特許第6586901号(P6586901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586901
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】軸体、仮締め装置及び組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/12 20060101AFI20191001BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20191001BHJP
   B25B 23/08 20060101ALI20191001BHJP
   B25B 23/143 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B25B23/12
   B23P19/06 E
   B25B23/08
   B25B23/143
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-19179(P2016-19179)
(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-136663(P2017-136663A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 和義
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−38694(JP,U)
【文献】 実開昭60−36170(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3048572(JP,U)
【文献】 特開平2−224934(JP,A)
【文献】 特開昭56−139882(JP,A)
【文献】 実開昭59−34974(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0065176(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0014596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/00 − 23/18
B23P 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端部でナットを保持する保持部と、
該保持部よりも該軸方向の他端側に設けられた接触部であって、該ナットのねじへの仮締め前に該ナットを通過した該ねじの先端に接触する壁が形成され、該仮締め後に該保持部による該ナットの保持を解消させる接触部と、
を備えた軸体。
【請求項2】
前記壁は、前記接触部に形成された穴の底壁とされており、
前記穴の径は、前記軸方向の一端側から他端側に亘って前記径が連続的に小さくなる部分を含んで構成されている、
請求項1に記載の軸体。
【請求項3】
前記保持部は、前記接触部に対して前記軸方向に相対的に移動可能に構成されている、
請求項1又は2に記載の軸体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の軸体と、
前記軸体を軸周りに回転させる回転部と、
を備えた仮締め装置。
【請求項5】
請求項3に記載の仮締め装置を用いてねじにナットを仮締めする仮締め工程と、
該仮締め工程の後、前記ねじに前記ナットを本締めする工程と、
を含む組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体、仮締め装置及び組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、締め具が開示されている。特許文献1によれば、上記締め具は以下のような構成とされている。すなわち、上記締め具は、ナットを内部に収容して締付け力を伝達する係合凹部が形成されるナット廻し本体部、係合凹部の内側面に設けられる開口部、開口部を経由してナットの側面部に接触自在である突出部を有する保持部材、及び、保持部材を弾性付勢する付勢手段を有している。また、係合凹部の底面の中央部には、底面からさらに基端側に延びており、かつ、締め付けの際にナットの上面から突き出したネジが干渉することがない第2の凹部が開設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−94972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ねじに仮締めされるナットの位置を定められた範囲内にすることができる軸体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の軸体は、軸方向の一端部でナットを保持する保持部と、該保持部よりも該軸方向の他端側に設けられた接触部であって、該ナットのねじへの仮締め前に該ナットを通過した該ねじの先端に接触する壁が形成され、該仮締め後に該保持部による該ナットの保持を解消させる接触部と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の軸体は、請求項1に記載の軸体であって、前記壁は、前記接触部に形成された穴の底壁とされており、前記穴の径は、前記軸方向の一端側から他端側に亘って前記径が連続的に小さくなる部分を含んで構成されている。
【0007】
請求項3に記載の軸体は、請求項1又は2に記載の軸体であって、前記保持部は、前記接触部に対して前記軸方向に相対的に移動可能に構成されている。
【0008】
請求項4に記載の仮締め装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の軸体と、前記軸体を軸周りに回転させる回転部と、を備えている。
【0009】
請求項5に記載の組立体の製造方法は、請求項4に記載の仮締め装置を用いてねじにナットを仮締めする仮締め工程と、該仮締め工程の後、前記ねじに前記ナットを本締めする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の軸体によれば、ねじに仮締めされるナットの位置を定められた範囲内にすることができる。
【0011】
請求項2に記載の軸体によれば、接触部に形成されている穴に軸方向の一端側を向く段差が形成されている場合に比べて、ねじを穴の底壁に導きやすい。
【0012】
請求項3に記載の軸体によれば、ねじに仮締めされるナットの位置を調整することができる。
【0013】
請求項4に記載の仮締め装置によれば、ねじに仮締めされるナットの位置を定められた範囲内にすることができる。
【0014】
請求項5に記載の組立体の製造方法によれば、組立体の製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】実施形態の仮締め装置を正面側から見た部分断面図である。
図1B図1Aにおける穴が形成されている部分及びその周辺の拡大図である。
図2】実施形態の仮締め装置を軸方向の一端側から見た図である。
図3】実施形態の仮締め装置を用いて組み立てられた組立体を正面側から見た断面図である。
図4】実施形態の仮締め装置を用いてナットを第1部材のねじに仮締めする工程を説明するための図であって、ナットがねじに嵌め込まれる前の状態を示す部分断面図である。
図5】実施形態の仮締め装置を用いてナットを第1部材のねじに仮締めする工程を説明するための図であって、ナットがねじに仮締めされる前にナットがねじに嵌め込まれている状態を示す部分断面図である。
図6A】実施形態の仮締め装置を用いてナットを第1部材のねじに仮締めする工程を説明するための図であって、ナットがねじに仮締めされる前にねじの先端が穴の底壁に接触した状態を示す部分断面図である。
図6B図6Aにおける穴が形成されている部分及びその周辺の拡大図である。
図7】実施形態の仮締め装置を用いてナットを第1部材のねじに仮締めする工程を説明するための図であって、ナットがねじに仮締めされた状態を示す部分断面図である。
図8】実施形態の仮締め装置を用いてナットを第1部材のねじに仮締めする工程を説明するための図であって、実施形態の組立体と異なる組立体を製造する際に、ナットがねじに仮締めされる前にねじの先端が穴の底壁に接触した状態を示す部分断面図である。
図9】変形例(第1変形例)の仮締め装置を正面側から見た部分断面図である。
図10】変形例(第2変形例)の仮締め装置を正面側から見た部分断面図である。
図11】変形例(第3変形例)の仮締め装置を示す図であって、(A)は正面側から見た部分断面図、(B)は軸方向の一端側から見た図である。
図12】変形例(第3変形例)の仮締め装置を正面側から見た部分断面図である。
図13】変形例(第4変形例)の仮締め装置を正面側から見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪概要≫
以下、実施形態について説明する。まず、実施形態の仮締め装置10(図1A参照)を用いて組立てられる組立体100(図3参照)について説明する。次いで、仮締め装置10の構成について説明する。次いで、仮締め装置10を用いた組立体100の製造方法(以下、実施形態の製造方法という。)について説明する。次いで、実施形態の作用について説明する。
【0017】
≪組立体≫
以下、組立体100について図3を参照しつつ説明する。組立体100とは、ナットNと、第1部材110と、第2部材120とを含んで構成され、第1部材110と、第2部材120とが組み立てられた部材のことをいう。なお、図中における一点鎖線は、後述するねじSの軸Oを示している。
【0018】
ナットNは、一例として、板厚方向から見て外縁が正方形状で板厚がT1の薄板とされている。また、板厚方向から見て、ナットNの中心には、貫通する雌ねじN1が形成されている。なお、実施形態のナットNは、一例として磁性を有する。
【0019】
第1部材110は、一例として、円柱112と、複数のねじSと、複数のピン(図示省略)とを備えた部材とされている。各ねじSは、軸方向から見ると円柱112の端面に軸(図中の符号O)を中心に点対称に並んで、端面から突出長さL(>T2)で突出した状態で、円柱112に固定されている。複数のピンは、円柱112の端面(上面)におけるねじSが固定されている部分とずれた部分に固定されている。なお、ねじSは、円柱112の端面から突出した部分の外周が雄ねじとされ、先端S1がねじSの軸方向に垂直な平面とされている。
【0020】
第2部材120は、一例として、板厚T2(<L)の円板とされている。第2部材120には、複数の貫通穴122と、複数の穴(図示省略)とが形成されている。各貫通穴122は、軸方向から見ると軸を中心に点対称に並んで第2部材120に形成されている。複数の穴は、第2部材120の下面における貫通穴122が形成されている部分とずれた部分に形成されている。なお、第2部材120の複数の貫通穴122及び複数の穴は、それぞれ第1部材110のねじS及び複数のピンに対応する位置関係で配置されている。
【0021】
そして、組立体100は、各穴に各ピンが嵌め込まれて第1部材110と第2部材120とが位置決めされた状態で、各貫通穴122を貫通した各ねじSに各ナットNが嵌め込まれて、第1部材110と第2部材120とが締結された部材とされている。
【0022】
以上が、組立体100についての説明である。
【0023】
≪仮締め装置の構成≫
次に、実施形態の仮締め装置10について図面を参照しつつ説明する。仮締め装置10は、組立体100を製造する際に、第1部材110のねじSにナットNを仮締めする機能を有する(図7参照)。
【0024】
<仮締め及び本締めの定義>
本明細書で「仮締め」とは、ナットNに予め定められた大きさのトルクよりも小さいトルクがかけられて、ナットNが第1部材110のねじSに嵌め込まれ、ナットNと第1部材110とで第2部材120を挟んでいる状態のことをいう。なお、ナットNがねじSに仮締めされている場合、第1部材110と第2部材120とは、相互に面(第1部材110の上面及び第2部材120の下面)を合わせて重なったまま相対的に移動して位置決め可能な状態とされている。
【0025】
また、本明細書では、仮締めの対義語として「本締め」なる用語を用いる。本明細書で「本締め」とは、ナットNに予め定められた大きさのトルク(設計上定められたトルク)がかけられて、ナットNが第1部材110のねじSに嵌め込まれ、ナットNと第1部材110とで第2部材120を挟んでいる状態のことをいう。そして、組立体100では、ナットNが第1部材110のねじSに本締めされている。なお、ナットNがねじSに本締めされていると、ナットNは、第1部材110とで第2部材120を挟んだ状態で、第1部材110と第2部材120とを締結している。
【0026】
仮締め装置10は、図1Aに示されるように、回転装置20と、軸部材30と、を含んで構成されている。なお、軸部材30は長尺とされており、図中における一点鎖線Oは軸部材30の軸を示している。
【0027】
<回転装置>
回転装置20は、軸部材30を軸周りに回転させる機能を有する。ここで、回転装置20は、回転部の一例である。回転装置20は、取付部22と、駆動源(図示省略)とを含んで構成されている。取付部22には、軸部材30(後述する軸部材30の被取付部32)が嵌って取り付けられる、軸方向から見た断面が正六角形の穴22Aが形成されている。そして、回転装置20は、駆動源を駆動させると、取付部22に取り付けられた軸部材30を軸周りに回転させるようになっている。
【0028】
<軸部材>
軸部材30は、図1Aに示されるように、被取付部32と、本体34とを含んで構成されている。ここで、軸部材30は、軸体の一例である。なお、被取付部32と、本体34とは、軸方向に繋がった状態で並んでいる。以下、軸方向における本体34側を軸方向の一端側とし、被取付部32側を他端側として説明する。
【0029】
[被取付部]
被取付部32は、前述した取付部22の穴22Aに嵌って、取付部22に取り付けられている。そのため、被取付部32における軸方向から見た断面は、取付部22の穴22Aに嵌る正六角形とされている。
【0030】
[本体]
本体34は、円柱状とされている。本体34の軸方向の両端には、それぞれ平面が形成されている。以下、本体34の軸方向の一端側の平面を平面34Aとし、他端側の平面を平面34Bとする。平面34Bには、被取付部32の軸方向の一端が繋がっている。
【0031】
本体34は、図1A及び図1B並びに図2に示されるように、平面34Aで開口している穴40が形成されている。穴40は、図1A及び図1Bに示されるように、軸方向と直交する方向から透視すると、軸方向の一端側から他端側に亘って、第1穴42と、第2穴44と、第3穴46とで構成されている。また、穴40は、図2に示されるように、軸方向から見ると、軸Oに対して対称(点対称)とされている。
【0032】
第1穴42は、図2に示されるように、軸方向から見ると、周縁が星型とされる正多角形(星型正多角形状)の穴とされている。ここで、実施形態における星型正多角形の穴とは、中心が軸Oに位置している同一の正方形状の周縁で形成されている2つの穴を重ねて形成されている1つの穴であって、2つの穴のうちの一方を他方に対して軸Oを中心に45°ずらして形成される穴とされている。第1穴42に含まれる縁が正方形状の部分には、ナットNが嵌るようになっている。また、第1穴42の深さD1は、ナットNの板厚T1よりも浅い。以上の構成により、第1穴42にナットNが嵌り込んだ状態では、ナットNの一部は第1穴42からはみ出すようになっている(図4参照)。また、第1穴42の底面42Aは、磁石を含む膜(図示省略)で覆われている(第1穴42を構成する面のうち底面42A以外の面は磁石を含む膜に覆われていない)。そのため、第1穴42にナットNが嵌り込むと、磁力により底面42AにはナットNが引き付けられるようになっている。以下の説明では、本体34のうち底面42Aを含む軸方向の一端側の部分(一端部)を第1部分50とする。そうすると、第1部分50は、軸方向の一端部でナットNを保持する機能を有するといえる。ここで、第1部分50は、保持部の一例である。また、本体34のうち第1部分50以外の部分、すなわち、第1部分50よりも軸方向の他端側に設けられた部分を第2部分60とする。なお、図1A及び図1Bにおける、二点鎖線BLは、第1部分50と、第2部分60との境界を示している。
【0033】
第2穴44は、図2に示されるように、第1穴42の周縁の内側に配置され、その周縁を円とする穴とされている。第2穴44の周面は、図1A及び図1B並びに図2に示されるように、軸方向の一端から他端側に亘って径が一定の周面44Aと、周面44Aにおける軸方向の他端を起点として軸方向の一端から他端に亘って径が徐々に小さくなっている周面44Bと、で構成されている。すなわち、第2穴44は、軸方向の一端側から他端側に亘って径が連続的に狭くなる部分(周面44Bが形成されている部分)を含んで構成されている。なお、第2穴44の最小径(第2穴における軸方向の他端の径)は、ねじSの径(ねじSの外径のことをいう。以下、同じ。)よりも大きい。また、第2穴44の周面44A、44Bは、磁石を含む膜に覆われてない。
【0034】
第3穴46は、図2に示されるように、第2穴44の周面44Aの周縁の内側に配置され、その周縁を円とする穴とされている。第3穴46の周面は、図1A及び図2に示されるように、軸方向の一端から他端側に亘って径が一定の周面46Aと、周面46Aにおける軸方向の他端を起点として軸方向の一端から他端に亘って径が徐々に小さくなる円錐状の周面46Bと、で構成されている。第3穴46の径は、第2穴44の最小径とされている。すなわち、周面46Aの径は、ねじSの径よりも大きい。以上の構成により、第2穴44及び第3穴46で構成される穴は、軸方向の一端側から他端側に亘って径が連続的に狭くなる部分(周面44Bが形成されている部分)を含んで構成されているといえる。なお、周面46Bにおける軸方向の中央の円周を円周46B1とすると、円周46B1の径はねじSの径とされている。また、軸方向における平面34Aから円周46B1までの深さD2の値は、ねじSの突出長さLからナットNの板厚T1と第2部材120の板厚T2との和を減じた値に設定されている。また、第3穴46の周面46A、46Bは、磁石を含む膜に覆われてない。
【0035】
そして、仮締め装置10を用いて組立体100を製造する際、第2部分60の周面46Bの円周46B1には、ナットNがねじSへ仮締めされる前にナットNを通過したねじSの先端S1(の外周縁)が接触するようになっている(図6A及び図6B参照)。すなわち、第2部分60には、ナットNがねじSへ仮締めされる前にナットNを通過したねじSの先端S1(の外周縁)が接触する壁が形成されている。ここで、第2部分60は、接触部の一例である。さらに、軸部材30(本体34)が軸周りに回転してナットNがねじSに仮締めされると、第1部分50は保持していたナットNを離すようになっている。別の見方をすれば、第2部分60は、ナットNのねじSへの仮締め後に第1部分50によるナットNの保持を解消させるようになっている。なお、ナットNがねじSへ仮締めされる前にナットNを通過したねじSの先端S1(の外周縁)が接触する壁(第2部分60の周面46Bが形成されている部分の壁)は、第2部分60に形成された第3穴46の底壁とされている(図1A及び図1B並びに図2参照)。また、第2穴44及び第3穴46で構成される穴は、接触部(第2部分60)に形成された穴の一例である。
【0036】
以上が、仮締め装置10の構成についての説明である。
【0037】
≪実施形態の製造方法≫
次に、実施形態の製造方法について図面を参照しつつ説明する。実施形態の製造方法は、位置決め工程と、仮締め工程と、調整工程と、本締め工程と、を含む。なお、実施形態の製造方法は、作業者の手作業によって行われる。
【0038】
<位置決め工程>
位置決め工程は、第2部材120の複数の穴(図示省略)に第1部材110の複数のピン(図示省略)を嵌め込ませて、第1部材110と第2部材120とを位置決めする工程である(図4参照)。作業者が、第1部材110と第2部材120とを位置決めすると、位置決め工程が終了する。なお、各ピンは各穴に隙間を有した状態で嵌め込まれていることから、第2部材120は、当該隙間の範囲内で、第1部材110に対する位置の調整ができる。
【0039】
<仮締め工程>
仮締め工程は、仮締め装置10を用いて、各ナットNを第1部材110の各ねじSに仮締めする工程である。仮締め工程は、位置決め工程の後に行われる。まず、仮締め工程では、作業者が、仮締め装置10を持って、第1部分50にナットNを保持させる。次いで、作業者は、ナットNの雌ねじN1を、第1部材110のねじSの先端S1に接触させる。次いで、作業者は、回転装置20を作動させて、第1部分50にナットNが保持された状態の軸部材30を軸周りに回転させる(図5参照)。これに伴い、ナットNは、第1部分50に保持された状態で、仮締め装置10とともに第2部材120側に移動される。そして、ナットNを通過したねじSの先端S1(の外周縁)が第2部分60の周面46Bの円周46B1に接触すると、仮締め装置10は第2部材120側に移動できなくなる(図6A及び図6B参照)。一方、ナットNは、軸部材30の回転により更に第2部材120側に移動され、第1部分50から離れて、ねじSの軸方向の定められた範囲内で停止する(図7参照)。その結果、ナットNは、ねじSの軸方向の定められた範囲内に位置した状態で、ねじSに仮締めされる。そして、作業者が、残りのナットNを残りのねじSに仮締めすると、仮締め工程が終了する。
【0040】
<調整工程>
調整工程は、仮締め工程の後に行われる工程であって、第1部材110に対する第2部材120の位置を調整する工程である。第2部材120は、仮締め工程においてナットNにより第1部材110に対して仮締めされている。このため、作業者は、第1部材110に対する第2部材120の位置を、各ピンと各穴との隙間の範囲内で移動(調整)することが可能である。なお、作業者が第2部材120を手放したとしても、移動後の第2部材120の位置は維持される。
【0041】
<本締め工程>
本締め工程は、調整工程の後に行われる工程であって、各ナットNを第1部材110の各ねじSに本締めする工程である。本締め工程では、作業者が、トルクドライバー(図示省略)を持って、各ナットNを軸周りに回転させて、各ナットNを各ねじSに順次本締めする。そして、本締め工程が終了して、組立体100が製造される。なお、トルクドライバーには、前述の予め定められた大きさのトルクの設定がされている。
【0042】
以上が、実施形態の製造方法についての説明である。
【0043】
≪作用≫
次に、実施形態の作用(第1〜第3の作用)について図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、実施形態を、以下に想定する各比較形態(第1及び第2比較形態)を比較して行う。なお、各比較形態において、実施形態で用いた部品等を用いる場合、図示しない場合であってもその部品等の符号をそのまま用いて説明する。
【0044】
<第1の作用>
第1の作用は、本体34の第2部分60がナットNのねじSへの仮締め後に第1部分50によるナットNの保持を解消させるようになっていることの作用である。別の見方をすれば、第1の作用は、軸方向における平面34Aから円周46B1までの深さD2の値がねじSの突出長さLからナットNの板厚T1と第2部材120の板厚T2との和を減じた値に設定されていることの作用である。第1の作用については、第1比較形態(図示省略)と比較して説明する。
【0045】
第1比較形態の軸部材(仮締め装置)の場合、深さD2の値がねじSの突出長さLからナットNの板厚T1と第2部材120の板厚T2との和を減じた値よりも大きく設定されている。そして、第1比較形態の軸部材(仮締め装置)を用いてナットNをねじSに嵌め込むと、ナットNを通過したねじSの先端S1(の外周縁)は、第2部分60の周面46Bに接触することがない。そのため、ナットNは、第1部分50から離れることなく、第1部分50に保持された状態で第2部材120に接触し、回転装置20からのトルクにより回転不可能となって停止する。その結果、第1比較形態の場合、そもそも、ナットNを仮締めすることができない。別言すれば、第1比較形態の場合、ナットNの位置を定められた範囲内にしてナットNをねじSに仮締めすることができない。
【0046】
これに対して、実施形態の軸部材30(仮締め装置10)の場合、軸方向における平面34Aから円周46B1までの深さD2の値がねじSの突出長さLからナットNの板厚T1と第2部材120の板厚T2との和を減じた値に設定されている。そのため、ナットNを通過したねじSの先端S1(の外周縁)が第2部分60の周面46Bの円周46B1に接触すると、軸部材30(仮締め装置10)は第2部材120側に移動できなくなる(図6A及び図6B参照)。一方、ナットNは、軸部材30の回転により更に第2部材120側に移動され、第1部分50から離れて、ねじSの軸方向の定められた範囲内で停止する(図7参照)。
【0047】
したがって、実施形態の軸部材30(仮締め装置10)によれば、ねじSに仮締めされるナットNの位置を定められた範囲内にすることができる。これに伴い、仮締め工程の時間を短縮することができることから、実施形態の製造方法によれば、組立体100の製造時間を短縮することができる。
【0048】
<第2の作用>
第2の作用は、第2穴44及び第3穴46で構成される穴が軸方向の一端側から他端側に亘って径が連続的に狭くなる部分(周面44Bが形成されている部分)を含んで構成されていることの作用である。第2の作用については、第2比較形態(図示省略)と比較して説明する。
【0049】
第2比較形態の軸部材(仮締め装置)の場合、実施形態の軸部材30(仮締め装置10)に対して、周面44Bが軸方向の一端側に向く軸方向に垂直な平面とされている点のみ異なる。すなわち、第2比較形態の場合、軸方向における第2穴44と第3穴46との境界部分に、軸方向に垂直な平面(段差)が形成されている。なお、第2比較形態は、軸方向における平面34Aから円周46B1までの深さD2の値がねじSの突出長さLからナットNの板厚T1と第2部材120の板厚T2との和を減じた値に設定されている。そのため、第2比較形態は、前述の第1の作用を奏することから、本発明の技術的範囲に属する形態であるといえる。
【0050】
第2比較形態の軸部材の場合、前述のとおり、軸方向における第2穴44と第3穴46との境界部分に、上記段差が形成されている。そのため、第2比較形態の場合、ねじSの先端S1が、第2穴44と第3穴46との境界部分を通過する際に、上記段差に引っ掛かる虞がある。
【0051】
これに対して、実施形態の軸部材30の場合、図1Aに示されるように、第2穴44及び第3穴46で構成される穴は、軸方向の一端側から他端側に亘って径が連続的に狭くなる部分(周面44Bが形成されている部分)を含んで構成されている。そのため、実施形態の場合、ねじSの先端S1が周面44Bに接触しても、ねじSの先端S1は周面44Bに引っ掛かることなく第3穴46に入り易い。
【0052】
したがって、実施形態の軸部材30によれば、第2部分60の穴に軸方向の一端側を向く段差が形成されている場合に比べて、ねじSを穴の底壁(周面46Bが形成されている部分)に導きやすい。
【0053】
<第3の作用>
第3の作用は、穴40を構成する面のうち第1穴42の底面42Aが磁石を含む膜に覆われており、底面42A以外の面は磁石を含む膜に覆われていないことの作用である。第3の作用については、第3比較形態(図示省略)と比較して説明する。
【0054】
第3比較形態の軸部材(仮締め装置)の場合、実施形態の軸部材30(仮締め装置10)に対して、穴40を構成するすべての面が磁石を含む膜で覆われている点のみ異なる。なお、第3比較形態は、軸方向における平面34Aから円周46B1までの深さD2の値がねじSの突出長さLからナットNの板厚T1と第2部材120の板厚T2との和を減じた値に設定されている。また、第3比較形態は、第2穴44及び第3穴46で構成される穴が軸方向の一端側から他端側に亘って径が連続的に狭くなる部分(周面44Bを形成する部分)を含んで構成されている。以上より、そのため、第3比較形態は、前述の第1及び第2の作用を奏することから、本発明の技術的範囲に属する形態であるといえる。
【0055】
第3比較形態の場合、ねじSの先端S1が第3穴46の周面46Bに接触して削れると、削れた粉が磁力により周面46Bに付着して第3穴46が削れた粉で詰まる虞がある。その結果、第3比較形態の場合、仮締め装置の使用頻度等により、ねじSの穴40内への挿入深さが初期の設定からずれてしまう。
【0056】
また、第3比較形態の場合、第1穴42の側面も磁石を含む膜で覆われている。そして、ナットNをねじSに仮締めする際、当該側面にナットNの角が当たることで当該側面を覆う磁石を含む膜が取れる虞がある。その結果、第3比較形態の場合、仮締め装置の使用頻度等により当該側面の磁力が初期の磁力より弱くなり、第1部分50から離れたナットNが停止する位置に影響を及ぼす。
【0057】
これに対して、実施形態の場合、穴40を構成する面のうち底面42A以外の面は磁石を含む膜に覆われていない。すなわち、第3穴46の周面46Bは磁石を含む膜に覆われていない。そのため、実施形態の場合、第3比較形態の場合に比べて、ねじSの先端S1が第3穴46の周面46Bに接触して削れた粉が周面46Bに付着し難い。また、実施形態の場合、第1穴42の側面が磁石を含む膜に覆われていない。そのため、実施形態の場合、仮締め装置の使用頻度等に関わらず、第1穴42の側面が第1部分50から離れたナットNに及ぼす磁力は変わらない(そもそも初期の状態から磁力を及ぼすことがない)。
【0058】
したがって、実施形態の軸部材30は、ねじSの先端S1が接触する面が磁石を含む膜を有する軸部材に比べて、使用による(使用時間が長くなることによる)ねじSの挿入深さのずれが小さい。これに伴い、実施形態の軸部材30を用いてナットNをねじSに仮締めすれば、使用時間が長くなっても仮締めされるナットNをねじSの定められた範囲内に位置させることができる。
【0059】
また、実施形態の軸部材30は、第1穴42の側面(ナットNの外周面が接触する面)が磁石を含む膜で覆われている軸部材に比べて、使用時間によらず第1穴42の側面が第1部分50から離れたナットNに及ぼす磁力は変わらない。これに伴い、実施形態の軸部材30を用いてナットNをねじSに仮締めすれば、使用時間が長くなっても仮締めされるナットNをねじSの定められた範囲内に位置させることができる。
【0060】
以上が、実施形態の作用の説明である。
【0061】
以上のとおり、本発明を特定の実施形態を例として説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態も含まれる。
【0062】
実施形態の組立体100は、貫通穴122を貫通したねじSにナットNを嵌め込まれて、第1部材110と第2部材120とが締結された部材であるとして説明した(図3参照)。しかしながら、組立体は、第1部材にはねじが固定され、第2部材には貫通穴が形成されており、第1部材とナットとで第2部材を挟んで貫通穴を貫通したねじにナットが嵌り込んだ状態で、第1部材と第2部材とが締結されたものであればよい。上記の要件を満たせば、第1部材及び第2部材の形状は、実施形態と異なる形状であってもよい。
【0063】
実施形態では、組立体100を構成する第2部材120が、板(円板)であるとして説明した(図3参照)。しかしながら、組立体は、第1部材にはねじが固定され、第2部材にねじが貫通し、第1部材とナットとで第2部材を挟んで第2部材を貫通したねじにナットが嵌り込んだ状態で、第1部材と第2部材とが締結されたものであればよい。例えば、図8に示されるように、第2部材をコイルバネSPとしてもよい。ここで、図8は、仮締め装置10を用いてナットNと、第1部材110と、第2部材としてのコイルバネSPとを含んで構成される組立体の製造において、仮締め工程を行っている状態を示している。この場合であっても、仮締め装置10を用いてねじSにナットNを仮締めすると、ナットNをねじSにおける定められた範囲内に位置させることができる。
【0064】
実施形態の組立体100及び上記の組立体(図8参照)を製造する場合の仮締め工程では、ナットNが第2部材に接触して仮締めされる。しかしながら、実施形態及び各変形例の仮締め装置10等を用いれば、ナットNが第2部材に接触していない状態で、ねじSにナットNを仮締めすることができる。これは、実施形態及び各変形例の仮締め装置10等を用いれば、ねじSに仮締めされるナットNを定められた範囲内に位置させることができることの別の態様といえる。なお、トルクドライバーを用いて仮締めを行うことも可能とも考えられるが、トルクドライバーを用いた仮締めの場合、ナットNが第2部材に接触していない状態でねじSにナットNを仮締めすることができない。
【0065】
実施形態では、軸部材30の第2部分60における、ねじSの先端S1(の外周縁)が接触する面は、円錐状の周面46Bであるとして説明した(図6B参照)。しかしながら、ねじSの先端S1が接触する面が軸部材30の平面34Aを基準として軸方向に深さD2となる位置に形成されていれば、ねじSの先端S1が接触する面の形状は実施形態の場合と異なる形状であってもよい。例えば、図9に示される仮締め装置10A(第1変形例)のように、第3穴46の周面46Bを、軸を中心として軸方向の一端側に突出している突出面46Cとしてもよい。なお、仮締め装置10Aの場合、ねじSの先端S1の端面(先端S1の外周縁で囲まれた面であってねじ山が形成されていない部分)を突出面46Cに接触させて、ナットNの仮締めを行うことになる。そのため、仮締め装置10Aを用いてナットNをねじSに仮締めすると、ねじ山を軸部材30(第2部分60)に接触させることなく仮締めが可能であることから、接触に伴う削れた粉の発生が抑制される。また、ねじ山がつぶれ難い。
【0066】
実施形態では、軸部材30の第2部分60に形成されている穴は、最大径の異なる2つの穴(第2穴44及び第3穴46)で構成されているとして説明した(図1A及び図1B参照)。しかしながら、第2部分60に形成されている穴の径がねじSの径よりも大きく、ねじSの先端S1が接触した状態で、ナットNがねじSに仮締めされるように穴が形成されていれば、穴の形状は、実施形態及び第1変形例と異なる形状であってもよい。例えば、図10に示される仮締め装置10B(第2変形例)のように、実施形態の穴44を、軸方向の一端側から他端側に亘って徐々に小さくなる穴44Cに変更してもよい。
【0067】
実施形態では、第1部分50は、本体34の一端側の部分であって、第1穴42にナットNを嵌め込んで保持する機能を有するとして説明した。そして、第1部分50よりも軸方向の他端側に設けられている第2部分60は、ナットNのねじSへの仮締め後に第1部分50によるナットNの保持を解消させる機能を有することを説明した(図7参照)。しかしながら、第1部分50は、第2部分60よりも軸方向の一端側でナットNを保持する機能を有すれば、実施形態のように、本体34の一端側に形成された第1穴42にナットNを嵌め込んで保持する構成でなくてもよい。例えば、図11(A)及び(B)に示される仮締め装置10C(第3変形例)のように、実施形態の第1部分50に換えて、ナットNを嵌めて保持することが可能な複数のガイド42Cと底面42Aとを、ナットNを保持する第1部分50Cとしてもよい。この場合、第1部分50Cは、保持部の一例である。
【0068】
実施形態の場合、本体34に形成されている穴40におけるねじSの挿入深さを変更することができない。そのため、実施形態の場合、製造される組立体を構成する部材(第1部材及び第2部材)ごとに、ねじSの挿入深さが異なる仮締め装置10が必要となる。しかしながら、穴40におけるねじSの挿入深さを変更できる構成にしてもよい。例えば、図12に示される仮締め装置10D(第4変形例)の本体34Dは、第1穴42が形成されている部分及び第2穴44が形成されている部分のうち一部の部分を含む先端部50D(保持部の一例)と、本体34のうち先端部50D以外の部分とされる基部60D(接触部の一例)とで構成されている。基部60Dにおける軸方向の一端側の外周には、雄ねじが形成されている。先端部50Dにおける軸方向の他方側の部分の内周には、基部60Dの雄ねじに嵌る雌ねじが形成されている。先端部50Dと基部60Dとは、第2穴44が形成されている部分で分けられている。すなわち、仮締め装置10Dの場合、先端部50Dは、基部60Dに対して軸方向に相対的に移動可能に構成されている。以上の構成により、先端部50Dを基部60Dに対して相対回転させた後、先端部50Dを基部60Dに対して固定手段(図示省略)により固定することで、穴40におけるねじSの挿入深さを変更できる。そして、仮締め装置10Dは、製造される組立体を構成する部材に合わせて、ねじSに仮締めされるナットNの位置を調整することができる。
【0069】
実施形態の仮締め工程では、ねじSの先端S1が本体34の第2部分60の周面46Bに接触した後、ねじSの先端S1は軸周りに回転する周面46Bに摺動される。そのため、実施形態の場合、上記摺動に伴い、ねじSの先端S1からねじSが削れた粉が発生する虞がある。そこで、図13に示される仮締め装置10E(第5変形例)のように、本体24Eを構成する第2部分60Eを、部分60E1と、部分60E2とに分けてもよい。具体的には、部分60E1を、周面46Bを含み、第2部分60Eの中心に配置されている部分60E1(一例として、円錐状の凹みが形成された円柱状の部材)とする。また、部分60E2を、第2部分60Eにおける部分60E1以外の部分60E2とする。部分60E1と部分60E2とは、互いに相対回転可能とされている(部分60E1は、部分60E2にベアリング(図示省略)を介して支持されている。以上の構成により、仮締め装置10Eを用いてナットNをねじSに仮締めする場合、部分60E2が軸周りに回転しても、ねじSの先端S1に接触した部分60E1は回転しない。そのため、仮締め装置10Eを用いてナットNをねじSに仮締めすると、ねじSの先端S1から削れた粉が発生し難い。また、ねじ山がつぶれ難い。
【0070】
以上のとおり、実施形態及びその変形例(第1〜第5変形例)について、それぞれ別個に説明したが、実施形態及びその変形例(第1〜第5変形例)の構成を組み合せた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、第1変形例(図9)の本体34を、第4変形例(図11)の本体34Dのように2つの部分(先端部50D及び基部60D)に分けた構成した形態としてもよい。また、第3変形例(図11)の第2穴44を、第2変形例(図10)の第2穴44Cとした形態としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 仮締め装置
20 回転装置(回転部の一例)
30 軸部材(軸体の一例)
46 穴
50 第1部分(保持部)
60 第2部分(接触部)
100 組立体
N ナット
S ねじ
S1 ねじの先端
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13