部501に注出路60を挿入して詰め替える際、詰め替えの開始時には、上述のように凹凸加工部10のみが開口部501と接しているが、詰め替えが進むに連れて収納容器100内の内容物が少なくなってくると、つまみ部63を切り取ることにより現れる、注出路天シール部62の付け根部に形成された凹凸加工部20も開口部501と接するようになる。この凹凸加工部20も、凹凸加工部10と同様に、詰め替え作業が終了するまで、開口部501との位置関係がずれることなく安定していることにより、スムーズな詰め替えが可能となる。
【0054】
凹凸加工部20は、表フィルム2と裏フィルム3が表裏方向に蛇腹形状となっていることにより、プラスチックボトル500の開口部501に接する部分の剛性を高めることができる。これにより、凹凸加工部20と開口部501との位置関係をずれずに安定させることが可能となる。
【0055】
凹凸加工部20の凹凸の間隔や高さは、上述の効果が得られるものであれば良く、特に限定されない。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0057】
<実施例1>
実施例1には、本発明の第1の実施形態の収納容器1を用いた。
収納容器1に、内容物として水道水300gを充填し、プラスチックボトルへの詰め替え作業を10回実施した。このとき、プラスチックボトルの開口部へ収納容器1を差し込む際の液こぼれの回数、及び、詰め替え作業中に収納容器1の注出路がプラスチックボトルから外れた回数をカウントし、詰め替え開始から詰め替え終了までの詰め替え時間を測定して平均の詰め替え時間を算出した。その結果を表1に示す。
【0058】
以下に、本発明の比較例を説明する。
【0059】
<比較例1>
比較例1は、図9に示すように、凹凸加工部10を設けない以外は実施例1と同様の収納容器300とした。
収納容器300に、内容物として水道水300gを充填し、プラスチックボトルへの詰め替え作業を10回実施した。このとき、プラスチックボトルの開口部へ収納容器300を差し込む際の液こぼれの回数、及び、詰め替え作業中に収納容器300の注出路がプラスチックボトルから外れた回数をカウントし、詰め替え開始から詰め替え終了までの詰め替え時間を測定して平均の詰め替え時間を算出した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
比較例2は、図10に示すように、凹凸加工部10を設けず、注出路60内に成型パーツ401を挿入した以外は実施例1と同様の収納容器400とした。
収納容器400に、内容物として水道水300gを充填し、プラスチックボトルへの詰め替え作業を10回実施した。このとき、プラスチックボトルの開口部へ収納容器400を差し込む際の液こぼれの回数、及び、詰め替え作業中に収納容器400の注出路がプラスチックボトルから外れた回数をカウントし、詰め替え開始から詰め替え終了までの詰め替え時間を測定して平均の詰め替え時間を算出した。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
<比較結果>
表1を見ると、凹凸加工部を有しない比較例1が、液こぼれやボトル外れを起こしているのに対し、実施例1の収納容器1は、そうした問題がなく詰め替えも比較的短時間で終えていることが分かる。
【0062】
凹凸加工部を有しない代わりに成型パーツを挿入した比較例2は、平均詰め替え時間だけを見ると実施例1よりも短くなっているが、液こぼれは10回中1回発生しており、注出路をプラスチックボトルに差し込む際の位置が安定していないことが分かる。
さらに、比較例2の収納容器400は、特許文献1に対する問題として上述した通り、容器の製造工程で別部材を配する特別な工程が必要となり、コストアップの原因となってしまう上に、製袋した収納容器は注出路付近が大きく盛り上がった状態となっているため、内容物充填前の収納容器を輸送・保管する場合に余計なスペースを要してしまうという問題を抱えている。
【0063】
本発明によれば、詰め替え作業時に、収納容器の注出路がプラスチックボトル開口部から外れることなく、当該注出路の該開口部内での位置を安定させることができ、詰め替え作業を容易にする収納容器を安価に得ることが可能となった。
【符号の説明】
【0064】
1、100、300、400・・・収納容器
2・・・表フィルム
3・・・裏フィルム
4・・・内容物収納部
10、20・・・凹凸加工部
30・・・凹部
51・・・天シール部
52・・・側端シール部
53・・・底シール部
60・・・注出路
61・・・注出路側端シール部
62・・・注出路天シール部
63・・・つまみ部
64・・・切り取り予定線
65・・・切り込み線
66・・・接続シール部
67・・・注出口
401・・・成型パーツ
500・・・プラスチックボトル
501・・・開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10