【実施例】
【0086】
以下に、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む、椎間板性疼痛の治療での使用のための組成物を投与することによる、ブタの椎間板における、髄核の結合組織への加速変化を誘導し評価するための方法をより完全に記載する。
【0087】
本実施例において、乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む、椎間板性疼痛の治療での使用のための組成物は、第3腰椎L3と第4腰椎L4との間に配置されている椎間板の髄核に投与される。当業者は、同じ方法を、脊柱のいずれの椎間板にも適用できることを容易に理解できよう。
【0088】
したがって、この方法の工程は、
100.乳酸又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を調製する工程、
101.組成物が投与される髄核を含む椎間板を含む脊柱を含む豚に麻酔をかける工程、
102.ブタの最下部の肋骨と腸骨稜との間の側方切開により椎間板への到達を可能にする工程、
103.椎間板を切開する工程、
104.組成物を髄核に注射針で、ここでは局所注射することにより投与する工程、
105.ブタを麻酔から回復した後7日間自由に行動させる工程、
106.腰椎を一塊で採取する工程であって、採取した分節が、椎体、及び注射を受ける髄核を含む椎間板を含むが、後部要素(椎弓及び面関節)を含まない工程、
107.何ら外力を加えずに、椎間板L2〜3、L3〜4、L4〜5のレベルで横突起間の距離を測定する工程、
108.完全側方屈曲状態が腰椎試験片で得られるまで、脊柱分節に外力を加える工程、
109.完全側方屈曲下で、椎間板L2〜3、L3〜4、L4〜5のレベルで横突起間の距離を測定する工程、及び
110.椎間板の切断を行い、椎間板腔の長さ(前後方向)及び幅(両側面方向)を測定する工程
である。
【0089】
実施例1:乳酸を含む組成物の調製
乳酸の純溶液をSigma Aldrich(製品番号:69775 Fluka、CAS番号:50-21-5、Stockholm、Sweden)から購入した。表2に示すように、各々、乳酸の分子量は、90.08g/molであり、Sigma Aldrich製の純溶液の密度は、1.209g/mLであった。
【0090】
したがって、Sigma Aldrich製の純溶液中の乳酸の濃度は、0.0134mol/mL=13.4mol/Lと算出された。
【0091】
その後、乳酸の純溶液を、室温で蒸留水を用いて10倍に希釈した。より明確には、Sigma Aldrich製の乳酸の純溶液1mLを、蒸留水9mLで希釈した。したがって、調製した組成物中の乳酸の得られた濃度は、1.34mol/Lであった。
【0092】
【表2】
【0093】
実施例2:乳酸を含む組成物のブタ椎間板の髄核への局所注射による投与
2匹のブタに麻酔をかけ、右側を下にして置いた。各ブタの左側の最下部の肋骨と腸骨稜との間の側方切開により、L4〜L5椎間板に到達した。その後、L3〜L4椎間板を外科用メスで切開した。
【0094】
乳酸を含む組成物を、L3〜L4椎間板の髄核に注射器で注射した。1.34mol/Lの総濃度で乳酸を含む組成物を、表3に示すように約0.2mLの量で髄核に注射した。組成物を単一の工程で一回の機会で注射した。
【0095】
両方のブタは、この方法によく耐えたと思われ、可動性又は発声の低下等の副作用は、採取までの7日間に観察されなかった。採取時、ブタを殺した。
【0096】
【表3】
【0097】
実施例3:乳酸を含む組成物を投与した椎間板における髄核の結合組織への変化の評価
注射部位を裸眼で観察した。出血、炎症又は壊死等の注射部位の副反応は、ブタのいずれにおいても観察されなかった。腰椎L2から仙骨S1まで伸びた脊柱分節を除去した。面関節が除去され、したがって、他の構造物から拘束されず、椎間板の十分な柔軟性がもたらされた。
【0098】
3a-組成物の投与前後の各々の椎間板の屈曲剛性
図4には、椎間板L2〜3、L3〜4及びL4〜5と称される、椎間板21を含む脊柱分節が示されている。
【0099】
屈曲剛性の評価中、脊柱分節を、何ら外力を加えない状態にした場合の、脊柱の個々の隣接する横突起26各々の間の距離、したがって、腰椎L2から仙骨S1まで伸びた脊柱分節をカリパスで測定した。
【0100】
その後、臨界値に達するまで、即ち完全側方屈曲状態が得られるまで、脊柱の一部の2つの末端部各々に外力を加えることにより、脊柱、したがって、腰椎L2から仙骨S1まで伸びた脊柱分節を手動で完全側方屈曲状態にさせた。力を加えた時の横突起の動きは、矢印と点線で
図4に概略的に示されている。
【0101】
臨界値を、脊柱分節の切断直前の時点として定義した。したがって、脊柱分節のいずれの部分も切断せずに最大の側方屈曲が得られるように、外力を加えた。
【0102】
力は、両方のブタ各々の脊柱分節で同様であると推定された。完全側方屈曲の位置で、椎間板L2〜3、L3〜4、L4〜5の隣接する横突起間の距離をカリパスで測定した。
【0103】
外力なしの状態でのある特定の椎間板の隣接する横突起間の距離を、完全側方屈曲状態を得るために加えられた外力ありの状態での同じ横突起間の距離から引くことにより、完全側方屈曲で得られる平衡距離(balanced distance)の値を得た。注射した椎間板の平衡値は、注射していない椎間板と比較される、椎間板性疼痛の治療での使用のための組成物で治療した椎間板の屈曲剛性を反映している。
【0104】
平衡値が小さければ小さいほど、椎間板が硬化しているため、屈曲剛性は、髄核の結合組織への変化の間接的な尺度である。椎間板が硬化していればしているほど、固体及び密性結合組織の体積が大きくなる。したがって、屈曲剛性は、髄核が結合組織への変化、即ち、加速老化を起こしていたか否かを示す。
【0105】
測定値は、注射した椎間板(L3〜4)が、注射していない隣接する椎間板(L2〜3、L4〜5)よりもはるかに小さい平衡値を有していたことを示しており、これは、注射した椎間板の屈曲剛性が高いことを示している。したがって、注射していない椎間板の椎間板腔内と比較すると、髄核の結合組織への加速変化が、注射した椎間板の椎間板腔内で起こっていた(表4参照)。
【0106】
【表4】
【0107】
3b-組成物の投与前後の各々の椎間板腔の面積
椎間板(L2〜3、L3〜4、L4〜5)を切断し、椎間板腔の長さ(前後方向)及び椎間板腔の幅(両側面方向)をカリパスで測定した。
【0108】
図5及び6には、椎間板が横断面で概略的に示されている。椎間板は、線維輪10、及び線維輪で規定され、髄核11を含む椎間板腔を含む。
【0109】
図5において、矢印は、どのように椎間板の椎間板腔の前後方向の長さを測定するのかを概略的に示している。
図6おいて、矢印は、どのように椎間板の椎間板腔の両側面の幅を測定するのかを概略的に示している。
【0110】
測定値から分かるように、椎間板腔の平均の前後方向の長さは、隣接する注射していない椎間板(L2〜3、L4〜5)よりも、注射した椎間板(L3〜4)で有意に短かった(表5参照)。
【0111】
【表5】
【0112】
測定値から分かるように、椎間板腔の平均の両側面の幅は、隣接する注射していない椎間板(L2〜3、L4〜5)よりも、注射した椎間板(L3〜4)で有意に短かった(表6参照)。
【0113】
【表6】
【0114】
図7は、上の実験のブタ1匹からの椎間板L2〜3、L3〜4及びL4〜5各々を示している。椎間板腔の幅及び奥行は、
図5〜6の概略図に対応して太い直線で示されている。
【0115】
図7には、どのようにして注射したL3〜4椎間板の椎間板腔が、注射していないL2〜3及びL4〜5椎間板各々よりもはるかに小さい断面積を有したのかがさらに示されている。したがって、注射した椎間板において、元は髄核を含んでいた椎間板腔に結合組織が新たに形成されたことが裸眼で確認できる。
【0116】
実験の結論
2つの注射していない椎間板(L2〜3)及び(L4〜5)の椎間板腔は、乳酸を含む組成物を投与した椎間板(L3〜4)よりもさらに奥行き及び幅があることが明らかである。元の椎間板腔は、新たに形成された結合組織(
図7において円弧状の配置で退色した追加の線で強調されている)に置き換えられ、これにより(コラーゲンを主に含む結合組織の輪により形成された)線維輪が、大きさが減少した髄核を犠牲にして広がったと思われる。
【0117】
したがって、注射した椎間板は屈曲剛性となり、この剛性は、椎間板性疼痛を有する患者が感じる痛みを緩和できる。椎間板性疼痛のこの治療方法の利点は、この治療が、現在の治療方法よりも、例えば、現在の関節固定治療法と比較して侵襲的でないことである。
【0118】
上に記載の実施例において、椎間板は、腰椎に配置されていた。しかし、類似の方法は、頸椎又は尾骨に配置されている椎間板でも認められることが期待される。
【0119】
細胞レベルで乳酸の効果を観察するため、線維輪等の結合組織に一般に存在する線維芽細胞、並びに髄核に一般に存在する髄核細胞各々で試験を行った。どのように細胞が、乳酸での治療に反応して変化するのかの尺度として、細胞のコラーゲン産生を試験した。
【0120】
乳酸での治療後の線維芽細胞のコラーゲン産生試験
(ヒト成人皮膚線維芽細胞(HDFa)の培養)
成人の皮膚から単離したヒト皮膚線維芽細胞、いわゆるHDFa(Life Technologies Frederick,USA)を培養し、試験した。成熟したヒト椎間板細胞は、外側の線維輪において線維芽細胞様(fibrocytic)(又は線維芽細胞様(fibroblast-like))であると示された。線維芽細胞は、結合組織で見出される、最も一般的な種類の細胞である。線維芽細胞はコラーゲンタンパク質を自然分泌でき、コラーゲンタンパク質は、多くの組織に対する構造的フレームワークを維持するために使用され、さらに創傷治癒において重要な役割を果たす。
【0121】
最初に、凍結保存した線維芽細胞を37℃の水浴で解凍した。次いで、解凍した線維芽細胞を、1mlのピペットを用いて分散させ、バイアル中で解凍した線維芽細胞の懸濁液を上下に動かした。次いで、分散した線維芽細胞をトリパンブルー溶液(Cat.No.15250-061、Lot.No.1311086、Gibco Life Technologies)で希釈し、生存線維芽細胞の濃度を血球計で求めた。
【0122】
次いで、分散した線維芽細胞を、1ml当たり生存線維芽細胞2.5×10
4の濃度まで、今回は添加Medium106で再び希釈した。次いで、線維芽細胞懸濁液5mlを、25cm
3の容積を有するT25細胞培養フラスコに加え、添加Medium106でさらに希釈することによりT25フラスコ中1ml当たり生存線維芽細胞5.0×10
3の初期密度を得た。
【0123】
添加Medium106は、ウシ胎児血清の濃度が体積について2%で、低血清増殖添加剤LSGS(Life Technologies、Paisley、Great Britain)を添加したMedium106(Cat.No.M-106-500、Life Technologies、Paisley、Great Britain)からなる。
【0124】
調製した線維芽細胞を含むT25フラスコを回転させ、培地中に線維芽細胞を分布させた。その後、細胞培養を、37℃にて5%CO
2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で72時間インキュベートした。
【0125】
コンフルエンスにて、線維芽細胞を添加培地で希釈し、細胞表現型の変化を回避した。
【0126】
(乳酸の調製)
乳酸(Fluka 69775、Sigma-Aldrich、Stockholm、Sweden)を、滅菌した10mLのチューブ又は50mLのチューブに秤量した。Milli-Q水(>18.2Ω)を加え、乳酸の貯蔵溶液を調製した。貯蔵溶液を混合し、様々な濃度を有する乳酸の最終溶液が調製されるまで、貯蔵した。貯蔵期間は、周囲温度で1時間未満、又は4℃で24時間未満であった。
【0127】
(ヒト成人皮膚線維芽細胞(HDFa)のコラーゲン産生に対する乳酸の効果)
上に記載されたように培養した線維芽細胞を、細胞培養フラスコから取り外し、1ウェル当たり生存細胞6.0×10
4の初期密度で6ウェルプレートに置いた。線維芽細胞を、添加Medium106で増殖させた。いくつかのウェルの線維芽細胞を、各々、0、0.5、2、5、10、20及び50mg/mLの様々な濃度の乳酸(Fluka 69775、Sigma-Aldrich、Stockholm、Sweden)でも処理した。線維芽細胞を、37℃にて5%CO
2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で48時間インキュベートした。
【0128】
線維芽細胞のコラーゲン産生に対する乳酸の効果を試験するために、シリウスレッド染料のコラーゲンへの結合に基づく、可溶性コラーゲンアッセイ(QuickZyme Biiosciences、Leiden、Netherlands)と呼ばれる分光光度法を適用した。試験を2回行った。
【0129】
細胞培地を、各ウェルから回収し、140μLを96ウェルプレートにピペットで移した。試料を重複して採取した。培地試料を、少なくとも5回上下にピペッティングして、60μLのシリウスレッド染料溶液と十分に混合した。96ウェルプレートを3000×gで1時間遠心分離した。これらのステップ全てを25℃未満の温度で行った。例えば、遠心分離を4℃で行った。
【0130】
遠心分離した試料を洗浄し、上清を除去した。細胞ペレットを、少なくとも10回上下にピペッティングして、十分に混合することにより150μLの検出溶液に再懸濁した。その後、各試料100μLを新しい96ウェルプレートに移し、コラーゲン含有量を、光学密度540nmで分光光度的に測定した。
【0131】
各々重複して行った2つの試験により、表7及び
図8に示すように、線維芽細胞に乳酸を加えると、線維芽細胞のコラーゲンの平均産生量が増加することが明確に示された。平均産生量は、乳酸での治療の2日後に測定された。
【0132】
図8において、第1セットの試験結果は、ひし形で示されており、第2セットの試験結果は、四角で示されている。各セットのコラーゲン産生の動向を概略的に示すために、2つの期間の移動平均トレンドラインを含めた。各々、第1セットのトレンドラインは、点線で示されており、第2セットのトレンドラインは、破線で示されている。x軸は、線維芽細胞を含むウェルに加えた乳酸の濃度を示し、y軸は、ウェルに乳酸を加えた2日後に測定したときのこれらのウェルにおいて産生されたコラーゲンの平均量を示している。
【0133】
より詳細には、乳酸を少なくとも2mg/mL、例えば、少なくとも5mg/mLの濃度までウェルに加えたとき、コラーゲン産生量の増加が顕著であった。さらに、
図8にも示すように、乳酸濃度を最大少なくとも20mg/mL、又は少なくとも50mg/mLまで上昇させるとコラーゲン産生量が増加したことが示された。
【0134】
【表7】
【0135】
平均コラーゲン産生量は、コラーゲンを産生することができる細胞の数に相関しているため、第1セットの試験と第2セットの試験との間の平均コラーゲン産生量におけるわずかな相違は、試験したウェルの細胞数の自然な差異によるものであり得る。
【0136】
乳酸での治療後の髄核細胞のコラーゲン産生試験
(ヒト髄核細胞の培養)
ヒトから単離した髄核(NP)細胞(4800、ScienCell、USA)を培養し、試験した。NP細胞は、髄核内の椎間板細胞である。
【0137】
最初に、凍結保存したNP細胞を37℃の水浴で解凍した。次いで、解凍したNP細胞を、添加髄核細胞用培地に懸濁した後、75cm
3の容積を有するT75細胞培養フラスコで播種し、ポリ-L-リジン(0413、ScienCell、USA)で内側をコートした。初期播種密度は1ml当たり生存NP細胞5.0×10
3であった。
【0138】
添加髄核細胞用培地は、体積について2%のウシ胎児血清(0010、ScienCell、USA)、1×髄核細胞用増殖サプリメント(4852、ScienCell、USA)及び1×ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(0503、ScienCell、USA)を添加した髄核細胞用培地(4801、ScienCell、USA)からなる。
【0139】
調製したNP細胞を含むT75フラスコを回転させ、培地中にNP細胞を分布させた。その後、細胞培養を、37℃にて5%CO
2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で終夜インキュベートした。
【0140】
コンフルエンスにて、線維芽細胞を添加培地で希釈し、細胞表現型、細胞増殖及び/又は細胞分化の変化を回避した。
【0141】
(乳酸の調製)
乳酸(PURAC PF90、Batch No.1406001940、Corbion Purac、the Netherlands)を、滅菌した10mLのチューブ又は50mLのチューブに秤量した。Milli-Q水(>18.2Ω)を加え、乳酸の貯蔵溶液を調製した。貯蔵溶液を混合し、様々な濃度を有する乳酸の最終溶液が調製されるまで、貯蔵した。貯蔵期間は、周囲温度で1時間未満、又は4℃で24時間未満であった。
【0142】
(ヒト髄核細胞のコラーゲン産生に対する乳酸の効果)
上に記載されたように培養したNP細胞を、細胞培養フラスコから取り外し、1ウェル当たり生存細胞4.5×10
4の初期密度で6ウェルプレートに置いた。NP細胞を、添加髄核細胞用培地で増殖させた。いくつかのウェルのNP細胞を、各々、0、0.5、5、10、20及び50mg/mLの様々な濃度の乳酸(PURAC PF90、Batch No.1406001940、Corbion Purac、the Netherlands)でも処理した。NP細胞を、37℃にて5%CO
2/95%加湿細胞培養インキュベーター中で48時間インキュベートした。
【0143】
NP細胞のコラーゲン産生に対する乳酸の効果を試験するために、シリウスレッド染料のコラーゲンへの結合に基づく、可溶性コラーゲンアッセイ(QuickZyme Biiosciences、Leiden、Netherlands)と呼ばれる分光光度法を適用した。
【0144】
細胞培地を、各ウェルから回収し、140μLを96ウェルプレートにピペットで移した。試料を三重に採取した。培地試料を、少なくとも5回上下にピペッティングして、60μLのシリウスレッド染料溶液と十分に混合した。96ウェルプレートを1500×gで2時間遠心分離した。これらのステップ全てを25℃未満の温度で行った。例えば、遠心分離を4℃で行った。
【0145】
遠心分離した試料を洗浄し、上清を除去した。細胞ペレットを、少なくとも10回上下にピペッティングして、十分に混合することにより150μLの検出溶液に再懸濁した。その後、各試料100μLを新しい96ウェルプレートに移し、コラーゲン含有量を、光学密度540nmで分光光度的に測定した。
【0146】
測定装置に合わせるために、細胞を1:1の比で、リン酸緩衝液(PBS)で希釈した。
【0147】
三重に行った試験により、表8及び
図9に示すように、NP細胞に乳酸を加えると、NP細胞のコラーゲンの平均産生量が増加することが明確に示された。平均産生量は、乳酸での治療の2日後に測定した。
【0148】
図9において、試験結果は、ひし形で示されている。コラーゲン産生量の動向を概略的に示すために、2つの期間の移動平均トレンドラインを含めた。x軸は、NP細胞を含むウェルに加えた乳酸の濃度を示し、y軸は、ウェルに乳酸を加えた2日後に測定したときのこれらのウェルにおいて産生されたコラーゲンの平均量を示している。
【0149】
より詳細には、乳酸を少なくとも5mg/mLの濃度までウェルに加えたとき、コラーゲン産生量の増加が顕著であった。さらに、乳酸濃度を最大約10〜20mg/mLまで上昇させるとコラーゲン産生量が増加したことが示され、
図9にも示すように安定期に達した。50mg/mLでのコラーゲン産生量の低下は、このような高濃度の乳酸での治療には、細胞死を引き起こす細胞毒性効果があり得ると解釈される。
【0150】
【表8】
【0151】
結論
本発明者等は本発明の実施形態による使用により、ヒトの椎間板性疼痛も治療されると考える。
【0152】
乳酸又はその薬学的に許容される塩等の物質の注射を受ける椎間板の結合組織への期待される変化は、インビボで観察できる。典型的には、本方法は、麻酔又は軽い鎮静剤下で、放射線誘導を使用して行われる。したがって、この治療方法は、造影剤を、放射線誘導下で椎間板に注射する、椎間板の放射線学的評価、いわゆる椎間板造影法と類似している。
【0153】
椎間板の加速変性を誘導することができる他の物質も、乳酸又はその薬学的に許容される塩の代替物及び/又は代用品とみなすことができる。