特許第6587112号(P6587112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587112
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20191001BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   H01L27/04 C
   H01L27/04 A
   H01L27/04 H
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-103769(P2018-103769)
(22)【出願日】2018年5月30日
(62)【分割の表示】特願2018-516209(P2018-516209)の分割
【原出願日】2017年6月9日
(65)【公開番号】特開2018-152599(P2018-152599A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】特願2016-123511(P2016-123511)
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】西山 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】中川 博
(72)【発明者】
【氏名】後藤 覚
(72)【発明者】
【氏名】中村 吉成
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−310428(JP,A)
【文献】 特開2009−010114(JP,A)
【文献】 特開2008−205180(JP,A)
【文献】 特開2008−252011(JP,A)
【文献】 特開2008−153497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた1つ以上のトレンチと、
前記基板上に設けられた第1電極、誘電膜および第2電極と、
前記トレンチ上における前記第2電極上に設けられ、表面に窪みが形成された端子電極と、
前記端子電極上に設けられた絶縁膜と、を有し、
前記絶縁膜と、前記端子電極と、前記絶縁膜と前記端子電極との接触箇所の外部と、は前記窪み上で接触し、
前記端子電極の頂点と前記接触箇所とは高低差を有する、キャパシタ。
【請求項2】
請求項1において、
前記接触箇所は、前記窪みのうち最も深い位置から離間した、前記端子電極の中央側に寄った位置に設けられ、
前記絶縁膜は前記窪みのうち最も深い位置を覆う、キャパシタ。
【請求項3】
請求項1において、
前記接触箇所は、前記窪みのうち最も深い位置から離間した、前記端子電極の端部側に寄った位置に設けられる、キャパシタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、
前記絶縁膜の端部は鉛直方向とのなす角が0°以上90°未満である、キャパシタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、
前記トレンチは、輪状の開口部を有するリングトレンチであり、
前記窪みは、平面視において、前記端子電極の周縁に沿って形成され、
前記端子電極の頂点が、前記端子電極の中央領域に位置する、キャパシタ。
【請求項6】
請求項5において、
前記絶縁膜は、前記端子電極の前記中央領域に穴を有する、キャパシタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項において、
前記端子電極は、前記窪みから前記端子電極の中央部に向かうにつれて盛り上がる断面形状を有する、キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トレンチキャパシタを用いた半導体デバイスが広く普及している。
特許文献1には、トレンチキャパシタを備える電力用半導体について開示されている。特許文献1に記載の電力用半導体は、ユニポーラ動作と同等の動作をする還流ダイオードと、還流ダイオードに並列接続されたキャパシタ及び抵抗を有する半導体回路を備える。この半導体回路は、抵抗の少なくとも一部として機能する。さらに半導体回路は、抵抗の値が環流ダイオードに含まれる抵抗値よりも少なくとも大きい半導体基体と、半導体基体をキャパシタの一方の電極とし、半導体基体の一主面上の所定エリアに、所定エリアの面積よりも大きい表面積を有して設けられた誘電体領域とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−241434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のトレンチキャパシタの上部電極は、平面視において(トレンチ上面からみた場合)素子面積と同じ面積に形成されている。そうすると、素子の側面部において、上部電極と下部電極(特許文献1においてはn−Siが下部電極に相当する)とは、誘電体であるSiO2の膜厚分の距離だけ離れていることになる。ここで、SiO2の絶縁破壊電界強度が約10MV/cmなのに対し、空気の絶縁破壊電界強度は約30kV/cmであり低い。SiO2のようなキャパシタ誘電体の膜厚は厚くても数μm程度であるため、例えば特許文献1のような電力用半導体で、トレンチキャパシタの電極間に高電圧が印加されると、SiO2が絶縁破壊する前に、上下電極間でいわゆる沿面放電が生じキャパシタが故障してしまうだけでなく、電力用半導体も故障する恐れがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電力用半導体に用いるキャパシタにおいて、沿面放電による装置破壊を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るキャパシタは、 基板と、基板において1つ以上のトレンチが設けられたキャパシタ形成領域と、基板において、キャパシタ形成領域と当該基板の端部との間に位置するダミー領域と、少なくともキャパシタ形成領域を覆うように、かつ1つ以上のトレンチの内部に設けられた第1電極、及び誘電膜と、キャパシタ形成領域を覆い、第1電極と電位が異なる第2電極と、ダミー領域に形成され、第2電極から基板の端部までの経路において、基板に対して凹又は凸を形成した延長部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トレンチキャパシタを用いた電力用半導体において、沿面放電による装置破壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャパシタ1の構造を概略的に示す平面図である。
図2図1のAA´断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るキャパシタ1において沿面放電が発生した場合の様子を示す抜粋断面図である。
図4図1のBB´断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るキャパシタ1の構造を概略的に示す断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るキャパシタ1の構造を概略的に示す断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るキャパシタ1の構造を概略的に示す平面図である。
図8】本発明の第5実施形態に係るキャパシタ1の構造を概略的に示す平面図である。
図9】本発明のその他の実施形態に係るキャパシタ1の構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、添付の図1図4を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
【0010】
(1.キャパシタの平面構造)
図1は、本実施形態に係るキャパシタ1の平面図である。図1を参照して、キャパシタ1の平面構造について説明する。なお、図1においては、キャパシタ1の平面構造における特徴の少なくとも一部を説明するのに必要な構成を抽出して記載しているが、キャパシタ1の平面構造における特徴が、他の図面において図示される構成によって特定されることを妨げるものではない。
【0011】
図1に示すように、キャパシタ1は、その平面構造において、基板301と、基板301に形成された複数のトレンチ100、複数のダミートレンチ200(延長部の一例である。)、及びリングトレンチ400と、基板301上に形成された上部電極(第1電極、又は第2電極の一例である。)305と、上部電極305上に形成された端子325と、上部電極305を覆うように形成された絶縁膜306とを備えている。本実施形態に係るキャパシタ1は、延長部の一例としてダミートレンチ200を備えることによって、上部電極305の端部と、下部電極302(図2参照)の端部との経路長を延長させ、沿面放電を防ぐことができる。以下、詳述する。
【0012】
基板301は、本実施形態においては長辺(第1辺の一例である。)と短辺(第2辺の一例である。)から成る矩形の形状を有している。基板301には、図1に記載の構成の他に、トランジスタ、FET、抵抗、インダクタ等の構成を設けてもよい。
【0013】
トレンチ100は、基板301に開口を形成することで設けられた溝ないし穴である。本実施形態では、トレンチ100は、基板301の中央付近において、x軸に沿って4行、及びy軸に沿って2列に略等間隔で整列するように形成されている。また、トレンチ100の開口部は、直径5μm程度の略円形の形状である。なお、トレンチ100の開口部の形状は略円形に限定されない。例えば四角形や三角形等の多角形でもよい。また、多角形の角が丸められた形状でもよい。さらに、トレンチ100の個数は1つ以上であればよく、図1に示した個数や配置に限定されない。
【0014】
上部電極305は、トレンチ100が形成されている領域と、当該領域に隣接する領域(図1においては、後述する端子325が形成される領域に対応する領域)を覆うように形成されている(以下の説明では、上部電極305が形成されている領域をキャパシタ形成領域Rと呼ぶ。)。なお、図1に示すように、本実施形態においては、上部電極305は、トレンチ100と端子325との輪郭に沿った形状をしているが、上部電極305の形状はこれに限定されない。例えば、上部電極305は、トレンチ100が形成されている領域と端子325が形成される領域とを覆う、矩形形状でもよい。
【0015】
キャパシタ形成領域Rは、上部電極305が形成されている領域を指すものに限定されず、例えば複数のトレンチ100が形成されている領域(基板301の略中央の領域)だけを指してもよい。
【0016】
端子325は、上部電極305をキャパシタ1の外部と電気的に接続させるための端子である。端子325は、略矩形の形状を有し、複数のトレンチ100が並ぶ列に隣接する位置に形成されている。図1においては、端子325は、y軸方向に沿って並ぶ4つのトレンチ100から構成される列に含まれる、2つのトレンチ100に隣接して形成される。詳細については図4を用いて説明するが、端子325は、上部電極305上に形成されており、絶縁膜306に形成された穴315によって、その一部が露出している。
【0017】
なお、本実施形態において、端子325は、トレンチ100が形成される領域に隣接する領域に形成されているが、これに限定されない。例えば端子325は、複数のトレンチ100のうち、互いに隣接し合う4つのトレンチ100の間(トレンチ100の行及び/又は列の間)の領域に形成されてもよいし、トレンチ100の上方において、上部電極305を介してトレンチ100を覆うように形成されてもよい。ただし、本実施形態に示すように、端子325がトレンチ100を覆わないように形成されることで、キャパシタ1を試験又は実装するプロセスにおいて、トレンチ100に形成されるキャパシタが劣化したり破壊されたりすることを抑制できる。
【0018】
リングトレンチ400は、端子325が形成される領域において、基板301に形成された枠状のトレンチである。リングトレンチ400の開口部の幅は、例えば10μm以下程度であることが好ましい。なお、リングトレンチ400は環状であれば枠状に限定されず、例えば、円環状でもよい。
【0019】
穴315は、端子325上において、絶縁膜306の一部が除去されて形成された開口であり、リングトレンチ400に沿った形状を有している。
【0020】
ダミートレンチ200は、基板301に開口を形成することで設けられた溝ないし穴である。本実施形態では、複数のダミートレンチ200は、キャパシタ形成領域Rと基板301の端部との間の領域(ダミー領域の一例である。)に形成されている。
【0021】
より具体的には、ダミートレンチ200は、キャパシタ形成領域Rから基板301の端部に向かう方向(図1のy軸方向である。)において、直線上に並ぶように略等間隔で5つ設けられている。さらに本実施形態においては、ダミートレンチ200は、上部電極305の端部から基板301の長辺までの距離aと、短辺までの距離bのうち、距離が短い方の領域に形成されている。図1の例では、距離aは距離bよりも短い。従って、本実施形態に係るキャパシタ1において、ダミートレンチ200は、上部電極305と、基板301の長辺に向かう方向(図1のy軸方向である。以下、「第1方向」とも呼ぶ。)に並ぶように、基板301の長辺とキャパシタ形成領域Rとの間に設けられている。なお、キャパシタ1は、ダミートレンチ200が、キャパシタ形成領域Rと長辺との間の領域、及び短辺との間の領域の双方に形成される構成や、短辺との間の領域にのみに形成される構成とすることも可能である。
【0022】
ダミートレンチ200の開口部の形状は、略長方形(長手方向を持つ開口部の一例である。)である。具体的には、ダミートレンチ200の開口部は、長手方向が、第1方向(図1のy軸方向)に略垂直な方向(図1のx軸方向である。以下、「第2方向」とも呼ぶ。)に沿って設けられる。なお、ダミートレンチ200の開口部の形状は、略長方形に限定されない。例えば四角形や三角形等の多角形や円形でもよい。また、多角形の角が丸められた形状でもよい。さらに、ダミートレンチ200の個数は1つ以上であればよく、図1に示した個数に限定されない。
【0023】
(2.キャパシタの断面構造)
図2を用いてキャパシタ1の断面構造について説明する。図2は、図1のAA´断面であり、本発明の第1実施形態に係るキャパシタ1の構成例を概略的に示す断面図である。図2に示すように、キャパシタ1は、基板301と、下部電極302と、誘電膜303と、バッファ膜304と、上部電極305と、絶縁膜306を備えている。
【0024】
基板301は、例えば、厚さ680μm程度のSi(シリコン)から形成されている。なお、基板301が、n形Si(シリコン)又はp型Siから形成されている場合には、基板301が後述する下部電極302の機能を兼ねることができる。この場合、n型ドーパントとしてP(リン)やAs(ヒ素)、Sb(アンチモン)などを含むことができる。p型ドーパントとしては、B(ボロン)などを含むことができる。
基板301には複数のトレンチ100及び複数のダミートレンチ200が形成されている。
【0025】
複数のトレンチ100は、基板301の厚さ方向に形成された溝である。トレンチ100は、例えば、ドライエッチング等により形成される。トレンチ100の深さは例えば15μm以上25μm以下程度であることが好ましい。なお、トレンチ100の深さは、トレンチ100において基板301の表面に沿って広がる平面から、トレンチ100内部における当該平面から最も離れた点までの距離をいう。
【0026】
複数のダミートレンチ200は、トレンチ100と同様に、基板301の厚さ方向に形成された溝である。ダミートレンチ200は、例えば、ドライエッチング等により形成される。なお、ダミートレンチ200の断面構造の詳細については後述する。
【0027】
トレンチ100の内壁、及びダミートレンチ200の内壁を含む、基板301の表面には、下部電極302(第1電極、又は第2電極の一例である。)が形成されている。下部電極302は、例えばMo(モリブデン)やAl(アルミニウム)、Au(金)、W(タングステン)、Pt(プラチナ)等を用いて形成される。なお、下部電極302の材料は、導電性材料であれば金属に限定されず、例えば導電性樹脂等でもよい。また、下部電極302は、少なくともキャパシタ形成領域Rに形成されていればよく、基板301の表面におけるその他の領域(例えばダミートレンチ200の内壁等)には形成されていなくてもよい。
【0028】
基板301と下部電極302との間には、熱酸化等の手法によって酸化されることによって、厚さ0.3μm程度の酸化膜(不図示)が形成されることが好ましい。酸化膜は、トレンチ100の内壁及びダミートレンチ200の内壁にも形成される。酸化膜は、酸化シリコン(例えばSiO2)等から形成される。基板301の表面に酸化膜が形成されることで、トレンチ100に形成されるキャパシタの耐性を向上させることができる。
【0029】
トレンチ100の内壁、及びダミートレンチ200の内壁を含む下部電極302の表面には、厚さ1μm程度の誘電膜303が形成されている。誘電膜303は、窒化シリコン(例えばSi3N4)等から形成されている。なお、誘電膜303についても、少なくともキャパシタ形成領域Rを覆うように形成されていればよく、基板301の表面におけるその他の領域(例えばダミートレンチ200の内壁等)には形成されていなくてもよい。
【0030】
さらに、キャパシタ形成領域Rにおいて、トレンチ100の内壁を含む誘電膜303の表面には、厚さ0.5μm程度のバッファ膜304を介して、厚さ4μm程度の上部電極305が形成されている。バッファ膜304は、例えばドープされた多結晶Si(ポリシリコン)等の導電材料を用いて形成される。
【0031】
バッファ膜304は、誘電膜303上に積層された後、キャパシタ形成領域Rの表面以外の領域からはエッチング等によって除去される。ただし、本実施形態において、トレンチ100及びダミートレンチ200の内部のバッファ膜304は除去されず残存している。沿面放電を発生し難くするという観点においてバッファ膜304は完全に除去されていることが好ましい。上部電極305を形成する材料が、誘電膜303を形成する材料と密着しにくい場合であっても、バッファ膜304を間に挟むことで、密着性を向上させることができる。
【0032】
上部電極305は、例えばMo(モリブデン)やAl(アルミニウム)、Au(金)、W(タングステン)、Pt(プラチナ)等を用いて形成される。なお、上部電極305の材料は、導電性材料であれば金属に限定されず、例えば導電性樹脂等でもよい。また、下部電極302がキャパシタ形成領域Rにしか形成されない構成である場合には、上部電極305は、キャパシタ形成領域R以外の領域(例えばダミートレンチ200の内壁等)にも形成されてもよい。さらに図2に示すように、上部電極305の表面は、トレンチ100の開口部に対応する位置に窪みを有している。
【0033】
このように、キャパシタ形成領域Rは、下部電極302、誘電膜303及び上部電極305の積層構造を備えることで、キャパシタとして機能する。なお、上述のとおり、基板301に低抵抗化されたシリコン等を用いる場合には、基板301が下部電極302の機能を兼ねる構成とすることも可能である。
【0034】
また、ダミートレンチ200及びトレンチ100の内壁を含むキャパシタ1の最表面には、厚さ30μm程度の絶縁膜306が形成されている。絶縁膜306は例えばポリイミド等を用いて形成される。絶縁膜306の表面は、ダミートレンチ200及びトレンチ100の開口部に対応する位置に窪みを有している。なお、絶縁膜306は、キャパシタ1の表面及び、少なくとも1つのダミートレンチ200及び少なくとも1つのトレンチ100を覆い、かつ少なくともキャパシタ形成領域Rからダミートレンチ200が形成されている領域(ダミー領域)に亘って形成されていればよく、基板301の略全面を覆う構成に限定されない。
【0035】
次に、ダミートレンチ200の断面構造について詳細に説明する。本実施形態において、複数のダミートレンチ200のうち、キャパシタ形成領域Rとの境界近傍に形成されたダミートレンチ200は、他のダミートレンチ200よりも、溝が深く、開口部の第1方向に沿った長さが大きいことが好ましい。より好ましくは、キャパシタ形成領域Rの境界近傍に近づくにつれて、形成されるダミートレンチ200の溝が徐々に深く、又、開口部の第1方向に沿った長さが徐々に大きくなる。
【0036】
ダミートレンチ200の深さは、例えばトレンチ100の深さの0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。なお、ダミートレンチ200の深さは、ダミートレンチ200の開口部において基板301の表面に沿って広がる平面から、ダミートレンチ200内部における当該平面から最も離れた点までの距離をいう。ダミートレンチ200は、開口部の長手方向の径(図1においてはx軸方向に沿った長さ)が、当該長手方向に対して略平行に設けられる上部電極305の幅よりも長いことが好ましい。具体的には、ダミートレンチ200の開口部は、第1方向に沿った長さが1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0037】
上部電極305が形成されるキャパシタ形成領域Rは、上部電極305を有さないその他の領域に比べて熱膨張係数が大きいため、キャパシタ形成領域Rとその他の領域との境界近傍で応力が集中してしまう。本実施形態に係るキャパシタ1では、キャパシタ形成領域Rの境界近傍に形成されるダミートレンチ200の溝を深くすることによって、上部電極305による応力の集中を防ぐことができる。
【0038】
また、キャパシタ形成領域Rとの境界近傍以外に形成されるダミートレンチ200の開口部の第1方向に沿った長さを小さくすることによって、より多くのダミートレンチ200を形成することが可能になる。
【0039】
(3.ダミートレンチの機能)
次に、図3を用いて本実施形態に係るキャパシタ1におけるダミートレンチ200の機能について説明する。図3は本実施形態に係るキャパシタ1の断面図(図2)の一部を抜粋して拡大した図である。例えば、キャパシタ1が電力用半導体装置等の高い電圧で駆動する装置に用いられた場合、キャパシタ1にも強い電界が加えられる。この結果、キャパシタ1には電界集中によって、沿面放電が発生する場合がある。沿面放電の起点となるのは、例えば、図3において丸で囲んだ点P1〜P3の箇所である。
【0040】
点P1は、絶縁膜306、上部電極305、及びバッファ膜304の3要素の接触部分(トリプルジャンクション)を示している。トリプルジャンクションは、電界のひずみが大きいため、電界集中が生じやすい。そのため、沿面放電の起点となり得る。
【0041】
点P2は上部電極305の角の部分であり、上部電極305と絶縁膜306との接触部分である。また、点P3上部電極305の角の部分であり、上部電極305とバッファ膜304との接触部分である。導電体(本実施形態では上部電極305)の角部や、導電体と絶縁体(本実施形態では絶縁膜306)との接触箇所においても電界のひずみが大きくなる。従って、点P2,P3も沿面放電の起点となり得る。
【0042】
例えば点P1〜P3において発生した電荷は、図3の矢印で模式的に示したように、絶縁膜306と誘電膜303(またはバッファ膜304)との境界、又は絶縁膜306の表面を伝って、点P1〜P3から基板301の端部に向かう方向に伝搬していく(以下、発生した電荷が基板301の端部まで伝搬する経路を「電荷経路」と呼ぶ。)。この境界を伝っていく電荷は、二次電子なだれを引き起こし徐々に膨れ上がっていく。そして膨れ上がった電荷が、基板301の端部まで到達した場合に、素子破壊(例えば絶縁破壊)を引き起こす可能性がある。
【0043】
なお、沿面放電の起点は、電界が集中する箇所であればいずれでも可能性があり、点P1〜P3に限定されない。
【0044】
本実施形態に係るキャパシタ1においては、キャパシタ形成領域Rと基板301との端部との間にダミートレンチ200を備えることによって、沿面放電の起点から基板301の端までの、電荷経路を延ばすことができる。これによって、二次電子なだれを起こした電荷が基板301の端部に到達することを防ぐことが可能になり、素子破壊を抑制することができる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、ダミートレンチ200は、キャパシタ形成領域Rと基板301の端部との間の領域のうち、キャパシタ形成領域Rから基板301の端部までの距離(a、b)が短い方の領域に形成される。キャパシタ形成領域Rから基板301の端部までの距離(a、b)が短い方が、沿面放電電圧が低くなる。従って、キャパシタ形成領域Rから基板301の端部までの距離(a、b)が短い方の領域(本実施形態においては基板301の長辺側の領域)にダミートレンチ200を形成することで、沿面放電耐性をより効果的に向上させることができる。
【0046】
さらに本実施形態においては、絶縁膜306の表面は、ダミートレンチ200の開口部に対応する位置に窪みを有している。これによって、電荷が絶縁膜306の表面を通る場合においても、電荷経路を延ばすことができる。さらに、絶縁膜306の表面はダミートレンチ200が形成されることによって窪みが形成されるため、絶縁膜306の表面を削って窪みを形成する必要がなく、プロセスを減らすことができる。
【0047】
なお、キャパシタ1は、上部電極305と、基板301の端部との間にガードリングを備える構成でもよい。絶縁膜を用いて形成したガードリングにおいては、上部電極305と、基板301との距離を離すことが出来るため、沿面放電を低減することが出来る。また、基板301の端部付近に不純物を添加して形成した注入層によるガードリングにおいては、基板301端部の電界が緩和されるため、キャパシタ1に加わる電界を低減することが可能になり、沿面放電をより低減することができる。
【0048】
(4.リングトレンチの機能)
次に、図4を用いて、リングトレンチ400の構成及び機能について詳細に説明する。図4は、図1のBB´断面の一部を抜粋した図である。
【0049】
図4に示すように、リングトレンチ400は、トレンチ100が形成される領域に隣接して形成されている。リングトレンチ400は、ダミートレンチ200及びトレンチ100よりも深さが浅いことが好ましい。なお、リングトレンチ400は、エッチング等によって、トレンチ100、ダミートレンチ200と同じプロセスにおいて形成することができる。例えば、リングトレンチ400は、エッチングにおける開口径を、トレンチ100を形成する際の開口径よりも小さくして形成する。
【0050】
リングトレンチ400の内壁には、トレンチ100及びダミートレンチ200同様に、下部電極302、誘電膜303、バッファ膜304が形成されており、さらにバッファ膜304を介してリングトレンチ400の開口を充填させるように上部電極305が積層されている。この結果、上部電極305の表面は、リングトレンチ400の開口部に対応する位置に窪みを有している。
【0051】
端子325は、リングトレンチ400が形成された領域に設けられている上部電極305上において形成される。端子325は、上部電極305と同様に、例えばMo(モリブデン)やAl(アルミニウム)、Au(金)、W(タングステン)、Pt(プラチナ)等を用いて形成される。なお、端子325についても、その材料は、導電性材料であれば金属に限定されず、例えば導電性樹脂等でもよい。
【0052】
リングトレンチ400上に形成された端子325の表面は、リングトレンチ400の開口部に対応する位置に窪みを有している。なお、この窪みは、平面視においては、端子325の周縁に沿って形成されている。これによって、端子325は、周縁部に形成された窪みから、端子325における中央部に向かうにつれて盛り上がる断面形状を有している。
【0053】
また、上部電極305及び端子325を覆うように形成された絶縁膜306は、端子325のほぼ中央の領域において、その一部が除去された開口部(穴315)を有している。絶縁膜306は、端子325の略中央に穴315が形成されることで、端子325の周縁部(即ち窪み)の一部を覆うように設けられている。
【0054】
図4においては、絶縁膜306の穴315側の端部は、端子325の窪みにおける最も深い位置近傍、より具体的には、窪みの最も深い位置よりもわずかに端子325における中央部寄りに位置している。絶縁膜306の穴315側の端部は、端子325の窪みにおける最も深い位置に設けられることが好ましいが、端子325の中央側又は端子325の端部側に寄った位置に設けられてもよい。なお、端子325の窪みの最も深い位置とは、窪み上において端子325の中央部に沿って広がる平面から、窪み内における当該平面から最も離れた点をいう。
【0055】
さらに、絶縁膜306の穴315側の端部は、当該端部と、鉛直方向との間で成す角θが0度以上90度未満になるように形成されることが好ましい。
【0056】
端子325上において、絶縁膜306が上述の形状に形成されることによる効果について説明する。図4において、点P4は、絶縁膜306と端子325との接触箇所であり、絶縁膜306と端子325と真空領域(キャパシタ1の外部)の3要素のトリプルジャンクションを示している。絶縁膜306が、端子325の窪みの一部を覆うように形成されることにより、端子325の中央部(頂点)と、端子325と絶縁膜306との接続箇所に高低差を生じさせることができる。これによって、絶縁膜306は、点P4等のトリプルジャンクションの遮蔽として機能する。即ち、端子325と絶縁膜306との接続箇所に高低差を生じさせることによって、トリプルジャンクションにおける沿面放電電圧が増加するため、沿面放電が発生を抑制することができる。さらに、角θが鋭角になるほど、絶縁膜306の穴315側の側面が端子325の盛り上がった部分に近くなる。これによって、より沿面放電電圧を増加させることができ、沿面放電の発生を抑制することができる。
【0057】
[第2実施形態]
第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0058】
図5は、本実施形態に係るキャパシタ1の構成例を示す断面図である。なお、図2に示したキャパシタ1と同等の構成には、同等の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図5に示すように、本実施形態に係るキャパシタ1は、第1実施形態におけるダミートレンチ200に代えて、ダミートレンチ201を備えている。
【0060】
本実施形態において、複数のダミートレンチ201のうち、基板301の端部近傍に形成されたダミートレンチ201は、他のダミートレンチ201よりも、溝が深く、開口部の第1方向に沿った長さが大きいことが好ましい。より好ましくは、基板301の端部近傍に近づくにつれて、形成されるダミートレンチの溝が徐々に深く、又、開口部の第1方向に沿った長さが徐々に大きくなる。
【0061】
キャパシタ1の製造工程において、ウエハに複数のキャパシタ1が形成され、基板301をダイシングしてキャパシタ1を得る際に、基板301の端部(ダイシングライン)には、応力がかかる。本実施形態に係るキャパシタ1は、基板301の端部近傍に、溝の深いダミートレンチ201を備えることによって、ダイシング時に基板301にかかる応力を低減させることができる。
その他の構成・効果は、第1実施形態と同様である。
【0062】
[第3実施形態]
図6は、本実施形態に係るキャパシタ1の構成例を示す断面図である。なお、図2に示したキャパシタ1と同等の構成には、同等の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図6に示すように、本実施形態に係るキャパシタ1は、第1実施形態におけるダミートレンチ200に代えて、ダミートレンチ202を備えている。
【0064】
本実施形態において、複数のダミートレンチ202のうち、領域R1との境界近傍に形成されたダミートレンチ202、及び、基板301の端部近傍に形成されたダミートレンチ202は、他のダミートレンチ202よりも、溝が深く、開口部の第1方向に沿った長さが大きいことが好ましい。より好ましくは、第1方向に沿って並ぶ複数のダミートレンチ202のうち中央のダミートレンチ202が最も溝が浅く、かつ開口部の第1方向に沿った長さが小さい。そこから、基板301の端部近傍に近づくにつれて、及び領域R1の境界近傍に近づくにつれて、形成されるダミートレンチ202の溝が徐々に深く、かつ、開口部の第1方向に沿った長さが徐々に大きくなる。
その他の構成・効果は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
【0065】
[第4実施形態]
図7は、本実施形態に係るキャパシタ1の構成例を示す平面図である。なお、図1及び図2に示したキャパシタ1と同等の構成には、同等の符号を付して説明を省略する。
【0066】
本実施形態において、キャパシタ1は、第1実施形態におけるトレンチ100及びダミートレンチ200の構成に代えて、トレンチ101、及びダミートレンチ203を備えている。
【0067】
図7に示すように、トレンチ101は、x軸に沿った方向に長手方向を有する楕円の形状を有している。また、トレンチ101は、x軸方向に沿った方向に1列のみ形成されている。その他のトレンチ101の構成は第1実施形態におけるトレンチ100の構成と同様である。
【0068】
本実施形態に係る上部電極305は、第1実施形態における上部電極305と同様に、トレンチ101、及び端子325の輪郭に沿った形状を有している。即ち、本実施形態に係る上部電極305は、上部電極305の外縁のうち、トレンチ101における短径と円周との接点に対応する位置(即ち上部電極305の外縁と、トレンチ101における短径の延長線と接点)において、基板301の端部との距離が最も近くなるように設計されている。
【0069】
次に、本実施形態に係るダミートレンチ203は、開口部の長手方向の径(図7においてはx軸方向に沿った長さ)が、トレンチ101におけるx軸方向に沿った長径よりも小さく設計されている。また、ダミートレンチ203は、上部電極305の端部と基板301の端部との距離が短い領域に限定して形成されている。即ち、ダミートレンチ203は、上部電極305における、トレンチ101の短径と円周との接点に対応する位置を少なくとも覆うように形成される。
【0070】
このように、本実施形態においては、ダミートレンチ203の長手方向の長さはトレンチ101の長径よりも小さく形成されるため、例えば、基板301上のレイアウトに余裕がない場合等でも、沿面放電を低減するのに十分なダミートレンチを当該レイアウトに合わせて設けることができる。換言すれば、基板301において素子や配線等のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0071】
なお、図7においては、端子325と基板301の端部との間の領域にはダミートレンチは形成されていないが、当該領域にもダミートレンチが形成される構成でもよい。
その他の構成・効果は、第1実施形態と同様である。
【0072】
[第5実施形態]
図8は、本実施形態に係るキャパシタ1の構成例を示す平面図である。なお、図1及び図2に示したキャパシタ1と同等の構成には、同等の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図8に示すように、本実施形態に係る基板301は、トレンチ100に変えて、トレンチ102を備えている。
【0074】
トレンチ102の開口部は、第1方向に沿った径よりも第2方向に沿った径の方が長い略長方形の形状を有している。なお、トレンチ102の開口部の形状は略長方形に限定されず、例えば楕円形状でもよい。また、トレンチ102が第1方向及び/又は第2方向に並んで設けられる数も任意である。
その他の構成・効果は第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
【0075】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の一実施形態に係るキャパシタ1は、基板301と、基板301において1つ以上のトレンチ100が設けられたキャパシタ形成領域Rと、基板301におおて、キャパシタ形成領域Rと基板301の端部との間に位置し、1つ以上のダミートレンチ200が形成されたダミー領域と、少なくともキャパシタ形成領域Rを覆うように、かつ、1つ以上のトレンチ100の内部に設けられた第1電極(例えば下部電極302)と、誘電膜303と、キャパシタ形成領域Rを覆うように、かつ1つ以上のトレンチ100の内部に設けられた第2電極(例えば上部電極305)と、キャパシタ形成領域Rからダミー領域に亘っており、かつ、1つ以上のトレンチ100の少なくとも1つ及び1つ以上のダミートレンチ200の少なくとも一つを覆うように設けられた絶縁膜306と、を備える。これによって、本発明の位置実施形態に係るキャパシタ1は、沿面放電の起点から基板301の端までの、電荷経路を延ばすことができる。従って、キャパシタ1では、二次電子なだれを起こした電荷が基板301の端部に到達することを防ぐことが可能になり、素子破壊抑制することができる。
【0076】
また1つ以上のダミートレンチ200は、複数のダミートレンチ200を含み、キャパシタ形成領域Rから基板301の端部に向かう第1方向に並ぶように設けられたことが好ましい。また、1つ以上のダミートレンチ200は、それぞれ、長手方向を持つ開口部を有し、長手方向が、第1方向に略垂直な第2方向に沿っていることも好ましい。また上部電極305は、長手方向において、所定の幅を有しており、1つ以上のダミートレンチ200は、開口部の長手方向の径が、上部電極305の所定の幅よりも大きい、ことが好ましい。これによって、キャパシタ1は沿面放電特性を強化させることができる。
【0077】
さらに基板301は、第1辺及び第1辺に垂直な第2辺を有する矩形形状であり、1つ以上のダミートレンチ200は、キャパシタ形成領域Rと第1辺との間に設けられており、キャパシタ形成領域Rから基板301の第1辺までの距離が、キャパシタ形成領域Rから基板301の第2辺までの距離よりも短いことが好ましい。このように、基板301の端部までの距離が短い領域に限定してダミートレンチ200を設けることで、キャパシタ1のレイアウトに余裕がない場合でも沿面放電特性を強化させることができる。
【0078】
また絶縁膜306の表面は、1つ以上のダミートレンチ200の開口部に対応する位置に窪みを有する、ことが好ましい。これによって、電荷が絶縁膜306の表面を通る場合においても、電荷経路を延ばすことができる。
【0079】
さらに1つ以上のダミートレンチ200は、キャパシタ形成領域Rの境界付近に設けられるダミートレンチ200と、当該境界付近以外に形成されるダミートレンチ200とを含み、キャパシタ形成領域Rの境界付近に設けられるダミートレンチ200が、当該境界付近以外に形成されるダミートレンチよりも溝が深いことが好ましい。また1つ以上のダミートレンチ200は、キャパシタ形成領域Rの境界付近に設けられるダミートレンチ200と、当該境界付近以外に形成されるダミートレンチ200とを含み、キャパシタ形成領域Rの境界付近に設けられるダミートレンチ200が、当該境界付近
以外に設けられるダミートレンチ200よりも開口部の第1方向に沿った長さが大きいことが好ましい。本発明の実施形態に係るキャパシタ1では、キャパシタ形成領域Rの境界近傍に形成されるダミートレンチ200の溝を深くすることによって、上部電極305による応力の集中を防ぐことができる。さらに、キャパシタ形成領域Rとの境界近傍以外に形成されるダミートレンチ200の開口部の第1方向に沿った長さを小さくすることによって、より多くのダミートレンチ200を形成することが可能になる。
【0080】
また1つ以上のダミートレンチ200は、基板301の端部付近に設けられるダミートレンチ200と、当該端部付近以外に形成されるダミートレンチ200とを含み、基板301の端部付近に設けられるダミートレンチ200が、当該端部付近以外に設けられるダミートレンチ200よりも溝が深いことが好ましい。さらに、1つ以上のダミートレンチ200は、基板301の端部付近に設けられるダミートレンチ200と、当該端部付近以外に形成されるダミートレンチ200とを含み、基板301の端部付近に設けられるダミートレンチ200が、当該端部付近以外に設けられるダミートレンチ200よりも開口部の第1方向に沿った長さが大きいことが好ましい。本発明の実施形態に係るキャパシタ1は、基板301の端部近傍に、溝の深いダミートレンチ201を備えることによって、ダイシング時に基板301にかかる応力を低減させることができる。また、キャパシタ形成領域Rとの境界近傍以外に形成されるダミートレンチ200の開口部の第1方向に沿った長さを小さくすることによって、より多くのダミートレンチ200を形成することが可能になる。
【0081】
また、キャパシタ形成領域Rにおいて、1つ以上のトレンチ100が設けられた領域以外の領域に設けられた、輪状の開口部を有するリングトレンチ400と、リングトレンチ400上に、上部電極305を介して設けられた、当該上部電極305を外部と電気的に接続させるための端子325と、をさらに備え、端子325の表面は、リングトレンチ400の開口部に対応する位置に輪状の窪みを有しており、絶縁膜306は、輪状の窪みに形成された穴を有することが好ましい。この好ましい態様によると、絶縁膜306が、端子325の窪みの一部を覆うように形成されることにより、端子325の中央部(頂点)と、端子325と絶縁膜306との接続箇所に高低差を生じさせることができる。これによって、絶縁膜306は、トリプルジャンクションの遮蔽として機能する。即ち、端子325と絶縁膜306との接続箇所に高低差を生じさせることによって、トリプルジャンクションにおける沿面放電電圧が増加するため、沿面放電が発生を抑制することができる。さらに、角θが鋭角になるほど、絶縁膜306の穴315側の側面が端子325の盛り上がった部分に近くなる。これによって、より沿面放電電圧を増加させることができ、沿面放電の発生を抑制することができる。
【0082】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0083】
例えば、既述の実施形態において、キャパシタ1が、リングトレンチ400を備える構成について説明したが、これに限定されない。例えばキャパシタ1は、リングトレンチ400を備えない構成でもよい。また、キャパシタ1は、トレンチ100又はリングトレンチ400のうちのいずれか一方に対応する位置にのみダミートレンチ200を備える構成でもよい。さらに、キャパシタ1はダミートレンチ200の代わりに、基板301に対して凹となるように絶縁膜306が形成される構成でもよい(図9)。この場合には、絶縁膜306が延長部として機能する。さらに図9に示すように、絶縁膜306の表面に凹凸を形成することで、上部電極305の端部から基板301の端部までの経路長をより延長させることができる。
また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0084】
1 キャパシタ
100、101 トレンチ
200、201、202、203 ダミートレンチ
301 基板
302 下部電極
303 誘電膜
304 バッファ膜
305 上部電極
325 端子
306 絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9