(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作部材が前記紐材の引き出し方向に対して直交する方向に回転操作されたときに、前記リールが前記反転軸を中心に回転するようにしたことを特徴とする、請求項1記載の遮蔽材開閉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3に記載されているような電動式の装置は高価であり、配線工事も煩雑であるという問題があった。
そこで、本発明は、操作紐やボールチェーンによる事故を防止でき、かつ、安価で取扱いの容易な遮蔽材開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明は、遮蔽材を取り付けたループ状の移送部材を回転させて遮蔽材の開閉を行う遮蔽材開閉装置であって、リールと、前記リールに巻回された紐材と、前記リールを前記紐材の巻き取り方向に付勢する付勢部材と、前記紐材の端部に取り付けられ、前記紐材を引き出し操作可能にする操作部材と、前記リールの両側部に設けられた一対の係合機構と、前記一対の係合機構のいずれかと係合し、前記リールの回転力を前記移送部材に伝達する受部材と、を備え、前記リールは、前記リールの回転軸に直交する反転軸によって少なくとも180度回転可能に支持され、前記リールが前記反転軸を中心に180度回転することで、前記受部材が前記一対の係合機構のどちらと係合するかを切り替え可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記操作部材が前記紐材の引き出し方向に対して直交する方向に回転操作されたときに、前記リールが前記反転軸を中心に回転するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、押し込み操作可能なノック部材と、前記ノック部材に臨む回転部と、前記回転部に噛合するカム部と、を備え、前記ノック部材が押し込み操作されたときに、前記ノック部材に押し込まれた前記回転部が前記ノック部材の先端に形成された傾斜に案内されて回動し、前記回転部と前記カム部との噛合が変化することにより前記リールが前記反転軸を中心に回転するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記係合機構は、前記リールの側部に所定の摩擦力で取り付けられたガイド部材と、前記回転軸と一体的に回転し、かつ、前記回転軸の軸方向に移動可能な係合部材と、を備え、前記リールが回転し始めたときに、前記係合部材が回転しつつ前記ガイド部材に誘導されて前記回転軸の軸方向外側へ移動し、外側へ移動した前記係合部材が前記受部材と噛合するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記操作部材には、前記操作部材に加わる衝撃を緩和するための緩衝部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、リールと、前記リールに巻回された紐材と、前記リールを前記紐材の巻き取り方向に付勢する付勢部材と、前記紐材の端部に取り付けられ、前記紐材を引き出し操作可能にする操作部材と、前記リールの両側部に設けられた一対の係合機構と、前記一対の係合機構のいずれかと係合し、前記リールの回転力を前記移送部材に伝達する受部材と、を備えている。このような構成によれば、操作部材を引き操作して紐材を引き出すことでリールが回転し、このリールの回転力が係合機構を介して受部材へ伝達され、移送部材が回転することで遮蔽材の開閉が行われる。よって、遮蔽材を直接触らなくても開閉することができるので、遮蔽材を汚したり、遮蔽材を破損したりといった問題が生じにくい。
【0015】
そして、操作した操作部材を離すと、付勢部材によって紐材がリールに巻き取られ、操作部材が元に位置に戻る。よって、操作紐やボールチェーンが垂れ下がった状態とはならないので、子供のいたずらによる事故を防止でき、安全性を高めることができる。また、装置をコンパクトに保つことができ、すっきりとした外観を保つことができる。
【0016】
また、前記リールは、前記リールの回転軸に直交する反転軸によって少なくとも180度回転可能に支持され、前記リールが前記反転軸を中心に180度回転することで、前記受部材が前記一対の係合機構のどちらと係合するかを切り替え可能とした。このような構成によれば、反転軸を中心にリールを180度回転させることで、開操作または閉操作の切り替えを行うことができる。すなわち、リールの一側に設けられた係合機構と、リールの他側に設けられた係合機構とは、互いに異なる方向に回転するため、どちらの係合機構を使用するかによって移送部材の回転方向を切り替えることができる。よって、遮蔽材の開操作を行いたい場合には一方の係合機構を使用し、遮蔽材の閉操作を行いたい場合には他方の係合機構を使用すればよい。このように一つの操作部材で遮蔽材の開閉操作を実現することで、遮蔽材開閉装置をシンプルな構造とすることができる。言い換えると、部品点数を減らしてコンパクトかつ安価に製作できるとともに、見栄えが良く操作し易い遮蔽材開閉装置を提供することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記操作部材が前記紐材の引き出し方向に対して直交する方向に回転操作されたときに、前記リールが前記反転軸を中心に回転するようにした。すなわち、操作部材を軸回転させると、これに連動してリールが反転軸を中心に回転し、一対の係合機構のどちらと係合するかが切り替わるようにした。このような構成によれば、分かりやすく簡易な操作で開操作または閉操作の切り替えを行うことができるので、使い勝手の良い遮蔽材開閉装置を提供することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、押し込み操作可能なノック部材と、前記ノック部材に臨む回転部と、前記回転部に噛合するカム部と、を備え、前記ノック部材が押し込み操作されたときに、前記ノック部材に押し込まれた前記回転部が前記ノック部材の先端に形成された傾斜に案内されて回動し、前記回転部と前記カム部との噛合が変化することにより前記リールが前記反転軸を中心に回転するようにした。すなわち、ノック部材を押し込み操作すると、一対の係合機構のどちらと係合するかが切り替わるようにした。このような構成によれば、分かりやすく簡易な操作で開操作または閉操作の切り替えを行うことができるので、使い勝手の良い遮蔽材開閉装置を提供することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記係合機構は、前記リールの側部に所定の摩擦力で取り付けられたガイド部材と、前記回転軸と一体的に回転し、かつ、前記回転軸の軸方向に移動可能な係合部材と、を備え、前記リールが回転し始めたときに、前記係合部材が回転しつつ前記ガイド部材に誘導されて前記回転軸の軸方向外側へ移動し、外側へ移動した前記係合部材が前記受部材と噛合するようにした。このような構成によれば、操作部材が引き操作されてリールが回転を開始すると、係合部材が外側へ移動して受部材と噛合し、移送部材へ動力が伝達される。一方、操作部材が離されてリールが逆回転を開始すると、係合部材が内側へ移動して受部材との噛合が解除されるので、移送部材が逆回転することはない。このような構成によれば、操作部材が操作されていないときの係合機構をコンパクトに保つことができるので、リールが反転軸を中心に回転するときの回転半径を小さくすることができる。よって、リールを回転させるためのスペースを小さくすることができるので、遮蔽材開閉装置をコンパクトに構成することができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、操作部材には、操作部材に加わる衝撃を緩和するための緩衝部材が設けられているので、例えば、操作部材を引き操作して紐材をすべて引き出したとしても、緩衝部材が衝撃を緩和してくれるので、操作部材を把持した手に加わる衝撃が小さくて済むようになっている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態に係る遮蔽材開閉装置20は、遮蔽材14を取り付けたループ状の移送部材11を回転させて遮蔽材14の開閉を行うためのものであり、例えば
図1に示すような態様で使用される。この
図1に示す例では、横開きのカーテンやブラインド等の遮蔽材14を開閉するために使用される。遮蔽材14の上端部には、先導ランナー12及び遊動ランナー13が取り付けられている。先導ランナー12及び遊動ランナー13は、レール10に対して走行可能に取り付けられている。先導ランナー12及び遊動ランナー13がレール上を走行することで、遮蔽材14がレール10に沿って開閉される。レール10の端部には、本実施形態に係る遮蔽材開閉装置20が取り付けられている。この遮蔽材開閉装置20を操作することで遮蔽材14が開閉される。
【0024】
レール10の内部には、
図2に示すように、ループ状の移送部材11と、移送部材11を掛け回した駆動プーリ18及び従動プーリ19と、出力ギア17と、が配設されている。
【0025】
移送部材11は、駆動プーリ18及び従動プーリ19に掛け回された紐状または帯状の部材であり、駆動プーリ18が回転したときに回転するようになっている。この移送部材11には先導ランナー12が固定されており、移送部材11が回転すると先導ランナー12が移動して遮蔽材14が開閉される。
【0026】
詳しくは、移送部材11が開方向へと回転すると、先導ランナー12も開方向へと移動する。このとき、先導ランナー12は、遊動ランナー13を開方向へと押し動かしつつ移動する。先導ランナー12及び遊動ランナー13がレール10の端部に到達してそれ以上移動できなくなると、遮蔽材14が完全に開いた状態となる。
【0027】
一方、移送部材11が閉方向へと回転すると、先導ランナー12も閉方向へと移動する。先導ランナー12が閉方向へと移動すると、遮蔽材14を介して遊動ランナー13が引っ張られて閉方向へと移動する。先導ランナー12が他の先導ランナー12(遮蔽材14が片開きの場合はレール10の端部)に到達してそれ以上移動できなくなると、遮蔽材14が完全に閉じた状態となる。
【0028】
駆動プーリ18及び従動プーリ19は、移送部材11を回転させるためのものである。駆動プーリ18は、遮蔽材開閉装置20が配置されたレール10の一端部側に配置され、従動プーリ19は、レール10の他端部側に配置されている。駆動プーリ18の側部には入力ギア部18aが一体的に形成されており、この入力ギア部18aに動力が伝達されることで駆動プーリ18が回転するようになっている。
【0029】
出力ギア17は、上記した入力ギア部18aに噛合して動力を伝達するためのものである。この出力ギア17は、後述する受部材22と一体的に回転するように形成されている。
【0030】
図3は、本実施形態に係る遮蔽材開閉装置20の断面図である。この
図3に示すように、遮蔽材開閉装置20は、ケース21と、受部材22と、ノッチ部材47と、ノッチ付勢手段48と、リール機構30と、操作部材49と、を備えている。
【0031】
ケース21は、受部材22やリール機構30を露出しないように覆うとともに、受部材22やリール機構30を回転可能に支持するためのものである。このケース21には、上部に支持孔21aが形成され、下部に貫通孔21bが形成されている。この支持孔21a及び貫通孔21bは、リール機構30を水平方向に回転可能に支持するためのものである。この支持孔21a及び貫通孔21bによって、リール機構30を少なくとも180度回転可能に支持する反転軸が形成されている。
【0032】
受部材22は、後述するリール32の回転力を移送部材11に伝達するための部材である。詳しくは後述するが、リール32が回転したときに、一対の係合機構40(後述)のいずれかが受部材22と係合することで、受部材22がリール32と一体的に回転するように形成されている。受部材22が回転すると、受部材22に固定された出力ギア17が一体的に回転する。出力ギア17の回転力が駆動プーリ18に伝達されることで移送部材11が回転する。
【0033】
なお、この受部材22は、両方向に回転可能となっており、受部材22がどちらに回転するかによって、移送部材11が開方向へ回転するか閉方向へ回転するかが決定される。受部材22は、係合機構40に臨む面に、係合機構40のギアに係合する係合歯22aを備えている。この係合歯22aは、
図6に示すように、いずれの回転方向であっても噛合できるように左右対称の山形状で形成されている。
【0034】
ノッチ部材47は、ケース21に対するリールケース31の位置を安定させるための部材である。このノッチ部材47は、
図5に示すようなリング状の部材であり、周方向の2箇所に凸部47aを備えている。この凸部47aは、後述するリールケース31の凹部31fに係合させるためのものである。このノッチ部材47は、ケース21に回転不能に装着されている。具体的には、凸部47aが外周方向にやや突出して形成されており、この突出形状が回り止めとして作用するようになっている。
【0035】
また、このノッチ部材47は、ケース21に対して上下動可能であり、ノッチ付勢手段48によって常時上方向(リールケース31の凹部31fに係合する方向)へ付勢されている。
【0036】
リール機構30は、リールケース31と、リール32と、軸部材33と、紐材34と、付勢部材35と、紐材ガイド36と、係合機構40と、を備えている。
【0037】
リールケース31は、リール32を収容するための部材であり、
図3及び
図5に示すように、略円筒形状のリール収容部31aと、リール収容部31aの上端に突出形成された突起31bと、リール収容部31aの下方に突出した棒状部31cと、を備える。リール収容部31aの内部には、
図3に示すようにリール32が収容されている。リール収容部31aに収容されたリール32は、リールケース31に回転可能に支持されている。
【0038】
リールケース31の突起31bは、ケース21の支持孔21aに挿入するための部位である。また、棒状部31cは、ケース21の貫通孔21bに挿入される。突起31b及び棒状部31cは同軸上に断面円形で形成されており、これによりリールケース31がケース21に対して水平方向に回転可能となっている。すなわち、リールケース31は、突起31b及び棒状部31cの軸(反転軸)によって、ケース21に回転可能に支持されている。この反転軸は、リール32の回転軸に直交するように配置されており、少なくとも180度回転可能となっている。
【0039】
なお、
図5に示すように、棒状部31cの根元付近は大径に形成されており、この大径部31dの端縁にガイド面31eが形成されている。このガイド面31eは、ノッチ部材47の凸部47aの先端に臨むように形成されており、ガイド面31eの上を凸部47aの先端が摺動できるように形成されている。また、このガイド面31eの周方向の二箇所には、凹部31fが形成されている。この凹部31fは、ノッチ部材47の凸部47aを嵌り込ませることでリールケース31の位置を決定するためのものである。
【0040】
詳しくは、反転軸を中心にリールケース31を回転させると、ノッチ部材47の凸部47a先端がガイド面31eに沿って摺動する。このとき、ノッチ部材47はノッチ付勢手段48の付勢力に抗して押し下げられる。リールケース31が180度回転すると、ノッチ部材47の凸部47aが凹部31fに嵌り込む。ノッチ部材47はノッチ付勢手段48の付勢力によってガイド面31eに押し付けられているため、凸部47aと凹部31fとが係合し、ケース21に対するリールケース31の位置が安定する。このように構成することで、リールケース31は、反転軸を中心にケース21に対して180度回転した2つの位置で凸部47aと凹部31fとが係合し、位置が安定するようになっている。なお、この2つの安定した位置では、
図3等に示すように、リール32の回転軸と受部材22の軸とが同軸となるように設定されている。
【0041】
リール32は、軸部材33を回転軸としてリールケース31に回転可能に支持されており、外周部に保持溝32aを備えている。この保持溝32aに紐材34が巻回された状態でリールケース31に収容されている。
【0042】
紐材34は、一端がリール32に固定されてリール32に巻回されており、他端は後述する紐材ガイド36の内部を通ってリールケース31の外に引き出されている。リールケース31の外に引き出された紐材34の他端部は、後述する操作部材49に固定されており、操作部材49を引き操作したときに紐材34が引き出されてリール32が回転するように構成されている。
【0043】
付勢部材35は、リール32を紐材34の巻き取り方向に付勢するためのものである。例えばリコイルゼンマイなどが使用される。この付勢部材35もリールケース31に収容されている。
【0044】
紐材ガイド36は、リールケース31の棒状部31cを延長するように接続固定される棒状の部材である。この紐材ガイド36は、断面が多角形となるように形成した角柱部36aを備えている。この角柱部36aは、後述する操作部材49に挿入されて係合するようになっている。
【0045】
係合機構40は、受部材22に係合してリール32の回転力を伝達するためのものであり、リールケース31(リール32)の両側部に設けられている。この係合機構40は、リールケース31の一側部に設けられた第1の係合機構40Aと、リールケース31の他側部に設けられた第2の係合機構40Bと、からなる。第1の係合機構40A及び第2の係合機構40Bは、一方が遮蔽材14を開くためのものであり、他方が遮蔽材14を閉じるためのものである。第1の係合機構40Aと第2の係合機構40Bとは、互いに逆方向に回転するため、互いに反転した形状で形成されているが(
図5、
図7及び
図8を参照)、その他の基本的な構造は両者において共通である。
【0046】
この係合機構40は、摩擦部材41と、ガイド部材42と、係合部材43と、コイルバネ44と、を備える。これらの部材はすべて軸部材33を貫通させて取り付けられる。言い換えると、これらの部材はすべてリール32の回転軸と同軸で取り付けられる。
【0047】
摩擦部材41は、ガイド部材42に所定の摩擦力を付与するためのものである。摩擦部材41は、例えばゴム製のリングであり、リールケース31とガイド部材42とで挟み込んで保持されることにより、ガイド部材42の回転を抑制するように作用する。
【0048】
ガイド部材42は、軸部材33の軸方向へ係合部材43が移動するときの動きをガイドするためのものである。このガイド部材42は、中心部に軸部材33を貫通させる孔を備えており、軸部材33に回転自在に取り付けられている。このガイド部材42は、後述するコイルバネ44の付勢力が作用することで摩擦部材41に押し付けられており、これにより所定の摩擦力が付与されている。
【0049】
このガイド部材42は、
図7に示すようなリング状の部材であり、表面(係合部材43との対向面)にガイドスロープ42aと突き当て部42bとを備えている。ガイドスロープ42a及び突き当て部42bは、ガイド部材42を周方向に3分割した領域にそれぞれ1つずつ設けられている。すなわち、3つのガイドスロープ42a及び突き当て部42bが設けられている。ガイドスロープ42aは周方向に傾斜を形成しており、このガイドスロープ42aの最も高い位置には、この最も高い位置よりも高い段を形成する突き当て部42bが設けられている。
【0050】
係合部材43は、受部材22に係合する部材である。この係合部材43は、中心部に軸部材33を貫通させる角孔43cを備えている。この角孔43cに軸部材33が係合することで、係合部材43はリール32の回転軸である軸部材33と一体的に回転するようになっている。なお、係合部材43は軸部材33の軸方向に移動可能に取り付けられているが、後述するコイルバネ44の付勢力が作用することで常に内側に押し付けられている。
【0051】
この係合部材43は、
図8に示すようなリング状の部材である。この係合部材43の正面側(受部材22との対向面側)には、係合部43aが突出形成されている。係合部43aは、受部材22の係合歯22aに係合する部位である。また、この係合部材43の裏面側(ガイド部材42との対向面側)には、被ガイド部43bが突出形成されている。被ガイド部43bは、ガイド部材42のガイドスロープ42a上を走行する部位である。
【0052】
コイルバネ44は、
図3に示すように、係合部材43を内側(リール32側)へと付勢するためのものである。このコイルバネ44が係合部材43を付勢することで、ガイド部材42や摩擦部材41も内側(リール32側)へと付勢されている。
【0053】
操作部材49は、上記したリール機構30から引き出された紐材34の端部に取り付けられ、紐材34を引き出し操作可能にするためのものである。この操作部材49は、
図3に示すように、筒部49aと、延長部49bと、保持部材49cと、緩衝バネ49dと、を備えている。
【0054】
筒部49aは、紐材ガイド36を挿入可能な挿通孔49eを備えている。この挿通孔49eは、紐材ガイド36の角柱部36aと係合可能な角孔で形成されている。リール32が巻き取られた状態では、
図3に示すように、挿通孔49eに紐材ガイド36の角柱部36aが挿入され、互いに回転不能な状態となる。この状態で操作部材49を水平方向(紐材34の引き出し方向に対して直交する方向)に回転操作すると、紐材ガイド36にも水平方向に回転しようとする力が働き、リールケース31が反転軸を中心に水平方向に回転するようになっている。
【0055】
延長部49bは、筒部49aの長さを延長するためのものである。例えば遮蔽材開閉装置20が高い位置に取り付けられた場合に、延長部49bで操作部材49の全長を長くして操作容易とすることができる。
【0056】
保持部材49cは、紐材34の端部を取り付けるための部材である。この保持部材49cは、緩衝バネ49dを介して筒部49aの内部に取り付けられる。このように緩衝バネ49dを介して紐材34を取り付けることで、操作部材49に加わる衝撃を緩和することができる。例えば、操作部材49を引き操作して紐材34をすべて引き出したとしても、緩衝バネ49dが衝撃を緩和してくれるので、操作部材49を把持した手に加わる衝撃が小さくて済むようになっている。
【0057】
次に、上記した遮蔽材開閉装置20の使用方法と作動について説明する。
遮蔽材14を開く操作をする場合、まず遮蔽材開閉装置20が開操作の状態となっているかを確認する。具体的には、開操作用の係合機構40が受部材22に対向する状態となっているかを確認する。開操作の状態となっていない場合、言い換えると閉操作の状態となっている場合には、操作部材49を水平方向に180度回転させる。この操作により、リールケース31が反転軸を中心に180度回転するので、受部材22に対向する係合機構40が切り替わる。
【0058】
次に、操作部材49を引き操作する。操作部材49を引き操作すると、リール32が回転を開始する。リール32が回転すると、リール32と一体的に係合部材43も回転する。このとき、ガイド部材42には摩擦力が働いているため、ガイド部材42は回転せずに静止している。よって、ガイド部材42のガイドスロープ42aの上を、係合部材43の被ガイド部43bが滑りながら回転する。係合部材43は、ガイドスロープ42aによって回転軸の軸方向外側へと誘導される。このように外側へ移動した係合部材43は、
図4に示すように、受部材22と噛合するので、受部材22に動力が伝達される。すなわち、移送部材11が回転することで遮蔽材14が開く。なお、係合部材43の被ガイド部43bがガイドスロープ42aの上端に達すると、被ガイド部43bが突き当て部42bに係合する。これにより、ガイド部材42は、係合部材43と係合した状態となるので、係合部材43と一緒に回転する。
【0059】
操作部材49の操作が終わり、操作部材49から手を離すと、付勢部材35の付勢力によって自動的にリール32が巻き戻される。このとき、ガイド部材42には摩擦力が働いているため、ガイド部材42は回転せずに静止している。よって、ガイド部材42のガイドスロープ42aの上を、係合部材43の被ガイド部43bが滑りながら回転する。係合部材43は、ガイドスロープ42aによって回転軸の軸方向内側へと誘導される。このように係合部材43が内側へ移動することで、受部材22との噛合が解除され、受部材22に動力は伝達されない。リール32が完全に巻き戻されると、
図3に示すような初期状態へと戻る。
【0060】
なお、遮蔽材14を閉じる操作をする場合には、受部材22に対向する係合機構40を切り替えて遮蔽材開閉装置20を閉操作の状態とし、操作部材49を引き操作すればよい。受部材22に対向する係合機構40を切り替えれば、係合機構40の回転方向が切り替わるので、移送部材11の回転方向も切り替えることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、リール32と、リール32に巻回された紐材34と、リール32を紐材34の巻き取り方向に付勢する付勢部材35と、紐材34の端部に取り付けられ、紐材34を引き出し操作可能にする操作部材49と、リール32の両側部に設けられた一対の係合機構40と、一対の係合機構40のいずれかと係合し、リール32の回転力を移送部材11に伝達する受部材22と、を備えている。このような構成によれば、操作部材49を引き操作して紐材34を引き出すことでリール32が回転し、このリール32の回転力が係合機構40を介して受部材22へ伝達され、移送部材11が回転することで遮蔽材14の開閉が行われる。よって、遮蔽材14を直接触らなくても開閉することができるので、遮蔽材14を汚したり、遮蔽材14を破損したりといった問題が生じにくい。
【0062】
そして、操作した操作部材49を離すと、付勢部材35によって紐材34がリール32に巻き取られ、操作部材49が元に位置に戻る。よって、操作紐やボールチェーンが垂れ下がった状態とはならないので、子供のいたずらによる事故を防止でき、安全性を高めることができる。また、装置をコンパクトに保つことができ、すっきりとした外観を保つことができる。
【0063】
また、リール32は、リール32の回転軸に直交する反転軸によって少なくとも180度回転可能に支持され、リール32が反転軸を中心に180度回転することで、受部材22が一対の係合機構40のどちらと係合するかを切り替え可能とした。このような構成によれば、反転軸を中心にリール32を180度回転させることで、開操作または閉操作の切り替えを行うことができる。すなわち、リール32の一側に設けられた係合機構40と、リール32の他側に設けられた係合機構40とは、互いに異なる方向に回転するため、どちらの係合機構40を使用するかによって移送部材11の回転方向を切り替えることができる。よって、遮蔽材14の開操作を行いたい場合には一方の係合機構40を使用し、遮蔽材14の閉操作を行いたい場合には他方の係合機構40を使用すればよい。このように一本の操作部材49で遮蔽材14の開閉操作を実現することで、遮蔽材開閉装置20をシンプルな構造とすることができる。言い換えると、部品点数を減らしてコンパクトかつ安価に製作できるとともに、見栄えが良く操作し易い遮蔽材開閉装置20を提供することができる。
【0064】
また、操作部材49が紐材34の引き出し方向に対して直交する方向に回転操作されたときに、リール32が反転軸を中心に回転するようにした。すなわち、操作部材49を軸回転させると、これに連動してリール32が反転軸を中心に回転し、一対の係合機構40のどちらと係合するかが切り替わるようにした。このような構成によれば、分かりやすく簡易な操作で開操作または閉操作の切り替えを行うことができるので、使い勝手の良い遮蔽材開閉装置20を提供することができる。
【0065】
また、係合機構40は、リール32の側部に所定の摩擦力で取り付けられたガイド部材42と、回転軸(軸部材33)と一体的に回転し、かつ、回転軸の軸方向に移動可能な係合部材43と、を備え、リール32が回転し始めたときに、係合部材43が回転しつつガイド部材42に誘導されて回転軸の軸方向外側へ移動し、外側へ移動した係合部材43が受部材22と噛合するようにした。このような構成によれば、操作部材49が引き操作されてリール32が回転を開始すると、係合部材43が外側へ移動して受部材22と噛合し、移送部材11へ動力が伝達される。一方、操作部材49が離されてリール32が逆回転を開始すると、係合部材43が内側へ移動して受部材22との噛合が解除されるので、移送部材11が逆回転することはない。このような構成によれば、操作部材49が操作されていないときの係合機構40をコンパクトに保つことができるので、リール32が反転軸を中心に回転するときの回転半径を小さくすることができる。よって、リール32を回転させるためのスペースを小さくすることができるので、遮蔽材開閉装置20をコンパクトに構成することができる。
【0066】
なお、上記した実施形態においては、操作部材49が紐材34の引き出し方向に対して直交する方向に回転操作されたときに、リール32が反転軸を中心に回転するようにしたが、別の方法によってリール32を回転させてもよい。
【0067】
例えば、
図9に示すように、操作部材49をリール32側へ押し込んだときに、リール32が反転軸を中心に回転するようにしてもよい。
【0068】
この変形例に係る構成においては、リールケース31は、ケース21に対して上下動可能に取り付けられており、リールケース付勢部材51によって常に下方へと押し付けられている。また、リールケース31の下端付近には、回転部53が一体的に設けられている。
【0069】
上記した回転部53の下方には、回転部53の下端縁に臨むようにノック部材52及びカム部54が設けられている。ノック部材52は、ケース21に対して上下動可能に取り付けら得ているが、リールケース付勢部材51によって付勢されたリールケース31によって下方へと押し付けられている。カム部54は、ケース21に一体的に設けられている。
【0070】
このような構成においては、操作されていない状態では
図10(a)に示すように、回転部53のカム歯53bとカム部54のカム溝54bとが噛合している。この状態から操作部材49をリール32側へ押し込むと、
図10(b)に示すように、ノック部材52が回転部53を押し上げる。押し上げられた回転部53は、
図10(c)に示すように、ノック部材52の先端に形成された傾斜部52aに案内されて回動する。回転部53が回動すると、回転部53の傾斜部53aが、隣接するカム部54の傾斜部54aに誘導され、回転部53が更に回動する。最終的に、
図10(d)に示すように、回転部53が180度回転した状態で回転部53とカム部54とが噛合する。これにより、リールケース31が反転軸を中心に180度回転する。
【0071】
このような構成であっても、分かりやすく簡易な操作で開操作または閉操作の切り替えを行うことができるので、使い勝手の良い遮蔽材開閉装置20を提供することができる。