特許第6586835号(P6586835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6586835プロキシミティ露光装置およびプロキシミティ露光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586835
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】プロキシミティ露光装置およびプロキシミティ露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   G03F7/20 502
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-181138(P2015-181138)
(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-58414(P2017-58414A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】新堀 真史
(72)【発明者】
【氏名】井上 豊治
【審査官】 今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−324816(JP,A)
【文献】 特開2013−012718(JP,A)
【文献】 特開2012−237860(JP,A)
【文献】 特開2013−205757(JP,A)
【文献】 特開2014−235965(JP,A)
【文献】 特開平06−337521(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0361196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のパターンが形成され、ワークと所定の間隙を設けて配置されるマスクを介して前記ワークを露光するプロキシミティ露光装置であって、
露光光としてショートアーク型フラッシュランプからの真空紫外光を含む平行光を放射する光源部と、
前記マスクを保持するマスクステージと、
前記ワークを保持するワークステージと、
前記マスクステージに保持された前記マスクと前記ワークステージに保持された前記ワークとの間隙に連通する空間に、酸素を含む処理気体を供給する気体供給部と、
前記露光光を前記ワークへ照射する露光処理に先立って、前記マスクと前記ワークとの距離を、露光時における前記マスクと前記ワークとの距離である第一の距離よりも大きい第二の距離に切り替える制御部と、を備え
前記制御部は、
前記露光処理中に、前記ショートアーク型フラッシュランプを消灯して当該露光処理を停止し、
前記マスクと前記ワークとの距離を前記第一の距離から前記第二の距離に切り替えた後、前記マスクに対する前記ワークの位置を変えずに、前記マスクと前記ワークとの距離を前記第二の距離から前記第一の距離に切り替え、
前記ショートアーク型フラッシュランプを再点灯して前記露光処理を再開することを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記ワークステージを移動するワークステージ移動機構をさらに備え、
前記制御部は、
前記ワークステージ移動機構を駆動制御することで、前記マスクと前記ワークとの距離を切り替えることを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記マスクステージを移動するマスクステージ移動機構をさらに備え、
前記制御部は、
前記マスクステージ移動機構を駆動制御することで、前記マスクと前記ワークとの距離を切り替えることを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ワークステージに前記ワークが搬入されてから、前記ワークステージから前記ワークが搬出されるまでの間に、複数回、前記露光処理の停止、前記マスクと前記ワークとの距離の切り替え、および前記露光処理の再開を繰り返すことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項5】
前記気体供給部は、
前記露光処理中、前記空間への前記処理気体の供給を停止することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項6】
前記処理気体は、酸素、オゾン、および水蒸気の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項7】
所定のパターンが形成され、ワークと所定の間隙を設けて配置されたマスクを介して前記ワークを露光するプロキシミティ露光方法であって、
露光光としてショートアーク型フラッシュランプからの真空紫外光を含む平行光を放射する第1のステップと、
マスクステージに保持された前記マスクとワークステージに保持された前記ワークとの間隙に連通する空間に、酸素を含む処理気体を供給する第2のステップと、
前記露光光を前記ワークへ照射する露光処理に先立って、前記マスクと前記ワークとの距離を、露光時における前記マスクと前記ワークとの距離である第一の距離よりも大きい第二の距離に切り替える第3のステップと、を含み、
前記第3のステップでは、
前記露光処理中に、前記ショートアーク型フラッシュランプを消灯して当該露光処理を停止し、
前記マスクと前記ワークとの距離を前記第一の距離から前記第二の距離に切り替えた後、前記マスクに対する前記ワークの位置を変えずに、前記マスクと前記ワークとの距離を前記第二の距離から前記第一の距離に切り替え、
前記ショートアーク型フラッシュランプを再点灯して前記露光処理を再開することを特徴とするプロキシミティ露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを介してワークに対して露光光を照射するプロキシミティ露光装置およびプロキシミティ露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長200nm以下の真空紫外(Vacuum Ultra Violet:VUV)光は、半導体露光以外の様々な分野で用いられている。例えば、フォトレジストによるパターン形成工程を用いずに、VUVとマスクとを用いて、直接光で化学反応を引き起こして自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM膜)等をパターニングする技術が開発されている。パターニングされたSAMは、例えば、有機薄膜トランジスタ用のゲート絶縁膜として用いられる。
特許文献1には、VUV光によるSAM膜の光パターニング処理を行う光照射装置が開示されている。VUV光は、大気等の酸素を含む処理雰囲気中では酸素に吸収され減衰する。そのため、特許文献1に記載の光照射装置では、VUV光が進行する光路を包囲する包囲部材内部を不活性ガスによりパージし、VUV光を減衰させることなくSAM膜に照射するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−235965公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、酸素を含まない雰囲気中においてSAM膜にVUV光を照射した場合、VUV光によるSAM膜の直接分解しか行われず、パターニング処理の処理速度を向上させることができない。そこで、光源からマスクまでの空間は不活性ガスによりパージし、マスクとワークとの間を大気等の酸素を含む処理雰囲気として、SAM膜にVUV光を照射することが考えられている。
【0005】
一方で、光パターニング処理においては、パターンの微細化に伴って高精度なパターン形成が望まれており、プロキシミティ露光装置では、マスクとワークとの間隙の大きさ(ギャップ)がミクロンオーダーとなる。このように、マスクとワークとの間隙が非常に小さい場合、当該間隙に酸素を含む処理ガスを供給することは困難である。したがって、上記のようなプロキシミティ露光装置においては、良好なパターニングができない。
そこで、本発明は、良好なパターニングを実現することができるプロキシミティ露光装置およびプロキシミティ露光方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るプロキシミティ露光装置の一態様は、所定のパターンが形成され、ワークと所定の間隙を設けて配置されるマスクを介して前記ワークを露光するプロキシミティ露光装置であって、露光光としてショートアーク型フラッシュランプからの真空紫外光を含む平行光を放射する光源部と、前記マスクを保持するマスクステージと、前記ワークを保持するワークステージと、前記マスクステージに保持された前記マスクと前記ワークステージに保持された前記ワークとの間隙に連通する空間に、酸素を含む処理気体を供給する気体供給部と、前記露光光を前記ワークへ照射する露光処理に先立って、前記マスクと前記ワークとの距離を、露光時における前記マスクと前記ワークとの距離である第一の距離よりも大きい第二の距離に切り替える制御部と、を備え、前記制御部は、前記露光処理中に、前記ショートアーク型フラッシュランプを消灯して当該露光処理を停止し、前記マスクと前記ワークとの距離を前記第一の距離から前記第二の距離に切り替えた後、前記マスクに対する前記ワークの位置を変えずに、前記マスクと前記ワークとの距離を前記第二の距離から前記第一の距離に切り替え、前記ショートアーク型フラッシュランプを再点灯して前記露光処理を再開する。
このように、酸素を含む処理気体が供給された空間において、マスクとワークとの距離を第一の距離よりも大きい第二の距離に切り替えるので、マスクとワークとの間隙がミクロンオーダーといった非常に小さい場合であっても、当該間隙に酸素を含む処理気体を供給することができる。そのため、酸素を含む処理気体の雰囲気中で真空紫外光による光パターニング処理を行うことができ、パターニング処理の処理速度を向上させることができる。
【0007】
また、上記のプロキシミティ露光装置において、前記ワークステージを移動するワークステージ移動機構をさらに備え、前記制御部は、前記ワークステージ移動機構を駆動制御することで、前記マスクと前記ワークとの距離を切り替えてもよい。この場合、簡易な構成でマスクとワークとの距離を調整することができる。通常、ワークステージは移動可能に構成されているため、新たに移動機構を追加する必要がなく、その分のコストを削減することができる。
さらに、上記のプロキシミティ露光装置において、前記マスクステージを移動するマスクステージ移動機構をさらに備え、前記制御部は、前記マスクステージ移動機構を駆動制御することで、前記マスクと前記ワークとの距離を切り替えてもよい。これにより、簡易な構成でマスクとワークとの距離を調整することができる。この場合、簡易な構成でマスクとワークとの距離を調整することができる。
【0008】
らに、上記のプロキシミティ露光装置において、前記制御部は、前記ワークステージに前記ワークが搬入されてから、前記ワークステージから前記ワークが搬出されるまでの間に、複数回、前記露光処理の停止、前記マスクと前記ワークとの距離の切り替え、および前記露光処理の再開を繰り返してもよい。この場合、露光処理を実施している間、マスクとワークとの間隙に安定して酸素を存在させておくことができる。したがって、より良好なパターニングを実現することができる。
【0009】
また、上記のプロキシミティ露光装置において、前記気体供給部は、前記露光処理中、前記空間への前記処理気体の供給を停止してもよい。この場合、マスクとワークとの間隙に存在する処理気体に真空紫外光が照射されることで発生したオゾン等の活性酸素が、処理気体の供給によって流れてしまうのを防止することができる。すなわち、露光処理中に発生した活性酸素をマスクとワークとの間にとどめておくことができ、良好なパターニングを実現することができる。
さらにまた、上記のプロキシミティ露光装置において、前記処理気体は、酸素、オゾン、および水蒸気の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、マスクとワークとの間隙に適切に光パターニングに寄与する酸素を供給することができる。
【0010】
また、本発明に係るプロキシミティ露光方法の一態様は、所定のパターンが形成され、ワークと所定の間隙を設けて配置されたマスクを介して前記ワークを露光するプロキシミティ露光方法であって、露光光としてショートアーク型フラッシュランプからの真空紫外光を含む平行光を放射する第1のステップと、マスクステージに保持された前記マスクとワークステージに保持された前記ワークとの間隙に連通する空間に、酸素を含む処理気体を供給する第2のステップと、前記露光光を前記ワークへ照射する露光処理に先立って、前記マスクと前記ワークとの距離を、露光時における前記マスクと前記ワークとの距離である第一の距離よりも大きい第二の距離に切り替える第3のステップと、を含み、前記第3のステップでは、前記露光処理中に、前記ショートアーク型フラッシュランプを消灯して当該露光処理を停止し、前記マスクと前記ワークとの距離を前記第一の距離から前記第二の距離に切り替えた後、前記マスクに対する前記ワークの位置を変えずに、前記マスクと前記ワークとの距離を前記第二の距離から前記第一の距離に切り替え、前記ショートアーク型フラッシュランプを再点灯して前記露光処理を再開する。
これにより、マスクとワークとの間隙がミクロンオーダーといった非常に小さい場合であっても、当該間隙に酸素を含む処理気体を供給することができる。そのため、酸素を含む処理気体の雰囲気中で真空紫外光による光パターニング処理を行うことができ、パターニング処理の処理速度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るプロキシミティ露光装置によれば、良好なパターニングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における光照射装置の構成例を示す図である。
図2】光源(SFL)の構成例を示す図である。
図3】真空紫外光光源装置の構成例を示す図である。
図4】ワークWへのVUV照射処理について説明する図である。
図5】VUV照射処理中のステージの動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における光照射装置の構成例を示す図である。
光照射装置100は、ワークWをマスクMに対して所定の間隙を設けて平行に配置し、マスクパターンが形成されたマスクMを介してワークWに露光光を照射するプロキシミティ露光装置である。光照射装置100は、ワークW上の露光部分において表面改質を行わせ、マスクパターンをワークWに転写する光パターニング装置である。
光照射装置100は、真空紫外光(VUV光)を放射する真空紫外光光源装置10を備える。真空紫外光光源装置10は、図2に示す光源11を有する光源部10aと、ランプハウジング13と、ランプハウジング13に設けられた窓部14とを備える。
光源11は、例えば点光源である。光源11としては、例えば、VUV領域の光強度が強いフラッシュランプを用いることができる。本実施形態では、光源11として、ショートアークフラッシュランプ(SFL)を用いる場合について説明する。光源11は、例えば、波長200nm以下の範囲に連続スペクトルを有するVUV光を放射するSFLとする。なお、本実施形態でいう連続スペクトルとは、線スペクトルではなく、例えば10nm以上といった充分に広い波長幅にわたって発光波長が連続的に分布している状態をいう。
【0014】
次に、光源11の具体的構成について説明する。
図2は、光源11の構成例を示す図である。この図2に示す光源11は、ダブルエンド型のSFLである。
光源11は、石英ガラス等のVUV光透過性材料からなる楕円球形状の発光管111aを備える。発光管111aの両端には第一封止管111bと第二封止管111cとが連設されている。また、第二封止管111cには封止用ガラス管112が挿入されており、両者は二重管部分で溶着されている。発光管111a内には、例えばキセノン(Xe)やクリプトン(Kr)等の希ガスが単独で、あるいは、上記の希ガスと、ハロゲンガス、Hガス又はNガスとの混合ガスが封入されている。
発光管111a内には、互いに対向する一対の電極(第一の主電極(陽極)113aと第二の主電極(陰極)113b)が配置されている。ここで、一対の電極113a,113bの電極間距離は、例えば1mm〜10mmである。
【0015】
第一の主電極113aから管軸に沿って外方に伸びる電極棒114aは、第一封止管111bの端部から外部に導出されている。この電極棒114aは、第一封止管111bの端部において、段継ぎガラスなどの手段により封着(ロッドシール)されている。また、第二の主電極113bから管軸に沿って外方に伸びる電極棒114bは、封止用ガラス管112の端部から外部に導出されている。この電極棒114bは、封止用ガラス管112の端部において、段継ぎガラスなどの手段により封着(ロッドシール)されている。一対の電極113a,113bは、例えば酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、アルミナ(Al)等の易電子放射性物質が含浸されたタングステン焼結体により構成されている。また、電極棒114a,114bは、例えばタングステンにより構成されている。
【0016】
また、発光管111a内の電極113aおよび113bの間には、始動用補助電極として、一対のトリガ電極115aおよび115bが配設されている。トリガ電極115a,115bは、例えば細い線状に形成されており、先端部が電極113aの先端と電極113bの先端とを結ぶ中心線上において互いに離間して位置するよう配置されている。トリガ電極115a,115bは、例えばニッケル、タングステンあるいはそれらを含む合金により構成されている。
【0017】
また、トリガ電極115aには、ロッド状の内部リード(内部リード棒)116aの一端が接続されている。内部リード116aは、電極棒114bに対して平行に管軸方向外方に伸び、第二封止管111cと封止用ガラス管112との二重管部分において、金属箔118aを介して外部リード117aに電気的に接続されている。これにより、箔シール構造が形成されている。同様に、トリガ電極115bには、ロッド状の内部リード(内部リード棒)116bの一端が接続されている。内部リード116bは、電極棒114bに対して平行に管軸方向外方に伸び、第二封止管111cと封止用ガラス管112との二重管部分において、金属箔118aとは周方向に異なる位置、例えば管軸を挟んで対向する位置に、金属箔118bを介して外部リード117bに電気的に接続されている。一対の内部リード116a,116bは、例えばタングステンにより構成されている。
【0018】
また、一対の内部リード116a,116b、および電極棒114bには、共通のサポータ部材119が設けられており、このサポータ部材119が陰極113b、およびトリガ電極115a,115bを適正な位置に配置する構成となっている。
電極棒114a,114bおよびトリガ電極115a,115bに係る外部リード117a,117bは、それぞれ外部の給電部15に接続されている。この給電部15は、所定のエネルギーを蓄えるコンデンサ(不図示)を有する。そして、給電部15は、当該コンデンサを充電することで一対の電極113aと113bとの間に高電圧を印加すると共に、トリガ電極115aと115bとの間にトリガ電圧としてパルス電圧を印加する。
これにより、陰極113bと陽極113aとの間でアーク放電(主放電)を生じさせ、光源11を点灯させることができる。
【0019】
光源11から放射されたVUV光は、図3に示すように楕円集光ミラー12によって反射され、照射光学系10bによって平行光となる。そして、この平行光が光源部10aから放射される光となり、図1のランプハウジング13に設けられた窓部14から出射する。窓部14は、例えば、VUV光に対して高い透過率を有する合成石英で形成する。なお、窓部14は、例えば、石英より短波長の透過率が良いサファイアガラスやフッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等により形成されていてもよい。
照射光学系10bは、図3に示すように、インテグレータレンズ16と、折り返しミラー17と、コリメータレンズ18とを備える。光源11から放射され、楕円集光ミラー12によって反射されたVUV光は、インテグレータレンズ16に入射する。インテグレータレンズ16から出射されたVUV光は、折り返しミラー17によって反射しコリメータレンズ18を介して、マスクMおよびワークWに対して照射される。このような構成により、ワークWに照射される露光光は、照度分布の均一性が保たれたVUV平行光となる。
【0020】
但し、インテグレータレンズ16やコリメータレンズ18は、真空紫外光光源装置10から放出されワークWに照射されるまでに光が進行する光路上に配置するため、VUV領域の光透過性の良い材料で構成する。なお、コリメータレンズ18に代えて、コリメータミラーを用いることもできる。また、照射光学系10bの構成は、図3に示す構成に限定されるものではなく、窓部14から出射される光が平行光線束となる構成であればよい。さらに、真空紫外光光源装置10は、光源11を複数用いる多灯式とすることもできる。また、光源11は、図3に示す水平点灯に限定されるものではなく、垂直点灯させることもできる。
【0021】
図1の窓部14は、ランプハウジング13と気密に組み立てられており、ランプハウジング13内部には、ランプハウジング13に設けられたガス導入口13aから窒素(N2)ガスなどの不活性ガスAが導入され、ランプハウジング13の内部は不活性ガスによりパージされて酸素濃度が低減されている。これは、VUVが酸素による吸収減衰を激しく受けるためであり、ランプハウジング13内を窒素(N2)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)などの不活性ガスによりパージすることによりVUVの酸素による吸収減衰を防止することができる。また、ランプハウジング13内部に導入された不活性ガスAは、フラッシュランプ11や楕円集光ミラー12を冷却した後ランプハウジング13に設けられた排気口13bから排気される。
なお、ランプハウジング13内部は、例えば真空であってもよいし、僅かに酸素を含む雰囲気であってもよい。また、コリメータレンズ18を窓部14の代わりに用い、ランプハウジング13を気密に組み立ててもよい。
【0022】
真空紫外光光源装置10から放射されたVUV光は、マスクMに入射され、当該マスクMを通してVUV光がパターン形成用基板であるワークWに照射される。マスクMは、例えば、ガラスやサファイア等の光透過性基板上にクロム等の遮光材を蒸着した後エッチングし、遮光部と該遮光部が設けられていない透光部とを含むパターン(照射パターン)を形成したものである。
マスクMとしては、例えば、バイナリーマスク、位相シフトマスクなどのフォトマスクを使用することができる。また、マスクMとして、金属等の遮光性基板に対して透光部である開口部がパターン状に設けられたメタルマスクを使用することもできる。
真空紫外光光源装置10の光出射側には、真空紫外光光源装置10から放射されマスクMに入射される光が進行する光路を包囲する包囲部材21が設けられている。マスクMは、包囲部材21に連結されたマスクステージ22によって水平状態を保って吸着保持されている。
【0023】
真空紫外光光源装置10の窓部14、包囲部材21、マスクステージ22およびマスクMの内部は閉空間となっている。包囲部材21はガス導入口21aが設けられており、閉空間となった包囲部材21内部にはガス導入口21aから窒素(N2)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)などの不活性ガスAが導入され、当該包囲部材21内部は不活性ガスによりパージされ、酸素濃度が低減されている。これは、ランプハウジング13内部が不活性ガスによりパージされているのと同じ理由による。また、包囲部材21内部に導入された不活性ガスAは、包囲部材21に設けられた排気口21bから排気される。
なお、ランプハウジング13内部は、例えば真空であってもよいし、僅かに酸素を含む雰囲気であってもよい。
【0024】
ワークWは、ワークステージ23上に載置され、例えば真空チャック機構によりワークステージ23に吸着保持されている。ワークステージ23は、ステージ移動機構32によってXYZθ方向(図1の左右、前後、上下方向、およびZ軸を中心とした回転方向)に移動可能に構成されている。ステージ移動機構32は、制御部31によって駆動制御される。また、マスクMとワークWとの間隙に連通する空間の雰囲気は、制御部31によって、例えば大気雰囲気(酸素約20kPa)となっている。
具体的には、マスクMの光出射側に、マスクMを通過しワークWに照射される光が進行する光路を包囲する包囲部材24が設けられており、包囲部材24に形成された空気導入口24aから包囲部材24内部に、処理気体としての空気Bが導入されている。包囲部材24内部の空間が、マスクステージ22に保持されたマスクMとワークステージ23に保持されたワークWとの間隙に連通する空間であり、当該空間が、処理気体の雰囲気(本実施形態では、大気雰囲気)とされた処理空間となっている。また、空気導入口24aから導入された空気Bは、排気口24bから排気可能である。本実施形態では、露光光をワークWへ照射する露光処理(光パターニング処理)中は、処理空間への処理気体の導入を停止し、処理気体である空気Bが流れないようにする。例えば、光パターニング処理中は、空気導入口24aおよび排気口24bを閉じ、処理空間を密閉空間としてもよい。
【0025】
なお、処理空間の雰囲気は大気雰囲気に限定されるものではなく、酸素を含む雰囲気であればよい。例えば、空気導入口24aから酸素やオゾンを供給したり、水蒸気(H2O)を供給したりしてもよい。但し、ワークWを構成する基板の種類によっては、高濃度のオゾンに曝されると不具合が生じる場合もあるため、包囲部材24内部に供給する処理気体はワークWに応じて決定するものとする。
また、図1では、空気導入口24aをマスクMとワークWとの間隙に向けて配置し、当該間隙に向けて空気を噴射させる構成としているが、空気導入口24aの配置位置は図1に示す位置に限定されない。空気導入口24aは、包囲部材24内部に空気Bを導入可能な構成であればよい。さらに、包囲部材24内部の空気Bを外部に排気することは、必ずしも必要ではない。つまり、排気口24bは、必ずしも設ける必要はない。
【0026】
本実施形態では、制御部31は、光パターニング処理に先立って、マスクMとワークWとの間隙に空気Bを供給する処理を行う。具体的には、光パターニング処理に先立って、大気雰囲気とされた空間内において、マスクMとワークWとの距離を露光時における第一の距離よりも大きい第二の距離に切り替える処理を行う。これにより、マスクMとワークWとの間隙に空気Bを供給し、当該間隙に形成された気体層を処理気体の層である空気層に置換する置換処理を行う。本実施形態では、制御部31は、ステージ移動機構32によりワークステージ23を移動することで、マスクMとワークWとの間隙の大きさを変更する。
【0027】
ステージ移動機構32は、上述したように、ワークステージ23をXYZθ方向に移動可能な機構である。例えば、ステージ移動機構32は、図3に示すように、ワークステージ23をX方向に移動するX方向移動機構32a、ワークステージ23をY方向に移動するY方向移動機構32b、ワークステージ23をZ方向に移動するZ方向移動機構32c、およびワークステージ23をθ方向に移動するθ方向移動機構32dからなり、制御部31は、各移動機構32a〜32dを個別に駆動制御する。
上記置換処理では、制御部31は、Z方向移動機構32cによってワークステージ23をZ方向(上下方向)に移動する。すなわち、制御部31は、空気パージ空間である密閉空間内でワークステージ23を上下方向に水平移動させる。なお、この置換処理については、後で詳述する。
【0028】
以下、ワークWについて説明する。
ワークWには、有機成分を含む基板を用いることができる。例えば、基板材料として、脂肪族化合物ポリマーを用いることができる。基板材料の具体例としては、例えば、脂環式炭化水素基を有する環状ポリオレフィンがある。
環状ポリオレフィンの原料としては、例えばジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene:DCPD)やDCPDの誘導体(ノルボルネン誘導体)を用いる。ポリマーとしては、これらの環状オレフィンを単独重合することは立体障害の影響で困難であるので、αオレフィンと付加重合する方法や環状オレフィンの開環重合による方法を用いる。前者のポリマーをシクロオレフィンコポリマー(Cyclic Olefin Copolymer:COC)といい、後者のポリマーをシクロオレフィンポリマー(Cyclic Olefin Polymer:COP)という。
COCの分子構造は、例えば、下記(1)式で表される。
【0029】
【化1】
COCは、例えば、ノルボルネンと炭素数2〜30のαオレフィンとをメタロセン触媒にて付加共重合して得ることができる。本実施形態のパターン形成用基板(ワークW)を構成するCOCは、一例として、下記(2)式
【0030】
【化2】
〔式中、R8、R9、R10およびR11は同一または異なっていて、それぞれ水素原子または好ましくは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基(例えば、C6〜C10アリールやC1〜C8アルキルなど)である〕
で示される少なくとも1種の多環式オレフィンを、下記(3)式
【0031】
【化3】
〔式中、R16、R17、R18およびR19は同一又は異なっていて、それぞれ水素原子または好ましくは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基(例えば、C6〜C10アリールやC1〜C8アルキルなど)である〕
で示される少なくとも1種の非環式オレフィンでメタロセン触媒の存在下で共重合して得られたものとする。
【0032】
多環式オレフィンの代表例はノルボルネンとテトラシクロドデセンであり、これらはいずれもC1〜C6アルキルで置換されていてもよい。これらの多環式オレフィンは、エチレンと共重合させるのが好ましい。より好ましくは、COCは、ノルボルネンとエチレンとを共重合したポリマーとする。
COPとしては、例えば、遷移金属ハロゲン化物と有機金属化合物から成るメタセシス重合触媒を用いて、シクロオレフィン系単量体を開環重合して得られた重合体を用いることができる。
【0033】
ワークWに用いるCOPの単量体の具体例としては、ノルボルネン、そのアルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体およびこれら置換または非置換のノルボルネン系単量体のハロゲン、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5,6−ジエトキシカルボニル−2−ノルボルネン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン等; ノルボルネンに一つ以上のシクロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6,6−ジメチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メチル−6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−2,3,3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−デカヒドロ−1H−ベンゾインデン等; シクロペンタジエンの多量体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン等; シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロ−9H−フルオレン、5,8−メタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,4b,7,8,8a,9a−デカタヒドロ−9H−フルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等; その他のシクロオレフィン、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロシクロペンタジエン、3a,4,7,7a−テトラヒドロインデン、4−エチルシクロヘキセン等; 等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
なお、ワークWは、COCやCOPからなる基板に限定されるものではなく、例えば、アクリルやPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等、いずれの合成樹脂基板も適用可能である。また、C−H結合を有するプラスチックに限定されず、ポリ4フッ化エチレン等のC−F結合を有するプラスチックを適用することもできる。ワークWは、パターン形成体の用途や表面改質の用途に応じて適宜選択する。
また、ワークWとしては、適宜の素材からなる基材上に有機単分子膜(例えば、自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM膜))が設けられたものを使用することもできる。
【0035】
有機単分子膜が設けられる基材は、特に限定されるものではなく、パターン形成体の用途や表面改質の用途、および有機単分子膜を構成する分子の種類等を考慮して適宜選択される。具体的には、金、銀、銅、白金、鉄等の金属、石英ガラスや酸化アルミニウム等の酸化物、GaAsやInP等の化合物半導体、高分子材料等からなる種々の基材上に有機単分子膜を設けることができる。
有機単分子膜を構成する材料としては、VUV光により励起され、分解され得る有機分子であれば適用可能である。有機単分子膜がSAM膜の場合には、基材表面と化学反応する官能基を有し、分子間の相互作用によって自己組織化するような有機分子であればよい。
具体的には、SAM膜を構成する有機分子として、以下の一般式(4)で示されるホスホン酸系化合物を使用することができる。
【0036】
【化4】
【0037】
上記(4)式中、Rは、ハロゲン原子もしくはヘテロ原子を含んでいても良い、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示し、好ましくは、置換又は非置換であって直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェノキシ基である。
このようなホスホン酸系化合物の具体例としては、ブチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、デシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、6−ホスホノヘキサン酸、11−アセチルメルカプトウンデシルホスホン酸、11−ヒドロキシウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタンホスホン酸、11−ホスホノウンデシルホスホン酸、16−ホスホノヘキサデカン酸、1,8−オクタンジホスホン酸、1,10−デシルジホスホン酸、1,12−ドデシルジホスホン酸、ベンジルホスホン酸、4−フルオロベンジルホスホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルホスホン酸、4−ニトロベンジルホスホン酸、12−ペンタフルオロフェノキシドデシルホスホン酸、(12−ホスホノドデシル)ホスホン酸、16−ホスホノヘキサデカン酸、11−ホスホノウンデカン酸等を挙げることができる。また、式(1)の化合物以外にも[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ホスホン酸等の化合物も適用可能である。
また、SAM膜を構成する有機分子の別の例として、以下の一般式(5)で示されるチオール系化合物を使用することができる。
【0038】
【化5】
【0039】
上記(5)式中、Rは、ハロゲン原子もしくはヘテロ原子を含んでいても良い、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。また、チオール基がさらに置換された、上記(5)式の化合物の誘導体も適用可能である。
このようなチオール系化合物又はその誘導体の具体例としては、1−ブタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、1−ヘプタンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ノナンチオール、1−オクタデカンチオール、1−オクタンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ペンタンチオール、1−プロパンチオール、1−テトラデカンチオール、1−ウンデカンチオール、11−メルカプトウンデシルトリフルオロアセテート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオール、2−ブタンチオール、2−エチルヘキサンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサンチオール、3−メルカプト−N−ノニルプロピオンアミド、3−メチル−1−ブタンチオール、4−シアノ−1−ブタンチオール、ブチル3−メルカプトプロピオネート、cis−9−オクタデセン−1−チオール、3−メルカプトプロピオン酸メチル、tert−ドデシルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、1,11−ウンデカンジチオール、1,16−ヘキサデカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、2,3−ブタンジチオール、5,5’−ビス(メルカプトメチル)−2,2’−ビピリジン、ヘキサ(エチレングリコール)ジチオール、テトラ(エチレングリコール)ジチオール、ベンゼン−1,4−ジチオール、(11−メルカプトウンデシル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、(11−メルカプトメルカプトウンデシル)ヘキサ(エチレングリコール)、(11−メルカプトウンデシル)テトラ(エチレングリコール)、1(11−メルカプトウンデシル)イミダゾール、1−メルカプト−2−プロパノール、11−(1H−ピロール−1−イル)ウンデカン−1−チオール、11−(フェロセニル)ウンデカンチオール、11−アミノ−1−ウンデカンチオール塩酸塩、11−アジド−1−ウンデカンチオール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、11−メルカプトウンデカンアミド、11−メルカプトウンデカン酸、11−メルカプトウンデシルヒドロキノン、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルリン酸、12−メルカプトドデカン酸、12−メルカプトドデカン酸NHSエステル、16−メルカプトヘキサデカン酸、3−アミノ−1−プロパンチオール塩酸塩、3−クロロ−1−プロパンチオール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト−1−ブタノール、6−(フェロセニル)ヘキサンチオール、6−アミノ−1−ヘキサンチオール塩酸塩、6−メルカプト−1−ヘキサノール、6−メルカプトヘキサン酸、8−メルカプト−1−オクタノール、8−メルカプトオクタン酸、9−メルカプト−1−ノナノール、トリエチレングリコールモノ−11−メルカプトウンデシルエーテル、1,4−ブタンジチオールジアセテート、[11−(メチルカルボニルチオ)ウンデシル]ヘキサ(エチレングリコール)メチルエーテル、[11−(メチルカルボニルチオ)ウンデシル]テトラ(エチレングリコール)、[11−(メチルカルボニルチオ)ウンデシル]トリ(エチレングリコール)酢酸、[11−(メチルカルボニルチオ)ウンデシル]トリ(エチレングリコール)メチルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ−11−(アセチルチオ)ウンデシルエーテル、S,S’−[1,4−フェニレンビス(2,1−エチンジイル−4,1−フェニレン)]ビス(チオアセタート)、S−[4−[2−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]エチニル]フェニル]チオアセテート、S−(10−ウンデセニル)チオアセテート、チオ酢酸S−(11−ブロモウンデシル)、S−(4−アジドブチル)チオアセテート、S−(4−ブロモブチル)チオアセテート(安定化剤として銅を含有)、チオ酢酸S−(4−シアノブチル)、1,1’,4’,1’’−テルフェニル−4−チオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、1−アダマンタンチオール、ADT、1−ナフタレンチオール、2−フェニルエタンチオール、4’−ブロモ−4−メルカプトビフェニル、4’−メルカプトビフェニルカルボニトリル、4,4’−ビス(メルカプトメチル)ビフェニル、4,4’−ジメルカプトスチルベン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンジルアルコール、4−メルカプト安息香酸、9−フルオレニルメチルチオール、9−メルカプトフルオレン、ビフェニル−4,4−ジチオール、ビフェニル−4−チオール、シクロヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、m−カルボラン−1−チオール、m−カルボラン−9−チオール、p−テルフェニル−4,4’’−ジチオール、チオフェノール等を挙げることができる。
さらに、別の例として、SAM膜として以下の一般式(6)で示されるシラン系化合物を使用することができる。
【0040】
【化6】
【0041】
上記(6)式中、R〜Rは、ハロゲン原子もしくはヘテロ原子を含んでいても良い、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。
このようなシラン系化合物の具体例としては、ビス(3−(メチルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、クロロメチル(メチル)ジメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、ジエトキシ(メチル)ビニルシラン、ジメトキシ(メチル)オクチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、N,N−ジメチル−4−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、メトキシ(ジメチル)オクタデシルシラン、メトキシ(ジメチル)オクチルシラン、オクテニルトリクロロシラン、トリクロロ[2−(クロロメチル)アリル]シラン、トリクロロ(ジクロロメチル)シラン、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、2−[(トリメチルシリル)エチニル]アニソール、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、アジドトリメチルシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、3−アミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、イソブチル(トリメトキシ)シラン、エトキシジメチルフェニルシラン、エトキシトリメチルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ(メチル)フェニルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ジフェニルシランジオール、(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ジメチルオクタデシル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシ−メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリエトキシ(イソブチル)シラン、トリエトキシ(オクチル)シラン、3−(トリエトキシシリル)プロピオニトリル、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアナート、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリクロロ(オクタデシル)シラン、トリクロロ(オクチル)シラン、トリクロロシクロペンチルシラン、トリクロロ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シラン、トリクロロビニルシラン、トリクロロ(フェニル)シラン、トリクロロ(フェネチル)シラン、トリクロロ(ヘキシル)シラン、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]シラン、トリメトキシ(オクタデシル)シラン、トリメトキシ(オクチル)シラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリラート、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリラート、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリメトキシ(2−フェニルエチル)シラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン、p−トリルトリクロロシラン、ドデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロドデシルトリクロロシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル−トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、(3−ブロモプロピル)トリクロロシラン、(3−ブロモプロピル)トリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキサクロロジシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン等を挙げることができる。
以上のようなSAM膜を構成する種々の有機分子は、一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0042】
次に、ワークWに対するVUV照射処理について、具体的に説明する。
まず、制御部31は、真空チャック機構等を駆動制御し、マスクステージ22の所定の位置にセットされたマスクMを真空吸着により保持する。次に、制御部31はステージ移動機構32によりワークステージ23を下降し、ワークWをワークステージ23上に載置させた後、ステージ移動機構32によりワークステージ23を上昇し、ワークWを所定のVUV光照射位置にセットする。VUV光照射位置は、マスクMとワークWとの間の間隙の大きさ(ギャップ)が、例えば15μm〜25μmとなる位置である。なお、上記ギャップは、マスクパターンや実現すべきパターンの解像度などに応じて適宜設定することができる。ワークWがVUV光照射位置に配置されているときのマスクMとワークWとの距離が、上述した第一の距離に対応している。
【0043】
次に、制御部31は、ステージ移動機構32によりワークステージ23をXYθ方向に移動し、マスクMとワークWとの位置合わせ(アライメント)を行う。すなわち、マスクM上に印されたアライメント・マークとワークW上に印されたアライメント・マークを一致させる。
マスクMとワークWの位置合わせが終了すると、制御部31は、光パターニング処理を開始する。すなわち、図5(a)に示すように、制御部31は、真空紫外光光源装置10から、平行光であるVUV光を、マスクMを介してワークW上に照射する。これにより、ワークWに対して表面改質によるパターン形成が行われる。
【0044】
上述したように、ワークWをワークステージ23上に載置する際、制御部31はワークステージ23を空気パージ空間内で一旦下降させ、その後、ワークWを載置したワークステージ23をVUV光照射位置(例えば、ギャップ=20μm)まで上昇させる。そのため、光パターニング処理の開始時において、マスクMとワークWとの間には空気Bが供給された状態となっている。したがって、ワークWに対してVUV光が照射されると、ワークW表面近傍の酸素がVUV照射によりオゾンや酸素ラジカルなどの活性酸素が発生する。その結果、VUV光によるワークW表面の有機分子の分解反応と、活性酸素とワークW表面の有機分子との酸化分解反応とが行われ、パターニングを良好に行うことができる。この図5(a)に示す第一の照射工程による露光時間は、例えば5分である。
【0045】
第一の照射工程の後、制御部31は、光源11を消灯してVUV光の照射を停止し、マスクMとワークWとの間隙に新鮮な空気を補給する補給工程を行う。本実施形態では、図5(b)に示すように、制御部31は、ワークステージ23をVUV光照射位置から下方に下降させて間隙を広げ、ワークWの周囲から新鮮な空気を侵入しやすくする。ワークステージ23の下降により生じる間隙の大きさは、例えば1mmである。ワークステージ23の下降により生じる間隙の大きさは、VUV光照射時における間隙の10倍以上に設定する。このワークステージ23の下降により生じる間隙の大きさ(マスクMとワークWとの距離)が、上述した第二の距離に対応している。そして、制御部31は、ワークステージ23を下降させた後は、再びワークステージ23をVUV光照射位置まで上昇させる。ワークステージ23が下降を開始してからVUV光照射位置に戻るまでの時間は、例えば2秒〜3秒である。
【0046】
上記の補給工程の後、制御部31は、光源11を再び点灯し、図5(c)に示すように、マスクMを介してワークW上にVUV光を照射する第二の照射工程を行う。補給工程により、マスクMとワークWとの間には、新鮮な空気が侵入した状態となっている。したがって、この第二の照射工程においても、上記の第一の照射工程と同様に、良好なパターニングが可能となる。この図5(c)に示す第二の照射工程による露光時間は、第一の照射工程と同等の時間(例えば5分)とする。
制御部31は、補給工程と第二の照射工程とを複数回(例えば2回)繰り返した後、VUV照射処理を終了する。例えば、第一の照射工程と第二の照射工程とにおける露光時間をそれぞれ5分とした場合、VUV照射処理は15分程度で終了する。
VUV照射処理が終了すると、制御部31は、光源11を消灯してワークステージ23を下降し、ワークステージ23への真空の供給を停止することで、照射済のワークWをワークステージ23から取り出し可能な状態とする。
【0047】
以上のように、本実施形態の光照射装置100は、真空紫外光光源装置10から露光光としてVUV光を含む平行光を放射し、そのVUV平行光を、マスクMを介してワークWに照射する。このとき、真空紫外光光源装置10から放射されたVUV平行光は、不活性ガスによってパージされた包囲部材21内部の空間を進行し、マスクMに到達する。したがって、VUV光の減衰を防止しつつ、マスクMを介してワークWへVUV光を照射することができる。
【0048】
また、光照射装置100は、マスクMの光出射側の処理空間に酸素を含む処理気体(例えば、空気)を供給し、当該処理空間を大気雰囲気とする。当該処理空間とは、包囲部材24内部の空間であり、マスクステージ22に保持されたマスクMとワークステージ23に保持されたワークWとの間隙に連通する空間である。そして、光照射装置100は、露光処理に先立って、マスクMとワークWとの距離(間隙の大きさ)を、露光時における距離よりも大きい距離に一時的に切り替える。このように、大気雰囲気とされた空間内でマスクMとワークWとのギャップを一時的に広げるので、マスクMとワークWとのギャップが数十μm程度と非常に小さい場合であっても、マスクMとワークWとの間隙に適切に処理気体を供給することができる。その結果、酸素を含む処理気体の雰囲気中においてワークWにVUV光を照射することができる。
【0049】
大気等の酸素を含む処理気体の雰囲気中においてワークWにVUV光を照射すると、ワークW表面近傍の酸素がVUV照射により活性酸素となり、VUV光によるワークW表面の有機分子の直接分解に加えて、上記の活性酸素とワークW表面の有機分子との酸化分解反応も行われる。そのため、例えば、不活性ガスの雰囲気中での光パターニング処理など、上記の酸化分解反応が行われない状況下での光パターニング処理と比較して、ワークWのパターニング処理の処理速度を向上させることができる。
【0050】
さらに、光照射装置100は、ワークWを保持するワークステージ23を上下方向(Z方向)に移動可能に構成し、制御部31は、ワークステージ23を上下動させることで、マスクMとワークWとの間隙の大きさを変更する。そのため、マスクMとワークWとの間隙に、容易に酸素を含む処理気体を供給することができる。通常、プロキシミティ露光装置においては、ワークWを保持するワークステージは上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。したがって、新たな機構を追加することなく、マスクMとワークWとの距離を変更することができる。
【0051】
また、制御部31は、ワークWに対する光パターニング処理中に、真空紫外光光源装置10によるVUV光の放射を停止し、ワークステージ23をVUV光照射位置から一旦下方へ下降させた後、VUV光照射位置へ戻し、その後、真空紫外光光源装置10によるVUV光の放射を開始する。このように、光パターニング処理の途中で、マスクMとワークWとの間のギャップを広げるので、マスクMとワークWとの間に、光パターニングにおける分解反応に用いられる活性酸素を適切に補充することができる。また、マスクMとワークWとの間のギャップを広げることで、光パターニング処理により発生した二酸化炭素等の処理済ガスを、マスクMとワークWとの間隙から排気することもできる。すなわち、光パターニング処理中に、マスクMとワークWとの間隙に存在する空気を新鮮な空気に置換する置換処理を介在させることができる。したがって、良好な光パターニング処理を安定して行うことができる。
【0052】
さらに、制御部31は、ワークステージ23にワークWが搬入されてから、ワークステージ23からワークWが搬出されるまでの間に、複数回、置換処理を行う。すなわち、制御部31は、複数回、光パターニング処理の停止、ワークステージ23の上下動、光パターニング処理の再開を繰り返す。このように、光照射装置100は、置換処理を複数回介在させて、断続的に光パターニング処理を行う。
これにより、置換処理を介在させずに連続的に光パターニング処理を行う場合と比較して、短い処理時間で所望のパターンを形成することができる。例えば、基板上にSAM膜が形成されたワークWに対し、ラインアンドスペース(L&S)が20μmのパターンを形成するのに、連続的に光パターニング処理を行った場合、処理時間が30分かかった。これに対し、5分おきに置換処理を介在させて断続的に光パターニング処理を行った場合、処理時間が15分でL&Sが20μmのパターンを形成することができた。
【0053】
ところで、マスクMとワークWとの間に空気等の酸素を含む処理気体を供給するためには、マスクMとワークWとの位置関係をそのままに、マスクMとワークWとの間に処理気体を流し込むことも考えられる。しかしながら、ワークWがVUV光照射位置に配置されているときのマスクMとワークWとの間のギャップは、数十μmと非常に狭いため、マスクMとワークWとの間に処理気体を流し入れることは困難である。これに対して、本実施形態では、ワークWを一時的にVUV光照射位置よりも下方に下降させてマスクMとワークWとの間隙を広げ、その後、ワークWをVUV光照射位置へ戻す。そのため、マスクMとワークWとの間の数十μmという非常に狭いギャップ内に、酸素を含む処理気体を適切に存在させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、光パターニング処理中は、空気導入口24aからの処理気体(例えば、空気)の供給を停止する。すなわち、光パターニング処理中は、包囲部材24内部の処理空間における処理気体の流れを止める。これにより、光パターニング中に、VUV光の照射によりマスクMとワークWとの間隙において発生した活性酸素を、マスクMとワークWとの間隙にとどめておくことができる。したがって、良好なパターニングを実現することができる。
【0055】
(変形例)
なお、上記実施形態においては、光源としてショートアーク型フラッシュランプを適用する場合について説明したが、VUV光を含む光を放射する光源であれば、種々の構成からなる光源を用いることができる。また、上記光源として点光源を適用する場合にも、ショートアーク型フラッシュランプに限定されず、種々の構成からなる光源を用いることができる。例えば、フラッシュランプに限定されず、電極間距離が1mm〜10mm程度と短く、アーク放電により発光するショートアークランプを適用することもできる。
【0056】
また、上記実施形態においては、マスクMの光出射側を処理空間とする場合について説明したが、処理空間は、ワークWの上方に配置されVUV光が透過可能な窓部材によって密閉されていてもよい。当該窓部材としては、石英ガラスやフッ化マグネシウム(MgF2)などにより構成することができる。この窓部材は、ガスカイダーとしての役割を果たすことができる。
さらに、上記実施形態においては、制御部31がワークステージ23を上下方向(Z方向)に水平移動させることで、マスクMとワークWとの距離を変更する場合について説明したが、ワークステージ23を水平移動する構成に限定されない。例えば、水平面に対するワークステージ23の傾きを変更することで、マスクMとワークWとの距離を変更してもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態においては、制御部31がワークステージ23を移動させることで、マスクMとワークWとの距離を変更する場合について説明したが、マスクステージ22を移動させる構成であってもよい。この場合、光照射装置100にマスクステージ22を移動するマスクステージ移動機構を設け、制御部31がマスクステージ移動機構を駆動制御する構成とする。
また、上記実施形態においては、マスクMおよびワークWの近傍に、酸素を含む処理気体を溜めておく空間を設けてもよい。これにより、マスクMとワークWとの距離を、露光時における第一の距離から第二の距離へ切り替えたときに、マスクMおよびワークWの周囲の空間からマスクMとワークWとの間隙に新鮮な処理気体が流れ込み易くすることができる。
【符号の説明】
【0058】
10…真空紫外光光源装置、11…光源(SFL)、12…放物面ミラー、13…ランプハウジング、14…窓部、15…給電部、16…インテグレータレンズ、17…折り返しミラー、18…コリメータレンズ、21…包囲部材、21a…ガス導入口、21b…排気口、22…マスクステージ、23…ワークステージ、24…包囲部材、24a…空気導入口、24b…排気口、31…制御部、32…ステージ移動機構、32c…Z方向移動機構、100…光照射装置(プロキシミティ露光装置)、M…マスク、W…ワーク
図1
図2
図3
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図5