(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水性エマルジョン(A)は、アーモンド油、ババス油、ブラックカラント種子油、ルリヂサ油、カノーラ油、ヒマシ油、ココナツ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ヤシ油、パーム核油、菜種油、紅花油、大豆油、ヒマワリ油、ゴマ油、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド及び魚油からなる群から選択される1種以上の油を含む、請求項1に記載の食作用性成分含有水性製剤(F)。
前記水性エマルジョン(A)は、水性エマルジョン(A)の総重量に対して8〜30重量%の範囲内の量で油を含む、請求項1または2に記載の食作用性成分含有水性製剤(F)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では水性エマルジョン(A)についてより詳細に記載する。
【0029】
I)エマルジョン(A)
エマルジョン(A)の油は肝臓によって取り込まれ、肝臓内のマクロファージをブロックすると推定される。そこで、肝臓及び脾臓中には少ない造影剤しか蓄積できない。このため、血流中の造影剤の濃度が増加し、炎症過程及び/又は炎症組織に由来するマクロファージがより多くの造影剤を使用可能になり、そのため、診断的検出のコントラストが増強される。
【0030】
本発明におけるエマルジョン(A)に使用される油は、生体適合性があり、投与される患者の健康状態に及ぼす危険性が低くなければならない。特に好ましい実施形態では、油は医薬上許容される。
【0031】
従って、本発明の1つの実施形態は、水性エマルジョン(A)がトリグリセリドを含むことが好ましい。本発明のまた別の態様では、エマルジョン(A)は、植物油及び/又は魚油を含む。
【0032】
「植物油」は、植物種子もしくはナッツに由来する油を意味する。植物油は、典型的には3種の脂肪酸(油の由来に依存して、様々な数及び場所で不飽和結合を備える、通常は長さが14〜22個の炭素)がグリセロールの3個のヒドロキシル基とエステル結合を形成する場合に形成される「長鎖トリグリセリド」(LCTs)である。典型的な実施形態では、エマルジョン(A)における安全性及び安定性を保証するために高精製グレード(いわゆる「超精製」)の植物油を使用することができる。好ましい実施形態では、植物油の制御された水素化によって生成される水素化植物油が使用されてよい。
【0033】
エマルジョン(A)中に存在する油は、好ましくはその有益な薬物動態特性について並びにそれが呈示する可能性がある健康にとってのリスクを注意深く考察して選択される。このため本発明の1つの実施形態は、水性エマルジョン(A)がアーモンド油、ババス油、ブラックカラント種子油、ルリヂサ油、カノーラ油、ヒマシ油、ココナツ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ヤシ油、パーム核油、菜種油、紅花油、大豆油、ヒマワリ油、ゴマ油、中鎖トリグリセリド(MCT)、長鎖トリグリセリド(LCT)及び魚油からなる群から選択される1種以上の油を含むこと好ましい。
【0034】
「中鎖トリグリセリド」(MCTs)は、天然由来又は合成のいずれかであってよい1種のトリグリセリド油である。MCTsは、長さが6〜14個の炭素、好ましくは6〜12個の炭素、特に8〜10個の炭素の脂肪酸(FA)から形成される。MCTは、8−炭素飽和FA(8:0)であるカプリル酸(例えば、MCTの約50重量%〜約80重量%の量にある)を含有することができる。MCTは、10−炭素飽和FA(10:0)であるカプリン酸(例えば、MCTの約20重量%〜約50重量%の量にある)を含有することができる。例えば、中鎖トリグリセリドはカプリル酸のトリグリセリドを含むことができ、カプリン酸を中鎖トリグリセリドの少なくとも90重量%の量で含有することができる。この開示において使用することのできるMCTの性状は、例えば、「Triglycerides,Medium Chain」と題するEP monograph 0868(Triglycerida saturate media)(欧州特許第20080868号明細書)の要件を満たす。
【0035】
その生体適合性とは別に、水性エマルジョン(A)は、できる限り患者に優しい投与を可能にする特性を有する形態でなければならない。水性エマルジョン(A)は、肝臓への油の迅速な輸送及びその中での高速の取り込みを可能にする薬物動態特性もまた示さなければならない。最善の結果は、水性エマルジョン(A)中に存在する油の量が水の量を超えない場合に達成されている。本発明の1つの実施形態は、水性エマルジョン(A)が水性エマルジョン(A)の総重量に対して、5〜40重量%、好ましくは8〜30重量%の範囲内の量で油を含むことが好ましい。
【0036】
患者は既に重篤な健康問題に悩まされているので、診断プロセスが呈示する負担を最小限に抑えることが重要である。このため、飽和剤、すなわち食作用性成分含有水性製剤(F)の取り込みはできる限り高速であるのが好ましい。製剤(F)がその目標に迅速に、及び分解せずに到達するためには、食作用性成分含有水性製剤(F)が血流を介して輸送されるのが有益である。
【0037】
このため、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)の1つの実施形態は、水性製剤(F)が静脈内投与されることが好ましい。
【0038】
II)フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物
非侵襲的技術による特に心臓血管系の炎症過程の検出及び位置確認は、好結果が得られる治療的処置及び罹患患者の治癒にとって最も重要である。患者へ投与される造影剤は、炎症組織の詳細な画像を提供するのに役立つ。造影剤がフッ素化されている場合において、最良の結果を得られることが見いだされている。フッ素化造影剤は、例えば磁気共鳴イメージング法(MRI)において使用される場合に、強化されたバイオアベイラビリティ及び標的特異性を有する。フッ素化造影剤は、細胞が特異的に標識されるような方法で単球/マクロファージによって取り込まれる。
【0039】
好ましくは、フッ素化造影剤は、ヒトの生体又は動物の身体によっては代謝されない。
【0040】
本発明のまた別の態様によると、フッ素化造影剤はフッ素化グルコース誘導体ではなく、特にFDGではない。
【0041】
好ましくは、フッ素化造影剤は、可能なかぎり最良の画像が得られるように選択される。同時に、フッ素化造影剤並びにフッ素化造影剤を含む組成物は生体適合性がなければならず、健康状態へもたらされるリスクができる限り低くなければならない。本発明の好ましい実施形態では、造影剤は、部分フッ素化炭素化合物、過フッ素化炭素化合物、直鎖状、環式もしくは多環式フッ素化アルカン、ビス(パーフルオロアルキル)アルカン、パーフルオロエーテル、パーフルオロアミン、パーフルオロアルキルブロミド及びパーフルオロアルキルクロリドからなる群から選択されるフッ素化化合物である。
【0042】
また別の好ましい実施形態は、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)のフッ素化造影剤が
a)式Iのセミフッ素化化合物
CF
3−(CF
2)
x−(CH
2)
y−CH
3 (I)
(式中、xは1〜8の範囲内の整数であり、yは2〜10の範囲内の整数である)
b)パーフルオロオクチルブロミド、
c)パーフルオロデシルブロミド、
d)パーフルオロオクタン、
e)パーフルオロデカン、及び
f)パーフルオロデカリン
からなる群から選択される。
【0043】
本発明の意味の範囲内でセミフッ素化化合物とはセミフッ素化アルカンである。セミフッ素化アルカンは、フッ化炭素及び炭化水素部分を含む。一般的に、セミフッ素化アルカンは、次の術語:FXHYに従うが、このときXはフッ素原子で置換される炭素原子の数を表し、Yは水素原子で置換される炭素原子の数を表す。例えば、パーフルオロヘキシルオクタンは、式:F6H8によって表される。
【0044】
F6H8は、次の式で示される:
【化1】
【0045】
好ましくは、フッ素化造影剤は造影剤組成物に含まれる。この方法により、診断的画像のコントラスト並びにフッ素化造影剤の生体適合性及び生物動力学に関して最善の結果を達成するために必要な特性を改善及び更に増強すること、及びそれに追加して、患者による組成物の高度の耐性を同時に保証しながら造影剤によるマクロファージの満足できる標識化を保証することが可能である。患者による耐性、体内への造影剤の輸送及び組成物の生体適合性に関して、以下ではエマルジョン(B)と呼ぶ水性エマルジョンは、最も好適であると思われる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、フッ素化造影剤を含む組成物は、エマルジョン又は分散液である。
【0047】
更に、フッ素化造影剤を含む組成物は、フッ素化造影剤が水相内に溶解していない、又は完全には溶解していない水性液体組成物であるのが好ましい。20℃の水1L中のフッ素化造影剤の溶解度は、好ましくは10g未満、より好ましくは2g未満、特に0.5g未満、より特に0.01g未満、例えば0.001g未満である。
【0048】
このため、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)は、フッ素化造影剤を含む組成物が
a)フッ素化造影剤、好ましくは液体フッ素化造影剤、特に式Iのセミフッ素化化合物
CF
3−(CF
2)
x−(CH
2)
y−CH
3 (I)
(式中、xは1〜8の範囲内の整数であり、yは2〜10の範囲内の整数である)
b)20℃でセミフッ素化化合物と混和性である中鎖トリグリセリド(MCT)、及び
c)乳化剤
を含む水性エマルジョン(B)であることが好ましい。
【0049】
本発明の水性エマルジョン(B)に適しているセミフッ素化化合物は、式(I)に示される。
CF
3−(CF
2)
x−(CH
2)
y−CH
3 (I)
(式中、xは1〜8の範囲内の整数であり、yは2〜10の範囲内の整数である)
【0050】
1つの実施形態では、式I中のxは2〜6、好ましくは3〜6、より好ましくは4〜6の範囲に及び、特にxは5である。
【0051】
また別の好ましい実施形態では、式(I)中のyは2〜9、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜8、更に好ましくは6〜8の範囲に及び、特にyは7である。
【0052】
イメージング及びエマルジョン(B)の安定性に関する良好な結果は、式(I)(式中、yはxより大きい)のセミフッ素化化合物を用いると達成することができる。
【0053】
本発明におけるフッ素化造影剤として使用する特に好ましいセミフッ素化炭素化合物は、パーフルオロヘキシルオクタン(F6H8)及び/又はパーフルオロブチルペンタン(F4H5)である。
【0054】
エマルジョン(B)は、更に好ましくは中鎖トリグリセリド(MCT)とともにセミフッ素化化合物を含む。
【0055】
好ましい実施形態では、トリグリセリド、好ましくはMCTは、20℃でセミフッ素化化合物と混和性である。
【0056】
本発明の意味の範囲内でトリグリセリドは、20℃の温度で混合する工程及びその後に20℃で24時間にわたり保管した後にトリグリセリド及びセミフッ素化化合物が別個の連続相を形成しなければ、セミフッ素化化合物と混和性である。
【0057】
好ましい実施形態では、トリグリセリド、特にMCTは、あらゆる比率でセミフッ素化化合物と混和性である。特に、セミフッ素化化合物及びトリグリセリド、特にMCTは、セミフッ素化化合物対MCTの重量比が1:20〜1:0.7、好ましくは1:15〜1:0.8、より好ましくは1:10〜1:0.9、更に好ましくは1:4〜1:1、特に1:2〜1:1で混和性である。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、中鎖トリグリセリド(MCT)は、以下に規定するカルボン酸でエステル化されるグリセロールである。
2重量%以下の量のカプロン酸;
約50〜約80重量%の範囲内の量のカプリル酸;
約20〜約50重量%の範囲内の量のカプリン酸;
3重量%以下の量のラウリン酸;
1重量%以下の量のミリスチン酸
重量%(wt%)は、脂肪酸の総重量に基づく。
【0059】
中鎖トリグリセリド(MCT)は、セミフッ素化化合物のための優秀な溶媒である。本発明の好ましい実施形態では、1種以上のMCTsを使用できる。MCTは、例えば、Miglyol 812(SASOL社、ドイツ)又はCRODAMOL GTCC−PN(Croda社、ニュージャージー州)として市販されている。
【0060】
本発明の特に好ましい実施形態によると、セミフッ素化化合物を含む水性エマルジョン(B)は、更に7、9及び11個の炭素原子を有する脂肪酸の群から選択される脂肪酸を少なくとも50重量%含む脂肪酸でエステル化されるグリセロールからなるMCTも含む。好ましいのはトリヘプタノインであってもよい。
【0061】
III)乳化剤
最適な投与、高い標的特異性及び高速取り込みのためには、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)は均質でなければならず、2つ以上の連続相を有する2相系であってはならないことが重要である。同様の考慮は、組成物がエマルジョンの形態にある場合のフッ素化造影剤を含む組成物に当てはまる。
【0062】
このため、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)の1つの実施形態は、水性製剤(F)が好ましくはリン脂質から選択される乳化剤を更に含む水性エマルジョン(A)の形態にあることが好ましい。
【0063】
好ましくは、フッ素化造影剤を含む組成物は、組成物がエマルジョンの形態でなければならない場合には乳化剤も含む。
【0064】
食作用性成分含有水性製剤(F)中、好ましくは水性エマルジョン(A)中に存在する乳化剤、並びに造影剤組成物中に含まれる乳化剤は、同一化合物又は異なる化合物であってもよい。
【0065】
以下では好適な乳化剤について詳細に記載する。
【0066】
好ましくは、乳化剤はリン脂質から選択される。好ましくは、乳化剤は、1種のリン脂質又は複数のリン脂質の混合物である。
【0067】
1つの態様では、乳化剤は、レシチン、好ましくは天然型レシチン、例えば大豆レシチン、卵レシチン、ヒマワリ油レシチン、スフィンゴシン、ガングリオシド、フィトスフィンゴシン及びそれらの組み合わせを含んでもよい。水素化レシチン、すなわちレシチンの制御水素化の生成物も乳化剤中に追加して使用してもよい。
【0068】
本発明において有用な例示的なリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。組成物のリン脂質成分は、単一リン脂質又は数種のリン脂質の混合物のいずれかであってもよい。使用されるリン脂質は天然型又は合成であってもよいが、医薬品用途のために許容されなければならない。
【0069】
さらに乳化剤中に存在しうる好適なリン脂質の非網羅的なリストを下記に示す:
1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸ナトリウム塩(DMPA,Na)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸ナトリウム塩(DPPA,Na)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸ナトリウム塩(DSPA,Na)を含むホスファチジン酸;1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)を含むホスホコリン;1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)を含むホスホエタノールアミン;1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールナトリウム塩(DLPG,Na)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールナトリウム塩(DMPG,Na)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−sn−1−グリセロールアンモニウム塩(DMP−sn−1−G,NH4)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールナトリウム塩(DPPG,Na)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールナトリウム塩(DSPG,Na)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−sn−1−グリセロールナトリウム塩(DSP−sn−1G,Na)を含むホスホグリセロール;1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリンナトリウム塩(DPPS,Na)を含むホスホセリン;1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールナトリウム塩(POPG,Na)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールアンモニウム塩(POPG,NH4)を含む混合鎖リン脂質;1−パルミトイル−2−リゾ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(P−lyso−PC)、1−ステアロイル−2−リゾ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(S−lyso−PC)を含むリゾリン脂質;N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−MPEG−2000−DPPEナトリウム塩、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール5000)−MPEG−5000−DSPEナトリウム塩、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール5000)−MPEG−5000−DPPEナトリウム塩、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール750)−MPEG−750−DSPEナトリウム塩、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−MPEG−2000−DSPEナトリウム塩を含むペグ化リン脂質。
【0070】
好ましい実施形態では、乳化剤は、60〜80重量/重量%、例えば67重量/重量%のホスファチジルコリン;10〜20重量/重量%、例えば15重量/重量%のホスファチジルエタノールアミン;3重量/重量%以下、例えば2重量/重量%のスフィンゴミエリン;及び3重量/重量%以下、例えば1重量/重量%のリゾホスファチジルコリンを含む卵レシチンを含む。
【0071】
「卵レシチンPL90」(Fresenius Kabi社)は、そのようなリン脂質含量を有する卵レシチンの1つの例である。
【0072】
特に、良好な結果は、
約80〜約85重量%のホスファチジルコリン;
約7.0〜約9.5重量%のホスファチジルエタノールアミン;
3重量%未満のリゾホスファチジルコリン;
0.5重量%未満のリゾホスファチジルエタノールアミン;及び
約2〜約3重量%のスフィンゴミエリン
を含むレシチンを含む乳化剤を用いて達成することができる。
【0073】
好ましい実施形態では、水性エマルジョン(A)は、エマルジョン(A)の総重量に対して0.5重量%〜5.0重量%の範囲内の量で乳化剤を含む。最善の結果は、エマルジョン(A)の総重量に対して乳化剤が0.5重量%〜約2重量%、好ましくは1.0重量%〜約1.5重量%の範囲内の量で存在する場合に達成される。
【0074】
フッ素化造影剤を含む組成物がエマルジョンの形態で存在して乳化剤を含有する場合には、乳化剤がリン脂質と糖脂質の混合物を含むのが好ましい。
【0075】
糖脂質は、糖を HYPERLINK "http://en.wikipedia.org/wiki/Lipids" \o "Lipids" 結合した脂質である。糖脂質は、1種以上の単糖又はオリゴ糖が脂質に結合している細胞膜のリンを含まない膜脂質である。脂質は、エステル結合によってグリセロールに、又はアミド結合によってスフィンゴシンに結合している脂肪酸である。
【0076】
好ましい実施形態では、フッ素化造影剤を含む組成物は、好ましくはグリセロ糖脂質、例えばモノガラクトシルジグリセリドもしくはグリコスフィンゴ脂質又はセレブロシドから選択される糖脂質をさらに含む。
【0077】
好ましい実施形態では、糖脂質の量は、糖脂質及びリン脂質の合計の総重量に対して5〜30重量%、好ましくは10〜28重量%である。リン脂質及び糖脂質の混合物は、Lipoid社(ドイツ)からLipoid S 75として市販されている。
【0078】
特に好ましい実施形態では、乳化剤は:
約68〜約73重量%のホスファチジルコリン;
約7〜約10重量%のホスファチジルエタノールアミン;
3重量%未満のリゾホスファチジルコリン;及び
約14〜約25重量%の糖脂質
を含み、全重量は糖脂質及びリン脂質の合計の総重量に基づく。
【0079】
エマルジョン(B)は、エマルジョン(B)の総重量に対して好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1.0〜4.0重量%の乳化剤を含む。
【0080】
好ましい実施形態では、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物は、食作用性成分含有水性製剤(F)の投与に続いて投与される。好ましくは、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物は、投与法をできる限り単純に及び患者に優しく維持する方法で投与される。このため、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物が非経口投与される実施形態が好ましい。
【0081】
本発明における食作用性成分含有水性製剤(F)は、通常、いずれの形態の造影剤も含まない。好ましくは、仮に存在する場合の製剤(F)中に存在する造影剤の量対造影剤を含む組成物中に存在する造影剤の量の重量比は、1:4未満、好ましくは1:10未満、より好ましくは1:100未満もしくは1:500未満又は1:1,000未満である。
【0082】
好ましい実施形態において食作用性成分含有水性製剤(F)は、本質的に造影剤を含まない。この意味の範囲内で「本質的に含まない」は、製剤(F)が、製剤(F)の総重量に対して5重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、特に0.001重量%未満又は0重量%の造影剤しか含まないことを意味している。
【0083】
また本発明の別の実施形態は、診断的検出に使用するためのフッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物であり、このとき食作用性成分含有水性製剤(F)は上記フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む上記組成物の投与前に別個に投与される。
【0084】
IV)画像診断法において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)及びフッ素化造影剤
非侵襲的診断技術は、非侵襲的診断技術が患者への負担が少ないこと、及び患者が何らかの副作用に悩まされても迅速に回復することで区別される高速で効率的な形態の診断を提供するので、身体の炎症過程の検出及び診断的処置のために最も重要である。
【0085】
このため本発明の好ましい実施形態では、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)は、イメージング法による炎症過程の診断的検出に使用される。
【0086】
好ましくは、非侵襲的イメージング法は、磁気共鳴(MR)イメージング法である。
【0087】
上述したように、炎症過程、特に心臓血管系の炎症過程を診断的検出するのに適した画像の生成は、造影剤の大半が肝臓及び脾臓内に蓄積するので相当に困難であることが多い。このため、炎症組織内のマクロファージを標識するために利用できる造影剤の量は有意に減少する。さらに、肝臓及び物理的に肝臓から心臓に近い場所では造影剤が高濃度であるために、心臓血管系から撮像された画像はコントラストが不良であることが多く、このため画像の分析及び診断をより面倒にする。
【0088】
驚くべきことに、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物を投与する前の食作用性成分含有水性製剤(F)、特に水中油型エマルジョン(A)の投与は、生成された画像のコントラストを増強するので、このため診断方法の品質だけではなく最適な治療の開発もまた有意に向上させる。
【0089】
このため、本発明のさらに別の実施形態は、イメージング法による炎症過程の診断的検出に使用する本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)であるが、このとき製剤(F)は:
i)5〜40重量%のトリグリセリドから選択される油、
ii)0.5〜5重量%の乳化剤、好ましくはリン脂質、
iii)任意選択的に0.1〜5重量%の等張化剤、及び
iv)55〜93重量%の水
を含む水中油型エマルジョン(A)であり、重量%は水中油型エマルジョン(A)の総重量に基づき、水中油型エマルジョン(A)は第1工程で投与され、それに続く工程では、好ましくはフッ素化造影剤を含む組成物が
i)1〜20重量%の式I:
CF
3−(CF
2)
x−(CH
2)
y−CH
3 (I)
(式中、xは1〜8の範囲内の整数であり、yは2〜10の範囲内の整数である)のセミフッ素化化合物、
ii)1〜20重量%のセミフッ素化化合物と混和性であるトリグリセリド、好ましくは中鎖トリグリセリド(MCT)、及び
iii)0.1〜5重量%の乳化剤
を含む水性エマルジョン(B)の形態で投与されるが、重量%はエマルジョン(B)の総重量に基づく。
【0090】
本発明の好ましい実施形態では、水性エマルジョン(B)は更に、エマルジョン(B)の総重量に対して70〜98重量%、好ましくは70〜90重量%の範囲内の量で水を含む。
【0091】
V)追加の成分
本発明の好ましい実施形態では、食作用性成分含有水性製剤(F)、好ましくは、水中油型エマルジョン(A)は、特に製剤(F)が水中油型エマルジョン(A)である場合、例えば薬物動態及び生体適合性を調整するために更に追加の成分を含んでもよい。特に組成物がエマルジョン(B)の形態にある場合は、同じことがフッ素化造影剤を含む組成物に当てはまる。
【0092】
表現「エマルジョン」は、他に特に規定されなければ、エマルジョン(A)及びエマルジョン(B)の両方を意味すると理解すべきである。
【0093】
追加の成分並びにそれらの量は、各エマルジョンに従って相違してもよい。
【0094】
一部の実施形態では、水性エマルジョンは、任意選択的にコサーファクタントを含んでもよい。典型的なコサーファクタントには、コレステロール、オレイン酸、オレイン酸塩、Tween 80(PEG−ソルビタンモノオレエート)、HCO−60、Solutol H15(ポリオキシエチレン−660−ヒドロキシステアレート)、PEG−400(ポリエチレングリコール)、Pluronic F68(BASF社)、Cremophor EL(ポリオキシエチレン−35−リシノレエート)又は胆汁酸の塩、例えばデオキシコール酸が含まれるがそれらに限定されない。他の実施形態では、コサーファクタントは、C
12-22脂肪酸、それらの塩及び/又はそれらの混合物、例えばC
16-20脂肪酸、それらの塩及び/又はそれらの混合物、例えばC
18脂肪酸、それらの塩及び/又はそれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、脂肪酸はモノ不飽和である。
【0095】
一部の実施形態では、コサーファクタントは、エマルジョン中に0.005%以上、0.01%以上又は0.02%以上の量(重量%)の量で存在してもよい。これらの実施形態のいずれかによると、コサーファクタントは、各エマルジョンの総重量に対して、4重量%以下、1重量%以下、又は0.04%重量%以下の量(重量%以下)で存在してもよい。
【0096】
特定の実施形態では、コサーファクタントは、長鎖脂肪酸、例えばパルミチン酸、オレイン酸もしくはステアリン酸又はそれらのアルカリ塩からなる群から選択される。オレイン酸塩及び/又はオレイン酸、特にオレイン酸ナトリウムは、特に適したコサーファクタントである。
【0097】
コサーファクタントがオレイン酸塩及び/又はオレイン酸であるいくつかの実施形態では、コサーファクタントは、0.005重量%以上、0.01重量%以上、又は0.02重量%以上の量(重量%)で存在してもよい。これらの実施形態のいずれかによると、コサーファクタントは、0.5重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下、又は0.05%重量%以下の量(重量%)で存在してもよい。特定の実施形態では、コサーファクタントは、オレイン酸ナトリウムであり、0.03重量%(0.3g/L)の量で存在する。本明細書に記載したエマルジョンは、非経口注入、例えば静脈内注入に適していてもよい。特定の実施形態では、このためいくつかのコサーファクタントの濃度は、例えば刺激、チトクロムP450阻害などの副作用を防止するために最小限に維持される。特定の実施形態では、Pluronic F68(ポリ(エチレングリコール)−13−ポリ(プロピレングリコール−co−プロピレングリコール))は、0.7重量%未満又は0.5重量%未満の量で存在する。他の特定の実施形態では、Solutol−HS(マクロゴール−15−ヒドロキシステアレート)は、1.2重量%未満又は1重量%未満の量で存在する。
【0098】
呈示した量(重量%)は、各成分がその中に存在する各エマルジョンの総重量に基づくことを理解されたい。
【0099】
使用するコサーファクタントは、各エマルジョンに依存して、相互に異なってもよい。
【0100】
本発明によるエマルジョンは、更に等張化剤を含んでもよい。そのような組成物は、200〜1,000mOsm/kg、好ましくは220〜800mOsm/kg、特に250〜600mOsm/kgの範囲内のオスモル濃度を有してもよい。
【0101】
本発明の特定の実施形態によると、エマルジョンは等張性及び等浸透圧性であってもよい。エマルジョンは、220〜600mOsm/kg又は230〜360mOsm/kgのオスモル濃度を有してもよい。
【0102】
好適な等張化剤には、塩化カリウムもしくは塩化ナトリウム、トレハロース、スクロース、ソルビトール、グリセロール、グルコース、キシリトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アルブミン、アミノ酸及びそれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、270〜330mOsm/kg、例えば280〜300mOsm/kgのオスモル濃度は、更に浸透圧を増加させる物質、例えばグリセロール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール又はスクロースを用いて達成される。
【0103】
1つの実施形態では、等張化剤は、生理学的に容認されるポリオール、例えばグリセロール、ソルビトール又はキシリトールである。特定の実施形態では、等張化剤は、グリセロールである。
【0104】
等張化剤は、各エマルジョンの総重量に基づいて、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲内の量で存在してもよい。
【0105】
等張化剤は、一般に有害な生物学的作用を有していないが等浸透圧性及び/又は等張性組成物を提供するために十分である量で使用される。グリセロールが浸透物質である場合、グリセロールは2〜5%(重量%)、例えば2.3%〜2.7%を含む2.1%〜2.9%(重量%)の範囲内で存在してもよい。特定の実施形態では、本発明におけるエマルジョンは、2.5%のグリセロール(25g/L)を含む。また別の実施形態では、等張化剤は、各エマルジョンの総重量に基づいて、2.5重量%以上の量で存在する。
【0106】
一部の実施形態では、本発明におけるエマルジョンは、pH6.0〜pH10.0、例えばpH7.5〜8.5を含むpH6.5〜pH9.0の範囲内のpHを有する。pHは、例えば脂肪酸への負の電荷を中和する適切な塩基の使用、適切なバッファーの使用、又はそれらの組み合わせにより、当分野において公知の方法によって調整されてもよい。多種多様な塩基及びバッファーが本発明のエマルジョンとともに使用するのに適している。当業者であれば、エマルジョンへのバッファーの添加が、エマルジョンの最終pHだけではなくイオン強度にも影響を及ぼすことを理解するであろう。高イオン強度バッファーは、エマルジョンのゼータ電位に不都合な影響を及ぼす可能性があり、そのため望ましくない。
【0107】
好ましい実施形態では、水性エマルジョン(A)及び水性エマルジョン(B)は、同一又は異なるpH値を有してもよい。
【0108】
好ましい実施形態では、エマルジョンのpH値を調整するために、水酸化ナトリウム及び塩酸が各々使用される。
【0109】
本発明のエマルジョン、すなわち水性エマルジョン(A)及び水性エマルジョン(B)を酸化過程に対して更に安定化させるためには、酸化防止剤が存在してもよい。好ましい実施形態では、エマルジョンは、酸化防止剤、好ましくはα−トコフェロールを更に含む。
【0110】
本発明におけるエマルジョンは、1種以上の医薬上許容される添加物、例えば酸性化剤、アルカリ化剤、結合剤、キレート剤、錯化剤もしくは可溶化剤、殺菌剤、保存料(抗菌剤及び酸化防止剤を含む)、懸濁化剤、安定剤、湿潤剤、粘度調整剤、溶媒、凍結保護剤、希釈剤、潤滑剤及びその他の生体適合性物質及び治療薬を任意選択的に含んでもよい。いくつかの実施形態では、そのような添加物は、エマルジョンを更に安定化させる、又は本発明のエマルジョンを生体適合性にさせることに役立つ。
【0111】
本発明の好ましい実施形態によると、水性エマルジョン(A)及び水性エマルジョン(B)中に存在する添加物は、各エマルジョン中に存在する構造並びに量は相違してよい。
【0112】
良好な診断結果はナノ範囲内にある油滴サイズを有するエマルジョンを用いて達成できることが見いだされた。本発明の好ましい態様によると、連続相、すなわち油相の粒子は、25℃で光子相関分光法(PCS)を通して測定された場合に、1〜500nmの範囲内、より好ましくは50〜450nmの範囲内及び更に好ましくは100〜400nmの範囲内の平均粒径を有する。
【0113】
VI)画像診断法
フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物を投与する前の、本発明における食作用性成分含有水性製剤(F)、好ましくは水中油型エマルジョン(A)の投与は、肝臓の飽和をもたらすことが見いだされた。これは、血流中に存在するより多くの造影剤が炎症組織中に存在するマクロファージに結合するので、周囲の器官、特に心臓血管系の画像のコントラストを増強させる。更に、血流中においてより多量の造影剤が利用可能であるために、炎症領域の満足できる画像を達成するために必要な時間が有意に短縮されるだけではなく、更に例えば心筋梗塞後の炎症過程の広がりもまた、極めて詳細に決定できる。
【0114】
好ましくは、本発明において使用する食作用性成分含有水性製剤(F)は、特にイメージング法がフッ素化造影剤、好ましくはセミフッ素化化合物の
19F同位体の核磁気共鳴を測定する工程に基づく場合に、イメージング法による診断的検出のためのコントラスト増強剤として使用する。
【0115】
画像に対応する測定値の評価と、その変換は、例えば、下記から明らかなように、当業者には公知である:
Haacke ME,Brown WR,Thompson MR,Venkasetan R:Magnetic Resonance Imaging−Physical Principles and Sequence Design,Wiley,New York,1999;
Yu JX,Kodibagkar VD,Cui W,Mason RP.19F:a versatile reporter for non−invasive physiology and pharmacology using magnetic resonance;Curr Med Chem.12:819−48,2005;
Wernick MN,Aarsvold JN Emission Tomography:The Fundamentals of PET and SPECT,Academic Press,London,2004.
【0116】
食作用性成分含有水性製剤(F)及び/又は本発明のフッ素化化合物又は本発明のフッ素化化合物を含む組成物は、炎症過程を検出するために特に好適である。このため、本発明の好ましい実施形態によると、水性製剤(F)及び/又は本発明のフッ素化化合物又はフッ素化化合物を含む組成物は、梗塞の周辺での炎症反応、例えば心筋梗塞、脳梗塞;器官の炎症、例えば心筋炎、脳炎、髄膜炎;多発性硬化症;消化管の炎症、例えばクローン病;血管の炎症、例えば動脈硬化症、特に不安定プラーク;膿瘍及び更に関節炎の検出からなる群から選択される炎症過程のイメージング法による診断的検出のためであり、イメージング法は
19F同位体の核磁気共鳴を測定する工程に基づく。
【0117】
本発明のまた別の好ましい実施形態では、食作用性成分含有水性製剤(F)及び/又は本発明のフッ素化化合物又はフッ素化化合物を含む組成物は、心筋、動脈及び静脈を含む心臓血管系;例えば脳梗塞もしくは腫瘍などの神経学において見いだされる血管構造の炎症性及び変性過程をもたらす心筋梗塞、心筋炎、動脈硬化症及び血栓症のような疾患過程において発生する炎症反応;例えば血栓症、炎症、サルコイドーシスなどの呼吸器病;腫瘍、例えばクローン病などの炎症性腸疾患などの胃腸病;及び例えば高安動脈炎などの血管の自己免疫疾患などのリウマチ病の非侵襲的イメージング法に基づく診断的検出のためである。
【0118】
本発明のまた別の実施形態は、第1工程で食作用性成分含有水性製剤(F)及びそれに続く工程でフッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物が投与される患者の非侵襲的イメージングを獲得するための手順を含む方法に関する。
【0119】
好ましくは、食作用性成分含有水性製剤(F)の投与とフッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物の投与との間の時間差は、飽和剤、例えば水中油型エマルジョン(A)中の油の濃度が、肝臓内のマクロファージの大多数が遮断されて肝臓が飽和するようなレベルに達する方法で選択される。当業者には明白であるように、時間差は、肝臓内の輸送及び取り込みの方法を意味する食作用性成分含有水性製剤(F)の生物動力学的特性に左右される。このため時間差は、飽和剤がその目標に到達できなければならないので、過度に短くてはならない。他方、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物が投与される時間枠は、フッ素化造影剤が炎症組織中に蓄積する前に肝臓による飽和剤の分解を防止できるように長過ぎてはならない。
【0120】
本発明における方法の1つの実施形態は、第1工程とそれに続く工程との時間差は、少なくとも15秒間、好ましくは少なくとも30秒間、特に1分間〜10時間、例えば5分間〜1時間の範囲に及ぶことが好ましい。通常は、食作用性成分含有水性製剤(F)を用いた第1投与と、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物を用いた第2投与との間の時間は、肝臓のマクロファージを飽和させるために十分でなければならず、特に少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも40%もしくは少なくとも約60%、特に少なくとも約80%又は少なくとも約90%の肝臓のマクロファージが飽和しなければならない。特に、肝臓の飽和は、周囲の器官、特に心臓血管系の明瞭で明白な画像を達成できるようでなければならない。
【0121】
本発明では数種の可視化方法、例えば磁気共鳴法(MRT)、コンピューター断層撮影法(CT)、光学イメージング法、超音波、陽電子発光断層撮影法(PET)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)又は光コヒーレンス断層撮影法(OCT)などが使用されてもよい。好ましくは、可視化方法は非侵襲的である。
【0122】
好ましい実施形態では、非侵襲的イメージング法は、磁気共鳴(MR)イメージング法である。
【0123】
本発明における方法のさらに別の好ましい実施形態では、イメージング法は
19F同位体又は
19F同位体及び
1H同位体の核磁気共鳴を測定する工程に基づく。
【0124】
フッ素化造影剤中の
19F及び/又は
18F同位体の存在は、先行技術において公知のデバイスを使用すること、つまり
19F同位体を用いた核磁気共鳴分光法及び/又は
18F同位体の陽電子発光分光法の使用することの利点を可能にする。更に、より短い時間でより効率的な診断装置をもたらす生画像、すなわち造影剤を使用していない画像は、例えば
1H同位体の核磁気共鳴を測定することによって、フッ素化造影剤が投与された後でさえ、フッ素化造影剤の干渉を受けずに、炎症組織から撮影することができる。
【0125】
本発明における食作用性成分含有水性製剤(F)を使用することによって、下記の病理的状態を特別に検出することができる。
1)リンパ節及びそれらの病理的拡大の可視化
a)リンパ節に直接的な影響を及ぼす癌:ホジキン病、非ホジキンリンパ腫;
b)例えば乳癌からの腫瘍転移;
c)ウイルス性及び細菌性感染症、例えば梅毒、結核;
2)以下の境界帯における炎症反応
a)梗塞、例えば心筋梗塞、脳梗塞;
b)腫瘍;
3)器官の炎症:心筋炎、脳炎、髄膜炎(脳膜及び脊髄膜);
4)多発性硬化症;
5)消化管の炎症、例えば、クローン病;
6)血管の炎症、例えば、動脈硬化症、特にいわゆる「不安定プラーク」;
7)膿瘍の検出;
8)関節炎の検出。
【0126】
VII)キット
炎症状態に苦しんでいる患者の診断的措置は、既に衰弱している患者に与える負担をできる限り小さく抑える穏やかな方法でなければならない。非侵襲的検出技術を使用すること及びマイナスの副作用をなるべく引き起こさない造影剤及び造影剤組成物を提供することとは別に、患者に優しい治療における別の態様は、診断手技のために必要とされる時間である。診断は、心理的及び生理的の負担の両方を最小限に抑えるためにできる限り高速で達成されなければならない。好ましくは、成分の面倒な混合は、一方では時間を節約するため、及び他方では成分の誤った取扱いによって誘発される可能性がある患者及びスタッフ両方への危険性を回避するために、回避しなければならない。
【0127】
従って、本発明のさらなる目的は:
a)上記に規定した食作用性成分含有水性製剤(F)を含む1つの容器、及び
b)上記に規定したフッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物を含む1つの容器
を含むキットである。
【0128】
容器の材料は、好ましくは不活性であり、内容物と反応しない。更に好ましいのは、内容物の分解を生じさせる可能性がある、例えば熱及び/又は光への曝露から容器の内容物をさらに防護する材料である。好ましくは、材料は、ガラス及び有機ポリマー並びにそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい有機ポリマーは、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンである。
【0129】
好ましくは、容器は、例えば細菌による内容物の汚染を回避するために密封することができる。
【0130】
キットの好ましい実施形態では、容器は、内容物の意図しない混合を防止するような方法で配置される。
【0131】
好ましい実施形態では、食作用性成分含有水性製剤(F)は、上述した水性水中油型エマルジョン(A)である。
【0132】
更に好ましいのは、水性製剤(F)が水中油型エマルジョン(A)であり、フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物がエマルジョン(B)である1つの実施形態である。
【0133】
このため、好ましい実施形態では、キットは:
a)水性エマルジョン(A)を含む1つの容器、及び
b)水性エマルジョン(B)を含む1つの容器を含む。
【0134】
好ましくは、キットは、例えばガラス又は有機ポリマーの層によって分離された2つの区画に分割された1つの容器からなる。好ましくは、1つの容器は、食作用性成分含有水性製剤(F)を含み、もう一つの容器はフッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物を含む。
【0135】
また別の好ましい実施形態では、キットは、別個である2つの容器からなるか、又は、内容物の要件に合わせて調整されている容器の別個の保管を可能にできるように容器は破壊せずに分離することができる。
【0136】
好ましい実施形態は、炎症過程の診断的検出に使用する本発明におけるキットである。
【0137】
本発明のさらなる目的は、
a)食作用性成分含有水性製剤(F)を含む1つの容器、及び
b)フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物を含む1つの容器を含む診断キットである。
【0138】
好ましい実施形態では、本発明における診断キットに含まれる食作用性成分含有水性製剤(F)は、本発明において記載したように、水中油型エマルジョン(A)である。フッ素化造影剤又はフッ素化造影剤を含む組成物は、好ましくは、本発明において記載したようなエマルジョン(B)である。好ましくは、本発明における診断キットは、炎症過程の診断的可視化において使用される。
【0139】
以下では、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0140】
試験動物のラットをDomitor(登録商標)及びDormicum(登録商標)Vの混合物(5g/5mL)を用いて麻酔をかけた。Domitor(登録商標)は、α−2アドレナリン作動薬のクラスに属しており、Pfizer社から入手できる。Dormicum(登録商標)V(5g/5mL)は、ベンゾジアゼピンのクラスに属し、Roche Pharma社から入手できる。ラットに麻酔をかけた後、長期留置静脈カテーテルをラットの尾静脈に配置した。2mLの水性エマルジョン(A)を、静脈カテーテルを介して投与した。水性エマルジョン(A)の内容物は表1に示した。6分後、1.5mLの水性エマルジョン(B)を造影剤として注射し、その組成物は表2に示した。次に試験動物を、MRI法を使用して画像撮影した。
【0141】
表1:水中油型エマルジョン(A)
【表1】
1 =LCT=長鎖トリグリセリド
2 =Lipoid E 80、Lipoid社(ドイツ)
【0142】
表2:フッ素化造影剤を含有する水性エマルジョン(B)
【表2】
3 リン脂質、Lipoid社(ドイツ)(14〜25重量%の糖脂質を含む大豆リン脂質)
【0143】
表1及び表2で使用されたMCTは表3に示した脂肪酸組成物を有しており、重量%は脂肪酸の総重量に基づく。
【0144】
表3:好適なMCT組成物
【表3】
【0145】
本発明におけるエマルジョンをMRIによってin vivoで可視化して標的組織中で検出できるかどうかをチェックするために、薬物動態学検査を最初に実施した。
【0146】
図1は、ラット胸部内での磁気共鳴イメージング信号の再構成を示している。水性エマルジョン(B)(表2に記載されている)が投与された後にデータを取得した。心臓(標的組織)の血液プール中のエマルジョンの蓄積を示した。解剖学的T2 TSEの典型的な3D再構成及びカラー3D
19Fシーケンスが単一データセット内でマージされている(画像A)。画像Bは、肝臓が後処置によって切除されている同一データセットを示している。下の段では、マージされた3Dデータセット(画像C)及び心臓の拡大図(画像D)の異なる視野を示している。
【0147】
このように、本発明において記載した造影剤は、心筋内をin vivoで可視化できる。更に、MRIでの梗塞の描写を試験した。結果は以下の
図2に示した。
【0148】
図2は:(画像A)表2によるフッ素化造影剤を含む水性エマルジョン(B)の投与の24時間後の同一配置における、カラー
19F画像(
1H/
19F)と重ね合わされているT2強調MRI画像(1.5テスラ、Philips社)中のin vivoにおけるラット胸部の心筋領域内の横断面を示している。(画像B)心筋梗塞の領域並びに手術によって誘発された心膜と肋骨との間の癒着部位の領域におけるフッ素化造影剤の濃縮を示している、
1H/
19F画像の詳細図としての心筋層。(画像C)梗塞領域の側の心膜(グレーの輪郭)の強く顕著な炎症を示している、ラット心臓のin situ記録。
【0149】
このように、フッ素化造影剤が梗塞領域では濃縮されることを示すことができた。
【0150】
図3は、本発明による水性エマルジョン(A)並びに比較例の投与法を例示している。表1に記載された2mLの水性エマルジョン(A)を時点t
0に試験動物1に投与した。同一時点(t
0)に2mLの塩化ナトリウム溶液を試験動物2に投与し、比較例として使用した。6分後(t
1)に両方の試験動物に表2に記載した1.5mLの水性エマルジョン(B)を摂取させた。20分後(t
2)に両方の試験動物をMRイメージング法にかけた。
【0151】
図4は、カラー
19F画像と重ね合わされている解剖学的T2強調MR画像の典型的な3D再構成図を示しており、肝臓は濃い白色である。画像(A)及び画像(B)の比較によって明らかなように、試験動物1の肝臓内の造影剤の蓄積は有意に減少している(画像(A))。そこで、エマルジョン(B)の薬物動態は事前の水性エマルジョン(A)の投与によって、試験動物の肝臓及び脾臓内に蓄積する造影剤が少なくなる方法で修正できることを証明することができた。
【0152】
図5は、上記の投与手順に従って処置された2匹の試験動物のin situ蛍光画像を示している。両方の動物は、追加して蛍光染料を含有している表2に記載した2mLのエマルジョン(B)を摂取した。動物1もまた造影剤の投与前に水性エマルジョン(A)を摂取したが、試験動物2は塩化ナトリウム注射液しか摂取しなかった。明らかに見て取れるように、動物1における蛍光信号の強度(画像A)は、動物2に比較して有意に減少した(画像B)。そこで、本発明において記載した肝臓のプリサチュレーションは、肝臓内のフッ素化造影剤の蓄積を有意に妨害し、そこで炎症組織を可視化するために関連のあるマクロファージのためにより多くの造影剤が利用可能になることが証明されている。2匹の動物の肝臓内の造影剤の異なる量をより明確に例示するために、両方の肝臓を切除し、ex vivoで画像描出した。疑似色でコード化した蛍光強度を
図6に示した。
【0153】
図6の左側に示した肝臓は、肝食細胞が水性エマルジョン(A)の投与によって事前飽和させられた試験動物1から切除した。見て取れるように、水性エマルジョン(A)が注射されなかった試験動物2から切除した右側の肝臓と比較して,蛍光信号の強度は相当に低い。蛍光信号のより高い強度によって明らかなように、造影剤の濃度ははるかに高い。
【0154】
更に、エマルジョンを意味する、本発明において記載したフッ素化造影剤を含む組成物の安定性を試験した。試験したエマルジョンは、比較例と同様に表4に示した。呈示した量は、エマルジョンの総重量に基づいて重量%で示した。
【0155】
表4:
【表4】
1)パーフルオロヘキシルオクタン、Novaliq社(ドイツ)
2)中鎖トリグリセリド(50〜80重量%のC
8−脂肪酸及び20〜50重量%のC
10−脂肪酸)
3) 卵リン脂質、Lipoid社(ドイツ)
【0156】
安定性試験の結果を表5に示す。平均粒径(ZAverage)及び多分散度(P.I.)は光子相関分光法(PCS)によって決定した。
【0157】
表5:表4の実施例1〜3によるエマルジョンの保管安定性データ
【表5】
【0158】
図7は、表5に反映した保管安定試験のデータ並びに提示した比較例に関するデータを示している。
【0159】
図7Aは、実施例1〜3によるエマルジョンの粒子成長並びに表4に示した比較例を示している。粒子成長の測定は、エマルジョンの製造直後に開始した。
【0160】
図7Aは更に、28日間以内の油滴の平均粒径が、実施例1については約11%、実施例2については約15%、実施例3については約17%及び比較例については約23%増加させることを示している。セミフッ素化化合物の濃度が高いほど、粒子成長の増加が高くなる。
【0161】
図7Bは、セミフッ素化化合物F6H8の濃度に対する粒子成長増加の依存性を示している。
【0162】
表5Aは、
図7、7A及び7Bに示したデータを反映している。保管試験は、20℃で実施されている。
【0163】
【表5A】
【0164】
高濃度のセミフッ素化化合物(MR測定値における良好なコントラストを達成するために必要である)及び保管安定性エマルジョンの最適なバランスは、油滴(MCT及びセミフッ素化化合物)の密度が水相の密度とほぼ同一である場合に達成できることが見いだされた。油相の密度を水相の密度に適応させることによって、液滴の凝集現象並びにエマルジョンを不安定化させる沈降現象を減少させることができる。
【0165】
図7Cは、MCT及びF6H8の種々の混合物の密度測定の結果を示している。
【0166】
約38.5重量%のF6H8及び約61.5重量%のMCT(油相の総重量に基づく重量)では、油混合物の密度は水相の密度に対応する。
【0167】
実施例1A〜8A、9A及び10〜12
パーフルオロオクチルブロミド(PFOB)は、磁気共鳴分光法のための公知の造影剤である。PFOBはMCTに溶解できないことが見いだされている。このため、PFOBがPFOB中に溶解できるパーフルオロデシルブロミド(PFDB)によって安定化されるエマルジョンが調製された。
【0168】
表6及び表7は、実施例1A〜8A、9A及び10〜12の水中油型エマルジョン組成物を示しており、表8は20℃での各保管安定性データを示している。表4及び5に記載した量は、エマルジョンの総重量に基づく重量%(wt%)である。
【0169】
表6:実施例1A〜4A
【表6】
1) パーフルオロオクチルブロミド、ABCR社(ドイツ)
2) パーフルオロデシルブロミド、ABCR社(ドイツ)
3) 卵リン脂質、Lipoid社(ドイツ)
【0170】
表7:実施例5A〜8A
【表7】
1) パーフルオロオクチルブロミド
2) パーフルオロデシルブロミド
3) リン脂質、Lipoid社(ドイツ)
【0171】
表8:実施例9A及び10〜12
【表8】
1) パーフルオロオクチルブロミド、ABCR社(ドイツ)
2) パーフルオロデシルブロミド、ABCR社(ドイツ)
3) 大豆リン脂質、Lipoid社(ドイツ)
【0172】
表9:実施例1A〜12Aによるエマルジョンの保管安定性データ
【表9】
【0173】
図8は、表9に反映されているように、保管安定性試験についてのデータを示している。
図8の左側部分には実施例1A〜4Aによるエマルジョンについてのデータ、右側部分には実施例5A〜8Aによるエマルジョンについてのデータが描出されている。
【0174】
様々な乳化剤を用いた試験
驚くべきことに、本発明のエマルジョンは、乳化剤の選択によって更に安定化されることが見いだされた。
【0175】
乳化剤Lipid S PC−3はあまり好適ではないと考えられるので(
図8)、本発明のエマルジョンに対してそれ以上試験していない。
【0176】
表10は、実施例4及び5による本発明のエマルジョンを示している。
【0177】
表10:実施例4及び5による水中油型エマルジョン
【表10】
1) パーフルオロヘキシルオクタン、Novaliq社(ドイツ)
2) 中鎖トリグリセリド(50〜80重量%のC
8−脂肪酸;20〜50重量%のC
10−脂肪酸)
3) 卵リン脂質、Lipoid社(ドイツ)
4) リン脂質、Lipoid社(ドイツ)(14〜25重量%の糖脂質を含む大豆リン脂質)
【0178】
実施例4及び5によるエマルジョンは、滅菌条件がエマルジョンの安定性に影響を及ぼすかどうかについて更に分析する。エマルジョンは、回転型オートクレーブ内で滅菌されており、非滅菌エマルジョンと比較される(滅菌条件:121℃で15分間にわたり2barでの加熱)。
【0179】
表11は、滅菌していない、及び滅菌後の実施例4及び5によるエマルジョンの安定性データを示している。
【0180】
表11:滅菌条件及び非滅菌条件下での本発明の実施例4及び5についての保管安定性データ
【表11】
【0181】
図9は、表11に反映されているように、保管安定性試験についてのデータを示している。
図9の左側部分には実施例4によるエマルジョンについてのデータ、右側部分には実施例5によるエマルジョンについてのデータが描出されている。
【0182】
図9及び表11は、実施例5によるエマルジョンが実施例4のエマルジョンより安定性であることを示している。実施例5によるエマルジョンは、エマルジョンが回転型オートクレーブ内で滅菌された後には更により安定性である。
【0183】
更に実施例4及び5のエマルジョンは、40℃で168日間保管されている。
【0184】
図9Aは、実施例4によるエマルジョンの3つのサンプルの試験結果を示している。
【0185】
図10は、実施例5によるエマルジョンの3つのサンプルの試験結果を示している。驚くべきことに、実施例5のエマルジョンは40℃の保管温度でさえ物理的安定性を有意に変化させなかったことが見いだされた(
図10)。