(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587701
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用の電解銅箔及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20191001BHJP
C25D 1/04 20060101ALI20191001BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20191001BHJP
C25D 1/00 20060101ALN20191001BHJP
【FI】
H01M4/66 A
C25D1/04 311
H01M10/052
!C25D1/00 311
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-565758(P2017-565758)
(86)(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公表番号】特表2018-519633(P2018-519633A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】KR2016003726
(87)【国際公開番号】WO2016208858
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0091274
(32)【優先日】2015年6月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518133500
【氏名又は名称】ケイシーエフ テクノロジース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】キム・デヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム・スンミン
【審査官】
立木 林
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/119656(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/091060(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/002996(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/002279(WO,A1)
【文献】
特開2012−022939(JP,A)
【文献】
特開2003−051340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/64−4/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池の負極集電体として適用されるリチウム二次電池用の電解銅箔であって、
前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、
Universal Testing Machine(UTM)を用いて測定された降伏強度が30kgf/mm2〜60kgf/mm2であり、表面積比が1〜3であり、重量偏差が3%以下であり、
3D Laser Scanning Microscopeを用いて測定面を対象として3次元的に測定して得られた面積を実表面積、前記測定面に対して平面視における面積を測定単位面積としたときに、前記表面積比が前記実表面積を前記測定単位面積で割って得た値であり、
前記重量偏差が、(i)前記電解銅箔の左、右及び中央の3個のサンプルを10cm×10cmの大きさで切り出し、(ii)これら3個のサンプルの重量を測定し、(iii)式:重量偏差=[(最大重量−最小重量)/平均重量]×100にしたがって算出した値である、リチウム二次電池用の電解銅箔。
【請求項2】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、
表面粗度がRz基準で0.2μm〜2μmであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用の電解銅箔。
【請求項3】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、
延伸率が3%以上であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用の電解銅箔。
【請求項4】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、
厚さが3μm〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用の電解銅箔。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の電解銅箔が負極集電体に適用されたリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用の電解銅箔及びこれを含むリチウム二次電池に関し、より詳しくは、降伏強度、表面積比及び重量偏差が一定範囲に制限されることで、向上した物性を有するリチウム二次電池用の電解銅箔及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2015年6月26日出願の韓国特許出願第10−2015−0091274号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池は、他の二次電池に比べて相対的にエネルギー密度が高く、作動電圧が高いだけでなく、優れた保存及び寿命特性を示すなど、多くの長所を有することから、PC、カムコーダー、携帯電話、携帯用CDプレーヤー、PDAなどの各種携帯電子機器に広く用いられている。
【0004】
通常、リチウム二次電池は、電解質を挟んで配置された正極及び負極を含む構造を有し、前記正極は、正極集電体に正極活物質が付着した構造を有し、前記負極は、負極集電体に負極活物質が付着した構造を有する。
【0005】
リチウム二次電池において、負極集電体の素材としては主に電解銅箔が用いられる、この場合、設備条件を厳しくコントロールしなければ、MDバックル(Machine Direction Buckles)不良が多数発生するという問題点がある。
【0006】
MDバックル不良とは、製箔後の巻き取られた銅箔に現われるMD(machine Direction)方向へ発生する凹凸形態の欠陥を意味する。
【0007】
このようなMDバックル不良は、納品先からの返品事由となり、活物質コーティング時におけるコーティング偏差及び活物質の脱離不良を発生し得る。
【0008】
今までに明かになったMDバックル不良の発生原因のうち、材料的な原因としては、重量偏差に関連すると知られているが、銅箔の場合、重量偏差を厳しく制御するにもかかわらず、MDバックル不良が頻繁に発生しており、この解決方案が要求される実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、銅箔が有する多くの因子を調節することで、優れた物性を有するリチウム二次電池用の電解銅箔を得ることを一目的とする。
【0010】
なお、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するために鋭意研究した結果、降伏強度、表面積比及び重量偏差を一定範囲に制限することで、特に、MDバックル不良の面において優れた物性を有するリチウム二次電池用の電解銅箔を得るに至った。
【0012】
このような優れた物性を有する本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔は、リチウム二次電池の負極集電体として適用されるリチウム二次電池用の電解銅箔であって、降伏強度が30kgf/mm
2〜60kgf/mm
2であり、表面積比が1〜3であり、重量偏差が3%以下であるものである。
【0013】
なお、前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、表面粗度がRz基準で0.2μm〜2μmであり得る。
【0014】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、延伸率が3%以上であり得る。
【0015】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔は、厚さが3μm〜30μmであり得る。
【0016】
なお、本発明の一実施例によるリチウム二次電池は、前述のリチウム二次電池用の電解銅箔が負極集電体に適用されたものである。
【0017】
また、本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔の製造方法は、降伏強度が30kgf/mm
2〜60kgf/mm
2であり、表面積比が1〜3であり、重量偏差が3%以下であるリチウム二次電池用の電解銅箔の製造方法であって、(a)硫酸銅水溶液を製造する段階と、(b)前記硫酸銅水溶液に0.1ppm〜3ppmのチオ尿素系化合物、5ppm未満の塩素、50ppm以下のTOC(Total organic carbon)を添加する段階と、(c)10ASD〜80ASDの電流密度でドラムの上に銅箔を電着し、かつ重量偏差が3%以内となるように調節する段階と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一面によれば、MDバックル不良が発生しないリチウム二次電池用の電解銅箔を得ることができ、これによってリチウム二次電池用の電解銅箔を用いて製造されたリチウム二次電池の性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【0020】
【
図1】本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔の表面にコーティング層が形成された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0022】
先ず、
図1を参照して本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔を示す断面図である。
【0024】
図1に示した本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔1は、リチウム二次電池の負極集電体として用いることが望ましい。即ち、リチウム二次電池において、負極活物質と結合する負極集電体としては、電解銅箔を用いることが望ましい。
【0025】
一方、リチウム二次電池の製造において、正極活物質と結合する正極集電体としては、アルミニウム(Al)からなる箔(foil)を用いることが一般的である。
【0026】
そこで、本発明においては、前記リチウム二次電池用の電解銅箔1が、リチウム二次電池に適用される負極集電体である場合を例に挙げて説明する。
【0027】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔1は、MDバックル不良(製箔後の巻き取られた銅箔に現われるMD(Machine Direction)方向へ発生する凹凸形態の欠陷)によって、活物質のコーティング時にコーティング偏差及び活物質の脱離現象による不良が発生することを防止するために、製造過程でその降伏強度、表面積比及び重量偏差が一定範囲に制限される。
【0028】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔1は、電解槽内に回転ドラム及びドラムに対して所定間隔を持って位置する正極板を含む構造の製箔機を用いて製造される。
【0029】
このような製箔機を用いた製箔過程で使用されるめっき液(電解液)に入れる添加液の量を一定範囲内に調節することで、電解銅箔が有する降伏強度及び表面積比を制御し、ドラムの上に銅箔を電着する過程で重量から外れた部分に遮蔽板を設けるか、または補助正極を設けることによって、重量偏差を一定水準以内に制御することができる。
【0030】
本発明において、前記めっき液(電解液)に入れる添加液の量は、チオ尿素系化合物の濃度が0.1ppm〜3ppm範囲、塩素の濃度が5ppm未満、TOCの濃度が50ppm以下となるように調節され、このように添加液の量を調節して電解銅箔を製造することで降伏強度が30kgf/mm
2以上60kgf/mm
2以下、表面積比(測定された実表面積/測定単位面積)が1以上3以下である電解銅箔を得ることができる。
【0031】
なお、本発明において、前記重量偏差は3%以下に制御することが望ましい。
【0032】
このように、降伏強度、表面積比及び重量偏差が一定水準以内に制限された本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔1は、MDバックル不良の発生を防止することで、活物質コーティング時におけるコーティング偏差発生や活物質の脱離現象の発生による製品不良を防止することができる。
【0033】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔1の降伏強度が30kgf/mm
2未満であれば、電解銅箔の巻取時において塑性変形によるMDバックル不良の発生現象が加速化し得る一方、降伏強度が60kgf/mm
2を超過すれば、MDバックル不良は発生しないが、電解銅箔自体の脆性が強く、商用銅箔としての使用ができないという問題点がある。
【0034】
また、前記リチウム二次電池用の電解銅箔1の表面積比(表面積/測定面積)が1未満である場合、活物質と電解銅箔の表面1aとのスリップ現象の発生によって空気層が流入され、MDバックル不良の発生率が大きくなってしまう一方、表面積比が3超過である場合は、エアートラッピング(Air trapping)現象によるMDバックル不良の発生が加速化し得る。ここで、エアートラッピング現象とは、銅箔の巻取時、銅箔の表面特性、設備条件によって銅箔の層間へ空気層が混入することを意味する。
【0035】
なお、前記リチウム二次電池用の電解銅箔1の重量偏差が3%を超過する場合、前述の表面積比が3を超過する場合と同様に、エアートラッピング現象によるMDバックル不良の発生が加速化し得る。
【0036】
前記降伏強度、表面積比及び重量偏差による電解銅箔のMDバックル不良の発生有無や破れの発生有無については、実験例及び比較例を以って詳しくは後述する。
【0037】
一方、前記リチウム二次電池用の電解銅箔1が有する表面粗度は、Rz(十点平均粗さ)基準で約0.2μm〜2μmの範囲であることが望ましい。
【0038】
前記表面粗度が約0.2μm未満である場合、電解銅箔と活物質との密着性が低下するという問題点があり、このように電解銅箔と活物質との密着性の低下が発生すれば、リチウム二次電池の使用過程で活物質の脱離現象が発生する恐れが大きくなる。
【0039】
これに対し、前記表面粗度が約2μmを超過する場合は、高い粗度によって電解銅箔の表面1aに活物質の均一なコーティングが行われないという問題点があり、このように活物質の均一なコーティングが行われない場合、製造されたリチウム二次電池の放電容量維持率が劣り得る。
【0040】
また、前記リチウム二次電池用の電解銅箔1の延伸率は、約3%以上であることが望ましい。
【0041】
電解銅箔が有する延伸率が約3%未満で低い場合は、リチウム二次電池セルの組立工程で電解銅箔が適用された集電体が破断する恐れが大きいという問題点がある。
【0042】
前記リチウム二次電池用の電解銅箔1の厚さの場合、約3μm〜30μmの範囲であることが望ましい。
【0043】
電解銅箔の厚さが約3μm未満で薄すぎる場合は、電池の製造工程で電解銅箔のハンドリングが難しくなり得る一方、電解銅箔の厚さが約30μmを超過する場合は、電解銅箔が集電体に用いられたとき、集電体の厚さによる体積増加によって高容量の電池の製造が困難となるという問題点がある。
【0044】
一方、
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔1は、その表面1aに形成された保護層2をさらに備えることができる。
【0045】
前記保護層2は、リチウム二次電池用の電解銅箔1の防錆処理のために、電解銅箔の表面1aに選択的に形成するものであって、クロム酸塩(Chromate)、BTA(Benzotriazole)及びシランカップリング(Silane coupling)剤より選択された少なくともいずれか一つからなり得る。
【0046】
前記保護層2は、リチウム二次電池用の電解銅箔1に対する防錆特性のみならず、耐熱特性及び/または活物質との結合力増大の特性を付与する役割も果たす。
【0047】
以下、表1を参照し、本発明の実施例によるリチウム二次電池用の電解銅箔の製造工程及び実施例/比較例によるリチウム二次電池用の電解銅箔の製造条件について説明する。
【0048】
製造工程
電解槽内に回転ドラム及びドラムに対して所定間隔を有して位置する正極板を含む構造の製箔機を用いて銅箔を製造した。電解めっきに用いられる電解液としては硫酸銅を用い、硫酸銅に添加される添加剤としては、チオ尿素(TU)、塩素(Cl)及びTOCを含むチオ尿素系化合物を添加剤にした。前記チオ尿素系化合物を成す各構成成分の濃度は、チオ尿素は0.1〜3ppmの範囲、塩素は5ppm未満、TOCは50ppm未満に調節した。
【0049】
電解めっきによる銅箔の電着による原箔の製造は、10ASD〜80ASD範囲の電流密度でドラムの上に銅箔を電着することで行われ、この際、重量偏差の制御は、重量から外れた部分に遮蔽板を設けるか、または補助正極を設ける方式で行われた。
ASDとは、A/dm
2の意である。
【0050】
実施例及び比較例の製造条件
実施例と比較例ともドラムの幅が1,400mmである製箔槽を用い、銅(Cu)70g/L、硫酸80g/L及び電解液温度55℃、電流密度55A/dm
2の条件で、下記の表1に示された製造条件によって8μm厚さの電解銅箔を製造した。
【0051】
また、製造された電解銅箔を3,000mの長さで巻き取った後、MDバックル不良の発生有無を確認した。
【0052】
測定方法
(1)降伏強度:UTMを用いて測定し、標点距離は5cmにした。この際、 クロスヘッド速度(crosshead speed)は50mm/minにし、測定に用いられた試片は、幅12.7mmで切断したものを用いた。
【0053】
(2)表面積比:Kyence社の3D Laser Scanning Microscope(VK−X100)を用いて測定した。
【0054】
(ここで、表面積比は、測定面を対象として3次元で測定された実表面積を該当面に対して測定した領域の平面視における面積(測定単位面積)で割った値である。また、前記実表面積とは、銅箔試料の第1面1aのうち測定領域を3D顕微鏡で3次元的に測定して得られた面積であり、具体的には、3D顕微鏡レンズをZ軸方向へ移動して焦点を移動させることで得られた面積である。即ち、前記表面積比は、前記露出面が有する実表面積に対する、測定単位面積の比(Ratio)である。)
【0055】
(3)重量偏差:L(左)、R(右)、C(中央)の3部分を10cm×10cmで切断し、(最大重量−最小重量)/(平均重量)×100を重量偏差にした。
【0057】
なお、下記の表2を参照すれば、表1に示した実施例1〜4による電解銅箔の物性及び比較例1〜6による電解銅箔の物性が示されており、また、各々の実施例/比較例におけるMDバックル不良の発生有無が示されている。
【0059】
前記表2の実施例1と比較例1とを比較すれば、電解銅箔の降伏強度が30kgf/mm
2未満である場合は、MDバックルの不良発生が現われることが分かり、同様に、実施例2と比較例2とを比較すれば、電解銅箔の降伏強度が60kgf/mm
2超過である場合は、MDバックルの不良は現われないが、電解銅箔の巻取過程で電解銅箔に破れ現象が発生することが分かる。
【0060】
次に、表2の実施例2と比較例3とを比較すれば、電解銅箔の表面積比が1未満である場合は、MDバックルの不良が現われることが分かり、同様に、実施例1と比較例4及び比較例5とを比較すれば、電解銅箔の表面積比が3超過である場合は、MDバックルの不良が現われることを確認することができる。
【0061】
また、表2の実施例1及び実施例4と比較例6とを比較すれば、電解銅箔の重量偏差が3を超過する場合は、MDバックルの不良が現われることを確認することができる。
【0062】
したがって、このような結果に基づいて総合的に判断すれば、リチウム二次電池用の電解銅箔が有する降伏強度が30kgf/mm
2〜60kgf/mm
2であり、表面積比が1〜3であり、重量偏差が3%以下である場合に、MDバックルの不良が発生せず、巻取時における銅箔の破れ現象も現われることなく、品質の優れたリチウム二次電池用の電解銅箔を得ることができることが分かった。
【0063】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、リチウム二次電池に適用される負極集電体の素材であるリチウム二次電池用の電解銅箔及びこれを含むリチウム二次電池に用いることができる。