(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
−眼(100)の網膜(101)を照明するために、走査型視野計の動作中に、第1の交差地域(102A)で眼の瞳孔(102)を通過する照明ビーム(1)を投影するように適合された照射器(11)と、
−前記網膜によって反射された光のビーム(2)を受け取り、前記網膜の画像を取得するように適合された取得手段(27)と、
−走査方向(DS)に沿って、および走査期間(TS)で、前記網膜の表面上に、前記照明ビーム(1)を動かすように適合された走査手段(17)と、
−前記第1の交差地域(102A)と空間的に分離されている第2の交差領域(102B)で、走査型視野計の動作中に、前記網膜によって反射されかつ前記網膜の画像を取得するために前記取得手段によって使用された光のビーム(2)が、前記瞳孔(102)を通過するように、前記瞳孔において前記第2の交差領域(102B)を規定するように適合された光ビームの分離手段(16)と、
−走査型視野計の動作を制御する制御ユニット(50)とからなる走査型視野計であって、−前記走査型視野計の動作中に、前記瞳孔(102)の第1の交差地域(102A)と前記瞳孔(102)の第2の交差領域(102B)との間に構成された分離領域(102D)で、第1の投影ビーム(3)が前記瞳孔(102)を通過し、前記網膜(101)の部分(1101)を照明するために、前記第1の投影ビーム(3)を投影するように適合された第1の投影手段(30)と、
−前記走査型視野計の動作中に、前記第1の交差地域(102A)または前記第2の交差領域(102B)で、第2の投影ビーム(4)が前記瞳孔(102)を通過し、少なくとも固定目標を前記網膜(101)の上に投影するために、前記第2の投影ビーム(4)を投影するように適合された第2の投影手段(41)と、
−前記走査型視野計の動作中に、前記第1の交差地域(102A)または前記第2の交差領域(102B)で、第3の投影ビーム(5)が前記瞳孔(102)を通過し、少なくとも光刺激を前記網膜(101)の上に投影するために、前記第3の投影ビーム(5)を投影するように適合された第3の投影手段(42)とを備えることを特徴とする走査型視野計(500)。
前記第1の投影手段(30)が、前記照明ビーム(1)と、前記網膜によって反射された光のビーム(2)との間に位置する前記走査型視野計の第1の領域であって、前記光ビームの分離手段(16)の位置、または、前記光ビームの分離手段(16)と前記走査手段(17)との間の位置に、配置されることを特徴とする請求項1の走査型視野計。
前記走査手段(17)が、前記走査型視野計の動作中に、前記走査方向(DS)に沿って、前記網膜の表面上で、周期的に、前記第2の投影ビーム(4)と前記第3の投影ビーム(5)とを動かすことを特徴とする請求項1または2の走査型視野計。
前記走査型視野計の動作中に、前記走査期間(TS)の50分の1より短い期間を持っている時間間隔の間に、前記第2と第3の投影手段(41、42)が、前記第2と第3の投影ビーム(4、5)を投影することを特徴とする請求項3の走査型視野計。
前記走査型視野計の動作中に、前記走査手段(17)の動きに同期した方法で、前記第2と第3の投影手段(41、42)が、前記第2と第3の投影ビーム(4、5)を投影することを特徴とする請求項3または4の走査型視野計。
前記第3の投影手段(42)は、前記走査方向(DS)に実質的に垂直な方向(DA)に従って、リバーシブルに動作できることを特徴とする請求項10の走査型視野計。
前記走査型視野計の動作中、前記第2と第3の投影マスク(410、420)の少なくとも1つが、前記網膜と光学的に結合されている前記走査型視野計の第2の領域に配置され、前記走査型視野計は、前記走査型視野計の光学的な取得経路(2A)に、前記第2と第3の投影ビーム(4、5)を挿入するためのビームスプリッタ(22b)を備えていることを特徴とする請求項10または11のいずれかの走査型視野計。
前記第3の投影マスク(420)が、お互いに異なる大きさを持つ複数の第3の開口(4201、4202、4203)を含むことを特徴とする請求項10から14のいずれかの走査型視野計。
受け取られた光のパワーを示している検出信号を提供するように適合された1つ以上の感光性の要素(451)を含む光検出手段(45)を備えたことを特徴とする請求項1から18のいずれかの走査型視野計。
【背景技術】
【0002】
眼科学の分野において、視野検査技術は、眼の視覚機能を測定するために知られている。
この方法論によると、患者は、視野の選択可能な位置に配置され、かつ均一な強度の光の背景の上で重ね合わせられた様々な形状と強度の光の刺激が与えられる。
検査中、患者は、眼の静止を保つために、光固定目標(light fixation target)の方を見ていることにより、出射された光の刺激を見ているかどうかを表す。
このようにして、患者の眼が、まだ、視野の様々な異なるポイントで見ることができる光強度の最小のしきい値を決定することが可能である。
このことは、医療的な診断のために使われる眼の視覚感度のマップを描くことを可能とする。
【0003】
多数の例が、一般的に、用語「視野計(perimeter)」の分野で知られ、上記したような視覚機能を測定する視野検査技術の実施を可能とする視覚検査装置として知られている。
これらの装置のうちのいくつかは、網膜の均一な光の背景を投射するシステムと、眼の視界の中に、選択的に配置される可視の刺激を投射するシステムから構成されている。
いくつかの従来技術の視野計では、これらの投射システムは、網膜の画像が取得されることを可能にするシステムと、動作可能なように関連付けられている。
このタイプの装置は、光の刺激の位置決めを高い精度で行うことで特徴付けられ、これらの後者(latter:光の刺激)の位置を計算することで、患者の眼のいかなる動きも補償することができる。
さらに、視野検査テストの結果に加えて、これらの装置は、眼基底部の画像を提供することができる。これは、しばしば医療的な診断に有益である。
【0004】
網膜の画像を取得することのできる視野計の例は、特許文献US6705726と、US7690791と、WO2010113193に、記載されている。
特許US7690791には、患者の眼の前に置かれ得る網膜の画像を取得するための共焦点のシステムとディスプレイとの間の組み合わせを記載している。視野に選択的に配置され得る光の刺激は、ディスプレイに投影される。
その文献では、患者の眼のほうに導かれた共通の光学路に沿って、前述したディスプレイと共焦点の獲得システムの間の光学的な統合を生成するための実用的な解決策を提供していない。
【0005】
特許US6705726には、眼の視覚機能をテストするか、または他のテストを実行するために、患者に、均一な光の背景、固定目標、および光の刺激を示すことのできる網膜の画像取得システムとLCDディスプレイとの間の組み合わせを記載している。
この画像取得システム(この場合では、共焦点のタイプではない)では、赤外光によって患者の網膜を照明し、同じ網膜のビデオを記録する。
この取得システムでは、しばしば、低いコントラストの赤外線画像しか提供できないことが分かっており、その赤外線画像は、医療的な診断のためにほとんど使用されてはおらず、眼の動きをリアルタイムに検出するために使用するのは困難である。
【0006】
以上の光の刺激を投影するLCDディスプレイの使用は、いくつかの不利益を有している。
これらの最も重要なことは、次のことである:
−光の刺激の強度の精度が低いこと:光の刺激は、お互いに異なる特徴を持つことができるディスプレイの表面の異なる領域から投影される;
−光の刺激の強度のバリエーション(ダイナミックレンジ)の間隔が低いこと:一般に、投影された光の刺激の最小と最大の強度の間の約30dBのバリエーションを得ることが可能であるに過ぎない(液晶を使わない他の解決策の場合、約50dBのバリエーションの間隔に到達することが可能である);
−光の刺激が離散的な形状となる:投影された光の刺激は、一般に、数ピクセルにより構成されている。
−刺激の表面での光の強度が変動する(ピクセルの表面での明るい領域、および隣接したピクセルの間での境界の暗い領域);
−LCDディスプレイの温度により光の刺激の強度が変動する。
【0007】
特許出願WO2010/113193には、網膜を照明するために赤外光を用いる共焦点のライン走査タイプの網膜の画像取得システムから成る走査型視野計を記載している。
この獲得システムは、冷たいミラーによって機械の光学経路と結合され、投影アセンブリと動作可能に関連付けられている。
投影アセンブリは、網膜の感度を測定するために、別々に、固定目標、均一な光の背景
および光の刺激を生成する光学的要素から構成される。
【0008】
この特許文献に記載された装置は、工業的規模での生産のための構造の複雑さとコストの点で、かなりの不利益を有している。
ライン走査取得システムだけでなく、この装置は、他の物体の間で、複数のエミッター、2つのビームスプリッタ、1つの冷たいミラー、少なくとも2つのレンズ、および、網膜に投影された視覚的な刺激の位置を修正するミラーの動きのための双方向の電気―機械的システムの使用を提供する投影アセンブリからなる。
均一な光の背景を投影するために、前述した走査型視野計は、光学的に網膜と結合する光の表面を使って、均一な強度によって光を生成する。
この解決策は、生成された光の背景の均一性が、使用された構成要素の品質に大幅に依存するので、一般に、高価である。
さらに、投影された光の背景では、上記の投影表面に置かれうるほこりが、明確な輪郭を持つ暗いマークという形状で患者に見えるために、不均一な領域を持つ可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の走査型視野計の一層の特徴と利点は、単に説明的で非限定的な目的で提供されるという条件で、以下に与えられる記述と添付される図面を参照することによって、もっと明白になるであろう。
【0013】
図1を参照すれば、本発明は、走査型視野計500に関連している。
視野計500は、少なくとも光源からなる照射器11を備えている。
視野計500は、光学的な照射経路1Aを備え、照射器11から投影(project)された照明ビーム1がその経路に沿って、眼100の網膜101に到達する。
視野計500の動作中、光学経路1Aが、照射器11から網膜101まで延長される。
好ましくは、照射器11は、視野計500の動作中、延長の主軸に沿って延長する光の線の形状を持つ網膜の部分を照明することを意図した光ビーム1を、網膜のほうに投影するように配置される。
照明ビーム1は、第1の交差領域102Aで、眼の瞳孔102を通過する(
図2、2A参照)。
【0014】
視野計500は、網膜101により反射された光のビーム2を受け取り、かつ同じ網膜の1つ以上の画像を取得するように適合された取得手段27を備えている。
視野計500は、光学的な取得経路2A(すなわち、光学的な結像経路)を備え、網膜101によって反射された光2が、その経路に沿って取得手段27に到達する。
従って、視野計500の動作中、光学経路2Aは、網膜101から取得手段27まで延長される。
【0015】
視野計500は、網膜101の光学的走査を周期的に実行するように適合された走査手段17を備えている。
個々の光学的走査は、走査方向DS(
図3)に沿って、および周期TSによって、照射器11により、網膜101の表面に投影された照明ビーム1を動かすことによって実行される。
走査手段17を通じて、照射器によって投影された光の線は、光学的走査の間、走査方向DSに従って、網膜の表面に沿って周期的に動かされる。
好ましくは、走査手段17は、光学経路2Aに沿って、少なくとも網膜により反射された光2の一部を、取得手段27の方へ導く機能も持っている。
【0016】
視野計500は、この後者(網膜)により反射された光2から照明ビーム1を分離するように適合された光ビームの分離手段16を備えている。
特に、光ビームの分離手段16は、眼およびこの後者(網膜)と光学的に結合した表面の瞳孔102のレベルで、照明ビーム1と、網膜により反射されかつ画像を取得するために取得手段27により使われた光ビーム2との間の分離領域102Dを作り出すように適合されている。
照射器11、光ビームの分離手段16、および走査手段17は、有利にするには、光学経路1Aに沿って直列に配置される(照明ビーム1の方向D1を参照)。
【0017】
好ましくは、視野計500は、照射器11とビームの分離手段16との間の光学経路1Aに沿って配置された第1の光学素子(optics)15を備える。
好ましくは、視野計500は、照明光1が通過するように、光学経路1Aに沿って、走査手段17の下流側(照明ビーム1の進行方向D1を参照)に配置される走査光学素子18と接眼レンズ19とを備える。
走査手段17、光ビームの分離手段16、および取得手段27は、有利にするには、光学経路2Aに沿って直列に配置される(光ビーム2の進行方向D2を参照)。
また、接眼レンズ19と走査光学素子18は、この後者(反射光2)が走査手段17に到着する前に、反射光2が通過する光学経路2Aに沿って配置される。
【0018】
好ましくは、視野計500は、視野計500の動作中、網膜101で光学的に結合されるように、光学経路2Aに沿って配置された共焦点絞り(ダイヤフラム:diaphragm)23を備える。
説明をより明確にするために、本発明の範囲内においては、「光学的に結合する」(optically conjugated)という定義は、光学的な結合の正確な位置の位置決めと同一視するか、または、光学的な結合の正確な位置の(視野計500の光学経路の長さに関して)相対的に小さな近傍の位置決めと同一視するものと規定する。
共焦点絞り23は、好ましくは、反射光2の一部分の通過を許し、かつ、
視野計500のいくつかの表面あるいは網膜で光学的に結合しない眼100のいくつかの表面によって反射された光を、少なくとも部分的に止めることができる共焦点の開口231を少なくとも備える。
【0019】
好ましくは、視野計500は、第2の光学素子21、ミラー22Aまたはビームスプリッタ22B、第3の光学素子25、走査手段17と取得手段27との間で光学経路2Aに沿って配置される対物レンズ26も備えている。
上記図面で示したものとは異なる形状を持つミラーまたはダイヤフラムの使用を提供する他の構成の変形も可能である。
【0020】
好ましくは、照射器11は、少なくともLED(光発光ダイオード、Light Emitting Diode)から成る第1の光源を備える。
好ましくは、取得手段27は、例えば、デジタルビデオカメラのCCD、またはC-MOSセンサーからなる。それらは受光表面で光2を受け取り、かつ有利にするには、網膜101が観察されて、撮影されることを可能にする。
【0021】
好ましくは、光ビームの分離手段16は、視野計500の動作中、光学的に瞳孔102と結合する分離絞り161を備える。
好ましくは、光ビームの分離手段16は、取得経路2Aに沿って走査手段17により導かれた反射光2を転換するように適合されたミラー162からなる。
好ましくは、分離絞り161は、照明ビーム1と網膜により反射された光のそれぞれの通過のために、成形された開口161A、161Bからなる。
【0022】
好ましくは、走査手段17は、2つの終端位置(以下、進行終端位置、end-of-travel positions)の間で照明ビームの反射の方向を周期的に動かす周期的な走査ムーブメントを実行する。
好ましくは、走査手段17は、回転軸のまわりで振動している共振ミラーからなる。
好ましくは、ミラー17は、2つの対向した反射表面からなる。
他の構成の解決策としては、たとえば、多角形のミラー、マイクロミラーアレイなどを使用できる。
【0023】
説明をより明瞭にするために、照射器11が動作を停止している時、すなわち、網膜101のほうに光を投影していない時にも、走査手段17は、動作すること(すなわち、前述した進行終端位置の間の周期的な走査ムーブメントを実行すること)ができるように規定される。
走査手段17と照射器11とが作動しているときは、走査手段17は、走査方向DSに沿って網膜101の表面に投影された光のビーム1を動かして(好ましくは、実質的に、光の線の形状で)、網膜101の1つ以上の光学走査を実行する。
【0024】
視野計500の一般的な動作は、網膜101の画像の取得について、今からさらに詳細に説明される。
照射器11によって投影された照明ビーム1は、光学素子15を通過し、特に、分離絞り161の開口161Aで、光ビームの分離手段16を通過する。
照明ビーム1は、それ自身が回転軸のまわりに動作することによってそのビームを網膜101のほうに導く走査手段17によって走査される。それは、走査光学素子18と接眼レンズ19を通過し、網膜101を照明するように、眼100に入射する。
【0025】
眼に入射するために、照明ビーム1は、第1の交差領域102Aで、瞳孔102を通過する(
図2、2A参照)。
網膜101上において、照明された領域は、照射器11により投影された光画像から成る。
この照明された領域は、好ましくは、光の線の形状で、走査手段17により設定された走査方向DSに従って、網膜に沿って動く。
走査方向DSは、この光の線の延長の主軸に対して、実質的に、直角である。
【0026】
ビーム1により照明された網膜101によって反射された光は、瞳孔102を通して眼から出て行く。
網膜によって反射された光は、光学経路2Aに沿ってその光を導く走査手段17によって、続けて走査(descanned)される。
網膜によって反射された光は、特に、分離絞り161の開口161Bにおいて、光ビームの分離手段16を通過する。
この開口は、網膜により反射され、取得手段27の方に導かれ、網膜の画像を取得するためにこれらの後者(取得手段27)により使用される光ビーム2を、(分離絞り161に到着する網膜により反射された光から)選別する。
【0027】
光ビームの分離手段16(特に、分離絞り161と、関連した開口161B)は、走査型視野計の動作中、瞳孔102において、第2の交差領域102Bを規定し、網膜により反射され、かつ網膜の画像を取得するために取得手段27により使用されるビーム2が、その領域で、瞳孔を通過するようにする(
図2、2A参照)。
分離領域102Dは、交差領域120A、102Bの間に位置している。
交差領域102A、102Bと、分離領域102Dの形状は、
図2の2Aに示されたものに制限されるように意図してはならない。
いくつかのまたはすべての交差領域102A、102Bと、分離領域102Dが、別々の部分に分割されるか、または、
図2の2Aに示されたものとは異なる形状を持つように、他の解決策も可能である。
【0028】
例えば、可能な解決策としては、単一の中央の交差領域102Aと、一方および他方の側に配置される2つの部分に分けられた交差領域102Bが存在するものを提供することができる。
この場合は、分離領域102Dも、2つの側面方向の部分に分割され、そのそれぞれは、中央の交差領域102Aと、交差領域102Bの対応する側面方向の部分の間に配置される。
別の例としては、環状の形状の分離領域102Dと交差領域102Aによって取り囲まれ、回転環状で、分離領域102Dの外側に配置された、中央のディスクの形をした交差領域102Bから構成されてもよい。
瞳孔102のレベルでの光ビーム1、2が分離されると、網膜以外の眼の表面から来る照明光1の望まれていない反射が、取得手段27に到着する可能性を大いに減らす。
【0029】
分離手段16により選択された光ビーム2は、光学素子21を通り、ミラー22によって反射され、共焦点絞り23を通り、ミラー24によって反射され、光学素子25を通る。
光ビーム2が、共焦点絞り23を通過すると、望まない反射が、網膜101と異なる面に配置された物体または同じ網膜と光学的に結合された面に配置された物体から飛来し、取得手段27に到達する可能性を大いに減らす。
【0030】
光ビーム2は、走査取得17によって、もう一度走査されて、取得手段27のほうに導かれる。
光ビーム2は、対物レンズ26を通過し、網膜101の1つ以上の画像を取得する取得手段27に到達する。
【0031】
実施例のより一層の変形が、網膜の画像の取得システムについて可能である。
たとえば、取得手段27は、線形センサー(linear sensor)から成り、共焦点絞り23の位置に配置してもよい。
【0032】
また、視野計500は、例えば、信号取得、データ記憶、データ計算、および制御信号生成機能を実行するために、同様の視野計の動作を制御するための制御ユニット50を備える。
好ましくは、制御ユニット50は、コンピュータから構成することができる。
制御ユニット50は、照射器11と、走査手段17と、取得手段27と、動作可能なように関連し、適切な制御信号を生成することによって、それらの動作を制御することができる。
これらの制御信号を生成するために、制御ユニット50は、好ましくは、同じ制御ユニットの1つ以上のメモリー位置に格納された適切なソフトウェア命令を実行する。
また、制御ユニット50は、マニュアルのコマンドを入力すること、または設定あるいはプログラミング作業を実行することのために、ヒューマン−マシン・インターフェイス60と、動作可能なように関連してもよい。
【0033】
本発明によれば、視野計500は、さらに、
−網膜の部分1101を均一に照明するように、第1の投影ビーム3を出射するように適合された第1の投影手段30と、
−網膜101の上で少なくとも固定目標を投影するために、第2の投影ビーム4を出射するように適合された第2の投影手段41と、
−網膜101の上で少なくとも光の刺激を投影するために、第3の投影ビーム5を出射するように適合された第3の投影手段42とを含む。
【0034】
本発明によれば、視野計500の動作中は、
−第1の投影ビーム3は、照明ビーム1が瞳孔を通過する第1の交差領域102Aと、網膜によって反射された光ビーム2が瞳孔を通過する第2の交差領域102Bとの間に構成されている分離領域102Dで、瞳孔102を通過し、
−第2の投影ビーム4は、第1の交差領域102A、または、第2の交差領域102Bで、瞳孔102を通過し、
−第3の投影ビーム5は、第1の交差領域102A、または、第2の交差領域102Bで、瞳孔102を通過する。
【0035】
制御ユニット50は、投影手段30、41、42と動作可能なように関連し、適切な制御信号を生成することによって、それらの動作を制御することができる。
好ましくは、第1の投影手段は、1つ以上の第1のエミッター301、302から構成される。
好ましくは、エミッター301、302は、制御ユニット50によって、お互いに別々に作動させることができる。
【0036】
好ましくは、第1のエミッター301、302は、少なくとも1つのLEDから構成される。
好ましくは、第1のエミッター301、302は、異なるスペクトルバンドを持つ光を出すことのできる複数のLEDから構成される。
上記の第1のエミッターは、例えば、白い背景に白い刺激を使う第1のタイプの視野測定テストの間に、白い光の背景を投影するために、1つ以上の白色LED301から構成してもよい。
また、上記の第1のエミッターは、たとえば、黄色の背景に青色の刺激を使う第2のタイプの視野測定テストの間に、黄色の光の背景を投影するために、様々な波長を持つ着色された光を出すことのできる1つ以上のLED302、特に黄色のLEDから構成してもよい。
【0037】
上記したように、視野計500の動作中に、第1の投影ビーム3は、照明ビーム1の交差領域102A、102Bと、網膜によって反射された光ビーム2の交差領域102A、102Bとの間に、それぞれ配置された分離領域102Dで、瞳孔102を通過する(
図2の2A、または
図8)。
視野計500のこの特性は、瞳孔102と光学的に結合された領域で、光ビーム1、2の間に形成される投影ビーム3を生成する可能性を提供し、有利なことには、これらの後者(光ビーム1、2)を妨げることがない。
【0038】
好ましくは、第1の投影手段30は、瞳孔102と結合した表面102Cの近傍であって、照明ビーム1と、網膜によって反射された光ビーム2との間に位置する視野計500の第1の領域に、動作可能なように、配置される(
図1、
図2の2B参照)。
瞳孔102の結合部分102Cに最も近い領域の投影手段30の(視野計500の動作中の)位置決めにより、その第1の投影手段30が、検査されている網膜の全体の部分1011を均一に照明することのできる投影ビーム3を投影できるように位置決めする。
第1の投影手段30は、光ビームの第1分離手段16が配置されるのと同じ領域に、配置することができ、特に、分離絞り161に最も近い領域に配置することができる。
好ましくは、第1の投影手段30は、光ビームの分離手段16と、走査手段17との間に形成される領域に配置される。
【0039】
第1の投影手段30の動作上のアセンブリのための好ましい領域は、
図1と
図2の2Bに示すように、照明ビーム1と、網膜によって反射された光ビーム2との間の絞り161に近接する位置である。
この領域から、第1の投影手段30は、光学素子18の方向に光ビーム3を反射する走査手段17のほうに、光ビーム3を投影する。
第1の投影手段30は、走査手段17によって設定された光学的な走査のどんな瞬間でも、光学素子18の表面の全体を覆うために、有利にするには、(角度方向において)十分に広い光ビーム3を生成する。
このようにして、投影ビーム3は、常に、光学素子18の表面を、好ましくは、均一に覆う。
投影ビーム3は、光学素子18を通過して、方向D3の方向に進み続け、更に投影ビーム3が瞳孔102を通過する分離領域102Dに投影ビーム3を集中させる接眼レンズ19を通過する。
【0040】
交差領域102Dの下流において、投影ビーム3が、検査されている網膜の全体の部分1011を照明するまで、投影ビーム3は、ますます、分岐し、拡大し続ける。
このように、簡単な方法で、およびとりわけ、照明ビーム1と、網膜により反射され網膜の画像を取得するために使われる光ビーム2の光学経路を妨げずに、視野測定テストを実行するために必要な均一な光の背景を生成することが可能である。
第1の投影手段30は、第1のエミッター301、302と動作可能なように関連付けられた1つ以上の開口からなる第1の投影マスク(図示しない)から構成してもよい。
【0041】
原則として、第2の投影手段と第3の投影手段は、視野計500の2つの異なる領域に配置されてもよい。
その代わりに、それらは、同じ投影ユニット40の中に統合してもよい(例えば、
図3、9を参照)。
図1に示した実施例において、走査型視野計500は、投影ビーム4、5を光学的な取得経路2Aに挿入するために、ビームスプリッタ22Bを備える。
ビームスプリッタ22Bを通して、投影手段41、42は、網膜101に到達するまで、関連した投射ビーム4、5を、方向D4に投影する。
光ビーム4、5は、
図1と図 2の2A に示すように、網膜によって反射され眼100から出て行く光ビーム2が通過する同じ交差領域102Bで、瞳孔102を通過する。
【0042】
好ましくは、第2の投影手段41は、1つ以上の第2のエミッター411と、エミッター411と動作可能なように関連する1つ以上の第2の開口4101を備える第2の投影マスク410から成っている。
好ましくは、エミッター411は、制御ユニット50によって、お互いに別々に作動することができる。
投影マスク410の開口4101により、エミッター411によって放射された光の一部分を、網膜101のほうに投影させることが可能となる。
好ましくは、少なくとも投影マスク410は、同様の視野計の動作中に、実質的に網膜101と結合した視野計500の第2の領域に配置される。
このように、エミッター411によってバックライト照明された開口4101の画像は、網膜101に焦点を合わせられる。
【0043】
好ましくは、第3の投影手段42は、1つ以上の第3のエミッター421、422、423と、
第3のエミッター421、422、423と動作可能なように関連する1つ以上の第3の開口4201、4202、4203を備える第3の投影マスク420から成っている。
好ましくは、エミッター421、422、423は、制御ユニット50によって、お互いに別々に作動することができる。
好ましくは、第3の投影手段42は、走査手段17が網膜上において照明ビーム1を動かす走査方向DSに実質的に直角な方向DAに沿って、リバーシブルに動かすことができる。
【0044】
図3、
図5、
図9は、第3の投影手段42の動きが、直進運動のタイプであるという解決策を示している。
投影手段42の動きは、異なるタイプであってもよい。
たとえば、投影手段42は、環状の円弧上の動きを実行できる(図示していない変形)。
この場合、方向DAは、前記環状の円弧に接する方向である。
【0045】
好ましくは、視野計500は、第3の投影手段42の位置を選択的に調整するために、アクチュエーター43(有利にするには、制御ユニット50により制御される)を備える。
好ましくは、少なくとも投影マスク420は、同様の視野計の動作中に、網膜101と実質的に結合した視野計500の第2の領域に配置される。
このように、エミッター421によってバックライト照明された開口4201の画像は、網膜101に焦点を合わせられる。
【0046】
好ましくは、第3のエミッター421、422、423は、少なくとも1つのLEDから構成される。
好ましくは、第3のエミッター421、422、423は、異なるスペクトルバンドを持つ光を出すことのできる複数のLEDから構成される。
好ましくは、第3のエミッター421、422、423は、少なくとも白色のLEDから成っている。
好ましくは、第3のエミッター421、422、423は、少なくとも青色のLEDから成っている。
好ましくは、投影マスク420は、お互いに異なる面積を持つ複数の第3の開口4201、4202、4203から構成される。
【0047】
図5を参照すれば、エミッター421、422は、白色LEDから構成することができ、対応する開口4201、4202は、異なる直径を持っている円形の穴から構成することができる。
このようにして、たとえば、白い光の背景に投影された白い光の刺激を持つ視野測定テストの間に、異なる直径を持つ白い光の刺激を、網膜に投影することができる。
エミッター423は、例えば黄色い光の背景に投影された青色の光の刺激を持つ視野測定テストの間に、対応する開口4203を通して、網膜に青い光の刺激を投影するように適合された青色のLEDから構成することができる。
【0048】
好ましくは、走査手段17は、走査方向DSに沿って、第2の投影手段41と第3の投影手段42によって、それぞれ網膜101の表面に投影された第2の投影ビーム4と第3の投影ビーム5とを、周期的に動かすように適合されている。
好ましくは、第2の投影手段41と第3の投影手段42は、走査方法17の動きと同期した方法で、短い期間の光パルスとして、第2の投影ビーム4と第3の投影ビーム5とを投影するように適合されている。
第2の投影手段41と第3の投影手段42は、制御ユニット50によって、一定の活性化周波数で、作動させることができ、調整可能に作動させることができることが好ましい。
好ましくは、第2の投影手段41と第3の投影手段42の活性化周波数は、走査手段17の走査周波数1/TSに等しいか、走査周波数1/TSの2倍に等しいか、または、走査周波数1/TSよりも小さい。
【0049】
図3は、マスク410、420のアセンブリ領域における網膜RCの光学的結合を、図式的に示している。
第2の投影手段41によって出射された投影ビーム4は、網膜101に到達する前に、走査手段17によって走査される。
その結果、開口4101の光の画像は、検査されている網膜の部分1011の一方の側から他方への線形的な動きを、網膜101の上で描く。
このように、エミッター411のそれぞれは、走査手段17によって設定された走査方向DSにより方向づけられた網膜のリニアバンド(linear band)に、光を投影できる。
【0050】
網膜101の上に固定目標を投影するために、視野の範囲の与えられた位置で、制御ユニット50は、要求された固定目標の位置と対応しているエミッター411を選び、走査手段17の周期的な動きと同期した方法で、選ばれたエミッター411を周期的に作動させる。
エミッター411は、走査期間TSに関連して、非常に短い時間間隔DTの間、作動させられ、走査期間TSの残りの間、動作停止が維持される。
本発明の範囲内において、もしその時間間隔DTの存続期間がTS/50未満であるならば、走査期間TSに関連して、時間間隔DTが非常に短いことが、意図されている。
この解決策により、許容限度内で、活性化期間DTの間に、走査手段17によって設定された投影ビーム4の動きの結果として、網膜上の固定目標の動きにより起こされたにじみ(blur)の縮小が可能となる。
【0051】
投影された光のパルスが短い存続期間で与えられると、患者の眼は、走査方向にわずかに延長されただけの照明領域であって、それゆえに、マスク410の開口4101の画像と実質的に同様な形状を持つ照明領域を認知する。
有利にするには、活性化間隔DTが開始されると、走査手段17の進行終端(end-of-travel)の瞬間に関して、固定目標のために望ましい位置に対応している時間遅延が、遅延される。
この遅延により、選ばれたエミッター411と対応する開口4101の画像によって走査された網膜の線形領域に沿って、固定目標の位置を決める。
この遅延を適切に選ぶことによって、開口4101の画像によって走査された網膜の線形領域に沿って、ランダムな位置に固定目標を投影することができる。
【0052】
固定目標を投影することは、走査手段17の走査周波数1/TSに等しいエミッター411の活性化周波数で、期間DTの光パルスを周期的に投影することによって、得られる。
もし固定目標が投影される活性化周波数が十分に高い場合、例えば約25Hzより高い場合、眼は、連続的な固定目標を認知する。
走査周波数1/TSの2倍の活性化周波数によって、固定目標を投影することができる。
この場合、(走査方向DSに沿った)走査手段17の前方への動きと帰りの動きとの間に、エミッター411の活性化が起こる。
【0053】
網膜上の固定目標がいつも同じ位置で投影されるように、前方および帰りの動きのために、異なる遅延を使うことが有利である。
走査周波数1/TSの2倍のエミッター411の活性化周波数を持つ固定目標の投影は、
相対的に低い走査周波数1/TSでも、患者が連続的な固定目標を認知することが可能になる利点を持っている。
また、この後者(走査周波数1/TS)が十分に高い場合には、走査周波数1/TSに関してより低い活性化周波数によって、固定目標を投影することが可能である。
このようにして、エミッター411の活性化周波数を調整し、その供給電流を調整しなくても、固定目標の光強度は、有利に減少させることができる。
【0054】
眼を静止させ、実行されたテストのタイプと対応する選択された方向に、眼を方向付けることを維持することを目的として、テストの間、患者は、彼/彼女の網膜に投影された固定目標を見続ける。
たとえば、視野測定テストの間、同様の視野計の光学軸と対応するように、中央位置で固定目標が投影されるようにすることが有利である。
その代わりに、網膜の側面方向の領域の画像を取得するためには、たとえば、側面方向の位置に固定目標が投影されるようにすることが有利である。
第3の投影手段42による光の刺激の投影は、実質的に、投影手段41による固定目標の投影と同じ方法を使用することで行われる。
【0055】
与えられた位置で、網膜101上に光の刺激を投影するために、制御ユニット50は、
−望ましい光の刺激のタイプ(刺激の色または直径)と対応するエミッター421を選択し;
−選択されたエミッター421が、刺激の望ましい位置に対応するバンドで、網膜に光を投影できる位置に、第3の投影手段42を動かすために、アクチュエーター43を制御し;
−周期的に、走査手段17の周期的な動きと同期した方法で、選択されたエミッター421を作動させる。
【0056】
エミッター421の活性化間隔が開始すると、光刺激のために望ましい位置に対応する遅延だけ、走査手段17の進行終端の瞬間についても、有利に遅延される。
エミッター421は、走査期間TSに関連して非常に短い時間間隔の間、動作させられ、かつ走査期間TSの残りの間、動作停止が維持される。
また、この場合、エミッターの活性化間隔は、TS/50よりも小さい。
光刺激は、投影手段41によって固定目標の投影に使用されたものと非常によく似た方法で、走査周波数1/TSに等しいか、走査周波数1/TSの2倍か、あるいは、走査周波数1/TSよりも小さい投影手段42の活性化周波数を使って、投影することができる。
【0057】
走査型視野計500のさらなる実施例は、
図6に示される。
この場合は、第2投影手段41と第3投影手段42とが、照射器11の近傍に配置される。
特に、第2の投影マスク410と、第3の投影マスク420とは、照射器11の近傍で、視野計500の第3の領域に配置される。
この領域は、同様の視野計の動作中に、光学的に、網膜と結合する。
この実施例によれば、投影手段41と42は、
図1の実施例で見たように、光学的な取得経路2Aではなく、視野計500の光学的な照射経路1Aに結合される。
従って、投影手段41、42は、照射経路1Aに沿って、固定目標と光刺激を生成する光ビーム4、5 を投影する。
【0058】
投影手段41、42は、それらが網膜101に到達するまで、方向D4に、関連した光ビーム4、5 を投影する。
図8に示すように、光ビーム4、5は、眼100に入射する照明ビーム1が通過する同じ交差領域102Aで、瞳孔102を通過する。
図6の実施例によれば、有利にするには、ビームスプリッタ22Bは、ミラー22Aに置き換えることができる。
好ましくは、投影手段41と投影手段42は、照射器11からの照明ビーム1Aの出口の一面と他面に配置される。
さらなる構造および機能的な面において、
図6の実施例は、上記した
図1の実施例に非常によく似ている。
【0059】
走査型視野計500のさらなる実施例は、
図7に示される。
この場合、第2の投影手段41と第3の投影手段42は、共焦点絞り23の近傍に配置される。
特に、第2の投影マスク410と第3の投影マスク420は、共焦点絞り23の近傍で、視野計500の第4の領域に配置される。
この領域は、同様の視野計の動作中、光学的に網膜と結合される。
投影手段41、42は、網膜101に到達するまで、関連した投射ビーム4、5を、方向D4に投影する。
図2の2Aに示すように、光ビーム4、5は、眼100から出るもので網膜によって反射された光ビーム2が通過する同じ交差領域102Bで、瞳孔102を通過する。
図7の実施例によれば、有利にするには、ビームスプリッタ22Bは、ミラー22Aに置き換えることができる。
【0060】
第2の投影手段41と第3の投影手段42を含むアセンブリにおいても、共焦点絞り23を統合することに可能な解決策を、
図9に示している。
第2の投影手段41と第3の投影手段42の構成は、実質的に、
図3−5に関し、上記したものと同じである。
図9に示すように、好ましくは上記したように、共焦点絞り23は、マスク410と420の表面の近傍で、眼100の網膜101と結合した領域に配置される。
網膜によって反射された光ビーム2は、共焦点の開口231を通過し、第2の投影手段41と第3の投影手段42との間を通過し、網膜の画像を取得する取得手段27において終わる。
さらなる構造および機能的な面において、
図7の実施例は、上記した
図1の実施例に非常によく似ている。
【0061】
第2の投影手段41と第3の投影手段42の動作位置としては、上記したように、投影手段41、42が、視野計500の同じ領域に配置されるという
図1−10に関連して示された解決策に、制限されることを意図してはならない。
(図示しない)さらなる実施例によれば、投影手段41、42は、視野計500の2つの異なる領域に配置してもよい。
たとえば、第2の投影手段41は、照射器11の近傍に配置されてもよいが、一方、第32の投影手段42は、共焦点絞り23の近傍に配置されてもよい。
投影手段41と42の動作位置を選択するには、構成の単純さの理由から、または、工業的なコストの削減の必要性によって要求されうる。
【0062】
図10−11は、
図1に示した実施例のさらなる変形を、図式的に示している。
実施例のこの変形によれば、視野計500は、受け取られた光パワーを示している検出信号を提供するように適合された1つ以上の感光性の要素451からなる光検出手段45を備える。
検出手段45は、単一のアセンブリ40において、投影手段41、42と統合できる。
好ましくは、感光性の要素451は、第2の投影マスク410と、動作可能なように関連しており、この場合、第2の投影マスク410は、感光性の要素451の方への光の通路のための第4の開口4501から構成される。
好ましくは、開口4501は、視野計500の動作中、照射器11によって網膜に投影された光の線の方向と結合した方向に従って、一列に配置される。
このことは、感光性の要素451まで、照明された網膜の直線の領域により反射された光パワーの良好な転送を保証する。
【0063】
代わりの解決策によると、検出手段45は、マスク410とは異なり、1つ以上の開口4501を備え、好ましくは、すでに示したように配置された第4のマスクから構成してもよい。
光の検出手段45は、網膜の画像を撮影する間に、取得手段27の方に網膜から戻ってくる反射光の光量の測定が、有利にするには可能になる。
従って、制御ユニット50は、取得手段27の露出の自動的な調整を実行するために、照射器11を制御できる。
このようにして、網膜の画像を取得する間に、取得手段27は、異なる反射力を持つ網膜でも、同じ光量に、有利にさらされることができる。
【0064】
走査型視野計500の好ましい動作方法は、以下に、簡単に説明される。
この動作方法は、有利なことに、以下のステップから成る(以下に示したものと違う順序でもよい):
−望ましい位置で固定目標を投影するように、第2の投影手段41を、作動させること;
−照射器11を作動させること;
−取得手段27を通じて、網膜のライブのビデオ画像を取得すること;
−視野計500の任意の調整をすること、たとえば取得手段27に網膜の焦点を合わせること;
−網膜101の部分1101を均一に照明するように、第1の投影手段30を作動させること;
−光刺激を網膜に投影するために、第3の投影手段42を作動させること;
−第3の投影手段42の作動中に、網膜のライブのビデオ画像を分析し、眼のどのような動きでも検出し、検出された眼のどのような動きにでも基づいて、投影手段42によって投影された光刺激の位置を校正すること;
−照射器11によって、赤外線、白色光、または着色された光を、網膜に投影することで得た網膜の画像を、取得手段27を通じて、取得すること。
【0065】
この発明の視野計500は、従来技術に対して、かなりの利点を持っている。
瞳孔の領域102D、102A、102Bで投影ビーム3、4、5を位置決めすると、次のことが可能になる:
−照明ビーム1と網膜により反射された光2の光学経路1A、2Aを実質的に妨げることなく、均一な光の背景、固定目標、および光刺激を、網膜に投影すること、そして、取得される画像の品質が、実質的に同一に維持されること;
−投影手段30、41、42の全体的な大きさと工業生産コストが減少されること;
−視野計500の重量と全体的な大きさが縮小されること。
【0066】
第1の投影手段30を特別な動作組立品とすることで、次のことが可能になる:
−網膜に投影された光の背景の良好な均一性が獲得されること;
−簡単かつ安価な方法で、様々な色の一定の光の背景が投影されること;
−投影手段30の欠陥、または、組立中において投影手段30に堆積したほこりがあっても、網膜に投影された光の背景の良好な均一性が維持されること;
−構造のかなりの単純化と、工業的コストの大きな削減が得られること。
【0067】
上記した投影手段41、42に特別な作動方法を施せば、次のことが可能になる:
−より高価でそれほど正確ではない電気機械式の手段の代わりに、固定目標および光刺激の位置決めを管理するための信頼できて安価な電子的手段(制御ユニット50)を使用すること;
−投影手段41、42のために使われるエミッターの数よりも多くの固定目標と光刺激を投影すること;
−走査方向DSに従って、固定目標と光刺激が投影されうる位置を、連続的に調整すること。
【0068】
光検出手段45を使用すれば、単純で安価な方法で、固定目標および光刺激を網膜に投影し、かつ、画像の取得の間に、取得手段27の露出を調整するために、網膜により反射された光の量を測定する統合アセンブリを創出することが可能になる。
照射器11または共焦点絞り23で、投影手段41、42の動作の位置決めをすると、光学経路1A、2Aを妨げないことと、網膜の画像を取得するのに使用される光ビーム2の損失を起こさないようにすることが可能になり、それゆえに、取得された画像の同じ品質を維持することが可能になる。
【0069】
マスクとエミッターを備える投影手段41、42を使用することで、LCDディスプレイを使う従来の解決策に対して、固定目標または光刺激の良好な視覚品質を得ることが可能になる。
複数のエミッターを持つ投影手段42を使用し、随意的には異なる色のエミッターを持つ投影手段を使用し、および複数の開口を持つマスクを有する投影手段42を使用し、随意的にはお互いに異なるマスクを有する投影手段42を使用することで、処理されるべきテストの異なるタイプの要件に依存して、異なる大きさと色を持つ光刺激を、簡単に投影することが可能になる。
投影手段30,41、42にLEDを使用すると、(温度と機械の老化に関して)投影される光のパワーの高い安定性を得ることが可能になり、エミッターのパワー、色、および大きさに関して、広いデザイン上の選択が可能になる。
【0070】
また、LEDから成るエミッターは、制限された大きさと、削減された工業上のコストにより、特徴付けられる。
眼の動きの自動的な補償を持つ光刺激を投影することで、眼の視覚機能の測定精度が改善される。
走査型視野計500は、非常に小型の構造を持ち、工業的規模において生産しやすく、生産費用を制限するという観点では、かなりの利点を持つ。