特許第6587637号(P6587637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587637
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】カルボキサミド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20191001BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20191001BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20191001BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   C07D403/12CSP
   C07D487/04 150
   A61K31/4192
   A61K31/55
   A61P43/00 111
   A61P11/00
   A61P9/12
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P43/00 105
   A61P19/08
   A61P13/02
   A61P9/00
   A61P17/02
   A61P11/14
   A61P11/06
   A61P27/06
【請求項の数】18
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2016-567507(P2016-567507)
(86)(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公表番号】特表2017-515845(P2017-515845A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】IB2015001539
(87)【国際公開番号】WO2015177646
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年4月26日
(31)【優先権主張番号】61/993,046
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14168319.3
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ドゥスーザ,アン−マリエ
(72)【発明者】
【氏名】アハメド,マハブブ
(72)【発明者】
【氏名】パルズ,ロバート,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー,リサ,アン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】トロックスラー,トーマス,ジェイ.
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−513691(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/151361(WO,A1)
【文献】 米国特許第07354722(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
[式中、
は(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルであり、
はメチルであり、

【化2】
であり、
およびRは独立して、水素、ハロ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシもしくは−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシから選択され、または
およびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、アゼピン環を形成することができ、かつRはHであり、
は、ハロ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシまたは−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシであり、
あるいは
は2−フルオロフェニルであり、
はメチルであり、
は、独立してクロロおよびシクロプロピルから選択される1または2個の置換基で置換されているフェニルである]。
【請求項2】
がイソプロピル、シクロブチルまたはシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
がシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】

【化3】
であり、
およびRが独立して、クロロ、フルオロ、シクロプロピル、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルから選択され、
が水素である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】

【化4】
であり、
およびRが独立して、クロロおよびシクロプロピルから選択され、
が水素である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミド;および
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
下記式:
【化5】
を有する、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドである化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
下記式:
【化6】
を有する、1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドである化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
下記式:
【化7】
を有する、1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドである化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
治療上有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩および1種または複数の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
治療上有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩および1種または複数の治療活性剤を含む組合せ医薬
【請求項12】
Smurf−1活性を調節するための医薬組成物であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項13】
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患を治療するための医薬組成物であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
医薬品として使用するための請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患の治療で使用するための請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における使用。
【請求項17】
緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される障害または疾患の治療で使用するための請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される障害または疾患の治療のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明には、治療において有用である有機化合物が記載されている。本化合物はSmurf−1選択的阻害剤としての特性を示し、したがって、様々な障害、具体的には肺動脈性肺高血圧症、ならびに緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息などの他の障害の治療において有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
Smurf−1(Smadユビキチン化制御因子1)は、ユビキチン依存性タンパク質分解経路を介したタンパク質分解に特異的な基質を特徴づける、E3ユビキチンリガーゼのHECTファミリーのメンバーである。Smurf−1の主要な基質としては、RhoA、骨形成タンパク質(BMP)受容体(BMPR)1および2、smad1および5、TNFα受容体会合因子(TRAF)6ならびにmyD88(Andrews, P.S. et al. Assay Drug Dev. Technol. 2010)が挙げられる。基質のリストを考慮すれば、Smurf−1は、BMPシグナル伝達(Chen, D et al. Growth Factors, 2004)、神経細胞極性(Stiess, M. and Bradke, F. Neuron, 2011)、細胞遊走(Huang, C. Cell Adh. Migr. 2010)、腫瘍細胞浸潤(Sahai, E. et al. JCB, 2007)、ミトコンドリアオートファジー(Orvedahl, A. Nature, 2011)、間葉系幹細胞増殖(Zhao, L. et al. J. Bone Miner. Res. 2010)および上皮−間葉転換(EMT)(Ozdamar, B et al. Science 2005)の制御において、確立された役割を担う。
【0003】
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、複数の病因を有する、生命を脅かす侵攻性および複合性の疾患であり、右心室肥大/不全およびたいていの場合早死に至る進行性の肺血管障害を特徴とする。現在の薬物療法は姑息療法である。平均余命の改善が認められているものの、疾患の血管収縮要素を変更することに着目する現在の療法は疾患の進行を停止することも、元に戻すこともなく、(両肺または心肺)移植が依然として唯一の根治治療である。現在の治療クラスの効果が限定されていることを考慮すれば、PAHの根底にある進行性肺血管リモデリングを標的とする新規療法が必要とされる。
【0004】
トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)スーパーファミリー受容体の骨形成タンパク質受容体II(BMPR−II)型遺伝子における生殖細胞突然変異は、遺伝性およびいくつかの散発性の特発性PAH(IPAH)の70%に生じている。骨形成タンパク質は、TGF−βスーパーファミリーに属するシグナル伝達分子である。骨形成タンパク質は元々それらが軟骨および骨の形成を誘導する能力により同定され、その後、骨芽細胞、上皮細胞、神経細胞、免疫細胞、および平滑筋細胞を含めた多くの種類の細胞型において増殖、分化、およびアポトーシスなどの広い範囲に及ぶ機能を制御する多機能タンパク質であると同定された。今までに、20種超の哺乳類BMPが同定されているが、BMPと結合することができる3種のI型受容体および3種のII型受容体(それぞれBMPR−IおよびBMPR−II)しか哺乳類でクローニングされていない。骨形成タンパク質は、肺血管平滑筋細胞および内皮細胞を含めた、様々な細胞型から合成および分泌される。BMPR−IおよびIIにおける突然変異に加えて、非家族性PAH患者の肺は、血管BMPR−IおよびIIのレベルの著しい低下を示し、このことから、多くの型のPAHにおいてBMPシグナル伝達の混乱が中心的な役割を果たすことが示唆される(Du, L et al. N.Eng.J.Med, 2003)。したがって、PAH治療のための新しい抗リモデリング療法薬の開発において、PAH患者の肺血管系におけるBMPシグナル伝達を修復することにかなりの関心が持たれる。
【0005】
Smurf−1は、骨芽細胞(Zhao, M et al. JBC, 2003)、筋芽細胞(Ying, SX et al. JBC, 2003)、肺上皮(Shi W, et al. Am.J.Physiol.Cell.Mol.Physiol, 2004)、神経細胞組織(Kallan, T et al. Mol. Cell. Biol, 2009)および心内膜細胞(Towsend, TA, et al. Cells Tissues Organs, 2011)を含めた、様々な細胞型におけるBMPR−IおよびIIならびにsmad1および5の分解を媒介することがわかった。最近、PAHにおけるSmurf−1の役割を裏付ける最初の証拠が明らかになった。その証拠は、Smurf−1のレベルの亢進が慢性低酸素症およびPAHのモノクロタリン前臨床インビボモデルにおいて観察され、BMPR1および2の下方制御を伴っているというものであった(Murakami, K, et al. Exp. Biol. Med, 2010およびYang, J. et al. Circ. Res, 2010)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
肺動脈性肺高血圧症、ならびに緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息などの他の障害に対する新規治療および療法が依然として求められている。本発明は、化合物、それらの薬学的に許容される塩または共結晶、それらの医薬組成物、ならびにそれらの組合せを提供する。それらの化合物はSmurf−1阻害剤である。本発明は、肺動脈性肺高血圧症を治療、防止、または改善する方法であって、それらを必要とする対象に有効量のSmurf−1阻害剤を投与するステップを含む方法をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様、実施形態1によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する:
【0008】
【化1】
[式中、
は(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルであり、
はメチルであり、

【0009】
【化2】

であり、
およびRは独立して、水素、ハロ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシもしくは−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシから選択され、または
およびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、アゼピン環を形成することができ、かつRはHであり、
は、ハロ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシまたは−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシであり、
あるいは
は2−フルオロフェニルであり、
はメチルであり、
は、独立してクロロおよびシクロプロピルから選択される1または2個の置換基で置換されているフェニルである]。
【0010】
本発明の別の実施形態において、上記に定義した式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、治療上有効量の式(I)の定義による化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶、あるいはその部分式(subformulae)と1種または複数の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0012】
別の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および1種または複数の薬学的に許容される担体とを含む。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた、肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)の定義による化合物、またはその塩、あるいは部分式またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは共結晶を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、ならびにCOPDおよび喘息から選択される障害または疾患を治療する方法であって、その治療を必要とすることが認識されている対象に、治療上有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、治療上有効量の式(I)の定義による化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶、あるいはその部分式と1種または複数の治療活性剤とを含む組合せ、特に医薬組合せを提供する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、治療上有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩と1種または複数の治療活性剤とを含む組合せ、特に医薬組合せを提供する。
【0017】
本発明の様々な実施形態を本明細書に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
したがって、本発明は、上文に実施形態1として記載されたように式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する。
【0019】
実施形態2.Rがイソプロピル、シクロブチルまたはシクロヘキシルである、実施形態1による化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶。
【0020】
実施形態3.Rがシクロヘキシルである、実施形態1もしくは実施形態2による化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶。
【0021】
実施形態4.R
【0022】
【化3】

であり、
およびRが独立して、クロロ、フルオロ、シクロプロピル、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルから選択され、
が水素である、実施形態1から3のいずれか1つによる化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶。
【0023】
実施形態5.R
【0024】
【化4】

であり、
およびRが独立して、クロロおよびシクロプロピルから選択され、
が水素である、実施形態1から4のいずれか1つによる化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶。
【0025】
実施形態6.化合物が
実施例1:
1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例2:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例3:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例4:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例5:
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例6:
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例7:
1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例8:
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例9:
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例10:
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例11:
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例12:
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例13:
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例14:
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例15:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例16:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミド
実施例17:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
から選択される、実施形態1に記載の式(I)の化合物。
【0026】
実施形態7.化合物が
実施例10:
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例11:
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
実施例12:
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドおよび
実施例16:
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミド
またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶から選択される、実施形態1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0027】
本明細書で使用される「ハロ」(またはハロゲン)という用語は、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素、特にフッ素、塩素を指す。ハロゲンで置換されたアルキル(ハロアルキル)など、ハロゲンで置換された基および部分は、モノハロゲン化、ポリハロゲン化またはパーハロゲン化することができる。
【0028】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、最大で10個の炭素原子を有する完全飽和の分枝または非分枝炭化水素部分を指す。別段の記載がない限り、アルキルは、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を有する炭化水素部分を指す。アルキルの代表例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。分枝アルキルの代表例としては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。置換アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシ基から選択される置換基を1、2または3個など、1個または複数含有するアルキル基である。
【0029】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、1個または複数の本明細書に定義されたハロ基で置換されている本明細書に定義されたアルキルを指す。ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、またはパーハロアルキルを含めたポリハロアルキルとすることができる。モノハロアルキルは、アルキル基内に1個のヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有することができる。ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基は、アルキル内に同じハロ原子を2個以上有する、または異なるハロ基の組合せを有することができる。典型的には、ポリハロアルキルは、最大で12、または10、または8、または6、または4、または3、または2個のハロ基を含有する。ハロアルキルは限定されるものではないが、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルなどが挙げられる。パーハロアルキルは、すべての水素原子がハロ原子で置換されているアルキルを指す。
【0030】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語はアルキル−O−を指す。ここで、アルキルは本明細書で以上に定義されている。アルコキシの代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ−、シクロヘキシルオキシ−などが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を有する。
【0031】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語は、1個または複数の本明細書に定義されたハロ基で置換されている本明細書に定義されたアルコキシを指す。
【0032】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を有する飽和の単環式、二環式、またはスピロ環式炭化水素基を指す。別段の記載がない限り、シクロアルキルは、3から6個の間の環炭素原子を有する環式炭化水素基を指す。
【0033】
出発物質および手順の選択にもよるが、化合物は不斉炭素原子の数に応じて考え得る異性体の1つの形としてまたはそれらの混合物として、例えば純粋な光学異性体としてまたはラセミ体やジアステレオマー混合物などの異性体混合物として存在し得る。本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物および光学的に純粋な形を含めて、考え得るそのような異性体をすべて包含することを意味するものである。光学活性(R)−異性体および(S)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができ、または通常の技法を用いて分割することができる。化合物が二重結合を含有する場合、置換基はEまたはZ立体配置とすることができる。化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基はシス−またはトランス−立体配置をとることができる。互変異性形もすべて、包含されるよう意図されている。
【0034】
水素結合に対して供与体および/または受容体として働くことができる基を含有する本発明の化合物、すなわち式(I)の化合物は、適当な共結晶形成剤と共結晶を形成することができる。これらの共結晶は、式(I)の化合物から公知の共結晶形成手順で調製することができる。そのような手順は、式(I)の化合物を共結晶形成剤と結晶化条件下で粉砕、加熱、共昇華、共融解、または溶液状態で接触させ、それによって形成された共結晶を単離するステップを含む。適当な共結晶形成剤としては、国際公開第2004/078163号パンフレットに記載されているものが挙げられる。したがって、本発明は、式(I)の化合物を含む共結晶をさらに提供する。
【0035】
本明細書で使用される「塩(salt)」または「塩(salts)」という用語は、本発明の化合物の酸付加塩または塩基付加塩を指す。「塩」は特に「薬学的に許容される塩」を包含する。「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的効果および特性を保持し、典型的には生物学的にせよそうでないにせよ望ましくないものではない塩を指す。
【0036】
多くの場合、本発明の化合物は、カルボキサミド基またはそれと同様の基によって酸および/もしくは塩基の塩を形成することができる。
【0037】
薬学的に許容される酸付加塩または共結晶は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。
【0038】
塩または共結晶を誘導することができる無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【0039】
塩または共結晶を誘導することができる有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0040】
薬学的に許容される塩基付加塩または共結晶は、無機塩基および有機塩基を用いて形成することができる。
【0041】
塩または共結晶を誘導することができる無機塩基としては、例えばアンモニウム塩および周期表の第I族〜第XII族の金属が挙げられる。特定の実施形態において、塩はナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、銀および亜鉛に由来する。特に好適な塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が挙げられる。
【0042】
塩または共結晶を誘導することができる有機塩基としては、例えば第一級、第二級、および第三級アミン、天然置換アミンを含めた置換アミン、環式アミン、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられる。特定の有機アミンとしては、コリネート(cholinate)、リシン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが挙げられる。
【0043】
別の態様において、本発明は、式Iの化合物の酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタール酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩(trifenatate)、もしくはキシナホ酸塩または共結晶形を提供する。
【0044】
一実施形態において、本発明は、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドの酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタール酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩、もしくはキシナホ酸塩または共結晶形を提供する。
【0045】
別の実施形態において、本発明は、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドの酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタール酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩、もしくはキシナホ酸塩または共結晶形を提供する。
【0046】
別の実施形態において、本発明は、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d3,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドの酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタール酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩、もしくはキシナホ酸塩または共結晶形を提供する。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミドの酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタール酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩、もしくはキシナホ酸塩または共結晶形を提供する。
【0048】
別の態様において、本発明は、式Iの化合物のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銀塩、亜鉛塩、コリネート塩、リシン塩、メグルミン塩、ピペラジン塩もしくはトロメタミン塩または共結晶形を提供する。
【0049】
一実施形態において、本発明は、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銀塩、亜鉛塩、コリネート塩、リシン塩、メグルミン塩、ピペラジン塩もしくはトロメタミン塩または共結晶形を提供する。
【0050】
一実施形態において、本発明は、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銀塩、亜鉛塩、コリネート塩、リシン塩、メグルミン塩、ピペラジン塩もしくはトロメタミン塩または共結晶形を提供する。
【0051】
一実施形態において、本発明は、1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d3,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銀塩、亜鉛塩、コリネート塩、リシン塩、メグルミン塩、ピペラジン塩もしくはトロメタミン塩または共結晶形を提供する。
【0052】
一実施形態において、本発明は、N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミドのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銀塩、亜鉛塩、コリネート塩、リシン塩、メグルミン塩、ピペラジン塩もしくはトロメタミン塩または共結晶形を提供する。
【0053】
本明細書に記載されたいずれの式も、化合物の非標識の形および同位体標識された形を表すよう意図されている。同位体標識された化合物は、1個または複数の原子が選択された原子質量または質量数を有する原子で置き換えられていること以外、本明細書に記載された式によって表された構造を有する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124I、125Iが挙げられる。本発明は、本明細書に定義された様々な同位体標識された化合物、例えばHや14Cなどの放射性同位体が存在するもの、またはHや13Cなどの非放射性同位体が存在するものを包む。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(14Cを使用)、反応速度論研究(例えば、HまたはHを使用)、薬物もしくは基質の組織分布アッセイを含めた陽電子放出断層撮影(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)などの検出もしくは画像処理技術、または患者の放射線治療において有用である。18Fまたは標識された化合物はPETまたはSPECTの研究に特に望ましい可能性がある。(I)の同位体標識化合物は、一般に当業者に公知の通常の技法によって、または以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する添付の実施例および調製に記載されるものと類似しているプロセスによって調製することができる。
【0054】
さらに、より重い同位体、具体的には重水素(すなわち、HまたはD)による置換は、より高い代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大または必要投与量の低減または治療係数の改善によって生ずるある種の治療上の利点をもたらすことがある。この文脈で重水素は式(I)の化合物の置換基とみなされることが理解されよう。そのようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義することができる。本明細書では「同位体濃縮係数」という用語は、指定された同位体の同位体存在度と天然の存在度との比を意味する。本発明の化合物の置換基が重水素を意味する場合、そのような化合物は指定された各重水素原子の同位体濃縮係数が少なくとも3500(指定された各重水素原子において52.5%重水素取込み)、少なくとも4000(60%重水素取込み)、少なくとも4500(67.5%重水素取込み)、少なくとも5000(75%重水素取込み)、少なくとも5500(82.5%重水素取込み)、少なくとも6000(90%重水素取込み)、少なくとも6333.3(95%重水素取込み)、少なくとも6466.7(97%重水素取込み)、少なくとも6600(99%重水素取込み)、または少なくとも6633.3(99.5%重水素取込み)である。実施形態8は、R
【0055】
【化5】

であり、
およびRが独立して、クロロ、フルオロ、シクロプロピル、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルから選択されるとき、メチルおよびメトキシ基は重水素化されていてもよい、式(I)の化合物、または薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する。
【0056】
本発明による薬学的に許容される溶媒和物としては、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよい、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOであるものが挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、当業者であれば公知のようにすべての溶媒、分散媒、被覆物、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物安定剤、結合剤、添加剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、矯味剤、色素など、およびそれらの組合せを包含する(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289- 1329を参照のこと)。通常のいずれかの担体が活性成分と非相溶である場合を除いて、それを治療的または医薬組成物中で使用することが考えられる。
【0058】
「治療上有効量」の本発明の化合物という用語は、対象の生物学的または医学的応答、例えば酵素またはタンパク質活性の低減もしくは阻害、または症状の改善、状態の軽減、疾患進行の減速もしくは遅延、または疾患の防止などを誘発する量の本発明の化合物を指す。非限定的な一実施形態において、「治療上有効量」という用語は、対象に投与されたとき、(1)(i)Smurf−1によって媒介される、または(ii)Smurf−1活性と関係している、または(iii)Smurf−1の(正常または異常)活性を特徴とする状態、または障害もしくは疾患の少なくとも部分的な軽減、阻害、防止および/または改善;あるいは(2)Smurf−1の活性の低減または阻害;あるいは(3)Smurf−1の発現の低減または阻害に有効な本発明の化合物の量を指す。別の非限定的な実施形態において、「治療上有効量」という用語は、細胞、または組織、または非細胞生物材料、または媒質に投与されたとき、Smurf−1の活性の少なくとも部分的な低減または阻害;あるいはSmurf−1の発現の少なくとも部分的な低減または阻害に有効な本発明の化合物の量を指す。
【0059】
本明細書で使用される「対象」という用語は動物を指す。典型的には、動物は哺乳類である。対象は、例えば霊長類(例えば、ヒト、男性または女性)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥なども指す。特定の実施形態において、対象は霊長類である。また他の実施形態において、対象はヒトである。
【0060】
本明細書で使用される「阻害する」、「阻害」または「阻害している」という用語は、所与の状態、症状、もしくは障害、もしくは疾患の低減もしくは抑制、または生物学的活性もしくはプロセスのベースライン活性の著しい低下を指す。
【0061】
本明細書で使用されるいずれかの疾患または障害の「治療する」、「治療している」または「治療」は、一実施形態において、疾患または障害の改善を指す(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発生の減速または阻止または低減)。別の実施形態において、「治療する」、「治療している」または「治療」は、患者によって識別することはできないものを含めた、少なくとも1つの物理的パラメータの軽減または改善を指す。また別の実施形態において、「治療する」、「治療している」または「治療」は、疾患または障害の物理的調節(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的調節(例えば、物理的パラメータの安定化)、または両方を指す。また別の実施形態において、「治療する」、「治療している」または「治療」は、疾患または障害の発症または発生または進行の防止または遅延を指す。
【0062】
本明細書で使用される、対象が治療によって生物学的に、医学的にまたは生活の質において恩恵にあずかる場合、そのような対象はそのような治療「を必要とする」。
【0063】
本明細書で使用される、用語「a」、「an」、「the」および本発明の文脈において(特に、特許請求の範囲の文脈において)使用される同様の用語は、本明細書で別段の示唆がない限り、または文脈上から明確な否定がない限り単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0064】
本明細書に記載される方法はすべて、別段の示唆がない限り、またはその他には文脈上から明確な否定がない限り適当な任意の順序で行うことができる。本明細書に記載されるすべての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより明らかにするよう意図されているにすぎず、別段に特許請求される本発明の範囲に制限を置かない。
【0065】
本発明の化合物のいずれかの不斉原子(例えば、炭素など)は、ラセミ体または鏡像異性体が濃縮された形、例えば(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置で存在し得る。特定の実施形態において、不斉原子はそれぞれ、(R)−または(S)−立体配置において少なくとも50%の鏡像体過剰率、少なくとも60%の鏡像体過剰率、少なくとも70%の鏡像体過剰率、少なくとも80%の鏡像体過剰率、少なくとも90%の鏡像体過剰率、少なくとも95%の鏡像体過剰率、または少なくとも99%の鏡像体過剰率を有する。不飽和二重結合を含む原子間における置換基は、可能であればシス−(Z)−形またはトランス−(E)−形で存在していてもよい。
【0066】
したがって、本明細書では本発明の化合物は、考え得る異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体またはそれらの混合物の1つの形をとることができ、例えば実質的に純粋な幾何(シスまたはトランス)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(対掌体)、ラセミ体またはそれらの混合物として存在していてもよい。
【0067】
得られた異性体混合物はいずれも、構成要素の物理化学的差異に基づいて、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別晶出によって純粋なまたは実質的に純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分離することができる。
【0068】
得られた最終生成物または中間体のラセミ体はいずれも、公知の方法、例えば光学活性の酸または塩基を用いて得られたそれらのジアステレオマー塩の分離、および光学活性の酸性または塩基性化合物の遊離によって、光学対掌体に分割することができる。特に、塩基性部分をこのように使用して、本発明の化合物を、例えば光学活性酸、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O’−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンファー−10−スルホン酸を用いて形成された塩の分別晶出によって、それらの光学対掌体に分割してもよい。キラル吸着剤を使用するキラルクロマトグラフィー、例えば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、ラセミ体生成物を分割することもできる。
【0069】
さらに、本発明の化合物はそれらの塩を含めて、それらの水和物の形で得ることもでき、またはそれらの結晶化に使用された他の溶媒を含むこともできる。本発明の化合物は、元来の性質としてまたは設計により、薬学的に許容される溶媒(水を含めて)と溶媒和物を形成してもよい。したがって、本発明は溶媒和形と非溶媒和形の両方を包含することが意図されている。「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)と1個または複数の溶媒分子との分子複合体を指す。そのような溶媒分子は製剤技術においてよく使用されるものであり、レシピエントにとって無害であることが知られている。例えば水、エタノールなどである。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0070】
本発明の化合物はそれらの塩、水和物および溶媒和物を含めて、元来の性質としてまたは設計により多形体を形成してもよい。
【0071】
一般スキーム
本発明の化合物は、以下のスキームまたは実施例に記載される経路で調製することができる。
【0072】
略語はすべて、本明細書の以下の実施例の項で定義される通りである。
【0073】
【化6】
【0074】
ステップ1:ジアゾ化
典型的条件:a)0〜5℃、適当な溶媒中、亜硝酸ナトリウムに求核性アジド供給源を添加。
好ましい条件:0℃、アジ化ナトリウムの存在下、酢酸中において、亜硝酸ナトリウム。
【0075】
ステップ2:環化
典型的条件:50〜80℃、極性溶媒中において、β−ケトエステルおよび強塩基。
好ましい条件:60℃、メタノール中において、3−オキソブタン酸メチルおよびナトリウムメトキシド。
【0076】
ステップ3a:けん化
典型的条件:THFなどの適当な共溶媒を場合によって含む、適当な塩基水溶液
好ましい条件:THFを含む2M水酸化ナトリウム(水溶液)、室温、30分
【0077】
ステップ3b:アミドカップリング
典型的条件:適当な非プロトン性溶媒中において、トリエチルアミン、DIPEAなどの適当な塩基の存在下、塩化オキサリル、HATU、T3P、EDClなどの適当なカップリング試薬
好ましい条件:塩化オキサリル、DMF(触媒)、DCM、トリエチルアミン
【0078】
【化7】
【0079】
ステップ1:パラジウム触媒アリル化クロスカップリング反応
典型的条件:パラジウム(0)触媒;アリルスタンナン;適当な溶媒中;80〜110℃
好ましい条件:80℃、DMF中において、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、アリルトリブチルスズ
【0080】
ステップ2:アミドカップリング
典型的条件:適当な非プロトン性溶媒中において、トリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下、塩化アクリロイルなどの適当な酸クロリド
好ましい条件:−10℃、テトラヒドロフラン中において、塩化アクリロイル、トリエチルアミン
【0081】
ステップ3:閉環メタセシス
典型的条件:適当な溶媒中において、適当な触媒。
好ましい条件:DCM中において、5%{[2−(i−プロポキシ)−5−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)フェニル]メチレン}(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)ジクロリド。
【0082】
ステップ4:水素化
典型的条件:アルコールなどの適当な溶媒中において、非可溶性パラジウム触媒、水素ガス
好ましい条件:エタノール中において、炭素担持パラジウム(10%)および水素ガス
【0083】
ステップ5:チオアミド形成
典型的条件:加熱しながら、適当な溶媒中において、適当な硫黄供給源
好ましい条件:110℃、トルエン中において、ローソン試薬
【0084】
ステップ6:メチル化
典型的条件:適当な溶媒中において、適当な塩基の存在下、メチルハロゲン化物
好ましい条件:アセトン中において、水酸化カリウムの存在下、ヨウ化メチル。
【0085】
ステップ7:縮合反応
典型的条件:加熱しながら、非求核性塩基の存在下、α−ニトロエステル
好ましい条件:40℃、ニトロ酢酸エチルおよびDBU
【0086】
ステップ8:還元的トリアゾール形成
好ましい条件:酢酸およびトリクロロ酢酸中において、亜鉛および亜硝酸イソアミル
【0087】
ステップ9:けん化
典型的条件:THFなどの適当な共溶媒を場合によって含む、適当な塩基水溶液
好ましい条件:THFおよびエタノールを含む2M水酸化ナトリウム(水溶液)、室温、30分
【0088】
ステップ10:アミドカップリング
典型的条件:適当な非プロトン性溶媒中において、トリエチルアミン、DIPEAなどの適当な塩基の存在下、塩化オキサリル、HATU、T3P、EDClなどの適当なカップリング試薬
【0089】
本発明は、本方法のいずれかの段階で得られる中間生成物が出発物質として使用され、残りのステップが実施される、または出発物質が反応条件下においてその場で形成される、または反応成分がそれらの塩もしくは光学的に純粋な材料の形で使用される、本方法のいずれかの変形をさらに含む。
【0090】
本発明の化合物および中間体を、当業者に公知の方法に従って相互に転換することもできる。
【0091】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるものなど、少なくとも2種の薬学的に許容される担体を含む。本発明の目的では、別段の指定がない限り、溶媒和物および水和物は一般に組成物と考えられる。好ましくは、薬学的に許容される担体は無菌である。医薬組成物は、経口投与、非経口投与、および直腸投与などの特定の投与経路用に製剤化することができる。さらに、本発明の医薬組成物は、固体の形(カプセル、錠剤、丸剤、顆粒、粉末または坐剤を含むが、これらに限定されない)、または液体の形(溶液、懸濁液または乳濁液を含むが、これらに限定されない)として作製することができる。医薬組成物は滅菌などの通常の製剤操作を受けることができ、かつ/または通常の不活性な希釈剤、滑沢剤、もしくは緩衝剤、ならびに保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤および緩衝液などのアジュバントを含有することができる。
【0092】
典型的には、医薬組成物は、活性成分を下記の1種または複数と共に含む錠剤またはゼラチンカプセル剤である。
a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えばシリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤の場合には、また
c)結合剤、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、澱粉のり、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望の場合
d)崩壊剤、例えば澱粉、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;
e)吸収剤、着色剤、香味および甘味剤。
【0093】
当技術分野において公知である方法に従って、錠剤をフィルムコーティングまたは腸溶コーティングしてもよい。
【0094】
経口投与に適した組成物は、有効量の本発明の化合物を錠剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、乳濁液、硬もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤の形で含む。経口用である組成物は、医薬組成物を製造する当技術分野において公知のいずれかの方法に従って調製され、そのような組成物は、薬学的に洗練され、かつ口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、矯味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1種または複数の作用剤を含有することができる。錠剤は、活性成分を錠剤の製造に適した薬学的に許容される非毒性添加剤と混合して含有してもよい。これらの添加剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、またはアルギン酸;結合剤、例えば澱粉、ゼラチンまたはアカシア;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は非コーティング錠剤であり、または公知の技法でコーティングして、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによって持続した作用をより長い期間にわたって提供する。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料を使用することができる。経口用製剤は、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル剤として、または活性成分が水もしくは油媒体、例えば落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤として提供することができる。
【0095】
特定の注射可能組成物は水性等張溶液または懸濁液であり、坐剤は脂肪乳濁液または懸濁液(fatty emulsions or suspensions)から調製されることが有利である。前記組成物は滅菌してもよく、かつ/あるいは保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶液促進剤、浸透圧制御塩および/または緩衝液などのアジュバントを含有してもよい。さらに、それらは、他の治療上価値ある物質を含有してもよい。前記組成物は、それぞれ通常の混合、造粒またはコーティングの方法に従って調製され、約0.1〜75%、または約1〜50%の活性成分を含有する。
【0096】
経皮適用に適した組成物は、有効量の本発明の化合物を適当な担体と共に含む。経皮送達に適した担体としては、宿主の皮膚の通過を援助する薬理学的に許容される吸収性溶媒が挙げられる。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物と場合によって担体とを含有するリザーバー、場合によって化合物を宿主の皮膚にコントロールされた所定の速度で長期にわたって送達するための速度コントロールバリア、およびデバイスを皮膚に固定するための手段を備えた包帯の形をとる。
【0097】
局所、例えば皮膚および眼への適用に適した組成物としては、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ゲルまたは例えばエアロゾルなどによる送達用の噴霧可能製剤が挙げられる。そのような局所送達システムは、特に皮膚適用、例えば皮膚癌の治療、例えば日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどにおける予防的使用に適している。したがって、それらは、化粧用製剤を含めた、当技術分野において周知である局所製剤で使用するのに特に適している。そのようなものは、可溶化剤、安定剤、張性増加剤、緩衝液および保存剤を含有してもよい。
【0098】
本明細書で使用される局所適用は、吸入投与または鼻腔内適用にも適切であり得る。それらは、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形で(単独、混合物、例えばラクトースとのドライブレンド、または例えばリン脂質との混合成分粒子として)、または適当な噴射剤を使用してもしくは使用せずに加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器もしくはネブライザーからエアロゾル噴霧投与の形で送達できることが好都合である。
【0099】
水は特定の化合物の分解を促進する可能性があるので、本発明は、本発明の化合物を活性成分として含む無水の医薬組成物および剤形をさらに提供する。
【0100】
本発明の無水の医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有原料および低水分または低湿度条件を用いて調製することができる。無水の医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製および貯蔵することができる。したがって、無水組成物は、水への曝露を防止することが知られている材料を使用して、適当な処方キット(formulary kit)に含められるように包装される。適当なパッケージングの例としては、密閉箔、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明は、活性成分としての本発明の化合物が分解する速度を下げる1種または複数の作用剤を含む医薬組成物および剤形をさらに提供する。本明細書では「安定剤」と呼ばれるそのような作用剤としては、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝液、または塩緩衝液などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
式Iの化合物の遊離形または薬学的に許容される塩の形は、例えば次の項で記載されているインビトロおよびインビボ試験で示されているように、有益な薬理学的特性、例えばSmurf−1調節特性を示し、したがって治療に、または研究用化学物質、例えばツール化合物として使用するのに必要である。
【0103】
本発明の化合物は、下記を含めて、適応症の治療において有用である。
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症
線維症
関節リウマチ
骨折治癒
緑内障
遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)
タンパク尿
創傷治癒
COPD
喘息
【0104】
肺動脈性肺高血圧症(PAH)
肺動脈性肺高血圧症は、多因子性病理生物学的性質を有する。血管収縮、肺血管壁のリモデリングおよび血栓症は、PAHにおける肺血管抵抗の増加に寄与する(Humbert et al, J. Am. Coll. Cardiol., 2004)。本明細書に開示される本発明の化合物は、PAHおよびその症状の治療において有用である。肺動脈性肺高血圧症は、以下の形の態肺高血圧症を包含すると理解されているものとする:特発性PAH(IPAH);遺伝性PAH(HPAH);薬物または毒素誘発性PAH、結合組織病に伴うPAH、HIV感染症に伴うPAH、門脈圧亢進症に伴うPAH、先天性心疾患に伴うPAH、住血吸虫症に伴うPAH、PAHを伴う慢性溶血性貧血など、他の状態に伴うPAH(APAH)、または新生児遷延性肺高血圧症(Galie et al, ERJ, 2009; Simonneau et al, JACC, 2009)。
【0105】
特発性PAHは、原因未確定のPAHを指す。遺伝性PAHは、BMP受容体であるBMPR2に突然変異を持つもの、または(遺伝性出血性末梢血管拡張症を伴うまたは伴わない)ALK1もしくはエンドグリンに突然変異を持つものを含めた、遺伝的継承が疑われているまたは確認されているPAHを指す。
【0106】
薬物または毒素に伴うPAHは、アミノレックス、フェンフルラミン化合物(例えば、フェンフルラミンまたはデキスフェンフルラミン)、ある種の毒性油(例えば、菜種油)、ピロリジジンアルカロイド(例えば、ブッシュティー)、モノクロタリン、アンフェタミン、L−トリプトファン、メタンフェタミン、コカイン、フェニルプロパノールアミン、セント・ジョーンズ・ワート、化学療法剤またはSSRIの摂取に伴うPAHを包含すると理解されているものとする。
【0107】
結合組織病に伴うPAHは、全身性硬化症、肺線維症、多発性筋炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群に伴うPAH、または全身性エリテマトーデスに伴うPAHを包含すると理解されているものとする。
【0108】
先天性心疾患に伴うPAHは、体循環から肺への短絡症患者、アイゼンメンゲル症候群、小心室中隔欠損症もしくは心房中隔欠損症に伴うPAH、または矯正心臓手術に伴うPAHを包含すると理解されているものとする。
【0109】
慢性溶血性貧血に伴うPAHは、鎌状赤血球症、サラセミア、遺伝性球状赤血球症、有口赤血球症および微小血管症性溶血性貧血の患者を含めた、慢性の遺伝性および後天性の貧血患者を包含すると理解されているものとする。
【0110】
PAHの症状としては、呼吸困難、アンギナ、失神および浮腫が挙げられる(McLaughlin et al., Circulation, 2006, 114:1417-1431)。本明細書に開示される本発明の化合物は、PAHの症状の治療において有用である。
【0111】
肺高血圧症(PH)
肺高血圧症(PH)は、ダナポイント臨床分類に従ってグループに分けられた以下の状態に伴うと理解されているものとする(Simonneau, G et al. JACCC, 2009):
【0112】
グループ1’−PHは、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)および肺毛細血管腫症(PCH)の患者に伴うと理解されているものとする。
【0113】
グループ2−左心性心疾患に伴うPHは、左側心室または弁膜疾患の患者を含む。
【0114】
グループ3−肺疾患および/または低酸素症の結果としてのPH。PHに至る肺疾患は、肺線維症、肺気腫、気腫合併肺線維症、気管支拡張症、嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者を包含すると理解されているものとする。
【0115】
グループ4−慢性血栓塞栓症に伴うPH(CTEPH)。
【0116】
グループ5−不明または多因子の病因に伴うPH。このカテゴリーのPH患者は、以下の群のうちの1つに入る患者を包含すると理解されているものとする:1)真性赤血球増加症、本態性血小板血症または慢性骨髄性白血病を含めた慢性骨髄増殖性疾患;2)サルコイドーシス、線維症、外因性の肺大動脈圧迫などの肺毛細血管床の破壊に至る状態、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ脈管筋腫症、神経線維腫症1型および抗好中球細胞質抗体関連血管炎の患者を含めた全身性障害;3)糖原病Ia型、グルコース−6−ホスファターゼ欠損症、ゴーシェ病および甲状腺疾患(甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症)を含めた代謝障害;4)肺動脈内腔に拡大する腫瘍、転移性腫瘍塞栓による肺微小血管系の閉塞、縦隔線維症の患者、または血液透析を長期に受けている末期腎疾患患者を含む。
【0117】
線維症
TGFβ/BMPシグナル伝達経路の制御障害は、腎臓、心臓、肺、皮膚、膵臓および肝臓を含めた、様々な器官の線維症、ならびに全身性硬化症および関連する病状において原因となる役割があることがわかってきた(Leask and Abraham, FASEB, 2004によって概説されている)。BMP7は、TGFβ1−誘導性上皮間葉転換(EMT)(Zeisberg, M et al. Nat. Med, 2003)およびコラーゲン誘導(Izumi, N et al. AJP. Lung, Cell, Mol., Physiol. 2005)に対抗し、両方とも線維症の発生において重要な機序であることが明らかになっている。線維症の病状におけるSmurf−1の役割についての直接証拠が、腎臓の進行性尿細管間質性線維症の片側尿管閉塞(UUO)マウスモデルで示された。Smurf−1レベルの亢進が、保護的Smurf−1基質Smad7のレベル低下を伴う患部の腎臓において認められた(Fukasawa, H et al. PNAS, 2004)。最近になって、肺線維症におけるSmurf−1の役割が、EMTを制限する際にSmurf−1基質Smad7の決定的な役割を特定する肺上皮細胞において生成されたデータで示唆された(Shukla, MA, et al. Am. J. Resp. Cell. Mol. Biol. 2009)。本明細書に開示される本発明の化合物は、線維症およびその症状の治療において有用である。線維症は以下を包含すると理解されているものとする:肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、腎性全身性線維症、クローン病、ケロイド、陳旧性心筋梗塞、強皮症(全身性硬化症)、関節線維症または癒着性関節包炎の患者。
【0118】
関節リウマチ
腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症性サイトカインは、関節リウマチ(RA)などの慢性炎症性状態の発症および維持においてキーとなる役割を果たす。骨密度の減少は通常RAに伴い、Smurf−1は、RA誘導性骨量減少を媒介する際にキーとなる役割を果たすことがわかった。TNFαは、Smurf−1基質Smad1およびRunx2のタンパク質分解を引き起こしたことがわかった。それらの基質は両方とも、骨を造る骨芽細胞の活性に不可欠である。この関連を支持する直接証拠が、smurf−1 KOマウスにおいて示された。TNFαは、Smurf−1 KOマウスに由来する骨における破骨細胞の活性に影響を与えることができなかったが、対応する野生型マウスの骨においては影響を与えることができた(Guo, R et al. JBC, 2008)。本明細書に開示される本発明の化合物は、関節リウマチおよびその症状の治療において有用である。RAは、滑膜細胞の膨潤に続く滑膜の慢性炎症、過剰の滑液および関節内での線維組織形成の患者を包含すると理解されているものとする。さらに、RAは、壊死性肉芽腫、血管炎、壊疽性膿皮症、スイート症候群、結節性紅斑、小葉性脂肪組織炎、指の皮膚の萎縮、手掌紅斑または皮膚のびまん性菲薄化によるRA患者も包含するものとする。RAは他の器官にも広がり、本明細書では肺の線維症、腎アミロイドーシス、RAの結果としてのアテローム性動脈硬化症、心外膜炎、心内膜炎、左室不全、弁膜炎および線維症の患者を包含する。RAは、上強膜炎および乾性角結膜炎の眼の状態、温式自己免疫性溶血性貧血、好中球減少症および血小板増加症の血液疾患、末梢神経障害、多発単神経炎および手根管症候群の神経学的状態、骨粗鬆症ならびにリンパ腫の患者も包含する。
【0119】
骨折治癒
BMP経路はここで役割を果たし、Smurf−1阻害剤はBMPシグナル伝達を増加させる。本明細書に開示される本発明の化合物は、骨折治癒およびインプラントの骨結合ならびにそれらの症状の治療において有用である。骨折治癒は、骨芽細胞および支持結合組織が遊走することができる気孔を含有する骨内インプラントが骨折の部位において外科的に植え込まれる骨折修復の技法を包含すると理解されているものとする。上記インプラントの挿入に続いて、Smurf−1の阻害剤を投与すると、間葉幹細胞の増殖を高め、骨芽細胞に分化することによって、インプラントの組込みを助け、回復を促進することができる(Zhao, M et al. JBC, 2004)。
【0120】
緑内障
眼内圧亢進(IOP)は、原発開放隅角緑内障(POAG)の主要な危険因子の1つである。前房においてIOPは、毛様体で産生され、線維柱帯網領域を通って流出する房水によって維持される。緑内障患者においては、線維柱帯網領域で細胞外マトリックス(ECM)沈着の蓄積に伴う房水流出抵抗の上昇が認められた。POAG患者におけるこのECM病状は、多くの非眼系におけるTGFbタンパク質によって誘導された線維症に似ている。TGFb2誘導性IOP上昇が、前臨床のインビボおよびエクスビボモデルにおいて示された。いくつかの小規模臨床試験において、房水中のTGFb2タンパク質レベルも、POAG患者において上昇すると報告された。緑内障患者におけるTGFb活性の調節は、IOPを潜在的に下げることができ、新規緑内障療法になり得る(Wordinger RJ JOURNAL OF OCULAR PHARMACOLOGY AND THERAPEUTICS Volume 30, Number 2, 2014)。Smurf1がTGFbシグナル伝達をその基質BMP9およびSMAD7を通して制御する上で担う役割を考えると、本明細書に記載される本発明の化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩)は緑内障の治療において有用であるはずである。
【0121】
遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)
オスラーウェーバーランデュ症候群とも呼ばれる遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)は、1:5000〜1:40,000で影響を及ぼす血管の遺伝性障害である。HHTの人は、動脈と静脈の間に正常な毛細血管を欠く血管を形成する傾向があり、高圧下で動脈血が直接静脈に流れ込み、破裂および出血する可能性がある。HHTの症状は軽度〜重度として現れる可能性があり、90〜95%の患者が成人期までに鼻出血を経験し、90〜95%が中年までに毛細血管拡張を顔または手に発症させ、40%が肺動静脈奇形(AVM)を発症し、著しい危険を有する恐れがある。AVMは脳、肝臓、および腸においても生ずることがあり、健康的影響の重症度は様々である。HHTは、ほとんどの場合凝固療法、塞栓形成、または患部組織の外科的切除により治療することができる。HHT突然変異は、BMPシグナル伝達においてハプロ不全(Ricard et al. Blood, 2010)を引き起こし、血管成熟欠如(vessel maturation defect)および脈管構造の過剰分岐に至り、これは損なわれたBMP9シグナル伝達が一因でもある(Choi, et al. PlosOne, 2013)。Smurf1はBMPシグナル伝達をダウンレギュレートし(Murakami Exp. Biol. Res. 2010およびCao, et al. Sci. Rep. 2014)、内皮細胞内で発現されると報告され(Crose, et al. JBC, 2009およびHuman Protein Atlas and GeneCards)、したがってSmurf1阻害剤はBMPシグナル伝達を回復させ、血管新生異常を矯正する働きをすることができる。したがって、本明細書に記載される本発明の化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩)は、HHTの治療において有用であるはずである。
【0122】
タンパク尿
尿中の異常量のタンパク質は、高血圧、糖尿病または腎臓における炎症に伴う疾患の結果起こり得る慢性腎臓病の初発徴候の1つである。未治療のままである場合、慢性腎臓病は末期腎疾患および腎不全に進行する恐れがある。Smurf1は、腎機能およびタンパク尿に関連した複数の機序に関与する。Smurf1基質Ras同族体遺伝子ファミリーであるメンバーA(RhoA)は、腎臓有足細胞の遊走を制御する際にクリティカルな役割を果たす。シナプトポジン(synaptopodin)は、Smurf1がRhoAに結合し、ユビキチン化する能力を遮断することによって、腎臓有足細胞内でストレスファイバー形成を可能にし、したがって腎臓の有足細胞運動性および有足細胞濾過関門の篩分け特性の調節を促進する(Asanuma, et al. Nat. Cell Biol. 2006)。さらに、トランスフォーミング増殖因子(TGF)βの細胞内アンタゴニストSmad7は、腎臓においてキーとなる保護的役割を果たす。Smurf1活性は、Smad7をユビキチン化および分解し、尿細管間質性線維症および腎機能障害に至ることがわかった(Fukasawa, et al. PNAS 2004)。全体として、これらの報告書は、腎臓について、Smurf1阻害剤が有足細胞遊走および有足細胞濾過関門の維持を可能にでき、線維化促進性シグナル伝達の伝播を遮断することに加えて、最終的にタンパク尿に対する治療効果をもたらすということを示唆する。したがって、本発明の化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩)は、タンパク尿の治療において有用であるはずである。
【0123】
創傷治癒
慢性の非治癒性創傷は最も60歳を超える人々においてよくみられ、著しい量の肉体的痛みを生じ、3つのグループに大別される:静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍および圧迫潰瘍。トランスフォーミング増殖因子(TGF)βおよび骨形態形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路の活性の正確なタイミングは、正常な創傷治癒において必要不可欠であり、線維芽細胞遊走および細胞外マトリックス沈着、炎症細胞流入、血管新生および再上皮化のキーとなる治癒促進プロセスを制御する(Pakyari, M et al. Adv. Wound Care 2013)。TGFβの活性化を長期化することによって、創傷治癒が遅延化する可能性があり、確立した非治癒性創傷の抗TGFβ抗体を用いた治療的介入によって、治癒が改善され、瘢痕肥大が低減される(Lu et al. J. Am. Coll. Surg. 2005)。Smurf1は、TGFβおよびBMPシグナル伝達の程度を制御し(Murakami Exp. Biol. Res. 2010およびCao, et al. Sci. Rep. 2014, Wang et al. J. Cell. Mol. Med. 2012)、したがってSmurf1阻害剤であれば、過剰のTGFβシグナル伝達が正常化され、慢性創傷の治癒が可能になると予想される。したがって、本発明の化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩)は、慢性の非治癒性創傷の治療および/または一般に創傷治癒において有用であるはずである。
【0124】
COPDおよび喘息
気道リモデリングは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息の患者において明らかである。喘息における気道リモデリングの主な特徴は、線維症、基底膜の肥厚、杯細胞数の増加、および収縮応答の亢進を伴う平滑筋細胞質量の向上であり、これらは気道過敏および可逆性気道閉塞の原因となる慢性炎症によって誘導されると考えられる(Carroll et al. Am.Rev Resp. Dis. 1993, Metcalfe, et al. Physiol. Rev. 1997 and Roche, et al. Lancet 1989)。COPDにおいて、肺リモデリングは、扁平上皮化生を伴う大気道における上皮の崩壊、杯細胞過形成および粘液分泌過多、ならびに平滑筋の伸長を伴う小気道リモデリング、線維症、ならびに肺気腫の発生における肺胞破壊を特徴とし、最終的に気流が制限される(De, Decramer, et al. Lancet, 2012, Pain et al. Eur. Respir. Rev. 2014 and Chung, Proc. Am. Thorac. Soc. 2005)。両疾患において、リモデリング促進(pro-remodelling)機序と関連があるBMPシグナル伝達の下方制御(Kariyawasam, et al. Am. J Resp. Crit. Care Med. 2008)およびTGFβの亢進(Mak. Et al. Respir. Med. 2009およびChakir et al. J. All. Clin. Immunol. 2003)、具体的には線維芽細胞−間葉転換(Araya, et al. J. Clin. Invest. 2007)、細胞外マトリックス沈着(Baarsma, et al. Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. PHysiol. 2011)および炎症(Chakir et al. J. All. Clin. Immunol. 2003)などの証拠がある。Smurf1阻害剤は、平滑筋や線維芽細胞などのクリティカルなリモデリング促進細胞におけるTGFβシグナル伝達を正常化し、リモデリングの進行を遮断することができ、COPDまたは喘息患者に治療効果がもたらされる。したがって、本発明の化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩)は、COPDおよび/または喘息の治療において有用であるはずである。
【0125】
したがって、さらなる実施形態として、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療における使用を提供する。さらなる実施形態において、療法は、Smurf−1の阻害によって治療することができる疾患から選択される。別の実施形態において、疾患は、上述のリスト、好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択され、さらに好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)である。またさらなる実施形態において、本発明は、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される疾患の治療における、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0126】
したがって、さらなる実施形態として、本発明は、治療で使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。さらなる実施形態において、療法は、Smurf−1の阻害によって治療することができる疾患から選択される。別の実施形態において、疾患は、上述のリスト、好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択され、
さらに好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)である。またさらなる実施形態において、本発明は、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される疾患の治療で使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0127】
別の実施形態において、本発明は、Smurf−1の阻害によって治療される疾患を治療する方法であって、治療上許容される量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。さらなる実施形態において、疾患は、上記のリスト、好適には
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択され、
さらに好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)である。またさらなる実施形態において、疾患は緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される。
【0128】
したがって、さらなる実施形態として、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の、医薬品を製造するための使用を提供する。さらなる実施形態において、医薬品は、Smurf−1の阻害によって治療することができる疾患の治療用である。別の実施形態において、疾患は、上記のリスト、好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択され、さらに好適には肺動脈性肺高血圧症(PAH)である。またさらなる実施形態において、疾患は緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される。
【0129】
本発明の一実施形態において、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒の治療で使用するための1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する。
【0130】
本発明の別の実施形態において、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息の治療で使用するための1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0131】
本発明の別の実施形態において、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒の治療で使用するための1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する。
【0132】
本発明の別の実施形態において、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息の治療で使用するための1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0133】
本発明の別の実施形態において、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒の治療で使用するための1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する。
【0134】
本発明の別の実施形態において、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息の治療で使用するための1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0135】
本発明の別の実施形態において、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒の治療で使用するためのN−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を提供する。
【0136】
本発明の別の実施形態において、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息の治療で使用するためのN−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0137】
本発明の医薬組成物または組合せは、対象約50〜70kgに対して活性成分約1〜1000mg、または約1〜500mg、または約1〜250mg、または約1〜150mg、または約0.5〜100mg、または約1〜50mgの単位投与量とすることができる。化合物、医薬組成物、またはその組合せの治療上有効な投与量は、対象の種、体重、年齢および個体の状態、治療される障害もしくは疾患またはその重症度に依存する。通常の技能を有する医師、臨床医または獣医は、障害または疾患の進行を防止、治療または阻害するのに必要な活性成分のそれぞれの有効量を容易に決定することができる。
【0138】
以上に引用された投与特性は、好都合に哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、サル、または単離された器官、組織および調製物を使用するインビトロおよびインビボ試験で実証可能である。本発明の化合物は、インビトロでは溶液、例えば水溶液の形で適用することができ、またインビボでは経腸、非経口、好都合には静脈内、例えば懸濁液または水溶液として適用することができる。インビトロでの投与は、約10−3モルと10−9モルの間の濃度とすることができる。インビボでの治療上有効量は、投与経路に応じて約0.1〜500mg/kgの間、または約1〜100mg/kgの間とすることができる。
【0139】
本発明による化合物の活性は、以下のインビトロおよびインビボ方法で評価することができる。
【0140】
医薬的アッセイ
本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は以降別名として「本発明の作用剤」と呼ばれるが、医薬として有用である。特に、化合物はSmurf−1選択的阻害剤であり、以下のアッセイで試験することができる。
【0141】
化合物のHECT E3リガーゼ選択性を決定するために、生化学的HECT E3リガーゼ自己ユビキチン化(autoubiquitinylation)アッセイパネルを使用した(Smurf−1、Smurf−2、WWP1、WWP2、ITCH、Nedd4、Nedd4LおよびE6AP)。ユビキチンのタンパク質基質へのコンジュゲートは多段階プロセスである。初期のATP依存性ステップにおいて、ユビキチンのカルボキシル末端とユビキチン活性化酵素(E1)の内部システイン残基の間にチオエステル結合が形成される。次いで、活性化されたユビキチンはユビキチンコンジュゲート酵素(E2)の特定のシステイン残基に転移される。E2はユビキチンをHECT E3リガーゼ(E3)に供与し、それから基質タンパク質に転移される。HECT E3リガーゼは自己ユビキチン化することができる。この事象は、このパネルで使用されるTR−FRET(時間分解蛍光共鳴エネルギー転移)アッセイで検出される。反応ミックスはE1、E2、タグ付きE3、ビオチンコンジュゲートユビキチン、化合物およびATPを適当な緩衝液中に含有し、45分間インキュベートして、E3リガーゼの自己ユビキチン化を可能にする。ユビキチン化されたE3リガーゼの程度をTR−FRETで測定するためには、ストレプトアビジンにコンジュゲートし、続いてビオチン化ユビキチンに結合する供与体フルオロフォアユウロピウムクリプテート(Eu3+クリプテート)、および各E3リガーゼ融合タンパク質を認識するタグ特異的抗体(HA、HisまたはGST)にカップリングしている修飾アロフィコシアニンXL665(HTRF(登録商標)一次受容体フルオロフォア)を、反応が完了した後に添加する。これら2つのフルオロフォアが生体分子相互作用により1つにまとまると(この場合、E3リガーゼのユビキチン化)、励起時にクリプテートによって捕捉されたエネルギーの一部分が620nmの蛍光発光により放出され、残りのエネルギーはXL665に移される。次いで、このエネルギーはXL665によって665nmの特異的蛍光として放出される。665nmの光は、ユウロピウムを用いたFRETによってのみ発光される。ユウロピウムクリプテートがアッセイに存在しているので、620nmの光は、生体分子相互作用がXL665を近接させないときでさえ検出される。
【0142】
細胞におけるSmurf−1の自己ユビキチン化は、Smurf−1のプロテアソーム分解につながる。したがって、Smurf−1触媒ドメインの阻害はSmurf−1自己ユビキチン化および分解を止め、阻害されたSmurf−1タンパク質が細胞に蓄積される。
【0143】
化合物のSmurf−1 HECTドメインにおける細胞活性は、DiscoverX PathHunter ProLabel検出キットを使用して、テトラサイクリン誘導性プロモーターのコントロール下においてProlabelタグ付きSmurf−1を安定に発現するHEK293細胞におけるSmurf−1タンパク質の蓄積を測定することによって評価される。この技術によって、Prolabelタグ付きSmurf−1の量が細胞可溶化物の酵素コンプリメンテーションアッセイにおいて測定される。この手法において、ProLabelと呼ばれる、β−ガラクトシダーゼを補完する4kDaの小フラグメントがヒトSmurf−1とのN末端融合物として発現される。このタグは酵素供与体(ED)であり、酵素受容体としてEAと呼ばれる大きい方のβ−ガラクトシダーゼ部分とのコンプリメンテーションを行って、機能性β−ガラクトシダーゼ酵素を形成するので標的タンパク質レベルの検出が可能になる。EAは細胞可溶化物に外から加えられる。酵素活性は化学発光基質を使用して測定され、再構成酵素の量、したがってSmurf−1レベルに比例している。
【0144】
被験化合物および参照化合物は、90%DMSO中180×[最終]で調製され、90%DMSO中1:3で希釈される。
【0145】
生化学アッセイパネルでは、50nlの被験化合物、参照化合物および緩衝液/DMSO対照を、384ウェル白色GREINER「SMALL VOLUME」PSプレートのそれぞれのウェルに移す。アッセイパネルは室温においてBiomek FX液体ハンドリングワークステーションで実施する。50nlの90%DMSO中の化合物または対照溶液を含有するアッセイプレートに、1ウェル当たり4.5μlのE3リガーゼ溶液を添加し、続いて4.5μlのプレインキュベートしたE1/E2/Ubミックスまたは前希釈したユビキチン(LOW対照)を添加した。それぞれ添加した後、プレートを激しく振盪する。このアッセイでは、化合物濃度は8点用量反応曲線において3nM〜10μMである。
【0146】
45分間インキュベーションを行った後、4.5μlの2mM NEMを添加して、ユビキチン化反応を止め、直後にXL665標識抗体とストレプトアビジンカップリングユウロピウムを含有する検出溶液4.5μlを添加して、全体積18μlが得られた。暗所で45分間インキュベーションを行った後、プレートをPherastar蛍光リーダーに移して、TR−FRETシグナルを測定する。
【0147】
次いで、細胞アッセイパネルでは、250nlの被験化合物、参照化合物および緩衝液/DMSO対照を、120μlの無菌384ウェル白色GREINER PS、CELLSTAR、μClear組織培養プレートのそれぞれのウェルに移す。細胞を添加する前に化合物溶液を培地に均等に分布させるには、化合物を含有するプレートの各ウェルに、MULTIDROP 384ディスペンサーを使用して、10ulの細胞培地を添加し、激しく振盪する。トリプシン−EDTAを用いて、短時間インキュベーションした後、細胞をフラスコから剥がし、計数し、培地中1.5×10細胞/mlの濃度になるように希釈する。Smurf−1の発現は、ドキシサイクリン(doxycyline)を最終濃度0.2μg/mlになるように添加することによって誘導される。化合物を含有するプレートの各ウェルに、MULTIDROP 384ディスペンサーを使用して、10μlの細胞懸濁液を添加する。プレートを37℃、5%COで終夜インキュベートする。このアッセイでは、化合物濃度は8点用量反応曲線において6.75nM〜22.5μMである。
【0148】
化合物については、終夜インキュベーションを行った後、DiscoverX社のPathHunter Prolabel検出キットを使用して、Smurf−1のレベルを決定する。まず、マルチチャンネルステップピペッターを使用して、10μlの溶菌/CL検出使用液を手動で添加し、続いて5μlの酵素受容体EAを添加する。プレートをプレート振盪器で混合し、室温で2〜3時間インキュベートした後、PherStarプレートリーダーの化学発光シグナルを測定する。
【0149】
本明細書の以下の実施例の化合物は、上述のデータ計測において表Aに示すSmurf−1 IC50値を有する。
【0150】
【表1】
【0151】
本発明の化合物は、1種または複数の他の治療剤と同時に、またはその前にまたはその後に投与することができる。本発明の化合物は、別々に、同じかもしくは異なる投与経路で、または他の作用剤と同じ医薬組成物中で一緒に投与することができる。治療剤は、本発明の化合物と組み合わせて患者に投与すると治療上活性を示し、または治療活性を向上させる、例えば化合物、ペプチド、抗体、抗体断片または核酸である。
【0152】
一実施形態において、本発明は、治療において同時に、別々にまたは順次に使用するための組み合わされた調製物として、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および少なくとも1種の他の治療剤を含む生成物を提供する。一実施形態において、療法は、Smurf−1によって媒介される疾患または状態の治療である。組み合わされた調製物として提供される生成物としては、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩および他の治療剤を一緒に同じ医薬組成物中に含む組成物、または式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩および他の治療剤を別の形、例えばキットの形で含む組成物が挙げられる。
【0153】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および別の治療剤を含む医薬組成物を提供する。場合によって、医薬組成物は、上述のように薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。
【0154】
一実施形態において、本発明は、2種以上の別々の医薬組成物を含むキットであって、その少なくとも1種が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有するキットを提供する。一実施形態において、キットは、容器、分けられたビン、または分けられたホイル小包など、前記組成物を別々に保持する手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などのパッケージングに典型的に使用されるブリスターパックである。
【0155】
本発明のキットは、異なる剤形、例えば経口および非経口の剤形を投与するため、別々の組成物を異なる投与間隔で投与するため、または別々の組成物を互いに漸増するために使用することができる。服薬遵守を援助するために、本発明のキットは典型的には投与の説明書を備える。
【0156】
本発明の併用療法では、本発明の化合物および他の治療剤を、同じかまたは異なる製造業者が製造および/または製剤化することができる。さらに、本発明の化合物および他の治療剤を、(i)組合せ製品を医師に発表する前に(例えば、本発明の化合物および他の治療剤を含むキットの場合);(ii)投与直前に医師自身によって(または医師の指導の下に);(iii)例えば本発明の化合物および他の治療剤の連続投与時において、患者自身で併用療法にまとめることができる。
【0157】
したがって、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のSmurf−1によって媒介される疾患または状態を治療するための使用であって、医薬品が別の治療剤と投与されるために調製される、使用を提供する。本発明は、別の治療剤のSmurf−1によって媒介される疾患または状態を治療するための使用であって、医薬品が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と共に投与される、使用も提供する。
【0158】
本発明は、Smurf−1によって媒介される疾患または状態を治療する方法において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、別の治療剤と共に投与されるために調製される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、Smurf−1によって媒介される疾患または状態を治療する方法において使用するための別の治療剤であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と共に投与されるために調製される別の治療剤も提供する。本発明は、Smurf−1によって媒介される疾患または状態を治療する方法において使用するための式(I)の化合物であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が別の治療剤と投与される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩も提供する。本発明は、Smurf−1によって媒介される疾患または状態を治療する方法において使用するための別の治療剤であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と共に投与される別の治療剤も提供する。
【0159】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のSmurf−1によって媒介される疾患または状態を治療するための使用であって、患者が以前に(例えば、24時間以内に)別の治療剤で治療されたことがある、使用も提供する。本発明は、別の治療剤のSmurf−1によって媒介される疾患または状態を治療するための使用であって、患者が以前に(例えば、24時間以内に)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩で治療されたことがある、使用も提供する。
【0160】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、それを限定するものと解釈されるべきでない。温度は摂氏度で記載されている。別段の記載がない限り、蒸発はすべて、減圧下、典型的には約15mmHgと100mmHgの間(=20〜133ミリバール)で行われる。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準分析方法、例えば微量分析および分光学的特性、例えば、MS、IR、NMRによって確認されている。使用している略語は当技術分野において慣例のものである。
【0161】
本発明の化合物の合成に利用された出発物質、ビルディングブロック、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、および触媒はすべて、市販のものであり、または当業者公知の有機合成方法で生産することができる。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示すように当業者に公知の有機合成方法で生産することができる。
【0162】
一般条件:
質量スペクトルは、LC−MS、SFC−MS、またはGC−MSシステムで、エレクトロスプレー、化学イオン化法および電子衝撃イオン化法を使用して以下の構成の様々な装置により得られた:Agilent 6110質量分析計を備えたAgilent 1100 HPLCシステム。[M+H]は、化学種のプロトン化分子イオンを指す。
【0163】
NMRスペクトルは、Bruker AVANCE 400MHzまたは500MHz NMR分光計で、ICON−NMRを使用して、TopSpinプログラムのコントロール下で行われた。スペクトルは、別段の示唆がない限り298Kで測定し、溶媒共鳴に比較して記載した。
【0164】
計装
MS法:Agilent 6110質量分析計を備えたAgilent 1100 HPLCシステムを使用
【0165】
LowpH v002
カラム:Phenomenex Gemini C18 50×4.6mm、3.0μm
カラム温度:50℃
溶離液:A:HO、B:メタノール、両方とも0.1%TFA含有
流速:1.0ml/分
グラジエント:2.0分で5%→95% B、0.2分95% B
【0166】
2minLC v003
カラム:Waters BEH C18 50×2.1mm、1.7μm
カラム温度:50℃
溶離液:A:HO、B:アセトニトリル、両方とも0.1%TFA含有
流速:0.8ml/分
グラジエント:0.20分5% B;1.30分で5%→95% B、0.25分95% B
【0167】
8minLowpHv01:
カラム:Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×100mm
温度:50℃
移動相:A:水+0.1%ギ酸 B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流速:0.7mL/分
グラジエント:0.0分2%B、0.3〜6.5分2→98%B、6.5〜7.5分98%B、7.5〜8.0分5→98%B
【0168】
2minLowpH:
カラム:Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度:50℃
移動相:A:水+0.1%ギ酸 B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流速:1.0mL/分
グラジエント:0.0分5% B、0.2〜1.3分5→98% B、1.3〜1.55分98% B、1.55〜1.6分98→5% B
【0169】
2minLowpHv01:
カラム:Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度:50℃
移動相:A:水+0.1%ギ酸 B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流速:1.0mL/分
グラジエント:0.0分5% B、0.2〜1.55分5→98% B、1.55〜1.75分98% B、1.75〜1.8分98→5% B
【0170】
2minLowpHv03:
カラム:Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度:50℃
移動相:A:水+0.1%ギ酸 B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流速:1.0mL/分
グラジエント:0.0分5% B、0.2〜1.8分5→98% B、1.8〜2.1分98% B、2.1〜2.3分98% B
【0171】
2minHighpHv03:
カラム:Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度:50℃
移動相:A:水+0.1%アンモニア B:アセトニトリル+0.1%アンモニア
流速:1.0mL/分
グラジエント:0.0分5% B、0.2〜1.8分5→98% B、1.8〜2.1分98% B、2.1〜2.3分98→5% B
【0172】
10minLowpHv01:
カラム:Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×100mm
温度:50℃
移動相:A:水+0.1%ギ酸 B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流速:0.7mL/分
グラジエント:0.0分2% B、0.5〜8.0分2→98% B、8.0〜9.0分98% B、9.0〜9.1分98→2% B
【0173】
LCMS(SRPb)
カラム:Acquity HSS T3 2.1×50mm、1.8ミクロン
カラム温度:60℃
溶離液:A:HO(0.05%ギ酸、3.75mM酢酸アンモニウム)
B:アセトニトリル(0.05%ギ酸)
流速:1.0ml/分
グラジエント:1.4分で5%→98%
【0174】
略語:
aq 水性
br ブロード
d 二重線
dd 二重線の二重線
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtN トリエチルアミン
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
g グラム
水素
HCl 塩酸
hr/h 時間(s)
ihex イソヘキサン
CO 炭酸カリウム
KF フッ化カリウム
KOH 水酸化カリウム
L リットル
LC−MS 液体クロマトグラフィー質量分析法
MeCN アセトニトリル
MeI ヨウ化メチル
MeOH メタノール
MS 質量分析
mult(s) 多重線
mg ミリグラム
min 分
ml ミリリットル
mm ミリメートル
mmol ミリモル
m/z 質量対電荷比
窒素
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
NaOMe ナトリウムメトキシド
NaSO 硫酸ナトリウム
NMR 核磁気共鳴
P(chex) トリシクロヘキシルホスフィン
Pd(OAc) 酢酸パラジウム(II)
Pd(PhP) テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
ppm 百万分率
psi 1平方インチ当たりのポンド数
q 四重線
Rt 保持時間
RT 室温
s 一重線
sat 飽和
SiCO シリカ結合カーボネート
t 三重線
tt 三重線の三重線
TBME メチルtert−ブチルエーテル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMSN トリメチルシリルアジド
P プロピルホスホン酸無水物
UV 紫外
μL マイクロリットル
【0175】
計装
別段の示唆のない限り、分析条件は以下の通りである。
LCMS 方法A
システム:化学イオン化については、Agilent MS1946Dを含むAgilent 1100 Series
カラム:Waters Symmetry C8 3.5μm 2×50mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:0.1%TFA含有H
B:0.1%TFA含有アセトニトリル
流速:1.0ml/分
グラジエント:2分で0%→95% B
【0176】
LCMS 方法B
システム:Acquity
カラム:Acquity HSS T3 2.1×50mm、1.8ミクロン
カラム温度:50℃
溶離液:A:HO(0.05%ギ酸、3.75mM酢酸アンモニウム)
B:アセトニトリル(0.05%ギ酸)
流速:1.2ml/分
グラジエント:1.4分で2%→98%
【0177】
LCMS 方法C
システム:Acquity
カラム:Acquity HSS T3 2.1×50mm、1.8ミクロン
カラム温度:60℃
溶離液:A:HO(0.05%ギ酸、3.75mM酢酸アンモニウム)
B:アセトニトリル(0.05%ギ酸)
流速:1.0ml/分
グラジエント:1.4分で5%→98%
【0178】
HPLC 方法D
システム:Agilent 1200 HPLC
カラム:Zorbax Eclipse XDB−C18 4.6×50mm、1.8ミクロン
カラム温度:35℃
溶離液:A:0.1%TFA含有H
B:0.1%TFA含有アセトニトリル
流速:1.0ml/分
グラジエント:7.5分で5%→100% B
【0179】
Prep 方法E
システム:Waters
カラム:Water Sunfire C18、150×30mm、5ミクロン
溶離液:A:0.1%TFA含有H
B:0.1%TFA含有アセトニトリル
流速:30〜50ml/分
グラジエント:7.25分で40%→80% B
【0180】
Prep 方法F
システム:Waters
カラム:Xselect CSH Prep C18、100×30mm、5ミクロン
溶離液:A:0.1%TFA含有H
B:0.1%TFA含有アセトニトリル
流速:30〜50ml/分
グラジエント:9.5分で40%→80% B
【0181】
Prep 方法G
カラム:Sunfireカラム30×100mm、C18、5μm
カラム温度:50℃
溶離液:A:HO(0.1%TFA)
B:アセトニトリル(0.1%TFA)
グラジエント:30%→70% B
【0182】
LCMS 方法H
システム:Shimadzu LCMS 2010シリーズ
カラム:Xtimate C18、3μm、2.1×30mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:HO(4L中TFA 1.5ml)
B:アセトニトリル(4L中TFA 0.75ml)
流速:1.2ml/分
グラジエント:1.5分で10%→80% B
【0183】
HPLC 方法I
システム:Shimadzu LCMS 2010HTシリーズまたは10A、20ABシリーズ
カラム:Xbridge shield RP18、5μm、50mm×2.1mm
カラム温度:40℃
溶離液:A:HO(4L中NHOH 2mL)
B:アセトニトリル
流速:1.2ml/分
グラジエント:6分で10%→80% B
【0184】
方法 2minLowpH
システム:Acquity
カラム:Acquity CSH C18 50×2.1mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:0.1%ギ酸含有H
B:0.1%ギ酸含有アセトニトリル
流速:1.0ml/分
グラジエント:1.55分で0%→98% B
【0185】
方法 2minLowpHv01
システム:Acquity
カラム:Acquity CSH C18 50×2.1mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:0.1%ギ酸含有H
B:0.1%ギ酸含有アセトニトリル
流速:1.0ml/分
グラジエント:1.75分で0%→98% B
【0186】
方法 10minLowpHv01
システム:Acquity
カラム:Acquity CSH C18 100×2.1mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:0.1%ギ酸含有H
B:0.1%ギ酸含有アセトニトリル
流速:0.7ml/分
グラジエント:9分で0%→98% B
【0187】
方法 2minLowpHv02
システム:Acquity
カラム:Acquity CSH C18 50×2.1mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:0.1%TFA含有H
B:0.1%TFA含有アセトニトリル
流速:1.0ml/分
グラジエント:1.75分で0%→98% B
【0188】
方法 2minLowpHv03
システム:Acquity
カラム:Acquity CSH C18 50×2.1mm
カラム温度:50℃
溶離液:A:0.1%ギ酸含有H
B:0.1%ギ酸含有アセトニトリル
流速:1.0ml/分
グラジエント:2.1分で0%→98% B
【0189】
最終化合物の調製
【0190】
[実施例1]
1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0191】
【化8】
【0192】
ステップ1:1−アジド−2−クロロ−4−メトキシベンゼン
2−クロロ−4−メトキシアニリン(200mg、1.269mmol)の酢酸(15ml)および水(15ml)中溶液を撹拌し、氷浴中で冷却した。亜硝酸ナトリウム(88mg、1.269mmol)の水(2ml)中溶液を滴下添加し、混合物を氷冷下10分間撹拌した。アジ化ナトリウム(83mg、1.269mmol)の水(2ml)中溶液を滴下添加し、混合物を氷冷下5分間、次いで室温で30分間撹拌した。得られた混合物に塩基性になるまで2M NaOH(水溶液)を加え、これをジエチルエーテル(2回)で抽出した。有機抽出物をMgSOで脱水し、濾過し、真空下に濃縮して、標題化合物を茶褐色固体として得た。
LC−MS:Rt1.23分;MS m/z 質量イオン無し[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.34 (1H, d), 7.12 (1H, d), 7.01 (1H, dd), 3.77 (3H, s).
【0193】
ステップ2:1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
1−アジド−2−クロロ−4−メトキシベンゼン(162mg、0.882mmol)およびメチル3−オキソブタノエート(0.286ml、2.65mmol)のMeOH(10ml)中撹拌溶液に、ナトリウムメトキシド(MeOH中5M)(1.059ml、5.29mmol)を滴下添加し、混合物を50℃で16時間加熱した。得られた混合物を水で希釈し、ジエチルエーテル(2回)で洗浄し、有機抽出物を廃棄した。水層に酸性になるまで5M HCl(水溶液)を加え、析出した固体を濾取し、水で洗浄し、真空ライン上で乾燥して、標題化合物を灰白色固体として得た。
LC−MS:Rt0.93分;MS m/z 268.1[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.2 (1H, br s), 7.63 (1H, d), 7.39 (1H, d), 7.17 (1H, dd), 3.89 (3H, s), 2.32 (3H, s).
【0194】
ステップ3:1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
塩化オキサリル(63μl、0.717mmol)およびDMF(74μl、0.956mmol)の乾燥DCM(2ml)中溶液に、窒素下1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(115mg、0.430mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A)(100mg、0.478mmol)の乾燥DCM(1ml)中溶液を、続いてトリエチルアミン(0.200ml、1.433mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。
【0195】
得られた混合物を予め加湿(MeOH)したISOLUTE(登録商標)PE−AX/SCX−2カートリッジ1g上に装填し、MeOHで洗浄し、溶出液を集めた。溶出液を減圧下に濃縮し、得られた残留物をDMSO(0.9ml)に溶解し、逆相クロマトグラフィー(分取方法E)により精製した。生成物フラクションを減圧下に濃縮し、飽和NaHCO(水溶液)で希釈し、DCMで抽出した。有機抽出物を相分離カートリッジに通し、溶出液を減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt4.44分;MS m/z 461.2[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36 (1H, s), 7.32 (1H, d), 7.13 (1H, d), 6.98 (1H, dd), 4.06 (1H, 多重線), 3.90 (3H, s), 3.24 (3H, s), 2.46 (3H, s), 2.23 (3H, s), 1.99 (2H, 多重線), 1.87 (4H, 多重線), 1.70 (1H, 多重線), 1.37 (2H, 多重線), 1.23 (1H, 多重線).
【0196】
[実施例2]
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0197】
【化9】

2−クロロ−4−メトキシアニリン(ステップ1)を2,4−ジクロロアニリンに置き換えることにより、標題化合物を実施例1と同様に調製した;
LC−MS:Rt4.71分;MS m/z 463.2[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.35 (1H, s), 7.66 (1H, d), 7.49 (1H, dd), 7.38 (1H, d), 4.06 (1H, 多重線), 3.24 (3H, s), 2.48 (3H, s), 2.23 (3H, s), 1.99 (2H, 多重線), 1.87 (4H, 多重線), 1.70 (1H, 多重線), 1.37 (2H, 多重線), 1.22 (1H, 多重線).
【0198】
[実施例3]
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0199】
【化10】

2−クロロ−4−メトキシアニリン(ステップ1)を4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)アニリンに置き換えることにより、標題化合物を実施例1と同様に調製した。
LC−MS:Rt4.57分;MS m/z 493.3[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.38 (1H, s), 7.39 (1H, d), 7.30 (1H, d), 7.23 (1H, dd), 4.07 (1H, 多重線), 3.97 (3H, s), 3.25 (3H, s), 2.42 (3H, s), 2.24 (3H, s), 2.01 (3H, 多重線), 1.88 (2H, 多重線), 1.69 (2H, 多重線), 1.38 (2H, 多重線), 1.24 (1H, 多重線).
【0200】
[実施例4]
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0201】
【化11】

2−クロロ−4−メトキシアニリン(ステップ1)を4−メトキシ−3−メチルアニリンに置き換えることにより、標題化合物を実施例1と同様に調製した。
LC−MS:Rt4.47分;MS m/z 440.5[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36 (1H,s), 7.22 (2H, 多重線), 6.95 (1H, 多重線), 4.05 (1H, 多重線), 3.91 (3H, s), 3.22 (3H, s), 2.57 (3H, s), 2.28 (3H, s), 2.22 (3H, s), 1.99 (2H, 多重線), 1.86 (4H, 多重線), 1.69 (1H, 多重線), 1.37 (2H, 多重線), 1.22 (1H, 多重線).
【0202】
[実施例5]
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0203】
【化12】

2−クロロ−4−メトキシアニリン(ステップ1)を2−クロロ−4−トリフルオルメトキシアニリンに置き換えることにより、標題化合物を実施例1と同様に調製した。分取方法Gを用いる逆相クロマトグラフィーにより精製を行った。
LC−MS:Rt:2.10分;MS m/z 513[M+H];方法A
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.35 (1H, s), 8.02 (1H, d), 7.93 (1H, d), 7.70 (1H, 多重線), 3.96 (1H, 多重線), 3.24 (3H, s), 2.36 (3H, s), 2.05 (3H, s), 2.05-1.94 (2H, 多重線), 1.79-1.76 (2H, 多重線), 1.69-1.59 (3H, 多重線), 1.36-1.26 (2H, 多重線), 1.19-1.13 (1H, 多重線).
【0204】
[実施例6]
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0205】
【化13】

1−アジド−2−クロロ−4−メトキシベンゼン(ステップ2)を(TBME中0.5M)中の1−アジド−4−クロロベンゼンに置き換えることにより、標題化合物を実施例1と同様に調製した。
LC−MS:Rt4.40分;MS m/z 431.1[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36 (1H, s), 7.57 (2H, 多重線), 7.43 (2H, 多重線), 4.05 (1H, 多重線), 3.23 (3H, s), 2.62 (3H, s), 2.22 (3H, s), 1.99 (3H, 多重線), 1.87 (4H, 多重線), 1.70 (1H, 多重線), 1.37 (2H, 多重線), 1.22 (1H, 多重線).
【0206】
[実施例7]
1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0207】
【化14】
【0208】
ステップ1〜2:1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
2−クロロ−4−メトキシアニリン(実施例ステップ1)を2,4−ジクロロアニリンに置き換えることにより、標題化合物を1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(実施例1ステップ1および2)と同様に調製した。
LCMS:Rt4.10分;MS m/z 274.0[M+H];方法10分低pHv01
【0209】
ステップ3:1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(100mg、0.368mmol)、塩化オキサリル(0.048ml、0.551mmol)およびDMF(0.057ml、0.735mmol)のDCM(5ml)中溶液を室温で15分間撹拌した。4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体B)(89mg、0.404mmol)を、続いてトリエチルアミン(0.154ml、1.103mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。得られた混合物をDCMで希釈し、0.1M HCl(水溶液)および飽和NaHCO(水溶液)で洗浄し、有機抽出物を相分離カートリッジに通し、減圧下に濃縮した。得られた茶褐色油状物をシリカ上に吸着し、TBME中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して淡ピンク色固体を得、これをジエチルエーテルで摩砕した。得られた固体を濾取し、真空乾燥機中で乾燥して、標題化合物を淡ピンク色固体として得た。
LC−MS:Rt4.33分;MS m/z 475.3[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.57 (1H, s), 8.08 (1H, d), 7.83 (1H, d), 7.77 (1H, dd), 7.56-7.35 (4H, 多重線), 3.09 (3H, s), 2.39 (3H, s), 2.20 (3H. s).
【0210】
[実施例8]
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0211】
【化15】
【0212】
ステップ1:1−(4−クロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
1−アジド−2−クロロ−4−メトキシベンゼンを(TBME中0.5M)中の1−アジド−4−クロロベンゼンに置き換えることにより、標題化合物を1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(実施例1ステップ2)と同様に調製した。
LCMS:Rt0.86分;MS m/z 240.1[M+H];方法2分低pH
【0213】
ステップ2:1−(4−クロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
1−(4−クロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(100mg、0.421mmol)、塩化オキサリル(0.041ml、0.463mmol)およびDMF(0.065ml、0.842mmol)の乾燥DCM(5ml)中撹拌溶液に、4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体B)(102mg、0.463mmol)の乾燥DCM(1ml)中溶液を、続いてトリエチルアミン(0.176ml、1.262mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物をDCMで希釈し、0.1M HCl(水溶液)および飽和NaHCO(水溶液)で洗浄した。有機抽出物を相分離カートリッジに通し、減圧下に濃縮した。得られた固体をシリカ上に吸着し、TBME中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮してガラス状固体を得、これを1:1イソ−ヘキサン:EtOに懸濁し、50℃で2時間加熱し、密栓し、16時間冷却した。固体を濾取し、真空ライン上で乾燥して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
LC−MS:Rt4.04分;MS m/z 441.4[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (1H, s), 7.75-7.70 (4H, 多重線), 7.53 (1H, 多重線), 7.47-7.35 (3H, 多重線), 3.08 (3H, s), 2.55 (3H, s), 2.19 (3H, s).
【0214】
[実施例9]
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0215】
【化16】
【0216】
ステップ1〜2:1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
2−クロロ−4−メトキシアニリン(ステップ1)を2−クロロ−4−トリフルオルメトキシアニリンに置き換えることにより、標題化合物を1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(実施例ステップ2)と同様に調製した。
【0217】
ステップ3:1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
DMF(43μL、0.56mmol)をDCM(1mL)に溶解し、0℃に冷却した。塩化オキサリル(27μL、0.308mmol)を、続いて1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(90mg、0.28mmol)を加え、反応混合物を10分間撹拌した。4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体B)(62mg、0.28mmol)を、続いてトリエチルアミン(117μL、0.839mmol)を加えた。反応物を室温に加温し、4時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液を反応混合物に加え、生成物をDCMで抽出した。有機抽出物を乾燥し、減圧下に濃縮した。粗製物を逆相クロマトグラフィー(分取方法G)により精製して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt:2.08分;MS m/z 525[M+H];方法A
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.57 (1H, s), 8.02 (1H, d), 7.94 (1H, d), 7.72- 7.69 (1H, 多重線), 7.52-7.33 (4H, 多重線), 3.07 (3H, s), 2.38 (3H, s), 2.18 (3H, s).
【0218】
[実施例10]
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0219】
【化17】
【0220】
ステップ1:2−クロロ−4−シクロプロピルアニリン
トルエン(1470mL)および水(60mL)に、窒素下4−ブロモ−2−クロロアニリン(63g、305mmol)およびシクロプロピルボロン酸(26.5g、309mmol)を加えた。混合物を冷却し、第三リン酸カリウム(227g、1068mmol)で少しずつ、続いてP(cHex)(8.56g、30.5mmol)で処理した。フラスコを窒素でフラッシュし、Pd(OAc)(3.56g、15.87mmol)を加え、混合物を81℃に7時間加熱し、次いで室温で週末にかけて置いた。更にシクロプロピルボロン酸(5.5g、64mmol)を加え、混合物を81℃に2時間加熱し、次いで室温に冷却した。得られた混合物を水(600mL)で希釈した。水層を分離し、有機層を水(300mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、蒸発乾固して、茶褐色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、ヘプタン中10〜100%EtOAcで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して、標題化合物を緑色結晶として得た。
HPLC方法D:Rt3.94分;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.88 (1H, d), 6.74 (1H, dd), 6.67 (1H, d), 5.06 (2H, br s), 1.78-1.70 (1H, 多重線), 0.82-0.76 (2H, 多重線), 0.52-0.47 (2H, 多重線).
【0221】
ステップ2:1−アジド−2−クロロ−4−シクロプロピルベンゼン
2−クロロ−4−シクロプロピルアニリン(70g、418mmol)をMe−THF(2090mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。亜硝酸t−ブチル(59.8mL、501mmol)をゆっくり加え、TMSN(66.5mL、501mmol)を滴下添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、室温に徐々に加温し、2時間撹拌した。得られた混合物に冷却下飽和NaHCO(水溶液)(250mL)を、続いて水(250mL)を加えた。混合物を分液漏斗に移し、水(1.5L)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過して標題化合物を得、これを更には精製せずに次のステップに使用した;
HPLC方法D:Rt5.63分;
【0222】
ステップ3:1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
粗製の1−アジド−2−クロロ−4−シクロプロピルベンゼン(THF中0.2M溶液)にメチル3−オキソブタノエート(146g、1254mmol)を加え、得られた混合物を5℃に冷却した。NaOMe(232mL、1254mmol)をゆっくり加えると沈殿物が生成し、混合物を室温で64時間撹拌した。得られた懸濁液を氷浴中で冷却し、水(2L)を加えた。混合物を分液漏斗に移し、水層をMe−THF(500mL)で抽出した。水層を2M HCl(水溶液)で酸性化し、EtOAc(2L)(1回)および(1L)(2回)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(1L)およびブライン(1L)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、オレンジ色油状残留物を得た。水(300mL)を加え、混合物を30分間撹拌し、濾過し、水で洗浄し、減圧下に乾燥して、標題化合物をオレンジ色結晶として得た。
LC−MS:Rt0.89分;MS m/z 278.1[M+H];方法C
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.22 (1H, d), 7.55 (1H, d), 7.51 (1H, d), 7.29 (1H, dd), 2.31 (3H, s), 2.08 (1H, 多重線), 1.10-1.03 (2H, 多重線), 0.87-0.81 (2H, 多重線).
【0223】
ステップ4:1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(15g、54.0mmol)および4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A)(11.30g、54.0mmol)をEtOAc(150mL)中でスラリー化した。反応混合物を10℃に冷却し、トリエチルアミン(18.82mL、135mmol)を滴下添加し、続いて温度を<10℃に維持しながらTP(EtOAc中50重量/重量%)(47.7mL、81mmol)を15分かけて滴下添加した。反応混合物を室温に加温し、2.5時間撹拌した。得られた混合物を飽和重炭酸ナトリウム(水溶液)(150ml)でクエンチした。層を分離し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム(水溶液)(50ml)、水(150ml)およびブライン(150ml)で洗浄した。有機抽出物をMgSOおよび木炭で脱水した。乾燥剤を濾別し、濾液を減圧下に濃縮した。粗製物を酢酸エチル(335ml)中でスラリー化し、撹拌しながら加熱還流した。加熱混合物を濾過し、濾液に結晶核を入れ、室温で終夜静置した。得られた結晶固体を濾取し、40℃で2日かけて減圧乾固して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt1.32分;MS m/z 469.4および471.4[M+H];方法2分低pHv03。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.25 (1H, s), 7.59 (1H, d), 7.53 (1H, d), 7.32 (1H, dd), 3.93 (1H, tt), 3.32 (3H, s), 2.34 (3H, s), 2.14-2.07 (1H, m), 2.06 (3H, s), 2.05-1.94 (2H, br m), 1.83-1.75 (2H, br m), 1.71-1.58 (3H, br m), 1.39-1.25 (2H, br m), 1.24-1.12 (1H, br m), 1.09 (2H, m), 0.86 (2H, m).
【0224】
[実施例11]
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0225】
【化18】

1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(実施例10、ステップ3)(95mg、0.342mmol)、塩化オキサリル(0.045ml、0.513mmol)およびDMF(0.053ml、0.684mmol)のDCM(5ml)中溶液を室温で15分間撹拌した。4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体B)(83mg、0.376mmol)を混合物に加え、続いてトリエチルアミン(0.143ml、1.026mmol)を加え、これを室温で30分間撹拌した。得られた混合物をDCMで希釈し、0.1M HCl(水溶液)および飽和NaHCO(水溶液)で洗浄した。有機抽出物を相分離カートリッジに通し、減圧下に濃縮して、茶褐色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、TBME中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して、黄色ガラス状固体を得た。固体を1:1EtOAc:EtOに溶解し、水(2回)、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を黄色ガラス状固体として得た。
LC−MS:Rt4.60分;MS m/z 481.4[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.53 (1H, s), 7.59 (1H, d), 7.56-7.50 (1H, 多重線), 7.53 (1H, d), 7.47-7.31 (4H, 多重線), 3.08 (3H, s), 2.36 (3H, s), 2.20 (3H, s), 2.10 (1H, 多重線), 1.11-1.06 (2H, 多重線), 0.89-0.85 (2H, 多重線).
【0226】
[実施例12]
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0227】
【化19】

氷冷した塩化オキサリル(0.033ml、0.378mmol)のDCM(3ml)中溶液に、DMF(0.039ml、0.504mmol)を滴下添加し、混合物を1時間撹拌した。懸濁液に1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(実施例10、ステップ3)(70mg、0.252mmol)を加え、混合物をN下室温で1時間撹拌した。反応混合物に(中間体C)(53.5mg、0.252mmol)を加え、続いてトリエチルアミン(0.105ml、0.756mmol)を滴下添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物をDCM(20ml)で希釈し、水(20ml)、1M HCl(水溶液)(10ml)および飽和NaHCO(水溶液)(20ml)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、粗生成物を得た。粗製物をシリカ上に吸着し、イソヘキサン中0〜90%EtOAcで、続いてDCM中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して、オレンジ色油状物を得た。油状物を1:1DMSO/MeOH(1ml)に溶解し、逆相クロマトグラフィー(分取方法F)を用いて精製した。生成物フラクションをDCMで抽出し、合わせた有機抽出物を減圧下に濃縮して、標題化合物を黄色油状物として得た。
LC−MS:Rt1.17分;MS m/z 472.4[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.25 (1H, s), 7.30 (1H, d), 7.29 (1H, d), 7.16 (1H, d), 4.11 (1H, m), 2.47 (3H, s), 2.26 (3H, s), 2.06-1.96 (3H, m), 1.90 (2H, d), 1.70 (3H, 多重線), 1.40 (2H, m), 1.28 (1H, m), 1.13 (2H, m), 0.82 (2H, m).
【0228】
[実施例13]
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0229】
【化20】
【0230】
ステップ1:N−(2−ブロモ−4−クロロフェニル)アセトアミド
2−ブロモ−4−クロロアニリン(1g、4.84mmol)の無水酢酸(5ml、4.84mmol)中溶液を、室温で1.5時間撹拌した。得られた懸濁液を濾取し、真空ライン上で乾燥して、標題化合物を白色固体として得た。
LC−MS:Rt0.90分;MS m/z 250.0[M+H];方法2分低pH
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (1H, s), 7.78 (1H, d), 7.62 (1H, d), 7.44 (1H, dd), 2.08 (3H, s).
【0231】
ステップ2:N−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)アセトアミド
N−(2−ブロモ−4−クロロフェニル)アセトアミド(817mg、3.29mmol)、シクロプロピルボロン酸(706mg、8.22mmol)、PdOAc(14.76mg、0.066mmol)、N−フェニル−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)インドール(44.4mg、0.132mmol)およびフッ化カリウム(955mg、16.44mmol)の混合物を、THF(50ml)中55℃で16時間撹拌した。更にシクロプロピルボロン酸(706mg、8.22mmol)、PdOAc(14.76mg、0.066mmol)およびフッ化カリウム(955mg、16.44mmol)を反応混合物に加え、混合物を65℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、水(2回)で洗浄した。有機抽出物をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、茶褐色固体を得た。粗生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。
【0232】
ステップ3:4−クロロ−2−シクロプロピルアニリン
N−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)アセトアミド(689mg、3.29mmol)の2M HCl(水溶液)(25ml、823mmol)中懸濁液を、100℃で3時間、次いで90℃で16時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却し、EtOAcおよび水で希釈し、層を分離した。有機層を0.1M HCl(水溶液)で抽出し、有機部分を廃棄した。合わせた水性部分に、塩基性になるまで2M NaOH(水溶液)を加え、得られた混合物をEtOAc(2回)で抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、真空下に濃縮して、標題化合物を暗黄色油状物として得た。
LC−MS:Rt0.96分;MS m/z 168.1[M+H];方法2分低pH
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.89 (1H, dd), 6.75 (1H, d), 6.59 (1H, d), 5.11 (2H, s), 1.65 (1H, 多重線), 0.87-0.81 (2H, 多重線), 0.51-0.47 (2H, 多重線).
【0233】
ステップ4:1−アジド−4−クロロ−2−シクロプロピルベンゼン
4−クロロ−2−シクロプロピルアニリン(182mg、1.086mmol)の酢酸(15ml)および水(15ml)中溶液を撹拌し、0℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(74.9mg、1.086mmol)の水(1.4ml)中溶液を滴下添加し、混合物を氷冷下10分間撹拌した。アジ化ナトリウム(70.6mg、1.086mmol)の水(1.5ml)中溶液を滴下添加し、氷冷下1時間、次いで室温で30分間撹拌した。生成物混合物に塩基性になるまで2M NaOH(水溶液)を加え、これをEtOAcで抽出した。有機抽出物を飽和NaHCO(水溶液)で洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を暗黄色/茶褐色油状物として得た。粗生成物を更には精製せずに次のステップに使用した。
【0234】
ステップ5:1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
1−アジド−4−クロロ−2−シクロプロピルベンゼン(204mg、1.054mmol)およびメチル3−オキソブタノエート(0.341ml、3.16mmol)のMeOH(2ml)中撹拌溶液に、ナトリウムメトキシド(MeOH中5M)(1.264ml、6.32mmol)を滴下添加し、混合物を室温で2.5時間撹拌した。混合物を50℃で5時間加熱し、次いで室温で16時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、ジエチルエーテル(2回)で抽出し、有機抽出物を廃棄した。水層に酸性になるまで6M HCl(水溶液)を加え、これをジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物をオレンジ色油状物として得た。
LC−MS:Rt0.99分;MS m/z 278.4[M+H];方法2分低pH
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.1 (1H, br s), 7.49-7.48 (2H, 多重線), 7.23 (1H, br s), 2.35 (3H, s), 1.22 (1H, 多重線), 0.85-0.83 (2H, 多重線), 0.77-0.76 (2H, 多重線).
【0235】
ステップ6:1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
塩化オキサリル(0.035ml、0.396mmol)およびDMF(0.056ml、0.720mmol)のDCM(10ml)中撹拌溶液に、1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(100mg、0.360mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した。更に塩化オキサリル(0.035ml、0.396mmol)を反応混合物に加え、これを1時間撹拌した。4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体B)(88mg、0.396mmol)を、続いてトリエチルアミン(0.151ml、1.080mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物をDCMで希釈し、0.1M HCl(水溶液)および飽和NaHCO(水溶液)で洗浄した。有機抽出物を相分離カートリッジに通し、減圧下に濃縮して、油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、TBME中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して黄色ガラス状固体を得、これをEtOHから再結晶化した。固体を濾取し、真空ライン上で乾燥して、標題化合物を白色固体として得た。
LC−MS:Rt4.63分;MS m/z 481.4[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (1H, s), 7.56-7.35 (6H, 多重線), 7.24 (1H, d), 3.09 (3H, s), 2.39 (3H, s), 2.20 (3H, s), 1.26 (1H, 多重線), 0.90-0.85 (2H, 多重線), 0.82-0.78 (2H, 多重線).
【0236】
[実施例14]
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0237】
【化21】

実施例1、ステップ3と同様に、1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(実施例13、ステップ5)および4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A)から標題化合物を調製した。
LC−MS:Rt4.94分;MS m/z 471.3[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36 (1H, s), 7.32 (1H, dd), 7.18 (1H, d), 7.02 (1H, d), 4.06 (1H, 多重線), 3.24 (3H, s), 2.48 (3H, s), 2.23 (3H, s), 3.05-1.86 (6H, 多重線), 1.71 (1H, 多重線), 1.43-1.17 (4H, 多重線), 0.93 (2H, 多重線), 0.72 (2H, 多重線).
【0238】
[実施例15]
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0239】
【化22】
【0240】
ステップ1:N−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)アセトアミド
N−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセトアミド(1g、4.31mmol)、シクロプロピルボロン酸(0.481g、5.60mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.121g、0.431mmol)、第三リン酸カリウム(3.20g、15.08mmol)、トルエン(10ml)および水(10ml)を含む混合物を、2つの10〜20mlマイクロ波管に等分量に分けた。各反応管を密封し、排気し、窒素で充填(3回)し、マイクロ波中100℃で6時間置いた。バイアルの内容物を合わせ、EtOAcで希釈し、層を分離した。有機抽出物を水(2回)で洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を茶褐色固体として得た。生成物を次のステップに粗製で使用した。
LC−MS:Rt0.88分;MS m/z 194.3[M+H];方法2分低pHv01
【0241】
ステップ2:2−シクロプロピル−4−フルオロアニリン
実施例13ステップ3と同様に、N−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)アセトアミドから標題化合物を調製した。
LC−MS:Rt0.65分;MS m/z 152.1[M+H];方法2分低pH
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.70 (1H, tt), 6.60-6.51 (2H, 多重線), 4.82 (2H, br s), 1.69 (1H, 多重線), 0.88-0.83 (2H, 多重線), 0.52-0.48 (2H, 多重線).
【0242】
ステップ3:1−アジド−2−シクロプロピル−4−フルオロベンゼン
実施例13ステップ4と同様に、2−シクロプロピル−4−フルオロアニリンから標題化合物を調製して、茶褐色油状物を得た。
【0243】
ステップ4:1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸
1−アジド−2−シクロプロピル−4−フルオロベンゼン(237mg、1.338mmol)のMeOH(10ml)中溶液に、メチル3−オキソブタノエート(466mg、4.01mmol)および5Mナトリウムメトキシド(1.338ml、6.69mmol)を加え、混合物を50℃で16時間撹拌した。水(1ml)を加え、50℃で3時間撹拌を続けた。得られた混合物を減圧下に濃縮して、MeOHを除去した。混合物をEtOAcで洗浄し、有機抽出物を廃棄した。水層に酸性になるまで1M HCl(水溶液)を加え、これをEtOAc(3回)で抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を茶褐色油状物として得、これを更には精製せずに次のステップに使用した。
LC−MS:Rt0.97分;MS m/z 262.4[M+H];方法2分低pH
【0244】
ステップ5:N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
塩化オキサリル(0.055ml、0.632mmol)のDCM(5ml)中溶液に、DMF(0.065ml、0.842mmol)を滴下添加し、混合物を1時間撹拌した。得られた混合物を1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(110mg、0.421mmol)で処理し、室温で30分間撹拌を続けた。反応混合物に4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A)(97mg、0.463mmol)を、続いてトリエチルアミン(0.176ml、1.263mmol)を加え、室温で30分間撹拌を続けた。得られた混合物をDCMで希釈し、水で洗浄し、相分離カートリッジに通して溶出した。有機溶出液を集め、減圧下に濃縮して、茶褐色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、TBME中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、濃縮し、減圧下に乾燥して、淡茶褐色ガラス状固体を得た。固体をDCMに溶解し、水、ブラインで洗浄し、相分離カートリッジに通して溶出した。有機溶出液を減圧下に濃縮して、標題化合物をガラス状固体として得た。
LC−MS:Rt4.84分;MS m/z 452.9[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.37 (1H, s), 7.24 (1, dd), 7.04 (1H, td), 6.73 (1H, dd), 4.07 (1H, 多重線), 3.25 (3H, s), 2.47 (3H, s), 2.24 (3H, s), 2.06-1.95 (2H, 多重線), 1.89 (5H, 多重線), 1.71 (1H, 多重線), 1.43-1.18 (3H, 多重線), 0.95 (2H, 多重線), 0.71 (2H, 多重線).
【0245】
[実施例16]
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミド
【0246】
【化23】
【0247】
ステップ1:2−アリル−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン
2−ブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン(75g、293mmol)のDMF(1000ml)中溶液に、Pd(PPh(13.5g、11.7mmol)およびアリルトリブチルスズ(116g、351mmol)を加え、反応混合物を80℃で16時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、飽和KF水溶液を加えた。混合物を酢酸エチル(1500mL)で希釈し、1:1HO:飽和NaCl水溶液(2×750mL)および飽和KF水溶液(1回)で洗浄した。水層を合わせ、酢酸エチル(250mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗生成物を得、これをシリカ上に吸着し、石油エーテル中1%酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt1.00分;MS m/z 218.0[M+H];方法H
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.27 (2H, dd), 5.07-5.14 (2H, m), 5.92-5.99 (1H, m), 6.72 (1H, dd), 6.88-6.89 (2H, m).
【0248】
ステップ2:N−(2−アリル−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリルアミド
ドライアイス浴中で温度を−10℃未満に冷却した2−アリル−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン(17.5g、80.6mmol)のTHF(1000ml)中溶液に、EtN(8.96g、17.3mmol)および塩化アクリロイル(7.98g、88.7mmol)を加えた。反応混合物を室温に加温し、1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下に濃縮し、酢酸エチルに溶解し、水およびブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して白色固体を得、これを酢酸エチルで洗浄して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt1.15分;MS m/z 272.0[M+H];方法H
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.40 (2H, dd), 5.12 (1H, dd), 5.24 (1H, dd), 5.77 (1H, dd), 5.92-5.99 (1H, m), 6.18-6.29 (1H, m), 6.38 (1H, dd), 7.06 (1H, s), 7.15 (1H, dd), 7.36 (1H, s), 8.01 (1H, dd).
【0249】
ステップ3:7−(トリフルオロメトキシ)−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(5H)−オン
N−(2−アリル−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリルアミド(15g、55.3mmol)のDCM(800ml)中溶液に、Zhan触媒I(2.0g、2.77mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下に濃縮して粗製の固体を得、これを酢酸エチルから再結晶化して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt0.95分;MS m/z 243.9[M+H];方法H
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.37 (2H, dd), 5.97 (1H, dd), 6.60-6.66 (1H, m), 7.02 (1H, s), 7.10-7.13 (2H, m), 9.11 (1H, s).
【0250】
ステップ4:7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(3H)−オン
7−(トリフルオロメトキシ)−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(5H)−オン(10g、41.1mmol)の1:1EtOH:THF(150ml)中溶液に、Pd/C(1.0g)を加え、混合物を30psiのH下室温で3時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、減圧下に濃縮して粗製の固体を得、これを酢酸エチルから再結晶化して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt0.98分;MS m/z 246.0[M+H];方法H
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.22 (2H, q), 2.36 (H, t), 2.80 (2H, t), 7.02-7.03 (1H, m), 7.09 (2H, s), 8.27 (1H, s).
【0251】
ステップ5:7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(3H)−チオン
7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(3H)−オン(30g、122mmol)のトルエン(2000ml)中溶液に、ローソン試薬(29.7g、73.5mmol)を加え、混合物を100℃で2時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却し、減圧下に濃縮した。粗生成物を石油エーテル中5%酢酸エチルで溶出するシリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt1.04分;MS m/z 261.9[M+H];方法H
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 2.27-2.34 (2H, m), 2.73-2.79 (4H, m), 7.13-7.15 (1H, m), 7.20-7.22 (2H, m).
【0252】
ステップ6:2−(メチルチオ)−7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[b]アゼピン
7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(3H)−チオン(22g、84.3mmol)のアセトン(1500ml)中溶液に、KOH(7.1g、127mmol)およびMeI(18.1g、127mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をDCM(1000mL)に溶解した。混合物を水、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色油状物を得た。油状物をヘキサンで溶出する中性酸化アルミニウム上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt1.18分;MS m/z 275.9[M+H];方法I
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.25 (2H, q), 2.32 (2H, t), 2.46 (1H, s), 2.50 (2H, t), 6.99-7.01 (2H, m), 7.09-7.26 (1H, m).
【0253】
ステップ7:(Z)−エチル2−ニトロ−2−(7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(3H)−イリデン)アセテート
参照:国際公開第2011/151361号パンフレット、33および34頁
2−(メチルチオ)−7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[b]アゼピン(1g、3.63mmol)、エチル2−ニトロアセテート(2.016ml、18.16mmol)およびDBU(0.602ml、4.00mmol)の混合物を室温で撹拌した。漂白洗濯トレインを加え、混合物を撹拌し、40℃で72時間加熱した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、水(3回)で、続いて飽和NaHCO(水溶液)(3回)およびブラインで洗浄した。有機抽出物をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、0〜50%EtOAcで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮し、真空乾固して、標題化合物を黄色油状物として得た。
【0254】
ステップ8:エチル8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキシレート
(Z)−エチル2−ニトロ−2−(7−(トリフルオロメトキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−2(3H)−イリデン)アセテート(892mg、2.476mmol)の氷酢酸(50mL)中溶液を水浴中で5分間冷却した。溶液に亜鉛(971mg、14.85mmol)を少しずつ加え、混合物を室温で4時間撹拌した。更に亜鉛(486mg、7.42mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物に亜硝酸イソアミル(0.467mL、3.47mmol)およびトリクロロ酢酸(809mg、4.95mmol)を加え、混合物を室温で48時間撹拌した。得られた混合物をDCMおよび水で希釈し、層を分離した。水層をDCM(2回)で抽出し、有機抽出物を合わせた。有機抽出物を飽和NaHCO(水溶液)(3回)、ブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、茶褐色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、イソ−ヘキサン中0〜50%EtOAcで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して、標題化合物を黄色固体として得た。
LC−MS:Rt1.25分;MS m/z 342.3[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (1H, d), 7.34 (1H, dd), 7.27 (1H, br s), 4.49 (2H, q), 3.14 (2H, t), 2.62 (2H, t), 2.40-2.33 (2H, 多重線), 1.47 (3H, t).
【0255】
ステップ9:8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボン酸
エチル8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキシレート(384mg、1.125mmol)のTHF(5mL)およびメタノール(3mL)中溶液に、2M NaOH(水溶液)(2.81mL、5.63mmol)を加え、混合物を室温で45分間撹拌した。得られた混合物を減圧下に濃縮して残留物を得、これをEtOAcと水との間で分配した。層を分離し、水層をEtOAcで洗浄した。有機部分を廃棄し、水層を酸性になるまで2M HCl(水溶液)で処理した。得られた溶液をEtOAcで抽出し、有機抽出物をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を黄色固体として得た。
LC−MS:Rt1.07分;MS m/z 314.3[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.85 (1H, d), 7.38 (1H, d), 7.30 (1H, s), 3,18 (2H, t), 2.66 (2H, t), 2.44-2.37 (2H, 多重線).
【0256】
ステップ10:N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミド
8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボン酸(169mg、0.540mmol)の乾燥DCM(2mL)中溶液に、窒素下塩化オキサリル(0.052mL、0.593mmol)およびDMF(0.084mL、1.079mmol)を加え、混合物を15分間撹拌した。4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A)(124mg、0.593mmol)を、続いてトリエチルアミン(0.226mL、1.619mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物をDCMおよび水で希釈し、激しく撹拌した。混合物を相分離カートリッジに通し、有機部分を減圧下に濃縮して、黄色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、100%TBMEで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮してガラス状固体を得、これを1:1ジエチルエーテル:EtOAcから再結晶化した。得られた結晶を重力下で濾過して、標題化合物を白色固体として得た。
LC−MS:Rt4.99分;MS505.3m/z[M+H];方法10分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.31 (1H, s), 7.88 (1H, d), 7.64 (1H, br s), 7.56 (1H, br d), 3.93 (1H, tt), 3.22 (3H, s), 3.07 (2H, t), 2.64 (2H, t), 2.23 (2H, t), 2.07 (3H,s ), 2.02-1.97 (2H, 多重線), 1.80 (2H, br d), 1.70-1.61 (3H, 多重線), 1.32 (2H, q), 1.21-1.15 (1H, 多重線).
【0257】
[実施例17]
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
【0258】
【化24】
【0259】
ステップ1:N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
バイアルに、1−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸(0.040g、0.170mmol)およびGhosez試薬(0.047ml、0.340mmol)のDCM(0.95ml)中溶液を加えた。混合物を超音波処理し、加熱して溶解を促進した。バイアルをIKA振盪器上に4時間置いた。この混合物に、4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A)(10.043g、0.204mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.030ml、0.170mmol)のDCM(0.97ml)中溶液を加え、バイアルを16時間振盪した。数滴のMeOHを加え、溶媒をGenevac HT−4X蒸発器を用いて除去した。粗製の混合物を逆相クロマトグラフィーにより精製し、生成物フラクションをGenevac HT−4X蒸発器を用いて濃縮した。粗生成物をMeOH(1ml)に溶解し、溶出液としてMeOHを用いるSiCOカートリッジに通して溶出した。集めた溶出液を濃縮して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt0.98分;MS m/z 425.3[M+H];方法2分低pHv02
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.40 (1H, br s), 7.37 (2H, dt), 7.07 (2H, dt), 4.06 (1H, 多重線), 3.90 (3H, s), 3.24 (3H, s), 2.58 (3H, s), 2.22 (3H, s), 2.06-1.92 (2H, 多重線), 1.87 (4H, br d), 1.70 (1H, br d), 1.45-1.30 (2H, 多重線), 1.28-1.16 (1H, 多重線).
【0260】
中間体の調製
中間体A:
4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
【0261】
【化25】
【0262】
ステップ1:2−シクロヘキシル−5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
シクロヘキシルヒドラジン塩酸塩(700g、4643mmol)をDCM(3000ml)および氷冷2M NaOH溶液(1778mL、3556mmol)の撹拌溶液に加え、これを室温で10分間撹拌した。相を分離し、水層をDCM(4×2000ml)で洗浄した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色固体を得た。固体のシクロヘキシルヒドラジン(406g、3556mmol)を水(1300mL)および酢酸(1300mL)に溶解し、アセト酢酸エチル(450mL、3556mmol)で処理した。反応混合物を85℃に加熱し、1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下に濃縮乾固し、残留物をDCM(3000ml)および水(1000ml)に溶解した。混合物を2M炭酸カリウムでpH>9に中和し、得られた相を分離し、有機抽出物をブライン(1×2L)で洗浄した。最初の水層を塩化ナトリウムで飽和し、両方の水相をDCM(4×2L)で洗浄した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、ベージュ色固体を得た。粗生成物を砕いて粉体にし、TBME(2000ml)を加え、混合物を50℃で1時間、続いて室温で1時間撹拌した。得られた固体を濾取し、TBME(4×500ml)で洗浄し、45℃で16時間真空乾固して、標題化合物を灰白色結晶として得た。
LC−MS:Rt0.63分;MS m/z 181.1[M+H];方法C
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.62 (1H, br s), 5.06 (1H, s), 3.89 (1H, 多重線), 1.98 (3H, s), 1.81-1.55 (7H, 多重線), 1.36-1.22 (2H, 多重線), 1.18-1.05 (1H, 多重線).
【0263】
ステップ2:2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
2−シクロヘキシル−5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(525g、2834mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2200mL)中懸濁液を40℃に加熱し、ヨウ化メチル(532mL、8502mmol)を加えた。反応混合物を70℃に20時間加熱した。更にヨウ化メチル(177mL、2834mmol)を加え、混合物を75℃で3.5時間、次いで80℃で20時間加熱した。得られた混合物を減圧下に濃縮し、残留物をTBME(2000ml)で摩砕した。生成物を濾取し、TBME(5×500ml)で洗浄して固体を得、これをDCM(2500ml)および水(500ml)に懸濁し、2M炭酸カリウム溶液(1700ml)でpH>9に中和した。相を分離し、水性層をDCM(3×500ml)で抽出した。有機抽出物をブライン(1000ml)で洗浄し、減圧下に濃縮した。得られた残留物を酢酸エチル(2000ml)に溶解し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、シリカゲル(40〜63μm)200gに通して濾過し、酢酸エチル/メタノール9:1(7×300ml)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮して、標題化合物を茶褐色油状物として得た。
LC−MS:Rt0.67分;MS m/z 195.1[M+H];方法C
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 5.02 (1H, s), 3.84 (1H, tt), 3.14 (3H, s), 2.06 (3H, s), 1.98-1.86 (2H, 多重線), 1.78-1.53 (5H, 多重線), 1.33-1.20 (2H, 多重線), 1.18-1.04 (1H, 多重線).
【0264】
ステップ3:2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
−15℃に冷却したトリフルオロ酢酸(1940mL)に、2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(535g、2231mmol)を加え、反応混合物を0℃に加温した。90%硝酸(211mL、4461mmol)を15℃未満に温度を維持しながら90分かけて滴下添加し、得られた混合物を10℃で30分間撹拌した。生成物混合物を氷水(8L)中にゆっくり注ぎ入れ、30分間撹拌した。固体を濾取し、水(2×2L)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(1×2L)、水(2×2L)、TBME(3×2L)およびヘプタン(2×2L)で洗浄した。固体を真空乾燥機中で乾燥して、標題化合物をベージュ色粉体として得た。
LC−MS:Rt0.65分;MS m/z 240.1[M+H];方法C
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 4.06 (1H, tt), 3.61 (3H, s), 2.57 (3H, t), 2.15-2.03 (2H, 多重線), 1.81-1.65 (4H, 多重線), 1.64-1.55 (1H, 多重線), 1.38-1.24 (2H, 多重線), 1.19-1.06 (1H, 多重線).
【0265】
ステップ4:4−アミノ−2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
MeOH(4500ml)およびTHF(4500ml)中の2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(415g、1.73mol)に10%Pd/C(70g)を加え、反応混合物を0.1barおよび室温で57.5時間水素化した。得られた混合物を圧力濾過器に通して濾過し、メタノール(1×1L)およびTHF(2×1L)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮して、暗赤色油状物を得た。油状物をTBME(4L)に直ちに溶解し、減圧下に濃縮して約2Lにし、種(100mg)を加えた。懸濁液を室温で2時間撹拌し、氷浴中で1時間冷却した。固体を濾取し、濾液が無色になるまで氷冷TBMEで少しずつ洗浄し、真空乾固して、標題化合物を黄/淡オレンジ色結晶として得た。
LC−MS:Rt0.55分;MS m/z210.1[M+H];方法C
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 3.68 (1H, tt), 3.53 (2H, br s), 2.77 (3H, s), 1.96-1.83 (2H, 多重線), 1.92 (3H, s), 1.78-1.69 (2H, 多重線), 1.64-1.53 (3H, 多重線), 1.33-1.19 (2H, 多重線), 1.17-1.04 (1H, 多重線).
【0266】
中間体B:
4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
【0267】
【化26】
【0268】
ステップ1:2−(2−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1000g、5535mmol)の酢酸(1000ml)および水(1000ml)中撹拌懸濁液を45℃で加熱した。アセト酢酸エチル(700ml)を30分かけて滴下添加し、これを88℃で2時間撹拌した。得られた混合物を5℃に冷却し、氷(3000g)およびDCM(4500ml)上に注ぎ入れた。30%NaOH(水溶液)(2400ml)を加え、混合物を15分間撹拌し、次いで分離し、DCM(1500ml)で抽出した。有機抽出物を1M NaOH(水溶液)(1500ml)で洗浄した。水相を合わせ、氷(1500g)およびDCM(3600ml)を加えた。pHをpH1〜2に調節するまで、撹拌混合物に32%HCl(水溶液)(2400ml)を加えた。2相混合物を分離し、DCM(1500ml)で抽出し、有機抽出物をブライン/水4:1(2000ml)で洗浄し、MgSOで脱水し、蒸発乾固して、暗色固体を得た。粗生成物のDCM(2000ml)中撹拌溶液に、シリカゲル(350g)を加えた。これを濾過し、濾液を蒸発させた。EtOAc中MeOHでクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を薄黄色固体として得た。
LC−MS:Rt0.54分;MS m/z 193.1[M+H];方法B
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.20 (1H, br s), 7.48-7.40 (2H, 多重線), 7.36 (1H, td), 7.29 (1H, td), 5.31 (1H, br s), 2.10 (3H, s).
【0269】
ステップ2:2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
58℃に加熱した2−(2−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(500g、2602mmol)のTHF(2500ml)中溶液に、ヨードメタン(163ml)を15分かけて滴下添加し、混合物を65℃で30分間撹拌した。KCO(198g)を20分かけて加え、16時間撹拌した。更にヨードメタン(16.3ml)を加え、1時間撹拌を続けた。得られた混合物を0℃に冷却し、濾過し、THF(50ml)で洗浄した。濾液を蒸発乾固し、EtOAc/ヘプタンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を赤色固体として得た。
LC−MS:Rt0.54分;MS m/z 207.1[M+H];方法B
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.51-7.44 (1H, 多重線), 7.42-7.28 (3H, 多重線), 5.19 (1H, s), 3.00 (3H, s), 2.19 (3H, s).
【0270】
ステップ3:2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
TFA(1040ml)中の2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(260g、1261mmol)を−10℃に冷却し、30分間撹拌した。混合物に発煙硝酸(84ml)を滴下添加し、これを冷却下15分間、次いで室温で1時間撹拌した。得られた混合物を氷(1500ml)、水(1000ml)およびTBME(2500ml)の混合物上に注ぎ入れ、氷が溶けるまで、次いで室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、水(200ml)およびTBME(1000ml)で洗浄した。集めた結晶を乾燥して、標題化合物を赤茶褐色結晶として得た。
LC−MS:Rt0.53分;MS m/z 252.1[M+H];方法B
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.68-7.61 (1H, 多重線), 7.58-7.47 (2H, 多重線), 7.41 (1H, t), 3.37 (3H, s), 2.69 (3H, s).
【0271】
ステップ4:4−アミノ−2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
MeOH(3000ml)中の2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(208g、828mmol)および10%Pd/C(25g、235mmol)を、0.1barにて室温で98時間かけて水素化に供した。得られた混合物をセライト(登録商標)(濾材)のパッド上で濾過し、MeOH(1000ml)で洗浄し、濾液を蒸発乾固した。固体にDCM(300ml)を加え、これを65℃で加熱し、続いてトルエン(900ml)を加えた。DCMを減圧下に除去し、得られた混合物を撹拌しながら室温に冷却し、室温で終夜静置した。混合物を濾過し、1:1トルエン:ヘプタン(200ml)およびヘプタン(800ml)で洗浄し、真空乾固して、標題化合物を薄黄色結晶として得た。
LC−MS:Rt0.47分;MS m/z 222.1[M+H];方法MP
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.46-7.41 (1H, 多重線), 7.37 (3H, t), 7.35-7.27 (2H, 多重線), 2.68 (3H, s), 2.07 (3H,s).
【0272】
中間体C:
4−アミノ−2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
【0273】
【化27】
【0274】
ステップ1:2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
2−シクロヘキシル−5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(中間体A、ステップ1)(1g、5.55mmol)をDMF(5ml)中でスラリー化し、窒素雰囲気下40℃に加熱した。ヨードメタン−d(1.381mL、22.19mmol)を加え、窒素気流を止め、混合物を70℃で16時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却した。DCM(20ml)を、続いて塩化リチウム(5重量/容量%、25ml)を加えた。得られた層を分離し、有機抽出物をブライン(20ml)で洗浄した。水性洗液を合わせ、DCM(2×10ml)で再度抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで脱水した。乾燥剤を濾別し、濾液を減圧下に濃縮して、茶褐色油状物を得た。油状物をシリカ上に吸着し、DCM中0〜10%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮して、標題化合物を茶褐色油状物として得た。
LC−MS:Rt0.74分;MS m/z 198.4[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 5.30 (1H, s), 4.02 (1H, m), 2.15 (3H, s), 1.97 (2H, m), 1.78 (2H, m), 1.66 (3H, m), 1.33 (2H, m), 1.15 (1H, m).
【0275】
ステップ2:2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(690mg、3.50mmol)をTFA(5389μl、69.9mmol)に溶解し、90%硝酸(347μl、6.99mmol)を氷冷下、温度を約5℃に維持しながら滴下添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで水(30ml)中に注ぎ入れ、DCM(30ml)で抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。
LC−MS:Rt0.75分;MS m/z 243.3[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 4.07 (1H, m), 2.59 (3H, s), 2.1 (2H, m), 1.78 (2H, m), 1.67 (3H, m), 1.33 (2H, m), 1.16 (1H, m).
【0276】
ステップ3:4−アミノ−2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−1H−ピラゾール−3(2H)−オン
2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−3(2H)−オン(430mg、1.775mmol)のエタノール(5mL)中溶液に、塩化アンモニウム(356mg、6.66mmol)、鉄(347mg、6.21mmol)および水(1.25mL)を、続いて濃HCl(0.054mL、1.775mmol)を加えた。混合物を90℃で1.5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、室温で16時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、1M NaOH(水溶液)を加えることによりpH8にし、DCMで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗製物をシリカ上に吸着し、TBME中0〜20%MeOHで溶出するクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、減圧下に濃縮し、真空乾燥機中で乾燥して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
LC−MS:Rt0.50分;MS m/z 213.4[M+H];方法2分低pHv01
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.86 (1H, m), 2.01 (3H, s), 1.92 (2H, m), 1.83 (4H, m), 1.65 (1H, m), 1.32 (2H, m), 1.19 (1H, m).

本発明は、以下の態様を含む。
[1]
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化28】

[式中、
は(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルであり、
はメチルであり、

【化29】

であり、
およびRは独立して、水素、ハロ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシもしくは−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシから選択され、または
およびRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、アゼピン環を形成することができ、かつRはHであり、
は、ハロ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシまたは−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシであり、
あるいは
は2−フルオロフェニルであり、
はメチルであり、
は、独立してクロロおよびシクロプロピルから選択される1または2個の置換基で置換されているフェニルである]。
[2]
がイソプロピル、シクロブチルまたはシクロヘキシルである、[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[3]
がシクロヘキシルである、[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[4]

【化30】

であり、
およびRが独立して、クロロ、フルオロ、シクロプロピル、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルから選択され、
が水素である、[1]から[3]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[5]

【化31】

であり、
およびRが独立して、クロロおよびシクロプロピルから選択され、
が水素である、[1]から[4]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[6]
1−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;

1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1−メチル−d,5−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−(2−フルオロフェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロ−2−シクロプロピルフェニル)−N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(2−シクロプロピル−4−フルオロフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(トリフルオロメトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾ[f][1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]アゼピン−3−カルボキサミド;および
N−(2−シクロヘキシル−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド
からなる群から選択される、[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[7]
治療上有効量の[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩および1種または複数の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[8]
治療上有効量の[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩および1種または複数の治療活性剤を含む組合せ。
[9]
必要とすることが認識されている対象においてSmurf−1活性を調節する方法であって、前記対象に治療上有効量の[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
[10]
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患を治療する方法であって、対象に治療上有効量の[1から6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
[11]
医薬品として使用するための[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[12]
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患の治療で使用するための[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[13]
[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における使用。
[14]
緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される障害または疾患の治療で使用するための[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[15]
[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される障害または疾患の治療のための使用。
[16]
緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される疾患または障害の治療を必要とすることが認識されている対象において前記疾患または障害を治療する方法であって、前記対象に治療上有効量の[1]から[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
[17]
前記対象が、緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、タンパク尿、創傷治癒、COPDおよび喘息から選択される疾患または障害を有する、[9]に記載の方法。
[18]
前記対象が、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を含めた肺高血圧症、線維症、関節リウマチ、および骨折治癒から選択される疾患または障害を有する、[9]に記載の方法。