特許第6587021号(P6587021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000002
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000003
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000004
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000005
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000006
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000007
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000008
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000009
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000010
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000011
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000012
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000013
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000014
  • 特許6587021-スキャナ装置及びスキャン方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6587021
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】スキャナ装置及びスキャン方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20191001BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   H04N1/12 Z
   H04N1/00 L
   H04N1/00 567Q
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-163431(P2018-163431)
(22)【出願日】2018年8月31日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼川 哲
(72)【発明者】
【氏名】箭内 伸好
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−106344(JP,A)
【文献】 特開平06−350793(JP,A)
【文献】 特開2005−295327(JP,A)
【文献】 特開2005−242023(JP,A)
【文献】 特開2008−211545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内の上下及び前後方向に沿って配置された内部通路を有し、該内部通路に沿うように直立状態で外部から差し込まれた原稿を後方に移送する移送手段と、
前記移送手段により前記内部通路に沿い後方に移送される原稿を読み取る読取手段と、
前記筐体の後部の原稿排出口に設けられて前記移送手段により前記内部通路から外部に排出された原稿の移送方向を前方側に変更するガイド部材と、を具備し、
前記ガイド部材は、前記筐体の一側方へ湾曲する湾曲面を有し、該湾曲面に沿うように、前記筐体の原稿排出口から排出された原稿を移動させることで、該原稿を湾曲形状に形成し、
前記筐体の後部でかつ前記ガイド部材の湾曲面の内側には、前記原稿排出口から排出された原稿を前記ガイド部材の湾曲面に沿うように案内する案内部材が設けられ、
前記案内部材は、前記原稿排出口に沿って上下方向に配置され、読み取る原稿の特性に応じて変更可能なように脱着自在に設けられることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
前記原稿排出口から排出された原稿の前記ガイド部材の湾曲面の内方への移動を規制して、前記ガイド部材の湾曲面に向けて案内する前記案内部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は板状の部材を湾曲させることより湾曲面が形成されることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のスキャナ装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、湾曲した線条体を複数本並べて配置することにより、湾曲面が形成されることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のスキャナ装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記筐体の後部の原稿排出口から排出された原稿を前記筐体の左側又は右側に案内することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスキャナ装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記筐体の後部の原稿排出口付近に脱着自在に設けられていることを特徴とする請求項に記載のスキャナ装置。
【請求項7】
上下及び前後方向に沿って配置された内部通路に沿うように、筐体前部から差し込まれた原稿を案内する給紙段階と、
前記給紙段階により前記内部通路へ取り込まれた原稿を前記内部通路の後方に移送する移送段階と、
前記移送段階により後方に移送される原稿の画像を読み取る読取段階と、
前記読取段階で画像が読み取られた後の原稿を、筐体後部に位置する原稿排出口から外部に直立状態で排出する排紙段階と、
前記原稿排出口から外部に直立状態で排出された原稿をガイド部材の湾曲面に摺動させつつ前方移動させることで、該原稿に湾曲形状を形成する成形段階と、を有し、
前記筐体の後部でかつ前記ガイド部材の湾曲面の内側には、前記原稿排出口から排出された原稿を前記ガイド部材の湾曲面に沿うように案内する案内部材が設けられ、
前記案内部材は、前記原稿排出口に沿って上下方向に配置され、
前記案内部材は、読み取る原稿の特性に応じて変更可能なように脱着自在に設けられることを特徴とするスキャン方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットによる業務自動化(RPA:Robotics Process Automation)に対応でき、かつ卓上でのオフィスワークの省スペース化を可能とするスキャナ装置及びスキャン方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャン処理/印刷処理を行う装置に関連する技術として、特許文献1〜3が知られている。
特許文献1に示される複合機は、縦方向に設置される縦置き型のプリンタ部と、該プリンタ部と一体に設けられた縦置き型のスキャナ部と、を有する。
スキャナ部は、プリンタ筐体に下端部が回転軸に軸支され、かつ該プリンタ筐体に対して上端部が開閉されるスキャナ筐体を有し、該スキャナ筐体の内側面に、原稿を読取可能なプラテンガラスの読取面が具備される構成である。
【0003】
そして、作業者は、原稿挿入口を経由して原稿をスキャナ筐体の内側に落とし込むようにすれば、該原稿を自重によりスキャナ筐体の読取面に密着させることができ、これにより読取面を介して該原稿を読み取らせることが可能となる。
【0004】
特許文献2に示される画像形成装置は、装置内の用紙カセットから直立状態で供給される用紙に画像形成処理をした上で、該用紙を、装置外に設置されかつ縦方向に所定の間隔を設けて配置された上側ガイドレール及び下側ガイドレールに供給する。
そして、この画像形成装置では、画像形成処理がなされた用紙が装置外へ排出された場合に、装置外の上側ガイドレール及び下側ガイドレールを介して、設置面に対して鉛直方向に直立した状態から水平に該用紙を角度変更することができる。その結果、上記画像形成装置では、整然と机上にスタックすることができる。
【0005】
特許文献3に示されるプリンタは、印字媒体を立てた状態で保持しかつ給紙する給紙保持部と、給紙された印字媒体に印字を行う印字部と、印字された印字媒体を排紙しかつ立てた状態で保持する排紙保持部とが設けられる。
そして、このプリンタでは、印字媒体を直立状態で搬送しつつ、給紙から排紙までの搬送途中にて印字処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−205398号公報
【特許文献2】特開2006−091275号公報
【特許文献3】特開2001−106344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示される複合機では、原稿挿入口を経由した原稿をその自重によりスキャナ筐体の読取面に密着させることができる。
しかしながら、上記複合機では、読み取りが完了した原稿を、手作業によりスキャナ筐体の読取面から取り出す必要があり、面倒な作業により仕事の能率が低下するという問題がある。
また、上記複合機では、原稿の取出し状況によっては、プリンタ筐体を回転させて上端側を開放するという作業が必要となり、作業能率が低下するという問題が生じている。
【0008】
また、特許文献2に示される画像形成装置では、特許文献1に示されるような手作業による筐体の開閉操作を経ず、原稿への印刷処理(又はスキャン処理)を行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
しかしながら、特許文献2の画像形成装置では、排紙段階において、直立状態で送られた印刷処理(又はスキャン処理)後の原稿を、水平に寝かせてスタックする形態であるので、水平にスタックするための設置スペースが別途必要となり、装置が大型化するという問題がある。
【0009】
一方、特許文献3に示されるプリンタでは、直立状態で送られた印刷処理(又はスキャン処理)後の原稿を、その直立状態を保ったままで排出する形態であり、特許文献2で示されるような、原稿を水平に寝かせるスペースを別途設ける必要はない。
しかしながら、特許文献3に示されるプリンタでは、連続して排出される印刷処理(又はスキャン処理)後の多量の原稿をどのように受け入れるかについての具体的な対策が示されておらず、この点で改善されることが期待されていた。
【0010】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、縦向きの状態で原稿の送出し及び原稿のスキャンを行う装置において、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿受け入れ処理を効果的に行うことができるスキャナ装置及びスキャン方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様に示されるスキャナ装置では、筐体内の上下及び前後方向に沿って配置された内部通路を有し、該内部通路に沿うように直立状態で外部から差し込まれた原稿を後方に移送する移送手段と、前記移送手段により前記内部通路に沿い後方に移送される原稿を読み取る読取手段と、前記筐体の後部の原稿排出口に設けられて前記移送手段により内部通路から外部に排出された原稿の移送方向を前方側に変更するガイド部材と、を具備し、前記ガイド部材は、前記筐体の一側方へ湾曲する湾曲面を有し、該湾曲面に沿うように、前記筐体の原稿排出口から排出された原稿を移動させることで、該原稿を湾曲形状に形成することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2態様に示されるスキャン方法では、上下及び前後方向に沿って配置された内部通路に沿うように、筐体前部から差し込まれた原稿を案内する給紙段階と、前記取込段階で取り込まれた原稿を前記内部通路の後方に移送する移送段階と、前記移送段階により後方に移送される原稿の画像を読み取る読取段階と、前記読取段階で画像が読み取られた後の原稿を、筐体後部に位置する原稿排出口から外部に直立状態で排出する排紙段階と、前記原稿排出口から外部に直立状態で排出された原稿をガイド部材の湾曲面に摺動させつつ前方移動させることで、該原稿に湾曲形状を形成する成形段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿を自立かつ直立状態で机上に集積させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るスキャナ装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る外観図であって、机上に設置されたスキャナ装置を示している。
図3】第1実施形態に係るスキャナ装置を正面側から見た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るスキャナ装置を背面側から見た斜視図である。
図5】第1実施形態に係るスキャナ装置の内部構成を示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係るスキャナ装置の排紙動作1を示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係るスキャナ装置の排紙動作2を示す斜視図である。
図8】第1実施形態に係るスキャナ装置の排紙動作3を示す斜視図である。
図9】第1実施形態に係るスキャナ装置の排紙動作4を示す斜視図である。
図10】第2実施形態に係るスキャナ装置を示す平面図である。
図11】スキャナ装置の排紙動作の問題点を示す平面図である。
図12図10の変形例を示す平面図である。
図13】ガイド部材を右側に湾曲させたスキャナ装置を示す外観図である。
図14図13に係るスキャナ装置を背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の最小構成の実施形態に係るスキャナ装置100について図1の平面図を参照して説明する。
【0016】
図1に符号1で示すものはスキャナ装置100の内部通路であって、縦向きに配置された筐体10内に上下方向(紙面と直交する方向)及び前後方向(矢印b1−b2方向)に沿うように位置している。
なお、前後方向(矢印b1−b2)とは、スキャナ装置100を机の上に設置した際に、操作者から離れる方向を後方とする水平な方向をいう。
【0017】
内部通路1の前部(矢印b1側)には、外部から原稿Pを1枚ずつ直立状態で取り込む取込口2が設けられている。さらに、内部通路1には、移送手段3、読取手段4が設けられている。
移送手段3は、矢印M1で示す方向に、内部通路1に案内された原稿Pを1枚ずつ直立状態で後方に移送する搬送ローラ等により構成される。
読取手段4は、内部通路1に設けられて移送手段3により後方に移送される原稿Pの画像を読み取るイメージセンサ等により構成される。
【0018】
筐体10の後部の原稿排出口5には、移送手段3により内部通路1から外部に排出された原稿Pの移送方向を、直立状態で前方側(矢印b1側)に変更するガイド部材6が設けられている。
ガイド部材6は、筐体10の一側方(筐体10の左側方又は右側方があるが、本例では左側方を採用している)へ湾曲する湾曲面7を有し、湾曲面7に沿う矢印M2方向に、筐体10の原稿排出口5から排出された原稿Pを摺動させつつ移動させることで、該原稿Pに湾曲形状の巻き癖を付ける。
【0019】
そして、ガイド部材6の湾曲面7により湾曲形状に巻き癖が付けられた原稿Pは、机上で自立するとともに、該ガイド部材6によっても支持されて直立状態が保持される。
なお、図1では、1枚ずつ筐体10に挿入された原稿P(P1,P2)がスキャンされて、筐体10の原稿排出口5から順次排出された後、ガイド部材6の湾曲面7内に共に支持及び集積される例が示されている。
【0020】
そして、以上のように構成されたスキャナ装置100によれば、筐体10内の上下方向(紙面と直交する方向)及び前後方向(矢印b1−b2方向)に沿う内部通路1にて、直立状態で外部から差し込まれた原稿Pが後方に移送されつつ、読取手段4により該原稿Pの画像が読み取られる。その後、読取手段4で画像が読み取られた後の原稿Pは、原稿排出口5から外部に直立状態で排出される。
また、上記スキャナ装置100では、筐体10の後部の原稿排出口5に所定の曲率半径で湾曲する湾曲面7を有するガイド部材6が設けられている。これにより原稿排出口5から外部に直立状態で排出された原稿Pは、ガイド部材6の湾曲面7に沿うように前方移動し、この移動途中で、該ガイド部材6の湾曲面7により原稿Pを湾曲形状とすることができる。
その結果、ガイド部材6を経由して筐体10の前方に送られた原稿Pは、該ガイド部材6の湾曲面7を介して、机上に直立状態で自立することができる。これにより、原稿Pが1枚ずつ連続して複数送られた場合にも、各原稿Pが自立することにより、該原稿Pを直立状態で机上に集積させることができる。
すなわち、上記スキャナ装置100では、筐体10の後部でかつ外部の原稿排出口5に湾曲面7を有するガイド部材6を設けるという簡易な構成により、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿Pを自立かつ直立状態で机上に集積させることができる。
【0021】
なお、筐体10の後部に連結されるガイド部材6の始端6Aは、内部通路1の延長線に配置しても良いが、これに限定されず、ガイド部材6の湾曲方向とは反対側に若干ずれた位置(位置ずれ範囲を符号Nで示す)に設置しても良い。そして、この位置ずれ範囲Nは、ガイド部材6の湾曲面7に原稿Pが支持された際の原稿後縁部の当接位置となり、この当接位置を介して複数枚の原稿集積を可能としても良い。
【0022】
また、上記スキャナ装置100では、上下方向(紙面と直交する方向)及び前後方向(矢印b1−b2方向)に沿って配置された内部通路1に沿うように、筐体10の前部から差し込まれた原稿Pを案内する給紙段階と、この取込段階で取り込まれた原稿Pを内部通路1の後方に移送する移送段階と、この移送段階により後方に移送される原稿Pの画像を読み取る読取段階と、読取段階で画像が読み取られた後の原稿Pを、筐体10の後部に位置する原稿排出口5から外部に直立状態で排出する排紙段階と、原稿排出口5から外部に直立状態で排出された原稿Pをガイド部材6の湾曲面7に摺動させつつ前方移動させることで、該原稿Pに湾曲形状を形成する成形段階と、を有するスキャン方法が採用されている。
【0023】
(第1実施形態)
本発明を具体化した第1実施形態に係るスキャナ装置101について図2図9を参照して説明する。
本実施形態に係るスキャナ装置101は、図2にパーソナルコンピュータPC(personal computer)とともに、机上に配置される。また、このスキャナ装置101は、図2図5に示されるように全体として箱型に形成されており、机上の載置面200に縦向きに配置される。
【0024】
図5に符号11で示すものはスキャナ装置101の内部通路であって、縦向きに配置された筐体20内に上下(矢印a1−a2)及び前後(矢印b1−b2)方向に沿うように位置している。
【0025】
内部通路11の前部(矢印b1側)には、外部から原稿Pを1枚ずつ直立状態で取り込む取込口12が設けられている。
この取込口12は一対の案内板12Aを有している。これら案内板12Aの上側は上方に向けて間隙12Bが漸次広がる配置とされており、この間隙12B内に原稿Pを上方から落とし込むことで、内部通路11へと原稿Pを案内する。
また、取込口12の下部には受け台12Cが設けられている。この受け台12Cは内部通路11の底面(図示略)と同一高さに設けられ、案内板12Aの間隙12Bに落とし込まれた原稿Pを受けて、内部通路11に案内する。
【0026】
さらに、内部通路11には、移送手段13、読取手段14が設けられている。
移送手段13は、図5に示されるように、内部通路11に案内された原稿Pを後方(矢印M1方向)に移送する複数組の搬送ローラ13Aにより構成される。これら搬送ローラ13Aは、内部通路11に沿う前後方向(矢印b1−b2方向)に間隔をおいて配置される。
また、各組の搬送ローラ13Aは、それぞれ、回転軸を上下方向(矢印a1−a2方向)に向けて配置された摩擦ローラからなる。そして、それぞれの搬送ローラ13Aは、内部通路11内にローラ接触箇所を有し、取込口12を経由して送られた原稿Pを直立状態で挟み込んで、内部通路11の後方(矢印M1方向)に向けて案内する。
【0027】
読取手段14は、内部通路11の一方側に設けられて、移送手段13により後方に移送される原稿Pの画像を読み取るイメージセンサ等により構成される。この読取手段14でスキャンされた後の原稿Pは、筐体20の後部位置にて、上下方向(矢印a1−a2)に設けられた原稿排出口15から直立状態で外部に排出される。
【0028】
筐体20の後部の原稿排出口15には、移送手段13により内部通路11から外部に排出された原稿Pの移送方向を、直立状態で前方側に変更するガイド部材16が設けられている。
ガイド部材16は、全体が板状体により形成されるとともに、筐体20の左側方へ湾曲する湾曲面17を有し、湾曲面17の内面に沿う矢印M2方向に、筐体20の原稿排出口15から排出された原稿Pを摺動させつつ移動させることで、該原稿Pを湾曲形状とする巻き癖を付ける。
【0029】
そして、ガイド部材16の湾曲面17により湾曲形状に巻き癖を付けられた原稿Pは、机上に自立するとともに、該ガイド部材16によっても支持されてその直立状態が保持される。
なお、図1では、1枚ずつ筐体20に挿入された原稿P(P1,P2)がスキャンされて、筐体20の原稿排出口15から順次排出された後、ガイド部材16の湾曲面17に共に支持される例が示されている。
【0030】
また、図2図4では原稿排出口15の一部分にガイド部材16が設けられた例が示され、図5では原稿排出口15の全部分にガイド部材16が設けられた例が示されているが、いずれの形態であっても良い。
【0031】
以上のように構成されたスキャナ装置101の作用について、装置の動作の順に説明する。
(1)作業者は、取込口12の案内板12Aの案内面の間の上部開口から原稿Pを挿入する。このとき、取込口12の案内板12Aは、上部(矢印a1側)から下部(矢印a2側)に向けて漸次間隔が縮小する形状なので、案内板12Aの案内面の間の間隙12Bに原稿Pを落とし込むだけで、下部の受け台12C上に原稿Pが載置される。
【0032】
(2)その後、作業者は、矢印M1(図5参照)で示すように、取込口12の受け台12C上に載置された原稿Pを、受け台12C上を滑らせて後方に押し込むことで、内部通路11内に原稿Pを案内することができる。
このとき、原稿検知センサ(図示略)が原稿Pの送り込みを検知した場合には、図5に示す搬送ローラ13Aが回転駆動されることで、原稿Pを内部通路11の内部に強制的に送り込む。
【0033】
(3)内部通路11内に位置する読取手段14が、内部通路11に沿って矢印M1方向に移動する原稿Pの画像データを読み取る。
【0034】
(4)画像データが読み取られた後の原稿Pは、原稿排出口15から外部に直立状態で排出された後、矢印M2で示すようにガイド部材16の湾曲面17へと案内される。
このとき、原稿排出口15から直立状態で排出された原稿Pは、図6に矢印M2で示されるように、ガイド部材16の湾曲面17に沿うように前方へ移動し、この移動途中で、該ガイド部材16の湾曲面17により原稿P(この原稿をP1とする)を湾曲形状とする巻き癖を付けることができる。なお、ここに言う巻き癖とは、原稿Pが湾曲した形状に永久変形した状態に限られるものではなく、ガイド部材16に沿って弾性変形した状態、あるいは、下縁が机の上面と接触して摩擦抵抗を受けることにより湾曲状態に支持された状態をも含むものとする。
その後、原稿P(P1)は、図7に示されるように、搬送手段13の搬送ローラ13Aから離れた時点で、該搬送手段13による搬送力が無くなり、矢印M3で示すように重力により設置面200となる机上に落下する。
このとき、原稿P(P1)は、ガイド部材16の湾曲面17により付けられた湾曲形状の巻き癖により、該湾曲形状を保持したまま机上に自立することができる。なお、巻き癖が付かない場合であっても、原稿Pが湾曲面17に沿って曲がっている限り、筐体の側部で自立することができる。
【0035】
(5)その後、次の原稿P(この原稿をP2とする)が連続して送られた場合には、図8に示されるように、先行する原稿P(P1)に重なるように、ガイド部材16の湾曲面17に沿うように矢印M2方向に移動する。
その後、原稿P(P2)は、図9に示されるように、搬送手段13の搬送ローラ13Aから離れた時点で、該搬送手段13による搬送力が無くなり重力により載置面200となる机上に落下する。
このとき、原稿P(P2)は、ガイド部材16の湾曲面17により付けられた湾曲形状の巻き癖により、原稿P(P1)に重なるように、湾曲形状を保持したまま机上の載置面200に自立することができる。
【0036】
以上詳細に説明した第1実施形態のスキャナ装置101では、筐体20の後部の原稿排出口15に所定の曲率半径で湾曲する湾曲面17を有するガイド部材16が設けられている。これにより原稿排出口15から外部に直立状態で排出された原稿Pは、ガイド部材16の湾曲面17に沿うように前方移動し、この移動途中で、該ガイド部材16の湾曲面17により原稿Pを湾曲形状とすることができる。
その結果、ガイド部材16を経由して筐体20の前方に送られた原稿Pは、該ガイド部材16の湾曲面17を介して、机上に直立状態で自立することができる。これにより、原稿P(P1,P2・・・)が1枚ずつ連続して複数送られた場合にも、各原稿Pが自立することにより、該原稿Pを直立状態で机上に集積させることができる。
すなわち、上記スキャナ装置101では、筐体20の後部でかつ外部の原稿排出口15に湾曲面17を有するガイド部材16を設けるという簡易な構成により、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿P(P1,P2・・・)を自立かつ直立状態で机上に集積させることができる。
【0037】
以上の点をまとめると第1実施形態に示されるスキャナ装置101では、スキャナ本体となる筐体20を縦置きにすることで、机上での占有面積が小さくでき邪魔にならない。
また、上記スキャナ装置101では、スキャン処理後の原稿P(P1,P2・・・)が机上の載置面200に自立して集積されるので、一般的なスキャナで構成される集積板(スタッカプレート)やストッパが不要となり、省スペース設置が実現できる。
また、上記スキャナ装置101では、スキャン処理後の原稿P(P1,P2・・・)がガイド部材16を経由することで、反転し前方側(矢印b1方向)に戻ってくる構造のため、作業者が逐一、立ち上がって原稿Pをハンドピッキングすることなく常時着席した状態で作業を行える。
また、上記スキャナ装置101では、パーソナルコンピュータPCを縦置きにしたサイズより小さくすることも可能であるので、障害物としての違和感を最小に抑えるとの効果を奏する。
【0038】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るスキャナ装置102について図10図12を参照して説明する。
第2実施形態に示されるスキャナ装置102が第1実施形態に示されるスキャナ装置101と構成を異にするのは、筐体20の後部位置に円柱状の案内部材21を設置した点である。本第2実施形態は、案内部材21が円柱状であるから、以下、案内棒21と称す。
この案内棒21は、図10に示されるように、ガイド部材16の湾曲面17の内側でかつ該湾曲面17から若干離間して位置するものであって、原稿排出口15に沿うように上下方向(紙面と直交する方向)に配置された円柱体からなる。
【0039】
そして、このような案内棒21では、原稿排出口15から矢印M2方向に排出された原稿Pを、ガイド部材16の湾曲面17との間を経由して移動させる。これにより原稿排出口15から排出された原稿Pが、図11に示されるようにガイド部材16の湾曲面17から内方へ過剰に移動することを規制する。
その結果、上記スキャナ装置102では、原稿排出口15から外部に直立状態で排出された原稿Pを、矢印M2方向に示されるようにガイド部材16の湾曲面17に沿い確実に摺動するように前方移動させることができる。
【0040】
なお、第2実施形態では、筐体20に対して案内棒21を固定的に設けているが、これに限定されず、例えば、ガイド部材16あるいは筐体20との間に凹凸部の嵌合等の機構を用いて脱着自在に設けても良い。
また、案内棒21は、原稿Pとの摩擦抵抗を小さくするために低摩擦材料で形成することが好ましいが、例えば、押し出された原稿Pの落下を最小限にすべく、原稿Pの移動領域より下の部分の摩擦係数を大きくしても良い。
このとき、案内棒21は、図12に示されるように、読み取る原稿Pの厚さ、硬さ、紙質、搬送速度等の特性に応じて外径、表面の摩擦係数等の異なるものを複数準備しておき、原稿Pに応じて取替えるようにしても良い。
【0041】
なお、上記実施形態で示したスキャナ装置101及び102は以下のように構成を変更しても良い。
(変形例1)
ガイド部材16は板状体の湾曲により湾曲面17を形成したが、これに限定されず、複数本の線条体の湾曲により湾曲面17を形成しても良い。より具体的には、湾曲面17と同一の湾曲形状を有する線条体を湾曲面17の上下方向へ所定間隔をおいて複数本並べるようにしても良い。
すなわち、スキャナ装置101及び102において複数本の線条体を湾曲して、ガイド部材16の湾曲面17を形成することにより、当該ガイド部材16の湾曲面17を簡易に構成しても良い。また複数の線条体によって湾曲面17を形成することにより、湾曲面17と原稿との接触面積を小さくすることができる。
【0042】
(変形例2)
ガイド部材16は原稿排出口15の図中右側に固定し、かつ筐体20の左側方へ湾曲する湾曲面17を有するように構成したが、図13及び図14に示すように、原稿排出口15の図中左側に固定し、かつ筐体20の右側方へ湾曲する湾曲面17を有するように構成しても良い。すなわち、湾曲面17の湾曲方向と反対の方向へガイド部材16の始端を固定すれば良い。
そして、このような構成を実現するために、ガイド部材16は、筐体20の後部の原稿排出口15の図中右側位置又は左側位置に脱着自在に設けると良い。すなわち、ガイド部材16が同一の平面形状(横断面形状)を有していれば、上下を逆に取り付けることによって、筐体20の左右いずれの側からの取り出しにも適用することができる。
すなわち、ガイド部材16は、装置筐体20の背面に左右にいずれの向きにも装着可能とすることで、作業者の利き手や作業の流れより装置レイアウトが自在に変更選択できるようになる。
【0043】
(変形例3)
ガイド部材16は、原稿のサイズや作業者との相対位置に応じて、高さ又は前後方向の長さを適宜変更し、あるいは、図示例で180度の範囲とされた湾曲面17の湾曲角度を90度、120度としても良い。
また、これに加えて、スキャナ装置101又は102において、スキャナ筐体20の側部に転倒防止用のスタンド、ガイド部材16を延長する補助ガイド部材などを適宜取付け可能としても良い。
【0044】
(変形例4)
上記第2実施形態では円柱状の案内部材21を設けたが、案内部材21の形状は円柱状に限るものではなく、原稿Pの内側の面(ガイド部材16に接する外側の面と反対側の面)に接して案内する、例えばガイド部材16と相似した形状の板状の部材であったり、線状の部材を上下に並べたものであっても良い。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、オフィスワークの省スペース化を可能とするスキャナ装置及びスキャン方法に関する。
【符号の説明】
【0047】
1 内部通路
2 取込口
3 移送手段
4 読取手段
5 原稿排出口
6 ガイド部材
7 湾曲面
10 筐体
11 内部通路
12 取込口
12A案内板(案内面)
13 移送手段
14 読取手段
15 原稿排出口
16 ガイド部材
17 湾曲面
20 筐体
21 案内部材(案内棒)
100 スキャナ装置
101 スキャナ装置
200 載置面
P 原稿
【要約】
【課題】縦向きの状態で原稿の送出し及び原稿のスキャンを行う装置において、省スペース化を図りつつも、連続して送り出されるスキャン後の多数枚の原稿受け入れ処理を効果的に行う。
【解決手段】筐体10の内部通路1に沿うように直立状態で外部から差し込まれた原稿Pを後方に移送する移送手段3と、移送手段3により内部通路1に沿い後方に移送される原稿Pを読み取る読取手段4と、筐体10の後部の原稿排出口5に設けられて移送手段3により内部通路1から外部に排出された原稿Pの移送方向を前方側に変更するガイド部材6と、を具備し、ガイド部材6は、所定の曲率半径で湾曲する湾曲面7を有し、該湾曲面7に沿うように、筐体10の原稿排出口5から排出された原稿Pを移動させることで、該原稿Pを湾曲形状に形成することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14