(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1013hPaにおける水との共沸点が100℃以下の有機溶剤の存在下、下記(a)〜(c)のいずれかを含むシェル部形成用重合原料を水中で懸濁重合して、シェル部形成架橋樹脂含有スラリーを得る第1重合工程と、
前記シェル部形成架橋樹脂含有スラリー中で、ビニル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートモノマー及びビニル基を2つ以上有する多官能ビニル系モノマーを含むコア部形成用重合原料を、ラジカル重合開始剤を用いて懸濁重合して、コア部形成架橋樹脂を得ると共に、該コア部形成架橋樹脂からなるコア部の周囲に前記シェル部形成架橋樹脂からなるシェル部を備えたコアシェル粒子を形成する第2重合工程と、
前記コアシェル粒子を、前記有機溶剤における水との共沸点以上に加熱して前記有機溶剤を除去する有機溶剤除去工程とを有し、
前記有機溶剤の使用量を、前記シェル部形成用重合原料と前記コア部形成用重合原料との合計量100質量部に対して100〜1000質量部とし、
前記コア部形成用重合原料の質量(M3)と前記シェル部形成用重合原料の質量(M4)との質量比率(M4/M3)を80/20〜5/95の範囲内とし、
前記シェル部形成用重合原料に前記コア部形成用重合原料を予め混合し、
前記第1重合工程における重合温度をT1、前記第2重合工程における重合温度をT2、前記ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度をTaとした際、T1<Ta≦T2になるように前記ラジカル重合開始剤を選択すると共に各重合温度を制御する、多孔質樹脂粒子の製造方法。
[シェル部形成用重合原料]
(a)イソシアネート基を2つ以上有するウレタンプレポリマー
(b)イソシアネート基を3つ以上有するイソシアネート
(c)ポリオールとイソシアネートとの混合物であって、3つ以上ヒドロキシ基を有する多官能ポリオール及び3つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートの少なくとも一方を含むもの
【発明を実施するための形態】
【0009】
<多孔質樹脂粒子>
本発明の多孔質樹脂粒子の一態様について説明する。
図1に示すように、本態様の多孔質樹脂粒子10は、粒子中心に位置するコア部11と、コア部11の周囲に形成されたシェル部12とを備える球状粒子である。また、多孔質樹脂粒子10はその全体にわたって多孔質構造を有している。
【0010】
多孔質樹脂粒子の吸油量は80〜500g/40gであることが好ましく、90〜400g/40gであることがより好ましく、100〜300g/40gであることがさらに好ましい。ここで、吸油量は、以下の方法で測定した値である。
すなわち、樹脂粒子の試料40gを容器に入れた後、トルエン5.0gを注ぎ入れる。容器内の試料を、攪拌棒を用いて攪拌しながら、試料が流動性を生じるまでトルエンを追加添加した後、1時間放置する。放置後に試料が流動性を維持している場合には、この時点までに添加したトルエン総質量を吸油量とする。放置後に試料の流動性が消失した場合には、試料が流動性を生じるまでさらにトルエンを添加し、この時点までに添加したトルエン総質量を吸油量とする。ここで、流動性とは、試料の攪拌に用いた攪拌棒を引き上げた際、攪拌棒に付着した試料が、引き上げ後から10秒以内に落下する状態のことである。
多孔質樹脂粒子の吸油量が前記下限値以上であれば、多孔質樹脂粒子の内部に充分な空孔が形成されていることを意味し、前記上限値以下であれば、多孔質樹脂粒子の変形を防ぎ、球状を維持できる。
【0011】
多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径は、用途に応じて適宜選択されるが、3〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。ここで、多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、株式会社島津製作所製SALD2100)を用いて測定した体積基準の平均粒子径のことである。
体積平均粒子径が前記下限値未満であっても、前記上限値を超えても、多孔質樹脂粒子の製造が困難になる傾向にある。
【0012】
コア部11は、(メタ)アクリレートモノマー単位を有するコア部形成架橋樹脂からなる粒子である。ここでいう(メタ)アクリレートモノマーは、ビニル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートモノマーである。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
コア部形成架橋樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー単位以外の、ビニル基を1つ有する他の単官能ビニル系モノマー単位を有してもよい。
他の単官能ビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。単官能ビニル系モノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
コア部形成架橋樹脂においては、単官能(メタ)アクリレートモノマーの重合物に多官能ビニル系モノマーが共重合されて架橋している。
多官能ビニル系モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートモノマー、該多官能(メタ)アクリレートモノマー以外の、ビニル基を2つ以上有する他の多官能ビニル系モノマーが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピオンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の多官能ビニル系モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。他の多官能ビニル系モノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
コア部11を容易に形成できる点では、多官能ビニル系モノマーが多官能(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。
【0015】
コア部11の架橋度の指標となるゲル分率は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。なお、通常、ゲル分率は100質量%未満である。
ゲル分率は、以下の方法で測定される。
試料X(g)を100g以上のアセトンに浸漬させ、24時間放置した後、未溶解の固形物をろ過により回収する。その固形物を乾燥させた後、固形物の質量Y(g)を計測する。そして、(Y/X)×100の式よりゲル分率を求める。
【0016】
シェル部12は、ポリウレタン及びポリウレアの少なくとも一方を含有するシェル部形成架橋樹脂からなる。
ポリウレタンは、少なくともウレタン結合(−NH−CO−O−)を有するポリマーであり、ポリウレアは、少なくともウレア結合(−NH−CO−NH−)を有し、ウレタン結合を有さないポリマーである。
ポリウレタン及びポリウレアのいずれにおいても、ポリイソシアネート由来の構造を有する。ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2つ有する2官能イソシアネート、イソシアネート基を3つ以上有する多官能イソシアネートが挙げられる。
【0017】
2官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ハロゲン化フェニルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート重合体、ジフェニルメタンジイソシアネートの重合体、ヘキサメチレンジイソシアネートの重合体、3−フェニル−2−エチレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−エトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、5,6−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、ベンジジンジイゾシアネート、9,10−アンスラセンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートベンジル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、2,6−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジフェニル、1,4−アンスラセンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。 2官能イソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
多官能イソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、2,4,4’−トリイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等が挙げられる。多官能イソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、多官能イソシアネートとして、2官能イソシアネートの3量体、例えば、ビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体の少なくとも1種を使用することもできる。
【0019】
シェル部12がポリウレタンを含有する場合には、ポリオール由来の構造も有する。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。ポリオールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
コア部形成架橋樹脂の質量(M1)とシェル部形成架橋樹脂の質量(M2)との質量比率(M2/M1)は80/20〜5/95の範囲内であり、50/50〜10/90の範囲内であることが好ましく、15/85〜40/60であることがより好ましい。コア部11の質量比率が小さくなると、空孔が形成されにくくなり、シェル部12の質量比率が小さくなると、柔軟性が不充分になることがある。
【0021】
<多孔質樹脂粒子の製造方法>
本発明の多孔質樹脂粒子の製造方法の一態様について説明する。
本態様の多孔質樹脂粒子の製造方法は、第1重合工程と第2重合工程と有機溶剤除去工程とを有する。
【0022】
第1重合工程は、有機溶剤の存在下、下記(a)〜(c)のいずれかを含むシェル部形成用重合原料を水中で懸濁重合して、シェル部形成架橋樹脂含有スラリーを得る工程である。
(a)イソシアネート基を2つ以上有するウレタンプレポリマー
(b)イソシアネート基を3つ以上有するイソシアネート(多官能イソシアネート)
(c)ポリオールとポリイソシアネートとの混合物であって、3つ以上ヒドロキシ基を有する多官能ポリオール及び3つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートの少なくとも一方を含むもの
(a)のみ又は(c)のみを重合した場合には、主としてポリウレタンを形成するが、ポリウレアを形成することもある。(b)のみを重合した場合には、ポリウレアを形成するが、ポリウレタンを形成しない。
シェル部形成用重合原料が(a)を含む場合、(a)以外にポリイソシアネート及びポリオールの少なくとも一方を含んでもよい。
シェル部形成用重合原料が(b)を含む場合、(b)以外に2官能イソシアネートを含んでもよい。
【0023】
本態様で使用される有機溶剤は、1013hPaにおける水との共沸点が100℃以下のものである。
1013hPaにおける水との共沸点が100℃以下の有機溶剤としては、例えば、芳香族化合物(例えば、トルエン、ベンゼン等)、エステル化合物(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、飽和脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン等)が挙げられる。該有機溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
該有機溶剤の使用量は、シェル部形成用重合原料と後述のコア部形成用重合原料との合計量100質量部に対して100〜1000質量部とし、120〜300質量部とすることが好ましく、130〜260質量部とすることがより好ましい。有機溶剤の使用量が前記下限値未満であると、充分に多孔質化できないことがあり、前記上限値を超えると、樹脂粒子の製造が困難になる。
【0024】
懸濁重合前には、水に懸濁安定剤を添加することが好ましい。
懸濁安定剤としては、例えば、セルロース系水溶性樹脂(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、第3リン酸塩類等が挙げられる。懸濁安定剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
懸濁安定剤の添加量は、ビーズ原料100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。懸濁安定剤の添加量が前記範囲内であれば、懸濁状態を充分に安定化させることができる。
【0025】
また、懸濁重合前には、懸濁状態を安定化させるために、水に界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両面界面活性剤のいずれであってもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0026】
前記シェル部形成用重合原料を重合する際には、ウレタン化触媒を用いることが好ましい。ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチル錫ラウレート等の金属系触媒、トリエチルアミン等のアミン系触媒等が挙げられる。
重合温度は30〜90℃であることが好ましい。
重合の際には、攪拌機を使用して、水中に懸濁させたシェル部形成用重合原料を攪拌することが好ましい。
【0027】
第2重合工程は、前記シェル部形成架橋樹脂含有スラリー中で、単官能(メタ)アクリレートモノマー及び多官能ビニル系モノマーを含むコア部形成用重合原料を懸濁重合する工程である。この工程により、コア部形成架橋樹脂を得ると共に、該コア部形成架橋樹脂からなるコア部の周囲にシェル部形成架橋樹脂からなるシェル部を備えたコアシェル粒子を形成する。前記シェル部形成架橋樹脂には、単官能(メタ)アクリレートモノマー及び多官能ビニル系モノマーが膨潤しやすいため、シェル部形成架橋樹脂の内部で、単官能(メタ)アクリレートモノマー及び多官能ビニル系モノマーを重合させることができる。
【0028】
コア部形成用重合原料の質量(M3)とシェル部形成用重合原料の質量(M4)との質量比率(M3/M4)を80/20〜5/95の範囲内とし、50/50〜10/90の範囲内とすることが好ましく、15/85〜40/60とすることがより好ましい。コア部形成用重合原料の質量比率が小さくなると、空孔が形成されにくくなり、シェル部形成用重合原料の質量比率が小さくなると、多孔質化しにくくなり、また、柔軟性が不充分になることがある。
【0029】
第2重合工程においては、有機過酸化物及びアゾ化合物の少なくとも一方からなるラジカル重合開始剤を用いてコア部形成用重合原料を懸濁重合する。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度:74℃)、ジラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)、m−トルイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:41℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度:58℃)、クミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度:38℃)、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:77℃)、オクタノイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)、デカノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:72℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度:99℃)、クミルパーオキシオクタエート等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度:65℃)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度:51℃)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(10時間半減期温度:88℃)等が挙げられる。
【0030】
本態様の製造方法では、製造を簡略化できる点では、シェル部形成用重合原料にコア部形成用重合原料を予め混合した後に第1重合工程及び第2重合工程をおこなうことが好ましい。
また、本態様の製造方法では、第1重合工程にてシェル部形成用重合原料を重合した後に、コア部形成用重合原料を添加し、第2重合工程をおこなっても構わない。
シェル部形成用重合原料にコア部形成用重合原料を予め混合する場合には、第1重合工程における重合温度をT1とし、第2重合工程における重合温度をT2とし、ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度をTaとした際、T1<Ta≦T2になるようにラジカル重合開始剤を選択すると共に各重合温度を制御することが好ましい。このような条件とすることにより、シェル部形成用重合原料にコア部形成用重合原料を予め混合しても、シェル部形成用重合原料を重合した後にコア部形成用原料を容易に重合することができる。
【0031】
有機溶剤除去工程は、前記コアシェル粒子を、前記有機溶剤における水との共沸点以上に加熱して前記有機溶剤を除去する工程である。この工程では、コアシェル粒子内部に入り込んでいた有機溶剤を揮発させることにより、有機溶剤が存在していた部分を空孔化する。
加熱温度は、1013hPaで100℃以下とすることが好ましい。コアシェル粒子は水に分散したスラリー状となっており、加熱温度を100℃超とすると、有機溶剤と共に水も揮発して除去されるため、コアシェル粒子同士が融着するおそれがある。
【0032】
上記製造方法では、有機溶剤の存在下で、コア部の表面に柔軟性が高いポリウレタン又はポリウレアのシェル部を形成してコアシェル粒子を得た後、該コアシェル粒子の内部から有機溶剤を除去する。コアシェル粒子のコア部は、柔軟性が低い架橋アクリル樹脂からなるため、有機溶剤を除去して空孔が形成されても変形して孔が埋まることは起こりにくく、空孔を維持できる。柔軟性が高いシェル部においても、架橋アクリル樹脂のコア部の周囲に形成されることで、有機溶剤を除去した際に変形しにくくなり、空孔を維持できる。したがって、本態様によれば、柔軟性が高い多孔質樹脂粒子を容易に製造できる。
本態様の多孔質樹脂粒子は、塗料、樹脂材料、化粧料等に配合することができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
下記例における多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(株式会社島津製作所製SALD2100)を用いて測定した値である。
【0034】
(製造例1)
窒素ガスで充分に置換し、乾燥させた2Lオートクレーブに、プラクセル308(ポリエステルポリオール、数平均分子量800、官能基数3、ダイセル化学工業株式会社製)854gと、ヘキサメチレンジイソシアネート1008gとを仕込んだ。次いで、窒素ガスによりオートクレーブの上部を充分に置換した後に密閉し、120℃で20時間攪拌混合して反応させた。その後、オートクレーブ内を減圧させて未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した後、トルエンを加えて不揮発分90質量%に調整した。これにより、イソシアネート基含有量8.1質量%のプレポリマー(I)を得た。
【0035】
(実施例1)
2L攪拌機付きセパラブルフラスコに水600gを仕込み、この中にヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH−100、信越化学工業株式会社製)30.0gを溶解して分散媒を調製した。
これとは別に、トルエン200g、プレポリマー(I)50.0g(固形分45.0g)、メチルメタクリレート30.0g、エチレングリコールジメタクリレート70.0g、ラジカル重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度:74℃)0.3g及びジラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)1.2g、ウレタン化触媒であるジブチル錫ジラウレート2.0mgを混合して、モノマー混合液を調製した。このモノマー混合液においては、プレポリマー(I)がシェル部形成用重合原料であり、メチルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートがコア部形成用重合原料である。また、コア部形成用重合原料が69.0質量%、シェル部形成用重合原料が31.0質量%である。
前記分散媒を、攪拌機の回転数400rpmで攪拌しながら、前記モノマー混合液を添加して、重合用懸濁液を調製した。次いで、攪拌を継続しながら、重合用懸濁液を50℃に昇温し、2時間反応させて、シェル部になるポリウレタンを形成させた(第1重合工程)。次いで、75℃に昇温し、2時間反応させて、アクリル樹脂からなるコア部を形成させて、コアシェル粒子を得た(第2重合工程)。その後、100℃に昇温し、1時間保持して、コアシェル粒子内部からトルエンを揮発させた(有機溶剤除去工程)。これにより、水中に樹脂粒子が分散したスラリーを得た。
次いで、前記スラリーを室温まで冷却した後、ろ過により固液分離し、回収した固形物を水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥して、体積平均粒子径6.7μmの球状の樹脂粒子を得た。
【0036】
(実施例2〜16)
有機溶剤の種類又は量、シェル部形成用重合原料の種類又は量、コア部形成用重合原料の種類又は量、ラジカル重合開始剤の量、ウレタン化触媒の量、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量を表1,2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして球状の樹脂粒子を得た。
なお、表中の「シェル部形成用重合原料の質量比率」は、シェル部形成用重合原料とコア部形成用重合原料との合計量を100質量%とした際のシェル部形成用重合原料の質量比率である。表中の「有機溶剤部数」は、シェル部形成用重合原料とコア部形成用重合原料との合計量を100質量部とした際の有機溶剤の部数である。
【0037】
(比較例1)
2L攪拌機付きセパラブルフラスコに水920gを仕込み、この中にポリビニルピロリドン(株式会社日本触媒製、K−90)80.0gを溶解して分散媒を調製した。
前記分散媒を、攪拌機の回転数600rpmで攪拌しながら、トルエン120g及びプレポリマー(I)280.0gを添加して、重合用懸濁液を調製した。次いで、攪拌を継続しながら、重合用懸濁液を60℃に昇温し、1.5時間反応させて、ポリウレタン粒子を得た。その後、100℃に昇温し、1時間保持して、ポリウレタン粒子内部からトルエンを揮発させた(有機溶剤除去工程)。これにより、水中に樹脂粒子が分散したスラリーを得た。
次いで、前記スラリーを室温まで冷却した後、ろ過により固液分離し、回収した固形物を水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥して、体積平均粒子径15.0μmの球状のポリウレタン粒子を得た。このポリウレタン粒子では、多孔質化が充分に起こらなかった。
【0038】
(比較例2)
2L攪拌機付きセパラブルフラスコに水600gを仕込み、この中にヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH−100、信越化学工業株式会社製)18.0gを溶解して分散媒を調製した。
これとは別に、ポリカプロラクトンポリオール(分子量2000)45.8g、プレポリマー(I)60.2g(54.2g)、メチルメタクリレート190.0g、エチレングリコールジメタクリレート10.0g、ベンゾイルパーオキサイド0.5g及び2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル0.3g、ジブチル錫ジラウレート2.5mgを混合して、モノマー混合液を調製した。
前記分散媒を、攪拌機の回転数400rpmで攪拌しながら、前記モノマー混合液を添加して、重合用懸濁液を調製した。次いで、攪拌を継続しながら、重合用懸濁液を40℃に昇温し、3時間反応させて、シェル部になるポリウレタンを形成させた(第1重合工程)。次いで、60℃に昇温し、2時間反応させて、アクリル樹脂からなるコア部を形成させて、コアシェル粒子を得た(第2重合工程)。その後、100℃に昇温し、1時間保持し、得られたスラリーを室温まで冷却した後、ろ過により固液分離し、回収した固形物を水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥した。得られた樹脂粒子は、体積平均粒子径10.3μmの多孔質でない球状の樹脂粒子であった。
【0039】
<多孔質化の評価>
得られた各例の樹脂粒子について、以下の方法により吸油量を測定した。
すなわち、樹脂粒子の試料40gを容器に入れた後、トルエン5.0gを注ぎ入れた。容器内の試料を、攪拌棒を用いて攪拌しながら、試料が流動性を生じるまでトルエンを追加添加した後、1時間放置した。放置後に試料が流動性を維持している場合には、この時点までに添加したトルエン総質量を吸油量とした。放置後に試料の流動性が消失した場合には、試料が流動性を生じるまでさらにトルエンを添加し、この時点までに添加したトルエン総質量を吸油量とした。
測定結果を表1〜3に示す。このトルエン吸油量が多い程、樹脂粒子内部の空孔容積が大きくなり、多孔質化されている。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
各実施例では、有機溶剤の存在下で、アクリル樹脂のコア部とポリウレタンのシェル部とからなるコアシェル粒子を形成した後、有機溶剤を除去したことにより、多孔質化された樹脂粒子が得られた。各実施例の樹脂粒子が多孔質化されていることはトルエン吸油量が多いことから推定できる。また、電子顕微鏡写真によっても多孔質化したことを確認できる。例えば、
図2(実施例1の樹脂粒子の走査型電子顕微鏡写真)に示すように、多孔質化した場合には、粒子の表面に空隙が形成されている。
比較例1では、有機溶剤の存在下で、アクリル樹脂のコア部を有さないポリウレタン粒子を形成した後、有機溶剤を除去したので、樹脂粒子が多孔質化しなかった。
比較例2では、有機溶剤の非存在下で、アクリル樹脂のコア部とポリウレタンのシェル部とからなるコアシェル粒子を形成したので、多孔質樹脂粒子は得られなかった。