(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持手段は、前記モジュールの各々のバージョンについて、前記検証手段により前記差分が許容範囲内であると検証された前記検証対象のバージョンのモジュールを互換性ありとし、前記差分が許容範囲内でないと検証された前記検証対象のバージョンのモジュールを互換性なしとした検証結果をフォーム毎に保持し、
前記保持手段により保持された前記検証結果において、前記検証対象のバージョンのモジュールが予め定めたフォームについて互換性ありと検証されている場合、前記モジュールを前記検証対象のバージョンに更新する更新手段を備えた
請求項1又は2記載の画像形成装置。
前記検証手段による検証結果が表示手段に表示され、かつ前記モジュールを前記検証対象のバージョンに更新する更新指示の入力を促す情報が前記表示手段に表示されるように表示制御する表示制御手段を備え、
前記更新手段は、前記更新指示が入力された場合、前記モジュールを前記検証対象のバージョンに更新する
請求項3又は4記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
まず、第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成の指示に関する画像形成データからフォームを抽出する。また、画像形成装置は、抽出したフォームを予め定めたバージョンのモジュールで形成した画像と、抽出したフォームを検証対象のバージョンのモジュールで形成した画像との差分が許容範囲内である検証対象のバージョンのモジュールを互換性ありとする。また、画像形成装置は、抽出したフォームを予め定めたバージョンのモジュールで形成した画像と、抽出したフォームを検証対象のバージョンのモジュールで形成した画像との差分が許容範囲内でない検証対象のバージョンのモジュールを互換性なしとする。
【0023】
また、画像形成装置は、検証対象のバージョンのモジュールについて、互換性あり、又は互換性なしとした検証結果を保持する。そして、画像形成装置は、検証対象のバージョンのモジュールを互換性ありと検証した場合、モジュールを検証対象のバージョンに更新する。
【0024】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の機能について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、ジョブ解析部12、フォーム管理部14、モジュール管理部16、検証情報管理部18、画像生成部20、画像比較部22、及び、検証評価部24を有している。
【0025】
なお、本実施形態でいうモジュールは、画像形成処理における一連の処理を行うソフトウェアである。また、本実施形態でいう画像形成データは、画像形成を制御するための制御データ、及び画像形成条件を示す条件データを含む画像形成データであり、所謂画像形成ジョブ(以下、単に「ジョブ」ともいう。)である。また、本実施形態でいうフォームは、画像形成データに含まれる制御データであって、特に、画像形成データによって形成される画像のレイアウトを規定する制御データである。フォームには、可変データである文字データ、画像データ等が含まれており、画像形成データによって形成される画像において、文字データに基づく文字列、画像データに基づく画像等がフォームに従って配置される。
【0026】
図2Aに、ジョブに基づく画像の一例を示した。
図2Aに示すように、ジョブに基づく画像26は、文字列28B、画像28C等を表示するための複数のパーツ28Aがフォーム28に従って配置されることによりレイアウトされる。
【0027】
なお、本実施形態では、ジョブに基づく画像26が、複数のパーツ28Aが1つのフォーム28に従って配置される場合について説明するが、これに限らない。
図2Bに、ジョブに基づく画像の別例を示した。
図2Bに示すように、ジョブに複数のフォームが含まれ、ジョブに基づく画像26が、文字列28B、画像28C等が各々のフォーム28に従って配置されていても良い。
【0028】
本実施形態では、ジョブに基づく画像26における、各々のフォーム28について、フォーム28に含まれる文字列28B、画像28C等が描画される位置、サイズ、フォント等のレイアウトが加味されたモジュールの互換性を検証する。
【0029】
ジョブ解析部12は、抽出手段の一例であり、画像形成が指示された際に、ジョブに含まれるフォームを抽出する。また、ジョブ解析部12は、抽出したフォームを画像形成に用いられるフォームとして画像生成部20に送信する。
【0030】
フォーム管理部14は、画像形成に用いられる複数のフォームを管理する。管理対象とされるフォームは、画像作成ツール等により予め定義されているフォーム、過去に画像形成されたジョブから抽出されたフォーム、ユーザの操作により入力されたフォーム等である。
【0031】
モジュール管理部16は、画像形成が指示された際に、画像形成に用いるモジュールのバージョンを選択する。また、モジュール管理部16は、モジュールの互換性の検証を行う際に、検証対象とするモジュールのバージョンを選択する。また、モジュール管理部16は、モジュールの互換性の検証を行う際に、互換性があることが検証されているモジュールのバージョンを、比較対象として用いる予め定めたモジュールのバージョンとして選択する。
【0032】
検証情報管理部18は、保持手段の一例であり、モジュールの各々のバージョンについて、各々のフォームの互換性の検証結果を、後述するバージョン管理情報に記憶させることにより保持する。
【0033】
画像生成部20は、画像形成を行う際に、記録媒体に形成する画像を生成する。また、画像生成部20は、作成した画像を画像形成部42に送信し、記録媒体に対する画像形成を実行させる。また、画像生成部20は、モジュールの互換性の検証を行う際に、予め定めたバージョンのモジュールで画像を生成すると共に、検証対象とするバージョンのモジュールで画像を生成する。
【0034】
画像比較部22は、検証手段の一例であり、モジュールの互換性の検証を行う際に、ジョブに含まれるフォームを予め定めたバージョンのモジュールで生成した画像を画像生成部20から取得する。また、画像比較部22は、モジュールの互換性の検証を行う際に、ジョブに含まれるフォームを検証対象のバージョンのモジュールで生成した画像を画像生成部20から取得する。そして画像比較部22は、予め定めたバージョンのモジュールで生成した画像と検証対象のバージョンのモジュールで生成した画像との差分画像を生成する。
【0035】
検証評価部24は、検証手段、更新手段及び表示制御手段の一例であり、画像比較部22により生成された差分画像から、差分が許容範囲内であるか否かを評価する。この際、差分が許容範囲内であると評価されたバージョンを互換性ありとし、差分が許容範囲内でないと評価されたバージョンを互換性なしと検証する。そして、検証評価部24は、検証結果を検証情報管理部18に送信する。検証情報管理部18は、受信した検証結果を、後述するバージョン管理情報に加えて記憶させる。
【0036】
本実施形態に係る画像形成装置10は、
図3に示すように、装置全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)30により制御されることにより実現される。すなわち、画像形成装置10は、上記CPU30、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)32、CPU30による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)34、及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む、上述した記憶部36を備える。また、画像形成装置10は、外部装置と通信情報の送受信を行う通信回線I/F(Interface)部38を備える。また、画像形成装置10は、画像形成装置10に対するユーザからの指示を受け付けると共に、ユーザに対して画像形成装置10の動作状況等に関する各種情報を通知する操作表示部40を備える。なお、操作表示部40は、例えば、プログラムの実行により操作指示の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示されるタッチパネル式のディスプレイ、及びテンキーやスタートボタン等のハードウェアキーを含む。
【0037】
また、画像形成装置10は、記録媒体に対して画像形成を行う画像形成部42を備えている。画像形成部42は、記録媒体に対して画像形成を行う工程の各種処理を行う各構成部品を含んで構成されている。
【0038】
そして、CPU30、ROM32、RAM34、記憶部36、通信回線I/F部38、操作表示部40、及び、画像形成部42の各部がアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス44を介して互いに接続されている。
【0039】
このように、本実施形態に係る画像形成装置10は、CPU30により、ROM32、RAM34、及び記憶部36に対するアクセス、通信回線I/F部38を介した通信情報の送受信を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU30により、操作表示部40を介した各種情報の取得、及び操作表示部40に対する各種情報の表示を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU30により、画像形成部42による画像形成を行う。
【0040】
また、
図4に示すように、記憶部36は、モジュール記憶部36A、ジョブ−フォーム情報記憶部36B、及び、バージョン管理情報記憶部36Cを有している。
【0041】
モジュール記憶部36Aには、複数のバージョンのモジュールが記憶されている。記憶されているモジュールは、過去に画像形成に用いられた全てのバージョンのモジュールであっても、最新の1つ以上のバージョンのモジュールであっても良い。
【0042】
ジョブ−フォーム情報記憶部36Bは、ジョブとフォームとの対応関係を表すジョブ−フォーム情報を記憶している。ジョブ−フォーム情報は、一例として
図5に示すように、各々のジョブについて各々のフォームを含んでいるか否かが示された情報である。
図4示す例では、ジョブAはフォームA及びフォームBを含んでいて、ジョブBはフォームB及びフォームCを含んでいる。
【0043】
ジョブ−フォーム情報を用いることにより、ジョブに含まれるフォームについて既に互換性があると検証されているバージョンのモジュールについては、更なる検証を行うことなく、互換性があるモジュールとして効率的に選択される。
図5に示す例では、フォームA及びフォームBを含むジョブAと、フォームA、フォームC、フォームDを含むジョブCとについて、互換性があると検証されているモジュールのバージョンがあるとする。その場合、そのバージョンのモジュールは、フォームB及びフォームCを含むジョブBについても互換性があるとされ、ジョブBについての互換性の検証が省略可能となる。
【0044】
バージョン管理情報記憶部36Cは、一例として
図6に示すように、各々のバージョンのモジュールについて、各々のフォームに互換性があるか否かの検証結果として、互換性があるとされた最新のバージョンを表しているバージョン管理情報を記憶している。例えば、バージョン4のモジュールについて互換性があると検証された場合には、バージョン4の検証結果を格納する領域に「4」が格納される。また、バージョン4のモジュールについて互換性がないと検証された場合には、バージョン4の検証結果を格納する領域に、互換性あると検証されている最新のバージョンが格納される。
図6に示す例では、バージョン4のモジュールについて、フォームA、フォームD、及びフォームEについては互換性があると検証されて「4」が格納される。また、バージョン4のモジュールについて、フォームBでは互換性がないと検証されて、既に互換性があると検証されている「2」が格納される。また、バージョン4のモジュールについて、フォームCは互換性が検証されていないため、空欄となっている。
【0045】
バージョン管理情報により、画像形成を行う際、ジョブに含まれる全てのフォームについて互換性があると検証されているバージョンのモジュールは、互換性があるモジュールであると判断できる。
図6に示す例では、フォームAとフォームBを含むジョブは、バージョン1及び2のモジュールで互換性があると検証されていることがわかる。また、
図6に示す例では、フォームD及びフォームEを含むジョブは、バージョン1乃至4のモジュールで互換性があると検証されていることがわかる。
【0046】
なお、本実施形態では、上述したバージョン管理情報のように、テーブルによってモジュールのバージョンとフォームとの対応関係を記憶するが、これに限らない。モジュールのバージョンとフォームとの対応関係を示せれば、集合論にあるような、数式等で記憶しても構わない。
【0047】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10が、予め定めた期間が経過する毎に実行するバージョン管理処理の流れを、
図7のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、バージョン管理処理のプログラムは予め記憶部36に記憶されているが、これに限らない。例えば、バージョン管理処理のプログラムが通信回線I/F部38を介して外部装置から受信されて記憶部36に記憶されても良い。また、CD−ROM等の記録媒体に記録されたバージョン管理処理のプログラムがCD−ROMドライブ等で読み込まれることにより、バージョン管理処理が実行されるようにしてもよい。
【0048】
ステップS101では、ジョブ解析部12が、画像形成指示があったか否かを判定する。この画像形成指示は、モジュールの互換性の検証とは無関係に指示される通常の画像形成指示である。ステップS101で画像形成指示があったと判定した場合(S101,Y)はステップS103に移行し、画像形成指示がなかったと判定した場合(S101,N)は本バージョン管理処理のプログラムの実行を終了する。
【0049】
ステップS103では、ジョブ解析部12が、画像形成が指示されたジョブを取得し、取得したジョブに含まれるフォームを抽出する。
【0050】
ステップS105では、モジュール管理部16が、画像形成が指示されたジョブに含まれるフォームに応じて、画像形成に用いるモジュールのバージョンを選択する。本実施形態では、画像形成が指示されたジョブに含まれる全てのフォームについて互換性があると検証されたバージョンのうちの最新のバージョンを選択する。なお、モジュールのバージョンの選択方法はこれに限らず、例えば、モジュールのバージョンの一覧を操作表示部40に表示させ、ユーザにより選択されたモジュールのバージョンを選択しても良い。
【0051】
ステップS107では、画像生成部20が、選択されたバージョンのモジュールを用いて、画像形成が指示された画像を生成する。なお、選択されたバージョンのモジュールを用いて形成した画像の一例を
図8Aに示した。
【0052】
ステップS109では、画像生成部20が、生成した画像を画像形成部42に出力して、記録媒体に画像を形成させる。これにより、指示された画像形成が完了する。一方、ここから先の処理は、モジュールの互換性の検証を行う処理であり、ユーザに意識させずにバックグラウンドで行われる。
【0053】
ステップS111では、画像生成部20が、画像形成が指示されたジョブに含まれるフォームについて、互換性の検証を行っていない未検証のモジュールのバージョンがあるか否かを判定する。この際、画像生成部20は、モジュール管理部16に、画像形成が指示されたジョブに含まれるフォームについて、互換性の検証を行っていない未検証のモジュールのバージョンがあるか否かを問い合わせる。モジュール管理部16は、バージョン管理情報に基づいて、画像形成が指示されたジョブに含まれるフォームに対応する欄が空欄となっているバージョンがあるか否かを判定する。また、モジュール管理部16は、未検証のモジュールのバージョンがある場合には、未検証のモジュールのバージョンを画像生成部20に通知する。
【0054】
ステップS111で未検証のモジュールのバージョンがあると判定した場合(S111,Y)はステップS113に移行し、未検証のモジュールのバージョンがないと判定した場合(S111,N)は本バージョン管理処理のプログラムの実行を終了する。なお、未検証のモジュールのバージョンがないと判定した場合は、指示された画像形成のみを実行し、モジュールの互換性の検証は行われない。
【0055】
ステップS113では、画像生成部20が、未検証のバージョンのモジュールを検証対象のモジュールとして、未検証のバージョンのモジュールで画像を生成する。この際、画像生成部20は、通知されたバージョンのモジュールをモジュール記憶部36Aから取得し、画像形成が指示された画像を生成する。なお、未検証のバージョンのモジュールを用いて形成した画像の一例を
図8Bに示した。
【0056】
ステップS115では、画像比較部22が、ステップS107で生成した画像とステップS113で生成した画像との差分画像を生成する。一例として
図9に示すように、ステップS107で生成した画像におけるパーツ50A乃至50Eと、ステップS113で生成した画像におけるパーツ52A乃至52Eとにおいては、差分が発生していないことがわかる。一方、ステップS107で生成した画像におけるパーツ50Fと、ステップS113で生成した画像におけるパーツ52Fとにおいて、描画されている「テキスト3」の文字列の位置が異なっていることにより、差分が発生していることがわかる。
【0057】
ステップS117では、検証評価部24が、差分画像における差分が許容範囲内であるか否かを検証して、検証結果を記憶する。検証評価部24は、差分画像における差分が許容範囲内であると検証されたバージョンを互換性ありとし、許容範囲内でないと検証されたバージョンを互換性なしとした検証結果を検証情報管理部18に送信する。検証情報管理部18は、受信した検証結果をバージョン管理情報に加えることにより検証結果を記憶する。本実施形態では、互換性があると検証されているバージョンのモジュールで形成した第1画像と、未検証のバージョンのモジュールで形成した第2画像との間で差分が発生している領域を抽出する。また、抽出した領域の、第1画像及び第2画像の間の移動ベクトルの長さの最大値が、予め定めた閾値以下であった場合に、差分が許容範囲内であるとする。しかしながら、差分が許容範囲内であるか否かの判断方法はこれに限らない。例えば、上記移動ベクトルの長さの平均値が予め定めた閾値以下であった場合に、差分が許容範囲内であると指定しても良い。あるいは、差分画像において差分が発生していることを示す画素の画素数が閾値以下であった場合に、差分が許容範囲内であるとしても良い。
【0058】
ステップS119では、検証評価部24が、未検証のモジュールのバージョンが、ステップS105で選択されたモジュールのバージョンに対して互換性があるか否かを判定する。本実施形態では、一例として
図10に示すように、例えば、予め定めたフォームA、C、Eについて互換性がある場合に、互換性があると判断する。すなわち、
図10に示す例では、バージョン5のモジュールは、フォームA、C、Eについて互換性があると検証されているため、バージョン5のモジュールは互換性があると判断される。一方、バージョン5のモジュールが、フォームA、C、Eのうちの1つ以上のフォームについて互換性がないと検証されている場合には、バージョン5のモジュールは、互換性がないと判断される。なお、互換性があるか否かの判断方法はこれに限らず、例えば、各々のバージョンのモジュールが、全てのフォームについて互換性があると検証されている場合に、互換性があると判断しても良い。あるいは、各々のバージョンのモジュールが、予め定めた閾値以上の頻度で使用されるフォームについて互換性があると検証されている場合に、互換性があると判断しても良い。
【0059】
ステップS121では、モジュールのバージョンを検証対象とするバージョンに更新する。なお、画像形成が指示された際、更新されたバージョンのモジュールで画像を形成しても、ステップS105に示す選択方法で選択されたバージョンのモジュールで画像を形成しても良い。
【0060】
このように、本実施形態では、画像形成を行う際の画像形成ジョブからフォームを抽出する。また、抽出したフォームを予め定めたバージョンのモジュールで形成した画像と、抽出したフォームを検証対象のバージョンのモジュールで形成した画像との差分が許容範囲内であるか否かを検証する。また、許容範囲内であると検証されたバージョンを互換性ありとし、許容範囲内でないと検証されたバージョンを互換性なしとした検証結果を保持する。これにより、モジュールのバージョンを更新する際、検証対象とするバージョンのモジュールの互換性が細密に検証される。
【0061】
また、本実施形態では、保持されている検証結果において、予め定めたフォームについて互換性ありと検証されている場合、モジュールを検証対象のバージョンに更新する。これにより、ユーザに意識させることなくモジュールのバージョンが更新される。
【0063】
次に、第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0064】
上記第1実施形態では、画像形成が指示された際に、画像形成が指示されたジョブを用いてモジュールの互換性があるか否かの検証を行う場合について説明した。一方、本第2実施形態では、画像形成を実行していないときに、ダミージョブを用いてモジュールの互換性があるか否かの検証を行う場合について説明する。
【0065】
第2実施形態に係る画像形成装置の構成は、ダミージョブ生成部46を有すること以外は、上記第1実施形態に係る画像形成装置10と同じであるため、ダミージョブ生成部46以外の各構成の説明を省略する。
【0066】
ダミージョブ生成部46は、モジュールの互換性を検証するために、未検証のバージョンが存在するフォームを含むダミージョブを生成して、ジョブ解析部12に送信する。これにより、画像形成が指示されない場合、又は、画像形成が指示されたジョブに含まれるフォームについて未検証のモジュールのバージョンがない場合であっても、未検証のモジュールについて、モジュールの互換性の検証が行われる。
【0067】
ダミージョブを生成する際には、過去に画像形成が指示されたジョブを記憶しておき、これらのジョブに基づいてダミージョブを生成すると良い。例えば、ジョブに含まれるフォームに記された文字列を「*」等の任意の文字列に置き換えると共に文字列の最大長、最小長等を記録しておき、これらのデータを基にダミーデータを生成すると良い。ジョブに含まれる画像データなどは、サイズ、画像の形式、解像度等からダミー画像を生成すると良い。このように、ジョブに基づく画像を、フォームに含まれるパーツに分割して評価することで、モジュールの互換性について、微小な差異まで加味した効率的な検証が行われる。
【0068】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10が、予め定めた期間が経過する毎に実行するバージョン管理処理の流れを、
図12のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、バージョン管理処理のプログラムは予め記憶部36に記憶されているが、これに限らない。例えば、バージョン管理処理のプログラムが通信回線I/F部38を介して外部装置から受信されて記憶部36に記憶されても良い。また、CD−ROM等の記録媒体に記録されたバージョン管理処理のプログラムがCD−ROMドライブ等で通信回線I/F部38を介して読み込まれることにより、バージョン管理処理が実行されるようにしてもよい。
【0069】
ステップS201では、ダミージョブ生成部46が、前回、本バージョン管理処理を行ってから予め定めた期間(例えば、5分)が経過したか否かを判定する。ステップS201で予め定めた期間が経過したと判定した場合(S201,Y)はステップS203に移行し、予め定めた期間が経過していないと判定した場合(S201,N)は本バージョン管理処理のプログラムの実行を終了する。
【0070】
ステップS203では、ステップS111と同様に、画像生成部20が、画像形成が指示されたジョブに含まれるフォームについて、互換性の検証を行っていない未検証のモジュールのバージョンがあるか否かを判定する。ステップS203で未検証のモジュールのバージョンがあると判定した場合(S203,Y)はステップS205に移行し、未検証のモジュールのバージョンがないと判定した場合(S203,N)は本バージョン管理処理のプログラムの実行を終了する。
【0071】
ステップS205では、ダミージョブ生成部46が、ダミージョブを生成する。
【0072】
ステップS207では、ジョブ解析部12が、ダミージョブに含まれるフォームを抽出する。
【0073】
ステップS209では、モジュール管理部16が、ダミージョブに含まれるフォームに応じて、モジュールのバージョンを選択する。本実施形態では、ダミージョブに含まれるフォームについて互換性があると検証されたバージョンのうちの最新のバージョンを選択する。
【0074】
ステップS211では、画像生成部20が、選択されたバージョンのモジュールでダミージョブに基づく画像を生成する。
【0075】
ステップS213では、画像生成部20が、未検証のバージョンのモジュールでダミージョブに基づく画像を生成する。この際、画像生成部20は、通知されたバージョンのモジュールをモジュール記憶部36Aから取得し、ダミージョブに基づく画像を生成する。なお、未検証のバージョンのモジュールを用いて形成した画像の一例を
図8Bに示した。
【0076】
ステップS215では、ステップS115と同様に、画像比較部22が、ステップS211で生成した画像とステップS215で生成した画像との差分画像を生成する。
【0077】
ステップS217では、ステップS117と同様に、検証評価部24が、差分画像における差分が許容範囲内であるか否かを検証して、検証結果を記憶する。
【0078】
ステップS219では、検証評価部24が、検証結果を操作表示部40に表示させ、かつモジュールを検証対象のバージョンに更新する更新指示の入力を促す情報を操作表示部40に表示させる。
【0079】
本実施形態では、検証評価部24は、一例として
図13に示すようなバージョンアップ推奨画面56を操作表示部40に表示させる。バージョンアップ推奨画面56には、選択されたバージョン(バージョン4)のモジュールで形成した画像56A、未検証のバージョン(バージョン5)で形成した画像56B、画像56Aと画像56Bとの差分画像56Cが表示される。また、バージョンアップ推奨画面56には、バージョンの更新を指示するための「はい」ボタン56D、及び、バージョンの更新を指示しないための「いいえ」ボタン56Eが表示される。ユーザは、画像56A、画像56B、及び差分画像56Cを確認し、互換性があると判断した場合に、操作表示部40を操作して「はい」ボタン56Dを選択し、互換性がないと判断した場合に、「いいえ」ボタン56Eを選択する。
【0080】
ステップS221では、検証評価部24が、未検証のモジュールのバージョンが、ステップS105で選択されたモジュールのバージョンに対して互換性があるか否かを判定する。本実施形態では、バージョンアップ推奨画面56において「はい」ボタン56Dが選択された場合に、互換性があると判断する。ステップS221で互換性があると判定した場合(S221,Y)はステップS223に移行し、互換性がないと判定した場合(S221,N)は本バージョン管理処理のプログラムの実行を終了する。
【0081】
ステップS223では、ステップS121と同様に、検証評価部24が、モジュールのバージョンを検証対象とするバージョンに更新する。
【0082】
このように、本実施形態では、検証用に作成されたジョブからフォームを抽出する。また、画像形成を行っていない間、抽出したフォームを予め定めたバージョンのモジュールで形成した画像と、抽出したフォームを検証対象のバージョンのモジュールで形成した画像との差分が許容範囲内であるか否かを検証する。これにより、ユーザに意識させることなく互換性が検証される。
【0083】
また、検証結果を表示手段に表示させ、かつモジュールを検証対象のバージョンに更新する更新指示の入力を促す情報を表示手段に表示させ、更新指示が入力された場合、モジュールを検証対象のバージョンに更新する。これにより、ユーザの意向を反映させつつモジュールのバージョンが更新される。
【0084】
なお、バージョン管理情報において、差分画像を用いて検証した検証結果のみを加えるのではなく、ユーザに差分画像を提示して、差分が許容範囲内であるか否かを判断させることにより得られた検証結果を加えてもよい。これにより、検証結果に、ジョブ単位、又はフォーム単位で、差分が許容範囲内であるか否かがユーザにより直観的に判断された判断結果が反映される。
【0085】
また、上記各実施形態に係るバージョン管理情報では、各々のバージョンのモジュールについて、各々のフォームに互換性があるか否かの検証結果として、互換性があるとされた最新のバージョンを表しているが、これに限らない。例えば、バージョン管理情報として、各々のバージョンのモジュールについて、各々のフォームに互換性があるか否かの検証結果をそのまま用いても良い。
【0086】
また、上記各実施形態で説明した画像形成装置10の構成(
図1、
図2、
図11参照。)は一例である。すなわち、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0087】
また、上記各実施形態で説明した各種プログラムの処理の流れ(
図7、
図12参照。)も一例である。すなわち、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。