特許第6587512号(P6587512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587512
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20191001BHJP
   F24H 1/14 20060101ALI20191001BHJP
   F24H 1/10 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   F24H1/00 602Z
   F24H1/14 B
   F24H1/10 302D
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-219037(P2015-219037)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-89954(P2017-89954A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年9月11日から平成27年11月9日までの間に株式会社パロマにて製品を出荷・販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森元 慎吾
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−356398(JP,A)
【文献】 特開2014−219127(JP,A)
【文献】 特開2014−9883(JP,A)
【文献】 特開2001−116359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/10
F24H 1/14
F24D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から導入される水を通す通水管と、
燃焼ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の途中に設けられ、前記通水管の内部を通る水に前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
前記通水管より分岐するとともに浴槽に連通し、前記通水管を通って前記熱交換器で加熱された水を浴槽に導く連通管と、
前記通水管における前記熱交換器よりも上流側の位置に設けられ、前記通水管を通る水の温度を検出する水温検出部と、
前記通水管を流れる水の量を検出する水量検出部と、
前記通水管における前記連通管の分岐部位よりも下流側に設けられ、前記分岐部位よりも下流側での通水の有無を検出する通水検出部と、
前記通水管を流れる通水量を調整する水量調整部と、
前記バーナへのガス量を調整するガス量調整部と、
前記水量調整部及び前記ガス量調整部を制御する制御部と、
前記制御部と通信可能に構成され、少なくとも設定温度を指示する入力操作と、所定の省エネルギーモードを指示する入力操作と、浴槽への自動湯張りを指示する入力操作とに用いられる1又は複数の操作部を備えたリモートコントローラと、
を有し、
前記制御部は、
前記リモートコントローラによって前記省エネルギーモードが指示されていない所定の通常モードでは、前記水温検出部での検出水温と、前記水量検出部での検出水量と、前記リモートコントローラで設定された前記設定温度とに基づいて、出湯温度が前記設定温度に近づくように前記ガス量調整部を制御し、
前記リモートコントローラの前記操作部に対し前記省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合、前記水温検出部での検出水温と、前記リモートコントローラで設定された前記設定温度とに基づいて前記通常モードのときよりも前記通水管を流れる通水量を絞るように前記水量調整部を制御する絞り制御と、出湯温度が前記設定温度に近づくように前記ガス量調整部を制御するガス量制御とを含んだ省エネルギー制御を行い、
前記リモートコントローラの前記操作部に対し前記自動湯張りを指示する入力操作がなされた場合、前記連通管を通じて前記浴槽へと前記設定温度の湯を所定量落とし込む自動落とし込み制御を行い、
前記省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合において前記自動湯張りを指示する入力操作に応じた前記自動落とし込み制御が実行されている場合、前記自動落とし込み制御が終了するまでの間、前記省エネルギー制御を中断し、
前記省エネルギー制御を中断している状態で前記自動落とし込み制御が終了した場合において、前記通水検出部によって通水が検出されている場合には、前記自動落とし込み制御の終了後も前記省エネルギー制御の中断状態を継続する給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記自動落とし込み制御の終了後まで前記省エネルギー制御の中断状態を継続した場合、前記通水検出部によって通水が検出されなくなることを条件として前記省エネルギー制御の中断を解除する請求項1に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から提案されている給湯装置の一つとして、予め定められた多段階の省エネルギーレベルの中からいずれかのレベルを選択できるようにした装置が存在する。例えば特許文献1で開示される給湯装置では、省エネルギーレベルが設定された場合、給湯流量がレベルに応じた割合に制限されるようになっている。この構成では、省エネルギーレベルが設定されると、通常モードと比較して給湯流量が制限され、通水管内を通る水の量が減少するため、水温を上昇させるために必要となるガス量が通常モードよりも抑えられる。このようなガス量の抑制により、一定の省エネルギー効果が得られることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−112669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような省エネルギー制御を行うと、例えば給湯時にユーザが無意識に出湯量を増大させてしまうようなことが抑えられ、水量やガス量の節約が図られる。しかし、このような省エネルギー制御は、浴槽へ自動湯張りを行うような場合には適さない。
【0005】
浴槽へ所定量の湯水を所定温度で湯張りする場合、浴槽に落とし込む水量は同じであるため、給湯流量を絞ってしまうと湯張りが完了するまでの時間が増大するだけとなってしまい、水量の抑制という面では効果が無い。しかも、湯張りの完了までに時間がかかってしまうため、放熱による損失の増大を招き易く、ガスエネルギーの抑制という面でも効果が低い。このため、浴槽への自動湯張りを行う場合には、湯張りが完了するまでの間、上述した省エネルギー制御を一時的に停止し、湯張りが完了した後に省エネルギー制御を再開することが好ましいといえる。
【0006】
しかし、湯張りが完了する前から湯張り経路とは別経路(台所、シャワー等の経路)で湯水が使用され、湯張り完了時に省エネルギー制御が再開される前後においてその別経路で継続的に出湯がなされている場合、省エネルギー制御の再開時には、その別経路での出湯量が急激に低下してしまうことになる。このように、ユーザが予期せぬまま出湯量の急低下が生じてしまうと、ユーザが違和感や不快感を抱く懸念がある。しかも、省エネルギー制御の再開に伴って出湯量が絞られると、オーバーシュートが生じて出湯温度が急に上昇する虞があり、その後、オーバーシュート後のガス量の絞り込み制御によるアンダーシュート、アンダーシュート後のガス量の増大制御によるオーバーシュートが繰り返されることにより、出湯温度が不安定になってしまう虞もある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、省エネルギー制御の停止による効率的な自動湯張りを可能としつつ、自動湯張りの終了後に急激な出湯量の変化が生じることを抑制し得る給湯システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給湯システムは、
外部から導入される水を通す通水管と、
燃焼ガスを燃焼させるバーナと、
前記通水管の途中に設けられ、前記通水管の内部を通る水に前記バーナで生じた熱を伝達する熱交換器と、
前記通水管より分岐するとともに浴槽に連通し、前記通水管を通って前記熱交換器で加熱された水を浴槽に導く連通管と、
前記通水管における前記熱交換器よりも上流側の位置に設けられ、前記通水管を通る水の温度を検出する水温検出部と、
前記通水管を流れる水の量を検出する水量検出部と、
前記通水管における前記連通管の分岐部位よりも下流側に設けられ、前記分岐部位よりも下流側での通水の有無を検出する通水検出部と、
前記通水管を流れる通水量を調整する水量調整部と、
前記バーナへのガス量を調整するガス量調整部と、
前記水量調整部及び前記ガス量調整部を制御する制御部と、
前記制御部と通信可能に構成され、少なくとも設定温度を指示する入力操作と、所定の省エネルギーモードを指示する入力操作と、浴槽への自動湯張りを指示する入力操作とに用いられる1又は複数の操作部を備えたリモートコントローラと、
を有し、
前記制御部は、
前記リモートコントローラによって前記省エネルギーモードが指示されていない所定の通常モードでは、前記水温検出部での検出水温と、前記水量検出部での検出水量と、前記リモートコントローラで設定された前記設定温度とに基づいて、出湯温度が前記設定温度に近づくように前記ガス量調整部を制御し、
前記リモートコントローラの前記操作部に対し前記省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合、前記水温検出部での検出水温と、前記リモートコントローラで設定された前記設定温度とに基づいて前記通常モードのときよりも前記通水管を流れる通水量を絞るように前記水量調整部を制御する絞り制御と、出湯温度が前記設定温度に近づくように前記ガス量調整部を制御するガス量制御とを含んだ省エネルギー制御を行い、
前記リモートコントローラの前記操作部に対し前記自動湯張りを指示する入力操作がなされた場合、前記連通管を通じて前記浴槽へと前記設定温度の湯を所定量落とし込む自動落とし込み制御を行い、
前記省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合において前記自動湯張りを指示する入力操作に応じた前記自動落とし込み制御が実行されている場合、前記自動落とし込み制御が終了するまでの間、前記省エネルギー制御を中断し、
前記省エネルギー制御を中断している状態で前記自動落とし込み制御が終了した場合において、前記通水検出部によって通水が検出されている場合には、前記自動落とし込み制御の終了後も前記省エネルギー制御の中断状態を継続する。
【0009】
本発明は、省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合において自動湯張りを指示する入力操作に応じた自動落とし込み制御が実行されている場合、自動落とし込み制御が終了するまでの間、省エネルギー制御を中断する。このため、自動落とし込み制御中には、省エネルギー制御によって給湯水量が絞られなくなり、湯張り時間の遅延を抑えることができる。更に、湯張り時間の遅延に起因する放熱損失を抑え、ガスエネルギーのロスを低減することができる。
また、本発明では、省エネルギー制御を中断している状態で自動落とし込み制御が終了した場合において、通水検出部によって通水が検出されている場合には、自動落とし込み制御の終了後も省エネルギー制御の中断状態を継続する。この構成によれば、自動湯張りの終了直後に、浴槽への経路とは別の出湯経路で急激な出湯量の変化が生じることを抑えることができ、出湯量の急変動に起因する不具合を防ぎやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1に係る給湯装置を例示する概略回路図である。
図2図2は、実施例1に係る給湯装置を構成するコントローラ及びリモートコントローラを概略的に例示するブロック図である。
図3図3は、実施例1に係る給湯装置の第1リモートコントローラにおいてカバーが開いた状態を概略的に示す正面図である。
図4図4は、ふろ自動運転終了時点から号数制限が適用されるまでの給湯制御の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の望ましい例を以下に示す。
本発明において、制御部は、自動落とし込み制御の終了後まで省エネルギー制御の中断状態を継続した場合、通水検出部によって通水が検出されなくなることを条件として省エネルギー制御の中断を解除する構成であってもよい。
【0012】
この構成によれば、自動落とし込み制御が終了した時点で別の出湯経路で出湯中の場合には、その出湯動作が停止するまでの間、省エネルギー制御の停止状態が解除されなくなる。つまり、別の出湯経路での出湯動作が確実に停止した後に省エネルギー制御が再開されるため、出湯動作中に省エネルギー制御の停止状態が解除されることによる出湯量の急低下をより確実に防ぐことができる。
【0013】
<実施例1>
以下、発明の一例を示す実施例1について、図面を参照して説明する。
(基本構成)
図1で示す給湯システム1は、浴槽への給湯機能と浴槽内の水の加熱機能とを備えた風呂・給湯システムとして構成され、主として、給湯側回路2と風呂側回路3とを備える。給湯側回路2は、入水管12、出湯管10、ガスバーナ4、熱交換器6(給湯側熱交換器)などを備え、外部から供給された水道水を加熱し出湯させる経路として機能する。風呂側回路3は、ガスバーナ54(風呂バーナ)、熱交換器56(風呂側熱交換器)、配管66、循環ポンプ62、サーミスタ64,65などを備えて、風呂の追い炊き等に利用される。
【0014】
給湯側回路2において、入水管12は、水入口16からの水が流れ込む経路として構成され、出湯管10は、出湯口18へ湯を送り出す経路として構成される。ガスバーナ(給湯バーナ)4は、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させる部分であり、熱交換器6は、通水管(入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路)の途中の位置に設けられ、通水管の内部を通る水に対してガスバーナ4での燃焼によって生じた熱を伝えるように機能する。熱交換器6は、一次熱交換器7及び二次熱交換器8を備え、一次熱交換器7は、給湯燃焼室90内においてガスバーナ4の燃焼排気経路の上流側に配置され、二次熱交換器8は、給湯燃焼室90内において燃焼排気経路の下流側に配置されている。
【0015】
給湯側回路2において、二次熱交換器8の入口には、水道水を供給する構成で入水管12が接続されている。入水管12には、入水管12を通る水の温度(即ち、通水管における熱交換器よりも上流側の位置の水温)を検出する水温検出部としてのサーミスタ25と、入水管12内の通水量(即ち、通水管を流れる水の量)を検出する水量検出部としての水量センサ34とが設けられている。入水管12の下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aが接続され、更にその下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aと一次熱交換器7の伝熱管7aとを連結する配管20が接続される。この配管20に連結された構成で一次熱交換器7の伝熱管7aが接続され、一次熱交換器7の出口には、一次熱交換器7で加熱された湯を出湯する構成で出湯管10が接続されている。出湯管10には、出湯管10内の水の温度を検出するサーミスタ26が設けられている。本構成では、入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10が通水管の一例に相当し、給湯システム1の外部に設けられた図示しない水道から導入された水を通す流路として機能する。
【0016】
熱交換器6は、一次熱交換器7によって燃焼排気の顕熱を回収した後、二次熱交換器8によって潜熱を回収するように機能する。具体的には、一次熱交換器7は、一次熱交換器7内の通水経路となる伝熱管7aを備えており、伝熱管7a内を通る水に対してガスバーナ4で発生した燃焼排気に含まれる燃焼熱を伝熱し、顕熱の熱エネルギーを通水に伝達する形で熱交換する。また、二次熱交換器8は、二次熱交換器8内の通水経路となる伝熱管8aを備えており、伝熱管8a内を通る水に対し、ガスバーナ4で発生した燃焼排気が一次熱交換器7を通過した後の燃焼熱を伝熱し、潜熱の熱エネルギーを通水に伝達するように熱交換する。
【0017】
入水管12と出湯管10との間をバイパスする通水経路として、熱交換器6とは異なる通水経路として構成されたバイパス路14が設けられている。バイパス路14には、バイパス路14の通水を遮断した閉塞状態と、この閉塞状態よりも開度を増大させた開放状態とに移行可能なバイパス弁32が設けられている。入水管12において、バイパス路14が連結する分岐位置よりも上流側には、通水量制御弁33が設けられている。通水量制御弁33は、コントローラ22からの指示を受けて駆動軸の回転角度が制御されるモータを備え、入水管12を閉塞状態と全開状態との間で様々な開度に連続的に変更できる構成となっている。本構成では、通水量制御弁33が水量調整部の一例に相当し、通水管を流れる水の量を調節するように機能する。
【0018】
ガスバーナ4へのガスの供給を行うガス管40には、上流側からガス元電磁弁42、給湯ガス比例制御弁44、各ガスバーナ4への分岐管ごとの給湯切替電磁弁46,46・・が夫々設けられている。また、給湯燃焼室90の下方には、燃焼用空気を各ガスバーナ4(給湯バーナ)及びガスバーナ54(風呂バーナ)へ供給するファン48が設けられている。ガスバーナ54(風呂バーナ)に接続されるガス管からの分岐管には、切替電磁弁53が設けられている。給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46は、ガス量調整部の一例に相当し、ガスバーナ4へのガス量を調整するように機能する。
【0019】
風呂側回路3において、配管66は、浴槽60側からの水を熱交換器56側へと導くための往き配管68と、熱交換器56側からの水を浴槽60側へと導くための戻り配管67と、往き配管68と戻り配管67とに連結されて熱交換器56内を通る中間配管69とを備える。配管66は、例えば追い炊き動作時に浴槽60から引き込まれる水を往き配管68によって熱交換器56に導き、この熱交換器56を通過した水を戻り配管67によって浴槽60に導くように循環させる循環経路として機能する。熱交換器56は、風呂一次熱交換器57と風呂二次熱交換器58とを備え、配管66を通る水に対してガスバーナ54(風呂バーナ)での燃焼によって生じた燃焼熱を伝達するように、循環水を加熱する構成となっている。往き配管68は、浴槽60と風呂一次熱交換器57との間に配置されており、この往き配管68には、往き配管68を通る水の温度を検出するサーミスタ65(風呂サーミスタ)が設けられている。
【0020】
戻り配管67は、風呂二次熱交換器58と浴槽60との間に配置され、この戻り配管67には、循環ポンプ62とサーミスタ64(風呂サーミスタ)とが設けられている。循環ポンプ62は、配管66内の水を流動させる装置であり、熱交換器56側から水を引き込み、引き込んだ水を熱交換器56とは反対側から浴槽60に向けて排出するように機能する。戻り配管67には、出湯管10から分岐された落とし込み管70が接続され、落とし込み管70には、給湯用電磁弁72及び落とし込み水量センサ74が設けられている。そして、落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁72を開弁させることで、給湯側回路2で加熱された湯を浴槽60へ供給することが可能となっている。水量センサ74は、落とし込み管70を介して浴槽60へと供給される供給水量を検出する機能を有する。
【0021】
落とし込み管70、戻り配管67、往き配管68は、連通管の一例に相当し、通水管(具体的には、出湯管10)より分岐するとともに浴槽60に連通し、通水管を通って熱交換器6で加熱された水を浴槽60に導くように機能する。通水検出部35は、出湯管10から落とし込み管70が分岐する分岐位置よりも下流側(出湯口18側)において通水の有無を検出し得る構成であればよく、図1の構成では、水量センサ34と落とし込み水量センサ74と後述するコントローラ22とによって構成され、コントローラ22が通水の有無を判定する主体となって機能する。例えば、水量センサ34による単位時間当たりの検知水量Vw1と、落とし込み水量センサ74による単位時間当たりの検知水量Vw2との差Vw1−Vw2が所定閾値以下である場合が、落とし込み管70以外の別経路(出湯管10において落とし込み管70が分岐する分岐位置よりも下流側)に通水無しの状態であり、Vw1−Vw2が所定閾値を超える場合が通水有りの状態である。通水検出部35では、例えば、コントローラ22が、水量センサ34で検出される単位時間当たりの検知水量Vw1と、落とし込み水量センサ74で検出される単位時間当たりの検知水量Vw2との差Vw1−Vw2を求め、この差Vw1−Vw2が所定閾値以下である場合に通水無しと判定し、所定閾値を超える場合に通水有りと判定する。この通水有りの判定が、落とし込み管70とは別経路での通水の検出に該当する。
【0022】
給湯システム1には、図1図2で示すコントローラ22が設けられる。図2で示すコントローラ22は、例えば、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御回路22Aと、公知の半導体メモリ等として構成されるメモリ22Bと、外部との通信を行うためのインタフェースとして構成される通信部22Cとを備える。コントローラ22は、上述した水量調整部及びガス量調整部を制御する制御部として機能する装置であり、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成され、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る。
【0023】
図2のように、複数のリモートコントローラ80は、コントローラ22(制御部)と通信し得る構成で配置される。図1図2の例では、複数のリモートコントローラ80として、浴室内に設けられる第1リモートコントローラ81と、浴室とは異なる場所(例えば台所等)に設けられる第2リモートコントローラ82とが設けられる。
【0024】
図2のように、第1リモートコントローラ81は、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御回路81Aと、液晶表示装置等として構成される表示部81Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作手段81Cと、コントローラ22や第2リモートコントローラ82と通信を行う通信部81Dとを備える。操作手段81Cは,少なくとも設定温度(給湯温度)を指示する入力操作と、所定の省エネルギーモードを指示する入力操作と、浴槽60への自動湯張りを指示する入力操作とに用いられる複数の操作部91によって構成されている。第1リモートコントローラ81の外観は、例えば図3のようになっている。操作部91は、操作ボタン91S,91T,91X,91Y、メニューボタン91U、確定ボタン91W、エコボタン91Z、電源ボタン91Aなどを備える。
【0025】
第2リモートコントローラ82も同様であり、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御部82Aと、液晶表示装置等として構成される表示部82Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作手段82Cと、リモートコントローラ82で生成された信号等をコントローラ22に伝達するための通信部82Dとを備える。
【0026】
第1リモートコントローラ81では、操作手段81Cに対する操作によって運転モードと設定モードとが切り替わる。運転モードのときに、メニューボタン91Uが押された場合には設定モードに切り替わり、設定モードのときに第1の所定操作(例えばメニューボタン91Uを所定の第1回数押す操作)が行われた場合に、設定モードにおける所定の詳細モード(給湯温度切替設定モード)に切り替わる。給湯温度切替設定モードのときに、操作ボタン91X,91Yによって設定温度(給湯温度)を指示する入力操作が行われると、その入力操作に対応する温度が給湯温度表示領域120に表示され、その状態で確定ボタン91Wが押されると、その表示された温度に給湯温度が設定される。そして、メモリ22B(図2)には、その設定された設定温度(給湯温度)の情報が記憶される。
【0027】
設定モードのときに第2の所定操作(例えばメニューボタン91Uを所定の第2回数押す操作)が行われた場合に、設定モードにおける所定の詳細モード(ふろ温度切替設定モード)に切り替わる。ふろ温度切替設定モードのときに、操作ボタン91S,91Tによってふろ温度を指示する入力操作が行われると、その入力操作に対応する温度がふろ温度表示領域122に表示され、その状態で確定ボタン91Wが押されると、その表示された温度にふろ温度が設定される。そして、メモリ22B(図2)には、その設定されたふろ温度の情報が記憶される。
【0028】
第2リモートコントローラ82は第1リモートコントローラ81と同様の構成、或いは簡略化された構成をなし、第1リモートコントローラ81と同様の設定が可能である。両リモートコントローラ80において、一方で設定された内容は、相互に反映される。
【0029】
(省エネルギーレベル切替制御)
次に、省エネルギーレベル切替制御について説明する。
本構成では、例えば図3で示す第1リモートコントローラ81のエコボタン91Zを押すことによって省エネルギーレベルを切り替えることができるようになっている。なお、以下では、第1リモートコントローラ81のエコボタン91Zによる省エネルギーレベルの切り替えを説明するが、第2リモートコントローラ82によって同様に行ってもよい。
【0030】
例えば、給湯システム1が設置場所で最初に動作する際の初期設定では、通常モードに設定されており、この通常モードのときには、図2で示すコントローラ22のメモリ22Bに、モード設定情報として、通常モードを示すモード情報が記憶される。そして、エコボタン91Z(図3)が押される毎に、「通常モード」から、「省エネルギーモード(レベル1)」、「省エネルギーモード(レベル2)」、「省エネルギーモード(レベル3)」、「省エネルギーモード(レベル4)」と順番に切り替わる。また、通常モードのときからエコボタン91Zが5回押された場合、即ち、「省エネルギーモード(レベル4)」でエコボタンが押された場合には、通常モードに戻る。
【0031】
例えば、「通常モード」のときに、第1リモートコントローラ81のエコボタン91Zが押された場合、その押されたリモートコントローラ80から切替信号がコントローラ22に送信される。この送信に応じて、コントローラ22では、メモリ22Bに記憶されたモード設定情報を、「通常モードを示すモード情報」から「省エネルギーモード(レベル1)を示すモード情報」に切り替える。同様に、「省エネルギーモード(レベル1)」のときに、エコボタン91Zが押された場合、コントローラ22では、メモリ22Bに記憶されたモード設定情報を「省エネルギーモード(レベル2)を示すモード情報」に切り替え、「省エネルギーモード(レベル2)」のときにエコボタンが押されると、メモリ22Bのモード設定情報は、「省エネルギーモード(レベル3)を示すモード情報」に更新され、「省エネルギーモード(レベル3)」のときにエコボタンが押されると、メモリ22Bのモード設定情報は、「省エネルギーモード(レベル4)を示すモード情報」に更新される。このように、エコボタン91Zが押される毎に、コントローラ22に設定されたモード情報が更新される。「省エネルギーモード(レベル4)」のときに、エコボタン91Zが押された場合には、コントローラ22は、メモリ22Bに記憶されたモード設定情報を、「省エネルギーモード(レベル4)を示すモード情報」から「通常モードを示すモード情報」に切り替える。
【0032】
(省エネルギー制御)
次に、省エネルギー制御について説明する。
本構成では、上述した省エネルギーレベル切替制御によって、コントローラ22による運転モード(給湯モード)を、「通常モード」、「省エネルギーモード(レベル1)」、「省エネルギーモード(レベル2)」、「省エネルギーモード(レベル3)」、「省エネルギーモード(レベル4)」の5段階に切り替えることができるようになっている。各モードでは、給湯システム1での給湯能力が、モード毎に設定された号数となるように制御される。
【0033】
本発明において、号数とは、給湯システム1の外部から導入される水の水温よりも温度が25℃大きい水(水温+25℃の水)が1分間に出る量(リットル)を示す値であり、給湯動作の能力を示す指標である。給湯システム1では、出湯量をX(L/分)、設定される号数をY、設定温度(給湯温度)をTa(℃)、外部から導入される水の水温をTw(℃)とした場合、出湯口18から排出される湯量が以下の式で定まる出湯量X(L/分)以下に収まるように通水量制御弁33を制御する。
X=Y×25/(Ta−Tw)
なお、出湯口18の開度が小さく、通水量制御弁33を全開にしたときの出湯量がXを超えないような場合、通水量制御弁33を絞る制限制御は行わないことになる。
【0034】
この式において、設定温度(給湯温度)Taは、上述した省エネルギーレベル切替制御によってメモリ22Bに設定されている給湯温度であり、給湯温度表示領域120(図3)に表示される温度である。水温Twは、サーミスタ25(水温検出部)で検出される入水管12内の水温である。号数Yは、モード毎に定められており、例えば、通常モードでは、号数Y0に定められ、省エネルギーモード(レベル1)では、号数Y1に定められ、省エネルギーモード(レベル2)では、号数Y2に定められ、省エネルギーモード(レベル3)では、号数Y3に定められ、省エネルギーモード(レベル4)では、号数Y4に定められる。これらの関係は、Y0≧Y1≧Y2≧Y3≧Y4であり、少なくともY1>Y4である。以下では、Y0=Y1であり、Y1>Y2>Y3>Y4である例を代表例とする。
【0035】
本構成において、制御部に相当するコントローラ22は、リモートコントローラ80によって省エネルギーモードが指示されていない「通常モード」では、サーミスタ25(水温検出部)での検出温度Tw(℃)と、水量センサ34(水量検出部)での検出水量と、リモートコントローラ80で設定された設定温度(給湯温度)Taとに基づいて、出湯温度が給湯温度(設定温度)に近づくように給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46(ガス量調整部)を制御する。なお、出湯温度が給湯温度Ta(設定温度)に近づくようにバーナの本数や弁の開度を制御する方法は、公知の様々な制御方法を用いることができる。
【0036】
具体的には、コントローラ22による運転モード(給湯モード)が「通常モード」に設定されている場合、コントローラ22は、ガスバーナ4を燃焼させて給湯動作を行う期間(即ち、水量センサ34によって一定値以上の水量が検出されている期間)に、通常モードに対応付けられた号数Y0と、サーミスタ25での検出温度Tw(℃)と、設定温度(給湯温度)Ta(℃)とに基づき、出湯量が以下の式で定まるX0(L/分)以下に収まるように通水量制御弁33を制御する。なお、X0は、通常モードでの基準流量である。
X0=Y0×25/(Ta−Tw)
【0037】
一方、リモートコントローラ80の操作部91に対し省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合、サーミスタ25での検出温度Twと、リモートコントローラ80で設定された設定温度(給湯温度)Taとに基づいて上述した通常モードのときよりも通水管を流れる通水量を絞るように通水量制御弁33(水量調整部)を制御する絞り制御を行う。そして、このような絞り制御と並行して、出湯温度が設定温度(給湯温度)Taに近づくように給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46(ガス量調整部)を制御するガス量制御を行うように省エネルギー制御を行う。より具体的には、通水管を流れる水の量を、設定された省エネルギーレベルに対応する号数と、設定温度Taと、サーミスタ25(入水温検出部)によって検出された水の温度Twと、に基づいて定まる基準流量以下に制限するように通水量制御弁33(水量調整部)での調節状態を制御し、且つ出湯温度を設定温度Taに近づけるようにガスバーナ4での燃焼状態を制御する方法で、省エネルギー制御を行う。なお、出湯温度が給湯温度Ta(設定温度)に近づくようにバーナの本数や弁の開度を制御する方法は、公知の様々な制御方法を用いることができる。
【0038】
例えば、エコボタン91Zが操作されることによってコントローラ22による運転モード(給湯モード)がレベル1の省エネルギーモード(以下、省エネレベル1ともいう)に設定されている場合、コントローラ22は、ガスバーナ4を燃焼させて給湯動作を行う期間に、省エネレベル1に対応付けられた号数Y1と、サーミスタ25での検出温度Tw(℃)と、設定温度(給湯温度)Ta(℃)とに基づいて、出湯量が以下の式で定まるX1(L/分)以下に収まるように通水量制御弁33を制御する。なお、X1は、省エネレベル1での基準流量である。
X1=Y1×25/(Ta−Tw)
【0039】
なお、この代表例では、例えばY0=Y1であり、通常モードでの設定号数(最大号数)と、省エネレベル1での設定号数は同一となっている。但し、省エネレベル1の設定では、給湯制御部に相当するコントローラ22によって流量制限制御が行われ、この流量制限制御により、通常モードのときよりもエネルギーを制限している。
【0040】
例えば、省エネレベル1の設定では、出湯口18が開放されて出湯停止状態から出湯状態に切り替わり、水量センサ34によって通水が検出された場合、コントローラ22は、ガスバーナ4に燃焼ガスを燃焼させる制御を継続する一方で、サーミスタ26での検出温度Twが、設定温度(給湯温度)Taに達するまでは、出湯口18からの出湯量が上述したX1よりも大幅に低くなるように通水量制御弁33の開度を所定の低開度状態とし、通水管での通水量(流量)を制限する。このような流量制限を行った後、サーミスタ26での検出温度Twが設定温度(給湯温度)Taに達した場合には、流量制限状態を解除する。流量制限状態を解除した後は、通常モードと同様の制御を行い、出湯量を上述したX1(L/分)以下で維持するように通水量制御弁33を制御して流量制限をしながらガスバーナ4の燃焼を制御する。このような流量制限制御により、ユーザが希望する温度(設定温度)に達していない低温の水が通水開始直後に勢いよく排出されてしまうことを効果的に抑えることができる。なお、コントローラ22は、省エネレベル1〜4のいずれの場合も、上述した流量制限制御を行うようになっている。
【0041】
コントローラ22による運転モード(給湯モード)がレベル2の省エネルギーモード(以下、省エネレベル2ともいう)に設定されている場合、コントローラ22は、ガスバーナ4を燃焼させて給湯動作を行う期間に、省エネレベル2に対応付けられた号数Y2と、サーミスタ25での検出温度Tw(℃)と、設定温度(給湯温度)Ta(℃)とに基づいて、出湯量が以下の式で定まるX2(L/分)以下に収まるように通水量制御弁33を制御する。なお、X2は、省エネレベル2での基準流量である。
X2=Y2×25/(Ta−Tw)
具体的には、水量センサ34によって通水が検知されている間は、ガスバーナ4の燃焼を継続し、このような燃焼制御中は、出湯量をX2(L/分)以下で維持するように通水量制御弁33を制御する。
【0042】
コントローラ22による運転モード(給湯モード)がレベル3の省エネルギーモード(以下、省エネレベル3ともいう)に設定されている場合、コントローラ22は、ガスバーナ4を燃焼させて給湯動作を行う期間に、省エネレベル3に対応付けられた号数Y3と、サーミスタ25での検出温度Tw(℃)と、設定温度(給湯温度)Ta(℃)とに基づいて、出湯量が以下の式で定まるX3(L/分)以下に収まるように通水量制御弁33を制御する。なお、X3は、省エネレベル3での基準流量である。
X3=Y3×25/(Ta−Tw)
具体的には、水量センサ34によって通水が検知されている間は、ガスバーナ4の燃焼を継続し、このような燃焼制御中は、出湯量をX3(L/分)以下で維持するように通水量制御弁33を制御する。
【0043】
コントローラ22による運転モード(給湯モード)がレベル4の省エネルギーモード(以下、省エネレベル4ともいう)に設定されている場合、コントローラ22は、ガスバーナ4を燃焼させて給湯動作を行う期間に、省エネレベル4に対応付けられた号数Y4と、サーミスタ25での検出温度Tw(℃)と、設定温度(給湯温度)Ta(℃)とに基づいて、出湯量が以下の式で定まるX4(L/分)以下に収まるように通水量制御弁33を制御する。なお、X4は、省エネレベル4での基準流量である。
X4=Y4×25/(Ta−Tw)
具体的には、水量センサ34によって通水が検知されている間は、ガスバーナ4の燃焼を継続し、このような燃焼制御中は、出湯量をX4(L/分)以下で維持するように通水量制御弁33を制御する。
【0044】
(自動落とし込み制御)
コントローラ22は、例えば、第1リモートコントローラ81の操作部91に対し自動湯張りを指示する入力操作(例えば、図3で示す自動湯張りボタン91Rを押す操作)がなされた場合、落とし込み管70(連通管)を通じて浴槽60へと設定温度Ta(給湯温度)の湯を所定量落とし込む自動落とし込み制御を行う。なお、浴槽60に供給する「所定量」は、操作部91に対する設定操作によって予め設定された湯量であり、例えばメモリ22Bに記憶されている。コントローラ22は、自動湯張りを指示する入力操作(例えば、図3で示す自動湯張りボタン91Rを押す操作)がなされた場合、コントローラ22は、落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁72を開弁させてから、落とし込み水量センサ74での検出水量が上記「所定量」に達するまで、落とし込み管70(連通管)を通じて浴槽60へと設定温度Ta(給湯温度)の湯を供給する自動落とし込み制御を実行する。なお、「所定量」の湯を浴槽に供給した後には、浴槽60の湯温が設定されたふろ温度に達するまで風呂側回路3によって沸かし上げる制御を行う。
【0045】
そして、このような自動落とし込み制御の実行中は、コントローラ22による運転モード(給湯モード)を「通常モード」に設定する。なお、自動落とし込み制御が実行された時点で上述したいずれかのレベルの省エネルギーモードに設定されている場合、自動落とし込み制御の実行開始時又は所定条件成立時(例えば、通水検出部35によって落とし込み管70とは別経路での通水停止が検知された時)に一時的に「通常モード」に切り替え、その「通常モード」を、自動落とし込み制御の終了後まで(具体的には後述する終了条件成立時まで)維持する。また、自動落とし込み制御の実行開始後に上述したいずれかのレベルの省エネルギーモードに設定された場合、例えば、一時的に「通常モード」を維持し、その「通常モード」を、自動落とし込み制御の終了後まで(具体的には後述する終了条件成立時まで)維持する。
【0046】
このように、省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合において自動湯張りを指示する入力操作に応じた自動落とし込み制御が実行される場合、自動落とし込み制御が終了するまでの間、省エネルギーモード時に行うべき省エネルギー制御を一時的に中断することになる。
【0047】
(復帰制御)
次に、自動落とし込み制御の終了後の復帰制御について図4を参照して説明する。
上述した自動落とし込み制御が終了した場合、即ち、落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁72を開弁させてから落とし込み水量センサ74での検出水量が上記「所定量」に達した場合、落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁(落とし込み電磁弁)72を閉弁させる(S1)。
【0048】
S1の後には、「省エネルギーモード」が有効であるか否かを判断する(S2)。「省エネルギーモード」が有効である場合、即ち、上述したように、「省エネルギーモード」に設定されているものの自動落とし込み制御の実行によって一時的に「通常モード」に切り替えられていた場合、S2にてYESに進み、出湯口18から出湯中であるか否かを判断する(S3)。S2にてYESに進んだ場合、具体的には、通水検出部35によって落とし込み管70以外の別経路(出湯管10において落とし込み管70が分岐する分岐位置よりも下流側の経路)での通水が検知されなくなるまでS3でNOの判断を繰り返し、通水検出部35によって別経路での通水が検知されなくなるまで一時設定された「通常モード」を維持する。そして、通水検出部35によって別経路での通水が検知されなくなった場合には、S3にてYESに進み、一時設定された「通常モード」を解除して「省エネルギーモード」に戻す。
【0049】
このように、制御部に相当するコントローラ22は、自動落とし込み制御の実行中に一時的に省エネルギー制御を中断している状態で自動落とし込み制御が終了した場合において、通水検出部35によって落とし込み管70以外の別経路での通水が検出されている場合、自動落とし込み制御の終了後も省エネルギー制御の中断状態を継続する。そして、このように自動落とし込み制御の終了後まで省エネルギー制御の中断状態を継続した場合、通水検出部35によって別経路での通水が検出されなくなることを条件として省エネルギー制御の中断を解除する。
【0050】
なお、自動落とし込み制御の実行時点で「省エネルギーモード」に設定されておらず、自動落とし込み制御の実行後にも「省エネルギーモード」に設定されなかった場合、即ち、自動落とし込み制御の実行中に一時的に「通常モード」されたのではなく、「通常モード」が継続的に維持されている場合、S2にてNOに進み、図4の処理を終了する。つまり、この場合、運転モードの切り替えはなされない。
【0051】
以下、本構成の効果を例示する。
本構成は、リモートコントローラ80によって省エネルギーモードを指示する入力操作がなされた場合において自動湯張りを指示する入力操作に応じた自動落とし込み制御が実行されている場合、自動落とし込み制御が終了するまでの間、省エネルギー制御を中断する。このため、自動落とし込み制御中には、省エネルギー制御によって給湯水量が絞られなくなり、湯張り時間の遅延を抑えることができる。更に、湯張り時間の遅延に起因する放熱損失を抑え、ガスエネルギーのロスを低減することができる。
【0052】
更に、本構成では、省エネルギー制御を中断している状態で自動落とし込み制御が終了した場合において、通水検出部35によって落とし込み管70以外の別経路での通水が検出されている場合には、自動落とし込み制御の終了後も省エネルギー制御の中断状態を継続する。この構成によれば、自動湯張りの終了直後に、浴槽への経路とは別の出湯経路で急激な出湯量の変化が生じることを抑えることができ、出湯量の急変動に起因する不具合を防ぎやすくなる。
【0053】
そして、自動落とし込み制御の終了後まで省エネルギー制御の中断状態を継続した場合、通水検出部35によって落とし込み管70以外の別経路での通水が検出されなくなることを条件として省エネルギー制御の中断を解除する。この構成では、自動落とし込み制御が終了した時点で別の出湯経路で出湯中の場合には、その出湯動作が停止するまでの間、省エネルギー制御の停止状態が解除されなくなる。つまり、別の出湯経路での出湯動作が確実に停止した後に省エネルギー制御が再開されるため、出湯動作中に省エネルギー制御の停止状態が解除されることによる出湯量の急低下をより確実に防ぐことができる。
【0054】
<他の実施例>
上述した実施例には、様々な変更を加えてもよく、様々な構成を付加してもよい。以下、他の実施例を簡単に説明する。
【0055】
上述した実施例では、第1リモートコントローラ81の操作手段81Cを構成する操作部91によって設定温度を指示する入力操作、所定の省エネルギーモードを指示する入力操作、浴槽への自動湯張りを指示する入力操作を行う例を示した。しかし、この例に限定されない。例えば、第2リモートコントローラ82の操作手段82Cを構成する操作部によって設定温度を指示する入力操作、所定の省エネルギーモードを指示する入力操作、浴槽への自動湯張りを指示する入力操作を行うようにしてもよい。
【0056】
1…給湯システム
4…ガスバーナ(バーナ)
6…熱交換器
10…出湯管(通水管)
12…入水管(通水管)
20…配管(通水管)
22…コントローラ(制御部、制御部、表示制御部)
25…サーミスタ(水温検出部)
33…通水量制御弁(水量調整部)
34…水量センサ(水量検出部)
35…通水検出部
44…給湯ガス比例制御弁(ガス量調整部)
46…給湯切替電磁弁(ガス量調整部)
60…浴槽
70…落とし込み管(連通管)
80…リモートコントローラ
91…操作部
図1
図2
図3
図4