【実施例】
【0019】
〔実施例1〕
若酢の調製
坂元醸造株式会社で若酢(酸度4.3%)1000mlを凍結乾燥し粉末化した。これに蒸留水を加え、再び凍結乾燥を行った。この作業を4回繰り返し、若酢中の酢酸を完全に除去した。得られた粉末を蒸留水100mlに溶解したものを若酢10倍濃縮液とし、後述の実施例における試験に用いた。なお、これらの試験では、若酢10倍濃縮液を単に若酢と示す場合がある。
なお、比較試料として、黒酢または純米酢を若酢と同様に10倍濃縮したものも調製した。これらも以下、本明細書の実施例において単に黒酢または米酢と示す場合がある。
【0020】
〔実施例2〕
マクロファージに対する免疫促進効果の検討
1.培養細胞株に対する効果
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞(American Type Culture Collection(ATCC)から購入)のインターロイキン(IL)−6、および腫瘍壊死因子(TNF)−α産生に及ぼす若酢の効果を検討した。培養上清中のマウスIL−6量の測定には、BioLegend社の酵素抗体法測定キット(Mouse IL−6 ELISA MAX Standard,#431303)を用いた。また、マウスTNF−α量の測定には、R&D社の酵素抗体法測定キット(TNF−αマウスDuo set,DY410)を用いた。測定手順は、キットの測定手順通りに行った。また、比較として黒酢および米酢の効果も検討した。
【0021】
その結果、
図1に示されるように、若酢はマクロファージのIL−6、およびTNF−α産生を濃度依存的に促進した。一方で、黒酢にはこの効果が認められず、データは示していないが米酢にもこの効果は認められなかった。
【0022】
2.初代マウス腹腔マクロファージに対する効果
上記1の結果を受けて、細胞株であるRAW264.7細胞以外にも効果を示すかどうかを検討するため、マウス腹腔から回収した初代マウス腹腔マクロファージ(以下、本明細書においてP−Macと示す場合がある)に対する若酢の効果を検討した。
初代マウス腹腔マクロファージ(P−Mac)は次の(1)〜(8)の工程により回収した。
(1)4.05%チオグリコレート培地を、6週齢、メス、BALB/cマウスの腹腔内へ2mL注射した。
(2)注射から3日後、マウスを屠殺し、70%エタノールにより消毒した。
(3)上記(2)の後、マウスの腹腔内へ0.05%EDTA−PBSを4mL注射した。
(4)上記(3)のマウスを4分間ゆらして腹腔内にEDTA−PBSを行き渡らせ、22ゲージニードルと1mLシリンジを用いて細胞を回収した。
(5)上記(4)にて回収した細胞を1200rpm、4℃、5分間遠心した。
(6)遠心後EDTA−PBSをアスピレートした後、PBSで洗浄して再度遠心した。
(7)PBSをアスピレーターで廃棄し、細胞を10%FBS−RPMI 1640培地で懸濁して、10cmディッシュに加えてインキューベーターに入れた。
(8)翌日、浮遊している好中球を取り除き、PBSで洗浄した後、培養器に接着したP−Macのみを回収した。
【0023】
上記1と同様の方法により、培養液中に産生されたTNF−α量、およびIL−6量の測定を行った。即ち、培養上清中のマウスIL−6量の測定には、BioLegend社の酵素抗体法測定キット(Mouse IL−6 ELISA MAX Standard,#431303)を用い、マウスTNF−α量の測定には、R&D社の酵素抗体法測定キット(TNF−αマウスDuo set,DY410)を用いた。
【0024】
その結果、
図2に示したように、RAW264.7細胞に対する効果と同様に、若酢がP−Macのサイトカイン産生を濃度依存的に促進することが確認できた。
従って、これらの結果から、若酢に含まれる成分は、マクロファージ細胞株だけでなく、初代マクロファージに対しても、サイトカイン産生を促進することが明らかになった。
【0025】
〔実施例3〕
若酢に含まれるマクロファージ活性化物質の検討
1.活性成分の分画および各抽出画分の活性評価
1)活性成分の分画
若酢中に含まれるマクロファージ活性化物質がどの様な物質であるかを推察するために、まず、透析処理によって分子サイズの推定を試みた。
次の(1)〜(3)の工程により、若酢を分子量カット8,000の透析膜を用いて透析した。その後、実施例2と同様の方法によりRAW264.7細胞のサイトカイン産生に対する効果を評価した。
(1)分子量カット8,000のセルロース製透析膜(スペクトラム社製)を30分間、10mM リン酸ナトリウム緩衝液(NaPB)の入ったビーカー内で撹拌し、洗浄した。
(2)上記(1)で洗浄した透析膜に試料を注入し、4リットルの10mM NaPBを外液として、12時間以上4℃で撹拌しながら透析した。透析中、外液を2回交換した。
(3)上記(2)の透析が終了した後、透析膜内液を回収した。
【0026】
2)結果
図3に各画分のサイトカイン産生を示した。
その結果、分子量8,000以上の物質からなる透析画分は、透析していない若酢と比べてサイトカインの産生量が大きく上昇することが確認できた。
従って、この結果より、若酢に含まれる活性物質は、分子量約8,000を越える、比較的大きな物質である可能性が示唆された。
【0027】
2.熱安定性、およびプロテアーゼ抵抗性の評価
1)熱安定性の評価
熱安定性の評価として、実施例1において調製した若酢を100℃で10分、30分または60分加熱処理した後、これを試料として実施例2と同様の方法により、IL−6およびTNF−αの産生に対する促進効果を評価した。
その結果、
図4に示されるように、若酢を加熱処理した場合、IL−6およびTNF−αの産生に対する促進効果が低下することが示された。特にIL−6については顕著に産生促進効果が抑制された。
【0028】
2)プロテアーゼ抵抗性の評価
タンパク質分解酵素に対する抵抗性の評価として、実施例1において調製した若酢を種々の濃度(0μg/mL、1μg/mL、10μg/mLまたは100μg/mL)のトリプシン(和光純薬社製)で次の方法によって処理した。
【0029】
トリプシン処理
(1)トリプシンを10mM NaPBで500μg/mL、50μg/mL、5μg/mLに調製した。
(2)各濃度の若酢に上記(1)で調製したトリプシンを1/5量加え、37℃、15分間反応させた。
(3)上記(2)の15分間の反応の後、100℃で10分間加熱し、トリプシンを失活させた。
(4)上記(3)にて10分間加熱した後、氷上におき、トリプシン処理サンプルを得た。
【0030】
その後、これを試料として実施例2と同様の方法により、IL−6およびTNF−αの産生に対する促進効果を評価した。
その結果、
図5に示されるように、若酢をタンパク質分解酵素で処理しても、IL−6およびTNF−αの産生促進効果に変化が認められないことが確認できた。
【0031】
上記1、2の結果から、若酢中の活性物質は、分子量およそ8,000以上で、タンパク質分解酵素処理によって活性が変化しない物質であることが示唆された。また、熱処理で活性が低下したことから、若酢に含まれる活性物質が、LPSのようなリポ多糖である可能性は低いことが推察された。
【0032】
〔実施例4〕
若酢の作用メカニズムの解明
1.Toll様受容体(TLR)−4(LPS受容体)への作用の検討
実施例3の推察をもとに、若酢に含まれる活性物質が、マクロファージの活性化に大きく関わるToll様受容体(TLR)−4(LPS受容体)に作用しているか否かを検討した。
【0033】
TLR−4の阻害剤で処理したRAW264.7細胞に対する若酢の効果を検討した。
即ち、RAW264.7細胞の細胞密度を1.5×10
5cells/mLに調製し、15時間前培養した。その後、若酢を6時間作用した。その際、培地で終濃度5μMに調製したTLR−4阻害剤(ノバス バイオロジカルス社製)を添加し、インヒビターの有無による影響を検討した。
【0034】
その結果、
図6に示されるように、TLR−4のリガンドであり、ポジティブコントロールとして試験したLPSによるサイトカイン産生促進活性は、TLR−4阻害剤処理細胞に対しては、活性を示さなかった。
一方、TLR−4阻害剤処理細胞に対する若酢の促進効果は、非処理細胞に対する効果よりも低下したものの、完全にはキャンセルされなかった。
従って、この結果より、若酢に含まれる活性物質は、TLR−4経路の活性化を誘導するとともに、他の経路によってもマクロファージを活性化するのではないかと推察された。また、LPS以外の成分がTLR−4経路を活性化していることが推察された。
【0035】
2.サイトカイン遺伝子発現の検討
若酢成分がTLR−4経路にも作用していることが明らかになったことから、サイトカイン遺伝子発現に及ぼす効果を次の1)〜3)の工程を経たリアルタイムPCR法によって検討した。
1)RNA抽出
(1)手袋、マスクをした状態でRNase AWAY(BM機器社製)で使う実験器具や机をすべてふいた。
(2)若酢を作用させたRAW264.7細胞のペレットにセパゾール(ナカライテスク社製)を1mL加え、ピペッティングした。細胞塊がなくなるまでよく懸濁した。
(3)上記(2)の懸濁物を5分間、室温で放置した。
(4)上記(3)のチューブにクロロホルムを200μL加えボルテックスで撹拌した。
(5)上記(4)の後、チューブを12krpm、15分、4℃で遠心分離した。
(6)遠心分離後、水相(最上層、透明)のRNAを150μLずつ1.5mLチューブに3回とった。
(7)上記(6)の1.5mLチューブに500μLの2−プロパノールを加え、ボルテックスで1,2秒撹拌した。
(8)上記(7)の後、チューブを10分間、室温で放置した。
(9)上記(8)のチューブを12krpm、10分、4℃で遠心分離した。
(10)遠心分離後、チューブを逆さまにして上清を捨てた。
(11)上清を捨てたチューブに75%エタノールを1mL加え、ボルテックスで沈殿を溶かした。
(12)上記(11)の後、チューブを12krpm、5分、4℃で遠心分離した。
(13)遠心分離後、チューブを逆さまにして、上清を捨てた。
(14)上清を捨てたチューブを12krpm、1分、4℃で遠心分離した。
(15)遠心分離後、上澄みを取り除いた。
(16)上記(15)にて残ったペレットを10分ほど風乾した。
(17)上記(16)の風乾後、ペレットを10μLのDEPC水に溶かし、RNA濃度を測定した。
【0036】
2)cDNAの合成(逆転写)
(1)PCR用チューブに表1に示した組成からなる試薬を取った。0.3μgのTotal RNAを含むように上記1)にて調製したRNA抽出液を希釈した。
(2)上記(1)のチューブをサーマルサイクラーで70℃、10分間処理した。
(3)表2に示した組成からなる試薬を上記(2)の70℃、10分間処理後のチューブにピペットで取った。
(4)上記(3)のチューブをサーマルサイクラーで37℃、1時間処理した。
(5)上記(4)の37℃、1時間処理後のチューブを軽く遠心分離した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
3)RT−PCR
(1)表3に示した組成からなる試薬を調製し、マイクロチューブに分注した。なお、マウスTNF−α用プライマーのForward Primerの塩基配列は配列表配列番号1に示し、Reverse Primerの塩基配列は配列表配列番号2に示した。また、マウスIL−6用プライマーのForward Primerの塩基配列は配列表配列番号3に示し、Reverse Primerの塩基配列は配列表配列番号4に示した。
(2)PCRプレートに上記2)にて合成したcDNAを2μLずつ加え、上記(1)にて調製した試薬をプレートの1ウェルあたり18μLずつ分注した。
(3)RT−PCR装置(StepOnePlusTM Real−Time PCR System,Applied Biosystem社製)にセットし、リアルタイムPCRを開始した。
【0040】
【表3】
【0041】
その結果、
図7に示されるように、IL−6、およびTNF−αの遺伝子発現が若酢によって濃度依存的に活性化されることが明らかになった。
【0042】
〔実施例5〕
マクロファージのNO産生に及ぼす若酢の影響の検討
マクロファージは、抗菌活性を持つ活性酸素種である一酸化窒素(NO)を産生している。NO産生に及ぼす若酢の影響を検討した。
即ち、若酢を添加した培地でRAW264.7細胞を培養し、培養上清中に分泌されたNO量を、Griess Reagent System(Promega社製)を用いて、キットの操作手順に従って、次の手順により測定した。
1.0.1M Nitric Standardを希釈し、100μM Nitric solutionを準備した。
2.上記1.で作成したNitric solutionを段階希釈し、1.56〜100μMの検量線用の液を調製した。
3.Sulfanilamide SolutionとNED Solutionを室温に戻した。
4.上記2.で調製した1.56〜100μMのNitric solutionをスタンダードとし、RAW264.7細胞の培養上清をサンプルとしてそれぞれを96穴プレートに50μL/well加えた。
5.上記4.の96穴プレートにSulfanilamide Solutionを50μL/well加え、5分間室温で遮光し静置した。
6.さらにNED Solutionを50μL/well加え、5〜10分室温で遮光し静置した。
7.上記6.にて静置後、540nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
【0043】
その結果、
図8に示されるように、若酢が濃度依存的にNO産生を促進することが明らかになった。
【0044】
〔実施例6〕
マクロファージの貪食活性に与える若酢の影響の検討
次の1および2の方法により、若酢がマクロファージの貪食活性に与える影響を調べた。
1.蛍光標識下ザイモサンを用いたフローサイトメトリー解析法
マクロファージの貪食活性をS. cerevisiae由来のZymosan A BioParticles(Molecular Probes社製)を用いて、次の1)〜6)の工程によりフローサイトメトリーにて解析した。
この手法は、マクロファージがTexas Redで蛍光標識したザイモサン(酵母の細胞壁に含まれるβ−1,3−D−グルカン)を貪食することにより596nmの光で励起され、615nm付近の蛍光を発する事を利用したものである。マクロファージがザイモサンを貪食することで蛍光強度が増すため、その蛍光強度の上昇を指標として貪食率を評価した。
【0045】
1)RAW267.7細胞を24well細胞培養用プレートにて一晩培養することでプレートへ接着させた。
2)上記1)のプレートから上清をアスピレートし、若酢を含む培地で6時間培養した。ブランク、およびコントロールは、10mM リン酸ナトリウム緩衝液(NaPB)を含む培地で培養した。
3)PBSで細胞表面を洗浄し、コントロールと若酢を含む培地で培養したRAW267.7細胞は、40μg/mLのザイモサンを含む培地で1時間培養した。一方、ブランクのRAW267.7細胞には、ザイモサンの代わりに10mM NaPBを同量添加して1時間培養した。
4)上記3)のプレートから上清をアスピレートし、冷やしたPBSにて細胞をはがして4℃、1,000rpm、5分間の遠心処理により細胞を回収した。
5)上記4)のプレートに2%FBS(ウシ胎児血清)−PBSにて細胞を洗浄し、再遠心することで細胞を得た。
6)上記5)で得た細胞をFACSCaliburフローサイトメーター(BD biosciences社製)にて分析した。解析はWindows Multiple Document Interface for Flow Cytometry version 2.9で行った。
【0046】
2.ラテックスビーズの貪食
次の1)〜3)の工程により、マクロファージにラテックスビーズを作用させ、顕微鏡にて観察することによりマクロファージの貪食活性を調べた。
1)RAW264.7細胞の細胞密度を5.0×10
5cells/mLに調製し、15時間前培養した。
2)上記1)の前培養後、若酢を6時間作用させ、上清を廃棄した。
3)その後、希釈したラテックスビーズ(シグマ社製)を細胞に24時間作用させ、顕微鏡で観察した。
【0047】
上記1および2の結果、
図9に示されるように、若酢を作用させることにより、マクロファージの貪食活性が促進されることが確認できた。
【0048】
〔実施例7〕
脱顆粒抑制作用の評価
脱顆粒抑制作用の評価にあたり、ヒスタミンとともに顆粒中に存在するβヘキソサミニダーゼの放出抑制活性を指標として、好塩基球の脱顆粒活性を調べた。
試料として、実施例1にて調製した若酢を用い、コントロールとして10mM リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.4(NaPB)を用い、比較として、黒酢または純米酢を若酢と同様に10倍濃縮したものを用いた。
【0049】
1.ラット好塩基球細胞株RBL−2H3細胞の培養
10%ウシ胎児血清(FBS)−DMEM培地にて前培養したラット好塩基球細胞株RBL−2H3細胞(独立行政法人 医薬基盤研究所 JCRB細胞バンクより分譲)の細胞数を約2.0×10
5cells/mLに合わせ、細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を96穴プレートの各ウェルに200μLずつ分注し、37℃、湿度100%、5%CO
2条件下で一晩培養した。
【0050】
2.脱顆粒誘導
1)抗ジニトロフェロール−IgE(シグマ社製(以下、単に抗DNP−IgEと示す場合がある))を50ng/mLとなるように10%FBS−DMEMで希釈して抗DNP−IgE溶液を得た。
上記1.にて一晩培養したRBL−2H3細胞をPBSで洗浄し、各ウェルに抗DNP−IgE溶液を120μL入れ、2時間培養することで細胞を感作させた(抗DNP−IgEの終濃度:25ng/mL)。また、ブランクには抗DNP−IgEの入っていない培地を入れた。
2)上記1)の後、各ウェルの細胞を洗浄し、抗ジニトロフェニル−IgEを培地に添加して2時間培養した。これを洗浄した後、段階希釈した若酢を添加したタイロード(Tyrode)緩衝液で細胞を10分間処理し、その後、抗原としてDNP−HSA(シグマ社製)を添加して30分インキュベートした。若酢の添加量はタンパク質濃度を指標として示した(各タンパク質濃度:56μg/mL、167μg/mL、502μg/mL、1,004μg/mLまたは2,008μg/mL)。
3)上記2)の後、細胞内外に存在するβヘキソサミニダーゼの放出抑制活性を指標として、脱顆粒を評価した。
【0051】
3.結果
図10にβヘキソサミニダーゼの放出抑制活性を指標として若酢による脱顆粒抑制作用を示した。その結果、若酢は黒酢、米酢とほぼ同等の比活性で濃度依存的にRBL−2H3細胞の脱顆粒を抑制することが示された。
【0052】
〔実施例8〕
若酢に含まれる脱顆粒抑制物質の検討
1)活性成分の分画
若酢中に含まれる脱顆粒抑制物質がどの様な物質であるかを推察するために、透析処理によって分子サイズの推定を試みた。
次の(1)〜(3)の工程により、若酢を分子量カット500Daの透析膜を用いて透析をおこなった。その後、実施例2と同様の方法によりβヘキソサミニダーゼの放出抑制活性を測定した。
(1)分子量カット500Daのセルロース製透析膜(スペクトラム社製)を30分間10mM リン酸ナトリウム緩衝液(NaPB)の入ったビーカー内で撹拌し、洗浄した。
(2)上記(1)で洗浄した透析膜に試料を注入し、4リットルの10mM NaPBを外液として、12時間以上4℃で撹拌しながら透析した。透析中、外液を2回交換した。
(3)上記(2)の透析が終了した後、透析膜内液を回収した。
【0053】
2)結果
図11にβヘキソサミニダーゼの放出抑制活性を指標とした分子量500Da以上の物質からなる透析画分における脱顆粒抑制作用を示した。その結果、分子量500Da以上の物質からなる透析画分であっても、βヘキソサミニダーゼの放出抑制活性を保持し、脱顆粒抑制効果を示すことが確認できた。