特許第6587312号(P6587312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6587312有価媒体処理装置、有価媒体処理システムおよび有価媒体処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587312
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】有価媒体処理装置、有価媒体処理システムおよび有価媒体処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20191001BHJP
   G07D 11/10 20190101ALI20191001BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20191001BHJP
【FI】
   G07D11/20 102
   G07D11/10 131B
   G07D11/16 101Z
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-15043(P2015-15043)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-139357(P2016-139357A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】小林 盾一
(72)【発明者】
【氏名】鷲頭 孝広
(72)【発明者】
【氏名】卯城 秀輝
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−005239(JP,A)
【文献】 特開2000−259882(JP,A)
【文献】 再公表特許第2008/090595(JP,A1)
【文献】 特開2013−077207(JP,A)
【文献】 特開2012−150739(JP,A)
【文献】 特開2014−026500(JP,A)
【文献】 特開昭60−235288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体内に有価媒体を投入するための投入部と、
前記投入部により機体内に投入された有価媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される有価媒体の識別を行う識別部と、
前記識別部により識別が行われた有価媒体が前記搬送部により送られる複数の集積部と、
各前記集積部に集積されるべき有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記設定情報に基づいて前記識別部により識別された有価媒体を各前記集積部に振り分けるよう前記搬送部の制御を行う制御部と、
有価媒体を収納するための収納部と、
を備え、
複数の前記集積部のうち少なくとも一つの前記集積部は、前記収納部に収納される前の有価媒体を一時的に保留する入金一時保留部からなり、
各前記集積部には、当該集積部へのアクセスを規制するための規制部がそれぞれ設けられており、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各前記集積部に集積されると各前記規制部による各前記集積部へのアクセスの規制を解除するよう各前記規制部を制御し、
前記制御部において、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制するか、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制しないかの設定を行うことができるようになっている、有価媒体処理装置。
【請求項2】
各前記集積部に対応して表示部が筐体の前面に設けられている、請求項1記載の有価媒体処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が前記集積部に集積されると当該集積部に対応する前記表示部における表示態様を変化させるよう当該表示部を制御する、請求項2記載の有価媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が前記集積部に集積されていない状態で当該集積部から有価媒体が取り出されるとこの集積部に対応する前記表示部における表示態様を変化させるよう当該表示部を制御する、請求項2または3記載の有価媒体処理装置。
【請求項5】
操作者に対して報知を行うための報知部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が前記集積部に集積されていない状態で当該集積部から有価媒体が取り出されると前記報知部により操作者に対して報知を行うよう当該報知部を制御する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有価媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記規制部によるアクセスの規制が解除された前記集積部へ有価媒体を送らないとともに、前記規制部によるアクセスの規制が解除された後に当該規制部により再びアクセスが規制された前記集積部へ有価媒体を送ることができるよう、前記搬送部を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有価媒体処理装置。
【請求項7】
前記規制部による前記集積部へのアクセスの規制を解除するタイミングを前記集積部毎に設定することができるようになっている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有価媒体処理装置。
【請求項8】
前記規制部による複数の前記集積部へのアクセスの規制を同時に解除することができるようになっている、請求項7記載の有価媒体処理装置。
【請求項9】
前記規制部による前記集積部へのアクセスの規制の解除を前記集積部毎に順番に行うようにすることができるようになっている、請求項7記載の有価媒体処理装置。
【請求項10】
機体内に有価媒体を投入するための投入部と、前記投入部により機体内に投入された有価媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される有価媒体の識別を行う識別部と、前記識別部により識別が行われた有価媒体が前記搬送部により送られる複数の集積部と、有価媒体を収納するための収納部とを有しており、複数の前記集積部のうち少なくとも一つの前記集積部は、前記収納部に収納される前の有価媒体を一時的に保留する入金一時保留部からなり、各前記集積部には、当該集積部へのアクセスを規制するための規制部がそれぞれ設けられている有価媒体処理装置と、
前記有価媒体処理装置と通信可能に接続され、当該有価媒体処理装置の管理を行う管理装置と、
を備えた有価媒体処理システムであって、
前記有価媒体処理装置の各前記集積部に集積されるべき有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記設定情報に基づいて前記有価媒体処理装置において前記識別部により識別された有価媒体を各前記集積部に振り分けるよう前記搬送部の制御を行う制御部と、
を更に備え
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各前記集積部に集積されると各前記規制部による各前記集積部へのアクセスの規制を解除するよう各前記規制部を制御し、
前記制御部において、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制するか、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制しないかの設定を行うことができるようになっている、有価媒体処理システム。
【請求項11】
各集積部に集積されるべき有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶部に予め記憶させておく工程と、
各前記集積部へのアクセスを当該集積部にそれぞれ設けられた規制部により規制する工程と、
搬送部により有価媒体の搬送を行う工程と、
前記搬送部により搬送される有価媒体を識別部により識別する工程と、
前記記憶部に記憶されている前記設定情報に基づいて前記識別部により識別された有価媒体を前記搬送部により各前記集積部に振り分ける工程と、
複数の前記集積部のうち少なくとも一つの前記集積部に集積された有価媒体を、有価媒体を収納するための収納部に送ってこの収納部に収納させる工程と、
前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各前記集積部に集積されると各前記規制部による各前記集積部へのアクセスの規制を解除する工程と、
を備え
各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制するか、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制しないかの設定を行うことができるようになっている、有価媒体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体の処理を行う有価媒体処理装置、このような有価媒体処理装置を備えた有価媒体処理システムおよびこのような有価媒体処理装置による有価媒体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケット等の店舗等における売上金等の貨幣の入金処理を行う貨幣入金機として様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1等に開示される貨幣入金機では、入金口へ投入された入金貨幣を1枚ずつ機体内に繰り出して識別部により識別し、入金可能な貨幣を一時保留部へ集積するとともに承認指令に基づいて収納庫へ収納し、一方、返却指令に基づいて一時保留部に集積された紙幣を機体外へ返却するようになっている。また、特許文献1等に開示される貨幣入金機には、集積された紙幣を機体外から取り出し可能な第1スタッカ部および第2スタッカ部が設けられており、これらの各スタッカ部は、入金処理時に発生するリジェクト紙幣の集積箇所として使用されるとともに、紙幣を所定枚数ずつ仕分けして整理するバッチ処理時の集積箇所としても使用されるようになっている。このような各スタッカ部は、その前方が開放されており、操作者は常に各スタッカ部にアクセス可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3865968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の貨幣入金機では、紙幣を所定枚数ずつ仕分けして整理するバッチ処理が行われる際に、概ね一つのスタッカ部が用いられるため、多数の紙幣のバッチ処理を行う際には作業効率が悪くなってしまうという問題がある。具体的には、一つのスタッカ部を用いてバッチ処理を行う場合には、所定枚数の紙幣がスタッカ部に集積されると当該スタッカ部への紙幣の搬送を停止させ、このスタッカ部から操作者により紙幣が手動で取り出された後に当該スタッカ部への紙幣の搬送を再開させるため、バッチ処理を行う際にスタッカ部への紙幣の搬送が度々中断されてしまう。なお、特許文献1等に開示されるような貨幣入金機ではスタッカ部が2つ設けられているが、一方のスタッカ部は、バッチ処理が行われる際にも識別不能紙幣等のリジェクト紙幣が集積されるリジェクト部として用いられるため、実際には一つのスタッカ部のみを用いてバッチ処理が行われるようになる。
【0005】
また、従来の貨幣入金機では、バッチ動作の完了がわかりにくく、また、バッチ動作中でもスタッカ部にアクセスすることができるためバッチ動作中に操作者がスタッカ部に手を入れてしまいジャムや違算等のトラブルが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数の集積部を用いてバッチ処理を行うことができるため、バッチ処理の作業効率を向上させることができる有価媒体処理装置、有価媒体処理システムおよび有価媒体処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有価媒体処理装置は、機体内に有価媒体を投入するための投入部と、前記投入部により機体内に投入された有価媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される有価媒体の識別を行う識別部と、前記識別部により識別が行われた有価媒体が前記搬送部により送られる複数の集積部と、各前記集積部に集積されるべき有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記設定情報に基づいて前記識別部により識別された有価媒体を各前記集積部に振り分けるよう前記搬送部の制御を行う制御部と、有価媒体を収納するための収納部と、を備え、複数の前記集積部のうち少なくとも一つの前記集積部は、前記収納部に収納される前の有価媒体を一時的に保留する入金一時保留部からなり、各前記集積部には、当該集積部へのアクセスを規制するための規制部がそれぞれ設けられており、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各前記集積部に集積されると各前記規制部による各前記集積部へのアクセスの規制を解除するよう各前記規制部を制御し、前記制御部において、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制するか、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制しないかの設定を行うことができるようになっていることを特徴とする。
【0008】
このような有価媒体処理装置によれば、複数の集積部を用いてバッチ処理を行うことができるため、バッチ処理の作業効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の有価媒体処理装置においては、前記集積部に対応して表示部が筐体の前面に設けられていてもよい。
【0010】
この場合、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が前記集積部に集積されると当該集積部に対応する前記表示部における表示態様を変化させるよう当該表示部を制御するようになっていてもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が前記集積部に集積されていない状態で当該集積部から有価媒体が取り出されるとこの集積部に対応する前記表示部における表示態様を変化させるよう当該表示部を制御するようになっていてもよい。
【0012】
本発明の有価媒体処理装置は、操作者に対して報知を行うための報知部を更に備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が前記集積部に集積されていない状態で当該集積部から有価媒体が取り出されると前記報知部により操作者に対して報知を行うよう当該報知部を制御するようになっていてもよい。
【0015】
また、前記制御部は、前記規制部によるアクセスの規制が解除された前記集積部へ有価媒体を送らないとともに、前記規制部によるアクセスの規制が解除された後に当該規制部により再びアクセスが規制された前記集積部へ有価媒体を送ることができるよう、前記搬送部を制御するようになっていてもよい。
【0016】
また、前記規制部による前記集積部へのアクセスの規制を解除するタイミングを前記集積部毎に設定することができるようになっていてもよい。
【0017】
この場合、前記規制部による複数の前記集積部へのアクセスの規制を同時に解除することができるようになっていてもよい。
【0018】
あるいは、前記規制部による前記集積部へのアクセスの規制の解除を前記集積部毎に順番に行うようにすることができるようになっていてもよい。
【0020】
本発明の有価媒体処理システムは、機体内に有価媒体を投入するための投入部と、前記投入部により機体内に投入された有価媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される有価媒体の識別を行う識別部と、前記識別部により識別が行われた有価媒体が前記搬送部により送られる複数の集積部と、有価媒体を収納するための収納部とを有しており、複数の前記集積部のうち少なくとも一つの前記集積部は、前記収納部に収納される前の有価媒体を一時的に保留する入金一時保留部からなり、各前記集積部には、当該集積部へのアクセスを規制するための規制部がそれぞれ設けられている有価媒体処理装置と、前記有価媒体処理装置と通信可能に接続され、当該有価媒体処理装置の管理を行う管理装置と、
を備えた有価媒体処理システムであって、前記有価媒体処理装置の各前記集積部に集積されるべき有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記設定情報に基づいて前記有価媒体処理装置において前記識別部により識別された有価媒体を各前記集積部に振り分けるよう前記搬送部の制御を行う制御部と、を更に備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各前記集積部に集積されると各前記規制部による各前記集積部へのアクセスの規制を解除するよう各前記規制部を制御し、前記制御部において、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制するか、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制しないかの設定を行うことができるようになっていることを特徴とする。
【0021】
このような有価媒体処理システムによれば、有価媒体処理装置において複数の集積部を用いてバッチ処理を行うことができるため、バッチ処理の作業効率を向上させることができる。
【0022】
本発明の有価媒体処理方法は、各集積部に集積されるべき有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶部に予め記憶させておく工程と、各前記集積部へのアクセスを当該集積部にそれぞれ設けられた規制部により規制する工程と、搬送部により有価媒体の搬送を行う工程と、前記搬送部により搬送される有価媒体を識別部により識別する工程と、前記記憶部に記憶されている前記設定情報に基づいて前記識別部により識別された有価媒体を前記搬送部により各前記集積部に振り分ける工程と、複数の前記集積部のうち少なくとも一つの前記集積部に集積された有価媒体を、有価媒体を収納するための収納部に送ってこの収納部に収納させる工程と、前記記憶部に記憶されている前記設定情報における有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各前記集積部に集積されると各前記規制部による各前記集積部へのアクセスの規制を解除する工程と、を備え、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制するか、各前記規制部により全ての前記集積部へのアクセスを規制しないかの設定を行うことができるようになっていることを特徴とする。
【0023】
このような有価媒体処理方法によれば、複数の集積部を用いてバッチ処理を行うことができるため、バッチ処理の作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の有価媒体処理装置、有価媒体処理システムおよび有価媒体処理方法によれば、複数の集積部を用いてバッチ処理を行うことができるため、バッチ処理の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態における有価媒体処理装置の外観を示す斜視図である。
図2図1に示す有価媒体処理装置の内部構成を模式的に示す構成図である。
図3図1等に示す有価媒体処理装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図4図1等に示す有価媒体処理装置において複数の集積部を用いてバッチ処理を行う際に操作表示部に表示される画面を示す図である。
図5図1等に示す有価媒体処理装置において複数の集積部を用いてバッチ処理を行う際に操作表示部に表示される画面を示す図である。
図6図1等に示す有価媒体処理装置において複数の集積部を用いてバッチ処理を行う際に操作表示部に表示される画面を示す図である。
図7図1等に示す有価媒体処理装置において複数の集積部を用いてバッチ処理を行う際に操作表示部に表示される画面を示す図である。
図8図1等に示す有価媒体処理装置による紙葉類の入金処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態による有価媒体処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における有価媒体処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す有価媒体処理装置の内部構成を模式的に示す構成図である。また、図3は、図1等に示す有価媒体処理装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図4乃至図7は、それぞれ、図1等に示す有価媒体処理装置において複数の集積部を用いてバッチ処理を行う際に操作表示部に表示される画面を順に示す図である。また、図8は、図1等に示す有価媒体処理装置による紙葉類の入金処理方法を示すフローチャートである。
【0027】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所にはレジ釣銭機が設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣や商品券をレジ釣銭機に入金したり、釣銭としての貨幣をレジ釣銭機から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室)には、レジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣を入金したり、レジ釣銭機用の釣銭準備金としての貨幣を出金したりする売上入金機が設置されている。また、このような売上入金機がショッピングセンターに設置される場合には、フロント領域の精算所に設置されたレジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣に加えて、ショッピングセンター内の各テナントから持ち込まれた売上金としての貨幣が当該売上入金機に入金されるようになる。売上入金機に入金された売上金としての貨幣は、警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬されるようになっている。本実施の形態では、このような売上入金機として、紙幣、硬貨、商品券等を含む有価媒体の処理を一つの装置で行うような有価媒体処理装置1が用いられるようになっている。このような有価媒体処理装置1の構成の概略について図1乃至図3を用いて説明する。
【0028】
図1および図2に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は略直方体形状の筐体2を有しており、この筐体2内には、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理ユニットおよび硬貨の処理を行う硬貨処理ユニットがそれぞれ設けられている。また、有価媒体処理装置1の前面下部には下部扉4が設けられており、この下部扉4を開くことにより、筐体2内に収容された紙葉類収納部53、54(後述)や硬貨収納部152、153(後述)を筐体2の外部に引き出すことができるようになっている。
【0029】
図1および図2に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、紙葉類処理ユニットとして、紙幣や商品券を含む紙葉類が投入される投入部10と、投入された紙葉類の各々を識別する識別部20と、識別された紙葉類を搬送しながら4種別に分類する搬送分類機構30と、分類された紙葉類が一時的に集積される4つの集積部41〜44と、4つの集積部41〜44の一部である2つの集積部43、44にそれぞれ対応して設けられた2つの紙葉類収納部53、54とを備えている。
【0030】
投入部10は、紙葉類ホッパとして構成されており、投入された紙葉類(紙幣/商品券)を受け入れて1枚ずつ繰出するようになっている。また、投入部10には、当該投入部10に残留する紙葉類を検知するための残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
【0031】
識別部20は、イメージセンサを有しており、紙幣/商品券の区別の他、各紙幣の金種や、各商品券の種別等を識別するようになっている。商品券の種別の識別とは、当該店舗(およびそのチェーン店舗)で発行された商品券/他社で発行された商品券の区別や、当該店舗において処分可能な商品券/他の管理センターへの回収が必要な商品券の区別や、使用期限内の有効な商品券/使用期限切れの無効な商品券の区別等である。
【0032】
搬送分類機構30は、紙葉類を搬送する搬送ベルト機構35と、搬送路を切り換えるための3つの切換機構31〜33と、これらの搬送ベルト機構35や3つの切換機構31〜33を制御する紙葉類制御部36とを有している。そして、紙葉類制御部36が識別部20による識別結果に基づいて3つの切換機構31〜33を制御することによって、識別された紙葉類をそれぞれ対応する4つの集積部41〜44に分類して搬送するようになっている。
【0033】
第1の集積部41は、リジェクト部として構成されており、リジェクト対象の紙葉類が集積されるようになっている。第1の集積部41(リジェクト部)は、常時外部に開放されており、常時外部からリジェクト対象の紙葉類を取り出し可能となっている。
【0034】
第2の集積部42は、スタッカ部として構成されており、100枚程度までの紙葉類が集積されるようになっている。第2の集積部42(スタッカ部)は、シャッタ42sを介して外部からアクセス可能となっており、シャッタ42sの開放時に外部から紙葉類を取り出し可能となっている。より詳細には、シャッタ42sは電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者はシャッタ42sを開くことができるようになっている。もっとも、シャッタ42sの設置を省略することも可能である。その場合は、第1の集積部41(リジェクト部)と同様に、常時外部からアクセス可能(紙葉類を取り出し可能)となる。
【0035】
第3の集積部43および第4の集積部44は、それぞれ入金一時保留部として構成されており、100枚程度の紙葉類が集積されるようになっている。そして、有価媒体処理装置1の操作者による承認の後には、入金一時保留部としての各集積部43、44の底面が開放されるようになっており、これらの集積部43、44に一時保留されていた紙葉類が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれるようになっている。また、有価媒体処理装置1の操作者によって非承認とされた後には、各集積部43、44に一時保留されていた紙葉類を有価媒体処理装置1の前方から取り出し可能となっている。より詳細には、図1に示すように、第3の集積部43には返却扉6が設けられており、当該返却扉6を開くことにより第3の集積部43から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。ここで、返却扉6は電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者は返却扉6を開いて第3の集積部43から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。また、図1および図2に示すように、第1の集積部41、第2の集積部42および第3の集積部43は筐体2から横方向に回動可能な回動部8に設けられており、当該回動部8を筐体2から横方向に回動させてこの回動部8を第4の集積部44の前方から退避させることによりこの第4の集積部44から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。ここで、回動部8は電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者は回動部8を筐体2から横方向に回動させて第4の集積部44から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
【0036】
また、各集積部41〜44には、それぞれ、これらの集積部41〜44に紙葉類が集積されているときに当該紙葉類を検知するための残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
【0037】
2つの紙葉類収納部53、54は、2つの集積部43、44に対応して設けられており、紙葉類を収納可能なカセットから構成されている。各カセットは、収納された紙葉類の回収条件を個別に設定可能となっており、設定された回収条件が満たされた場合にのみ有価媒体処理装置1の筐体2の外部からアクセス可能となっている。
【0038】
例えば、2つの紙葉類収納部53、54の少なくとも一つに対して設定される回収条件は、有価媒体処理装置1が設置される店舗(の操作者)が紙葉類の回収を許可されているという条件とされ、2つの紙葉類収納部53、54の少なくとも他の一つに対して設定される回収条件は、紙葉類の回収業務を委託される警送業者が紙葉類の回収を許可されているという条件とされ得る。このように回収条件が設定されることにより、店舗自身による回収作業と、警送業者による回収作業とを、それぞれ個別に設定して管理することが可能である。
【0039】
本実施の形態による有価媒体処理装置1では、各紙葉類収納部53、54への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスを制限する構成として、図2および図3に示すように、公知のロック機構63、64と、当該ロック機構63、64を制御するロック制御部65とが用いられるようになっている。ロック制御部65には、ターミナル70に内蔵された全体制御部73を介してICカードリーダ71が接続されており、店舗所属の操作者が保有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、店舗が紙葉類の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている紙葉類収納部53、54に対するアクセスが解放される(すなわち、ロックが解放されて、紙葉類収納部53、54が筐体2の外部へ取出し可能となる)。一方、警送業者所属の操作者が保有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、当該警送業者が紙葉類の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている紙葉類収納部53、54に対するアクセスが解放される(すなわち、ロックが解放されて、紙葉類収納部53、54が筐体2の外部へ取出し可能となる)。そして、ロック機構63、64によるロックが解除された状態で下部扉4を開くことにより、店舗所属の操作者や警送業者所属の操作者は紙葉類収納部53、54を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
【0040】
ターミナル70には、全体制御部73およびICカードリーダ71に加えて、タッチパネル等で構成された操作表示部72が設けられている。操作表示部72は、操作ガイダンスや入金処理時の取引データ等を表示するとともに、操作者の指示入力を受け付けるようになっている。
【0041】
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1の搬送分類機構30において、紙葉類の搬送方向における識別部20の下流側には、商品券を無効化するための消し込みの印刷処理を行う印刷部75が設けられている。印刷部75は例えばインクジェットプリンタから構成されており、様々な印刷パターンにより商品券に対して消し込みの印刷処理を行うことができるようになっている。印刷部75は、有価媒体処理装置1の操作面に近接する位置に配置されており、図示されないカバーを開放することにより、インクカートリッジの交換を容易に行うことができる。
【0042】
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、硬貨処理ユニットとして、硬貨が投入される硬貨投入部110と、投入された硬貨の各々を識別する硬貨識別部120と、識別された硬貨を搬送しながら3種別に分類する硬貨搬送分類機構130と、分類された硬貨が一時的に集積される3つの硬貨集積部141〜143と、3つの硬貨集積部141〜143の一部である2つの硬貨集積部142、143にそれぞれ対応して設けられた2つの硬貨収納部152、153とを備えている。
【0043】
硬貨投入部110は硬貨ホッパとして構成されており、投入された硬貨を受け入れて1枚ずつ繰出するようになっている。
【0044】
硬貨識別部120は磁気センサ等を有しており、硬貨の真偽の区別の他、各硬貨の金種を識別するようになっている。
【0045】
硬貨搬送分類機構130は、硬貨制御部136によって制御されるソレノイド付き選別部材を有する強制選別機構によって構成されており、選別された硬貨を3つの硬貨集積部141〜143に分類して搬送するようになっている。ここで、硬貨搬送分類機構130は、振り分ける硬貨の種別を任意に設定できるようになっている。
【0046】
第1の硬貨集積部141は、リジェクト部として構成されており、リジェクト対象の硬貨が集積されるようになっている。第1の硬貨集積部141(リジェクト部)に集積された硬貨は、常時外部から取り出し可能となっている。
【0047】
第2の硬貨集積部142および第3の硬貨集積部143は、それぞれ入金一時保留部として構成されており、それぞれに100枚程度までの硬貨が集積されるようになっている。そして、有価媒体処理装置1の操作者による承認の後には、入金一時保留部の枠体が移動されるようになっており、一時保留されていた硬貨が対応する硬貨収納部152、153に送り込まれるようになっている。また、有価媒体処理装置1の操作者によって非承認とされた後には、入金一時保留部の底板が退避し、一時保留されていた硬貨が当該入金一時保留部の下方の硬貨返却箱144、145に送り込まれ、当該硬貨返却箱144、145を介して硬貨が取り出し可能となっている。
【0048】
2つの硬貨収納部152、153は、2つの硬貨集積部142、143に対応して設けられており、硬貨を収納可能なカセットから構成されている。各硬貨カセットは、収納された硬貨の回収条件を個別に設定可能となっており、設定された回収条件が満たされた場合にのみ有価媒体処理装置1の筐体2の外側からアクセス可能となっている。
【0049】
例えば、2つの硬貨収納部152、153の少なくとも一つに対して設定される回収条件は、有価媒体処理装置1が設置される店舗(の操作者)が硬貨の回収を許可されているという条件とされ、2つの硬貨収納部152、153の少なくとも他の一つに対して設定される回収条件は、硬貨の回収業務を委託される警送業者が硬貨の回収を許可されているという条件とされ得る。このように回収条件が設定されることにより、店舗自身による回収作業と、警送業者による回収作業とを、それぞれ個別に設定して管理することが可能である。
【0050】
各硬貨収納部152、153への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスを制限する構成として、図2および図3に示すように、公知のロック機構162、163と、当該ロック機構162、163を制御するロック制御部65とが用いられるようになっている。前述のように、ロック制御部65にはICカードリーダ71が接続されており、店舗所属の操作者が所有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、店舗が硬貨の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている硬貨収納部152、153に対するアクセスが解放される(すなわち、ロックが解放されて、硬貨収納部152、153を筐体2の外部へ取出し可能となる)。一方、警送業者所属の操作者が所有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、警送業者が硬貨の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている硬貨収納部152、153に対するアクセスが解放される(すなわち、ロックが解放されて、硬貨収納部152、153を筐体2の外部へ取出し可能となる)。そして、ロック機構162、163によるロックが解除された状態で下部扉4を開くことにより、店舗所属の操作者や警送業者所属の操作者は硬貨収納部152、153を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
【0051】
本実施の形態による有価媒体処理装置1では、下部ユニットの引出操作に対するロック機構165と、当該ロック機構165を制御するロック制御部65とが用いられている。すなわち、ロック制御部65は、5つのロック機構63、64、162、163、165を制御するようになっている。
【0052】
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、識別された紙葉類ないし硬貨の各集積部41〜44ないし各硬貨集積部141〜143への分類条件(分類パターン)を記憶しておく記憶部74がターミナル70内に設けられている。記憶部74に記憶された分類条件は、搬送分類機構30による紙葉類の搬送ないし分類を制御するための紙葉類制御部36、および硬貨搬送分類機構130による硬貨の搬送ないし分類を制御するための硬貨制御部136に適時に読み出されるようになっている。
【0053】
また、記憶部74は、各紙葉類収納部53、54および各硬貨収納部152、153に対して設定される回収条件も記憶するようになっており、各紙葉類収納部53、54および各硬貨収納部152、153への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスの制限/許容を判別して制御するためにロック制御部65に適時に読み出されるようになっている。
【0054】
さらに、記憶部74は、識別部20による紙葉類の識別のための詳細情報(例えば、識別処理に用いる辞書データ等)を記憶しており、識別部20に適時に読み出されるようになっている。
【0055】
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、入金処理時の取引データや、締め時/回収時等における集計データをプリントアウトするプリンタ装置95が設けられている。
【0056】
さらに、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、外部機器(管理コンピュータ)等と通信可能であり、識別情報や分類条件(分類パターン)を取得したり、入金結果等を送信可能な通信インターフェース部96が設けられている。
【0057】
また、図1および図3に示すように、有価媒体処理装置1の筐体2の前面において、投入部10および各集積部41、42、43に対応してLED等の状態表示部80、82、84、86が設けられている。LED等の状態表示部80、82、84、86は、投入部10や各集積部41、42、43における紙葉類の集積状態に応じて表示態様が変化するようになっている。このようなLED等の状態表示部80、82、84、86における表示態様の詳細については後述する。
【0058】
次に、このような構成からなる有価媒体処理装置1による紙幣や硬貨、商品券等の有価媒体の処理方法、具体的には有価媒体の入金方法について以下に説明する。なお、以下に示すような有価媒体処理装置1の動作は、全体制御部73が紙葉類制御部36や硬貨制御部136を介して有価媒体処理装置1の各構成要素の制御を行うことにより行われるようになっている。
【0059】
有価媒体処理装置1の待機状態において、操作表示部72には図4に示すような待機画面が表示されている。具体的には、操作表示部72には、操作者が携帯するICカードを操作表示部72の右側に配置されたICカードリーダ71により読み取らせることを操作者に指示するメッセージおよび画像が表示されている。また、本実施の形態の有価媒体処理装置1において各紙葉類収納部53、54に商品券が収納されるようになっている場合には、操作表示部72の待機画面において、各紙葉類収納部53、54における商品券の収納状況(具体的には、商品券の収納枚数)が表示されるようになっている。また、操作表示部72の待機画面において、「番号を手入力する」というボタンも表示されており、操作者がこのボタンを押下すると、操作表示部72の表示画面が切り替わって手入力画面となり、操作者は操作表示部72において有価媒体処理装置1に入金される有価媒体の回収元の店舗の店番号やレジ釣銭機のレジ番号を手入力することができるようになる。また、操作者は操作表示部72の手入力画面において店番号やレジ番号を手入力する際に、操作表示部72において操作者IDやパスワードも手入力することができるようになっていてもよい。図4に示すような待機画面が操作表示部72に表示されている状態で操作者が携帯するICカードをICカードリーダ71により読み取らせることにより、有価媒体処理装置1において有価媒体の入金処理を行うことができるようになる。このような有価媒体の入金処理の詳細については後述する。
【0060】
また、操作表示部72の待機画面において、「作業メニュー」というボタンが操作者により押下されると、操作表示部72の表示画面が図5に示すような作業メニュー画面に切り替わるようになっている。このような作業メニュー画面において左側の領域に設けられた「作業メニュー」の複数の候補のうち「整理」欄を選択すると画面中央には「紙幣バッチ」「選別」「別計算」の各欄が表示され、これらの各欄のうち「紙幣バッチ」欄を選択するとバッチ処理の設定を行うことができるようになる。具体的には、図5に示すような作業メニュー画面において「紙幣バッチ」欄が選択されると、操作表示部72の表示画面が図6に示すようなバッチ処理の設定画面に切り替わるようになる。
【0061】
図6に示すような操作表示部72におけるバッチ処理の設定画面において、バッチ処理におけるバッチ金種と枚数を設定することができるようになっている。具体的には、バッチ処理においてスタッカ部としての第2の集積部42および入金一時保留部としての第3の集積部43が用いられるようになっている場合には、図6に示すようなバッチ処理の設定画面において、第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ集積される紙葉類(例えば、紙幣)の金種および枚数を設定することができるようになる。ここで、図6における「バッチ設定1」は、スタッカ部としての第2の集積部42における集積紙葉類の金種および枚数の設定内容に対応しており、「バッチ設定2」は、入金一時保留部としての第3の集積部43における集積紙葉類の金種および枚数の設定内容に対応している。すなわち、図6に示す画面では、バッチ処理において第2の集積部42に一万円札を100枚集積させるとともに第3の集積部43に千円札を100枚集積させることが設定されている。図6の画面に示すようなバッチ処理の設定が行われた場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が一万円札である場合にはこの一万円札は第2の集積部42に100枚まで集積され、また、識別部20により識別された紙葉類が千円札である場合にはこの千円札は第3の集積部43に100枚まで集積され、それ以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)は、リジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。そして、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達したときには、これ以上第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札が送られなくなる。この場合には、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札を筐体2の外部に取り出すことにより、第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札が再び送られるようになる。このようなバッチ処理の詳細については後述する。
【0062】
次に、本実施の形態の有価媒体処理装置1による紙葉類の入金処理方法について図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0063】
本実施の形態の有価媒体処理装置1において、図4に示すような待機画面が操作表示部72に表示されている状態で操作者が携帯するICカードをICカードリーダ71により読み取らせることにより操作者の権限の認証を行った後、操作者が投入部10に紙葉類を投入すると(STEP1の「YES」)、投入部10から紙葉類が1枚ずつ有価媒体処理装置1の機体内に繰り出され(STEP2)、搬送分類機構30により搬送される紙葉類は識別部20により識別される(STEP3)。ここで、識別部20により識別された紙葉類が商品券である場合には、当該商品券の計数データ(種類別の入金枚数、合計金額等)が加算される(STEP5)。また、識別部20により識別された紙葉類が商品券である場合には、印刷部75により当該商品券に対して消し込みの印刷処理が行われる(STEP6)。なお、識別部20により識別された商品券が有効期限切れ券、もぎり券、受け付け対象外券等であり印刷対象外条件に一致する場合には、商品券に対して消し込みの印刷処理は行われない。また、印刷部75を通過した商品券は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部41〜44へ振り分けられる(STEP8)。
【0064】
一方、識別部20により識別された紙葉類が紙幣である場合には、当該紙幣の計数データ(金種別の入金枚数、合計金額等)が加算される(STEP7)。なお、識別部20により識別された紙葉類の種類が紙幣であるときには、印刷部75により当該紙幣に対して消し込みの印刷処理は行われない。また、識別部20により識別された紙幣は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部41〜44へ振り分けられる(STEP8)。また、識別部20により識別された紙葉類が正常な紙幣や商品券ではないリジェクト券である場合には、当該リジェクト券の計数データは加算されることなく、また、印刷部75により当該リジェクト券に対して消し込みの印刷処理が行われることなく、リジェクト部としての集積部41に送られるようになる(STEP9)。
【0065】
投入部10に紙葉類が残っている場合には(STEP10の「YES」)、図6のSTEP2〜STEP9に示す動作が繰り返し行われるようになる。一方、投入部10に投入された紙葉類が全て有価媒体処理装置1の機体内に繰り出された後(STEP10の「NO」)、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われると(STEP11の「YES」)、集積部43、44に一時保留されていた紙葉類が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれて収納される(STEP12)。一方、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われず代わりに返却入力が行われると(STEP11の「NO」)、各集積部43、44に一時保留されていた紙葉類を有価媒体処理装置1の前方から取り出し可能となる(STEP13)。このようにして、有価媒体処理装置1における一連の紙葉類の入金処理が完了する。
【0066】
次に、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際の動作の詳細について説明する。本実施の形態では、有価媒体処理装置1においてバッチ処理が行われる際に、概して第2の集積部42および第3の集積部43からなる2つの集積部が用いられるようになっている。また、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行うにあたり、記憶部74には、複数の集積部(例えば、第2の集積部42および第3の集積部43)に集積されるべき紙幣等の有価媒体の枚数および種類に係る情報が設定情報として記憶されるようになっており、全体制御部73は、記憶部74に記憶されている設定情報に基づいて識別部20により識別された有価媒体を各集積部41〜44に振り分けるよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。また、本実施の形態では、有価媒体処理装置1においてバッチ処理が行われる際に、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用が行われる場合と、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行われる場合とがある。以下の説明では、最初に、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行われる場合について述べる。
【0067】
操作表示部72の表示画面がバッチ処理の設定画面に切り替えられたときに、図6に示すようなバッチ処理の設定が行われた場合には、すなわち、第2の集積部42に一万円札を100枚集積させるとともに第3の集積部43に千円札を100枚集積させるようなバッチ処理の設定が行われた場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が一万円札であるときにはこの一万円札は第2の集積部42に100枚まで集積され、また、識別部20により識別された紙葉類が千円札であるときにはこの千円札は第3の集積部43に100枚まで集積され、それ以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)は、リジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。そして、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達したときには、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙葉類の繰出動作が一旦停止され、これ以上第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札が送られなくなる。本実施の形態では、このようなバッチ処理が行われる際に、操作表示部72には図7に示すようなバッチ処理画面が表示されるようになり、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数、ならびに一万円札や千円札についてのバッチ回数(すなわち、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達した回数)を操作表示部72により確認することができるようになる。
【0068】
なお、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達したときには、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。なお、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達したときに、操作表示部72において第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札を筐体2の外部に取り出す必要がある旨のメッセージが表示されたり、図示しないスピーカー等によって第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札を筐体2の外部に取り出す必要がある旨の音声ガイダンスが発せられたりすることにより、操作者に対して報知が行われるようになっていてもよい。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束を筐体2の外部に取り出すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯する。その後、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙葉類の繰出動作が自動で再開され、紙幣が取り出された第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札が再び送られるようになる。なお、第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束が筐体2の外部に取り出された後、自動的に投入部10から筐体2の内部に紙幣が繰り出されるようになる代わりに、操作表示部72における「計数スタート」ボタンの押下待ちの待機状態となり、操作者が操作表示部72においてこの「計数スタート」ボタンを押下すると投入部10から筐体2の内部への紙幣の繰出動作が再開されるようになっていてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達する前にこれらの第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束が取り出された場合には、紙幣が取り出された第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が赤色に点滅するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から誤って紙幣を取り出してしまったことに気づくようになる。なお、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達する前にこれらの第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束が取り出されたときに、操作表示部72において第2の集積部42や第3の集積部43から誤って紙幣が取り出された旨のメッセージが表示されたり、図示しないスピーカー等によって第2の集積部42や第3の集積部43から誤って紙幣が取り出された旨の音声ガイダンスが発せられたりすることにより、操作者に対して報知が行われるようになっていてもよい。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札を戻すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯する。
【0070】
また、本実施の形態では、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が一万円札や千円札以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)である場合は、当該紙葉類はリジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになるが、リジェクト部としての第1の集積部41に紙葉類が送られるとこの第1の集積部41に対応する状態表示部82が赤色に点滅するようになる。このことにより、操作者はリジェクト部としての第1の集積部41から紙葉類を取り出す必要があることに気づくようになる。
【0071】
また、本実施の形態では、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出される際に紙葉類の繰出不良が発生した場合には、投入部10に対応する状態表示部80が赤色に点灯するようになる。また、投入部10において紙葉類の繰出不良が発生してから所定時間(例えば、20秒)が経過すると、投入部10に対応する状態表示部80の表示態様が赤色の点灯から赤色の点滅に変化するようになる。このような状態表示部80における表示内容により、操作者は投入部10において紙葉類の繰出不良が発生したことに気づくことができるようになる。なお、投入部10において紙葉類の繰出不良が発生したときに、当該投入部10から紙葉類が抜き取られると、投入部10に対応する状態表示部80は消灯するようになる。
【0072】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1では、1金種の紙幣について2つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行うこともできるようになっている。具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ千円札を100枚集積させるようなバッチ処理の設定が行われた場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が千円札であるときにはこの千円札は第2の集積部42または第3の集積部43に100枚まで集積され、第2の集積部42または第3の集積部43に千円札が100枚集積されたときに投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙幣の繰出動作が停止することなく他方の集積部に千円札が引き続き集積されるようになる。また、識別部20により識別された紙葉類が千円札以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)である場合には、当該紙葉類はリジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。また、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された千円札の枚数が100枚に達したときには、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から千円札の束を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から千円札の束を筐体2の外部に取り出すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯するようになる。
【0073】
また、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された千円札の枚数が100枚に達する前にこれらの第2の集積部42や第3の集積部43から千円札の束が取り出された場合には、紙幣が取り出された第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が赤色に点滅するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から誤って紙幣を取り出してしまったことに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43に千円札を戻すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯する。
【0074】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1では、フロント領域の精算所に設置される複数(例えば、2つ)のレジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金をそれぞれ作成するよう2つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行うこともできるようになっている。ここで、各レジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金として、複数の金種の紙幣を所定枚数ずつ組み合わせたものが考えられる。具体的には、各レジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金として、五千円札20枚および千円札50枚とすることが考えられる。この場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が千円札である場合にはこの千円札は第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ50枚まで集積され、識別部20により識別された紙葉類が五千円札である場合にはこの五千円札は第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ20枚まで集積される。また、それ以上の枚数の千円札や五千円札、ならびに千円札や五千円札以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)は、リジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。
【0075】
そして、第2の集積部42や第3の集積部43に釣銭準備金としての金種毎の所定の枚数の紙幣(具体的には、例えば五千円札20枚および千円札50枚)が集積されたときには、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から釣銭準備金としての紙幣の束を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から釣銭準備金としての紙幣の束を筐体2の外部に取り出すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯するようになる。
【0076】
また、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に釣銭準備金としての金種毎の所定の枚数の紙幣が集積される前にこれらの第2の集積部42や第3の集積部43から紙幣の束が取り出された場合には、紙幣が取り出された第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が赤色に点滅するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から誤って紙幣の束を取り出してしまったことに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43に紙幣を戻すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯する。
【0077】
次に、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用が行われる場合について述べる。
【0078】
操作表示部72の表示画面がバッチ処理の設定画面に切り替えられたときに、図6に示すようなバッチ処理の設定が行われた場合には、すなわち、第2の集積部42に一万円札を100枚集積させるとともに第3の集積部43に千円札を100枚集積させるようなバッチ処理の設定が行われた場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が一万円札であるときにはこの一万円札は第2の集積部42に100枚まで集積され、また、識別部20により識別された紙葉類が千円札であるときにはこの千円札は第3の集積部43に100枚まで集積され、それ以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)は、リジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。そして、第2の集積部42や第3の集積部43(の少なくとも一方)に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達したときには、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙葉類の繰出動作が一旦停止され、これ以上第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札が送られなくなる。
【0079】
なお、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された一万円札や千円札の枚数が100枚に達したときには、集積された紙幣の枚数が100枚に達した第2の集積部42や第3の集積部43のみに対応するシャッタ42sや返却扉6のロックが解除され、これらのシャッタ42sや返却扉6が自動で開かれるようになり、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札を取り出すことができるようになる。また、この場合でも、集積された紙幣の枚数が100枚に達した第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束を筐体2の外部に取り出した後、紙幣が取り出された第2の集積部42や第3の集積部43に対応するシャッタ42sや返却扉6を手動で閉め、第2の集積部42や第3の集積部43に紙幣が存在しないことが確認されると、これらのシャッタ42sや返却扉6が電磁ロック部により再びロックされ、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43にアクセスすることができないようになる。また、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束を筐体2の外部に取り出すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯する。その後、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙葉類の繰出動作が再開され、紙幣が取り出された第2の集積部42や第3の集積部43に一万円札や千円札が再び送られるようになる。
【0080】
なお、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用が行われる場合には、第2の集積部42や第3の集積部43に集積される一万円札や千円札が100枚に達する前にこれらの第2の集積部42や第3の集積部43から一万円札や千円札の束が操作者によって誤って取り出されてしまうおそれはない。
【0081】
また、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用が行われる場合において、1金種の紙幣について2つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行うこともできるようになっている。具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ千円札を100枚集積させるようなバッチ処理の設定が行われた場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が千円札であるときにはこの千円札は第2の集積部42または第3の集積部43に100枚まで集積され、第2の集積部42または第3の集積部43に千円札が100枚集積されたときに投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙幣の繰出動作が停止することなく他方の集積部に千円札が引き続き集積されるようになる。また、識別部20により識別された紙葉類が千円札以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)である場合には、当該紙葉類はリジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。
【0082】
また、本実施の形態では、第2の集積部42や第3の集積部43に集積された千円札の枚数が100枚に達したときには、集積された紙幣の枚数が100枚に達した第2の集積部42や第3の集積部43のみに対応するシャッタ42sや返却扉6のロックが解除され、これらのシャッタ42sや返却扉6が自動で開かれるようになり、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から千円札の束を取り出すことができるようになる。また、この場合でも、集積された紙幣の枚数が100枚に達した第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から千円札の束を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から千円札の束を筐体2の外部に取り出すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯するようになる。
【0083】
また、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用が行われる場合において、フロント領域の精算所に設置される複数(例えば、2つ)のレジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金をそれぞれ作成するよう2つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行うこともできるようになっている。例えば、「千円札×50枚、五千円札×20枚」と設定された場合には、投入部10に投入された紙葉類が有価媒体処理装置1の機体内に繰り出されて識別部20により識別されたときに、識別部20により識別された紙葉類が千円札である場合にはこの千円札は第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ50枚まで集積され、識別部20により識別された紙葉類が五千円札である場合にはこの五千円札は第2の集積部42および第3の集積部43にそれぞれ20枚まで集積される。また、それ以上の枚数の千円札や五千円札、ならびに千円札や五千円札以外の金種の紙幣や紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券)は、リジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に集積されるようになる。
【0084】
そして、第2の集積部42や第3の集積部43に釣銭準備金としての金種毎の所定の枚数の紙幣(具体的には、五千円札20枚および千円札50枚)が集積されたときには、釣銭準備金としての金種毎の所定の枚数の紙幣が集積された第2の集積部42や第3の集積部43のみに対応するシャッタ42sや返却扉6のロックが解除され、これらのシャッタ42sや返却扉6が自動で開かれるようになり、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から釣銭準備金としての紙幣を取り出すことができるようになる。また、この場合でも、釣銭準備金としての金種毎の所定の枚数の紙幣が集積された第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は第2の集積部42や第3の集積部43から釣銭準備金としての紙幣の束を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。そして、操作者が第2の集積部42や第3の集積部43から釣銭準備金としての紙幣の束を筐体2の外部に取り出すと、これらの第2の集積部42や第3の集積部43に対応する状態表示部84、86が消灯するようになる。
【0085】
また、本実施の形態では、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用を行うか、あるいは電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行うかを操作者が例えば操作表示部72により設定することができるようになっている。このことにより、バッチ処理の内容に合わせて、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用を行うか、あるいは電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行うかを選択することができるようになる。概して、1金種の紙幣について2つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行う場合には、バッチ処理を行う間に投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙幣の繰出動作が停止することがないため、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行う方がより迅速にバッチ処理を終了させることができる。一方、複数の金種の紙幣について2つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行う場合には、バッチ処理を行う間にある集積部に所定の金種毎の枚数の紙幣が集積されると投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙幣の繰出動作が停止するため、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行ってもバッチ処理が終了するまでにかかる時間が長くなる。このため、複数の金種の紙幣について2つの集積部42、43を用いてバッチ処理を行う場合には、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用が行うことにより各集積部42、43から誤って紙幣が取り出されてしまうことをより確実に防止することができるようになる。
【0086】
以上のような構成からなる本実施の形態の有価媒体処理装置1およびこのような有価媒体処理装置1による有価媒体処理方法によれば、記憶部74は、複数の集積部(例えば、第2の集積部42および第3の集積部43)に集積されるべき紙幣等の有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶するようになっており、全体制御部73は、記憶部74に記憶されている設定情報に基づいて識別部20により識別された有価媒体を各集積部41〜44に振り分けるよう搬送分類機構30の制御を行うようになっている。このように、本実施の形態の有価媒体処理装置1およびこのような有価媒体処理装置1による有価媒体処理方法では、複数の集積部(例えば、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行うことができるため、バッチ処理の作業効率を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、第1の集積部41、第2の集積部42および第3の集積部43には、各集積部41〜43に対応してLED等の状態表示部82、84、86が設けられている。このことにより、操作者は各集積部41〜43に対応して設けられた状態表示部82、84、86を見ることによってこれらの集積部41〜43における紙葉類の集積状態を確認したり各集積部41〜43から紙葉類を誤って取り出した場合にこのことに気づいたりすることができるようになる。なお、本実施の形態の有価媒体処理装置1では、複数の集積部の各々に対応してLED等の状態表示部が設ける必要はなく、複数の集積部のうち少なくとも一つの集積部に対して、当該集積部に対応してLED等の状態表示部を設けるようにしてもよい。
【0088】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、全体制御部73は、記憶部74に記憶されている設定情報における紙幣等の有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各集積部42、43に集積されると当該集積部42、43に対応する状態表示部84、86における表示態様を変化させるよう状態表示部84、86を制御するようになっている。具体的には、各集積部42、43に所定の金種毎の枚数の紙幣が集積されると、この集積部42、43に対応する状態表示部84、86が消灯状態から青色に点灯するようになる。このことにより、操作者は各集積部42、43から紙幣等の有価媒体を筐体2の外部に取り出す必要があることに気づくようになる。
【0089】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、全体制御部73は、記憶部74に記憶されている設定情報における紙幣等の有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各集積部42、43に集積されていない状態で当該集積部42、43から有価媒体が取り出されるとこの集積部42、43に対応する状態表示部84、86における表示態様を変化させるよう状態表示部84、86を制御するようになっている。具体的には、各集積部42、43に所定の金種毎の枚数の紙幣が集積される前にこれらの集積部42、43から紙幣が取り出されると、この集積部42、43に対応する状態表示部84、86が消灯状態から赤色に点滅するようになる。このことにより、操作者は各集積部42、43から誤って紙幣等の有価媒体を取り出してしまったことに気づくようになる。
【0090】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、操作者に対して報知を行うための報知部として操作表示部72や図示しないスピーカーが設けられており、全体制御部73は、記憶部74に記憶されている設定情報における紙幣等の有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各集積部42、43に集積されていない状態で当該集積部42、43から有価媒体が取り出されると操作表示部72やスピーカー等の報知部により操作者に対して報知を行うよう当該報知部を制御するようになっている。この場合でも、操作者は各集積部42、43から誤って紙幣等の有価媒体を取り出してしまったことに気づくようになる。
【0091】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置1においては、上述したように、複数の集積部41〜44のうち少なくとも一つの集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)には、当該集積部へのアクセスを規制するため規制部として、第2の集積部42に設けられたシャッタ42sや第3の集積部43に設けられた返却扉6を電磁的にロックする電磁ロック部が設けられており、全体制御部73は、記憶部74に記憶されている設定情報における紙幣等の有価媒体の枚数および種類に相当する有価媒体が各集積部42、43に集積されると電磁ロック部等の規制部による集積部42、43へのアクセスの規制を解除するよう規制部を制御するようになっている。具体的には、各集積部42、43に集積された紙幣の金種毎の枚数が記憶部74に記憶されている設定情報における紙幣の金種毎の枚数に達すると、電磁ロック部によるシャッタ42sや返却扉6のロックが解除され、これらのシャッタ42sや返却扉6が開かれることにより操作者は各集積部42、43にアクセスすることができるようになる。
【0092】
また、この場合、全体制御部73において、規制部により集積部へのアクセスを規制するか否かの設定を行うことができるようになっている。具体的には、有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用を行うか、あるいは電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行うかを操作者が例えば操作表示部72により設定することができるようになっている。このことにより、バッチ処理の内容に合わせて、電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされるような運用を行うか、あるいは電磁ロック部によりシャッタ42sや返却扉6がロックされないような運用が行うかを選択することができるようになり、バッチ処理の作業性を向上させることができる。
【0093】
また、全体制御部73は、規制部によるアクセスの規制が解除された集積部42、43へ紙幣等の有価媒体を送らないとともに、規制部によるアクセスの規制が解除された後に当該規制部により再びアクセスが規制された集積部42、43へ紙幣等の有価媒体を送ることができるよう、搬送分類機構30を制御するようになっている。この場合には、集積部42、43から本来取り出されるべきではない紙幣等の有価媒体が誤ってこれらの集積部42、43から取り出されてしまうことをより確実に防止することができるようになる。
【0094】
なお、本実施の形態による有価媒体処理装置1やこのような有価媒体処理装置1による有価媒体処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0095】
例えば、本発明の有価媒体処理装置1では、複数の集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行う際に、紙幣以外の有価媒体(例えば、商品券)を各集積部42、43に集積させるようになっていてもよい。また、本発明の有価媒体処理装置1においてバッチ処理を行う際に、紙幣および紙幣以外の有価媒体を混合状態で各集積部42、43に集積させるようになっていてもよい。
【0096】
また、本発明では、有価媒体処理装置1に設けられた複数の集積部(例えば、第2の集積部42および第3の集積部43)に集積されるべき紙幣等の有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶する記憶部や、記憶部に記憶されている設定情報に基づいて有価媒体処理装置1において識別部20により識別された有価媒体を各集積部に振り分けるよう搬送分類機構30の制御を行う制御部がそれぞれ有価媒体処理装置1に設けられることに限定されることはない。本発明では、有価媒体処理装置1と、当該有価媒体処理装置1の通信インターフェース部96を介して通信可能に接続された外部機器(例えば、上位の管理コンピュータや、親子接続された他の有価媒体処理装置(親機)、等)とから有価媒体処理システムが構成されており、この有価媒体処理システムに上記の記憶部や制御部が設けられるようになっていてもよい。すなわち、有価媒体処理装置1に設けられた複数の集積部に集積されるべき紙幣等の有価媒体の枚数および種類に係る情報を設定情報として記憶する記憶部や、記憶部に記憶されている設定情報に基づいて有価媒体処理装置1において識別部20により識別された有価媒体を各集積部に振り分けるよう搬送分類機構30の制御を行う制御部が、有価媒体処理装置1ではなく上記の外部機器(例えば、上位の管理コンピュータや、親子接続された他の有価媒体処理装置(親機)、等)に設けられていてもよい。
【0097】
また、本発明の有価媒体処理装置1では、スタッカ部としての第2の集積部42や入金一時保留部としての第3の集積部43に加えて、リジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44を用いることにより、3つの集積部や4つの集積部に紙幣が所定枚数ずつ仕分けられて送られるようなバッチ処理を行うことができるようになっていてもよい。
【0098】
また、本発明の有価媒体処理装置1では、複数の金種の紙幣について複数の集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行う際に、ある集積部に所定の金種毎の枚数の紙幣が集積された場合でも投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙幣の繰出動作を停止させないようにするために、所定の金種毎の枚数を超える紙幣についてはリジェクト紙幣としてリジェクト部としての第1の集積部41や入金一時保留部としての第4の集積部44に送るようにしてもよい。この場合には、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内への紙幣の繰出動作を停止させることなくバッチ処理を行うことができるため、より迅速にバッチ処理を終了させることができるようになる。
【0099】
また、本発明の有価媒体処理装置1では、第2の集積部42や第3の集積部43から紙幣等の有価媒体を取り出すにあたり、シャッタ42sや返却扉6を開閉するのではなく第2の集積部42や第3の集積部43自体を筐体2から手前側に取り外すことができるよういになっていてもよい。この場合には、第2の集積部42や第3の集積部43を筐体2の内部に固定するための電磁ロック部(図示せず)が各集積部42、43に対応して設けられるようになっていてもよい。
【0100】
また、本発明の有価媒体処理装置1では、レジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金を作成するよう複数の集積部(具体的には、第2の集積部42および第3の集積部43)を用いてバッチ処理を行うにあたり、店舗の店番号やレジ釣銭機のレジ番号、あるいは担当者の識別番号毎に、釣銭準備金における紙幣の金種毎の枚数を設定することができるようになっていてもよい。また、朝、昼、夜等の時間帯毎や曜日毎に、釣銭準備金における紙幣の金種毎の枚数を設定することができるようになっていてもよい。
【0101】
また、本発明の有価媒体処理装置1では、紙幣等の有価媒体の入金処理や計数処理、分類処理等を行う際に、スタッカ部としての第2の集積部42や入金一時保留部としての第3の集積部43に集積された有価媒体を筐体2の外部に返却する場合において、電磁ロックによるシャッタ42sや返却扉6のロックを解除するタイミングを集積部42、43毎に設定することができるようになっていてもよい。具体的には、スタッカ部としての第2の集積部42や入金一時保留部としての第3の集積部43に集積された有価媒体を筐体2の外部に返却するにあたり、電磁ロックによるシャッタ42sや返却扉6のロックを同時に解除することができるようになっていてもよく、あるいは電磁ロックによるシャッタ42sや返却扉6のロックの解除を集積部42、43毎に順番に行うようになっていてもよい。このような動作について以下に詳述する。
【0102】
具体的には、本発明の有価媒体処理装置1において紙幣等の有価媒体の入金処理を行う際に、スタッカ部としての第2の集積部42に商品券を集積させるとともに入金一時保留部としての第3の集積部43に紙幣を集積させる場合には、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内に有価媒体が全て繰り出されて各集積部41〜44に集積された後、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われず代わりに返却入力が行われると(図8におけるSTEP11の「NO」)、まず第3の集積部43に対応する返却扉6のロックが解除されてこの第3の集積部43から紙幣を取り出し可能となり、第3の集積部43から紙幣が取り出された後に第2の集積部42に対応するシャッタ42sのロックが解除されてこの第2の集積部42から商品券を取り出し可能となる。この場合には、各集積部42、43から紙幣および商品券を取り出すにあたり、紙幣を取り出すタイミングと商品券を取り出すタイミングとが異なるようになるため紙幣と商品券とが混合してしまうことを防止することができ、また、各集積部42、43からの紙幣や商品券の取り忘れを極力防止することができるようになる。
【0103】
また、本発明の有価媒体処理装置1において紙幣等の有価媒体の入金処理を行う際に、スタッカ部としての第2の集積部42に商品券を集積させるとともに入金一時保留部としての第3の集積部43に紙幣を集積させる場合においてこれらの商品券や紙幣の管理元が異なるときには、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内に有価媒体が全て繰り出されて各集積部41〜44に集積された後、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われず代わりに返却入力が行われると(図8におけるSTEP11の「NO」)、まず第3の集積部43に対応する返却扉6のロックが解除されてこの第3の集積部43から紙幣を取り出し可能となり、操作者により返却扉6が閉じられて電磁ロック部によりこの返却扉6が電磁的にロックされた後に第2の集積部42に対応するシャッタ42sのロックが解除されてこの第2の集積部42から商品券を取り出し可能となる。この場合には、第2の集積部42に集積される商品券と、第3の集積部43に集積される紙幣との管理元が異なるため、無条件にシャッタ42sや返却扉6が開かれると管理元が異なる操作者により各集積部42、43から紙幣や商品券が誤って取り出されてしまうおそれがある。このため、第3の集積部43から紙幣が取り出され、この第3の集積部43に設けられた返却扉6が閉じられて電磁ロック部によりこの返却扉6が電磁的にロックされた後に、別の管理元の操作者が保有するICカードをICカードリーダ71によって読み取らせることによりシャッタ42sのロックを解除するようにしている。このことにより、各集積部42、43に集積される紙幣や商品券をより厳重に管理することができるようになる。
【0104】
また、本発明の有価媒体処理装置1において商品券の入金処理を行う際に、スタッカ部としての第2の集積部42および入金一時保留部としての第3の集積部43に商品券を選別して集積させる場合には、投入部10から有価媒体処理装置1の機体内に商品券が全て繰り出されて各集積部41〜44に集積された後、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われず代わりに返却入力が行われると(図8におけるSTEP11の「NO」)、まず第2の集積部42に対応するシャッタ42sのロックが解除されてこの第2の集積部42から商品券が取り出し可能となり、このシャッタ42sのロックが解除されてから所定時間が経過すると第3の集積部43に対応する返却扉6のロックが解除されてこの第3の集積部43から紙幣が取り出し可能となる。この場合には、各集積部42、43から商品券を取り出すにあたり、各集積部42、43には商品券が選別されて集積されているに過ぎないため各集積部42、43から取り出された商品券が混合してしまっても特段の問題はないが、第2の集積部42に対応するシャッタ42sのロックが解除されてから所定時間が経過した後に第3の集積部43に対応する返却扉6のロックを解除することによって各集積部42、43から商品券をテンポ良く取り出すことができるようになる。
【0105】
このように、本発明の有価媒体処理装置1において、シャッタ42sや返却扉6のロックを行う電磁ロック部等の規制部による集積部42、43へのアクセスの規制を解除するタイミングを集積部42、43毎に設定することができるようになっている場合には、各集積部42、43からの有価媒体の返却のタイミングを操作者のニーズに合わせて設定することができるようになる。具体的には、規制部による集積部42、43へのアクセスの規制を同時に解除することができるようにした場合には、すなわち電磁ロックによるシャッタ42sや返却扉6のロックを同時に解除することができるようにした場合には、各集積部42、43から紙幣等の有価媒体を迅速に取り出すことができるようになる。一方、規制部による集積部42、43へのアクセスの規制を集積部42、43毎に順番に行うようにした場合には、各集積部42、43から取り出された有価媒体が混合してしまうことを防止することができるようになる。
【符号の説明】
【0106】
1 有価媒体処理装置
2 筐体
4 下部扉
6 返却扉
8 回動部
10 投入部
20 識別部
30 搬送分類機構
31〜33 切換機構
35 搬送ベルト機構
36 紙葉類制御部
41 第1の集積部
42 第2の集積部
42s シャッタ
43 第3の集積部
44 第4の集積部
53、54 紙葉類収納部
63、64 ロック機構
65 ロック制御部
70 ターミナル
71 ICカードリーダ
72 操作表示部
73 全体制御部
74 記憶部
75 印刷部
80、82、84、86 状態表示部
95 プリンタ装置
96 通信インターフェース部
110 硬貨投入部
120 硬貨識別部
130 硬貨搬送分類機構
136 硬貨制御部
141 第1の硬貨集積部
142 第2の硬貨集積部
143 第3の硬貨集積部
144、145 硬貨返却箱
152、153 硬貨収納部
162、163、165 ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8