(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のものは、部品点数が多く構造が複雑であると共に、断裁用ローラーの下に押圧用ローラーを配置する構造であるため、高さ方向の寸法が大きくなる。また、一対の押圧用ローラーは、弾性変形する硬質ゴム同士をコイルスプリングにより常時押し付ける構造であり、劣化が生じ易い部材が多く耐久性に問題がある虞がある。
【0006】
特許文献2に記載のものは、部品点数が多く構造が複雑であると共に、一対の火消しローラーの下に他の一対の火消しローラーを配置し、更に下に砕きローラーを配置する構造であるため、高さ方向の寸法が大きくなる。また、火消しローラーは、円筒形の金属により形成されているため、通過する吸殻との接触面積が少なく、吸殻の温度が低下し難いと共に酸素の遮断がし難いので、消火効率が低い虞がある。このため、吸殻を火消するためには一対の火消しローラーが二段必要となっていると思われる。
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、簡素な構造で部品点数が少なくコンパクトでありながら、耐久性及び消火性に優れた吸殻消火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る吸殻消火装置(1)は、吸殻の導入部(灰皿蓋11d)と、上記導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、
外周面の周方向に大径の第1凸条(33,33A,33B)を複数設けた第1消火ローラ(30,30A,30B)と、上記導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、
外周面の周方向に大径の第2凸条(43,43A,43B)を複数設けた第2消火ローラ(40,40A,40B)と、平行に配置した上記第1消火ローラと上記第2消火ローラを、互いに内向きに回転駆動する駆動機構(50)と、を備え、上記第1凸条は、上記第2凸条同士間に
接触を伴わずに所定の間隙を有して入り込むように配設され、上記第2凸条は、上記第1凸条同士間に
接触を伴わずに所定の間隙を有して入り込むように配設されており、上記導入部から受け入れられた吸殻は、上記第1消火ローラの外周面と上記第2消火ローラの外周面との間
の上記隙間において挟まれ押圧される
と共に、上記吸殻が接触している上記第1及び第2ローラの外周面の速度差により擦りつけられて吸熱消火される、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成することによって、平行に配置された二つのローラ(第1消火ローラ、第2消火ローラ)を用いて吸殻の消火処理を行うので、高さ方向の寸法を少なくすることができる。
【0010】
また、第1消火ローラと第2消火ローラは、弾性変形をする必要はなく金属により形成することができるので、吸熱消火の促進と、耐久性の向上を図ることができる。
【0011】
また、吸殻が、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に挟まれ押圧されることにより消火処理される際、第1凸条は第2凸条同士間に
接触を伴わずに所定の間隙を有して入り込むように配設され、第2凸条は第1凸条同士間に
接触を伴わずに所定の間隙を有して入り込むように配設されることにより、吸殻が第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に押圧される際の接触面積を大きくすることができる。このため、吸殻の温度を低下させ易くなると共に吸殻への酸素の供給を遮断し易くなるので、消火効率を向上することができる。
【0012】
また、第1凸条と第2凸条との間に
接触を伴わずに所定の間隙を設けたことにより、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に挟まれて押圧が開始される押圧始点に誘導された吸殻が、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に挟まれ易くなるので、消火効率を向上することができる。
【0013】
この場合、上記第1消火ローラと上記第2消火ローラの外周面に、軸方向と平行な横溝(34,44,44B)を形成してなる方が好ましい。
【0014】
このように構成することによって、第1消火ローラ又は第2消火ローラ上の吸殻を横溝に落とし込んで、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に挟まれて押圧が開始される押圧始点に誘導することができるので、第1消火ローラと第2消火ローラ上に吸殻が滞留する時間を短くすることができる。
この場合、上記第1消火ローラと上記第2消火ローラの周速度が異なる方が好ましい。
このように構成することによって、吸殻は、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に押圧される間中、周速度の遅いローラに擦りつけられ吸殻の温度を低下させ易くなるので、消火効率を向上することができる。
この場合、上記第1消火ローラと上記第2消火ローラにより消火処理された吸殻を収容する吸殻タンク(60)を備え、上記吸殻タンクの底部には、開閉可能な底蓋(65)を備える方が好ましい。
【0015】
また、本発明に係る吸殻消火装置(1)は、吸殻の導入部(灰皿蓋11d)と、上記導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、第1凸条(33,33A,33B)を複数設けた第1消火ローラ(30,30A,30B)と、上記導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、第2凸条(43,43A,43B)を複数設けた第2消火ローラ(40,40A,40B)と、平行に配置した上記第1消火ローラと上記第2消火ローラを、互いに内向きに回転駆動する駆動機構(50)と、を備え、上記第1凸条は、上記第2凸条同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設され、上記第2凸条は、上記第1凸条同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設されており、上記導入部から受け入れられた吸殻は、上記第1消火ローラの外周面と上記第2消火ローラの外周面に挟まれ押圧されることにより消火され、上記第1凸条と上記第2凸条の外周に、ローレット(平目ローレット90,91,90B,91B)を形成してなる
、ことを特徴とする。
【0016】
このように構成することによって、吸殻をローレットに引っかけて、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に挟まれて押圧が開始される押圧始点に誘導することができるので、第1消火ローラと第2消火ローラ上に吸殻が滞留する時間を短くすることができる。
【0019】
また、本発明に係る吸殻消火装置(1)は、吸殻の導入部(灰皿蓋11d)と、上記導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、第1凸条(33,33A,33B)を複数設けた第1消火ローラ(30,30A,30B)と、上記導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、第2凸条(43,43A,43B)を複数設けた第2消火ローラ(40,40A,40B)と、平行に配置した上記第1消火ローラと上記第2消火ローラを、互いに内向きに回転駆動する駆動機構(50)と、を備え、上記第1凸条は、上記第2凸条同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設され、上記第2凸条は、上記第1凸条同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設されており、上記導入部から受け入れられた吸殻は、上記第1消火ローラの外周面と上記第2消火ローラの外周面に挟まれ押圧されることにより消火され、上記第1消火ローラの下方に、第3凸部(38)が所定間隔で複数設けられた第1ダストスイーパー(37)を配置し、上記第1凸条は、上記第3凸部同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設され、上記第1ダストスイーパーは、上記第1消火ローラの外周面に張り付いた吸殻と接触することにより、上記第1消火ローラの外周面から吸殻を剥離し、上記第2消火ローラの下方に、第4凸部(48)が所定間隔で複数設けられた第2ダストスイーパー(47)を配置し、上記第2凸条は、上記第4凸部同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設され、上記第2ダストスイーパーは、上記第2消火ローラの外周面に張り付いた吸殻と接触することにより、上記第2消火ローラの外周面から吸殻を剥離する
、ことを特徴とする。
【0020】
このように構成することによって、第1消火ローラ、第2消火ローラの外周面に張り付いた吸殻を剥離することができる。このため、消火処理された吸殻が、第1消火ローラ、第2消火ローラの外周面に張り付いたまま回転し、新たに投入された他の吸殻と重なり合いながら、第1消火ローラの外周面と第2消火ローラの外周面に押圧されることを防止することができる。これにより、回転負荷の増大を防ぐことができるので、過負荷による停止を予防し、過負荷による耐久性の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の吸殻消火装置によれば、簡素な構造で部品点数が少なくコンパクトでありながら、耐久性及び消火性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る吸殻消火装置1について、図面を参照して説明する。ここでは、
図1に示すように、多数の人が集まる施設内例えば飲食店内に仕切られた空間を提供する喫煙ブース100内に設置される吸殻消火装置1について説明する。
【0025】
(吸殻消火装置1の説明)
図1〜5を参照して、吸殻消火装置1について説明する。
図1は、喫煙ブース内に設置された吸殻消火装置1を示す斜視図が示されている。
図2は、吸殻消火装置1の斜視図が示されている。
図3は、吸殻消火装置1の前面扉14a及び天板11が開放された状態の斜視図が示されている。
図4,5は、吸殻消火装置1の断面図が示されている。吸殻消火装置1は、喫煙者が廃棄した煙草の吸殻を消火して収容する装置であって、筐体10と、消火ユニット20と、吸殻タンク60と、回収袋70と、制御ユニット80と、を主に備えている。
【0026】
(筐体10の説明)
図2〜5を参照して、筐体10について説明する。
図2は、筐体10の斜視図が示されている。
図3は、筐体10を構成する前面扉14a及び天板11が開放された状態の筐体10の斜視図が示されている。
図4,5は、筐体10の断面図が示されている。筐体10は、内部に消火ユニット20と、吸殻タンク60と、回収袋70と、制御ユニット80を収容する。
【0027】
筐体10は、高さ方向に長い略平面矩形状の金属製中空箱体であって、天板11、左側面板12、右側面板13、前側面板14、後側面板15、底板16を備えている。前側面板14には、前方に開放可能な前面扉14aが形成されており、前面扉14aを開放することで後述する回収袋70を取り出したり、装置内部の清掃をすることができる。底板16の裏面には、吸殻消火装置1の移動を容易にするためにキャスター17が取り付けられている。
【0028】
天板11は、一対のヒンジ11bを介して後側面板15に取り付けられており、前側を持ち上げることにより開放することができる。天板11は、支え金具11cにより開放した状態を維持することができる。天板11を開放することにより、後述する制御ユニット80の入力部にアクセスしたり、装置内部の清掃をすることができる。天板11の中央付近には、矩形状の開口部11aが形成されている。開口部11aには、吸殻の投入口が複数設けられた灰皿蓋11dが取り付けられている。灰皿蓋11dは、本発明における吸殻の導入部として機能する。なお、
図2に示すように、吸殻消火装置1の天板11は手前側に向けて下がる傾斜面で構成してある。天板11の上面を傾斜面とすることにより、利用者が天板11の上に煙草の空き箱や、その他の物を置いたままにすることによりゴミが溜まるなどの不具合を防止することができる。
【0029】
灰皿蓋11dの直下には、上面及び下面が開放した四角筒状の誘導管路11eが天板11の裏面に固定されている。誘導管路11eの上面の開口は、天板11に形成された開口部11aの直下に配設されており、誘導管路11eの下面の開口は、後述する消火ユニット20の第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の直上に配設される。誘導管路11eは、灰皿蓋11dから投下された吸殻を消火ユニット20に誘導する。誘導管路11eの左右の一対の側面には、後述する通過センサ24の発光部24aが発する光線が通過可能な窓部11fが開口されている。
【0030】
(消火ユニット20の説明)
図3〜6,9,10を参照して、消火ユニット20について説明する。
図3は、筐体10内に配置された消火ユニット20の一部(誘導管路接続部23と第1消火ローラ30と第2消火ローラ40)の斜視図が示されている。
図4,5は、筐体10内に配置された消火ユニット20の断面図が示されている。
図6は、消火ユニット20の斜視図が示されている。
図7は、消火ユニット20の平面図が示されている。
図9は、消火ユニット20の断面図が示されている。
図10は、消火ユニット20の前側から見た側面図が示されている。消火ユニット20は、灰皿蓋11dから受け入れた吸殻の消火処理を行う部位である。消火ユニット20は、天板11の下部に仕切り板19を介して筐体10内に収納されており、第1消火ローラ30と、第2消火ローラ40と、駆動機構50と、第1ダストスイーパー37と、第2ダストスイーパー47と、を主に備えている。
【0031】
(第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の説明)
図3〜10を参照して、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40について説明する。
図3は、筐体10内に配置された第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の斜視図が示されている。
図4は、筐体10内に配置された第2消火ローラ40の断面図が示されている。
図5は、筐体10内に配置された第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の断面図が示されている。
図6は、消火ユニット20を構成する第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の斜視図が示されている。
図7は、消火ユニット20を構成する第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の平面図が示されている。
図8は、第1消火ローラ30の外周面に形成された第1凸条33と第2消火ローラ40の外周面に形成された第2凸条43の配設状態を説明するための平面図が示されている。
図9は、消火ユニット20を構成する第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の断面図が示されている。
図10は、第1消火ローラ30の前側から見た側面図が示されている。第1消火ローラ30と第2消火ローラ40は、吸殻を外周面で挟み押圧することにより消火処理をする。
【0032】
第1消火ローラ30は、例えばステンレス鋼の金属円筒32を回転軸31に軸装させて構成されている。金属円筒32の外周面には、削り出しにより断面略方形状の第1凸条33が周方向に形成されている(特に
図8参照)。第1凸条33は、軸方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。第2消火ローラ40は、例えばステンレス鋼の金属円筒42を回転軸41に軸装させて構成されている。金属円筒42の外周面には、削り出しにより断面略方形状の第2凸条43が周方向に形成されている(特に
図8参照)。第2凸条43は、軸方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。第2消火ローラ40と第1消火ローラ30の外周面は、同じ外径で構成されている。なお、第1,2消火ローラ30,40は、リング状の大径リングとリング状の小径リングを軸材に交互に軸装することで、周方向に第1凸条33,第2凸条43を設ける構成であってもよい。なお、本実施形態において、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の外周面は、同じ外径で構成されているが、異なる外径であってもよい。また、
図8に示す実施形態では、第1凸条33の幅よりも第2凸条43の幅を狭く形成した実施形態を示してあるが、第1凸条33の幅と第2凸条43の幅を等しくすることもできる。
【0033】
第1消火ローラ30の金属円筒32の外周面には、軸方向と平行な横溝34が形成されている(特に
図9参照)。横溝34は、第1凸条33の一部を切除して形成されている。横溝34は、180度離れた位置に2個形成されている。第2消火ローラ40の金属円筒42の外周面には、軸方向と平行な横溝44が形成されている(特に
図9参照)。横溝44は、第2凸条43の一部を切除して形成されている。横溝44は、180度離れた位置に2個形成されている。このように横溝34,44を形成することによって、第1消火ローラ30又は第2消火ローラ40上の吸殻を横溝34,44に落とし込んで、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれた押圧始点Sに誘導することができるので、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40上に吸殻が滞留する時間を短くすることができる。
【0034】
第1消火ローラ30と第2消火ローラ40は、
図6,7で示すように、一対の軸受け板21,22に回転可能に軸支されている。軸受け板21,22は、垂直に立設された金属板であって、それぞれに2つの軸受(図示せず)が形成されている。第1消火ローラ30と第2消火ローラ40が軸受け板21,22に軸支された状態では、第1消火ローラ30に設けられた複数の第1凸条33が、第2消火ローラ40に設けられた隣り合う第2凸条43間に所定の間隙を有して入り込むように配設されている(特に
図8参照)。また、第2消火ローラ40に設けられた複数の第2凸条43が、第1消火ローラ30に設けられた隣り合う第1凸条33間に所定の間隙を有して入り込むように配設されている(特に
図8参照)。第1消火ローラ30の外周(第1凸条33を含む)と、第2消火ローラ40の外周(第2凸条43を含む)との間の間隙は、0.1〜1mmの間隙に設定することが好ましく、特に0.2〜0.3mmの間隙とすることで消火能力がいっそう向上する。
【0035】
軸受け板21から突出する第1消火ローラ30の回転軸31右端部には、後述する駆動機構50の出力軸に取り付けたカップリング52が連結されている(特に
図7参照)。軸受け板22から突出する第1消火ローラ30の回転軸31左端部には、後述する第1ギア53が固定されている(特に
図7参照)。軸受け板22から突出する第2消火ローラ40の回転軸41左端部には、後述する第2ギア54が固定されている(特に
図7参照)。
【0036】
一対の軸受け板21,22の上部には、水平断面が前側に開口した略コ字状の誘導管路接続部23が設けられている。誘導管路接続部23には、上述した誘導管路11eの下端部が収容される。誘導管路接続部23の左右の一対の側面には発光部24aから受信部24bに向けて照射される光線の受信が遮られることにより、吸殻の通過を検知する通過センサ24が設けられている。発光部24aから照射された光は、上述した誘導管路11eの窓部11fを通過して受信部24bに照射される。通過センサ24は、吸殻の通過を検知すると後述する制御ユニット80に対して信号を送信する。
【0037】
(駆動機構50の説明)
図6,7,10を参照して、駆動機構50について説明する。
図6は、消火ユニット20を構成する駆動機構50の斜視図が示されている。
図7は、消火ユニット20を構成する駆動機構50の平面図が示されている。
図10は、消火ユニット20を構成する駆動機構50の前方から見た側面図が示されている。駆動機構50は、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40を、互いに内向きに回転駆動する装置であって、ギヤヘッド付のモータ51と、カップリング52と、第1ギア53と、第2ギア54と、を主に備えている。モータ51により発生した回動力は、カップリング52により第1消火ローラ30の回転軸31に伝達される。第1消火ローラ30の回転軸31の回転力は、第1ギア53を介して、第2消火ローラ40の回転軸41に固定された第2ギア54に伝達される。このため、モータ51が右側視で時計回りの回転力を発生すれば、第1消火ローラ30は時計回りに回転し、第2消火ローラは反時計回りに回転する。すなわち、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40を、互いに内向きに回転駆動する。なお、第2消火ローラ40の回転軸41の端部には、第2消火ローラ40の回転を検知するための回転センサ45を配置してある。
【0038】
第1ギア53と第2ギア54とのギア比は、例えば1:2に設定されている。したがって、第2消火ローラ40の周速度は、第1消火ローラ30の半分の周速度となる。このように第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の周速度が異なることにより、吸殻は、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧される間中、周速度の遅い第2消火ローラ40に擦りつけられ吸殻の温度を低下させ易くなるので、消火効率を向上することができる。上記のように構成される駆動機構50は、第1消火ローラ30を27.0mm/sの周速度で回転させ、第2消火ローラ40を13.5mm/sの周速度で回転させる。なお、本実施形態においては、第1消火ローラ30の周速度を27.0mm/s、第2消火ローラ40の周速度を13.5mm/sとしたが、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40は同じ周速度であってもよい。
【0039】
(第1ダストスイーパー37と第2ダストスイーパー47の説明)
図9,10,11を参照して、第1ダストスイーパー37と第2ダストスイーパー47について説明する。
図9は、消火ユニット20に配設された第1ダストスイーパー37と第2ダストスイーパー47を説明する断面図が示されている。
図10は、第1ダストスイーパー37を前方から見た側面図が示されている。
図11は、第1消火ローラ30の外周面に形成された第1凸条33と第1ダストスイーパー37に形成された第3凸部38の配設状態を説明するための側面図が示されている。第1ダストスイーパー37は、消火処理された吸殻を第1消火ローラ30から剥離することができる。第2ダストスイーパー47は、消火処理された吸殻を第2消火ローラ40から剥離することができる。第1ダストスイーパー37は、ステンレス鋼等の金属製の平板体である。平板体の一辺には、第3凸部38が所定間隔で複数設けられている。第2ダストスイーパー47は、ステンレス鋼等の金属製の平板体であって、一辺には第4凸部48が所定間隔で設けられている。
【0040】
第1ダストスイーパー37は、第1消火ローラ30の下方に第3凸部38が形成された辺を上にして軸受け板21,22に螺子留めされている。第1ダストスイーパー37の配置については、
図11で示すように、第1消火ローラに設けられた複数の第1凸条33が、第1ダストスイーパーに設けられた複数の第3凸部38の隣り合う第3凸部38同士間に、所定の間隙を有して入り込むように配設されている。
【0041】
第2ダストスイーパー47は、第2消火ローラ40の下方に第4凸部48が形成された辺を上にして軸受け板21,22に螺子留めされている。第2ダストスイーパー47の配置については、第2消火ローラ40に設けられた複数の第2凸条43が、第2ダストスイーパー47に設けられた複数の第4凸部48の隣り合う第4凸部48同士間に、所定の間隙を有して入り込むように配設される。
【0042】
第1ダストスイーパー37と第2ダストスイーパー47を配設することにより、第1消火ローラ30、第2消火ローラ40の外周面に張り付いた吸殻を剥離することができる。このため、消火処理された吸殻が、第1消火ローラ30、第2消火ローラ40の外周面に張り付いたまま回転し、新たに投入された他の吸殻と重なり合いながら、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧されることを防止することができる。これにより、回転負荷の増大を防ぐことができるので、過負荷による停止を予防し、過負荷による耐久性の低下を防止することができる。
【0043】
(吸殻タンク60の説明)
図3〜5,12を参照して、吸殻タンク60について説明する。
図3は、筐体10内に収納された吸殻タンク60の斜視図が示されている。
図4,5は、筐体10内に収納された吸殻タンク60の断面図が示されている。
図12(a)は、吸殻タンク60の斜視図が示されている。
図12(b)は、ハンドル67を降ろすことで底蓋65を持ち上げた状態の吸殻タンク60の斜視図が示されている。吸殻タンク60は、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40により消火処理された吸殻を収容する容器である。
【0044】
吸殻タンク60は、収容箱61と、複数の案内板62と、底蓋65と、軸部66と、ハンドル67と、を主に備える。収容箱61は、上面及び下面が開放した四角筒状体である。案内板62は、収容箱61内に固定され収容箱61内に落下した吸殻を案内する金属板であって、複数設けられている。底蓋65は、収容箱61の下面の開口を塞ぐ底板63と底板63の左右の辺から垂直に立設される一対の軸受板64を備える。軸部66は、収容箱61の左右の側面に配置されて、底蓋65の軸受板64を回動可能に軸支する。ハンドル67は、収容箱61の前方において左右一対の軸受板64に掛け渡して固定される棒状体である。
【0045】
吸殻タンク60は、筐体10内の消火ユニット20の下方において、収容箱61の上面の開口を消火ユニット20に向けて配設されている。消火ユニット20により消火処理された吸殻は、吸殻タンク60の収容箱61内に落下するとともに案内板62により案内されて底蓋65に落下し貯留される。吸殻タンク60における吸殻の貯留量が所定量に達した際は、作業員が、
図12(a)の矢印の方向にハンドル67を降ろす。すると、ハンドル67と一体に形成されている底蓋65が軸部66を中心にして後方斜め上に回動するので、収容箱61の下面の開口が開放されて、吸殻タンク60内に貯留されていた吸殻が後述する回収袋70内に落下する。なお、収容箱61の下面の開口を底板63で塞いだ状態では、収容箱61の開口部は消火ユニット20の部位だけとなるので、収容箱61に対する新気の流入は阻止された状態となる。
【0046】
(回収袋70の説明)
図3〜5を参照して、回収袋70について説明する。
図3は、筐体10内に収容された回収袋70の斜視図が示されている。
図4,5は、筐体10内に収容された回収袋70の断面図が示されている。回収袋70は、吸殻タンク60の下面の開口から落下した吸殻を収容する袋体である。回収袋70は、吸殻タンク60の底蓋65を内包した状態で、手提げ部(図示せず)を筐体10内側面に固定されたフック(図示せず)に掛け止めて配設されている。
【0047】
(制御ユニット80の説明)
制御ユニット80は、
図3で示すように、筐体10内の消火ユニット20の左側に配設されている。制御ユニット80は、例えば、CPU等のマイクロプロセッサとその周辺回路を有する演算処理部を備えたコンピュータにより構成され、駆動機構50を作動させるための実行用プログラム等を格納するプログラム格納部(図示せず)と、データ等を記憶するための記憶部(図示せず)と、例えば電源スイッチ等の入力部(図示せず)と、エラーコード等を表示する表示部(図示せず)を主に備えている。上記のように構成される制御ユニット80は、上述した通過センサ24からの信号を受けて、駆動機構50を所定時間例えば30秒駆動させる。また、制御ユニット80は、煙濃度を検出する煙センサ(図示せず)、一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素センサ(図示せず)からの信号を受けて、警報の発報を行う構成にしてもよい。
【0048】
(吸殻消火装置1の消火処理の説明)
図9,13を参照して、吸殻消火装置1の処理について説明する。
図9は、消火ユニット20を構成する第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の断面図が示されている。
図13(a)は、吸殻が第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれ押圧される前の説明図である。
図13(b)は、吸殻が第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれ押圧されている最中の説明図である。
【0049】
喫煙ブース100内において、喫煙者が煙草を吸い終え、吸殻消火装置1の灰皿蓋11dに吸殻を投入すると、吸殻は、誘導管路11e内を落下し、誘導管路11eの直下に配設された消火ユニット20の第1消火ローラ30又は第2消火ローラ40上に落下する(
図13(a)においては、第1消火ローラ30上に落下している。)。吸殻が誘導管路11e内を落下する際、通過センサ24が吸殻の通過を検知し、制御ユニット80に対し信号を送信する。
【0050】
制御ユニット80は、通過センサ24からの信号を受けて、駆動機構50のモータ51を作動させる。駆動機構50のモータ51が作動すると、第1消火ローラ30が27.0mm/sの周速度、第2消火ローラ40が、13.5mm/sの周速度で互いに内向きに回転駆動する。
【0051】
次いで、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40が回転駆動すると、
図13(a)で示すように、第1消火ローラ30上に載っていた吸殻が、第1消火ローラ30の回転により、押圧始点S(
図9参照)に誘導される。この際、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40の外周面に、軸方向と平行な横溝34,44を形成してあるので、吸殻を横溝34,44に落とし込んで、押圧始点Sに誘導し易くすることができる。
【0052】
次いで、押圧始点Sに誘導された吸殻は、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれる。この際、第1凸条33と第2凸条43同士間、及び、第2凸条43と第1凸条33同士間の間隙により、押圧始点Sに誘導された吸殻が、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれ易くすることができるので、消火効率を向上することができる。
【0053】
次いで、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれた吸殻は、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40が回転し、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面の間の間隙が徐々に狭まることにより、押圧されながら下方に移動する(
図13(b)参照)。
【0054】
吸殻が、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧されると、吸殻の熱が第1消火ローラ30と第2消火ローラ40に奪われて温度が低下すると共に、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面により、吸殻への酸素の供給が遮断されるため、消火処理される。この際、第1凸条33は第2凸条43同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設され、第2凸条43は第1凸条33同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設されることにより、吸殻が第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧される際の接触面積を大きくすることができる。このため、吸殻の温度を低下させ易くなると共に吸殻への酸素の供給を遮断し易くなるので、消火効率を向上することができる。
【0055】
また、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧される際、上述したように、駆動機構50は、第1消火ローラ30を27.0mm/sの周速度で回転させ、第2消火ローラ40を13.5mm/sの周速度で回転させているので、吸殻は、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧される間中、周速度の遅い第2消火ローラ40に擦りつけられ吸殻の温度を低下させ易くなるので、消火効率を向上することができる。
【0056】
次いで、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧されている吸殻は、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40が回転により消火されて、押圧終点F(
図9参照)まで移動される。吸殻は、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に押圧から開放されると重力により吸殻タンク60内に落下する。
【0057】
このように、平行に配置された二つのローラ(第1消火ローラ30、第2消火ローラ40)を用いて吸殻の消火処理を行うので、高さ方向の寸法を少なくすることができる。また、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40は、弾性変形をする必要はなく金属により形成することができるので、吸熱消火の促進と、耐久性の向上を図ることができる。
【0058】
この際、吸殻は、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面において押圧から開放されたにもかかわらず、第1消火ローラ30の外周面、又は、第2消火ローラ40の外周面に張り付いたままの状態になることがある。吸殻が第1消火ローラ30の外周面、又は、第2消火ローラ40の外周面に張り付いた状態であっても、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40が回転し、吸殻が、第1ダストスイーパー37の第3凸部38、又は、第2ダストスイーパー47の第4凸部48と接触することにより、第1消火ローラ30の外周面、又は、第2消火ローラ40の外周面から剥離し、吸殻タンク60内に落下する。
【0059】
以上で、吸殻消火装置1の吸殻の消火処理は終了である。
【0060】
このように、本発明の吸殻消火装置1によれば、簡素な構造で部品点数が少なくコンパクトでありながら、耐久性及び消火性を向上することができる。
【0061】
(その他の実施形態の説明)
図14(a)を参照して、その他の実施形態(1)について説明する。
図14(a)に示す実施形態は、第1消火ローラ30Aの第1凸条33Aと、第2消火ローラ40Aの第2凸条43Aの外周面にローレットを形成した実施形態を説明するための平面図である。
【0062】
第1消火ローラ30Aは、金属円筒32を回転軸31に軸装させて構成されている。金属円筒32の外周面には、削り出しにより断面略方形状の第1凸条33Aが周方向に形成されている。第1凸条33Aは、軸方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。第2消火ローラ40Aは、金属円筒42を回転軸41に軸装させて構成されている。金属円筒42の外周面には、断面略方形状の第2凸条43Aが削り出しにより周方向に形成されている。第2凸条43Bは、軸方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。
【0063】
第1消火ローラ30Aの第1凸条33Aの外周面には、例えばローレット山が等ピッチで連続する平目ローレット90が形成されている。第2消火ローラ40Aの第2凸条43Aの外周面には、例えばローレット山が等ピッチで連続する平目ローレット91が形成されている。このように平目ローレット90,91を形成することによって、吸殻をローレットに引っかけて、押圧始点Sに誘導することができるので、第1消火ローラ30Aと第2消火ローラ40A上に吸殻が滞留する時間を短くすることができる。なお、平目ローレット90,91に代えて、斜めローレットや、アヤ目ローレットを用いることもできる。
【0064】
その他の実施形態(1)において、その他の構成は上述した実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0065】
次に
図14(b)を参照して、その他の実施形態(2)について説明する。
図14(b)に示す実施形態は、第1消火ローラ30Bの第1凸条33Bと、第2消火ローラ40Bの第2凸条43Bとを断面略三角形状で形成した実施形態を説明するための平面図である。
【0066】
第1消火ローラ30Bは、金属円筒32を回転軸31に軸装させて構成されている。金属円筒32の外周面には、削り出しにより断面略三角形状の第1凸条33Bが周方向に形成されている。第1凸条33Bは、軸方向に間隔を空けずに連続して複数設けられている。第2消火ローラ40Bは、金属円筒42を回転軸41に軸装させて構成されている。金属円筒42の外周面には、削り出しにより断面略三角形状の第2凸条43Bが周方向に形成されている。第2凸条43Bは、軸方向に間隔を空けずに連続して複数設けられている。
【0067】
第1消火ローラ30Bの第1凸条33Bの外周には、例えばローレット山が等ピッチで連続する平目ローレット90B(ローレットの一形態)を形成することができる。第2消火ローラ40Bの第2凸条43Bの外周には、例えばローレット山が等ピッチで連続する平目ローレット91B(ローレットの一形態)を形成することができる。このように平目ローレット90B,91Bを形成することによって、吸殻を平目ローレット90B,91Bに引っかけて、押圧始点Sに誘導することができるので、第1消火ローラ30Bと第2消火ローラ40B上に吸殻が滞留する時間を短くすることができる。なお、平目ローレット90B,91Bに代えて、斜めローレットや、アヤ目ローレットを用いることもできる。
【0068】
第1消火ローラ30Bの金属円筒32の外周面には、軸方向と平行な横溝を形成してもよい。横溝は、後述する横溝44Bと同様に第1凸条33Bの一部を切除して形成する。横溝は、180度離れた位置に2個形成することができる。第2消火ローラ40Bの金属円筒42の外周面には、軸方向と平行な横溝44Bを形成してもよい。横溝44Bは、第2凸条43Bの一部を切除して形成されている。横溝44Bは、180度離れた位置に2個形成することができる。このように横溝44Bを形成することによって、第1消火ローラ30B又は第2消火ローラ40B上の吸殻を横溝44Bに落とし込んで、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれた押圧始点Sに誘導することができるので、第1消火ローラ30と第2消火ローラ40上に吸殻が滞留する時間を短くすることができる。
【0069】
図14(b)で示すように、第1消火ローラ30Bと第2消火ローラ40Bが軸受け板21,22に軸支された状態では、第1消火ローラ30Bに設けられた複数の第1凸条33Bが、第2消火ローラ40Bに設けられた隣り合う第2凸条43B間に所定の間隙を有して入り込むように配設されている。また、第2消火ローラ40Bに設けられた複数の第2凸条43Bが、第1消火ローラ30Bに設けられた隣り合う第1凸条33B間に所定の間隙を有して入り込むように配設されている。
【0070】
その他の実施形態(2)において、その他の構成は上述した実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
本発明は上記の実施形態及び実施例の例示に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【解決手段】吸殻の導入部と、導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、外周面に周方向の第1凸条33を複数設けた第1消火ローラ30と、導入部の下方において、軸回りに回転可能に支持され、外周面に周方向の第2凸条43を複数設けた第2消火ローラ40と、平行に配置した第1消火ローラ30と第2消火ローラ40を、互いに内向きに回転駆動する駆動機構50と、を備え、第1凸条33は、第2凸条43同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設され、第2凸条43は、第1凸条33同士間に所定の間隙を有して入り込むように配設されており、導入部から受け入れられた吸殻は、第1消火ローラ30の外周面と第2消火ローラ40の外周面に挟まれ押圧されることにより消火される。