特許第6587785号(P6587785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587785
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】ロボットの歩行制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20191001BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B25J11/00 Z
   B25J5/00 E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-200358(P2013-200358)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-128870(P2014-128870A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年9月9日
【審判番号】不服2018-11553(P2018-11553/J1)
【審判請求日】2018年8月27日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0154476
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】イ、ソク、ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウ、ソン
【合議体】
【審判長】 刈間 宏信
【審判官】 小川 悟史
【審判官】 栗田 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−78611(JP,A)
【文献】 特開2009−254740(JP,A)
【文献】 特開2012−81018(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/084387パンフレット(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02, A61H 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の持ち上げに応じて足裏に力を適用する着用式ロボットの歩行制御方法であって、
ロボットの足裏に設けられた地面接触センサーを用いてロボットが歩行状態かどうかを判断し、歩行方向を判断する判断段階と、
前記地面接触センサーを用いてロボットの足裏の転がり時間を測定する測定段階と、
前記測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏に適用する仮想反力を導出する導出段階と、
導出された仮想反力をヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する換算段階とを含む、ロボットの歩行制御方法。
【請求項2】
前記換算段階は、ロボットの足裏が地面から離れるかどうかをチェックするチェック段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項3】
前記チェック段階は、ロボットの足裏が地面から離れた途端、該当足裏が属する下肢関節に駆動トルクを印加する印加段階をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項4】
前記判断段階と前記測定段階は、ロボットの足裏の地面接触センサーを用いて歩行かどうかおよび歩行方向を判断し、転がり時間を測定することを特徴とする、請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項5】
前記導出段階は、予め設けられた大きさの値を三角関数に掛けて仮想反力を導出することを特徴とする、請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項6】
前記導出段階は、ロボットの歩行方向に応じて仮想反力のX軸成分の符号を変更することを特徴とする、請求項1に記載のロボットの歩行制御方法。
【請求項7】
着用者の足の持ち上げに応じて足裏に力を適用する着用式ロボットの歩行制御システムであって、
ロボットの足裏に設けられた地面接触センサーと、
前記地面接触センサーを用いてロボットの歩行状態、歩行方向および足裏の転がり時間を測定し、測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏に作用する仮想反力を導出し、導出された仮想反力をヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する制御部とを含む、ロボットの歩行制御システム。
【請求項8】
前記地面接触センサーは、ロボットの足裏に隔設された複数のテープセンサーであることを特徴とする、請求項7に記載のロボットの歩行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用式ロボットの着用者歩行速度の判別および歩行意図に基づくロボットの歩行制御方法およびシステムに関する。また、本発明は、着用式歩行ロボットの負荷低減のための歩行制御アルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者がロボットを着用して歩行するとき、着用者の歩行意図をまともに反映しなければ、着用者はロボットによる負荷を感じることになり、これは歩行に不安定な要素として反映される。
【0003】
これにより、着用者の歩行しようとする速度を判別し、その意図に該当する仮想反力をスイングする足に提供することにより、ロボットによる負荷を低減させようとする制御アルゴリズムである。
【0004】
既存の着用式ロボットにおいて、着用者の歩行意図を判別するために力/トルクセンサーを使用した事例が多い。力/トルクセンサーによる歩行意図判別は、歩行中に発生するセンサーのチャタリング現象とノイズによる解決対策が必要であり、センサー自体も高価であるうえ、増幅回路および信号処理ボードがさらに必要とされる。
【0005】
よって、本発明では、センサーを最小化して低価の足裏のオン/オフ(On/Off)スイッチのみを用いて歩行意図を把握して制御するようにする。
【0006】
従来の特許文献1の「着用型ロボットの足センサー装置およびこれを用いた着用者の歩行意図把握方法」は、「着用型ロボットの足部材の上面のうち、着用者の足の足指が位置する領域に設置される第1センサー、前記足部材の上面のうち、前記着用者の足の腹が位置する領域に設置される第2センサー、前記足部材の上面のうち、前記着用者の足の踵が位置する領域に設置される第3センサー、および前記第1〜第3センサーの信号に基づいて前記着用者の歩行意図を判断するコントローラを含み、前記第1〜第3センサーは、荷重が加えられる場合にはオン(On)となり、荷重が加えられない場合にはオフ(Off)となるように構成され、前記コントローラは、前記第1〜第3センサーがいずれもオフとなった場合には着用者の足が地面から離れて空中に位置する状態であると判断し、前記第1センサーがオンとなり且つ前記第2センサーおよび前記第3センサーはオフとなった場合には足裏屈(足裏が湾曲した、plantar−flexion)状態であると判断し、前記第1センサーおよび前記第2センサーはオフとなり且つ前記第3センサーはオンとなった場合には踵着地(踵が着地した、heel strike)状態であると判断し、前記第1〜第3センサーがいずれもオンになった場合には前記着用者が足裏全体を前記足部材に付着させた状態で立っている状態であると判断する、着用型ロボットの足センサー装置」を開示している。
【0007】
ところが、このような制御によっても、着用者の歩行による意図を正確に反映して能動的に可変させて制御することはできず、センサーの個数を最小化して製造コストを低める方案も提示されていないという問題があった。
【0008】
前述の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来の技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許第10−1179159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、着用式歩行ロボットの着用者歩行速度の判別および歩行意図に基づくロボットの歩行制御方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、ロボットが歩行状態かどうかを判断し、歩行方向を判断する判断段階と、ロボットの足裏の転がり時間を測定する測定段階と、前記測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏に適用する仮想反力を導出する導出段階と、導出された仮想反力をヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する換算段階とを含んでなる、ロボットの歩行制御方法を提供する。
【0012】
前記換算段階は、ロボットの足裏が地面から離れるかどうかをチェックするチェック段階をさらに含むことができる。
【0013】
前記チェック段階は、ロボットの足裏が地面から離れた途端、該当足裏が属する下肢関節に駆動トルクを印加する印加段階をさらに含むことができる。
【0014】
前記判断段階と前記測定段階は、ロボットの足裏の地面接触センサーを用いて歩行かどうかおよび歩行方向を判断し、転がり時間を測定することができる。
【0015】
前記導出段階は、予め設けられた大きさの値を三角関数に掛けて仮想反力を導出することができる。
【0016】
前記導出段階は、ロボットの歩行方向に応じて仮想反力のX軸成分の符号を変更することができる。
【0017】
一方、本発明のロボットの歩行制御システムは、ロボットの足裏に設けられた地面接触センサーと、前記地面接触センサーを用いてロボットの歩行方向および足裏の転がり時間を測定し、測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏に作用する仮想反力を導出し、導出された仮想反力をヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する制御部とを含む。
【0018】
前記地面接触センサーは、ロボットの足裏に隔設された複数のテープセンサーであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
上述したような構造を持つロボットの歩行制御方法およびシステムによれば、足モジュールのON/OFFスイッチを用いた仮想反力に基づく負荷低減制御アルゴリズムを提供して高価なF/Tセンサーを排除し、低価なセンサーを使用することにより、コストを節減して歩行意図を正確に抽出して制御することができる。
【0020】
また、ON/OFFスイッチのデジタルフローを用いた歩行速度抽出方式は、既存のF/Tセンサーのチャタリングおよびノイズなどにより発生する不安定な意図抽出方式を除去することができるため、着用者に安定した着用感を提供する。
【0021】
仮想力をベースとするため、実際にセンサーで測定して使用するときに必要な付加的回路/ボードおよび信号処理アルゴリズムを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の地面接触センサーを示す図である。
図2】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御システムの構成図である。
図3】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の順序図である。
図4】本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の三角関数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例に係るロボットの歩行制御方法およびシステムを説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の地面接触センサーを示す図、図2は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御システムの構成図、図3は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の順序図、図4は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の三角関数を示すグラフである。
【0025】
図3を参照すると、本発明のロボットの歩行制御方法は、ロボットが歩行状態かどうかを判断し、歩行方向を判断する判断段階(S100)と、ロボットの足裏の転がり時間を測定する測定段階(S200)と、前記測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏に作用する仮想反力を導出する導出段階(S300)と、導出された仮想反力をヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する換算段階(S400)とを含んでなる。
【0026】
本発明のロボットは代表的な例として着用式ロボットを挙げることができる。着用式ロボットは、人が着用した状態で歩行を行う場合、異質感が感じられないように意図をよく反映して動かなければならない。
【0027】
これは特に歩行の際にスイングのために足を地面から離す場合、適切な反力を提供することにより、人が容易に足を持ち上げることができるようにしなければならず、歩きが速いほど速く対応してロボットが力を入れなければならない。すなわち、人がロボットを着用した状態でロボットが適切に自ら足を持ち上げない場合、却って人の力でロボットの足を持ち上げなければならない状況が発生して操作に異質感が激しく感じられるのである。
【0028】
従来の場合、このような着用者の歩行意図を把握するために、力−トルクセンサーを使用したので、このようなセンサーの場合、反応を正確にチェックすることが難しく且つ高価であるという問題があった。
【0029】
したがって、本発明では、着用者の歩行速度を基準として歩行の際に適切にスイングする脚に反力を提供する。このために、まず、ロボットが歩行状態かどうかを判断し、歩行方向を判断する判断段階(S100)を行う。
【0030】
図1は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の地面接触センサーを示す図である。図1を参照すると、前記判断段階(S100)と測定段階(S200)は、ロボットの足裏の地面接触センサーを用いて歩行かどうかおよび歩行方向を判断し、転がり時間を測定するようにする。
【0031】
すなわち、ロボットの足裏100には地面接触センサー110が設けられるが、その地面接触センサー110はロボットの足裏100に隔設された複数のテープセンサーから構成される。
【0032】
よって、オン/オフ式のスイッチを備えたテープセンサーは、例えば1番〜6番からなり、番から番まで順次オン状態が感知される場合には前進を行っていることを示し、番から番まで順次認識される場合には後進を行っていることを示す。そして、複数のセンサーが同時に引き続き感知されている場合には、歩行ではなく支持を行っている状況と判断することができる。
【0033】
したがって、このようなテープセンサーからなる地面接触センサー110によって、ロボットが現在歩行状況であるかどうかを判断し、その歩行の方向も判断し、歩行中においてどの脚が支持している脚であり、どの脚がスイングする脚であるかも分かることになる。
【0034】
そして、そのテープセンサーの感知速度から、足裏が地面を転がる速度(足裏が地面上で湾曲する速度、足裏が地面に接触しながら湾曲する速度)を知ることができる。これは直ちに歩行速度を知り得る正確な尺度として参照することができる。これは、足裏が地面を転がる(足裏が地面上で湾曲する、足裏が地面に接触しながら湾曲する)間である1番〜6番のセンサーが順次認識される時間dtが、足裏を転がる時間(足裏が湾曲する時間、足裏が地面に接触しながら湾曲する時間)として測定され、その時間が三角関数の周期として入力されるためである。
【0035】
このため、ロボットは、足裏に設けられた地面接触センサー110を用いてロボットが歩行状態かどうかを判断し、歩行方向を判断する判断段階(S100)を行い、ロボットの足裏の地面接触センサーを用いて歩行かどうかおよび歩行方向を判断し、転がり速度を測定する。
【0036】
その後、ロボットの足裏の転がり時間を測定する測定段階(S200)を行い、前記測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏に作用する仮想反力を導出する導出段階(S300)を行う。
【0037】
これは次の数式で表示できる。
【数1】
【0038】
すなわち、ロボットの歩行中にスイングが始まる脚、すなわち地面から足を離した瞬間、その脚には前述したような仮想の反力が足裏を支えて上方に押し上げる方向に作用するように制御するのである。
【0039】
このような反力が与えられる場合、着用者は、歩行のためにロボットの脚を持ち上げる力を殆ど消耗しないため、まるで平素一般に歩くのと同様に感じられる。
前記仮想反力F_impulseは、比例定数kに三角関数の大きさを示すF_magが掛けられ、これに三角関数の原形であるf(t)が共に反映されて最終的に生成される。
【0040】
その三角関数f(t)の場合、次のように様々な形で表現できる。
【数2】
【0041】
上述したように表現される三角関数の中でも、最も適切な形態を選択してロボットの制御器に予め入力することができる。この際、その三角関数の周期は直ちにロボットの足裏の転がり時間を周期として入力させる場合、歩行速度に合わせて適切な反力が生成されるようにする。
【0042】
すなわち、歩行速度が速い場合には足裏が転がる時間が短いので、これを周期とする三角関数の場合、最大値から0に収束する周期が短くなる。そして、歩行速度が遅い場合にはその分だけ足裏が転がる時間が長くなるので、これを周期とする三角関数の場合、最大値からゆっくり0に収束する。
【0043】
したがって、歩行が速い場合には反力を提供した後に速く除去し、歩行が遅い場合には反力を提供した後にゆっくり消滅させることにより、着用者の意図に合わせて反力を与える。もし歩行が速いにも拘らず反力がゆっくり低下する場合には、却ってスイング後に足を踏み出そうとする途端に反力が逆に着用者に感じられて異質感を引き起こすためである。
【0044】
図4は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御方法の三角関数を示すグラフである。図4に示すように、足裏が地面を転がる時間を三角関数の周期として代入して構成する場合、周期の長い場合が周期の短い場合より反力の大きさがゆっくり低下するようにすることにより、遅い歩行速度に合わせて反力を一層さらに持続するようにする。
【0045】
そして、三角関数を使って、足を持ち上げる初期には強く反力を与え、自然に反力が減少するようにすることにより、着用者がぎごちなく足をさらに地面に踏み出すことができるようにする。
【0046】
このような具体的な三角関数の数式の実施例は次のとおりである。
【数3】
【0047】
上記数式3から分かるように、三角関数f(t)はコサイン関数で表現でき、wは足裏が地面を転がる間の時間を周期としてこれを周波数に変換した後に代入することができる。これはz方向、すなわち地面に対して垂直の方向である場合であり、x方向、すなわち地面に対して水平方向の反力成分F_impulse,xの場合は、z成分の力に符号を直進のときには(+)とし、後進のときには(−)として代入することができる。
【0048】
したがって、このようなx成分とz成分の合算から仮想反力のベクトル成分が導出できる。
【0049】
その後、導出された仮想反力をヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する換算段階(S400)を行う。
【0050】
すなわち、足裏に必要な仮想の反力が求められた場合、これをロボットの各関節のモーターで駆動する駆動トルクに換算してそれぞれのモーターに駆動指令を下す。
【0051】
これは次の数式で求められる。
【数4】
【0052】
上述したように、ベクトル成分である各F_impulseは行列で表現され、これをヤコビ転置行列を用いて各関節に必要なトルクに換算可能である。この場合、y成分であるF_impulse,yの場合は特に横に歩行しない限りは0にすることができる。
【0053】
そして、具体的には、前記換算段階(S400)は、ロボットの足裏が地面から離れるかどうかをチェックするチェック段階(S500)をさらに含み、前記チェック段階(S500)は、ロボットの足裏が地面から離れた途端、該当足裏が属する下肢関節に駆動トルクを印加する印加段階(S600)をさらに含む。
【0054】
すなわち、足裏が地面を転がった直後である、足を地面から離した場合を地面接触センサーによってチェックし、この瞬間に該当足裏に仮想の反力を与えることにより、着用者が容易に歩行を行えるようにする。
【0055】
前記導出段階(S300)は、予め設けられた大きさの値(F_mag)を三角関数に掛けて仮想反力を導出することができる。また、前記導出段階(S300)はロボットの歩行方向に応じて仮想反力のX軸成分の符号を変更することができるのは、前述したとおりである。
【0056】
一方、図2は本発明の一実施例に係るロボットの歩行制御システムの構成図である。図2を参照すると、本発明のロボットの歩行制御システムは、ロボットの足裏100に設けられた地面接触センサー110と、前記地面接触センサー110を用いてロボットの歩行状態、歩行方向および足裏の転がり時間を測定し、測定された転がり時間を周期とする三角関数を使って、足裏100に作用する仮想反力Fを導出し、導出された仮想反力Fをヤコビ転置行列に代入してロボット下肢関節の駆動トルクに換算する制御部300とを含んでなる。
【0057】
これにより、ロボットの足裏100には仮想の反力が与えられ、これは結局各関節10、20、30のモーターに駆動トルクとして指令が入力されて仮想反力を実現することができるようにする。
【0058】
上述したような構造を持つロボットの歩行制御方法およびシステムによれば、足モジュールのON/OFFスイッチを用いた仮想反力に基づく負荷低減制御アルゴリズムを提供して高価なF/Tセンサーを排除し、低価なセンサーを使用することにより、コストを節減して歩行意図を正確に抽出して制御することができる。
【0059】
また、ON/OFFスイッチのデジタルフローによる歩行速度抽出方式は、既存のF/Tセンサーのチャタリングおよびノイズなどにより発生する不安定な意図抽出方式を除去することができるため、着用者に安定な着用感を提供する。
【0060】
また、仮想力をベースとするため、実際にセンサーで測定して使用するときに必要な付加的回路/ボードおよび信号処理アルゴリズムを減らすことができる。
【0061】
以上、本発明の特定の実施例について図示及び説明したが、特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想を外れない限度内において、本発明に多様な改良及び変化を加え得るのは、当業界における通常の知識を有する者に自明であろう。
【符号の説明】
【0062】
100 足裏
110 地面接触センサー
300 制御部
図1
図2
図3
図4