(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586818
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】診療支援装置、診療支援方法、診療支援プログラム、生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20191001BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20191001BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20191001BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B5/022 400Z
G16H50/30
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-163544(P2015-163544)
(22)【出願日】2015年8月21日
(65)【公開番号】特開2017-38844(P2017-38844A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】山下 新吾
【審査官】
伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/095675(WO,A1)
【文献】
特開平11−221196(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/114180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/01
A61B 5/02 − 5/03
G16H 50/00 − 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、
前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備え、
前記出力部は、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力する診療支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の診療支援装置であって、
前記出力部は、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づいて、前記被測定者が、特定の場所情報に基づく場所に依存して身体状態が異常になるタイプか否かを通知するための情報を出力する診療支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の診療支援装置であって、
前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の平均値を当該場所情報に対する前記数値指標として生成する診療支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の診療支援装置であって、
前記生体情報は、血圧値、脈拍、又は脈圧である診療支援装置。
【請求項5】
請求項1記載の診療支援装置であって、
前記出力部は、前記数値指標と、当該数値指標に対応する場所情報とを表示部に表示させ、前記表示部の画面上で任意の前記場所情報が選択されると、当該場所情報に属する位置情報に対応付けられた前記生体情報を前記表示部に表示させる診療支援装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の診療支援装置と、
前記生体情報を測定する生体情報測定部と、
前記位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記生体情報と、当該生体情報の測定時に前記位置情報取得部で取得された位置情報とを対応付けた前記データを記憶する記憶部と、を備え、
前記データ取得部は、前記記憶部から前記データを取得する生体情報測定装置。
【請求項7】
被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、
前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備え、
前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成する診療支援装置。
【請求項8】
被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、
前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備え、
前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、
前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成する診療支援装置。
【請求項9】
請求項8記載の診療支援装置であって、
前記第一の生体情報は血圧値であり、前記第二の生体情報は脈拍である診療支援装置。
【請求項10】
コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、
コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、
コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備え、
前記情報出力ステップで、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力する診療支援方法。
【請求項11】
被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、
前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報として、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるための診療支援プログラム。
【請求項12】
コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、
コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、
コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備え、
前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成する診療支援方法。
【請求項13】
コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、
コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、
コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備え、
前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、
前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成する診療支援方法。
【請求項14】
被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、
前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成する診療支援プログラム。
【請求項15】
被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、
前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、
前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成する診療支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療支援装置、診療支援方法、診療支援プログラム、及び生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧及び脈拍数等の生体情報は、ある程度長い期間に渡って測定された継続的な情報を用いることで診療に役立てることが可能である。継続して測定される生体情報を他の情報と対応付けて記憶する技術として、特許文献1,2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1には、継続的に生体情報を取得することのできる脈拍センサを搭載する装置が、脈拍センサによって検出された生体情報と、装置の位置情報とを対応付けた状態で監視コンピュータに転送するシステムが記載されている。このシステムによれば、監視コンピュータを操作することで、例えば患者の生体情報が急変したこと、その急変した患者の位置がどこであるか、等を知ることができる。
【0004】
特許文献2には、生体情報取得部と位置情報取得部とを有し、生体情報取得部で測定された生体情報と、位置情報取得部で取得された位置情報とを対応付けて記録する携帯電話機が記載されている。この携帯電話機によれば、生体情報と位置情報を対応付けたログデータを得ることができるため、精度の高い健康管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−152374号公報
【特許文献2】特開2008−229092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2には、生体情報と位置情報を対応付けて記憶することが記載されているが、この記憶した情報をどのように利用するかについては詳述されていない。生体情報と位置情報を単に対応付けて記憶するだけでは、医師による診療に役立つ情報を得ることは容易ではない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、診療に役立つ情報を出力して診療を支援することが可能な診療支援装置、診療支援方法、診療支援プログラム、及び診療支援装置を有する生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の診療支援装置は、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備え、前記出力部は、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力するものである。
【0009】
本発明の生体情報測定装置は、前記診療支援装置と、前記生体情報を測定する生体情報測定部と、前記位置情報を取得する位置情報取得部と、前記生体情報と、当該生体情報の測定時に前記位置情報取得部で取得された位置情報とを対応付けた前記データを記憶する記憶部と、を備え、前記データ取得部は、前記記憶部から前記データを取得するものである。
本発明の診療支援装置は、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、
前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備え、前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成するものである。
本発明の診療支援装置は、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備え、前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成するものである。
【0010】
本発明の診療支援方法は、コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備え、前記情報出力ステップで、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力するものである。
本発明の診療支援方法は、コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備え、前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成するものである。
本発明の診療支援方法は、は、コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備え、前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成するものである。
【0011】
本発明の診療支援プログラムは、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報として、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
本発明の診療支援プログラムは、測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成するものである。
本発明の診療支援プログラムは、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、前記指標生成ステップで、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、診療に役立つ情報を出力して診療を支援することが可能な診療支援装置、診療支援方法、診療支援プログラム、及び診療支援装置を有する生体情報測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態を説明するための生体情報測定装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】図
1に示す制御部1の機能ブロック図である。
【
図3】
図1に示す記憶部6に記憶されるデータを示す図である。
【
図4】
図1に示す制御部1が場所情報毎に生成する数値指標の例を示す図である。
【
図5】
図1に示す制御部1の診療支援モード時の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための生体情報測定装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
生体情報測定装置100は、全体を統括制御する制御部1と、生体情報測定部2と、位置情報取得部3と、表示部4と、操作部5と、記憶部6と、を備える。
【0017】
生体情報測定部2は、周知の構成により、被測定者の血圧情報(最高血圧値、最低血圧値、及び脈圧等)及び脈拍数等の生体情報を測定する。
【0018】
生体情報測定部2は、カフを用いたオシロメトリック法によって血圧情報や脈拍数を測定する構成や、特開2004−113368号公報、特開平02−261421号公報、特開平07−124130号公報、及び特開平01−242031号公報等に記載されている圧脈波センサを橈骨動脈に押圧することで血圧情報や脈拍数を測定する構成等を採用可能である。
【0019】
生体情報測定部2は、予め決められたタイミングで生体情報の測定を継続的に行い、測定した生体情報を測定時刻と対応付けて制御部1に伝達する。
【0020】
位置情報取得部3は、生体情報測定部2によって生体情報が測定された時点での生体情報測定装置100の位置情報(例えば緯度及び経度)を取得し、取得した位置情報を時刻と対応付けて制御部1に伝達する。
【0021】
位置情報取得部3は、例えばGPS(Global Positioning system)受信機を含み、GPS受信機で受信される位置情報を取得する。位置情報取得部3は、生体情報測定装置100の位置情報を取得できればよく、例えば、ワイファイやブルートゥース等による基地局との通信情報に基づいて位置情報を推定して取得してもよい。または、生体情報測定装置100と、位置情報を取得する機能を有する電子機器(スマートフォン等)とを通信可能とし、生体情報測定装置100の位置情報取得部3が電子機器に位置情報送信をリクエストして、位置情報を取得してもよい。
【0022】
制御部1は、生体情報測定部2から伝達された生体情報と、この生体情報に対応付けられた時刻情報と同じ時刻情報が対応付けられている位置情報取得部3から伝達された位置情報とを対応付けて記憶部6に記憶する。
【0023】
表示部4は、測定された生体情報等の各種情報を表示するためのものであり、例えば液晶等により構成される。
【0024】
操作部5は、制御部1に対する指示信号を入力するためのインターフェースであり、生体情報の測定を含む各種動作の開始を指示するためのボタン等により構成される。
【0025】
記憶部6は、制御部1に所定の動作をさせるためのプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)、ワークメモリとしてのRAM(Randam Access Memory)、及び、生体情報と位置情報と時刻情報とが対応付けられたデータ(以下、分析用データという)を含む各種情報を記憶するフラッシュメモリ等を含む。
【0026】
記憶部6には、被測定者の自宅、被測定者の職場、及び被測定者が通う病院などの指定された場所を示す場所情報を操作部5の操作によって記録しておくことが可能となっている。場所情報は、場所の名称と、指定された場所(自宅住所、職場住所、病院住所)を中心とする所定範囲(例えば半径数m)の地図情報とを含む。
【0027】
制御部1は、記憶部6のROMに記憶された診療支援プログラムを実行することにより、データ取得部11と、指標生成部12と、出力部13として機能する。
制御部1は診療支援装置として機能する。
【0028】
図2は、
図1に示す制御部1の機能ブロックを示す図である。
【0029】
データ取得部11は、記憶部6に記憶されている分析用データを取得する。
【0030】
指標生成部12は、分析用データに含まれる位置情報のうち、記憶部6に登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、この各々の場所情報に対し、被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する。
【0031】
図3は、分析用データの一例を示す図である。
図3に示すように、分析用データは、生体情報(
図3では最高血圧値としている)と、その生体情報が測定された時点での位置情報と、その生体情報が測定された時刻とが対応付けられたデータである。
【0032】
図3の分析用データは、被測定者が、時刻t1〜t4の間は自宅に滞在し、その後に移動して、時刻t6〜t10の間は職場に滞在し、その後に移動して、時刻t11〜t15の間は病院に滞在する行動をとったときの例を示している。
【0033】
指標生成部12は、記憶部6に登録された被測定者の自宅の場所情報に属する位置情報に対応する生体情報を抽出し、抽出した生体情報に基づいて、自宅の場所情報に対応する数値指標を算出する。
【0034】
図3の例では、指標生成部12は、自宅の場所情報に属する位置情報G1〜G4に対応する血圧値B1〜B4の平均値を、被測定者の身体状態(ここでは血圧の高低)を判断するための数値指標として算出する。この数値指標の大きさにより、自宅において被測定者は高血圧なのか否かを判断することができる。
【0035】
同様に、指標生成部12は、記憶部6に登録された被測定者の職場の場所情報に属する位置情報に対応する生体情報を抽出し、抽出した生体情報に基づいて、職場の場所情報に対応する数値指標を算出する。
【0036】
図3の例では、指標生成部12は、職場の場所情報に属する位置情報G6〜G10に対応する血圧値B6〜B10の平均値を、被測定者の身体状態を判断するための数値指標として算出する。この数値指標の大きさにより、職場において被測定者は高血圧なのか否かを判断することができる。
【0037】
同様に、指標生成部12は、記憶部6に予め登録された被測定者の通う病院の場所情報に属する位置情報に対応する生体情報を抽出し、抽出した生体情報に基づいて、病院の場所情報に対応する数値指標を算出する。
【0038】
図3の例では、指標生成部12は、病院の場所情報に属する位置情報G12〜G15に対応する血圧値B12〜B15の平均値を、被測定者の身体状態を判断するための数値指標として算出する。この数値指標の大きさにより、病院において被測定者は高血圧なのか否かを判断することができる。
【0039】
図4は、指標生成部12によって生成される数値指標の一例を示す図である。
図4に示すように、登録された場所情報毎に、数値指標としての血圧平均値が算出され、このデータが記憶部6に記憶される。
【0040】
出力部13は、指標生成部12により生成された
図4に示す数値指標に基づく出力を行う。
【0041】
図5は、
図1に示す生体情報測定装置100の動作を説明するためのフローチャートである。生体情報測定装置100は診療支援モードを搭載しており、操作部5の操作によって、このモードに設定されると、
図5に示す動作が開始される。以下では、生体情報が最高血圧値であるものとして説明する。
【0042】
まず、制御部1のデータ取得部11は、記憶部6に記憶されている分析用データを取得する(ステップS1)。
【0043】
次に、制御部1の指標生成部12は、記憶部6に記憶されている場所情報毎に、その場所情報に属する位置情報(場所情報で指定される範囲に含まれる位置情報)を分析用データから抽出し、抽出した位置情報に対応する血圧値の平均値を数値指標として算出する(ステップS2)。
【0044】
場所情報毎に数値指標が算出されると、制御部1の出力部13は、場所情報毎に生成された数値指標のうち、最小となる数値指標との差が第一の閾値以上となる第一の数値指標があるか否かを判定する(ステップS3)。
【0045】
ステップS3の判定がYESのとき、出力部13は、第一の数値指標に対応する場所情報に基づく場所に依存して被測定者の身体状態が異常になることを通知するための情報を出力する。情報の出力方法としては、表示部4に情報を表示させる方法、外部のプリンタ等によって情報を紙に印刷する方法等がある。
【0046】
例えば、ステップS2で算出された数値指標が
図4に示すものである場合、数値指標の最小値は120mmHgである。第一の閾値を40mmHgとすると、160mmHgが第一の数値指標となる。このため、出力部13は、ステップS3の判定がYESのときは、この160mmHgに対応する職場の場所情報にしたがい、“被測定者は職場において血圧が高くなる傾向にある”ことを示す情報(高血圧のタイプを示す情報)を生成し、この情報を表示部4に表示させる。この情報により、医師は、被測定者の高血圧のタイプを知ることができ、診療に役立てることができる。
【0047】
ステップS3の判定がNOのとき、出力部13は、被測定者が場所に依存して血圧が高くなる(身体状態が異常になる)タイプではないことを示す情報を表示部4に表示させる(ステップS5)。ステップS3の判定がNOとなるのは、場所毎の血圧平均値がどれも同じ程度である状況であり、この状況では、場所に依存した身体状態の変化はないと判断することができるため、ステップS5の処理が行われる。
【0048】
なお、ステップS3の処理を行わずに、ステップS2の後、出力部13は、ステップS2において算出された数値指標を、この数値指標に対応する場所情報と共に表示部4に表示させてもよい。これにより、表示部4には、例えば
図4に示す画像が表示される。
【0049】
この画像により、医師は、被測定者が場所に依存して血圧が高くなるタイプなのかどうか、そのようなタイプの場合は、どの場所で血圧が高くなるのか、といったことを知ることができ、診療に役立てることができる。
【0050】
また、出力部13は、ステップS2の後、場所情報毎に生成された数値指標について、場所情報毎に予め決められた第二の閾値以上となるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、被測定者が場所に依存して身体状態に変化があるタイプか否かを表示部4に表示させてもよい。
【0051】
場所に依存して身体状態が変化するタイプの代表例としては白衣高血圧がある。この白衣高血圧の診断基準は、病院での血圧値が140mmHg以上かつ自宅での血圧値が135mmHg以下である。このため、例えば、自宅に対して決められた第二の閾値を135mmHgとし、病院に対して決められた第二の閾値を140mmHgとすることで、被測定者が白衣高血圧か否かを判定することができる。
【0052】
図4の例では、自宅に対応する数値指標は第二の閾値未満となり、病院に対応する数値指標は第二の閾値未満であるため、被測定者は白衣高血圧ではないと判断できる。このように、出力部13は、場所情報毎の数値指標に基づいて、場所情報に基づく場所に依存して被測定者の身体状態が異常になることを通知するための情報を生成し、表示部4に出力してもよい。
【0053】
なお、出力部13は、ステップS1で取得した分析データを
図3に示すような形式で表示部4に表示させてもよい。このように分析データを表示させることで、より多くの情報を医師に提供することができ、効果的な診断支援を実現することができる。
【0054】
また、
図4に示す情報を表示する画面と、
図3に示す情報を表示する画面とを操作部5の操作によって任意に切り替えられるようにしてもよい。例えば、
図4の状態で“職場”が記されたブロックをタッチ操作すると、
図3の時刻t6〜時刻t10のデータが拡大表示されるようにする。これにより、大まかな情報の確認から細かい情報の確認をスムーズに行うことができ、効率的な診断が可能になる。
【0055】
生体情報測定装置100の測定対象とする生体情報は、場所によって変化があると想定されるものであれば何でもよく、例えば脈拍であってもよい。
【0056】
脈拍を測定対象とした場合、指標生成部12は、自宅、職場、病院の各々に対応する数値指標として、その場所で測定された脈拍の平均値を算出する。脈拍の平均値が小さいと不整脈が疑われるため、この数値指標を見ることで、不整脈の有無の判定に役立てることができる。また、自律神経異常により、場所によって不整脈が発生するケースもあるため、場所毎の脈拍に関する数値指標を見ることで、不整脈の原因を探ることが可能となる。
【0057】
また、生体情報測定装置100の測定対象とする生体情報は、血圧値と脈拍の両方であってもよい。このように、複数の生体情報を測定対象とすることで、被測定者の場所に依存した身体状態をより多面的に判断することができる。
【0058】
以上の説明では、数値指標として生体情報の平均値を算出するものとしたが、生体情報の変動量を数値指標としてもよい。
【0059】
例えば、生体情報が血圧値であれば、ある場所情報に属する複数の位置情報に対応する血圧値について、対応時刻が隣接するもの同士の差を算出する。そして、この差の平均値(血圧値の変動量)を数値指標とすれよい。
【0060】
生体情報の変動量を数値指標とすることで、例えば血圧値の変動量が大きくなる場所を医師が容易に知ることができ、診療に役立てることができる。また、生体情報の分散を数値指標としても同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、測定対象とする生体情報を血圧値と脈拍とし、場所毎の数値指標を、その場所で測定された血圧値の変動量と、その場所で測定された脈拍の変動量の比としてもよい。2つの生体情報の変動量の比を数値指標にすることで、1つだけの生体情報から数値指標を算出する場合より多くの情報に基づいた指標を算出することができる。このため、被測定者の身体状態をより反映した指標を医師に提供することができる。ここでは血圧値と脈拍の各々の変動量の比としたが、脈圧と脈拍の各々の変動量の比としてもよい。つまり、複数の生体情報の各々の変動量の比を数値指標とすればよい。
【0062】
以上説明した制御部1のデータ取得部11、指標生成部12、及び出力部13は、生体情報測定装置100とは別の電子機器に持たせる構成でもよい。つまり、生体情報測定装置100には、分析用データと場所情報を記憶部6に記憶する機能を持たせておき、生体情報測定装置100を外部のコンピュータと接続したときに、このコンピュータが、データ取得部11、指標生成部12、及び出力部13として機能して、数値指標に基づく出力を行ってもよい。
この場合は、このコンピュータが診療支援装置として機能する。
【0063】
本実施形態の制御部1が行う
図5に示した各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記録媒体に記録される。
【0064】
このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、メモリカード等の磁気記録媒体等を含む。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0065】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0066】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0067】
開示された診療支援装置は、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得部と、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成部と、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく出力を行う出力部と、を備えるものである。
【0068】
開示された診療支援装置は、前記出力部は、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づいて、前記被測定者が、特定の場所情報に基づく場所に依存して身体状態が異常になるタイプか否かを通知するための情報を出力するものである。
【0069】
開示された診療支援装置は、前記出力部は、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標と、前記数値指標に対応する場所情報とを出力するものである。
【0070】
開示された診療支援装置は、前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の平均値を当該場所情報に対する前記数値指標として生成するものである。
【0071】
開示された診療支援装置は、前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた生体情報の変動量を当該場所情報に対する前記数値指標として生成するものである。
【0072】
開示された診療支援装置は、前記被測定者から測定された生体情報は、第一の生体情報と第二の生体情報を含み、前記指標生成部は、前記場所情報に属する複数の位置情報に対応付けられた前記第一の生体情報及び前記第二の生体情報の各々の変動量の比を前記数値指標として生成するものである。
【0073】
開示された診療支援装置は、前記第一の生体情報は血圧値であり、前記第二の生体情報は脈拍であるものを含む。
【0074】
開示された診療支援装置は、前記生体情報は、血圧値、脈拍、又は脈圧であるものを含む。
【0075】
開示された生体情報測定装置は、前記診療支援装置と、前記生体情報を測定する生体情報測定部と、前記位置情報を取得する位置情報取得部と、前記生体情報と、当該生体情報の測定時に前記位置情報取得部で取得された位置情報とを対応付けた前記データを記憶する記憶部と、を備え、前記データ取得部は、前記記憶部から前記データを取得するものである。
【0076】
開示された診療支援方法は、コンピュータが、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、コンピュータが、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、コンピュータが、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、を備えるものである。
【0077】
開示された診療支援プログラムは、被測定者から測定された生体情報と、前記生体情報の測定時における前記被測定者の位置情報とが対応付けられたデータを取得するデータ取得ステップと、前記データに含まれる位置情報のうち、予め登録された複数の場所情報の各々に属する位置情報に対応付けられた生体情報に基づいて、前記各々の場所情報に対し、前記被測定者の身体状態を判断するための数値指標を生成する指標生成ステップと、前記複数の場所情報毎に生成された数値指標に基づく情報を出力する情報出力ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0078】
100 生体情報測定装置
1 制御部
2 生体情報測定部
3 位置情報取得部
6 記憶部
11 データ取得部
12 指標生成部
13 出力部