(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酒類が充填された瓶に蝶結びの装飾を自動で施す蝶結びを施す紐結び装置が求められている。かかる紐結び装置を実現するにあたっては、機械の動作をシンプルなものとし、高速で蝶結びを形成できるようにすることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、シンプルな動作により高速で蝶結びを自動形成することができる紐結び装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、以下の技術手段により実現される。
[1]柱状部材(104)と、上方または下方に開口し、垂直往復移動する把持爪を有する第一の把持具と、第一の把持具と衝突しない水平高さに配置され、第一の把持具と天地反対方向に開口し、垂直往復移動する把持爪を有する第二の把持具と、柱状部材の左側手前に位置する第一の把持具を斜め右方向に進出および後退移動させる第一の把持具スライド機構と、柱状部材の右側手前に位置する第二の把持具を斜め左方向に進出および後退移動させる第二の把持具スライド機構と、一対の張架用把持具(88,89)と、一対の張架用把持具をスライド動作させる一対の張架用スライド機構と、を備えた紐結び装置であって、柱状部材には、紐Sが少なくとも1周巻回され、紐Sが一対の張架用把持具により左右に引っ張られた状態にあり、第一の把持具スライド機構により第一の把持具を先端部に紐Sがかかった状態で斜め右方向に進出移動させ、第二の把持具スライド機構により先端部に紐Sがかかった状態で第二の把持具を斜め左方向に進出移動させ、柱状部材の奥側で第一の把持具と第二の把持具とを交差させることにより紐Sで交差する二つのループを形成し、第一の把持具の把持爪により第二の把持具の奥側の側部付近にある紐Sを把持し、第二の把持具の把持爪により第一の把持具の奥側の側部付近にある紐Sを把持し、第二の把持具により形成された紐Sのループから紐Sの端部が抜け出ないように第一の把持具スライド機構により第一の把持具を後退移動させ、第一の把持具により形成された紐Sのループから紐Sの端部が抜け出ないように第二の把持具スライド機構により第二の把持具を後退移動させることにより蝶固結びを自動形成する紐結び装置。
[2]前記第一および第二の把持具が、先端部に紐Sをガイドする凹部を有し、前記第一および第二の把持具の奥側に配置された、前記第一および第二の把持具と協働して紐Sの水平位置を保持する第一および第二のガイドを備えることを特徴とする[1]に記載の紐結び装置。
[3]前記柱状部材が、筒状部材が挿入される穴を有し、
前記柱状部材に巻回された紐Sを、前記第一および第二の把持具の間に配置された筒状部材に
受け渡すことで、前記蝶固結びを前記筒状部材に自動形成することを特徴とする[2]に記載の紐結び装置。
[4]前記第一および第二の把持具の間に配置された、開口側から奥側に向けて幅細となる溝を有し、紐Sの水平位置を規定する水平位置規定具と、水平位置規定具を前記第一および第二の把持具と直交する方向に進出および後退移動させる水平位置規定具用スライド機構と、前記第一および第二の把持具の間に配置された、筒状部材に当接して位置を固定する当接固定具と、当接固定具を前記第一および第二の把持具と直交する方向に進出および後退移動させる当接固定具用スライド機構と、を備えることを特徴とする[3]に記載の紐結び装置。
[5]柱状部材(103)と、上方または下方に開口し、垂直往復移動する把持爪を有する第一の把持具と、第一の把持具と衝突しない水平高さに配置され、第一の把持具と天地反対方向に開口し、垂直往復移動する把持爪を有する第二の把持具と、柱状部材の左側手前に位置する第一の把持具を斜め右方向に進出および後退移動させる第一の把持具スライド機構と、柱状部材の右側手前に位置する第二の把持具を斜め左方向に進出および後退移動させる第二の把持具スライド機構と、一対の張架用把持具(36,37)と、一対の張架用把持具をスライド動作させる一対の張架用スライド機構と、を備えた紐結び装置であって、柱状部材には、紐Sが少なくとも1周巻回され、紐Sが一対の張架用把持具により左右に引っ張られた状態にあり、第一の把持具スライド機構により第一の把持具を先端部に紐Sがかかった状態で斜め右方向に進出移動させ、第二の把持具スライド機構により先端部に紐Sがかかった状態で第二の把持具を斜め左方向に進出移動させ、柱状部材の奥側で第一の把持具と第二の把持具とを交差させることにより紐Sで交差する二つのループを形成し、第一の把持具の把持爪により第二の把持具の奥側の側部付近にある紐Sを把持し、第二の把持具の把持爪により第一の把持具の奥側の側部付近にある紐Sを把持し、第二の把持具により形成された紐Sのループから紐Sの端部が抜け出るまで第一の把持具スライド機構により第一の把持具を後退移動させ、第一の把持具により形成された紐Sのループから紐Sの端部が抜け出るまで第二の把持具スライド機構により第二の把持具を後退移動させることにより固結びを自動形成する紐結び装置。
[6]前記第一および第二の把持具が、板状の本体と、本体の奥側側面から先端部にかけて設けられた支持部材とを備えて構成され、支持部材が、側面に設けられた紐Sをガイドする凹部と、把持爪と同じ側に開口する紐Sをガイドする溝と、把持爪が配置される穴と、把持爪を回動する回動装置を備えることを特徴とする[5]に記載の紐結び装置。
[7
]前記第一および第二の把持具の奥側に配置さ
れ、前記第一および第二の把持具と協働して紐Sの水平位置を保持する第一および第二のガイドを備えることを特徴とする[6]に記載の紐結び装置。
【0008】
[8][1]ないし[4]のいずれかに記載の紐結び装置からなる蝶固結び装置と、[5]ないし[7]のいずれかに記載の紐結び装置からなる固結び装置と、を備えた蝶結び装置であって、固結び装置により固結びを自動形成し、蝶固結び装置により蝶固結びを自動形成する蝶結び装置。
[9]垂直往復移動する一対のローラ(22,23)と、一対のローラ(22,23)の間に配置され、垂直往復移動および回動が可能な柱状部材(101)と、一対の張架用把持具(24,25)と、一対の張架用把持具(24,25)をスライド動作させる一対の張架用スライド機構と、を備えてなる巻回装置を備え、巻回装置により柱状部材(101)に紐Sを1周巻回することを特徴とする[8]に記載の蝶結び装置。
[10][1]ないし[4]のいずれかに記載の紐結び装置を用いて蝶固結びを自動形成する紐結び方法。
[11][5]ないし[7]のいずれかに記載の紐結び装置を用いて固結びを自動形成する紐結び方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シンプルな動作により高速で固結びおよび/または蝶固結びを自動形成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の紐結び装置は、筒状部材に紐を1周巻回し、固結びおよび蝶固結びを自動形成することが可能である。ここにいう「筒状部材」には、同径の筒や柱のみならずテーパーや肩部が形成されたものも含まれ、例えば、日本酒、焼酎、ウィスキーなどの酒類、飲料、および、調味料の容器(一升瓶、ガラス製瓶、樹脂製容器等)も含まれる。
以下では、一升瓶の上方先細り部に蝶結びを自動で行う蝶結び装置の実施形態例を説明する。
【0012】
[蝶結び装置]
図1に示すように、実施形態例に係る蝶結び装置1は、搬入ユニット10と、巻回ユニット20と、固結びユニット30と、蝶固結びユニット40と、搬出ユニット50とを備えている。実施形態例で用いる紐Sは、断面が略円形であり、伸縮性のある紐である。
【0013】
搬入ユニット10には、紐Sと瓶Jとが投入される。投入された紐Sは巻回ユニット20の把持チャック24,25に受け渡される。投入された瓶Jは、コンベア等の搬送手段により蝶固結びユニット40へ搬送され、蝶固結びユニット40で蝶固結びが施され、搬出ユニット50により搬出される。
【0014】
巻回ユニット20では、巻回用柱101に紐Sが1周巻回される。巻回用柱101に形成された紐Sの1周巻回部は、受渡用柱102に受け渡される。受渡用柱102に受け渡された紐Sの1周巻回部は、固結びユニット30の固結用柱103に受け渡され、紐Sの両端部は把持チャック24,25から把持チャック36,37に受け渡される。
固結びユニット30では、固結用柱103に受け渡された紐Sの1周巻回部に固結びが施され、紐Sの両端部は把持チャック36,37から把持チャック313,323に受け渡される。固結用柱103に形成された紐Sの固結び部は、蝶固結びユニット40の受渡用柱104に受け渡され、紐Sの両端部は把持チャック313,323から把持チャック88,89に受け渡される。
【0015】
蝶固結びユニット40では、中空の受渡用柱104に瓶Jの先端が挿入され、固結び部が瓶Jの上方テーパー部に受け渡され、瓶Jの上方テーパー部で蝶固結びが施されることにより、蝶結びの装飾が完成する。
以上の作業は、プロセッサと制御プログラムが記憶された記憶装置を備える制御装置(図示せず)により自動制御される。
【0016】
<固結び・蝶固結び方法>
固結び・蝶固結びを行うための手法について説明する。上記で定義したとおり、「蝶固結び」の用語は、固結びを含まない蝶結びのことを言うものとする。
実施形態例では、
図10に示すハート類似の形状(以下、「ハート類似形」という。)を作成し、点線で囲んだAの箇所を掴んで下方に引っ張ると共に、点線で囲んだBの箇所を掴んで上方に引っ張る動作を、端部94,95がループ91,92から抜けるまで行うことで固結びを行う。
蝶固結びを行う場合もハート類似形を作成し、点線で囲んだAの箇所を掴んで下方に引っ張ると共に、点線で囲んだBの箇所を掴んで上方に引っ張る動作を行うが、端部94,95がループ91,92から抜けないようにすることで蝶固結びを行う。
【0017】
以下では、巻回ユニット20、固結びユニット30および蝶固結びユニット40について詳細に説明する。搬入ユニット10および搬出ユニット50については、通常の技術者であれば公知のコンベア等の搬送手段と公知のプッシャー等の移送手段を組み合わせることで容易に実現することが可能であるので、説明を割愛する。なお、巻回ユニット20は、実施形態例とは異なる方法で筒状部材に紐を巻回する機構を備えたユニットに置き換え可能である。
【0018】
[A]巻回ユニット
<構成>
巻回ユニット20では、巻回用柱101に紐Sを1周巻回し、1周巻回した紐Sを受渡用柱102へ受け渡す。
図2に示すように、巻回ユニット20は、ヘッド部21と、支持ローラ22,23と、把持チャック24,25とを備えている。
ヘッド部21は、紐Sが1周巻回される巻回用柱101を備えている。巻回用柱101は中空の筒状部材であってもよい。ヘッド部21は、
図3に示すように、シャフト211の一端と接続されており、シャフト211の他端と接続されているモータ220によりZ方向(垂直方向)に往復移動される。シャフト211には、ギア212が取り付けられており、回転アクチュエータ230と接合されたギア231を介して、シャフト211およびヘッド部21をZ軸を中心軸として旋回させることが可能である。
巻回用柱101は、側周面にU字形環状溝101aが形成されており、ヘッド部21と共に上昇移動し巻回用柱101の上端部が紐Sに当接すると環状溝101aに沿って紐Sが引っかかるようになっている。
【0019】
支持ローラ22,23は、巻回用柱101が水平に張られた紐Sをすくい上げる際に、巻回用柱101の両側に位置する部分の紐Sの上昇を阻止するよう作用する。支持ローラ22,23の側週面にもU字形環状溝22a,23aが形成されている。支持ローラ22,23は、アクチュエータ26,27とそれぞれ接続されており、Z方向に往復移動される。支持ローラ22,23の直下には、後述する水平方向(Y方向)に張架された紐Sが位置しており、支持ローラ22,23の最下方位置(Z方向が
図2と同じ位置)では、支持ローラの溝22a,23aが紐Sに当接した状態となる。
【0020】
把持チャック24,25は、搬入ユニット10から紐Sを受け取り、紐Sの両端部を把持して水平方向(Y方向)に真っ直ぐな状態で張架する。把持チャック24,25は、図示しないスライド機構と接続されており、X方向に往復移動することが可能である。
【0021】
ベース28には、スライドベース221がZ方向に敷設されている。スライドベース221上に配設されたスライダー222は、モータ220によりZ方向に位置決めされる。モータ220は、例えばリニアモータ、スライドベース221は、例えばリニアモータ用マグネットおよび直動ガイドにより構成される。但し、スライドベースとスライダーとの組み合わせは、この構成に限定されず、例えば、スライドベースにモータとモータに連動して回転するボールねじを備え、スライダーにボールねじの回転に連動して直進移動するナットを備える構成としてもよい。ベース28と連結された支持板281には、回転アクチュエータ230が配設される。
ベース28は、図示しないスライド機構によりX方向に往復移動され、進出位置(
図2の紙面手前側)において、張架された紐Sの直下に巻回用筒の溝101aが位置する。図示しないスライド機構は、アクチュエータと、スライダー222と同様のスライダーと、スライドベース221と同様のスライドベースにより構成される。以下で現れる図示しないスライド機構も同様である。
【0022】
<動作>
巻回ユニット20による巻回用柱101への紐Sの一周巻回は次のように行われる。以下では説明の便宜上、X負方向を正面、X正方向を背面という場合がある。
(A1)支持ローラ22,23の直下で、把持チャック24,25により水平方向(Y方向)に紐Sが張架される。このとき、ヘッド部21は、巻回用柱101の下端が支持ローラ22,23の上端よりも上方に位置する最上方位置にあり、かつ、巻回用筒の溝101aが支持ローラの溝22a,23aよりも背面側に位置する最後退位置(X方向が
図3と同じ位置)にある。ヘッド部21は巻回用柱101の背面側に位置している(
図2および
図3参照)。支持ローラ22,23も最上方位置に位置している。
【0023】
(A2)アクチュエータ26,27を駆動して、支持ローラ22,23を最下方位置(Z方向が
図2と同じ位置)に移動する。この最下方位置では、支持ローラの溝22a,23aが紐Sに当接した状態となる。また、モータ220を駆動して、ヘッド部21を、巻回用柱101の上端が支持ローラ22,23の下端よりも下方に位置する最下方位置(Z方向が
図2と同じ位置)に移動する。続いて、巻回用筒の溝101aが紐Sの直下に位置するまで、ヘッド部21が正面側に移動する。
【0024】
(A3)モータ220を駆動して、ヘッド部21を、巻回用柱101の下端が支持ローラ22,23の上端よりも上方に位置する最上方位置に移動する。この移動により、巻回用筒の溝101aの上半部に紐Sが巻き付いた状態となる。把持チャック24,25は、図示しないスライド機構により、紐Sが巻回用柱101により引っ張られる分だけ、巻回用柱101に近く付く方向に移動することで、適切なテンションで紐Sを張架し続ける。
(A4)回転アクチュエータ230を駆動して、ヘッド部21を、シャフト211を回転軸として180°回転する。これにより、ヘッド部21は巻回用柱101の正面側に位置するようになり、ヘッド部21の直下では紐Sが交差した状態となる。
【0025】
(A5)モータ220を駆動して、ヘッド部21を、巻回用柱101の下端が張架された紐Sと同じ高さに位置するまで移動する。把持チャック24,25は、図示しないスライド機構により、紐Sが巻回用柱101の下降により緩まる分だけ、巻回用柱101から遠ざかる方向に移動することで、適切なテンションで紐Sを張架し続ける。
以上の動作により、巻回用柱101への1周巻回が完成する。
図11に巻回用柱101へ1周巻回をした状態を示す(a)平面図および(b)斜視図を示す。
【0026】
(A6)巻回用柱101と同径の受渡用柱102が、スライド機構(図示せず)により正面側に移動され、巻回用柱101と当接する(巻回用柱101と受渡用柱102が、あたかも一本の円柱を構成した状態となる。)。巻回用柱101の正面側には、巻回用柱101より一回り大きい環状の押出爪を有した押出装置(図示せず)が配置されており、その押出爪が背面側に進出移動することにより、巻回用柱101に巻回された紐Sが受渡用柱102に受け渡される。紐Sが巻回された受渡用柱102は、スライド機構(図示せず)により背面側に移動され、固結びユニット30の固結用柱103に紐Sが受け渡される。
【0027】
[B]固結びユニット
<構成>
固結びユニット30は、受渡用柱102から1周巻回された紐Sを固結用柱103に受け取り、固結びを1回施す。
図4に示すように、固結びユニット30は、第一および第二の大把持具31,32と、爪駆動装置33,34と、固結用柱103とを備えている。
第一および第二の大把持具31,32は、図示しないスライド機構によって往復移動し、進出位置においてX字形に交差することで固結びをするために必要な二つループを紐Sに形成する。
図5に示すように、第一および第二の大把持具31,32は、天地対称に配置されており、第一の大把持具31が上、第二の大把持具32が下となる位置関係にある。このような位置関係にあるため、第一および第二の大把持具31,32は、それらの進出移動時に衝突することなく、X字形に交差する(
図13(b)参照)。
【0028】
第一の大把持具の本体311および第二の大把持具の本体321の側面には、紐SをガイドするU字形溝が設けられた支持部材312,322が設けられている。支持部材312,322は、側面に字形溝が設けられた第一のガイド38および第二のガイド39と協働して紐Sが水平位置を保持するように作用する(詳細は
図13(b)を参照しながら後述する)。
図6に示すように、支持部材312,322は、本体311,321のX負方向側側面から先端部にまで設けられている。
図4に示すように、支持部材322は上方に突出する円弧状部を有しており、この円弧状部には紐Sを誘導するための溝324が設けられている。支持部材312も下方に突出する円弧状部を有しており、この円弧状部には紐Sを誘導するための溝314(図示せず)が設けられている。
【0029】
第一および第二の大把持具31,32は、本体311,321の先端部に設けられた貫通孔に挿入された第一および第二の大把持爪313,323を備えている。第一および第二の大把持爪313,323は、図示しないアクチュエータにより、本体311,321の先端部に設けられた貫通孔内で往復移動をして紐Sを把持し、図示しない回動装置(例えば、モータ)により回動する。第二の大把持爪323は、2つの爪323a,323bを備えており(
図4参照)、第一の大把持爪313も同様に2つの爪313a,313bを備えている。第一の大把持爪313は爪駆動装置33により開閉され、第二の大把持爪323は爪駆動装置34により開閉される。
【0030】
第一および第二の大把持具31,32の間には、固結用柱103と、環状部材351と、挿通孔352とを有するベース35が配置されている。固結用柱103は中空の筒状部材であってもよい。環状部材351には、8個の挿通孔352が設けられている。固結用柱103から固結びされた紐Sを受渡用柱104に受け渡す際には、挿通孔352から上方に向かって押出棒が突出され、受け渡しが行われる。
【0031】
<動作>
固結びユニット30による固結用柱103への紐Sの固結びは次のように行われる。
(B1)固結用柱103には、紐Sが一周巻回され(
図11参照)、把持チャック36,37により水平方向(Y方向)に紐Sが張架された状態にある。
図13(a)に示すように、第一および第二の大把持具31,32は、本体311,321の先端のX方向位置が紐Sと同一となる最後退位置にある。
【0032】
(B2)
図13(b)に示すように、第一の大把持具31を進出移動させて左ループ91を作成し、第二の大把持具32を進出移動させて右ループ92を作成する。ここで、第一の大把持具31と第二の大把持具32の移動は、二つのスライド機構(図示せず)により相互に交差するように斜め方向(319,329)に(すなわち、第一の大把持具31をX・Y負方向に、第二の大把持具32をX負方向・Y正方向に)進出移動させることで行われる。
把持チャック36,37(
図13(b)(c)では図示省略)は、図示しないスライド機構により、紐Sが大把持具31,32により引っ張られる分だけ、固結用柱103に近づく方向に移動することで、適切なテンションで紐Sを張架し続ける。また、紐Sは、第一のガイド37の側面に設けられたU字形溝、支持部材312の側面に設けられたU字形溝、第二のガイド38の側面に設けられたU字形溝および支持部材322の側面に設けられたU字形溝により水平位置を保持される。
以上の動作により、ハート類似形が形成される。
【0033】
(B3)ハート類似形が形成されると、第二の大把持爪323が上昇して紐SのAの箇所を掴み、第一の大把持爪313が下降して紐SのBの箇所を掴む。
(B4)
図13(c)に示すように、第一の大把持具31と第二の大把持具32を、スライド機構(図示せず)により斜め方向(319,329)に後退移動させる。大把持具31,32の後退移動は、溝314,324および紐Sが固結用柱103のX負方向側端部に揃う位置となるまで行われる。この位置関係とすることで、紐Sの端部94,95が左右のループ91,92から抜け、第一および第二の大把持爪313,323に掴まれた紐Sにテンションがかかる。
以上の動作により、固結用柱103への固結びが完成する。
図12に固結用柱103へ固結びをした状態を示す(a)平面図および(b)斜視図を示す。
固結用柱103に固結びされた紐Sは、挿通孔352から上方に向かって押出棒が突出することで、蝶固結びユニット40の受渡用柱104に受け渡される。
【0034】
[C]蝶固結びユニット
<構成>
蝶固結びユニット40では、受渡用柱104から、1周巻回および固結びが施された紐Sを瓶Jに受け取り、蝶固結びを1回施す。
図7に示すように、蝶固結びユニット40は、第一および第二の小把持具51,52と、第一および第二の押具71,72と、第一および第二の水平位置規定具81,82とを備えている。
【0035】
第一および第二の小把持具51,52は、図示しないスライド機構によって往復移動し、進出位置でX字形に交差することで蝶固結びをするために必要な二つのループ91,92を紐Sに形成する。第一および第二の小把持具51,52は、進出移動時には、第一および第二のアクチュエータ53,54に接続されたローラ531,541によってX負方向に押され一定角度回動した状態にある。
【0036】
図8に示すように、第一および第二の小把持具51,52は、天地対称に配置されており、第一の小把持具51が下、第二の大把持具52が上となる位置関係にある。このような位置関係にあるため、第一および第二の大把持具51,52は、それらの進出移動時に衝突することなく、X字形に交差する(
図14(c)参照)。
【0037】
第一の小把持具51はベース55に連結されたアーム510を、第二の小把持具52はベース56に連結されたアーム520を有している。アーム510はベース55に連結された第一のアクチュエータ53に接続されたローラ531によりX負方向に押されて回動し、アーム520はベース56に連結された第二のアクチュエータ54に接続されたローラ541によりX負方向に押されて回動する。第一および第二の小把持具51,52の進出移動時には、第一および第二のアクチュエータ53,54を駆動して一定角度回動した状態とする。
アーム510の上面には、Y方向に可動する把持爪512と先端付近に固定された把持爪513が設けられており、アーム520の下面には、Y方向に可動する把持爪522と先端付近に固定された把持爪523が設けられている。把持爪512はアクチュエータ514により、把持爪513はアクチュエータ524より往復移動され、把持溝511,521に位置する紐Sを把持したり開放したりすることができる。把持爪512,522の先端はX方向に対して角度を持って形成されており、押具71,72による押し込み時に押具爪71a,72aと把持爪512,522の先端とが略平行になるように構成されている。
【0038】
把持爪513,523は、円錐台形状をしており、直径の狭い方の円形面がアーム510,520に固設されている。把持爪513,523は、把持爪として機能するだけでなく、紐Sのループ91,92を形成する際の支持部材としても機能する。すなわち、第一および第二の小把持具51,52の進出移動時には、把持爪513,523の先端側の周面とアーム510,520とで構成する凹部は紐Sを支持する作用(紐Sをガイドする溝としての作用)を奏する。
ベース55,56には、連結具63,64を介してガイド61,62が連結されている。ガイド61,62はU字形の溝が側周面に形成されたローラであり、アクチュエータ65,66によりX方向に往復移動する。ガイド61,62は把持爪512,522と協働して紐Sが水平位置を保持するように作用する(詳細は
図14(b)を参照しながら後述する)。
【0039】
第一および第二の押具71,72は、第一および第二の小把持具51,52のX負方向側に位置し、かつ、Y方向位置は第一および第二の小把持具51,52の間に位置する。第一および第二の押具71,72は、アクチュエータ73,74が接続され、Z方向に往復移動する(
図8参照)。第一および第二の小把持具51,52が最進出位置でX字形に交差すると、
図10に示す紐SのA部分が溝511の真上に位置する状態となるので第一の押具71が下方に移動して押具爪71aでAの部分を溝511に押し込み、紐SのB部分が溝521の真下に位置する状態となるので第一の押具72が上方に移動して押具爪72aでBの部分を溝521に押し込む。
【0040】
第一および第二の水平位置規定具81,82は、小把持具51,52の間に対向して配置された一対の板状部材である。
図9に示すように、第一および第二の水平位置規定具81,82は、開口側(X正方向側)が広く奥側に行く程狭くなる切欠き溝81a,82aが設けられている。切欠き溝の最奥部81b,82bは紐Sより僅かに広い幅となっており、紐SのZ方向(高さ方向)の位置決めをするよう作用する。第一および第二の水平位置規定具81,82は、アクチュエータ87によってX方向に往復移動することができ、X負方向に進出することで、Y方向に張架された紐Sを切欠き溝最奥部81b,82bに誘導する。切欠き溝最奥部81b,82bに誘導された紐Sは、Z方向への移動が制限される。
【0041】
第一および第二の水平位置規定具81,82の間には、当接固定具83,84が配置されている。当接固定具83,84は、固定板85を介してアクチュエータ86と連結された一つのゴム製ローラからなり、X方向に往復移動される。当接固定具83,84は、瓶Jの上方テーパー部に当接可能な高さに配置しており、X負方向に進出移動した際に、瓶Jが動かないように固定する。
把持チャック88,89は、固結びユニット30の把持チャック313,323から紐Sの把持部を受け取り、紐Sを把持してY方向に張架する(
図14(b)参照)。
【0042】
<動作>
蝶固結びユニット40による瓶Jへの紐Sの蝶結びは次のように行われる。
(C1)瓶Jには、紐Sが一周巻回され、さらに固結びが一回された状態にあり(
図12参照)、把持チャック88,89により水平方向(Y方向)に紐Sが張架された状態にある。
図14(a)に示すように、第一および第二の小把持具51,52は、紐Sに対し平行であり、アーム510,520のX方向位置が第一および第二の水平位置規定具81,82の端部と同一となる最後退位置にある。
【0043】
(C2)
図14(b)に示すように、アクチュエータ53,54を駆動することで第一および第二の小把持具51,52をX負方向に所定の角度回動させて、紐Sを把持爪513,523に当接させ、紐Sが上面視M字形となるようにする。この際、紐Sは、左側で第一のガイド61と把持爪512に支持され、右側で第二のガイド62と把持爪522に支持されているので、水平方向の位置が保持される。
把持チャック88,89(
図14(b)(c)では図示省略)は、図示しないスライド機構により、紐Sが第一および第二の小把持具51,52により引っ張られる分だけ、瓶Jに近づく方向に移動することで、適切なテンションで紐Sを張架し続ける。
【0044】
(C3)
図14(c)に示すように、第一の小把持具51と第二の小把持具52とを相互に交差するようにY方向に(すなわち、第一の小把持具51をY正方向に、第二の小把持具52をY負方向に)進出移動させる。
以上の動作により、左ループ91および右ループ92を、固結びを行う場合よりも小さく(小径と)したハート類似形が形成される。
【0045】
(C4)ハート類似形が形成されると、第一の押具71が下降して第一の小把持具の把持溝511に紐SのAの箇所を押し込み、第二の押具72が上昇して第二の小把持具の把持溝521に紐SのBの箇所を押し込む。続いて、第一の小把持具の把持爪512が把持爪513側に向かって進出移動し、把持溝511に押し込まれた紐SのAの箇所を掴み、第二の小把持具の把持爪522が把持爪523側に向かって進出移動し、把持溝521に押し込まれた紐SのBの箇所を掴む。
【0046】
(C5)把持チャック88,89が把持していた紐Sを放す。続いて、アクチュエータ65,66を駆動して第一および第二のガイド61,62をX負方向に後退させ、紐Sの水平保持を解除する。続いて、第一の押具71が上昇し、第二の押具72が下降して、紐Sの押し込みを解除する。
(C6)図示しないスライド機構を駆動して、第一の小把持具51はY負方向に、第二の小把持具52はY正方向に後退移動する。この際、第一および第二のアクチュエータ53,54を縮退動作させてローラ531,541による押圧を解除し、第一および第二の把持具51,52を逆方向に回動させる。この第一および第二の把持具51,52の複合動作により、ループ91,92が保持されたままAおよびBの箇所を掴まれた紐Sにテンションがかかり、蝶結びができる。
【0047】
(C7)さらに第一の小把持具51がY負方向に、第二の小把持具52がY正方向に後退移動を続け、左右ループ91,92の大きさを調整する。
以上の動作により、瓶Jへの蝶結びの装飾が完成する。
【0048】
以上に説明した本実施形態例の蝶結び装置1によれば、X、YまたはZ方向の往復動作の組み合わせからなるシンプルな動作により高速で蝶結びを自動形成することができる。換言すれば、本実施形態例の蝶結び装置1は、人の指の動作を機械に模倣させるのではなく、機械の得意とする直線的な組み合わせにより蝶結びを自動形成する新たな蝶結び方法を提供するものである。
【0049】
以上、本開示にて実施形態を単に例示として詳細に説明したが、本発明の新規な教示及び有利な効果から実質的に逸脱せずに、その実施の形態には多くの改変例が可能である。