(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587641
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】LEDの放熱装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20191001BHJP
【FI】
H01L33/64
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-576040(P2016-576040)
(86)(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公表番号】特表2017-521863(P2017-521863A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】CN2015083294
(87)【国際公開番号】WO2016000662
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2016年12月29日
(31)【優先権主張番号】201410317415.1
(32)【優先日】2014年7月4日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517003923
【氏名又は名称】ヂャン イーシン
【氏名又は名称原語表記】ZHANG, Yixing
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン イーシン
【審査官】
百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−199056(JP,A)
【文献】
特開2011−155117(JP,A)
【文献】
実開昭47−022411(JP,U)
【文献】
特開2010−082636(JP,A)
【文献】
特開平10−321774(JP,A)
【文献】
特開2008−053564(JP,A)
【文献】
特開2007−103494(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0044642(US,A1)
【文献】
特開2012−231017(JP,A)
【文献】
特表2013−507737(JP,A)
【文献】
特開2009−031609(JP,A)
【文献】
特開2006−145854(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0168427(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0068206(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21V 23/00−99/00
H01L 23/34−23/46
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導材料で構成された柱状体を複数含み、
前記熱伝導材料の柱状体の直径が0.01mmより大きく0.3mm未満であり、
前記熱伝導材料で構成された複数の柱状体が一束又は複数束の熱伝導材料ワイヤを構成しており、
LEDチップの放熱ハウジングが、熱伝導材料を介して、または、直接に、前記熱伝導材料ワイヤの一端に溶接されていることで、熱を前記熱伝導材料ワイヤに伝達し、
前記熱伝導材料ワイヤの周囲の空気が加熱されて、空気の流れによって放熱され、
同一の体積を有する円柱体について、円柱面の面積が半径に反比例し、これにより、少量の銅ワイヤを使用するだけで十分な放熱面積を取得できることを特徴とするLEDの放熱装置。
【請求項2】
LEDチップの放熱ハウジングは、直接に前記熱伝導材料ワイヤの一端と一体化され、
LEDチップの放熱ハウジングにおける熱伝導材料ワイヤを介して熱伝導材料ワイヤの周囲の空気が直接に加熱されて、空気の流れによって放熱される、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDの放熱装置。
【請求項3】
前記熱伝導材料は銅であり、前記熱伝導材料の柱状体は銅柱であり、前記熱伝導材料ワイヤは銅ワイヤである、ことを特徴とする請求項1に記載のLEDの放熱装置。
【請求項4】
前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤの表面に保護層が1層被覆されていることにより、前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤが酸化され、腐食され、または汚染されることが防止される、ことを特徴とする請求項1に記載のLEDの放熱装置。
【請求項5】
前記表面に被覆された1層の保護層は銀めっき層であり、前記表面に1層の保護層が被覆された熱伝導材料の柱状体は銀めっき銅柱であり、前記表面に1層の保護層が被覆された熱伝導材料ワイヤは、銀めっき銅ワイヤである、ことを特徴とする請求項4に記載のLEDの放熱装置。
【請求項6】
前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤは、空気が流れることができるダクト内に置かれ、ダクト内に送風機が配置されており、送風機により空気の流れが促されることによって放熱が行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のLEDの放熱装置。
【請求項7】
前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤは、空気が流れることができるダクト内に置かれ、前記ダクトの出口と入口の間に一定の高度差が存在し、空気が熱を受けて軽くなったことにより、出口と入口の間に圧力差が生じ、空気の流れが促されることによって、放熱が行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のLEDの放熱装置。
【請求項8】
加熱された空気を収納するための空気流通用ダクトをさらに含み、
前記空気流通用ダクトの出口と入口の間に一定の高度差が存在し、空気が熱を受けて軽くなったことにより、さらに、圧力差が形成され、空気の流れが加速的に促されることによって放熱が行われる、ことを特徴とする請求項7に記載のLEDの放熱装置。
【請求項9】
前記ダクトは絶縁材料で構成され、それにより、グラウンドに対する放熱装置全体の絶縁が確保されている、ことを特徴とする請求項6に記載のLEDの放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明電器分野に属し、具体的には、LED(Light Emitting Diode)の放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グレーン照明として、LEDは一連の際立った利点を有する。現在、LED照明業界は、爆発的に成長した段階にある。
【0003】
しかし、周知のように、LEDは、他の光源に対して比較的高い発光効率を有するが、電源から取得したエネルギーの半分以上が他の光源と同じく発熱のために用いられる。したがって、1つの大きくないLEDチップが発光したとしても、それと同時に、常に大量の熱が生じてしまい、そして、その発熱によって、LEDの通常使用に対して直接な影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED電力の増大に伴い、放熱器の放熱面積を拡大するために、現在、放熱器をますます大型化・重量化しているが、その効果は相対的に小さいと考えられる。したがって、LEDの放熱問題は、既に優先的に考慮しなければならない問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、LEDチップの適切な作動温度を保証した条件下で、LED放熱装置の重量や体積を半分に減少させることができ、同時に、グラウンドに対する放熱装置全体の電気的絶縁を確保できるようなLEDの放熱装置を提供することを目的にしている。
【0006】
本発明はLEDの放熱装置を提供するものであり、当該装置は、熱伝導材料で構成された柱状体を複数含み、前記熱伝導材料の柱状体の直径が2mm未満であり、最小の直径が0.01mmよりも大きく、LEDチップの放熱ハウジングは、熱伝導材料を介して、または、直接に、前記熱伝導材料で構成された柱状体の一端に接触しており、柱状体の周囲の空気が加熱されて、空気の流れによって放熱される。
【0007】
本発明が提供したLEDの放熱装置において、前記熱伝導材料の柱状体の直径が0.3mm未満の場合、前記熱伝導材料で構成された柱状体が1束または複数束の熱伝導材料ワイヤを構成しており、LEDチップの放熱ハウジングが、熱伝導材料を介して、または、直接に、前記熱伝導材料ワイヤの一端に接触することで、熱を前記熱伝導材料ワイヤに伝達し、前記熱伝導材料ワイヤの周囲の空気が加熱されて、空気の流れによって放熱される。
【0008】
さらに、LEDチップの放熱ハウジングを、直接に前記熱伝導材料ワイヤの一端と一体化させ、LEDチップの放熱ハウジングにおける熱伝導材料ワイヤを介して熱伝導材料ワイヤの周囲の空気が直接に加熱されて、空気の流れによって放熱されるようにしてもよい。
【0009】
ここで、前記熱伝導材料は銅であり、前記熱伝導材料の柱状体は銅柱であり、前記熱伝導材料ワイヤは銅ワイヤであってもよい。
【0010】
前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤの表面に保護層が1層被覆されることにより、前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤが酸化され、腐食され、または汚染されることを防止することができる。
【0011】
具体的には、前記表面に被覆された1層の保護層は銀めっき層であり、前記表面に1層の保護層が被覆された熱伝導材料の柱状体は銀めっき銅柱であり、前記表面に1層の保護層が被覆された熱伝導材料ワイヤは銀めっき銅ワイヤであってもよい。
【0012】
本発明が提供したLEDの放熱装置において、前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤは、空気が流れることができるダクト内置かれ、ダクト内に送風機が配置されており、送風機により空気の流れが促されることによって放熱が行われる。
【0013】
本発明が提供したLEDの放熱装置において、送風機が配置されることなく、前記熱伝導材料の柱状体または前記熱伝導材料ワイヤは、空気が流れることができ、かつ、その出口と入口の間に一定の高度差が存在するダクト内に置かれ、空気が熱を受けて軽くなったことにより、出口と入口の間に圧力差が生じ、空気の流れが促されることによって放熱が行われるようにしてもよい。
【0014】
さらに、当該装置は、加熱された空気を収納するための空気流通用ダクトをさらに含み、前記空気流通用ダクトの出口と入口の間に一定の高度差が存在し、空気が熱を受けて軽くなったことにより、さらに、圧力差が形成され、空気の流れが加速的に促されることによって放熱が行われるようにしてもよい。
【0015】
前記ダクトは絶縁材料で構成され、それにより、グラウンドに対する放熱装置全体の絶縁を確保することができる。
【0016】
本発明では、LEDの放熱装置を、通常の大きくて重いアルミニウム型材から、プラスチックダクトに収納可能な金属ワイヤに変更している。金属ワイヤによる放熱効果が、以下の簡単な演算から、明らかにされる。
【0017】
周知のように、半径がr、高さがhである円柱体の体積は、
V=πr
2hとなり、
その側面積は、
S=2πrhとなる。
【0018】
そのため、同一の体積を有する円柱体について、円柱面の面積は半径に反比例する。そうすると、ワイヤの直径が0.1mmである銅ワイヤの表面積は、同一の体積を有する直径が1cmである銅柱の側面積の100倍となる。
【発明の効果】
【0019】
したがって、少量の銅ワイヤを使用するだけで、十分な放熱面積を取得できる。それにより、LEDチップの適切な作動温度を保証した条件下で、LED放熱装置の重量や体積を半分に減少させることができ、同時に、グラウンドに対する放熱装置全体の絶縁を確保できる。その点は、LEDの放熱装置にとっては、根本的な変革として見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るLEDチップとLEDチップの放熱ハウジングに溶接された複数束の銅ワイヤの側面図である。
【
図2】本発明に係るLEDの放熱装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、複数束の銅ワイヤである熱伝導材料ワイヤを、LEDチップの放熱ハウジングに直接に溶接する。放熱ハウジングによって、熱をそれらの銅ワイヤに伝達し、銅ワイヤの周囲の空気を加熱して、熱はそれらの空気の流れによって放出される。
【0022】
それらの銅ワイヤの表面には保護層が1層被覆されているので、前記熱伝導材料の柱状体が酸化され、腐食され、または汚染されることを防止する。
【0023】
LEDチップの放熱ハウジングは、直接に、銅ワイヤの一端に一体化されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、複数束の銅ワイヤが溶接されたLEDチップを複数集積させて、それらを適宜に配列し、空気が流れるようにプラスチックダクト内に置く。
【0025】
前記プラスチックダクトの出口と入口の間に一定の高度差が存在し、空気が熱を受けて軽くなったことにより、さらに、圧力差が形成され、空気の流れを促し、熱を放出する。
【0026】
前記ダクトは絶縁材料で構成されているので、グラウンドに対する放熱装置全体の絶縁が確保されている。
【0027】
LEDチップを適切に接続し、かつ、適切な駆動電源を用いることで、所望のLED灯具を得ることができる。
【0028】
本発明は、LEDの放熱装置を通常の大きくて重いアルミニウム形材から、プラスチックダクトに収納可能な金属ワイヤに変更することにより、LEDチップの適切な作動温度を保証した条件下で、LED放熱装置の重量や体積を半分に減少させることができ、同時に、グラウンドに対する放熱装置全体の絶縁を確保できる。