(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586963
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B24D 3/00 20060101AFI20191001BHJP
B24D 3/20 20060101ALI20191001BHJP
B24D 11/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
B24D3/00 330D
B24D3/00 340
B24D3/20
B24D11/00 Q
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-567237(P2016-567237)
(86)(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公表番号】特表2017-526537(P2017-526537A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】CN2015079259
(87)【国際公開番号】WO2015176639
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】201410215615.6
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516331661
【氏名又は名称】ファチォ ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジン
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,シプォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,フィ
(72)【発明者】
【氏名】スゥン,ユンユン
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−214154(JP,A)
【文献】
特表2011−528998(JP,A)
【文献】
特開2001−169986(JP,A)
【文献】
特開2012−046843(JP,A)
【文献】
特表2011−507717(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0007514(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第2003−0004338(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D3/00−99/00
C08J5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜であって、
基材は、0.1〜10wt%の表面変性された超微細研磨材と、5〜15wt%の乾燥制御された化学添加剤と、1〜10wt%の生体高分子ゾルと、残部である水とを含み、
前記基材は一定の比率で均一に混合され、物理的又は化学的架橋で硬化成型され、乾燥後に形成され、
前記表面変性はカップリング剤で超微細研磨材を化学被覆することによって、研磨材が高分子基材での分散性や把持力を高くすることであることを特徴とする超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜。
【請求項2】
前記カップリング剤はシランカップリング剤、チタン酸エステルカップリング剤、リグニンカップリング剤の中の一種又は組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜。
【請求項3】
前記超微細研磨材はダイヤモンド、炭化物、ホウ化物、酸化物の一種又は数種の組み合わせであり、超微細研磨材の粒径は5nm〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜。
【請求項4】
前記乾燥制御された化学添加剤は充填剤、保水剤と造孔剤を含み、充填剤はナノSiO2、ナノCaCO3、ナノポリイミドとナノ重質炭酸カルシウムの一種又は組み合わせであり、保水材は蔗糖、乳糖、果糖、グリセリンの一種又は組み合わせであり、造孔剤はNaHCO3、NaCl、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの一種又は組み合わせであり、前記両者の混合比率の範囲は、充填剤:保水剤=1〜3wt%:3〜10wt%であり、造孔剤の添加濃度は工具表面の孔隙率の要求によって調整されることを特徴とする請求項1に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜。
【請求項5】
前記生体高分子ゾルは澱粉、変性繊維素、キトサン、アガロオリゴ糖、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、大豆カゼイン、ポリ乳酸の中の一種又は組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜。
【請求項6】
超微細砥粒をカップリング剤の水溶液に添加して変性処理する変性処理工程と、
処理後の超微細砥粒、乾燥制御された化学添加剤及び生体高分子ゾルを0.1%〜10%:5%〜15%:1%〜10%の比率で均一に混合する基材混合工程と、
混合ゾルを噴きつけ、又は塗って成型させてから、物理的又は化学的架橋で硬化させ、乾燥後、研磨膜を作る成型乾燥工程と、
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(1)の超微細砥粒とカップリング剤の比率の範囲は質量比100:0.1〜10であることを特徴とする請求項6に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法。
【請求項8】
(1)粒度500nmのダイヤモンドをKH−550シランカップリング剤の水溶液に添加して変性処理する変性処理工程と、
(2)処理後のダイヤモンド粉、粒径30nmのSiO2、ドデシル硫酸ナトリウム、蔗糖、カラギーナンと澱粉を脱イオン水の中に、機械攪拌を通して均一に混合し、それぞれの質量パーセント濃度は1%、3%、0.1%、3%、6%、4%である基材混合工程と、
(3)ゾルを塗布機で不織布の表面に均一に塗り、霧化したナトリウムイオン溶液を噴き付けてゲルになり、定温乾燥して研磨膜に作る成型乾燥工程と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(1)の中のカップリング剤の濃度は0.005%であり、ダイヤモンドの添加量は1%であることを特徴とする請求項8に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法。
【請求項10】
(1)粒度が10μmであるアルミナをTTSチタン酸エステルカップリング剤の中に添加し、超音波で10分間処理して変性処理する変性処理工程と
(2)処理後のアルミナ、粒径20nmのCaCO3、NaCl粒子、グリセリン、キトサンとアルギン酸ナトリウムを脱イオン水の中に、機械攪拌で均一に混合し、それぞれの質量パーセント濃度は2%、1%、0.2%、3%、3.5%、5%である基材混合工程と、
(3)ゾルを円形スズ噴きユニバーサル基板に塗り、カルシウムイオンの溶液に浸してゲル膜を形成し、赤外線乾燥して研磨膜を製造する成型乾燥工程と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法。
【請求項11】
前記工程(1)のアルミナとTTSの量はそれぞれ2%と0.02%であることを特徴とする請求項10に記載の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超微細精密研磨工具に関し、具体的は超微細研磨材を含む生体高分子柔軟研磨膜に関わる。
【背景技術】
【0002】
近年来、情報技術と光電技術の急速な発展に伴い、セラミックス基板、半導体ウエハー、光学結晶、装飾及び工程石材の加工に対する要求が一層高くなっている。特に、半導体ウエハーの加工に対し、表面がとても滑らかで、平らであることが要求される他、残留応力、表面とサブ表面の損傷がないことも要求される。
【0003】
この種の材料の超精密研磨方法は主に、遊離研磨材研磨、固定研磨材研磨や特殊加工の三つの方式がある。遊離研磨材研磨を行う過程においては、砥粒がランダムに分布し、且つ軌跡が制御できず、三次元の一体運動になることで、加工の効率が比較的に低くなる。砥粒の寸法が小さい時に、集合体が形成しやすいので、工作物表面に傷が形成され、加工品質に影響する。使われた腐蝕性研磨液と遊離研磨材の浪費が深刻であることに加え、環境汚染の問題をも抱えている。また、固定研磨材研磨に使われたひき臼の剛度が大きく、研磨過程の修正が困難、煩雑で、加工過程中の条件制御が非常に厳しくなり、さもなければ、工作物への損傷を引き起こし、加えて、同じく粒度が小さい研磨材が集まりしやすい問題も存在している。新型の特殊加工は良好な表面品質が実現できるが、設備に対する要求が非常に高く、且つ平面が大きい工作物の高効率高速加工が実現しにくく、大規模工業化生産に広く応用することが難しい。
【0004】
国内外の研究者は前記問題に対して半固着の研磨工具、例えば、アイスディッシュ、樹脂研磨ウエハー、親水性研磨膜などを開発し、粒径の細かい研磨材が分散する問題をある程度解決した。しかし、これら工具による砥粒の把持能力が比較的低く、加工過程において、多くは遊離状態にあって、且つ、高分子重合体の分解が難しいため、廃棄物の後期処理は比較的面倒である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は現有超精密研磨工具に存在している問題を克服し、分解できる生体高分子材料に基づく超微細研磨材の研磨膜製品を提供することを目的とする。製造方法が簡単で、膜の形状や寸法が制限されず、加工過程では、水だけを研磨液として使用するので、超精密無損失加工に用いられ、環境に優しく汚染がない等の特徴がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の具体的な技術案は、超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜を提供し、その
基材は0.1〜10wt%の表面変性された超微細研磨材、5〜15wt%の乾燥制御された化学添加剤と1〜10wt%の生体高分子ゾルを含み、前記基材を均一に混合し、物理又は化学架橋で硬化成型し、乾燥後に形成が行われる。
【0007】
前記表面変性とは、カップリング剤で超微細研磨材を化学被覆することによって、研磨材の高分子基材での分散性や把持力を高くすることである。
【0008】
前記カップリング剤はシランカップリング剤、チタン酸エステルカップリング剤、リグニンカップリング剤の中の一種又は組み合わせである。
【0009】
前記超微細研磨材はダイヤモンド、炭化物、ホウ化物、酸化物の一種又は数種の組み合わせであり、超微細研磨材の粒径は5nm〜40μmである。
【0010】
前記乾燥制御された化学添加剤は充填剤、保水剤と造孔剤を含み、充填剤はナノSiO
2、ナノCaCO
3、ナノポリイミドとナノ重質炭酸カルシウムの一種又は組み合わせであり、保水材はショ糖、乳糖、果糖、グリセリンの一種又は組み合わせであり、造孔剤はNaHCO
3、NaCl、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの一種又は組み合わせであり、前記両者の混合比率の範囲は、充填剤:保水剤=1〜3wt%:3〜10wt%であり、造孔剤の添加濃度は工具表面の孔隙率の要求によって調整する。
【0011】
前記生体高分子材料はデンプン、変性繊維素、キトサン、アガロオリゴ糖、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、大豆カゼイン、ポリ乳酸の中の一種又は組み合わせである。
【0012】
前記乾燥は定温乾燥又は赤外線乾燥などの乾燥方法を使用してもよい。
【0013】
超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法は以下の工程を含む。
【0014】
(1)超微細砥粒をカップリング剤の水溶液に添加して変性処理する変性処理工程。
【0015】
処理後の超微細砥粒、乾燥制御された化学添加剤及び生体高分子ゾルを0.1%〜2%:4%〜14%:1.5%〜5%の比率で均一に混合する基材混合工程。
【0016】
混合ゾルを噴きつけ、又は
塗って成型させてから、物理又は化学架橋で硬化させ、乾燥後、研磨膜を作る成型乾燥工程。
【0017】
なお、ステップ(1)において、超微細砥粒とカップリング剤の比率の範囲は質量比100:0.1〜10である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜はセラミックス基板、半導体ウエハー、光学結晶、装飾及び工程石材、特に寸法が大きい平面の超精密加工に広く応用されている。本発明の研磨膜中の超微細研磨材はカップリング剤で表面が変性させられ、研磨材が固まりになる問題を有効に解決することができ、且つ生体高分子基材が無機研磨材に対する把持能力を増強した。また、前記研磨膜には良い柔軟性があることによって、砥粒の収容・埋没が実現でき、研磨材を固定して高効率に加工すると同時に硬質大顆粒の工作物への損傷を避けることができ、本発明の研磨膜の中にはさらに乾燥制御された化学添加剤があることで、研磨膜は良い機械性能や保存寿命を有するようになる、選択した生体高分子材料は微生物に分解されるため、環境に優しい研磨工具である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の素材は以下である。
【0020】
超微細研磨材はダイヤモンドである。
【0021】
乾燥制御された化学添加剤は充填剤のナノSiO
2、保水剤のショ糖と造孔剤のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0022】
前記生体高分子基材はデンプン、カラギーナンの組み合わせである。
【0023】
カップリング剤はKH550シランカップリング剤の水溶液である。
【0024】
本発明の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法は以下の工程を含む。
【0025】
変性処理工程:粒度が550nmのダイヤモンドをKH550シランカップリング剤の水溶液(カップリング剤の濃度は0.005%、ダイヤモンドの添加量は1%)に添加して30分間超音波処理した。
【0026】
(2)基材混合工程:処理後のダイヤモンド粉末(表面処置後、カップリング剤が分解して形成した官能基がダイヤモンドに付着し、濾過によりダイヤモンド粉末を得られる)、粒径30nmのSiO
2、SDS、ショ糖、カラギーナンとデンプンを脱イオン水の中に、機械攪拌で均一に混合し、それぞれの質量パーセント濃度は1%、3%、0.1%、3%、6%、4%であった。
【0027】
(3)成型乾燥工程:ゾルを塗布機で不織布の表面に塗り、霧化したナトリウムイオン溶液を噴き付けてゲルとして、定温乾燥後、ゴムに粘着して本発明の研磨膜を作った。
【0028】
研磨膜をAUTOPOL−1000S自動研磨機の研磨ディスクに貼り付け、研磨ディスクの速度を120rpm、サンプルキャリアプレートの速度を60rpm、研磨圧力を3kgに設定し、当初の粗さが10nmの単結晶SiCウェハーを2時間研磨すると、表面粗さが0.3nmに達し、且つウェハーの表面には傷や凹穴がなかった。
【実施例2】
【0029】
本発明の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の素材は以下である。
【0030】
超微細研磨材はアルミナである。
【0031】
乾燥制御された化学添加剤は充填剤の粒径が20nmのCaCO
3、保水材のグリセリンと造孔剤のNaCl粒子である。
【0032】
前記生体高分子基材はキトサンとアルギン酸ナトリウムの組み合わせである。
【0033】
カップリング剤はTTSチタン酸エステルカップリング剤である。
【0034】
本発明の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜の製造方法は以下の工程を含む。
【0035】
(1)変性処理工程:常温で、粒度が10μmのアルミナをTTSチタン酸エステルカップリング剤(アルミナとTTSの量はそれぞれ2%と0.02%である)の中に添加し、超音波で10分間処理した。
【0036】
(2)基材混合工程:処理後のアルミナ、粒径20nmのCaCO
3、NaCl粒子、グリセリン、キトサンとアルギン酸ナトリウムを脱イオン水の中に、機械攪拌で均一に混合させ、それぞれの質量パーセント濃度は2%、1%、0.2%、3%、3.5%、5%であった。
【0037】
(3)成型乾燥工程:ゾルを円形スズ噴きのユニバーサル基板に塗り、カルシウムイオンの溶液に浸してゲル膜を形成し、赤外線乾燥の後、ユニバーサル基板から軽く剥ぎ、膜の滑らかな面を円形ゴムに貼り付け、本発明の研磨膜を製造した。
【0038】
この研磨膜をAUTOPOL−1000S自動研磨機の研磨ディスクに貼り付け、研磨ディスクの速度を90rpm、サンプルキャリアプレートの速度を80rpm、研磨圧力を2kgに設定し、当初の粗さが500nmの単結晶Si片を30分研磨すると、表面粗さが0.6nmに達し、且つ結晶片の表面には傷や凹穴がなかった。
【0039】
ここで説明したいのは、前記二つの実施例は超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜及び製造方法の更なる説明であり、以下の選択を含むが、これに限らないということである。
【0040】
物理的又は化学的架橋は、温度変化によって引き起こす分子の縺れ(ゼラチン、アガロオリゴ糖)、イオン架橋作用(アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウムと大豆カゼインの複合、カラギーナンとキサンタンガムの複合)、水素結合又は疎水作用(デンプン、変性繊維素、キトサン、グルコマンナンとペクチン)、結晶作用(ポリ乳酸)を含む。
【0041】
前記のカップリング剤はシランカップリング剤(例えば、KH540、KH550、KH580等)、チタン酸エステルカップリング剤(例えば、KR−TTS、KP−TTSとKR−41B等)、リグニンカップリング剤(例えば、溶剤型高沸点溶剤HBS等)の一種又は組み合わせである。
【0042】
前記超微細研磨材はダイヤモンド、炭化物(例えば、炭化シリコン等)、ホウ化物(例えば、窒化ホウ素等)、酸化物(例えば、アルミナ、酸化シリコン、酸化セリウム等)の一種又は数種の組み合わせである。
【0043】
超微細研磨材の粒径は50nm〜40μmである。50nm、100nm、250nm、500nm、1μm、5μm、10μm等でもよい。
【0044】
前記乾燥制御された化学添加剤は充填剤、保水剤と造孔剤を含み、充填剤と保水剤の混合比率の範囲は、充填剤:保水剤=1〜3wt%:3〜10wt%で、造孔剤の添加濃度は工具表面の孔隙率の要求によって調整でき、一般的は0.1〜2%で、好ましくは0.5〜1.5%である。
【0045】
充填剤はナノSiO
2、ナノCaCO
3、ナノポリイミドとナノ重質炭酸カルシウム等の一種又は組み合わせであり、保水材はショ糖、乳糖、果糖、グリセリン等の一種又はそれらの組み合わせであり、造孔剤はNaHCO
3、NaCl、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の一種又は組み合わせである。
【0046】
前記
生体高分子ゾルはデンプン、変性繊維素、キトサン、アガロオリゴ糖、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、大豆カゼイン、ポリ乳酸等の中の一種又は組み合わせである。
【0047】
本発明の超微細研磨材生体高分子柔軟研磨膜は、それの研磨膜中の超微細研磨材がカップリング剤を通して表面変性されて、研磨材の固まりによる問題を有効に解決し、且つ、生体高分子基材が無機研磨材に対する把持能力を増強した。また、前記研磨膜には良い柔軟性があることで、砥粒の収容・埋没が実現でき、研磨材を固定して高効率に加工すると同時に硬質大顆粒が工作物への損傷を避けることができ、セラミックス基板、半導体ウエハー、光学結晶、飾り及び工程石材、特に寸法が大きい平面の超精密加工に広く応用されている。