特許第6587593号(P6587593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587593
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】電気ポット
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   A47J27/21 101V
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-203552(P2016-203552)
(22)【出願日】2016年10月17日
(65)【公開番号】特開2018-64645(P2018-64645A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】入江 正治
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−223946(JP,A)
【文献】 特開2001−046229(JP,A)
【文献】 特開2005−282977(JP,A)
【文献】 特開平06−141974(JP,A)
【文献】 特開2007−035529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00−27/13
A47J 27/20−29/06
A47J 33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器と、前記容器に収容された液体の温度を検出するサーミスタと、マイコンとを有する電気ポットであって、
前記マイコンは、
前記サーミスタから取得したアナログ信号をA/D変換してデジタル信号を得るA/D変換動作が可能な高速モードと、
前記A/D変換動作を行わず前記高速モードよりも低速で動作する低速モードとを実行可能に構成され、
前記容器に収容された液体の沸騰を行う沸騰動作の終了後に、前記マイコンが前記高速モードから前記低速モードへ切り換わる電気ポット。
【請求項2】
前記容器に収容された液体の保温を行う保温動作において、前記マイコンが前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行し、前記高速モードの時間より前記低速モードの時間の方が長い請求項1に記載の電気ポット。
【請求項3】
前記電気ポットは、前記沸騰動作の終了後に第1保温動作を行い、第1保温動作を所定時間行った後に第2保温動作を行うよう構成され、
前記第1保温動作において前記マイコンは、前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行し、
前記第2保温動作において前記マイコンは、前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行し、
前記第2保温動作における前記低速モードの継続時間は、前記第1保温動作における前記低速モードの継続時間よりも短い、請求項2に記載の電気ポット。
【請求項4】
前記電気ポットは、前記沸騰動作の終了後にカルキ飛ばし動作を行うよう構成され、
前記カルキ飛ばし動作において前記マイコンは、前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行する請求項1から3のいずれか1項に記載の電気ポット。
【請求項5】
交流から直流を生成する電源回路と、前記電源回路から供給された直流を降圧する降圧回路と、保温動作の際に点灯する保温表示LEDとを有し、
前記降圧回路から前記マイコンに直流が供給され、
前記電源回路から前記保温表示LEDに直流が供給される請求項1から4のいずれか1項に記載の電気ポット。
【請求項6】
交流から直流を生成する電源回路と、前記電源回路から供給された直流を降圧する降圧回路と、カルキ飛ばし動作の際に点灯するカルキ飛ばし表示LEDとを有し、
前記降圧回路から前記マイコンに直流が供給され、
前記電源回路から前記カルキ飛ばし表示LEDに直流が供給される請求項1から5のいずれか1項に記載の電気ポット。
【請求項7】
前記マイコンは、第1入力ポートと第2入力ポートとを有し、
前記第1入力ポートに前記サーミスタが接続され、前記第2入力ポートに前記サーミスタが積分回路を介して接続され、
前記マイコンは、高速モードにおいて第1入力ポートへのアナログ信号をA/D変換してデジタル信号を得るA/D変換動作を行い、
前記低速モードにおいて第2入力ポートへのアナログ信号を監視して、所定の閾値を超える当該アナログ信号の変動があった際に、前記低速モードから前記高速モードへ切り換わるよう構成される請求項1から6のいずれか1項に記載の電気ポット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ポットに関する。
【背景技術】
【0002】
電源が投入されると、一旦沸騰状態まで加熱し、その後所望の保温温度で保温するように構成した電気ポットが知られている。特許文献1の電気ポットでは、湯沸かしモードにおいては、温度検出手段からの信号に基づいて容器内の湯の温度が、沸騰温度であるか否かが判断される。沸騰温度である場合、湯沸かしヒータをオフして保温モードに移行する。そして保温モードでは、温度検出手段からの信号に基づいて容器内の湯の温度が、設定された保温温度以上であるか否かが判断され、その判断に基づいて保温ヒータがオン/オフされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−210327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気ポットの省エネ性能向上のためには、断熱材の使用や、沸騰検知の高速化等が必要である。しかし断熱材の使用は材料費・重量の増加を招いてしまう。沸騰検知の高速化にはサーミスタ性能の向上や別途のサーミスタ追加が必要となり、同様に材料費の増加を招いてしまう。電気ポットの動作を制御するマイコンを低速動作させると、消費電力を削減できる一方で、機能・性能が制限されてしまうため、単なる低速動作化は採用することができない。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、機能や利便性を損なうことなく省エネ性能を向上した電気ポットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成1〕
上記目的を達成するための電気ポットの特徴構成は、液体を収容する容器と、前記容器に収容された液体の温度を検出するサーミスタと、マイコンとを有する電気ポットであって、
前記マイコンは、
前記サーミスタから取得したアナログ信号をA/D変換してデジタル信号を得るA/D変換動作が可能な高速モードと、
前記A/D変換動作を行わず前記高速モードよりも低速で動作する低速モードとを実行可能に構成され、
前記容器に収容された液体の沸騰を行う沸騰動作の終了後に、前記マイコンが前記高速モードから前記低速モードへ切り換わる点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、マイコンは、サーミスタから取得したアナログ信号をA/D変換してデジタル信号を得るA/D変換動作が可能な高速モードと、A/D変換動作を行わず高速モードよりも低速で動作する低速モードとを実行可能に構成されるから、マイコンを低速モードで実行することで電気ポットの消費電力を削減することができる。そして低速モードへの切り換えは容器に収容された液体の沸騰を行う沸騰動作の終了後に行われるから、沸騰検知が遅れる事態を回避しつつ消費電力を削減することができる。すなわち上記の特徴構成によれば、機能や利便性を損なうことなく省エネ性能を向上することができる。
【0008】
〔構成2〕
本発明に係る電気ポットの別の特徴構成は、前記容器に収容された液体の保温を行う保温動作において、前記マイコンが前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行し、前記高速モードの時間より前記低速モードの時間の方が長い点にある。
【0009】
上記の特徴構成によれば、容器に収容された液体の保温を行う保温動作において、マイコンが高速モードと低速モードとを交互に実行し、高速モードの時間より低速モードの時間の方が長いため、より多くの消費電力を削減することができ好適である。
【0010】
〔構成3〕
本発明に係る電気ポットの別の特徴構成は、前記電気ポットは、前記沸騰動作の終了後に第1保温動作を行い、第1保温動作を所定時間行った後に第2保温動作を行うよう構成され、
前記第1保温動作において前記マイコンは、前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行し、
前記第2保温動作において前記マイコンは、前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行し、
前記第2保温動作における前記低速モードの継続時間は、前記第1保温動作における前記低速モードの継続時間よりも短い点にある。
【0011】
保温動作を長時間行うと、使用により減少した湯水を補充するために、容器に水が注がれる可能性が高くなる。上記の特徴構成によれば、第1保温動作を所定時間行った後に第2保温動作を行うよう構成され、第2保温動作における低速モードの継続時間は、第1保温動作における低速モードの継続時間よりも短いため、第2保温動作では水の補充による湯温低下を迅速に検知することが可能となる。すなわち上記の特徴構成によれば、消費電力削減を重視した第1保温動作と、温度検知機能を重視した第2保温動作とを組み合わせて行うことで、利便性と省エネ性能とを両立させることができる。
【0012】
〔構成4〕
本発明に係る電気ポットの別の特徴構成は、前記電気ポットは、前記沸騰動作の終了後にカルキ飛ばし動作を行うよう構成され、
前記カルキ飛ばし動作において前記マイコンは、前記高速モードと前記低速モードとを交互に実行する点にある。
【0013】
上記の特徴構成によれば、電気ポットは、沸騰動作の終了後にカルキ飛ばし動作を行うよう構成され、カルキ飛ばし動作においてマイコンは、高速モードと低速モードとを交互に実行するため、カルキ飛ばし動作中の消費電力を削減して省エネ性能を向上することができ好ましい。
【0014】
〔構成5〕
本発明に係る電気ポットの別の特徴構成は、交流から直流を生成する電源回路と、前記電源回路から供給された直流を降圧する降圧回路と、保温動作の際に点灯する保温表示LEDとを有し、前記降圧回路から前記マイコンに直流が供給され、前記電源回路から前記保温表示LEDに直流が供給される点にある。
【0015】
上記の特徴構成によれば、電源回路から保温表示LEDに直流が供給されるため、降圧回路を介して保温表示LEDに直流が供給される場合に比べて消費電力を削減することができ好適である。
【0016】
〔構成6〕
本発明に係る電気ポットの別の特徴構成は、交流から直流を生成する電源回路と、前記電源回路から供給された直流を降圧する降圧回路と、カルキ飛ばし動作の際に点灯するカルキ飛ばし表示LEDとを有し、前記降圧回路から前記マイコンに直流が供給され、前記電源回路から前記カルキ飛ばし表示LEDに直流が供給される点にある。
【0017】
上記の特徴構成によれば、電源回路からカルキ飛ばし表示LEDに直流が供給されるため、降圧回路を介してカルキ飛ばし表示LEDに直流が供給される場合に比べて消費電力を削減することができ好適である。
【0018】
〔構成7〕
本発明に係る電気ポットの別の特徴構成は、前記マイコンは、第1入力ポートと第2入力ポートとを有し、
前記第1入力ポートに前記サーミスタが接続され、前記第2入力ポートに前記サーミスタが積分回路を介して接続され、
前記マイコンは、高速モードにおいて第1入力ポートへのアナログ信号をA/D変換してデジタル信号を得るA/D変換動作を行い、
前記低速モードにおいて第2入力ポートへのアナログ信号を監視して、所定の閾値を超える当該アナログ信号の変動があった際に、前記低速モードから前記高速モードへ切り換わるよう構成される点にある。
【0019】
上記の特徴構成によれば、マイコンの第1入力ポートにサーミスタが接続され、第2入力ポートにサーミスタが積分回路を介して接続され、マイコンが低速モードにおいて第2入力ポートへのアナログ信号を監視して、所定の閾値を超える当該アナログ信号の変動があった際に、低速モードから高速モードへ切り換わるよう構成されるため、低速モードにおいても急激な温度変化があった際にマイコンを高速モードへ切り換えて対処することができる。すなわち上記の特徴構成によれば、低速モードでの消費電力の削減と、高速モードへの切り換えによる高機能動作とを両立することができ好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電気ポットの概要を示す概略図
図2】電気ポットの電源・制御回路の概要を示す説明図
図3】電気ポットで行われる沸騰動作・カルキ飛ばし動作の概要を示すフローチャート
図4】電気ポットで行われる保温動作の概要を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態に係る電気ポット1について図面に基づいて説明する。図1に示す電気ポット1は、本体1a、蓋体2、容器3、湯沸かしヒータ4a、保温ヒータ4b、サーミスタ5、吐出口6、吐出管7、電動ポンプ8、操作表示パネル9および制御部10を有して構成される。
【0022】
蓋体2は、本体1aに開閉自在に取り付けられている。容器3は本体1aの内部に設けられた、湯水を収容する縦長の容器である。湯沸かしヒータ4aは、容器3の底面の外側に配置された、容器3に収容された湯水を加熱して沸騰させる電気ヒータである。保温ヒータ4bは、容器3の底面の外側に配置された、容器3に収容された湯水を加熱して保温する電気ヒータである。サーミスタ5は、容器3の側面の外側に配置された、容器3に収容された湯水の温度を検出する手段である。
【0023】
前記容器3の底から前記容器3の内部と連通し前記容器3の前側の側壁に沿って立ち上がり前記本体1aの肩部に形成された吐出口6に至る吐出管7が接続されている。前記吐出管7の下部には、前記容器3内の湯を吐出する吐出手段である電動ポンプ8を有している。本体1aの前側肩部には、操作表示パネル9が設けられている。操作表示パネル9には、カルキ飛ばし動作中であることを示すカルキ飛ばし表示LED9aと、保温動作中であることを示す保温表示LED9bとが設けられている。
【0024】
制御部10は、湯沸かしヒータ4a、保温ヒータ4b、電動ポンプ8、操作表示パネル9、カルキ飛ばし表示LED9aおよび保温表示LED9bに電力を供給し、またこれらの動作制御を行う。制御部10は、沸騰制御部10aおよび保温制御部10bを有する。沸騰制御部10aは、湯沸かしヒータ4aを制御して、容器3に収容された湯水の沸騰を制御する。保温制御部10bは、保温ヒータ4bを制御して、容器3に収容された湯水の保温を制御する。
【0025】
制御部10は、図2に示す回路を有して構成される。交流電源21は、例えばAC100Vの家庭用電源であり、交流を電源回路22へ供給する。電源回路22は、交流電源21により供給された交流から、直流(例えば、DC12V)を生成する。降圧回路23は、電源回路22から供給された直流を降圧して、直流(例えば、DC5V)を生成する。降圧回路23は、マイコン24へ直流を供給する。
【0026】
電源回路22で生成された直流(DC12V)は、図2に示すように、カルキ飛ばし表示LED9aおよび保温表示LED9bに供給される。カルキ飛ばし表示LED9aは、トランジスタ25により点灯/消灯される。保温表示LED9bは、トランジスタ26により点灯/消灯される。
【0027】
マイコン24は、第1出力ポートPO1、第2出力ポートPO2、第1入力ポートPI1、第2入力ポートPI2および第3入力ポートPI3を有して構成される。第1出力ポートPO1にトランジスタ25が接続され、第2出力ポートPO2にトランジスタ26が接続される。これによりマイコン24は、第1出力ポートPO1および第2出力ポートPO2の出力によって、カルキ飛ばし表示LED9aおよび保温表示LED9bの点灯/消灯を制御する。
【0028】
第1入力ポートPI1には、サーミスタ5が接続される。マイコン24は、サーミスタ5から第1入力ポートPI1へのアナログ信号をA/D変換して、容器3の湯水の温度に係るデジタル信号を得る。このA/D変換動作は、後述するマイコン24の高速モードで行われる。
【0029】
第2入力ポートPI2には、サーミスタ5が積分回路27を介して接続される。積分回路27を介することで、サーミスタ5からの信号が積分されて第2入力ポートPI2に入力される。
【0030】
第3入力ポートPI3には、操作表示パネル9が接続される。すなわち、操作表示パネル9に対して入力された沸騰開始、保温温度設定等の操作が、第3入力ポートPI3を通じてマイコン24へ入力される。
【0031】
本実施形態に係るマイコン24は、高速モードと低速モードとを切り換えて実行することが可能なように構成される。高速モードは、全ての機能を利用することができ高速で動作する。低速モードは、高速モードに比べて低速で動作し、一部の機能が制限される。低速モードでのマイコン24の消費電力は、高速モードに比べて小さい。上述のA/D変換動作は、高速モードで行うことができ、低速モードでは実行されない。
【0032】
第2入力ポートPI2および第3入力ポートPI3への入力の監視は、高速モードと低速モードの両方で行われる。本実施形態に係る電気ポット1では、低速モードの実行中に第2入力ポートPI2および第3入力ポートPI3への入力を監視する。そして、第2入力ポートPI2へのアナログ信号に、所定の閾値を超える変動があった際に、マイコン24の動作を低速モードから高速モードへ切り換えるよう、マイコン24が構成されている。また、第3入力ポートPI3に入力があった際、すなわち操作表示パネル9への操作があった際に、マイコン24の動作を低速モードから高速モードへ切り換えるよう、マイコン24が構成されている。
【0033】
次に図3を参照して、電気ポット1で行われる沸騰動作およびカルキ飛ばし動作について説明する。
【0034】
容器3に水が満たされ、電気ポット1に通電されると、沸騰動作が開始される。具体的には、沸騰制御部10aによる湯沸かしヒータ4aへの通電と、サーミスタ5を用いた湯水の温度検出が開始される。このとき、沸騰完了を迅速に検知するため、マイコン24では高速モードが実行される。そしてステップ#S101へ進む。
【0035】
ステップ#S101では、サーミスタ5が検出する容器3の水の温度が所定の閾値(例えば、100℃)を越えると、沸騰を完了する。そしてステップ#S102へ進む。
【0036】
ステップ#S102では、カルキ飛ばし動作が開始される。具体的には、所定の時間(カルキ飛ばし時間、例えば、3分)湯水の温度を所定の温度(例えば、95℃)に保つよう、湯沸かしヒータ4aへの通電を制御する。併せて、カルキ飛ばし動作の経過時間の計測が開始される。そしてステップ#S103へ進む。
【0037】
ステップ#S103では、マイコン24で低速モードが実行される。これによりマイコン24でのサーミスタ5の信号のA/D変換動作が停止する。すなわち本実施形態の電気ポット1では、容器3に収容された液体の沸騰を行う沸騰動作の終了後に、マイコン24が高速モードから低速モードへ切り換わる。このとき、低速モードの実行時間の計測が開始される。そしてステップ#S104へ進む。
【0038】
ステップ#S104では、低速モードの実行を開始してからの時間が、所定の継続時間(例えば、5秒)を経過したか否かを確認する。低速モードの実行時間が継続時間を経過した場合(ステップ#S104:Yes)、ステップ#S105へ進む。低速モードの実行時間が継続時間を経過していない場合(ステップ#S104:No)、ステップ#S104を再び実行する。
【0039】
ステップ#S105では、マイコン24で高速モードが実行される。つまり、マイコン24が低速モードから高速モードへ切り換わる。そしてステップ#S106へ進む。
【0040】
ステップ#S106では、サーミスタ5からの温度の読み込みが行われる。すなわち、マイコン24で第1入力ポートPI1へのサーミスタ5からのアナログ信号のA/D変換が行われ、容器3の湯水の温度(デジタル信号)が取得される。そして、取得された湯水の温度に基づいて、湯沸かしヒータ4aの制御が行われる。そしてステップ#S107へ進む。
【0041】
ステップ#S107では、カルキ飛ばし動作を開始してからの時間が、所定の時間(カルキ飛ばし時間、例えば、3分)を経過したか否かを確認する。低速モードの実行時間がカルキ飛ばし時間を経過した場合(ステップ#S107:Yes)、カルキ飛ばし動作を終了する。低速モードの実行時間が継続時間を経過していない場合(ステップ#S107:No)、ステップ#S103へ戻る。
【0042】
以上のようにして、電気ポット1での沸騰動作およびカルキ飛ばし動作が行われる。つまり本実施形態に係る電気ポット1では、沸騰動作の終了後にカルキ飛ばし動作を行うよう構成され、カルキ飛ばし動作においてマイコン24は、高速モードと低速モードとを交互に実行する(ステップ#S103および#S105)。
【0043】
次に図4を参照して、電気ポット1で行われる保温動作(第1保温動作および第2保温動作)について説明する。保温動作は、上述した沸騰動作およびカルキ飛ばし動作の終了後に行われる。
【0044】
ステップ#S201では、第1保温動作が開始される。第1保温動作の経過時間の計測が開始される。そしてステップ#S202へ進む。
【0045】
ステップ#S202では、マイコン24で低速モードが実行される。これによりマイコン24でのサーミスタ5の信号のA/D変換動作が停止する。低速モードの実行時間の計測が開始される。そしてステップ#S203へ進む。
【0046】
ステップ#S203では、低速モードの実行を開始してからの時間が、所定の時間(第1継続時間、例えば、10秒)を経過したか否かを確認する。低速モードの実行時間が第1継続時間を経過した場合(ステップ#S203:Yes)、ステップ#S204へ進む。低速モードの実行時間が第1継続時間を経過していない場合(ステップ#S203:No)、ステップ#S203を再び実行する。
【0047】
ステップ#S204では、マイコン24で高速モードが実行される。つまり、マイコン24が低速モードから高速モードへ切り換わる。そしてステップ#S205へ進む。
【0048】
ステップ#S205では、サーミスタ5からの温度の読み込みが行われる。すなわち、マイコン24で第1入力ポートPI1へのサーミスタ5からのアナログ信号のA/D変換が行われ、容器3の湯水の温度(デジタル信号)が取得される。そして、取得された湯水の温度に基づいて、保温ヒータ4bの制御が行われる。そしてステップ#S206へ進む。
【0049】
ステップ#S206では、第1保温動作を開始してからの時間が、所定の時間(第1保温動作時間、例えば、1時間)を経過したか否かを確認する。第1保温動作の実行時間が第1保温動作時間を経過した場合(ステップ#S206:Yes)、第1保温動作を終了してステップ#S207へ進む。第1保温動作の実行時間が第1保温動作時間を経過していない場合(ステップ#S206:No)、ステップ#S202へ戻る。
【0050】
ステップ#S207では、第2保温動作が開始される。第2保温動作の経過時間の計測が開始される。そしてステップ#S208へ進む。
【0051】
ステップ#S208では、マイコン24で低速モードが実行される。これによりマイコン24でのサーミスタ5の信号のA/D変換動作が停止する。低速モードの実行時間の計測が開始される。そしてステップ#S209へ進む。
【0052】
ステップ#S209では、低速モードの実行を開始してからの時間が、所定の時間(第2継続時間、例えば、5秒)を経過したか否かを確認する。なお第2保温動作における低速モードの継続時間は、第1保温動作における低速モードの継続時間よりも短かく設定される。低速モードの実行時間が第2継続時間を経過した場合(ステップ#S209:Yes)、ステップ#S210へ進む。低速モードの実行時間が第2継続時間を経過していない場合(ステップ#S209:No)、ステップ#S209を再び実行する。
【0053】
ステップ#S210では、マイコン24で高速モードが実行される。つまり、マイコン24が低速モードから高速モードへ切り換わる。そしてステップ#S211へ進む。
【0054】
ステップ#S211では、サーミスタ5からの温度の読み込みが行われる。すなわち、マイコン24で第1入力ポートPI1へのサーミスタ5からのアナログ信号のA/D変換が行われ、容器3の湯水の温度(デジタル信号)が取得される。そして、取得された湯水の温度に基づいて、保温ヒータ4bの制御が行われる。そしてステップ#S208へ戻り、第2保温動作が継続される。
【0055】
以上のようにして、電気ポット1での保温動作が行われる。つまり本実施形態に係る電気ポット1では、上述した沸騰動作およびカルキ飛ばし動作の終了後に第1保温動作を行い、第1保温動作を所定時間(第1保温動作時間)行った後に第2保温動作を行うよう構成されている。第1保温動作および第2保温動作においてマイコン24は、高速モードと低速モードとを交互に実行し、そして第2保温動作における低速モードの継続時間(第2継続時間)は、第1保温動作における低速モードの継続時間(第1継続時間)よりも短い。
【0056】
<他の実施形態>
(1)上述の実施形態では、沸騰動作の後にカルキ飛ばし動作が行われるが、沸騰動作の後にカルキ飛ばし動作を行わずに保温動作を行うよう、電気ポット1を構成してもよい。その場合であっても、容器3に収容された液体の沸騰を行う沸騰動作の終了後に、マイコン24が高速モードから低速モードへ切り換わる(ステップ#S202)といえる。
【0057】
(2)上述の実施形態では、第1保温動作の後に第2保温動作が行われるが、第2保温動作を行わず第1保温動作を継続するよう電気ポット1を構成することも可能である。また、第2保温動作を所定時間行った後に、低速モードの継続時間が更に短い第3保温動作を行うよう、電気ポット1を構成してもよい。
【0058】
上述の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 :電気ポット
1a :本体
2 :蓋体
3 :容器
4a :湯沸しヒータ
4b :保温ヒータ
5 :サーミスタ
6 :吐出口
7 :吐出管
8 :電動ポンプ
9 :操作表示パネル
10 :制御部
10a :沸騰制御部
10b :保温制御部
21 :交流電源
22 :電源回路
23 :降圧回路
24 :マイコン
25 :トランジスタ
26 :トランジスタ
27 :積分回路
図1
図2
図3
図4