(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなIoTデバイスに適した通信規格は、基本的には上述したような移動を伴う通信装置での利用には向いていない。というのも、このような通信規格を、移動するIoTデバイス(例えば、位置情報のトラッキング用途のIoTデバイス)における無線通信に適用すると、上述したような狭帯域無線通信ゆえ、ドップラーシフトによる周波数のズレに弱く、さらに、通信速度が遅く1回の送信に時間がかかる(例えば、Sigfoxの場合には7〜8秒)ことから、受信側において受信エラー率が高くなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、移動を伴う用途で用いられても受信側での受信エラーを極力、低減することができる通信装置、通信方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、
LPWA(Low Power Wide Area)の通信方式に基づいて位置情報を送信可能な通信装置であって、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
位置情報取得部による位置情報の取得後に、通信装置の移動の有無を判定する移動判定部と、
移動判定部による判定の結果に基づいて位置情報の送信を制御する送信制御部と
を有
し、
移動判定部は、位置情報の送信前に取得した第1の加速度情報と位置情報の送信後に取得した第2の加速度情報とに基づいて、位置情報の送信中における移動の有無を判定し、
送信制御部は、移動判定部にて移動有りと判定された場合に、位置情報と同一の位置情報が再送されるように制御する
通信装置である。
【0009】
本発明では、移動判定部は、位置情報の送信前に移動の有無を判定し、
送信制御部は、移動判定部にて移動無しと判定された場合に位置情報が送信されるように制御することが好ましい。
【0010】
本発明では、
移動判定部は、位置情報の送信後に移動の有無を判定し、
送信制御部は、移動判定部にて移動有りと判定された場合に位置情報が再送されるように制御することが好ましい。
【0011】
本発明では、
通信装置の移動を検知する移動検知部を有し、
位置情報取得部は、移動検知部により移動が検知された場合に位置情報を取得することが好ましい。
【0012】
LPWA(Low Power Wide Area)の通信方式に基づいて位置情報を送信可能な通信方法であって、
位置情報取得部が、位置情報を取得し、
移動判定部が、位置情報取得部による位置情報の取得後に、通信装置の移動の有無を判定し、
送信制御部が、移動判定部による判定の結果に基づいて位置情報の送信を制御
し、
移動判定部は、位置情報の送信前に取得した第1の加速度情報と位置情報の送信後に取得した第2の加速度情報とに基づいて、位置情報の送信中における移動の有無を判定し、
送信制御部は、移動判定部にて移動有りと判定された場合に、位置情報と同一の位置情報が再送されるように制御する
通信方法である。
【0013】
LPWA(Low Power Wide Area)の通信方式に基づいて位置情報を送信可能な通信方法であって、
位置情報取得部が、位置情報を取得し、
移動判定部が、位置情報取得部による位置情報の取得後に、通信装置の移動の有無を判定し、
送信制御部が、移動判定部による判定の結果に基づいて位置情報の送信を制御
し、
移動判定部は、位置情報の送信前に取得した第1の加速度情報と位置情報の送信後に取得した第2の加速度情報とに基づいて、位置情報の送信中における移動の有無を判定し、
送信制御部は、移動判定部にて移動有りと判定された場合に、位置情報と同一の位置情報が再送されるように制御する
通信方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動を伴う用途で用いられても受信側での受信エラーを極力、低減することができる。なお、本明細書に記載された効果によって、本発明の内容が限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<第1の実施の形態>
<第2の実施の形態>
<変形例>
以下に説明する実施の形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。
【0017】
<第1の実施の形態>
[IoTデバイスの構成例]
図1は、第1の実施の形態にかかるIoTデバイス(IoTデバイス1)の構成例を示している。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態にかかる通信装置(無線通信モジュール6)は、IoTデバイス1に搭載されるものである。IoTデバイス1は、具体的には、携帯性に優れた小型のGPS(Global Positioning System)トラッカーであり、無線ネットワークに接続し、当該IoTデバイス1の位置情報(測位情報)を遠隔地にあるサーバ装置などに送信可能に構成されている。IoTデバイス1から送信された位置情報が、サーバ装置でアプリケーションや契約に応じた方法により適宜、使用される。IoTデバイス1は、例えば、人、ペット等の動物、鍵,スマートホン,鞄等の物品に着脱又は内蔵される。
【0018】
図示するように、IoTデバイス1は、加速度センサ2、GPS受信機3、温湿度・気圧センサ4、通知LED(Light Emitting Diode)5、無線通信モジュール6、電源7および電源スイッチ8を有している。加速度センサ2は、IoTデバイス1の移動に伴う直線方向の運動の変化を加速度として検出し、その検出結果を加速度情報として出力するものである。具体的には、加速度センサ2は、互いに直交するXYZ軸の3方向それぞれの加速度を検出し、各方向の加速度を表す情報を加速度情報として出力する。また、加速度センサ2は、IoTデバイス1の移動にともなう加速度を検知した場合に、その旨を通知する通知情報を出力する。
【0019】
GPS受信機3は、GPS衛星からの電波を受信し、その電波を用いて測位を行い、その測位結果に基づく位置情報を生成し、出力するものである。温湿度・気圧センサ4は、IoTデバイス1が位置する場所の温湿度・気圧をそれぞれ検出し、その検出結果を温湿度・気圧情報として出力するものである。
【0020】
これら加速度センサ2、GPS受信機3および温湿度・気圧センサ4は、それぞれ無線通信モジュール6と接続され、無線通信モジュール6に、上述した加速度情報、通知情報、位置情報および温湿度・気圧情報をそれぞれ出力可能に構成されている。
【0021】
通知LED5は、IoTデバイス1の状態を利用者に視覚的に知らせるためのものである。具体的には、通知LED5は、図示するように無線通信モジュール6と接続され、無線通信モジュール6の制御のもと、電源スイッチ8(後述)のオンオフ状態、無線通信モジュール6の作動状態などを点灯状態によって通知する。
【0022】
無線通信モジュール6は、例えば、SoC(System-on-a-chip)などの電子部品を搭載した回路基板によって構成され、上述したIoTデバイス1に適したLPWA、具体的にはSigfoxの無線規格に準拠した通信が可能に構成されている。なお、Sigfoxに限らず、上述した他のLPWAの通信規格を適用することも勿論可能である。
【0023】
電源7は、IoTデバイス1を構成する各要素への電力の供給源である。具体的には、電源7は、小型の携帯機器への採用に好適なコイン電池、ボタン電池または乾電池などで構成される。なお、電源7は、USB(Universal Serial Bus)などの充電用ポートを介して充電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池)で構成されていてもよい。電源スイッチ8は、IoTデバイス1の電源オン/オフを切り替えるためのスイッチである。
【0024】
ところで、上述した無線通信モジュール6には、GPSトラッカー用のアプリケーションソフトウェアが実装されている。この無線通信モジュール6は、
図2に示すように、そのソフトウェアによるプログラムの実行の際に機能する記憶部61、センサ情報取得部62、位置情報取得部63、スリープ処理部64、移動検知部65、移動判定部66、送信制御部67および通信部68を有している。
【0025】
記憶部61は、後述する処理で使用される情報などの各種情報やプログラムなどをメモリ(図示略)に記憶し、またメモリから読み出すものである。具体的には、記憶部61は、後述するセンサ情報取得部62によって取得された加速度情報などを記憶する。センサ情報取得部62は、加速度センサ2および温湿度・気圧センサ4などの各センサから情報を取得するものである。具体的には、センサ情報取得部62は、タイマなどの計時情報を利用して、加速度センサ2から所定期間(例えば、200ミリ秒)毎に上述した加速度情報を取得する。また、センサ情報取得部62は、加速度センサ2から出力される通知情報を割込み的に取得する。
【0026】
位置情報取得部63は、GPS受信機3から位置情報を取得するものである。具体的には、位置情報取得部63は、タイマなどの計時情報を利用して、基本的に所定期間(例えば、数分から数十分)毎のタイミングで位置情報を取得する。なお、この位置情報の取得については、後で詳述する。
【0027】
スリープ処理部64は、無線通信モジュール6をスリープモードで動作させるものである。ここで、スリープモードとは、GPS受信機3での測位や、後述する通信部68による送信など、電力消費の大きい処理が行われない省電力状態のことをいう。
【0028】
移動検知部65は、無線通信モジュール6を含むIoTデバイス1の移動を検知するものである。具体的には、移動検知部65は、センサ情報取得部62が加速度センサ2から通知情報を受け取った場合に、IoTデバイス1の移動が検知されたと判定する。
【0029】
移動判定部66は、無線通信モジュール6を含むIoTデバイス1の移動の有無について判定するものである。具体的には、この移動判定部66は、センサ情報取得部62によって加速度情報が取得された際に、記憶部61により記憶されている前回の加速度情報(具体的には、上述した3軸加速度センサにおけるベースのXYZ値)と、その取得された加速度情報(具体的には、上述した3軸加速度センサにおける一定時間経過後のXYZ値)との差分を算出し、その差分が所定の閾値未満である場合には、静止状態である(動きがない)と判定し、閾値以上である場合には、移動状態である(動きがある)と判定する。例えば、この動きは、受信側において受信エラーとなるような動きのことである。なお、この閾値は、IoTデバイス1の使用環境などによって適宜設定される。
【0030】
送信制御部67は、通信部68による送信の制御を行うものである。通信部68は、上述したLPWAの無線規格に準拠した無線通信により無線ネットワークに接続し、アンテナANTを介して位置情報をIoTデバイス1の外部に送信するものである。なお、アンテナANTは、通信状態に応じて無線通信モジュール6に内蔵のアンテナを用いてもよいし、より利得の高い外付けのアンテナを用いてもよい。
【0031】
[第1の実施の形態で行われる処理の流れ]
次に、
図3を参照して、上述した無線通信モジュール6による処理の流れの一例について説明する。ユーザによって
図1に示すIoTデバイス1の電源スイッチ8がオフからオンに切り替えられると、無線通信モジュール6に電源7から電力が供給され、
図3に示す処理が開始される。なお、この処理は、電源スイッチ8が再びオフに切り替えられると終了する(ステップS1でYES)。
【0032】
電源スイッチ8がオンの状態である場合(ステップS1でNO)には、無線通信モジュール6は、スリープ処理部64によってスリープモードに設定される(ステップS2)。そして、このスリープモードでの動作中において、スリープモードを解除する所定タイミングとなったか否かについて判定される(ステップS3)。このスリープモード解除の所定タイミングは、上述したGPS受信機3から位置情報が基本的に取得される所定期間(例えば、数分から数十分)毎のタイミングに設定される。例えば、2分毎と設定した場合には、電源オン時のタイミングおよびその電源オン時のタイミングから2分毎のタイミングが判定される。
【0033】
ステップS3にて所定タイミングでない(NO)と判定された場合には、移動検知部65によりIoTデバイス1の移動検知の有無について判定される(ステップS4)。ステップS4にて、移動が検知されない(NO)と判定された場合には、ステップS3に処理が戻される。一方、移動が検知された(YES)と判定された場合には、移動の検知があった旨のフラグ情報を記憶部61により記憶(ステップS5)した後、処理がステップS3に戻される。なお、この移動検知があった場合には、次のスリープモードの解除タイミングまで加速度センサ2からの通知情報の取得を停止することが好ましい。これにより、検知後も継続して加速度センサ2から通知情報を受ける場合と比較して電力消費を低減させることができる。
【0034】
ステップS3にて所定タイミングである(YES)と判定された場合には、先ほどの移動の検知があったか否かについて判定される(ステップS6)。具体的には、記憶部61によりフラグ情報が記憶されていれば移動の検知があったと判定され、記憶されていなければ移動の検知がなかったと判定される。ステップS6にて移動の検知があったと判定された場合(YES)には、位置情報取得部63によってGPS受信機3が作動され、GPS受信機3から位置情報の取得が行われる(ステップS7)。
【0035】
つまり、
図4に示すように、この無線通信モジュール6では、所定期間毎(図示する例では2分毎)にスリープモードの解除判定がなされるようになっている。そして、そのスリープモード中にIoTデバイス1の移動が検知された場合には、次のスリープモードの解除判定のタイミングにおいてスリープモードが解除され、GPS受信機3から位置情報が取得される。一方、移動が検知されなかった場合には位置情報は取得されない。
【0036】
そして、このステップS7での位置情報の取得が行われた後、移動判定部66によってIoTデバイス1が静止状態であるか否かについて判定される(ステップS8)。ステップS8にて静止状態でないと判定された場合(NO)には、タイムアウトか否かが判定される(ステップS9)。このタイムアウトにする時間は、スリープモードの解除判定間隔などに基づき予め適宜設定(例えば3秒間)されるものである。そして、このステップS9にてタイムアウトではない(NO)と判定された場合には、処理がステップS8に戻される。
【0037】
ステップS8にて静止状態であると判定された場合(YES)およびステップS9にてタイムアウトであると判定された場合(YES)には、送信制御部67により、先ほど取得した位置情報が通信部68を介して送信されるように制御され、通信部68によって位置情報が送信される(ステップS10)。なお、ステップS9にてタイムアウトであると判定された場合(YES)に、この位置情報を送信さずにエラー等の報知が行われてもよいが、受信側で受信エラーが生じない可能性もあるので、ここでは送信を行っている。
【0038】
つまり、
図5に示すように、この無線通信モジュール6では、位置情報の取得後に加速度センサ2から加速度情報が所定期間毎(図示する例では200ミリ秒毎)に取得され、取得の都度、取得された加速度情報とその加速度情報の直前に取得された加速度情報との差分が算出される。そして、その差分が閾値未満である場合には静止状態であると判定され、位置情報の送信が行われる。一方、閾値以上である場合には静止状態でない(移動状態である)と判定され、位置情報の送信は行われない。
図6に示すように、タイムアウトとなるまで(図示する例では、加速度情報の取得開始から3秒間)差分が閾値を超えた状態が続いた場合には、タイムアウトの際に位置情報が送信される。なお、位置情報が迅速に取得でき、位置情報が更新された場合には、静止状態において最新の位置情報が送信されてもよい。
【0039】
そして、このステップS10での位置情報の送信後、
図3に示すように、スリープモードに移行するための前処理が行われる(ステップS11)。具体的には、加速度センサ2およびGPS受信機3を待機状態にする処理が行われる。なお、上述したステップS6にて移動の検知がなかった(NO)と判定された場合にも、このステップS11の処理がなされる。そして、このステップS11の処理後、ステップS1に処理が戻される。
【0040】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置(無線通信モジュール6)によれば、位置情報取得部63による位置情報の取得後に、移動判定部66により無線通信モジュール6の移動の有無が判定され、その判定結果に基づいて送信制御部67により位置情報の送信が制御される。このように、位置情報の取得後に移動の有無が判定され、その判定結果に基づき位置情報の送信が制御されるので、位置情報取得後の無線通信モジュール6の移動状況に応じた送信制御を行うことができる。
【0041】
本実施の形態では、位置情報の送信前に移動判定部66によって無線通信モジュール6の移動の有無が判定され、静止状態、つまり移動なしと判定されたに送信制御部67によって位置情報が送信されるように制御されるので、位置情報を取得後に即送信する場合と比較して受信側において受信エラーとなる確率を低くすることができる。また、移動の有無を判定する期間の長さを適切に設定することにって、停止してから位置情報を送信しても、位置情報が大幅に違ってしまうことを防止することができる。本実施の形態のように、LPWAの通信方式を用いた無線通信を行う通信部68による情報の送信を送信制御部67が制御するような場合に効果的である。
【0042】
また、この無線通信モジュール6では、移動検知部65によって無線通信モジュール6の移動が検知された場合に、位置情報取得部63によって位置情報が取得されるので、無線通信モジュール6の移動の有無に関係なくGPS受信機3から位置情報を取得する場合と比較して消費電力を低減させることができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
次に、
図7を参照して本発明の第2実施の形態にかかる無線通信装置(無線通信モジュール6A)について説明する。
図7に示す無線通信モジュール6Aは、移動判定部66Aおよび送信制御部67Aによる処理が、上述した第1の実施の形態に係る無線通信モジュール6の移動判定部66および送信制御部67による処理と相違する。他の点は、上述した第1の実施の形態と同様である。なお、図中、第1の実施の形態と同一または同様の構成には同じ符号を付し、説明を簡略または省略する。
【0044】
移動判定部66Aは、上述した第1の実施の形態での移動判定部66と同様、IoTデバイス1の移動の有無について判定するものである。送信制御部67Aは、上述した第1の実施の形態での送信制御部67と同様、通信部68による送信の制御を行うものである。
【0045】
以下、
図8を参照して、この移動判定部66Aおよび送信制御部67Aを有する無線通信モジュール6Aによる処理の流れの一例について説明する。なお、
図8に示すステップS21からステップS27までの各処理は、それぞれ上述した
図3に示すステップS1からステップS7と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0046】
無線通信モジュール6Aでは、上述した第1の実施の形態と同様にして位置情報が取得される(ステップS27)と、次に、センサ情報取得部62により加速度センサ2が作動され、加速度センサ2から加速度情報が取得される(ステップS28)。そして、送信制御部67Aにより、ステップS27にて取得された位置情報が送信されるように通信部68が制御され、通信部68によって位置情報が送信される(ステップS29)。このように、本実施の形態では、位置情報の送信前に静止状態の判定は行わない。
【0047】
そして、このステップS29により位置情報が送信された後に、移動判定部66AによってIoTデバイス1が移動したか否かについて判定される(ステップS30)。つまり、センサ情報取得部62により加速度センサ2から加速度情報が取得され、先ほど取得した位置情報の送信前の加速度情報と、この新たに取得された加速度情報との差分が算出され、その差分が所定の閾値以上であるには移動したと判定され、閾値未満である場合には移動しなかったと判定される。
【0048】
ステップS30にて移動した(YES)と判定された場合には、移動に起因して受信側での受信エラーが発生している可能性が高い。そこで、ステップS31では、ステップS29で送信された位置情報が再度、送信される(再送される)。例えば、3回、位置情報がサーバ装置等に再送される。位置情報を再送する回数(リトライ回数)は、通信事業者との契約内容(送信回数制限、料金など)などによって適宜設定される。このように、位置情報が送信された際に移動があった場合には、送信制御部67Aによる制御のもと、通信部68によって同じ位置情報が再送されることになる。
【0049】
位置情報が、所定回数、再送された後、上述したスリープモードに移行するための処理が行われ(ステップS32)、処理がステップS21に戻される。
【0050】
以上説明したように、本発明の第2実施の形態に係る無線通信装置(無線通信モジュール6A)によれば、第1の実施の形態と同様に、位置情報の取得後に移動の有無が判定され、その判定結果に基づき位置情報の送信が制御されるので、位置情報取得後の無線通信モジュール6Aの移動状況に応じた送信制御を行うことができる。
【0051】
本実施の形態では、位置情報の送信後に移動判定部66Aによって無線通信モジュール6の移動の有無が判定され、移動ありと判定された場合(ステップS30でYES)に送信制御部67Aによって位置情報が再送されるように制御されるので、位置情報の送信中に無線通信モジュール6Aが移動し、受信側において受信エラーが生じる可能性が高いような場合でも位置情報が再送されるので、受信側における受信エラーの発生を極力、低減することができる。特に、本実施の形態のように、LPWAの通信方式を用いた無線通信を行う通信部68による情報の送信を送信制御部67が制御するような場合に効果的である。
【0052】
また、第1の実施の形態と同様に、この無線通信モジュール6Aでは、移動検知部65によって無線通信モジュール6Aの移動が検知された場合に、位置情報取得部63によって位置情報が取得されるので、無線通信モジュール6Aの移動の有無に関係なくGPS受信機3から位置情報を取得する場合と比較して消費電力を低減させることができる。
【0053】
<変形例>
本発明は、上述した実施の形態において説明したものに限らず、種々の変形が可能である。例えば、上述した第1の実施の形態において説明した処理と第2実施の形態において説明した処理とを組み合わせてもよい。つまり、位置情報の送信前と送信後にそれぞれ無線通信モジュール6の移動の有無を判定し、各判定結果に基づいて位置情報の送信を行うようにしてもよい。これにより、第1の実施の形態および第2実施の形態で説明した双方の効果を得ることができる。
【0054】
また、上述した移動検知部65による無線通信モジュール6,6Aの移動の検知や移動判定部66,66Aによる無線通信モジュール6,6Aの移動の有無の判定は、上述したものに限ったものではない。例えば、上述した例では、センサ情報取得部62により加速度情報が取得される都度、閾値と差分とを比較して移動の有無について判定するとしたが、所定回数分の差分の平均値を閾値と比較することで移動の有無を判定してもよいし、差分が所定回数連続して閾値未満であるか否かによって移動の有無を判定してもよい。
【0055】
さらに、上述した各実施の形態では、無線通信モジュール6,6Aから送信させる送信用情報を位置情報としたが、これに限らず、温湿度・気圧センサ4から出力される温湿度・気圧情報を送信用情報としてもよいし、他のセンサ出力情報を送信用情報としてもよい。また、これらの情報を組み合わせたものを送信用情報としてもよい。
【0056】
また、上述した各実施の形態では、通信部68として、LPWAの通信方式に準拠した無線通信を行うものを例示したが、同様の作用効果を得られるものであれば、通信方式は特にこれに限ったものではなく、例えば、上述した他のLPWAの通信規格を適用することができる。
【0057】
さらに、上述した各実施の形態においてソフトウェアにより実行される各処理は、ハードウェアにより実現してもよい。また、本発明は、方法、プログラム、システム、プログラムを記録した記録媒体等、適宜な形態で実現することができる。
【解決手段】LPWA(Low Power Wide Area)の通信方式に基づいて位置情報を送信可能な通信装置であって、位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報の取得後に、通信装置の移動の有無を判定する移動判定部と、移動判定部での判定結果に基づいて位置情報の送信を制御する送信制御部とを有する通信装置である。