特許第6587739号(P6587739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587739
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】ブレーキアシストシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20191001BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B60T13/74 D
   F16H25/20 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-509920(P2018-509920)
(86)(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公表番号】特表2018-526265(P2018-526265A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】EP2016070853
(87)【国際公開番号】WO2017045957
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年4月16日
(31)【優先権主張番号】1558547
(32)【優先日】2015年9月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】リシャール,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ゲフェ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】パタラ,ダヴィッド
【審査官】 羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−302725(JP,A)
【文献】 特表平11−507147(JP,A)
【文献】 特開2012−106647(JP,A)
【文献】 特開平06−183331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00−13/74
F16H 19/00−37/16
F16H 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダと共に動作する電動機によって駆動され、作動軸(xx)に沿って、
−並進運動のガイドのために回転を妨害するブラケット(31)に連動し、外面にネジ山(321)を有する軸方向スリーブ(32)を有するアシストピストン(3)、
−前記アシストピストン(3)に取付けられ、並進運動しないが、回動自在であり、内面に前記軸方向スリーブ(32)前記ネジ山(321)と相補形をなすネジ山を備え、外側では、駆動モータに連結されるピニオンを支持するナット(33)、
−その前端で、前記アシストピストン(3)によって押圧されるようにドライブベース(21)を支持し、後端で、制御ロッド(1)に連結されるプランジャ(2)を備え、
−前記制御ロッド(1)は、一方の端部が前記プランジャ(2)に連結され、他方の端部がヘッド(12)に連結される本体(11)から構成される電気機械式のブレーキアシストシステムにおいて、
前記ヘッド(12)と前記本体(11)との連結部において、前記本体(11)の他方の端部側が前記ヘッド(12)のスリーブ(121)内に位置し、
前記本体(11)の、スリーブ(121)内に位置する部分は、他方の端部側から平滑端(112)の部分、嵌込み領域(111)の部分、の順に形成されており、
前記スリーブ(121)における、前記嵌込み領域(111)に対応する部分は嵌込み口(122)として構成され、前記嵌込み口(122)は、嵌込みによって変形可能となるように、前記スリーブ(121)における、前記嵌込み口(122)以外の領域よりも薄肉に形成されている
ことを特徴とするブレーキアシストシステム。
【請求項2】
前記本体(11)の前記嵌込み領域(111)は、前記作動軸(xx)の方向に横方向に配向されたローレット加工又は溝を施した表面である
ことを特徴とする請求項1記載のアシストシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気機械式のブレーキアシストシステムのプランジャ・制御ロッドアセンブリの製造方法において、
ッド(12)収容される、制御ロッド(1)の端部用の嵌込み領域(111)及び平滑端(112)を製造し、
−ボール(121)と反対側に嵌込み口(122)を具備するスリーブ(121)を備える前記ヘッド(12)を製造し、
−プランジャ(2)を制御ロッド(1)に接合した後は、該プランジャ及び該制御ロッドを前記アシストピストン(3)に係合し、前記ヘッド(12)を前記制御ロッド(1)の本体(11)に配置し、前記本体(11)の前記嵌込み領域(111)に、嵌込み口(122)を嵌込む
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタシリンダと共に動作する電動機を用いて、作動軸xxに沿って、
−並進運動のガイドのために回転を妨害するブラケットに連動する軸方向スリーブの形状であり、スリーブは以下と共に作用するネジ山付きの外面を有するアシストピストン、
−並進運動しないが、回動自在であり、スリーブが収容するアシストピストンのネジ山と相補形をなすネジ山を備え、外側では、駆動モータに連結されるピニオンを支持するナット、
−その前端で、アシストピストンによって押圧されるようにドライブベースを支持し、後端で、制御ロッドに連結されるプランジャを備え、
−制御ロッドは、一方の端部がプランジャに連結され、他端部が制御ロッドに連結される本体から構成される電気機械式のブレーキアシストシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プランジャに連結され、2つの部分、すなわち、ロッド本体、ブレーキペダルから発するロッドとのその結合のためのボールを具備するヘッドを支持する、プランジャに連結されていない端部から構成される、制御ロッドを具備する、電動機を備える上のブレーキアシストシステムは、すでに知られている。制御ロッドヘッドは、車種ごとにそれぞれの設置タイプの要請に応じて、発注者側の設計者に適合した部品である。
【0003】
ボールは、ブレーキペダルとロッドとの間で発生し得る心ズレを起こさない機能を有するが、この心ズレは、ブレーキペダルの運動によってロッドに押しつけられる変動する配置又は配向のいずれかに関連する。ボールとの結合は、アシストシステムの軸に押圧力の成分のみを伝達し、横方向の応力は伝達しない。
【0004】
このボールが原因で、制御ロッドは、アシストピストンを介してプランジャと制御ロッドとの組み付けを可能にするために、必然的に2つの部分から成り、制御ロッドヘッドは、本体の対応する端部にネジ止めされ、この目的で、制御ロッドヘッドはボルト状の部分を備える。制御ロッドヘッドを、制御ロッド本体のネジ山を設けた端部にネジ止めするのは、このアセンブリが完成してからでなければならない。
【0005】
この解決法は、ネジ山形成と組み付け時間の両面から、比較的費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、制御ロッドの取り付けを容易に行い、より迅速かつより経済的にするために、制御ロッドの構造を簡略化することで、上に定義したブレーキアシストシステムを簡略化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、上に定義されたタイプのブレーキアシストシステムにおいて、制御ロッドが、その後端において、嵌込み領域を含み、制御ロッドのヘッドは、本体の嵌込み領域に嵌込まれるために、ブレーキペダルの方を向いていないその前端に嵌込まれるスリーブを備えることを特徴とするブレーキアシストシステムを目的とする。
【0008】
こうして、本発明は、その制御ロッドが、共通のベースに基づいて、あらゆる車種に個別に適合させることで、大量生産を可能にし、かつ、あらゆる車種に応じた制御ロッドヘッドの適合のみを必要とし、2つの部分から成る実施形態の効用及び制御ロッドの2つの部分の接合の実現性を維持しながら、ロッドヘッドの本体への接合を大幅に簡略化することで、上記を行なうブレーキアシストシステムを簡単に製造する。
【0009】
制御ロッドの取り付け後は、ロッドヘッドの固定のために、制御ロッドの接合は極めて容易である。
【0010】
特に有利な技術的特徴に従い、本体の嵌込み領域は、制御ロッドを構成する本体とヘッドとの間の押圧及び牽引の応力に反応できるように、特に作動軸xxの方向に横方向に配向されたアシストシステムのローレット加工又は溝を施した表面である。
【0011】
別の有利な技術的特徴に従い、制御ロッドの本体の端部は、平滑端によって嵌込み領域の向こう側にも連続し、ヘッドのスリーブは、薄い厚みの嵌込み口を備え、スリーブ及び嵌込み口の寸法は、本体の平滑端及び嵌込み領域に対応する。こうして、制御ロッドヘッドは、ロッドのスリーブに設けられるロッドの平滑端によって、ロッド本体に対して作動軸に沿って保持され、作動軸に沿った結合は、押圧時にも牽引時にも、嵌込み領域への嵌込み口の嵌込みによって確保される。
【0012】
さらに、本発明は、上に定義した電気機械式のブレーキアシストシステムのプランジャ・制御ロッドアセンブリの製造方法において、
−平滑部を残してヘッドを収容する、制御ロッドの端部用の嵌込み領域を製造し、
−ボールと反対側に嵌込み口を具備するスリーブを備えるヘッドを製造し、
−プランジャを制御ロッドに接合した後は、この両者をアシストピストンに係合し、ヘッドを制御ロッドの本体に配置し、本体の嵌込み領域に、嵌込み口を嵌込む方法に関する。
【0013】
この製造及び接合の方法は、きわめて容易であり、ブレーキアシストシステムの製造において、大幅な材料及び時間の節約を可能にする。
【0014】
以下において、本発明は、添付の図面に示した電気機械式のブレーキアシストシステムの例を用いてより詳細に説明されるが、図面では、それぞれ以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】システムの軸xxに沿って心合わせされた、プランジャ、制御ロッド及びアシストピストンから構成されるブレーキアシストシステムの部分の分解図を示す。
図2】遮断バネのストッパ及び制御ロッドヘッドを接合した状態の、プランジャ及び制御ロッドの軸方向の断面図を示す。
図3A】制御ロッドの制御ロッドヘッドを含む、プランジャ及び制御ロッドの接合工程を示す。
図3B】制御ロッドの制御ロッドヘッドを含む、プランジャ及び制御ロッドの接合工程を示す。
図3C】制御ロッドの制御ロッドヘッドを含む、プランジャ及び制御ロッドの接合工程を示す。
図4】接合が完了した状態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
通例、説明を簡略化するため、前部(AV)は図1における軸xxに沿って右側、後部(AR)は左側となる。
【0017】
全体のうち、図1の分解図には、説明に不可欠ないくつかの部分のみを図示した本発明のブレーキアシストシステムは、1又は2個のブレーキ回路に加圧ブレーキ液を供給するマスタシリンダ(たとえばタンデムマスタシリンダ)から構成される。マスタシリンダは、ブレーキペダルを起点として、電動機の形のアクチュエータを内包する伝動機構によって制御され、単独又はペダルの押圧を補足しながら、マスタシリンダのプライマリピストンに加わる力を確保する。
【0018】
ブレーキペダルを起点として、作用線xxに沿って心合わせされた伝動機構は、ペダルに連結され、制御ロッド1にその運動を伝達するロッドから構成され、このロッド自体は、マスタシリンダに作用するための補足的なアシスト押圧力を受け止めるために、プランジャ2に連結されている。
【0019】
押圧力は、アシストピストンによって直接押圧される中間ピストンがもたれかかるリアクションディスクを支持するプッシュロッドによって、タンデムマスタシリンダ(以上の要素は図示せず)に伝達され、プランジャもこのリアクションディスクに取り付けることができる。
【0020】
このため、プランジャ2は、制御ロッド1に直接取り付けられた状態でアシストピストン3と共に作用する。アシストピストン3は、並進運動をガイドされ回転運動を妨害されたブラケット31を含む。ブラケット31は、並進ナット33を収容するネジ付きスリーブ32を支持する。このブラケットをプランジャ2及び制御ロッド1が横断する。アシストピストン3は、軸xxに平行な2本の図示していないガイドロッド上をスライドするために、軸xx上で、2つの軸受311を備えるブラケット31によって支持される。アシストピストン3は、そのネジ山付きのスリーブ32と並進ナット33との共同作用によって、アシスト方向(矢印A)に押圧される。軸xxの方向の並進運動を妨害された上の並進ナットは、アシストピストン3のスリーブ32のネジ山321にネジ止めされるために内側にネジ山を備える。外側では、ナット33は、回転に連動する取り付けのために、相補形のスプラインを備えるピニオンを収容するためのスプライン331のうち1つを備える。上の図示していないピニオンは、制動に対するアシストのために制御される電動機の駆動ピニオンと共に作用する。アシストピストン3は、それ自体が、プッシュロッド(この要素は図示せず)によって、マスタシリンダを押圧する(矢印A)ために中間ピストンにもたれかかるのと同時に、プランジャを押圧するために、プランジャ2と連動するドライブベース21にもたれかかる。ドライブベース21は、その2本の分岐部210が軸xxの方向に2つのガイドストッパ211を備える十字軸から構成される。ストッパは、ブラケット31の軸受312上をスライドする。さらに、分岐部の1つは、アシストを受けた制動動作の開始時に、この種の制御のアイドルストロークの後にアシストモータを始動させるために、軸xxに平行で、かつ、始動センサと共に作用する脚部212を支持する。
【0021】
プランジャ2は、本体11及びヘッド12から構成される制御ロッド1に連結される。本体11は、その前端で、プランジャ2のマスタシリンダの方に向いていない側に当たる後端に固定される。プランジャの後端は、制御ロッドのヘッド12を収容する。嵌込み口122を備えるスリーブ121から構成されるヘッド12は、後部において、ブレーキペダルから発するロッドに結合されるように、ボール123で終端する。嵌込み口122は、嵌込み領域111への嵌込みによって変形可能となるように、スリーブ121の薄い厚みの部分である。制御ロッドの本体11は、周方向の溝又は切込みの形のローレット加工を施したリング状の表面から構成される嵌込み領域111を備える。原則として、このような周方向の変形部は、牽引又は圧縮応力の方向への嵌込み時に優れた耐久性をもたらすように、アクチュエータロッド又はその本体の軸でもある作動軸の横断方向に配向される。嵌込み領域111は、嵌込み長さ112は残しつつも、第2の端部に近い。ヘッド12のスリーブ121は、本体11の端部112、111に係合され、次いでスリーブが嵌込まれる。
【0022】
図2は、その前端がプランジャ2に固定され、その後端がヘッド12のスリーブ121に嵌め込まれ、この軸方向の組立て品がアシストピストン3のスリーブ32に係合され、スリーブ自体は並進ナット33に係合された状態の本体11を示す軸方向の断面図である。
【0023】
図3A〜3Cに従い、組立ては、軸xxに沿ってなされる、制御ロッド1の本体11へのプランジャ2の接合、次いで、アシストピストン3へのプランジャの取付け、続いて並進ナット33及び遮断バネ5の取付け、その後ヘッド12の設置及び嵌込みによって行なわれる。スリーブ121は、接合を強固にし、かつ、軸xxの方向の応力、すなわち、圧縮及び牽引応力に抵抗しようとして取り付けを妨害する嵌込みを容易にするために、本体11において、作動軸xxにおける横方向へのヘッド12の保持に役立つ。
【0024】
図3Aに従い、制御ロッド1の本体11に結合されたプランジャ2は、アシストピストン3に係合され、そのブラケット31及びそのスリーブは、並進ナット33に隠れる。
【0025】
本体11は、スリーブ32及びナット33の端部から突出し、嵌込み領域111及び平滑端112を露出させる。
【0026】
遮断バネ4は、本体11に嵌め込まれてアシストピストン3のスリーブ32の端部にもたれかかるように、軸xxの方に向けられ、遮断バネの他の端部は、制御ロッド1に係合された係止ワッシャにもたれかかる。
【0027】
図3Bは、その嵌込み口123を備えるスリーブ121を収容する嵌込み領域111及び平滑端112を露出させた状態で行われる、本体11及びバネ4を被覆する弾性スリーブ5の設置を伴う、後続のステップを示す。
【0028】
スリーブ121は、平滑部112の軸xx上へのヘッド12及び薄い厚みの嵌込み口123の保持を確保し、嵌込み領域111に嵌込み変形を生じさせる。
【0029】
図3Cは、嵌込み後のヘッド12の最終的な配置を示し、ここで、嵌込み変形部は嵌込み口123から露出している。
【0030】
図4は、取り付けが完了した状態を示し、ここで、アシストモジュールのボックス6及び制御ロッド1のヘッド12がベローズ状スリーブ5から突出していることが明らかである。ベローズ状スリーブ5は、遮断バネを含む並進ナットから突出している制御ロッドの部分を保護する。
【0031】
一部図示したモータ7の変速機は、ボックス6に隠れている。
【符号の説明】
【0032】
1 制御ロッド
11 制御ロッドの本体
111 嵌込み領域
112 平滑端
12 制御ロッドのヘッド
121 スリーブ
122 嵌込み口
123 ボール
2 プランジャ
21 ドライブベース
210 分岐部
211 ガイドストッパ
212 始動センサの脚部
3 アシストピストン
31 ブラケット
311 スライド軸受
312 スライド開口部
32 ネジ山付きスリーブ
321 外側のネジ山
33 ナット
331 スプライン
4 遮断バネ
5 ベローズ状スリーブ
6 モジュールボックス
7 電動機
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4