特許第6587599号(P6587599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587599
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20191001BHJP
   G01V 8/14 20060101ALI20191001BHJP
   G01V 8/18 20060101ALI20191001BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G01S7/481 Z
   G01V8/14 A
   G01V8/18
   G02B26/10 104Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-235466(P2016-235466)
(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公開番号】特開2018-91730(P2018-91730A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直輝
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】一柳 星文
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−208846(JP,A)
【文献】 特開平11−63913(JP,A)
【文献】 特開2014−59222(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102014110510(DE,A1)
【文献】 特開平9−166658(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0293263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48− 7/51
G01S 17/00−17/95
G01C 3/06
G01V 8/14
G01V 8/18
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を実装した第1基板と、
受光素子と、
前記受光素子を実装した第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを保持する保持部材と、
前記発光素子から投射された投射光を偏向して対象物に照射し、前記対象物で反射された反射光を偏向する光偏向器と、
前記光偏向器で偏向された前記反射光を反射して前記受光素子に導く反射鏡と、を備えた物体検出装置において、
前記発光素子は、前記第1基板の実装面に対して主に平行な方向に光を投射するように、前記第1基板の実装面に実装され、
前記受光素子は、前記第2基板の実装面に対して主に垂直な方向に向かって来る光を受光するように、前記第2基板の実装面に実装され、
前記保持部材は、前記第1基板の前記実装面に対して垂直な投影面と、前記第2基板の前記実装面に対して垂直な投影面とが重なるように、前記第1基板と前記第2基板とを平行に保持する、ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物体検出装置において、
前記保持部材は、前記第1基板を前記第2基板に対して前記対象物側に保持する、ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物体検出装置において、
前記光偏向器と前記反射鏡とは、前記第2基板に対して前記対象物側に配置され、
前記光偏向器は、前記発光素子からの投射光を前記第1基板の前記対象物側に偏向し、前記対象物からの反射光を主に前記両基板と平行な方向へ偏向し、
前記反射鏡は、前記光偏向器で偏向された前記反射光を前記第2基板に対して垂直な方向に反射する、ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の物体検出装置において、
前記保持部材は前記反射鏡も保持する、ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の物体検出装置において、
前記発光素子と前記受光素子と前記光偏向器の動作を制御し、前記受光素子から出力される受光信号に基づいて前記対象物を検出する制御部をさらに備え、
前記制御部は前記第2基板に実装されている、ことを特徴とする物体検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の物体検出装置において、
前記第1基板は、前記第2基板より面積が小さく、
前記第2基板の前記実装面に対して垂直な投影面内に、前記第1基板の前記実装面に対して垂直な投影面が収まるように、前記第1基板と前記第2基板とは配置されている、ことを特徴とする物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子から光を投射し、その反射光を受光素子で受光した結果に基づいて対象物を検出する物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、車載用のレーザレーダのような物体検出装置は、発光素子から光を投光し、その反射光を受光素子で受光した結果に基づいて対象物の有無を検出する。また、発光素子から光を投光して、対象物からの反射光を受光素子で受光するまでの時間に基づいて、対象物までの距離を検出する物体検出装置もある。
【0003】
発光素子としてはレーザダイオードなどが用いられ、受光素子としてはフォトダイオードなどが用いられる。たとえば特許文献1〜8のように、発光素子から投射された光は、投光レンズや鏡などの投光系の光学部品を経て、光偏向器により偏向されて対象物に照射される。そして、対象物で反射された光は、光偏向器により偏向された後、鏡や受光レンズなどの受光系の光学部品を経て、受光素子で受光される。なお、特許文献1では、対象物からの反射光が、光偏向器を経ずに、受光レンズで集光されて、受光素子で受光される。光偏向器は、たとえば回転鏡から成る。
【0004】
対象物に対して光を投受光するために、特許文献1、特許文献2、特許文献4、および特許文献8では、発光素子と受光素子とが別々の基板に実装されている。特許文献5では、発光素子と受光素子とが同一の板状部材(符号1a)に実装されている。そして、これらの特許文献のいずれにおいても、発光素子は、基板の実装面に対して主に垂直な方向に光を投射するように、該実装面に実装されている。受光素子は、基板の実装面に対して主に垂直な方向から来る光を受光するように、該実装面に実装されている。
【0005】
また、特許文献1では、発光素子を実装した基板と、受光素子を実装した基板とが、同一平面上に平行に配置されている。特許文献2および特許文献8では、発光素子を実装した基板と、受光素子を実装した基板とが、垂直に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−149338号公報
【特許文献2】特開2014−59222号公報
【特許文献3】特開2014−52366号公報
【特許文献4】特開2014−32149号公報
【特許文献5】特開2014−235075号公報
【特許文献6】特開2015−137951号公報
【特許文献7】国際公開WO2016/012579号公報
【特許文献8】独国特許出願公開第102014110510号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発光素子と受光素子とを別々の基板に実装した場合、一方の基板と他方の基板とを、同一平面上に板面が位置するように並べて配置すると、該並び方向に装置が大型化してしまう。一方、2つの基板を両方の板面が垂直になるように位置決めすることは、両方の板面が平行になるように位置決めすることに比べて困難である。
【0008】
本発明は、発光素子と受光素子とを別々の基板に実装した物体検出装置において、基板同士を容易に位置決めするとともに、装置を小型化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による物体検出装置は、発光素子と、発光素子を実装した第1基板と、受光素子と、受光素子を実装した第2基板と、第1基板と第2基板とを保持する保持部材と、発光素子から投射された投射光を偏向して対象物に照射し、対象物で反射された反射光を偏向する光偏向器と、光偏向器で偏向された反射光を反射して受光素子に導く反射鏡とを備える。発光素子は、第1基板の実装面に対して主に平行な方向に光を投射するように、第1基板の実装面に実装されている。受光素子は、第2基板の実装面に対して主に垂直な方向に向かって来る光を受光するように、第2基板の実装面に実装されている。保持部材は、第1基板の実装面に対して垂直な投影面と、第2基板の実装面に対して垂直な投影面とが重なるように、第1基板と第2基板とを平行に保持する。
【0010】
上記によると、第1基板に実装された発光素子から、第1基板の実装面に対して主に平行な方向に光が投射され、該投射光が光偏向器により偏向されて、対象物に照射される。そして、対象物で反射された反射光が、光偏向器により偏向された後、反射鏡により第2基板に対して垂直な方向に反射され、第2基板に実装された受光素子により受光される。このため、発光素子から第1基板の実装面に対して平行に光を投射しても、光の偏向により、対象物で反射した光を受光素子で受光して物体を検出することができる。また、本発明では、発光素子による主な光の投光方向と、受光素子による主な光の受光方向とが垂直になるように、発光素子と受光素子とを配置している。そして、そのために、発光素子を実装した第1基板と受光素子を実装した第2基板とを、両方の実装面すなわち板面が平行になるように、保持部材により保持している。このため、第1基板と第2基板の板面が垂直になるように位置決めする場合に比べて、第1基板と第2基板とを容易に位置決めすることができる。さらに、各基板の実装面に対して垂直な投影面が重なるように、第1基板と第2基板とを配置している。このため、各基板を同一平面上に板面が位置するように並べて配置する場合に比べて、投影面が重なった分だけ、物体検出装置を小型化することができる。
【0011】
本発明において、保持部材は、第1基板を第2基板に対して対象物側に保持してもよい。
【0012】
また、本発明において、光偏向器と反射鏡とは、第2基板に対して対象物側に配置され、光偏向器は、発光素子からの投射光を第1基板の対象物側に偏向し、対象物からの反射光を主に両基板と平行な方向へ偏向し、反射鏡は、光偏向器で偏向された反射光を第2基板に対して垂直な方向に反射してもよい。
【0013】
また、本発明において、保持部材は反射鏡も保持してもよい。
【0014】
また、本発明において、発光素子と受光素子と光偏向器の動作を制御し、受光素子から出力される受光信号に基づいて対象物を検出する制御部をさらに備え、制御部は第2基板に実装されていてもよい。
【0015】
さらに、本発明において、第1基板は、第2基板より面積が小さく、第2基板の実装面に対して垂直な投影面内に、第1基板の実装面に対して垂直な投影面が収まるように、第1基板と第2基板とが配置されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発光素子と受光素子とを別々の基板に実装した物体検出装置において、基板同士を容易に位置決めすることができ、かつ装置を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による物体検出装置の電気的構成図である。
図2図1の物体検出装置の外観を示した斜視図である。
図3図1の物体検出装置の内部構造を示した斜視図である。
図4図3から保持部材を省略した状態を示した図である。
図5図1の物体検出装置の内部構造を示した正面図である。
図6図1の物体検出装置の内部構造を示した平面図である。
図7図6から保持部材を省略した状態を示した図である。
図8図1の物体検出装置の内部構造を示した側面図である。
図9図8から保持部材を省略した状態を示した図である。
図10図3の第1基板と第2基板の投影状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0019】
まず、実施形態の物体検出装置100の電気的構成を、図1を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、物体検出装置100の電気的構成図である。物体検出装置100は、車載用のレーザレーダである。制御部1は、CPUなどから成り、物体検出装置100の各部の動作を制御する。
【0021】
LD(レーザダイオード)モジュール2はパッケージ化されている。LDモジュール2には、光源であるLD(レーザダイオード)が複数(たとえば4チャンネル)含まれている。各LDは、高出力光パルスを発する発光素子である。充電回路3は、LDモジュール2と接続されている。
【0022】
制御部1は、LDモジュール2の各LDの動作を制御する。詳しくは、たとえば制御部1は、各LDを発光させて、人や物体などの対象物に光を投射する。また、制御部1は、各LDの発光を停止させて、充電回路3により各LDを充電する。
【0023】
モータ4cは、後述する光偏向器4(図3など)の駆動源である。モータ駆動回路5は、モータ4cを駆動させる。エンコーダ6は、モータ4cの回転状態(角度や回転数など)を検出する。制御部1は、モータ駆動回路5によりモータ4cを回転させて、光偏向器4の動作を制御する。また、制御部1は、エンコーダ6の出力に基づいて、光偏向器4の動作状態(動作量や動作位置など)を検出する。
【0024】
PD(フォトダイオード)モジュール7はパッケージ化されている。PDモジュール7には、受光素子であるPD、TIA(トランスインピーダンスアンプ)、MUX(マルチプレクサ)、およびVGA(可変ゲインアンプ)が含まれている(詳細回路は図示省略)。
【0025】
PDは、PDモジュール7に複数(たとえば32チャンネル)設けられている。MUXは、TIAの出力信号をVGAに入力させる。昇圧回路9は、フォトダイオードの動作に必要な昇圧された電圧を、PDモジュール7の各PDに供給する。ADC(アナログデジタルコンバータ)8は、PDモジュール7から出力されるアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0026】
制御部1は、PDモジュール7の各部の動作を制御する。詳しくは、たとえば制御部1は、LDモジュール2のLDを発光させることにより、対象物で反射された光をPDモジュール7のPDにより受光する。そして、制御部1は、その受光状態に応じてPDから出力される受光信号を、PDモジュール7のTIAおよびVGAにより信号処理する。さらに、制御部1は、PDモジュール7から出力されるアナログの受光信号を、ADC8によりデジタルの受光信号に変換し、該デジタルの受光信号に基づいて、対象物の有無を検出する。また、制御部1は、LDが光を発してから対象物での反射光をPDで受光するまでの時間を算出し、該時間に基づいて対象物までの距離を検出する。
【0027】
記憶部10は、揮発性や不揮発性のメモリから成る。記憶部10には、制御部1が物体検出装置100の各部を制御するための情報や、対象物を検出するための情報などが記憶されている。インタフェイス11は、イーサネット(登録商標)などの通信回路から成る。制御部1は、車両に搭載されたECU(電子制御装置)に対して、インタフェイス11により対象物に関する情報を送受信したり、各種制御情報を送受信したりする。
【0028】
次に、物体検出装置100の構造および機能について、図2図10を参照しながら説明する。
【0029】
図2は、物体検出装置100の外観を示した斜視図である。図3図9は、物体検出装置100の内部構造を示した図である。詳しくは、図3は、物体検出装置100の内部構造を示した斜視図である。図4は、図3から保持部材30を省略した状態を示した図である。図5は、物体検出装置100の内部構造を示した正面図である。図6は、物体検出装置100の内部構造を示した平面図である。図7は、図6から保持部材30を省略した状態を示した図である。図8は、物体検出装置100の内部構造を示した側面図である。図9は、図8から保持部材30を省略した状態を示した図である。
【0030】
図2に示すように、物体検出装置100のケース12は、正面視が矩形状の箱体である。ケース12の開口部12aは、透光カバー13で覆われている。透光カバー13は、所定の厚みのドーム状に形成されている。
【0031】
ケース12と透光カバー13で囲まれた内部空間には、図3図9に示すような光学系と、図1に示した電気系などが収納されている。図2の透光カバー13は、ケース12の内外に対して光を透過させる。
【0032】
物体検出装置100は、たとえば、透光カバー13が車両の前方、後方、または左右側方を向くように、車両の前部、後部、または左右側部に設置される。その際、図2に示すように、ケース12の短辺方向が上下方向U、Dを向くように、物体検出装置100は車両に設置される。
【0033】
図3図9に示すように、ケース12などの内部空間に収納された光学系は、LDモジュール2のLD、投光レンズ14、光偏向器4、受光レンズ16、反射鏡17、およびPDモジュール7のPDから成る。
【0034】
そのうち、LDモジュール2のLD、投光レンズ14、および光偏向器4は、投射光学系である。また、光偏向器4、受光レンズ16、反射鏡17、およびPDモジュール7のPDは、受光光学系である。
【0035】
図4などに示すように、LDモジュール2は、厚みの薄い直方体状に形成されている。LDモジュール2の一側面2cには、複数のLDの発光部分(図4の符号LDの部分)が露出している。各LDは、光(高出力光パルス)を投射する。
【0036】
LDモジュール2は、図3図5に示すように、第1基板21の一方の実装面21aの端部に実装されている。そして、LDモジュール2は、物体検出装置100の中央部に配置されている。LDモジュール2の各LDの発光部分は、物体検出装置100の中央側でかつ第1基板21の実装面21aに対して平行な方向Lを向いている。このため、各LDは、実装面21aに対して主に平行な方向Lに光を投射する。
【0037】
図4に示すように、LDモジュール2の一側面2cは、基板21の一側面21cと面一になっている。これにより、LDモジュール2の各LDから発せられた光が、基板21に遮られなくなる。
【0038】
図3図5、および図8に示すように、第1基板21は、保持部材30により保持されている。詳しくは、保持部材30の前部(透光カバー13側)に設けられた第1保持部30aに、第1基板21はねじなどの固定具により固定されている。第1基板21の実装面21aは、透光カバー13側、すなわち対象物側を向いている。保持部材30は、ケース12内で固定具により固定される。
【0039】
LDモジュール2の発光方向側には、投光レンズ14が配置されている。投光レンズ14は、支持棒31を介して保持部材30に保持されている。投光レンズ14は、LDモジュール2の各LDから発せられた光の拡がりを調整する。
【0040】
図3図4、および図9などに示すように、PDモジュール7は、四角棒状に形成されている。PDモジュール7の一側面7cには、複数のPDの受光部分が上下方向U、Dに1列に配列されている(詳細図示省略)。
【0041】
PDモジュール7は、第2基板22の一方の実装面22aに実装されている。PDモジュール7の各PDは、透光カバー13側でかつ第2基板22の実装面22aに対して垂直な方向Fを向いている。このため、各PDは、実装面22aに対して主に垂直な方向B(F方向と反対方向)に向かって来る光を受光する。
【0042】
図3図6、および図8などに示すように、第2基板22は、保持部材30により保持されている。詳しくは、保持部材30の後部(透光カバー13と反対側)に設けられた第2保持部30bに、第2基板22は固定具により固定されている。第2基板22の実装面22aは、透光カバー13側、すなわち対象物側を向いている。
【0043】
図3および図6に示すように、PDモジュール7は、保持部材30の上部に設けられた開口部30kから露出している。すなわち、対象物側から開口部30kを通して、PDモジュール7のPDの受光部分を臨めるようになっている。
【0044】
保持部材30は、図7図9に示すように、第1基板21と第2基板22とを、両基板21、22の板厚方向に所定の間隔をおいて平行に保持している。また、保持部材30は、第1基板21を第2基板22に対して対象物側に保持している。
【0045】
図10は、第1基板21と第2基板22の投影状態を示した図である。図10では、基板21、22と保持部材30以外の図示を省略している。図10に示すように、仮想光源Qにより第1基板21と第2基板22とを実装面21a、22aに対して垂直なF方向に投影する。この場合において、第1基板21の実装面21aに対して垂直な投影面21sと、第2基板22の実装面22aに対して垂直な投影面22sとが重なるように、両基板21、22は保持部材30により保持されている。
【0046】
第1基板21は、第2基板22より面積が小さくなるように形成されている。そして、第2基板22の実装面22aに対して垂直な投影面22s内に、第1基板21の実装面21aに対して垂直な投影面21sが収まるように、第1基板21と第2基板22とは配置されている。
【0047】
第1基板21には、LDモジュール2の他に、図1に示した充電回路3の一部が実装されている。第1基板21より大きな第2基板22には、PDモジュール7の他に、図1に示したADC8、昇圧回路9、充電回路3の他部、モータ駆動回路5、制御部1、記憶部10、およびインタフェイス11などが実装されている。第1基板21と第2基板22とは、図示しないコネクタやFPC(Flexible Printed Circuits)により電気的に接続されている。
【0048】
図3図4図7に示すように、第2基板22より対象物側には、投光レンズ14、光偏向器4、受光レンズ16、および反射鏡17が配置されている。
【0049】
光偏向器4は、回転鏡とも呼ばれていて、両面鏡4aとモータ4cなどから成る。モータ4cは第3基板23上に実装されている。第3基板23は、モータ4cの回転軸(図示せず)がU、D方向と平行になるように、ケース12内に固定具により固定されている。他の例として、第3基板23を保持部材30で保持してもよい。
【0050】
第3基板23の板面は、第1基板21および第2基板22の各板面に対して垂直になっている。第3基板23と第2基板22は、図示しないコネクタやFPCにより電気的に接続されている。第3基板23は、第2基板22より面積が小さくなるように形成されている。第2基板22の実装面22aに対して垂直な投影面内に、第3基板23は配置されている(図示省略)。
【0051】
モータ4cの回転軸の一端部(図3図5などで上側の端部)には、両面鏡4aが連結されている。モータ4cの回転軸に連動して、両面鏡4aは回転する。
【0052】
受光レンズ16と反射鏡17は、第1基板21の上方に配置されている(図4)。受光レンズ16は、図6に示すように、光の入射面(凸面)が光偏向器4と対向するように、支持棒32を介して保持部材30に保持されている。受光レンズ16は、集光レンズから成る。
【0053】
反射鏡17は、受光レンズ16の光偏向器4と反対側に配置されている。反射鏡17は、受光レンズ16とPDモジュール7の各PDの受光部分とに対して所定の角度で傾斜するように、保持部材30に保持されている。
【0054】
図4に1点鎖線の矢印で示すように、LDモジュール2のLDから投射された投射光は、投光レンズ14により拡がりを調整された後、光偏向器4の両面鏡4aの下半分の部分に当たる。そして、その投射光は、両面鏡4aの下半分の部分により偏向されて、透光カバー13(図2)を透過し、対象物に照射される。つまり、光偏向器4は、LDモジュール2のLDからの投射光を第1基板21の対象物側に偏向する。それらの際、モータ4cが回転して、両面鏡4aの角度(向き)が変化することで、LDから発せられた光が透光カバー13の外方のLR−FB平面内の所定角度の範囲で走査される。
【0055】
上記のように、透光カバー13を透過した投射光は、人や物体などの対象物で反射される。その反射光は、透光カバー13を透過した後、図4に2点鎖線の矢印で示すように、光偏向器4の両面鏡4aの上半分の部分で偏向されて、受光レンズ16に入射する。その際、モータ4cが回転して、両面鏡4aの角度(向き)が変化することで、透光カバー13の外方のLR−FB平面内の所定角度の範囲に入って来た対象物による反射光が両面鏡4aにより受光され、受光レンズ16の方へ偏向される。つまり、光偏向器4は、対象物からの反射光を主に両基板21、22と平行な方向Rへ偏向する。
【0056】
光偏向器4を経由して受光レンズ16に入射した反射光は、受光レンズ16で集光された後、反射鏡17で反射して、PDモジュール7のPDにより受光される。つまり、反射鏡17は、光偏向器4で偏向された反射光を第2基板22に対して垂直な方向Bに反射する。
【0057】
上記の反射光の受光状態に応じてPDから出力される受光信号は、PDモジュール7やADC8で信号処理される。そして、この処理後の受光信号に基づいて、制御部1が対象物の有無を検出したり、対象物までの距離を算出したりする。
【0058】
上述した光の投光経路と受光経路とを区切るために、保持部材30には隔壁30w(図3)が形成されている。
【0059】
以上の実施形態によると、第1基板21に実装されたLDモジュール2のLDから、第1基板21の実装面21aに対して主に平行な方向Lに光が投射され、該投射光が光偏向器4により偏向されて、対象物に照射される。そして、対象物で反射された反射光が、光偏向器4により偏向された後、反射鏡17により第2基板22に対して垂直な方向Bに反射され、第2基板22に実装されたPDモジュール7のPDにより受光される。このため、LDモジュール2のLDから第1基板21の実装面21aに対して平行に光を投射しても、光の偏向により、対象物で反射した光をPDモジュール7のPDで受光して物体を検出することができる。
【0060】
また、以上の実施形態では、LDモジュール2による主な光の投光方向Lと、PDモジュール7による主な光の受光方向Bとが垂直になるように、LDモジュール2とPDモジュール7とを配置している。そして、そのために、LDモジュール2を実装した第1基板21と、PDモジュール7を実装した第2基板22とを、両方の実装面21a、22a、すなわち板面が平行になるように、保持部材30により保持している。このため、第1基板21と第2基板22の板面が垂直になるように位置決めする場合に比べて、第1基板21と第2基板22とを容易に位置決めすることができる。
【0061】
また、以上の実施形態では、各基板21、22の実装面21a、22aに対して垂直な投影面21s、22sが重なるように、第1基板21と第2基板22とを配置している。このため、各基板21、22を同一平面上に板面が位置するように並べて配置する場合に比べて、投影面21s、22sが重なった分だけ、物体検出装置100を小型化することができる。
【0062】
また、以上の実施形態では、第1基板21を対象物側に配置し、第2基板22を第1基板21に対して対象物と反対側に配置しているので、対象物から第2基板22のPDまでの光の受光経路を長くとることができる。そして、受光経路に配置した受光レンズ16により、対象物からの反射光を集光させるといった、光学的な調整を容易に行うことができる。
【0063】
また、以上の実施形態では、投光レンズ14と光偏向器4と反射鏡17とを、第2基板22に対して対象物側に配置している。このため、LDから投射された光の投光経路と、対象物からPDまでの光の受光経路とを、第2基板22に対して対象物側に形成することができる。また、対象物からの反射光を、光偏向器4により主に両基板21、22と平行な方向Rへ偏向した後、反射鏡17により第2基板22に対して垂直な方向Bに反射することで、対象物からPDまでの光の受光経路を一層長くすることができる。
【0064】
また、以上の実施形態では、保持部材30により、基板21、22、LDモジュール2、PDモジュール7、および反射鏡17を保持している。このため、基板21、22、LD、PD、および反射鏡17を保持部材30に一括して組み付けて、それぞれ容易に位置決めし、組み立て性を向上させることができる。
【0065】
また、以上の実施形態では、制御部1やその他の回路3、5、8、9などの電気系を、第2基板22に実装している。このため、第1基板21に投光系以外の部品を実装しなくてもよくなり、その分第1基板21を小型化して、第2基板22の対象物側に光の投光経路と受光経路を配置するスペースを広く確保することができる。
【0066】
さらに、以上の実施形態では、第1基板21は第2基板22より面積が小さく、第2基板22の実装面22aに対して垂直な投影面22s内に、第1基板21の実装面21aに対して垂直な投影面21sが収まるように、第1基板21と第2基板22とを配置している。このため、第2基板22を大きくして、投光系以外の部品を第2基板22に実装し易くすることができる。また、第2基板22の対象物側に、光の投光経路と受光経路を設けるスペースを一層広く確保することができる。
【0067】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、4個のLDを有するLDモジュール2と、32個のPDを有するPDモジュール7をそれぞれ1つ設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。LDモジュールやPDモジュールの設置数は、2つ以上でもよい。また、各モジュールにおけるLDやPDの数は、適宜選択すればよい。
【0068】
また、以上の実施形態では、各基板21、22の実装面21a、22aに対して垂直な投影面21s、22sが完全に重なるように、第1基板21と第2基板22とを配置した例を示したが(図10)、投影面21s、22sの一部が重なるように、各基板21、22を配置してもよい。
【0069】
また、以上の実施形態では、光の投光経路の上方に光の受光経路を設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、光の投光経路の下方に光の受光経路を設けてもよい。
【0070】
さらに、以上の実施形態では、車載用の物体検出装置100に本発明を適用した例を挙げたが、その他の用途の物体検出装置に対しても、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 制御部
4 光偏向器
17 反射鏡
21 第1基板
21a 第1基板の実装面
21s 第1基板の実装面に対して垂直な投影面
22 第2基板
22a 第2基板の実装面
22s 第2基板の実装面に対して垂直な投影面
30 保持部材
100 物体検出装置
B 第2基板の実装面に対して垂直な方向
L 第1基板の実装面に対して平行な方向
LD レーザダイオード(発光素子)
PD フォトダイオード(受光素子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10