特許第6587212号(P6587212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587212
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/90 20140101AFI20191001BHJP
   A63F 13/24 20140101ALI20191001BHJP
   A63F 13/20 20140101ALI20191001BHJP
   A63F 13/213 20140101ALI20191001BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20191001BHJP
【FI】
   A63F13/90
   A63F13/24
   A63F13/20 A
   A63F13/213
   A63F13/25
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-84704(P2016-84704)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-192566(P2017-192566A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 伸也
(72)【発明者】
【氏名】三好 尚行
(72)【発明者】
【氏名】布川 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 達也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 麻子
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148781(JP,A)
【文献】 特開2002−301264(JP,A)
【文献】 特開2017−012240(JP,A)
【文献】 特開2008−188194(JP,A)
【文献】 特開2003−236236(JP,A)
【文献】 特開2007−075265(JP,A)
【文献】 特開2008−246242(JP,A)
【文献】 特開2011−240147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00−13/98,9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム装置の一側方に位置するプレイヤが、コードパターンが印刷された印刷媒体を用いてゲームを行うゲーム装置であって、ゲーム装置本体と、前記ゲーム装置本体とは別体であるサイドキャビネット装置とを有し、
前記ゲーム装置本体は、
前記ゲーム装置本体の上面を構成するとともに前記印刷媒体が載置されるパネルと、
前記一側方に位置するプレイヤからみて前記パネルの横に前記パネルと略同一平面となるように配置された第1の操作部配置面と、
少なくとも前記パネルの上面に載置されている前記印刷媒体の位置に関する印刷媒体情報を読み取る読取装置と、
前記パネルから前記読取装置への前記印刷媒体情報の伝達経路を区画形成する伝達経路形成部材と、
前記一側方側に突出形成された第1突出部と、を備え、
前記パネルは、その上面の法線が鉛直線よりも前記一側方側に傾斜するように配置され
前記伝達経路形成部材は、前記第1突出部の下方に配置されるとともに前記ゲーム装置本体の外側面の一部を構成する傾斜壁体を有し、
前記読取装置は、前記パネルの上面に載置された前記印刷媒体の下面を撮影する撮影装置を有し、
前記傾斜媒体は、前記一側方側から前記ゲーム装置本体の中央部側に向かって下方に延びるように傾斜配置されているとともに、前記パネルと前記撮影装置との間に導光路を区画形成し、前記第1突出部の下方にプレイヤの脚部用の空間を画定し、
前記サイドキャビネット装置は、
前記第1の操作部配置面に対して前記パネルを挟む側で前記ゲーム装置本体の側面に固定され、
前記パネルの上面と略同一平面上に配置される第2の操作部配置面と、前記空間を前記サイドキャビネット装置側から画定する第2突出部と、前記サイドキャビネット装置の内部に設けられ、前記印刷媒体提供口に印刷媒体を提供する提供手段とを備え、
前記第2の操作部配置面は、料金受領部と、操作部とを有し、
前記第2突出部は、前記第2突出部の前記一側方側に配される鉛直した外側面に印刷媒体提供口を有し、
前記サイドキャビネット装置は、前記ゲーム装置本体と通信可能に接続され、前記料金受領部で所定の料金を受領することにより前記ゲーム装置を稼働させることができるように構成される、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記パネルは、その上面に凹凸が形成されていること特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の一側方に位置するプレイヤが、ゲーム媒体を用いてゲームを行うゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが、筐体とは別に、予め用意したゲーム媒体を用いてゲームを行うゲーム装置が普及している。例えば、特許文献1には、ゲーム媒体としてカードを用いるゲーム装置が記載されている。特許文献1記載のゲーム装置は、プレイヤによるパネルの上面へのカードの載置を入力操作とし、当該入力操作に基づいてゲームを進行させる。プレイヤは、ゲーム装置の筐体の一側方から手を伸ばし、パネルの上面にカードを載置する。
【0003】
特許文献1記載のゲーム装置は、パネルの上面に載置されたカードの種類や、パネルの上面におけるカードの位置に関する情報を読み取るとともに、当該情報に基づいてゲームを進行させる。プレイヤは、ゲームの進行を所望のものにするために、載置するカードの種類や位置を検討する。より多くの種類のカードの中から載置するカードを選択可能にするとともに、より大きなパネルの上面においてカードの載置位置を選択可能にすることによって、プレイヤの選択の自由度を向上させ、当該ゲームを更なる戦略性を有するものにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−301264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のゲーム装置では、パネルの大型化に伴って操作性が損なわれるという課題があった。つまり、筐体の一側方に位置するプレイヤが、プレイヤ側から見て奥側の位置にカードを載置しようとしても、プレイヤの手が届き難いという課題があった。小柄なプレイヤは、このような位置にカードを載置するために、身を乗り出したり、筐体の他側方に移動したりしなければならないという煩わしさがあった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性を損なうことなく、ゲーム媒体が載置されるパネルを大型化することが可能なゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、筐体の一側方に位置するプレイヤが、ゲーム媒体を用いてゲームを行うゲーム装置であって、筐体の上面を構成するとともにゲーム媒体が載置されるパネルと、少なくともパネルの上面に載置されているゲーム媒体の位置に関するゲーム媒体情報を読み取る読取装置と、パネルから読取装置へのゲーム媒体情報の伝達経路を区画形成する伝達経路形成部材と、を備える。パネルは、その上面の法線が鉛直線よりも一側方側に傾斜するように配置されている。
【0008】
この構成では、パネルの上面の法線が、鉛直線よりもプレイヤが位置する筐体の一側方側に傾斜している。このため、パネルの上面のうち、筐体の一側方側から見て奥側の部位を、パネルの上面の法線が鉛直線に沿っている場合と比べて、当該一側方に近づけて配置することができる。この結果、プレイヤがゲーム媒体を当該奥側の部位に載置することが容易になり、操作性を損なうことなくパネルを大型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作性を損なうことなく、ゲーム媒体が載置されるパネルを大型化することが可能なゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るゲーム装置を搭載したゲーム装置ユニットを示す斜視図である。
図2図1のゲーム装置を示す斜視図である。
図3図2のIII−III断面を示す模式図である。
図4図3のパネルの断面を示す模式図である。
図5図1のゲーム装置及び比較例に係るゲーム装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
まず、図1を参照しながら、ゲーム装置ユニット100について説明する。図1は、ゲーム装置ユニット100を示す斜視図である。ゲーム装置ユニット100は、本発明に係るゲーム装置1a及びゲーム装置1bを床面に載置して幅方向に並べて配置するとともに、その背面側にビルボード9を配置することでユニット化されている。ゲーム装置1a及びゲーム装置1bの構成は、互いに同一である。ビルボード9は、ゲーム装置1a,1bの背面側から、ゲーム装置1a,1bの上方に向けて延びており、ゲーム装置1a,1bに共通して用いられるディスプレイを備えている。当該ディスプレイは、2台のプロジェクタと湾曲したスクリーンとによって構成されている。各プロジェクタは、ゲーム装置1a,1bにそれぞれ接続されている。後述するように、ゲーム装置1a,1bは、ビルボード9とは別にモニタ27を有している。プレイヤPa,Pbは、このモニタ27に表示される画像を見ながらゲームを行う。
【0013】
ビルボード9に設けられたディスプレイには、ゲーム装置1a,1bの出力に基づいて、プレイヤPa,Pbが行うゲームを観覧している観客向けの画像が表示される。ゲーム装置1a,1bは、後述するように、その上面に載置されたキャラクタカード8の種類、位置、向き等を検出してゲームを進行させるものであるが、一般的な観客は、ゲーム進行だけでなく、プレイヤPa,Pbが用いているキャラクタカード8の種類にも興味を抱く。観客は、ゲーム進行に有利に働く希少価値が高いキャラクタカード8(レアカード)が用いられているか否かを確認するため、ゲーム装置1a,1bの上面を覗き込むことがある。このような観客の覗き込みは、プレイヤPa,Pbにとって操作の邪魔になることがある。このため、プレイヤPa,Pbが用いているキャラクタカード8(ゲーム装置1a,1bによって検出されたキャラクタカード8)を、ビルボード9に設けられたディスプレイに表示することにより、観客がゲーム装置1a,1bの上面を覗き込むことなく、キャラクタカード8を確認できるようにしている。
【0014】
プレイヤPa,Pbは、座席C1,C2に着座してゲームを行う。座席C1,C2は、ゲーム装置1a,1bの筐体10a,10bとは別に用意される。座席C1,C2に着座したプレイヤPa,Pbは、筐体10a,10b側を向くとともに、予め用意した複数のキャラクタカード8を用いてゲームを行う。以下、プレイヤPa,Pbを「プレイヤP」とも称する。
【0015】
キャラクタカード8は、本発明におけるゲーム媒体の一形態である。後述するように、キャラクタカード8は、プレイヤPによるゲーム装置1a,1bへの入力操作に用いられる。キャラクタカード8は、その台紙の一側面にそれぞれ異なるキャラクタの図柄が印刷されている。また、当該一側面と反対側の他側面には、当該一側面に印刷されているキャラクタの種類と、ゲームの設定においてそのキャラクタに与えられた特性と、のそれぞれに対応付けられたコードパターンが印刷されている。当該コードパターンは、本発明におけるゲーム媒体情報の一形態である。
【0016】
キャラクタカード8のコードパターンは、赤外光を吸収する顔料や染料等を含むインクと、赤外光を反射する顔料や染料を含むインクと、を用いた印刷によって形成することができる。キャラクタカード8の台紙自体が赤外光を反射する特性を有している場合には、赤外光を吸収する顔料や染料を含むインクのみを用いた印刷によってコードパターンを印刷すればよい。これに対して、キャラクタカード8の台紙自体が赤外光を吸収する特性を有している場合には、赤外光を反射する顔料や染料を含むインクのみを用いた印刷によってコードパターンを印刷すればよい。
【0017】
次に、図2を参照しながら、ゲーム装置1a,1bの構成について説明する。前述したように、ゲーム装置1a及びゲーム装置1bの構成は互いに同一である。したがって、以下、ゲーム装置1a及びゲーム装置1bのいずれにも対応するゲーム装置1について説明する。
【0018】
図2に示されるように、ゲーム装置1の筐体10は、本体20と、サイドキャビネット30と、を備えている。
【0019】
本体20は、ゲーム装置1の主たる部分を構成している。本体20は、その上部のうち、プレイヤPが位置する一側方側(図1参照)の端部に、プレイヤP側に突出形成された突出部20aを備えている。
【0020】
本体20の外側面の一部は、傾斜壁体21及び鉛直壁体22によって構成されている。傾斜壁体21及び鉛直壁体22は、いずれも平板形状を呈している。傾斜壁体21は、突出部20aの下方において、プレイヤPが位置する一側方側から筐体10の中央部側に向かって下方に延びるように傾斜配置されている。鉛直壁体22は、傾斜壁体21の下端と連接し、鉛直方向に延びるように配置されている。傾斜壁体21と鉛直壁体22とは、互いに別部材としてもよいし、一枚の平板を折曲加工することによってそれぞれを形成してもよい。
【0021】
突出部20aと、ゲーム装置1が載置される床面と、の間には、足元空間23が形成されている。足元空間23は、その上端部が傾斜壁体21によって区画され、筐体10の中央部側の端部が鉛直壁体22によって区画されている。前述したように、傾斜壁体21が傾斜配置されているため、足元空間23は、プレイヤP側から筐体10の中央部側にかけて鉛直方向寸法が漸次小さくなるように形成されている。座席C1,C2に着座するプレイヤPは、ゲームを行う際に、自身の脚部をこの足元空間23に挿入配置することができる。
【0022】
本体20の上面のうち、プレイヤP側から見て左側の一部は、操作部配置面24となっている。操作部配置面24は平面であり、そこにはIC(Integrated Circuit)カード読取部25や、複数のボタン26が配置されている。
【0023】
ICカード読取部25は、プレイヤPが不図示のICカードを載置する部位である。当該ICカードは、プレイヤPがそれぞれ所有するものであり、所有者であるプレイヤPを識別するための識別情報が記録されている。ICカード読取部25に当該ICカードが載置されると、本体20は公知の方法によって識別情報を読み取り、プレイヤPを識別する。ICカード読取部25は、読み取った識別装置を、本体20の不図示の制御装置に信号として送信する。
【0024】
ボタン26は、公知の入力装置であり、例えば押下や移動、回転等の操作が可能に構成されている。
【0025】
本体20の上面のうち、プレイヤP側から見て奥側には、モニタ27及びスピーカ28が配置されている。モニタ27は、例えば液晶ディスプレイが用いられ、ゲームの進行に伴って所定の情報を表示する。スピーカ28は、モニタ27の上端部に固定され、ゲームの進行に伴って所定の効果音や音声を出力する。
【0026】
本体20の上面のうち、プレイヤP側から見て操作部配置面24の右側の部分であって、且つ、モニタ27よりも手前側の部分は、パネル29によって構成されている。パネル29は、正面視で矩形形状を呈している。また、パネル29は、上面に複数のキャラクタカード8を載置できる大きさに形成されており、モニタ27の下端近傍から突出部20aの上部にわたって配置されている。前述した操作部配置面24は、このパネル29の上面と略同一平面上に配置されている。パネル29の詳細な構成については後述する。
【0027】
サイドキャビネット30は、本体20と別体の装置である。サイドキャビネット30の上面は、操作部配置面31となっている。操作部配置面31は平面であり、そこには硬貨投入口32や、複数のボタン33が配置されている。硬貨投入口32はスリット形状の孔である。プレイヤPは、この硬貨投入口32に所定の枚数の硬貨を投入することにより、ゲーム装置1を稼働させることができる。
【0028】
ボタン33は、公知の入力装置であり、例えば押下や移動、回転等の操作が可能に構成されている。
【0029】
サイドキャビネット30の外側面のうち、プレイヤP側の面には、カード提供口34が設けられている。カード提供口34は、開閉可能な蓋体が設けられた開口である。サイドキャビネット30の内部には、不図示の印刷装置が設けられており、当該印刷装置によってキャラクタの図柄等を印刷されたキャラクタカード8が、このカード提供口34に提供される。プレイヤPは、ゲームを終了すると、カード提供口34の蓋体を開いて当該キャラクタカード8を受け取ることができる。
【0030】
尚、サイドキャビネット30によるキャラクタカード8の提供は、印刷装置を用いる形態に限られない。例えば、予めキャラクタの図柄等を印刷されたキャラクタカードをサイドキャビネット30の内部に複数収容するとともに、当該キャラクタカードを所定の枚数ずつ提供してもよい。
【0031】
サイドキャビネット30は、プレイヤP側から見て本体20の右側に配置され、本体20に対して固定される。また、サイドキャビネット30は、本体20と通信可能に接続される。このようにサイドキャビネット30を配置すると、その操作部配置面31は、パネル29の上面と略同一平面上に配置される。
【0032】
以上の説明のように構成されたゲーム装置1に対して、プレイヤPは、ボタン26,33を操作するとともに、パネル29の上面にキャラクタカード8を載置することにより、ゲーム装置1に入力を行うことができる。当該入力は、信号として本体20の制御装置に送信される。制御装置は、当該信号に基づいてゲームを進行させ、ゲーム中の所定のイベントに応じてモニタ27やスピーカ28を動作させる。
【0033】
次に、図3及び図4を参照しながら、ゲーム装置1によるキャラクタカード8のコードパターンの読取について説明する。図3は、図2のIII−III断面を示す模式図である。図4は、図3のパネルの断面を示す模式図である。
【0034】
図3に示されるように、本体20の内部には、イメージセンサ41と、光源42と、第1フィルタ431と、第2フィルタ432と、第1反射板441と、第2反射板442と、が配置されている。
【0035】
イメージセンサ41は、本発明における撮影装置に相当する装置である。イメージセンサ41は、赤外線撮影が可能に構成されている。プレイヤPが位置する側(図1参照)から見て、イメージセンサ41はパネル29よりも奥側に配置されている。
【0036】
光源42は、赤外線あるいは紫外線のように肉眼で確認できない光(不可視光)を出射する。例えば、光源42は発光ダイオード(LED)からなる。光源42は、パネル29の下方から、パネル29に光を照射するように配置されている。尚、光源42の配置は、このような形態に限定されない。例えば、パネル29の周囲から光を照射させるように、光源42を本体20内でパネル29に沿わせて配置してもよい。
【0037】
第1フィルタ431及び第2フィルタ432は、光を透過させるとともに、当該光から可視光を除去する。第1フィルタ431は光源42とパネル29との間に配置されている。第2フィルタ432は、イメージセンサ41の撮影範囲を覆うように配置されている。
【0038】
第1反射板441及び第2反射板442は、パネル29全体を撮影範囲に含めるように光を反射させている機器である。第1反射板441及び第2反射板442は、いずれも平板形状を呈している。第1反射板441は、本体20の傾斜壁体21に対して固定され、且つ、パネル29に対して所定の角度θpだけ傾斜するように配置されている。第1反射板441は傾斜壁体21に対して略平行となるように固定されていることから、パネル29と傾斜壁体21とが成す角度もθpとなる。また、第2反射板442は、第2フィルタ432を挟んでイメージセンサ41と対向するとともに、第1反射板441と対応する方向に向けて配置されている。
【0039】
図4に示されるように、パネル29は、複数の層によって構成された積層構造を呈している。パネル29は、ガラス板291と、インク層292と、シート293と、を有している。
【0040】
ガラス板291は、光透過性を有する材料によって形成された部材である。ガラス板291は平板形状を呈している。ガラス板291はパネル29の基層であり、パネル29の剛性は主にこのガラス板291によって保たれている。
【0041】
インク層292は、ガラス板291の上面に設けられている。インク層292は、赤外線を透過する顔料インクによって形成された層であり、ゲームに合わせたデザインの図柄(プレイフィールドを示す図柄)が当該顔料インクを用いて印刷されている。尚、当該顔料インクには、赤外線の吸収と反射を抑制するため、黒と白以外の色が用いられている。
【0042】
シート293は、インク層292の上面に設けられている。シート293は、透明なポリカーボネート樹脂によって形成された膜形状の部材である。シート293は、下方のインク層292を保護する機能を有している。シート293の上面には、多数の凹部293a及び凸部293bが形成されている。凹部293a及び凸部293bは、本発明における凹凸に相当する。
【0043】
ここで、パネル29は、その上面が傾斜した状態で配置されている。詳細には、図3に示されるように、パネル29は、その上面の法線Nが、プレイヤPが位置する側に傾斜するように配置されている。鉛直線Vと法線Nとが成す角度θnは、3°程度に設定されている。図3では、説明の理解のため、パネル29の傾斜を誇張して図示している。
【0044】
プレイヤPは、このパネル29の上面に多数のキャラクタカード8を載置してゲームを行う。この際、プレイヤPは、前述したコードパターンが印刷された他側面が下面となるように、キャラクタカード8を載置する。
【0045】
光源42から出射した光は、第1フィルタ431を透過して可視光が除去された後に、パネル29を透過してキャラクタカード8の下面に照射される。キャラクタカード8のコードパターンに赤外線が照射され、その一部が反射することにより、イメージセンサ41によるコードパターンの撮影が可能になる。
【0046】
キャラクタカード8によって反射された光は、パネル29を透過して第1反射板441に至る。この光は、次に第1反射板441によって反射され、さらに第2反射板442によって反射されることによってイメージセンサ41に導かれる。すなわち、傾斜壁体21と、第1反射板441及び第2反射板442とは、パネル29とイメージセンサ41との間の導光路OPを区画形成する本発明の伝達経路形成部材に相当する。
【0047】
導光路OPによって導かれる光は、イメージセンサ41に入射する前に、第2フィルタ432を透過する。これにより、当該光から可視光が除去され、赤外線撮影を行うイメージセンサ41におけるノイズの発生が抑制される。
【0048】
イメージセンサ41は、この入射する光に基づいて、パネル29の上面に載置されているキャラクタカード8の種類や、パネル29の上面におけるキャラクタカード8の位置を読み取る。また、キャラクタカード8に印刷するコードパターンを工夫することにより、パネル29の上面に載置されているキャラクタカード8の向きを読み取り可能とするように構成してもよい。これに対し、キャラクタカード8を区別する必要が無い場合は、キャラクタカード8の位置と向きの少なくとも一方を読み取り可能とするように構成してもよい。
【0049】
次に、図5を参照しながら、プレイヤPによるゲーム装置1へのキャラクタカード8の載置について説明する。図5は、本発明に係るゲーム装置1と、比較例に係るゲーム装置1vと、の模式図である。図5において、ゲーム装置1は実線によって図示されているのに対し、ゲーム装置1vは破線によって図示されている。また、図5において、ゲーム装置1でゲームを行うプレイヤPは実線によって図示されているのに対し、ゲーム装置1vでゲームを行うプレイヤPvは破線によって図示されている。
【0050】
ゲーム装置1とゲーム装置1vとは、それぞれのパネル29,29vや、傾斜壁体21,21vの寸法は同一である。また、ゲーム装置1のパネル29と傾斜壁体21とが成す角度と、ゲーム装置1vのパネル29vと傾斜壁体21vとが成す角度は、いずれも図3に示した角度θpで同一である。
【0051】
一方、ゲーム装置1とゲーム装置1vとは、そのパネル29,29vの配置の点で構成が互いに異なっている。つまり、ゲーム装置1のパネル29は、前述したようにその上面の法線が角度θnだけ鉛直線VからプレイヤP側に傾斜するように配置されているのに対し、ゲーム装置1vのパネル29vは、その上面の法線が鉛直線Vと一致するように配置されている。
【0052】
ゲーム装置1のパネル29がこのように傾斜配置されていることにより、プレイヤP側から見て奥側の端部294は、ゲーム装置1vのパネル29vの端部294vよりもプレイヤP側に位置することになる。まず、水平方向において、パネル29の端部294は、距離L1だけパネル29vの端部294vよりもプレイヤP側に位置している。さらに、鉛直方向において、パネル29の端部294は、距離L2だけパネル29vの端部294vよりも上方に位置している。
【0053】
これにより、ゲーム装置1では、プレイヤPが大きく前かがみになることなく、容易にキャラクタカード8をパネル29の端部294近傍に載置することができる。これに対し、パネル29vが傾斜配置されていないゲーム装置1vでは、プレイヤPvは、パネル29vの端部294v近傍にキャラクタカード8vを載置する際に、大きく前かがみになる必要がある。
【0054】
また、ゲーム装置1のパネル29の傾斜配置に伴い、その傾斜壁体21も、ゲーム装置1vの傾斜壁体21vよりも上方に位置することとなる。これによりゲーム装置1の突出部20aの下方に形成される足元空間23の大きさも、ゲーム装置1vのものよりも大きなものとなる。したがって、プレイヤPは、自身の脚部をこの大きな足元空間23に挿入配置するとともに、パネル29に近い位置に着座することが可能になる。この結果、プレイヤPは、パネル29の端部294近傍にさらに容易にキャラクタカード8を載置することができる。
【0055】
以上説明したように、本発明に係るゲーム装置1の構成では、パネル29の上面の法線Nが、鉛直線VよりもプレイヤPが位置する筐体10の一側方側に傾斜している。このため、パネル29の上面のうち、筐体10の一側方側から見て奥側の部位である端部294を、パネル29の上面の法線Nが鉛直線Vに沿っている場合と比べて、当該一側方に近づけて配置することができる。この結果、プレイヤPが、ゲーム媒体であるキャラクタカード8を当該端部294に載置することが容易になり、操作性を損なうことなくパネル29を大型化することが可能になる。
【0056】
また、筐体10は、その上部の一側方側の端部に、突出形成された突出部20aを備えている。伝達経路形成部材である傾斜壁体21は、突出部20aの下方に配置されている。この構成によれば、パネル29を突出部20aまで拡張するとともに、パネル29の上面に載置されたキャラクタカード8のコードパターンを、読取装置に相当するイメージセンサ41によって読み取ることが可能になる。
【0057】
また、伝達経路形成部材は、筐体10の外側面の一部を構成する傾斜壁体21を有する。傾斜壁体21は、突出部20aの下方において、一側方側から筐体10の中央部側に向かって下方に延びるように傾斜配置されている。この構成によれば、傾斜壁体21の下方に足元空間23を形成することができる。これにより、プレイヤPは、自身の脚部をこの足元空間23に挿入配置し、よりパネル29に近い位置に着座するとともに、パネル29の端部294近傍にキャラクタカード8を容易に載置することができる。
【0058】
また、読取装置は、パネル29の上面に載置されたキャラクタカード8の下面を撮影するイメージセンサ41を有している。傾斜壁体21は、パネル29とイメージセンサ41との間の導光路OPを区画形成する。この構成によれば、パネル29からイメージセンサ41まで傾斜することなく光を導く導光路と比較して、導光路OPをコンパクトに構成することが可能になる。すなわち、前述したように傾斜壁体21によって足元空間23を形成するとともに、筐体10の小型化を図ることが可能になる。
【0059】
また、伝達経路形成部材は、傾斜壁体21に沿って配置される反射板である第1反射板441を有している。イメージセンサ41は、第1反射板441によって反射された光を受信することにより、キャラクタカード8の下面を撮影する。この構成によれば、導光路OPをコンパクトに構成しつつ、確実にパネル29からイメージセンサ41まで光を導くことが可能になる。
【0060】
また、筐体10は、プレイヤPが入力操作を行うための操作部であるICカード読取部25やボタン26,33が配置された操作部配置面24,31を有している。操作部配置面24,31は、パネル29の上面と略同一平面上に配置されている。この構成によれば、プレイヤPは、パネル29の上面へのキャラクタカード8の載置操作から、操作部配置面24,31におけるボタン26,33等の操作への移行、あるいはその逆の移行を、同一平面上で手を移動させることによって行うことが可能になる。すなわち、パネル29の上面の法線Nを傾斜させながらも、ボタン26,33等の操作性を向上させることが可能になる。
【0061】
また、操作部配置面24,31は、一側方側から見てパネル29の左右両側に配置されている。この構成によれば、筐体10の幅方向において中央部にパネル29が配置される。したがって、筐体10の幅方向において中央部に位置するプレイヤPが、プレイヤP側から見てパネル29の奥側の端部294にキャラクタカード8を容易に載置することが可能になる。
【0062】
また、パネル29は、その上面に凹部293a及び凸部293bからなる凹凸が形成されている。これにより、パネル29の上面とキャラクタカード8の下面との間に発生する摩擦力を高めることが可能になる。この結果、パネル29を傾斜配置した場合でも、キャラクタカード8が滑り落ちることを抑制し、パネル29の上面に保持することが可能になる。凹部293a及び凸部293bの配置や大きさは、パネル29の上面でキャラクタカード8を滑らせながら行う移動と、移動後のキャラクタカード8の保持と、の双方を考慮して、摩擦力が適切なものとなるように調整することが好ましい。
【0063】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1a,1a:ゲーム装置
10:筐体
20a:突出部
21:傾斜壁体
24:操作部配置面
25:ICカード読取部(操作部)
26:ボタン(操作部)
29:パネル
293a:凹部
293b:凸部
31:操作部配置面
33:ボタン(操作部)
41:イメージセンサ(読取装置)
441:第1反射板(反射板)
8:キャラクタカード(ゲーム媒体、カード)
P,Pa,Pb:プレイヤ
N:法線
V:鉛直線
OP:導光路
図1
図2
図3
図4
図5