特許第6587295号(P6587295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587295
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】端末装置及び端末装置の充電方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20191001BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20191001BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G06F1/26 306
   H02J7/00 S
   H02H7/18
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-162068(P2017-162068)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-40406(P2019-40406A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智志
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−534449(JP,A)
【文献】 特開2013−140562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26−1/3296
H02H 7/00;7/10−7/20
H02J 7/00−7/12;7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と接続し、前記外部機器とバス信号の送受信を行う第1信号線及び第2信号線と、前記外部機器から電力の供給を受けて前記電力の伝送を行う電力伝送線と、を有する通信バスのバスコネクタと、
前記第1信号線及び第2信号線からそれぞれ受信した信号を処理し、前記外部機器が前記電力伝送線に電力を供給するACアダプタであるか否かを判定する信号処理部と、
前記バスコネクタと前記信号処理部との間に介在し、前記信号処理部が前記外部機器をACアダプタであると判定した場合は、前記第1信号線及び第2信号線をそれぞれ切断するスイッチ部と、
を備える端末装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記第1信号線と第2信号線とが短絡している場合に、前記外部機器がACアダプタであると判定する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記通信バスは、USB規格に準拠したものである、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記バスコネクタは、USB規格のタイプC規格に準拠したものである、
請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記端末装置は、前記外部機器から電力の供給を受けて充電されるバッテリをさらに有する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記スイッチ部は、前記外部機器との接続が解除されると、前記切断された前記第1信号線及び第2信号線をそれぞれ接続する、
請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
外部機器と接続し、前記外部機器とバス信号の送受信を行う第1信号線及び第2信号線と、前記外部機器から電力の供給を受けて前記電力の伝送を行う電力伝送線と、を有する通信バスにより前記外部機器と接続し、
前記第1信号線及び第2信号線からそれぞれ受信した信号を処理して前記外部機器が前記電力伝送線に電力を供給するACアダプタであるか否かを判定し、
前記外部機器がACアダプタであると判定した場合は、前記第1信号線及び第2信号線をそれぞれ切断する、
端末装置の充電方法。
【請求項8】
前記判定するステップは、前記第1信号線と第2信号線とが短絡している場合に、前記外部機器がACアダプタであると判定する、
請求項7に記載の端末装置の充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端末装置及び端末装置の充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンや携帯無線ルータなどバッテリを有する端末装置は、外部機器から電力を受けてバッテリの充電を行う。端末装置は、外部機器から電力の供給を受ける手段として、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したコネクタを有する。携帯端末に電力を供給する外部機器は、ホスト機能を有する機器の場合と、ACアダプタの場合とがあり得る。このような外部機器と端末装置とが接続されるコネクタの機械的な接続仕様は、例えばUSB規格の内、タイプBやタイプCなどの規格が存在する。外部機器は、機械的な接続仕様は共通でありながら、接続した後の相互の通信仕様に応じて、端末装置に供給する電圧を決定する場合がある。一方、端末装置は、端末装置の規格に合わない電圧を出力する外部機器が接続された場合に、端末装置の動作を保証するための工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ACアダプタから入力される電圧及び極性を検知し、本来接続されるとは異なる電圧または極性のACアダプタが接続されたことを検知し、検知出力に基づき警告を発生させるDC電源機器が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、バスパワー供給可能なインターフェイスを用いた装置において、バスパワー供給が消失した場合、もしくは省電力モードを検出した場合に、電源部の動作を停止させることで省電力を実現する周辺装置、周辺システムおよび周辺装置の制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−134677号公報
【特許文献2】特開2017−021686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような端末装置と外部機器とが接続する際に、コネクタが不完全に接触したままとなり、相互通信に異常が生じる場合がある。しかしながら、従来技術においては、端末装置と外部機器とが接続する際の通信が異常か否かを判定することができない場合がある。そのような場合、外部機器は、誤った電圧を出力するように設定される可能性がある。その結果、端末装置側の耐電圧より高い電圧が外部機器から端末装置に供給されるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、外部機器から誤った電圧の供給を受けることを抑制する端末装置及び端末装置の充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる端末装置は、外部機器と接続し、前記外部機器とバス信号の送受信を行う第1信号線及び第2信号線と、前記外部機器から電力の供給を受けて前記電力の伝送を行う電力伝送線と、を有する通信バスのバスコネクタと、前記第1信号線及び第2信号線からそれぞれ受信した信号を処理し、前記外部機器が前記電力伝送線に電力を供給するACアダプタであるか否かを判定する信号処理部と、前記バスコネクタと前記信号処理部との間に介在し、前記信号処理部が前記外部機器をACアダプタであると判定した場合は、前記第1信号線及び第2信号線をそれぞれ切断するスイッチ部と、を備える。
【0009】
また、本発明にかかる端末装置の充電方法は、外部機器と接続し、前記外部機器とバス信号の送受信を行う第1信号線及び第2信号線と、前記外部機器から電力の供給を受けて前記電力の伝送を行う電力伝送線と、を有する通信バスにより前記外部機器と接続し、前記第1信号線及び第2信号線からそれぞれ受信した信号を処理して前記外部機器が前記電力伝送線に電力を供給するACアダプタであるか否かを判定し、前記外部機器がACアダプタであると判定した場合は、前記第1信号線及び第2信号線をそれぞれ切断するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、外部機器から誤った電圧の供給を受けることを抑制する端末装置及び端末装置の充電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態にかかる端末装置のブロック図である。
図2】実施の形態にかかる端末装置とACアダプタの接続を説明するための模式図である。
図3】実施の形態にかかる端末装置のレセプタクルコネクタの接続部の正面図である。
図4】実施の形態にかかるUSBプラグの接続部の正面図である。
図5】端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの接続を説明するための断面図である。
図6】端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの各端子の接続を説明するための平面方向の模式図である。
図7】端末装置のバスコネクタとUSBプラグとが接続した状態を説明するための断面図である。
図8】端末装置のバスコネクタとUSBプラグとが接続した状態の各端子の接続を説明するための平面方向の模式図である。
図9】端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの半挿し状態を説明するための断面図である。
図10】端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの半挿し状態を説明するための平面方向の模式図である。
図11】実施の形態にかかる端末装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
まず、図1を参照しながら実施の形態にかかる端末装置について説明する。図1は、実施の形態にかかる端末装置のブロック図である。なお、以下の説明及び図面において、複数の図面に共通する構成についてはそれぞれ共通の符号を付している。そのため、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0014】
端末装置100は、例えば、スマートフォンや携帯無線ルータなどである。端末装置100は、外部機器から電力の供給を受ける。端末装置100は、バスコネクタ110、バススイッチ120、及び信号処理部130を備える。また、端末装置100は、図示しないバッテリを有していてもよい。バッテリは、外部機器から電力の供給を受けて充電され得る。
【0015】
バスコネクタ110は、外部機器と接続する。バスコネクタ110は、外部機器とバス信号の送受信を行う第1信号線D+及び第2信号線D−と、外部機器から電力の供給を受けて電力の伝送を行う電力伝送線VBUSと、を少なくとも有する。第1信号線D+及び第2信号線D−はバススイッチ120に接続している。電力伝送線VBUSは、端末装置100内部の回路又はバッテリに接続している。
【0016】
第1信号線D+及び第2信号線D−は、アナログ信号又はデジタル信号を送受信するための信号線である。また、電力伝送線VBUSは、外部機器から供給される電力を端末装置100に伝送する。端末装置100は、バッテリ又は電力伝送線VBUSから伝送された電力を電源として利用し得る。第1信号線D+、第2信号線D−、及び電力伝送線VBUSを含むバス通信の仕様は、例えば、USB規格に準拠していてもよい。バスコネクタ110は、USB規格の内、例えばタイプC規格に準拠していてもよい。また、バスコネクタ110は、USB規格の内、タイプB規格に準拠していてもよい。
【0017】
バスコネクタ110は、レセプタクル型のコネクタである。バスコネクタ110は、開口部102を有している。バスコネクタ110は、開口部102にプラグ型のコネクタを接続し得る。開口部102にプラグ型のコネクタが接続されることにより、バスコネクタ110の第1信号線D+、第2信号線D−、及び電力伝送線VBUS等の信号線が外部機器の有する信号線とそれぞれ接続される。
【0018】
バススイッチ120は、バスコネクタ110と信号処理部130との間に介在し、第1信号線D+及び第2信号線D−をそれぞれ切断又は接続する。より具体的には、バススイッチ120は、信号処理部130の指示を受けてバスコネクタ110と信号処理部130とを接続している第1信号線D+を切断又は接続する。同様に、バススイッチ120は、信号処理部130の指示を受けてバスコネクタ110と信号処理部130とを接続している第2信号線D+を切断又は接続する。
【0019】
バススイッチ120は、例えばnMOS(negative-channel Metal Oxide Semiconductor)により構成され得る。nMOSにより構成されることにより、バススイッチ120は、信号処理部130の指示を受けた後、遅延なく第1信号線D+及び第2信号線D−をそれぞれ切断することができる。また、バススイッチ120は、nMOSとpMOS(positive-channel Metal Oxide Semiconductor)との組み合わせにより構成されてもよい。また、バススイッチ120は、第1信号線D+及び第2信号線D−をそれぞれ切断することができれば他の態様のスイッチでもよい。
【0020】
信号処理部130は、バスコネクタ110が有する電力伝送線VBUSに接続し、電力伝送線VBUSの電圧を監視する。また、信号処理部130は、電力伝送線VBUSの電圧が予め設定された値であった場合、外部機器が接続されたことを判定し得る。さらに、信号処理部130は、バスコネクタ110が有する第1信号線D+及び第2信号線D−と接続し、外部機器が接続された後に、信号の送受信を行う。かかる信号の送受信は、予め設定された通信プロトコルに準拠して行われる。通信プロトコルの一例としては、USB規格のBattery Charging Specification 1.2(以降BC1.2と称する)である。信号処理部130は、例えば、BC1.2に準拠した通信を行い、接続された外部機器がACアダプタであるか否かを判定する。さらに、信号処理部130は、バスコネクタ110に接続された外部機器がACアダプタであると判定した後に、バススイッチ120に対して第1信号線D+及び第2信号線D−の接続を切断する指示を送信し得る。信号処理部130は、例えば、USB規格に準拠した通信バスを制御するUSBバスコントロールIC(integrated circuit)や、USBバスコントロール機能を有するMCU(Micro Control Unit)、又は、USBバスコントロール機能を有するCPU(central processing unit)である。
【0021】
次に、図2を参照しながら、実施の形態にかかる端末装置と、外部機器であるACアダプタとの接続状態について説明する。図2は、実施の形態にかかる端末装置とACアダプタの接続を説明するための模式図である。ACアダプタ140は、商用電源である交流を直流に変換し、端末装置100に電力を供給する。
【0022】
ACアダプタ140は、コンセント142、本体部141、USBケーブル150、及びUSBプラグ160を有している。コンセント142は、商用電源170に接続して交流の電力を受け取る。本体部141は、コンセント142を介して受け取った交流を直流に変換し、USBケーブル150へ出力し得る。ACアダプタ140が変換する直流の電圧は、予め設定された電圧である。ACアダプタ140が変換する直流の電圧は、例えば5V、9V、12V等であり得る。ACアダプタ140は、これらの直流電圧の内、複数の電圧を出力し得る。そして、ACアダプタ140が出力する電圧は、端末装置100の仕様に応じて設定され得る。より具体的には、例えば、ACアダプタ140は、端末装置100と接続された後に、端末装置100の第1信号線D+及び第2信号線D−の電圧を監視する。そして、端末装置100の第1信号線D+及び第2信号線D−の電圧の値に応じて、ACアダプタ140が出力する電圧を設定し得る。
【0023】
USBプラグ160は、ハウジング部161と、プラグ部162とを有している。ACアダプタ140と端末装置100とが接続される場合、プラグ部162が端末装置100のバスコネクタ110に挿入される。
【0024】
次に、図3を参照しながら、端末装置100のバスコネクタ110について詳細を説明する。図3は、実施の形態にかかる端末装置のバスコネクタの接続部の正面図である。つまり、図3に示したバスコネクタ110は、図1において示した開口部102を正面として表示したものである。
【0025】
図3は、右手系xyz座標が付されている。尚、当然のことながら、図3以降に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。図3のz軸方向と図4図10のz軸方向は一致している。通常、z軸プラス方向が鉛直上向き、xy平面が水平面である。図3は、yz平面をx軸プラス方向からx軸マイナス方向へ見た状態を示している。
【0026】
また、以降の右手系xyz座標を伴う図において、正面とはyz平面を示す。また、平面とは、xy平面を示す。側面とは、xz平面を示す。
【0027】
本実施の形態において例示する端末装置100のバスコネクタ110は、USB規格のタイプC規格に準拠したレセプタクル型のコネクタである。バスコネクタ110は、フレーム111、凹部112、基板部113を主に有している。フレーム111は、バスコネクタ110の開口部102を形成する。フレーム111は、ステンレス等の金属板を加工することにより形成されている。凹部112は、USBプラグ160のプラグ部162が挿入され嵌合する空間である。
【0028】
基板部113は、液晶ポリマー樹脂等の絶縁材の表面にエッチングされた銅板等により構成される複数の信号線が敷設されている。図3において、接点114は、USB規格のタイプC規格に準拠した配線が敷設されている。
【0029】
接点114は、基板の両面に敷設されており、信号線AR1と信号線BR1とは同じ信号を通信するように対応している。同様に、信号線AR2と信号線BR2、・・・信号線AR12と信号線BR12とは、それぞれ同じ信号を通信するように対応している。このような配線をすることにより、バスコネクタ110は、USBプラグ160の挿入方向を限定しない構造となっている。
【0030】
また、シールド線115は、接点114の各信号線に対する不要輻射の影響を抑えるためのシールド用の配線であって、電気的に接地され得る。シールド線115も、接点114と同様、基板部113の両側に敷設されている。そのため、バスコネクタ110は、USBプラグ160の挿入方向を限定しない構造となっている。
【0031】
続いて、図4を参照しながら、USBプラグ160の詳細について説明する。図4は、実施の形態にかかるUSBプラグの接続部の正面図である。つまり、図4に示したUSBプラグ160は、図3において示したバスコネクタ110に対向する面を正面として表示したものである。図4は、yz平面をx軸マイナス方向からx軸プラス方向へ見た状態を示している。
【0032】
本実施の形態において例示するUSBプラグ160は、USB規格のタイプC規格に準拠したプラグ型のコネクタである。USBプラグ160は、ハウジング部161、プラグ部162、凹部163を主に有している。
【0033】
ハウジング部161は、樹脂を成形することにより形成されているコネクタのハウジングである。プラグ部162は、ステンレス等の金属板を加工することにより形成されている。プラグ部162は、図3に示したバスコネクタの凹部112に挿入され得る。凹部163は、図3に示したバスコネクタの基板部113が挿入され嵌合され得る。凹部163は、ベリリウム銅などの弾性を有する複数の接点164及びシールド線165により囲まれている。
【0034】
接点164は、凹部163の両側に設けられており、信号線AP1と信号線BP1とは同じ信号を通信するように対応している。同様に、信号線AP2と信号線BP2、・・・信号線AP12と信号線BP12とは、それぞれ同じ信号を通信するように対応している。このような配線をすることにより、USBプラグ160は、バスコネクタ110への挿入方向を限定しない構造となっている。
【0035】
また、シールド線165は、接点164の各信号線に対する不要輻射の影響を抑えるためのシールド用の配線であって、電気的に接地され得る。シールド線165も、接点164と同様、凹部163の両側に設けられている。そのため、USBプラグ160は、バスコネクタ110への挿入方向を限定しない構造となっている。
【0036】
次に、図5を参照しながら、バスコネクタ110とUSBプラグ160との接続についてさらに説明する。図5は、端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの接続を説明するための側面方向の模式図である。図5は、図4に示した断面Vにおいてバスコネクタ110及びUSBプラグ160を模式的に示している。換言すると、図5は、xz平面をy軸プラス方向からy軸マイナス方向へ見た状態を示している。
【0037】
図5に示すように、USBプラグ160は、バスコネクタ110に挿入される。すなわち、USBプラグ160が有するプラグ部162は、バスコネクタ110の凹部112に挿入される。また、バスコネクタ110が有する基板部113はUSBプラグ160の凹部163に挿入される。
【0038】
プラグ部162の厚さ方向の寸法166は、バスコネクタ110の凹部112の厚さ方向の寸法116よりも小さい。つまり、プラグ部162とバスコネクタ110とは予め設定された範囲のガタツキを有する。また、接点164及びシールド線165は弾性体で形成されている。そのため、プラグ部162は、予め設定されたガタツキの範囲内で接点164と接点114とが圧着しながら挿入されるように設計されている。同様に、プラグ部162は、予め設定されたガタツキの範囲内でシールド線165とシールド線115とが圧着しながら挿入されるように設計されている。
【0039】
続いて、図6を参照しながら、バスコネクタ110とUSBプラグ160との接続についてさらに説明する。図6は、端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの各端子の接続を説明するための平面方向の模式図である。図6は、図5に示した断面VIにおいてバスコネクタ110及びUSBプラグ160を模式的に示している。換言すると、図6は、xy平面をz軸マイナス方向からz軸プラス方向へ見た状態を示している。
【0040】
図6において、USBプラグ160が有する信号線AP1は、バスコネクタ110が有する信号線AR1に接触するように挿入される。同様に、USBプラグ160が有する信号線AP2は、バスコネクタ110が有する信号線AR2に接触するように挿入される。その他の信号線についても、各記号の末尾の数字が同じ信号線同士が対応している。USBプラグ160の信号線AP4及び信号線AP9は、電力伝送線VBUSに対応している。USBプラグ160の信号線AP6は、第1信号線D+に対応している。USBプラグ160の信号線AP7は、第2信号線D−に対応している。バスコネクタ110の信号線AR4及び信号線AR9は、電力伝送線VBUSに対応している。バスコネクタ110の信号線AR6は、第1信号線D+に対応している。バスコネクタ110の信号線AR7は、第2信号線D−に対応している。また、シールド線165は、シールド線115に接触するように挿入される。尚、USBプラグ160を反転させて挿入した場合、例えば、USBプラグ160が有するBP1は、バスコネクタ110が有する信号線AR1に接触するように挿入される。
【0041】
プラグ部162の幅方向の寸法167は、バスコネクタ110の凹部112の幅方向の寸法117よりも小さい。つまり、プラグ部162とバスコネクタ110とは予め設定された範囲のガタツキを有する。かかるガタツキは、接点164と、接点114とのそれぞれ対応する信号線が十分接触する状態を維持する範囲である。
【0042】
次に、図7及び図8を参照しながら、図7を参照しながら、バスコネクタ110とUSBプラグ160とが接続された状態について説明する。図7は、端末装置のバスコネクタとUSBプラグとが接続した状態を説明するための側面方向の模式図である。換言すると、図7は、xz平面をy軸プラス方向からy軸マイナス方向へ見た状態を示している。
【0043】
図7に示すように、バスコネクタ110とUSBプラグ160とが接続された状態において、接点114と接点164とは接触している。同様に、シールド線115とシールド線165とは接触している。尚、バスコネクタ110とUSBプラグ160とはガタツキを有している。そのため、バスコネクタ110とUSBプラグ160とは隙間118a及び隙間118bを有している。ただし、接点164及びシールド線165は弾性体で形成されているため隙間118a及び隙間118bが変動しても、各信号線の接触が失われることはない。
【0044】
図8は、端末装置のバスコネクタとUSBプラグとが接続した状態の各端子の接続を説明するための平面方向の模式図である。換言すると、図8は、xy平面をz軸マイナス方向からz軸プラス方向へ見た状態を示している。図8に示すように、接点114の各信号線は、接点164の各信号線に対応して接触している。また、シールド線115は、シールド線165に対応して接触している。
【0045】
次に、図9及び図10を参照しながら、バスコネクタとUSBプラグとの半挿し状態を説明する。図9は、端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの半挿し状態を説明するための側面方向の模式図である。換言すると、図9は、xz平面をy軸プラス方向からy軸マイナス方向へ見た状態を示している。
【0046】
図9において、USBプラグ160は、完全に挿入されてはおらず、不完全な接触状態となっている。さらに、USBプラグ160は、バスコネクタ110に対して相対的に下側へ寄せられた状態である。したがって、バスコネクタ110とUSBプラグ160との隙間は、隙間119aが大きく、隙間119bが小さい。このような状態において、バスコネクタ110が有する接点114は、USBプラグ160が有する接点164に接触している。また、USBプラグ160が有するシールド線165は、バスコネクタ110が有するシールド線115に接触しておらず、接点114に接触している。つまり、バスコネクタ110が有する接点114は、USBプラグ160が有する接点164及びシールド線165に接触している。
【0047】
図10は、端末装置のバスコネクタとUSBプラグとの半挿し状態を説明するための平面方向の模式図である。換言すると、図10は、xy平面をz軸マイナス方向からz軸プラス方向へ見た状態を示している。USBプラグ160が有する接点164の内、USBプラグ160の信号線AP6は、バスコネクタ110が有する接点AR6及びシールド線165とそれぞれ接触している。同様に、USBプラグ160の信号線AP7は、バスコネクタ110が有する接点AR7及びシールド線165と接触している。つまり、USBプラグ160の信号線AP6及び信号線AP7は、シールド線165を介して電気的に接続した状態である。
【0048】
また、図6を参照しながら説明したように、USBプラグ160の信号線AP6及びバスコネクタ110の信号線AR6は、第1信号線D+に対応している。そして、バスコネクタ110の信号線AR7及びバスコネクタ110の信号線AR7は、第2信号線D−に対応している。つまり、図9及び図10に示した半挿し状態では、第1信号線D+と第2信号線D−とが短絡した状態である。USBプラグ160とバスコネクタ110とがこのような状態を維持すると、端末装置100とACアダプタ140とは、USB規格に準拠したバス通信を開始する。しかしながら、第1信号線D+と第2信号線D−とが短絡した状態であるため、端末装置100とACアダプタ140とが正しく通信できない。そのため、ACアダプタ140から不適切な電圧が端末装置100に供給される可能性がある。そこで、本実施の形態では、バススイッチ120が第1信号線D+及び第2信号線D−をそれぞれ切断する。
【0049】
次に、図11を参照しながら、実施の形態における処理について説明する。図11は、実施の形態にかかる端末装置のフローチャートである。
【0050】
端末装置100は、バスコネクタ110に外部機器が接続されたか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、端末装置100は、信号処理部130において監視する電力伝送線VBUSの電圧が予め設定された電圧になったか否かを判定する。予め設定された電圧とは、例えば5Vである。つまり、端末装置100は、電力伝送線VBUSの電圧が5Vであることを検出すると、外部機器が接続されたと判定する。尚、外部機器が接続された場合、電力伝送線VBUSの電圧は5Vとなる。そのため、端末装置100は、外部機器から5Vの電圧における充電が開始された状態となる。
【0051】
バスコネクタ110に外部機器が接続されない場合(ステップS10:No)、端末装置100は、引き続き信号処理部130において電力伝送線VBUSの電圧を監視する。
【0052】
バスコネクタ110に外部機器が接続された場合(ステップS10:Yes)、端末装置100は、接続された外部機器がACアダプタか否かを判定する(ステップS11)。一般に、USB規格のBC1.2では、外部機器がコンピュータ等のUSBホスト機能を有する機器か否かを判定する。次に、外部機器がコンピュータ等のUSBホスト機能を有する機器でない場合に、外部機器がACアダプタか否かを判定する。具体的な判定方法は、BC1.2の通信プロトコルに準拠して第1信号線D+と第2信号線D−による信号の送受信を行うことにより行う。
【0053】
バスコネクタ110に接続された外部機器がACアダプタではなく、コンピュータ等のUSBホスト機能を有する機器であった場合、外部機器は第1信号線D+と第2信号線D−をUSB規格に準拠した通信プロトコルに従って通信を開始する。この場合、端末装置100は、バスコネクタ110に接続された外部機器がACアダプタであると判定しない(ステップS11:No)。この場合、端末装置100は、外部機器からの電力の供給を受け入れる。外部機器は、USB規格に従い、5Vの電圧を端末装置100に出力する。したがって、端末装置100は、5Vの電圧で充電される(ステップS13)。
【0054】
一方、バスコネクタ110に接続された外部機器がACアダプタの場合(ステップS11:Yes)、端末装置100は、第1信号線D+と第2信号線D−とをそれぞれ切断する(ステップS12)。具体的には、端末装置100の有する信号処理部130がバススイッチ120に対して第1信号線D+及び第2信号線D−をそれぞれ切断する指示を送る。これにより、バスコネクタ110側の第1信号線D+及び第2信号線D−と、信号処理部130側の第1信号線D+及び第2信号線D−とは切断される。そのため、信号処理部130における第1信号線D+又は第2信号線D−からACアダプタへ信号が送信されることはない。
【0055】
USB規格に準拠したACアダプタは、端末装置100に対して5Vの電圧における充電を継続する。すなわち、端末装置100は、5Vの電圧における充電が継続される(ステップS13)。ACアダプタが5Vより高い電圧を出力可能な機器であった場合であっても、第1信号線D+及び第2信号線D−が切断されているため、ACアダプタは、5Vより高い電圧を出力することを判断しない。
【0056】
端末装置100がバッテリを有している場合は、端末装置100の有する電力伝送線VBUSを介してバッテリに電力が供給される。
【0057】
尚、端末装置100の充電が完了し、外部機器の接続が解除されると、信号処理部130は、バススイッチ120に対して第1信号線D+及び第2信号線D−を再び接続する指示を送り得る。
【0058】
尚、5Vより高い電圧を出力し得るACアダプタの仕様の一例を挙げると、例えば、第1信号線D+及び第2信号線D−の電圧がいずれも0.6Vであった場合に、ACアダプタは電力伝送線VBUSに12Vを出力し得る。
【0059】
以上の構成により、本実施の形態は、外部機器から誤った電圧の供給を受けることを抑制する端末装置及び端末装置の充電方法を提供することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 端末装置
102 開口部
110 バスコネクタ
111 フレーム
112 凹部
113 基板部
114 接点
115 シールド線
120 バススイッチ
130 信号処理部
140 アダプタ
141 本体部
142 コンセント
150 ケーブル
160 プラグ
161 ハウジング部
162 プラグ部
163 凹部
164 接点
165 シールド線
170 商用電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11