(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コミュニケーションツールの利用履歴を分析することで、指定したカテゴリの有識者を探したい検索実施者と関係度の高い所定数の有識者候補を選出する有識者候補選出手段と、
選出された有識者候補に対し、各有識者候補に関連するコミュニケーションツールの利用履歴を分析することで、前記カテゴリに対する各有識者候補の知識度を算出する算出手段と、
前記有識者候補選出手段により選出された有識者候補の中から、前記算出手段により算出された知識度が所定値以上の有識者候補を有識者として選出する有識者選出手段と、
前記有識者選出手段により選出された有識者を検索実施者に提示する提示手段と、
を有し、
前記有識者候補選出手段は、前記算出手段により算出された知識度が所定値未満の有識者候補と関係度の高い所定数の有識者候補を派生有識者候補として選出し、
前記算出手段は、選出された派生有識者候補に対し、各派生有識者候補に関連するコミュニケーションツールの利用履歴を分析することで、前記カテゴリに対する各派生有識者候補の知識度を算出し、
前記有識者選出手段は、派生有識者候補の中から前記算出手段により算出された知識度が所定値以上の派生有識者候補を有識者として選出する、
ことを特徴とする検索装置。
前記有識者候補選出手段は、前記算出手段により算出された知識度が所定値未満の場合、検索実施者により指定された数まで派生有識者候補の選出を繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載の検索装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る検索装置10の一実施の形態を示したブロック構成図である。また、
図2は、本実施の形態における検索装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態における検索装置10は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、検索装置10は、
図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
【0019】
図1に示したように、本実施の形態における検索装置10は、検索条件受付部11、関係度算出部12、知識度算出部13、有識者選出部14、提示部15、スケジュール調整部16、処理制御部17、有識者候補リスト記憶部18及びスケジュール情報記憶部19を有している。検索条件受付部11は、検索実施者が有識者を探し出すためにディスプレイ27に表示された所定の検索入力画面から入力した検索条件を受け付ける。本実施の形態における検索装置10は、KnowWho検索により専門的な知識やスキルを持っているエキスパートやスペシャリストを探し出すが、この探し出すエキスパート等を、本実施の形態では、「有識者」と称することにする。また、検索条件を指定して有識者を探し出したい人のことを「検索実施者」と称する。
【0020】
関係度算出部12は、コミュニケーションツールの利用履歴を分析することで、検索条件で指定したカテゴリの有識者を探したい検索実施者と関係度の高い所定数の有識者候補を選出する有識者候補選出手段として機能する。知識度算出部13は、選出された有識者候補に対し、各有識者候補に関連するコミュニケーションツールの利用履歴を分析することで、検索条件に指定されたカテゴリに対する各有識者候補の知識度を算出する算出手段として機能する。有識者選出部14は、知識度算出部13により算出された知識度に基づいて有識者候補の中から検索実施者に提示する有識者を選出する有識者選出手段として機能する。提示部15は、有識者選出部14により選出された有識者候補を有識者として検索実施者に提示する。スケジュール調整部16は、有識者のスケジュール情報を参照して、提示部15が提示する情報に、有識者のスケジュールに関する情報を付加する。処理制御部17は、上記各構成要素11〜16を連携動作させて検索装置10におけるKnowWho検索処理の動作制御を行う。有識者候補リスト記憶部18及びスケジュール情報記憶部19に関しては、処理の説明と合わせて追って説明する。
【0021】
検索装置10における各構成要素11〜17は、検索装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部18,19は、検索装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0022】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0023】
次に、本実施の形態におけるKnowWho検索処理について
図3A、
図3Bに示したフローチャートを用いて説明する。
【0024】
まず、指定された中継数と比較する変数nを0で初期化しておく(ステップ101)。有識者を探し出したいユーザは、所定の操作をすることでディスプレイ27に検索入力画面を表示させる。この検索条件入力画面の例を
図4に示す。
図4の画面例によると、ユーザは、利用者、キーワード、中継数及び期間を入力する。利用者には、検索実施者を指定する。基本的にはKnowWho検索を指示する自分の識別情報であるユーザID等を入力することになるが、自分に限定する必要はない。本実施の形態では、利用者に指定されるユーザを「検索実施者」と称している。キーワードには、どのカテゴリや専門分野、知識(以下、「カテゴリ」と総称)の有識者を探したいのか、そのカテゴリを表すキーワードを入力する。中継数には、自分と有識者との関係を表す数値を入力する。例えば、利用者と直接関係のある有識者のみを検索したい場合には0を、自分と直接関係のある有識者と直接関係のある有識者まで検索対象として拡げたい場合には1を、入力する。このように、中継数には、自分から派生してどの範囲(どのような関係の人)まで検索対象とするかを指定する。本実施の形態では、コミュニケーションツールの利用履歴を分析して有識者を検索実施者に提示することになるが、期間には、コミュニケーションツールの分析対象期間を入力する。ユーザが上記所定事項を検索条件入力画面から入力すると、検索条件受付部11は、その入力された検索条件を受け付ける(ステップ102)。
【0025】
ところで、本実施の形態でいうコミュニケーションツールというのは、ユーザ間で情報をやり取りする際に利用されるアプリケーションツールのことである。例えば、メール、SNS(Social Networking Service)、インスタントメッセージなど汎用的なツールが該当する。更に、企業内において開発されたツールや業務に特化したツールもこれに該当する。コミュニケーションツールの利用履歴というのは、メールでの送受信履歴、SNSへの書き込みや閲覧、ある業務に関する会議の議事録、タスクやプロジェクトの履歴情報等である。
【0026】
ステップ103において、関係度算出部12は、コミュニケーションツールの利用履歴を分析することで、検索実施者との関係度を算出し、関係度の高い人を有識者候補として抽出する。ここでは、コミュニケーションツールの利用履歴としてメールの送受信履歴を参照する場合を例にして説明する。
【0027】
図5は、メール用のコミュニケーション情報管理テーブルのデータ構成の一例を示した図である。このテーブルは、関係度算出部12が外部のメールサーバ等から取得してもよいし、関係度算出部12がメールサーバ等から取得した情報をもとに作成してもよい。コミュニケーション情報管理テーブルには、検索条件入力画面において指定された期間内に送受信されたメールの履歴が含まれており、各メールの差出人、宛先(To)、CC、BCC、件名、本文及び添付ファイルが含まれている。関係度算出部12は、このテーブルに含まれている利用履歴を分析して、次のようにして
図6に示した関係度分析結果テーブルを作成する。
【0028】
関係度算出部12は、まず、検索条件入力画面の利用者に指定された検索実施者(本実施の形態においては、「ユーザA」)に関わるメールのやり取り、具体的には、ユーザAがメールの差出人若しくは宛先に設定されているメールの履歴を抽出し、各メールにつきユーザAとやり取りしたユーザ毎に、
図6に示した送信数、受信数(To)、受信数(CC)及び受信数(BCC)の各項目について集計を行う。送信数は、ユーザAが差出人となって当該ユーザ宛に送信したメールの数である。受信数(To)は、ユーザAを宛先に指定して当該ユーザが送信したメールの数である。受信数(CC)は、ユーザAをCCに指定して当該ユーザが送信したメールの数である。受信数(BCC)は、ユーザAをBCCに指定して当該ユーザが送信したメールの数である。なお、本実施の形態では、送信数は、受信数のようにToやCCのように分類していないが、分類して集計してもよい。また、中継数0フラグというのは、検索実施者と直接の知り合いであるかを示すフラグ情報である。直接の知り合いであるかどうかは、SNSの友達リストに入っていること、組織データで同チームに入っていたことがあること、コミュニケーションの利用履歴において直接的なやり取りが一定数に達成していることで判断してフラグを自動的に付与する。この例の場合、各ユーザ共、直接の知り合いであることを示す“Y”が設定される。
【0029】
続いて、関係度算出部12は、前述した集計値に対して正規化を行う。すなわち、各集計値における最大値を100として各値を変換する。例えば、ユーザBの送信数は657で最大値なので、これを100に換算して他のユーザの送信数を正規化する。
【0030】
正規化すると、関係度算出部12は、関係度を、
関係度=係数1×要素1+係数2×要素2+...
という式にて算出する。例えば、
関係度=0.8×送信数(正規化)+0.7×受信数(To)(正規化)+0.5×受信数(CC)(正規化)+0.3×受信数(BCC)(正規化)
などのようにして関係度を算出する。なお、係数は、各要素に対する重みである。一般に、Toの方がCC,BCCより重みを置くことになる。
【0031】
なお、上記例では、コミュニケーションツールとしてメールの利用履歴を用いたが、他のコミュニケーションツールを分析対象としてもよいし、複数のコミュニケーションツールを分析対象として、関係度を算出するようにしてもよい。
【0032】
以上のようにして、ユーザAと直接メールをやり取りしたユーザ、換言するとユーザAと直接関係のあるユーザ毎に関係度を算出すると、その中から関係度の高い方から所定数のユーザを有識者候補として選出する。本実施の形態では、5人を抽出するものとして説明を続ける。所定数の数が少ないと、親密なユーザが有識者候補として選出される一方、知識度が高いユーザが有識者候補として選出されているかどうかの不確かさが増大する。
【0033】
ステップ104において、知識度算出部13は、関係度算出部12により抽出された有識者候補の知識度を算出する。ここでは、コミュニケーションツールの利用履歴としてSNS、例えば掲示板の利用履歴を参照する場合を例にして説明する。
【0034】
知識度算出部13は、掲示板のツールの利用履歴を参照して、検索条件入力画面において指定された期間内における各有識者候補に関連する履歴を分析する。
図7は、本実施の形態における知識度分析結果テーブルのデータ構成の一例を示した図である。知識度算出部13は、この知識度分析結果テーブルを作成する。
【0035】
知識度算出部13は、検索条件入力画面において指定されたキーワードに基づいて掲示板の履歴を検索する。そして、各有識者候補における発言数、関連語数及び被参照数を得る。発言数というのは、当該有識者候補が掲示板に投稿した記事のうちキーワードを含む記事の数である。関連語数は、当該有識者候補が掲示板に投稿した記事の中に含まれるキーワードの出現数である。被参照数は、当該有識者候補が掲示板に投稿した記事が閲覧された回数である。あるいは、当該記事に対する書き込み数や「いいね!」の数など記事に対する反応がわかる数であればよい。また、入力されたキーワード「ウェブマーケティング」に限定せずに、その類似語も検索対象としてもよい。
【0036】
続いて、知識度算出部13は、知識度を、
知識度=係数1×要素1+係数2×要素2+...
という式にて算出する。例えば、
知識度=0.8×発言数+0.05×関連語数+0.01×被参照数
などのようにして知識度を算出する。係数は、各要素に対する重みである。
【0037】
なお、関係度の算出と同様に要素を正規化してから知識度を算出してもよい。また、上記例では、コミュニケーションツールとして掲示板の利用履歴を用いたが、他のコミュニケーションツールを分析対象としてもよいし、複数のコミュニケーションツールを分析対象として、知識度を算出するようにしてもよい。
【0038】
以上のようにして、知識度算出部13は、検索実施者の直接の知り合いの各有識者候補の知識度を算出すると、
図7に示した知識度分析結果テーブルを作成し、これを有識者候補リスト記憶部18に格納する。
【0039】
続いて、有識者選出部14は、以上のようにして選出された有識者候補の中から、場合によって有識者候補以外の者の中から検索実施者に提示すべき有識者を選出する。まず、本実施の形態では、有識者と認定する閾値Xと、有識者としては認定できないものの、ある程度の知識は有しているとみなす閾値Y(X>Y)と、が予め設定されている。有識者選出部14は、まず、知識度が閾値X以上の有識者候補が存在する場合(ステップ105でY)、その有識者候補を有識者として選出する(ステップ106)。閾値X=60と設定されていたとすると、有識者選出部14は、
図7に例示した知識度分析結果テーブルの中からユーザB,C,Gを選出することになる。そして、提示部15は、その選出された有識者を検索実施者に提示する(ステップ114)。検索実施者であるユーザAに提示される有識者は、ユーザAの直接の知り合いであるため、ユーザAは、訊きやすい相手に連絡を取れることになる。
【0040】
知識度が閾値X以上の有識者候補が存在しない場合(ステップ105でN)、検索実施者であるユーザAと関係度の高い直接の知り合いには、当該カテゴリの有識者が存在しないということになる。ただ、ユーザAの直接の知り合いに有識者がいないとしても、ある程度の知識は有しているとみなせる有識者候補(知識度が閾値Y以上の有識者候補)の直接の知り合いには、そのカテゴリに関し有識者候補以上の知識を有している可能性が少なくない。
【0041】
そこで、本実施の形態における有識者選出部14は、知識度が閾値X未満であっても閾値Y以上の有識者候補が存在する場合(ステップ107でY)、その有識者候補の直接の知り合いまで有識者の検索範囲を拡げてみる。但し、検索実施者が、検索条件として直接の知り合いのみに絞っている場合、すなわち検索条件の中継数に0を指定していた場合(ステップ108でY)、検索範囲を拡げずに処理を終了する。また、閾値Y以上の有識者候補が存在しない場合も(ステップ107でN)、処理を終了する。
【0042】
一方、検索条件に指定された中継数が1以上の場合(ステップ108でN)、検索範囲を拡げて有識者を探す処理に移行する。まず、次回のためにnに1を加算する(ステップ109)。続いて、有識者選出部14は、関係度算出部12に処理を依頼して、X>知識度≧Yである各有識者候補と関係度の高い有識者候補を抽出する(ステップ110)。この場合、検索実施者と直接の知り合いの有識者候補と直接の知り合いの有識者候補を抽出することになるが、このように、検索実施者と直接の知り合いではない有識者候補のことを、本実施の形態では、「派生有識者候補」と称することにする。
【0043】
派生有識者候補を抽出すると、有識者選出部14は、知識度算出部13に処理を依頼して、各派生有識者候補の知識度を算出する(ステップ111)。以上の処理により有識者選出部14が派生有識者候補に対して得た知識度及び関係度をまとめた知識度関係度分析結果テーブルのデータ構成の一例を
図8に示す。
図8には、上記の処理にて算出した知識度及び関係度と、当該有識者候補がどのユーザを介して検索実施者と関係があるのかを、その派生の経路が設定される。
【0044】
ここで、閾値X=60、閾値Y=40だとする。
図7に例示した設定例においては、X以上の知識度の有識者候補としてユーザB,C,Gが存在するが、ここでは存在しないものと想定する。その場合、ユーザJが処理対象となる有識者候補となる。そして、
図8に例示した設定例によると、ユーザH,S,Pが派生有識者候補である。ユーザH,S,Pは、ユーザJの直接の知り合いだが、ユーザAの直接の知り合いではなく、中継数1の関係にある。なお、厳密には、関係度が低いことからステップ103において抽出されなかったユーザの可能性もある。
【0045】
知識度が閾値X以上の派生有識者候補が存在する場合(ステップ112でY)、有識者選出部14は、その派生有識者候補を有識者として選出する(ステップ113)。そして、提示部15は、その選出された有識者を検索実施者に提示する(ステップ114)。
【0046】
一方、知識度が閾値X以上の有識者候補が存在しない場合(ステップ112でN)、有識者選出部14は、検索実施者により指定された中継数以内であれば(ステップ108でN)、前述したステップ109以降の処理を繰り返し、有識者を選出する(ステップ113)。ステップ109以降の処理を繰り返し、検索実施者により指定された中継数を超えた場合(ステップ108でY)、処理を終了する。
【0047】
本実施の形態によれば、以上のようにして検索実施者と直接の知り合いの中から有識者を探し出すようにしたので、検索実施者は、その有識者から知識を聞き出しやすい。また、直接の知り合いでないにしても、近い関係の有識者を選出するようにしたので、直接の知り合いと比較すると連絡を取りにくいかもしれないが、全く関係のない有識者と比較すると相対的に連絡はしやすい関係にあると考えられる。場合によっては、直接の知り合いを介して連絡を取ることも可能である。
【0048】
なお、本実施の形態では、X>知識度≧Yである有識者候補に基づく処理(ステップ108以降の処理)は、知識度がX以上の有識者候補が存在しない場合に実施するようにしたが、知識度がX以上の有識者候補が存在しても無条件に行うようにしてもよいし、例えば、知識度がX以上の有識者候補の人数が少ない場合に限って行うようにしてもよい。最終的には、提示された有識者の中から検索実施者が連絡を取る人を決めるので、また、各有識者の関係度及び知識度の各データを提示するので、検索実施者にはある程度の有識者数を提示した方がよいとも考えられるからである。
【0049】
ところで、上記説明では、直接の知り合いの有識者候補の知識度が閾値Y未満の場合、また派生有識者候補の知識度が閾値X未満の場合、検索実施者に有識者を提示しないように説明した。ただ、検索実施者にとってみれば不便かもしれないので以下のようにして有識者を提示するようにしてもよい。
【0050】
すなわち、有識者選出部14は、関係度は求めずに、知識度算出部13に処理を依頼して、知識度の高い方から所定数(L)の者を有識者候補として選出する。続いて、関係度算出部12に処理を依頼して、各有識者候補の関係度を算出する。そして、有識者選出部14は、関係度が所定の閾値Z以上となる有識者候補を有識者として選出する。ここで、有識者が選出できなければ、関係度が所定の閾値Z以上となる有識者候補が抽出できるまで、有識者候補として選出するための所定数(L)を増やしながら上記と同じ処理を繰り返す。このように、有識者を選出できない場合でも、関係度が所定の閾値Z以上となる有識者候補を抽出するようにして、検索実施者と少しでも関係のありそうな人の中から有識者を選出するようにした。ただ、関係度をある程度犠牲にして有識者を選出した場合、提示部15は、その旨を検索実施者に通知するのが好適である。以上の処理により選出した有識者に対して得た知識度及び関係度をまとめた知識度関係度分析結果テーブルのデータ構成の一例を
図9に示す。この処理では、関係度をある程度犠牲にして有識者を選出した分、知識度の高い有識者が選出される可能性がある。
【0051】
本実施の形態における提示部15は、以上のようにして検索実施者に有識者を提示することになる。基本的には、上記処理により求めた関係度及び知識度等
図7〜
図9の分析結果テーブルの内容を検索実施者に提示することになる。検索実施者は、基本的には、分析結果を参照して、関係度が高く、かつ知識度も高い有識者を選択し、その有識者に連絡を取り、直接会って知識を修得するよう行動することが想定される。ただ、有識者にも予定というものがあり、連絡を取ったとしても会えるとは限らない。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、各有識者のスケジュール等を合わせて検索実施者に提示できるようにした。以下、この提示部15における提示内容について説明する。
【0053】
図10は、本実施の形態におけるスケジュール情報記憶部19に記憶されたスケジュール情報のデータ構成の一例を示した図である。スケジュール情報には、各ユーザのスケジュール、少なくとも検索実施者と有識者のスケジュール情報が含まれている。具体的には、各ユーザのユーザIDに対応させて、スケジュールの内容を特定するイベントIDとそのイベント名、そのイベントの開始予定日時及び終了予定日時、イベントの開催される場所が設定される。
【0054】
スケジュール調整部16は、スケジュール情報記憶部19に記憶された検索実施者及び有識者のスケジュール情報を分析して、必要により移動させて検索実施者の有識者とのコンタクトを試行する。
【0055】
例えば、
図11に例示したように、検索実施者(ユーザA)と有識者であるユーザB,Cとのスケジュールを対比してみる。ユーザAは、当日、X事務所での予定があって、その後にY事務所で予定が入っている。ユーザBには、Y事務所での予定のみがある。スケジュール調整部16は、各自の空き時間を求め、移動が必要であれば、その移動時間を考慮して、会う場所を検討する。この結果、
図12に示したように、ユーザAは、X事務所での予定が終了次第、Y事務所に移動すれば、ユーザBの2つの予定の間、若しくは2つ目の予定終了後にY事務所で会える可能性がある。
【0056】
また、ユーザCは、当日、Y事務所での予定があって、その後にX事務所で予定が入っている。スケジュール調整部16は、各自の空き時間を求め、移動が必要であれば、その移動時間を考慮して、会う場所を検討する。この結果、1つのケースとして、
図13に示したように、ユーザAは、X事務所での予定が終了次第、Y事務所に移動し、その直後にY事務所でユーザCと会える可能性がある。ユーザCは、Y事務所からX事務所への移動時間を考慮して、13時30分までユーザAと会うことは可能である。あるいは、他のケースとして、
図14に示したように、ユーザCは、次の予定を考慮してY事務所での予定が終了次第、X事務所へ移動する。ユーザAは、Y事務所への移動時間を考慮すると、14時30分までユーザCと会える可能性がある。
【0057】
上記スケジュールの調整は、1対1の場合であったが、3人全員で会う時間が作れるかを検討してみてもよい。スケジュール調整部16は、各自の空き時間を求め、移動が必要であれば、その移動時間を考慮した結果、
図15に示したように、12時から13時30分の間にY事務所で3人が揃って会える可能性がある。
【0058】
提示部15は、以上のようにスケジュール調整部16により具体的な検討された会う時間も会わせて検索実施者の検索結果を提示してもよい。
【0059】
図16は、提示部15がKnowWho検索処理の結果を提示する際の表示の一例を示した図である。
図16には、検索実施者である自分(ユーザA)を中心に、上記KnowWho検索処理により選出された有識者候補(ユーザB,C,D,G,J)を示す円形状のノード41が示されている。
図16には、更にユーザJから派生した有識者(ユーザH,S,P)を示すノードも表示されている。各ノード41を連結するアーク(線)44の接続関係が関係性を示している。
図16においては、ユーザAの直接の知り合いである中継数が0のノード41は、第1の楕円42の中に図示される。ユーザAの直接の知り合いから派生した中継数が1の有識者のノード41は、第1の楕円42の外側であって第1の楕円42を囲む第2の楕円43の中に図示される。
【0060】
また、各ノード41は、知識度によって太さを異ならせる。本実施の形態では、知識度が高いほど太い線で図示する。また、ノード41を接続するアーク44は、関係度によって太さを異ならせる。本実施の形態では、関係度が高いほど太い線で図示する。
【0061】
このKnowWho検索処理の結果を参照することで、単なる知識度の高低という観点だけではなく人間関係も一目瞭然にわかるので、検索実施者は、聞きやすさ、お願いのしやすさなどを加味して誰から知識を聞き出すのがよいのか特定しやすくなる。
【0062】
なお、ノード41やユーザAとの関係度の高さを表す楕円42,43は、
図16に示した形状でなくてもよい。楕円42,43は、直接の知り合いか、派生か、派生の場合はその階層関係(中継数)がわかれば、つまり検索実施者との関係度の高低がわかるように図示すれば、必ずしも楕円で図示する必要はない。例えば、形状、サイズ、線種や色等種々の属性を異ならせることで表現してもよい。
【0063】
更に、
図16には、各自のスケジュール情報やコミュニケーションツールの利用履歴を分析して、種々のマーク45により各ユーザの状態を視覚的模式的に示している。例えば、発言数がコンスタントに多いユーザは、忙しくてもいろいろと相談に乗ってくれそうと判断したり、発言内容にポジティブの単語を多く記載するユーザは、機嫌が良さそうと判断したりする。検索実施者であるユーザAは、マーク45の種類を参照して、どの有識者に連絡を取るのが効率的であるか、一目瞭然にわかる。