特許第6587595号(P6587595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587595
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   H01R13/629
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-213353(P2016-213353)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-73674(P2018-73674A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 貴士
(72)【発明者】
【氏名】川島 健一
(72)【発明者】
【氏名】赤木 洋介
(72)【発明者】
【氏名】梶川 謙士
(72)【発明者】
【氏名】鳶野 幸太郎
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−059554(JP,A)
【文献】 特開2009−301926(JP,A)
【文献】 特開2009−117096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタの相手側ハウジングに形成された嵌合凹部に対して挿抜されるハウジングと、前記ハウジングに対して回動可能に装着されたレバーと、を有し、
前記レバーを、前記ハウジングが前記相手側ハウジングに嵌合されていない仮係止状態に対応する位置と、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとの嵌合が完了した本係止状態に対応する位置と、の間で回動させることで、前記レバーと前記相手側ハウジングとの間の低挿入力機構によって前記相手側ハウジングに対する前記ハウジングの挿抜力が補助されるレバー式コネクタであって、
前記レバーは、
前記ハウジングの側面に沿って配置された側板と、
前記側板の端部を連結する操作部と、
を有し、
前記ハウジングの側面には、突起が形成され、
前記レバーの前記側板に形成された円弧状の長孔であって、前記突起が当該長孔に挿通され、前記仮係止状態では当該長孔の一端に前記突起が位置し、且つ、前記本係止状態では当該長孔の他端に前記突起が位置することで前記ハウジングに対する前記レバーの回動範囲を前記仮係止状態に対応する位置と前記本係止状態に対応する位置との間の範囲内に規制する長孔が形成され、
前記長孔の少なくとも前記一端には、外側が凹む係合段部が形成され、
前記突起の先端側には、前記長孔に沿って延在し、前記係合段部に係合可能な係合片が形成され、
前記係合段部と前記係合片とは、前記仮係止状態で互いに係合される
ことを特徴とするレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記突起は、前記側板の外面から突出することなく前記長孔内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記係合片は、前記仮係止状態のときに限って前記係合段部に係合する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レバーの操作によって相手側コネクタに対して低挿入力で接合させるレバー式コネクタが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
このレバー式コネクタは、図9(a)及び図9(b)に示すように、ハウジング101に回動可能に設けられたレバー102を、仮係止状態(図9(a)の状態)と本係止状態(図9(b)の状態)との間で回動操作することにより、相手側コネクタの相手側ハウジングに対する接合及び離脱を補助するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−82115号公報
【特許文献2】特開2013−62078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のレバー式コネクタは、レバー102の側板103に形成された回動孔104に、ハウジング101に形成された回動突起105が挿し込まれることで、ハウジング101に対してレバー102が所定の範囲で回動可能とされている。また、上記のレバー式コネクタは、回動突起105に回動孔104の縁部104aと係合する係合片106が形成されており、係合片106と回動孔104の縁部104aとの係合によってハウジング101に対するレバー102の外れが抑制される。
しかし、このコネクタは、仮係止状態(図9(a)の状態)からレバー102を回動させて本係止状態(図9(b)の状態)とする際に、回動突起105の係合片106が回動孔104の縁部104aに摺接するため、その摺動摩擦抵抗によってレバー102の操作性が低下してしまう。
このため、レバー式コネクタにおいては、良好な操作性を確保することが望まれている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な操作性を確保することが可能なレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るレバー式コネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 相手側コネクタの相手側ハウジングに形成された嵌合凹部に対して挿抜されるハウジングと、前記ハウジングに対して回動可能に装着されたレバーと、を有し、
前記レバーを、前記ハウジングが前記相手側ハウジングに嵌合されていない仮係止状態に対応する位置と、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとの嵌合が完了した本係止状態に対応する位置と、の間で回動させることで、前記レバーと前記相手側ハウジングとの間の低挿入力機構によって前記相手側ハウジングに対する前記ハウジングの挿抜力が補助されるレバー式コネクタであって、
前記レバーは、
前記ハウジングの側面に沿って配置された側板と、
前記側板の端部を連結する操作部と、
を有し、
前記ハウジングの側面には、突起が形成され、
前記レバーの前記側板に形成された円弧状の長孔であって、前記突起が当該長孔に挿通され、前記仮係止状態では当該長孔の一端に前記突起が位置し、且つ、前記本係止状態では当該長孔の他端に前記突起が位置することで前記ハウジングに対する前記レバーの回動範囲を前記仮係止状態に対応する位置と前記本係止状態に対応する位置との間の範囲内に規制する長孔が形成され、
前記長孔の少なくとも前記一端には、外側が凹む係合段部が形成され、
前記突起の先端側には、前記長孔に沿って延在し、前記係合段部に係合可能な係合片が形成され、
前記係合段部と前記係合片とは、前記仮係止状態で互いに係合される
ことを特徴とするレバー式コネクタ。
(2) 前記突起は、前記側板の外面から突出することなく前記長孔内に配置されている、
ことを特徴とする(1)に記載のレバー式コネクタ。
(3) 前記係合片は、前記仮係止状態のときに限って前記係合段部に係合する、ことを特徴とする(1)又は(2)に記載のレバー式コネクタ。
【0007】
上記(1)の構成のレバー式コネクタでは、操作部を把持してレバーを移動させることで、低挿入力機構によって相手側ハウジングに対するハウジングの挿抜力が補助される。このレバーは、ハウジングを相手側ハウジングから離脱させる方向へ移動された仮係止状態において係合段部と係合片とが互いに係合することで、側板がハウジングの側面に係止される。つまり、ハウジングが相手側ハウジングに嵌合されてレバーの外れのおそれがない本係止状態ではなく、相手側ハウジングへ嵌合されていない仮係止状態におけるレバーの外れを確実に防止することができる。したがって、仮係止状態において振動や衝撃によってレバーに外力が付与されたとしても、突起の長孔からの抜け出しを防ぐことができ、レバーのハウジングからの脱落を防止することができる。特に、相手側ハウジングへ接合する前の輸送時等に振動や衝撃が付与された際のレバーの外れを効果的に防止できる。
しかも、係合片は、長孔に沿って延在され、仮係止状態のときだけに係合段部と係合する。したがって、相手側ハウジングとの接合時にレバーを移動させる際に、係合片が長孔の縁部などへ接触し、その摺動摩擦抵抗によってレバーの操作性が低下することが抑えられ、良好な操作性を確保することができる。また、係合片が長孔に沿って延在されているので、長孔に突起を挿通させる際に係合片が邪魔にならない。したがって、側板の長孔に係合片を通すための切欠きや逃げなどを形成する必要がない。また、突起の先端から延在する係合片を外側が凹む係合段部に係合させる構造であるので、この係合構造を側板の板厚の範囲内に設けることができる。つまり、ハウジングに切欠きや逃げなどの加工を施すことによるコストアップや強度低下を招くことなく、また、側板から突出する突起によるハウジングの大型化を招くことなく、外力の付与時におけるレバーの外れを抑制することができる。
上記(2)の構成のレバー式コネクタでは、側板から突出する突起によってハウジングの大型化を招くことなく、外力の付与時におけるレバーの外れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な操作性を確保することが可能なレバー式コネクタを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係るレバー式コネクタの斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るレバー式コネクタの分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るレバー式コネクタの側面図である。
図4図4は、本係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図4(a)は側面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。
図5図5は、仮係止状態のレバー式コネクタの側面図である。
図6図6は、仮係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図6(a)は側面図、図6(b)は図6(a)のB−B断面図である。
図7図7は、変形例に係るレバー式コネクタの本係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図7(a)は側面図、図7(b)は図7(a)のC−C断面図である。
図8図8は、変形例に係るレバー式コネクタの仮係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図8(a)は側面図、図8(b)は図8(a)のD−D断面図である。
図9図9は、従来例に係るレバー式コネクタを示す図であって、図9(a)は仮係止状態における斜視図、図9(b)は本係止状態における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るレバー式コネクタの斜視図である。図2は、本実施形態に係るレバー式コネクタの分解斜視図である。図3は、本実施形態に係るレバー式コネクタの側面図である。図4は、本係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図4(a)は側面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。
【0012】
図1から図3に示すように、本実施形態に係るレバー式コネクタ10は、ハウジング20と、レバー30とを有している。レバー式コネクタ10は、相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に形成された嵌合凹部3に嵌合されて相手側コネクタ1と接合される。レバー式コネクタ10は、レバー30を回動操作することで、相手側コネクタ1に対する接合及び離脱が補助される。つまり、レバー式コネクタ10は、レバー30の操作によって相手側コネクタ1に対して低挿入力で接合させるLIF(Low Insertion Force)コネクタである。
【0013】
ハウジング20は、合成樹脂から形成されたもので、複数の端子収容室21を有している。これらの端子収容室21は、相手側コネクタ1との接合方向に沿って形成されており、それぞれの端子収容室21には、端子(図示略)が収容されている。これらの端子収容室21に収容された端子は、レバー式コネクタ10を相手側コネクタ1に接合することで、相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に設けられた端子(図示略)に対して電気的に接続される。
【0014】
ハウジング20には、その両側面22に、レバー支持突起25及び回動ガイド突起(突起)26が形成されている。レバー支持突起25は、ハウジング20における長手方向の一端20a寄りに形成されており、回動ガイド突起26は、レバー支持突起25よりもハウジング20における長手方向の中央寄りに形成されている。
【0015】
レバー30は、合成樹脂から形成されたもので、一対の側板31と、操作部32とを有している。一対の側板31は、端部同士が操作部32によって連結されており、これにより、レバー30は、平面視でコ字状に形成されている。各側板31には、レバー支持孔35及び回動ガイド孔(長孔)36が形成されている。レバー支持孔35は、側板31における操作部32と反対側の一端31a寄りに形成されており、回動ガイド孔36は、レバー支持孔35よりも操作部32寄りに形成されている。また、レバー30のそれぞれの側板31には、操作部32と反対側の一端31aに、外方へ突出するカム突起37が形成されている。
【0016】
レバー30は、操作部32がハウジング20の他端20b側に配置された状態で、それぞれの側板31がハウジング20のそれぞれの側面22に沿うように配置される。そして、ハウジング20のレバー支持突起25及び回動ガイド突起26が、レバー30の側板31のレバー支持孔35及び回動ガイド孔36にそれぞれ挿し込まれている。
【0017】
レバー支持孔35及び回動ガイド孔36は、それぞれレバー30の側板31の一端31aにおける上端位置を中心とした円弧状の長孔に形成されており、回動ガイド孔36は、レバー支持孔35よりも長くされている。
【0018】
図4(a)及び図4(b)に示すように、回動ガイド孔36の下端には、外面側が凹む係合段部38が形成されている。また、回動ガイド突起26には、先端部分に、係合片27が形成されている。係合片27は、回動ガイド孔36に沿って下方へ延在されている。
【0019】
次に、上記のレバー式コネクタ10を相手側コネクタ1に接合させる場合について説明する。
図5は、仮係止状態のレバー式コネクタの側面図である。図6は、仮係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図6(a)は側面図、図6(b)は図6(a)のB−B断面図である。
【0020】
レバー式コネクタ10は、図5に示すように、レバー30の操作部32がハウジング20から引き離されるように回動されてハウジング20に対してレバー30が斜めに配置された仮係止状態で相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に嵌合される。
【0021】
この仮係止状態では、図6(a)及び図6(b)に示すように、レバー30の回動ガイド孔36の係合段部38に、ハウジング20の回動ガイド突起26の係合片27が係合する。これにより、レバー30は、係合段部38と係合片27との係合力によってハウジング20の側面22から離れる方向への側板31の移動が規制される。したがって、仮係止状態において、レバー30は、振動や衝撃などの外力が付与されたとしても、ハウジング20から外れるようなことはない。この効果は、例えば、本実施形態に係るレバー式コネクタを有する完成品のハーネスが輸送される際に振動や衝撃などの外力が付与された場合、本実施形態に係るレバー式コネクタを有する未完成のハーネスが製造工程にある際に落下などして衝撃による外力が付与された場合や、側板31が引っ掛かった場合などにおいて、特に顕著なものである。
【0022】
この仮係止状態で、レバー式コネクタ10のハウジング20を相手側コネクタ1の相手側ハウジング2の嵌合凹部3に押し込む。このとき、レバー30の側板31に形成されたカム突起37は、相手側コネクタ1の相手側ハウジング2に形成されたカム溝4内に入り込む(図1参照)。
【0023】
その後、レバー30の操作部32を接合方向へ押しながらレバー式コネクタ10のハウジング20を相手側コネクタ1の相手側ハウジング2の嵌合凹部3に押し込むと、カム溝4に入り込んだカム突起37は、カム溝4の嵌合支点部41と係合して、カム突起37を支点としてレバー30が回動する。すると、レバー30の回動によって、レバー支持突起25とレバー支持孔35との当接箇所及び回動ガイド突起26と回動ガイド孔36との当接箇所において、レバー30からハウジング20に挿入力が付与され、ハウジング20が前方側である接合方向へ押し込められる。この状態で、レバー30がハウジング20に対して略平行に配置された本係止状態となり、レバー式コネクタ10が相手側コネクタ1に接合され、互いの端子が電気的に接続される。
【0024】
相手側コネクタ1に接合させたレバー式コネクタ10を相手側コネクタ1から外すには、レバー30の操作部32を把持し、仮係止状態となるようにレバー30の操作部32を引き上げる。すると、レバー30のカム突起37は、カム溝4内の離脱支点部42と係合して、カム突起37を支点として接合時とは逆方向へ回動することで、ハウジング20は、レバー30から引き抜き力が付与されて相手側ハウジング2に対して後方側である離脱方向へ引き抜かれる。これにより、レバー式コネクタ10は、仮係止状態とされ、相手側コネクタ1から外される。
【0025】
このように、レバー式コネクタ10では、レバー30の操作部32を把持してレバー30を回動させることで、カム溝4とカム突起37を支点とした低挿入力機構によって相手側ハウジング2に対するハウジング20の挿抜力が補助される。
【0026】
以上、説明したように、本実施形態に係るレバー式コネクタ10によれば、レバー30は、ハウジング20を相手側ハウジング2から離脱させる方向へ移動された仮係止状態において係合段部38と係合片27とが互いに係合することで、側板31がハウジング20の側面22に係止される(図6参照)。つまり、ハウジング20が相手側ハウジング2に嵌合されてレバー30の外れのおそれがない本係止状態ではなく、相手側ハウジング2へ嵌合されていない仮係止状態におけるレバー30の外れを確実に防止することができる。したがって、仮係止状態において振動や衝撃によってレバー30に外力が付与されたとしても、回動ガイド突起26の回動ガイド孔36からの抜け出しを防ぐことができ、レバー30のハウジング20からの脱落を防止することができる。特に、相手側ハウジング2へ接合する前の輸送時等に振動や衝撃や引っ掛かりにより、レバーに外力が付与された際のレバー30の外れを効果的に防止できる。
【0027】
しかも、係合片27は、回動ガイド孔36に沿って延在され、仮係止状態のときだけに係合段部38と係合する。したがって、相手側ハウジング2との接合時にレバー30を移動させる際に、係合片27が回動ガイド孔36の縁部などへ接触し、その摺動摩擦抵抗によってレバー30の操作性が低下することを抑えることができ、良好な操作性を確保することができる。また、係合片27が回動ガイド孔36に沿って延在されているので、回動ガイド孔36に回動ガイド突起26を挿通させる際に係合片27が邪魔にならない。したがって、側板31の回動ガイド孔36に係合片27を通すための切欠きや逃げなどを形成する必要がない。
【0028】
また、回動ガイド突起26の先端から延在する係合片27を外側が凹む係合段部38に係合させる構造であるので、この係合構造を側板31の板厚の範囲内に設けることができる。つまり、ハウジング2に切欠きや逃げなどの加工を施すことによるコストアップや強度低下を招くことなく、また、側板31から突出する回動ガイド突起36によるハウジング2の大型化を招くことなく、外力の付与時におけるレバー30の外れを抑制することができる。
【0029】
次に、変形例に係るレバー式コネクタについて説明する。
図7は、変形例に係るレバー式コネクタの本係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図7(a)は側面図、図7(b)は図7(a)のC−C断面図である。図8は、変形例に係るレバー式コネクタの仮係止状態における回動ガイド孔及び回動ガイド突起を示す図であって、図8(a)は側面図、図8(b)は図8(a)のD−D断面図である。
【0030】
上記の実施形態では、回動ガイド突起26の先端部分に、側方へ延在する係合片27を一体的に形成したが、変形例では、図7(a)及び図7(b)に示すように、回動ガイド突起26の根元部分を凹状に形成することで、この回動ガイド突起26の先端部分に係合片27を設けている。この係合片27も、回動ガイド孔36に沿って下方へ延在されている。そして、レバー30の回動ガイド孔36の下端には、外面側が凹む係合段部38が形成されている。
【0031】
この変形例の場合も、仮係止状態において、図8(a)及び図8(b)に示すように、レバー30の回動ガイド孔36の係合段部38に、ハウジング20の回動ガイド突起26の係合片27が係合する。これにより、レバー30は、係合段部38と係合片27との係合力によってハウジング20の側面22から離れる方向への側板31の移動が規制される。したがって、仮係止状態において、レバー30は、振動や衝撃などの外力が付与されたとしても、ハウジング20から外れるようなことはない。しかも、相手側ハウジング2との接合時にレバー30を移動させる際に、係合片27が回動ガイド孔36の縁部などへ接触し、その摺動摩擦抵抗によってレバー30の操作性が低下することが抑えられ、良好な操作性を確保することができる。
【0032】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0033】
例えば、レバー30は、一対の側板31と、操作部32とによって平面視でコ字状に形成され、それぞれの側板31がハウジング20のそれぞれの側面22に沿うように配置されるとした。これ以外の構造として、側板31を一つとし側板31と操作部32を平面視でL字状に形成して、一つの側板31がハウジング20の一方の側面22に沿うように配置される構造であってもよい。
【0034】
なお、上記実施形態では、ハウジング20に回動ガイド突起26を設け、レバー30に回動ガイド孔36を形成し、この回動ガイド孔36に回動ガイド突起26が挿通される構造のレバー式コネクタ10を例示したが、レバー式コネクタとしては、これらの回動ガイド突起26及び回動ガイド孔36を備えないものでも良い。このようなレバー式コネクタの場合、係合片27をレバー支持突起25に形成し、係合段部38をレバー支持孔35に形成することとなる。
【0035】
また、上記実施形態では、ハウジング20に対してレバー30を回動させる回動タイプのレバー式コネクタを例示したが、本発明が適用可能なレバー式コネクタとしては、ハウジング20に対してレバー30が相対移動可能であれば良く、例えば、ハウジング20に対してレバー30をスライドさせるスライドタイプであっても良い。
【0036】
ここで、上述した本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]及び[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 相手側コネクタ(1)の相手側ハウジング(2)に形成された嵌合凹部(3)に対して挿抜されるハウジング(20)と、前記ハウジング(20)に対して相対移動可能に装着されたレバー(30)と、を有し、
前記レバー(30)を移動させることで、前記レバー(30)と前記相手側ハウジング(2)との間の低挿入力機構によって前記相手側ハウジング(2)に対する前記ハウジング(20)の挿抜力が補助されるレバー式コネクタ(10)であって、
前記レバー(30)は、
前記ハウジング(20)の側面(22)に沿って配置された側板(31)と、
前記側板(31)の端部を連結する操作部(32)と、
を有し、
前記ハウジング(20)の側面(22)には、突起(回動ガイド突起26)が形成され、
前記レバー(30)の前記側板(31)には、前記突起(回動ガイド突起26)が挿通されることで前記ハウジング(20)に対する前記レバー(30)の移動範囲を規制する長孔(回動ガイド孔36)が形成され、
前記長孔(回動ガイド孔36)の少なくとも一端には、外側が凹む係合段部(38)が形成され、
前記突起(回動ガイド突起26)の先端側には、前記長孔(回動ガイド孔36)に沿って延在し、前記係合段部(38)に係合可能な係合片(27)が形成され、
前記係合段部(38)と前記係合片(27)とは、前記レバー(30)が前記ハウジング(20)を前記相手側ハウジング(2)から離脱させる方向へ移動された仮係止状態で互いに係合される
ことを特徴とするレバー式コネクタ。
[2] 前記突起(回動ガイド突起26)は、前記側板(31)の外面から突出することなく前記長孔(回動ガイド孔36)内に配置されている、
ことを特徴とする[1]に記載のレバー式コネクタ。
【符号の説明】
【0037】
1:相手側コネクタ
2:相手側ハウジング
3:嵌合凹部
10:レバー式コネクタ
20:ハウジング
22:側面
26:回動ガイド突起(突起)
27:係合片
30:レバー
31:側板
32:操作部
36:回動ガイド孔(長孔)
38:係合段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9