特許第6587847号(P6587847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6587847-開閉制御装置、及び制御装置 図000002
  • 特許6587847-開閉制御装置、及び制御装置 図000003
  • 特許6587847-開閉制御装置、及び制御装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587847
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】開閉制御装置、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/75 20150101AFI20191001BHJP
   E05F 15/46 20150101ALI20191001BHJP
   E05F 15/689 20150101ALI20191001BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   E05F15/75
   E05F15/46
   E05F15/689
   B60J1/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-136090(P2015-136090)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-20173(P2017-20173A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】設楽 修司
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−317329(JP,A)
【文献】 特公平06−027465(JP,B2)
【文献】 特開平06−058049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体の動作を制御する開閉制御装置において、
前記開閉体の動作時に挟み込み検出を行う挟み込み検出用センサと、
前記開閉体の動作停止時に前記挟み込み検出用センサに対する操作入力を検出したとき、前記挟み込み検出用センサを開動作指示用の入力スイッチとして用いる開操作スイッチモードの制御と、前記挟み込み検出用センサを閉動作指示用の入力スイッチとして用いる閉操作スイッチモードの制御との双方を行う制御手段とを備える
ことを特徴とする開閉制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記開閉体の動作停止時に、前記挟み込み検出用センサがタッチ操作されると、当該タッチ操作に対するレスポンスとして、音による報知動作を伴いつつ、前記開操作スイッチモードの制御及び前記閉操作スイッチモードの制御を行い、
前記開閉体の開動作が当該開閉体の上昇動作及び下降動作の一方によって規定されるとともに、前記開閉体の閉動作が当該開閉体の上昇動作及び下降動作の他方によって規定され、
前記制御手段は、高低差のある2つの音のうち高音による前記報知動作を伴いつつ、前記挟み込み検出用センサを上昇動作指示用の入力スイッチとして用いる上昇操作スイッチモードの制御を行うとともに、低音による前記報知動作を伴いつつ、前記挟み込み検出用センサを下降動作指示用の入力スイッチとして用いる下降操作スイッチモードの制御を行う
請求項1に記載の開閉制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記音による報知動作を行っている間に、前記挟み込み検出用センサが再びタッチ操作されると、当該タッチ操作を受け付ける
請求項2に記載の開閉制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記タッチ操作を受け付けたとき、当該タッチ操作に対する受付レスポンスとして、音による報知動作を断続的に行い、
前記制御手段は、前記受付レスポンスの実行期間が満了する以前に、前記挟み込み検出用センサに対するタッチ操作が解除されたことを条件に、当該タッチ操作を契機とする前記開閉体の動作を行う
請求項3に記載の開閉制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記タッチ操作を受け付けた後、当該タッチ操作が解除されたことを条件に、当該タッチ操作を契機とする前記開閉体の動作を行う
請求項3又は4に記載の開閉制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記挟み込み検出用センサを開動作指示用の入力スイッチとして用いる開操作スイッチモードの制御と、前記挟み込み検出用センサを閉動作指示用の入力スイッチとして用いる閉操作スイッチモードの制御との双方を優先順位の高い方から順に行うとともに、当該優先順位の高い方の制御を行っている過程で、前記挟み込み検出用センサが再びタッチ操作されると、当該タッチ操作を前記優先順位の高い方の制御に関わるタッチ操作として受け付ける一方、優先順位の低い方の制御に関わるタッチ操作を受け付けない
請求項1〜5のいずれか一項に記載の開閉制御装置。
【請求項7】
開閉体の動作が停止した場合、挟み込み検出用センサに対する操作入力を検出したとき、前記挟み込み検出用センサを開動作指示用の入力スイッチとして用いる開操作スイッチモードの制御と、前記挟み込み検出用センサを閉動作指示用の入力スイッチとして用いる閉操作スイッチモードの制御との双方を行う、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の動作を制御する開閉制御装置、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉体の一例であるドアウインドに静電センサを設け、この静電センサを用いて挟み込み検出を行う技術が開示されている。ドアウインドの閉動作時に静電センサによって挟み込みが検出されると、ドアウインドの動作が反転される。これにより、挟み込み対象物がドアウインドから解放されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−314949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、パワーウインドの挟み込み検出に使用するセンサ(一例として静電センサ)は挟み込み検出用に特化している。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、挟み込み検出用のセンサを他の用途に用いることを可能にした開閉制御装置、及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する開閉制御装置は、開閉体の動作を制御する開閉制御装置において、前記開閉体の動作時に挟み込み検出を行う挟み込み検出用センサと、前記開閉体の動作停止時に前記挟み込み検出用センサに対する操作入力を検出したとき、当該挟み込み検出用センサを入力スイッチとして用いるスイッチモードの制御を行う制御手段とを備えることをその要旨としている。
【0006】
この構成によれば、開閉体の動作停止時に挟み込み検出用センサを入力スイッチとして用いることで、当該センサを他の用途に用いることができる。
上記開閉制御装置について、前記制御手段は、前記スイッチモードの制御として、前記挟み込み検出用センサを開動作指示用の入力スイッチとして用いる開操作スイッチモードの制御と、前記挟み込み検出用センサを閉動作指示用の入力スイッチとして用いる閉操作スイッチモードの制御との双方を行うこととしてもよい。
【0007】
この構成によれば、挟み込み検出用センサを開動作指示用の入力スイッチとして用いるとともに、閉動作指示用の入力スイッチとして用いることで、当該センサを他の複数の用途に用いることができる。
【0008】
上記開閉制御装置について、前記制御手段は、前記開閉体の動作停止時に前記挟み込み検出用センサに対する操作入力を検出したとき、当該操作入力に対するレスポンスとして、音による報知動作を伴いつつ、前記スイッチモードの制御を行い、前記開閉体の開動作が当該開閉体の上昇動作及び下降動作の一方によって規定されるとともに、前記開閉体の閉動作が当該開閉体の上昇動作及び下降動作の他方によって規定され、前記制御手段は、高低差のある2つの音のうち高音による前記報知動作を伴いつつ、前記挟み込み検出用センサを上昇動作指示用の入力スイッチとして用いる上昇操作スイッチモードの制御を行うとともに、低音による前記報知動作を伴いつつ、前記挟み込み検出用センサを下降動作指示用の入力スイッチとして用いる下降操作スイッチモードの制御を行うこととしてもよい。
【0009】
この構成によれば、音による報知動作を伴うことで、スイッチモードの制御中であることを視線をそらさず知ることができる。また、音の高低にて開閉体の上昇及び下降を容易にイメージ可能であり、感覚的な操作を実現できる。
【0010】
上記開閉制御装置について、前記制御手段は、前記音による報知動作を行っている間に、前記挟み込み検出用センサに対する操作入力を再び検出したとき、当該操作入力を受け付けることとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、音による報知動作を行っている特定の期間に再操作を監視することで、ユーザの意思を的確に酌み取ることができる。
上記開閉制御装置について、前記制御手段は、前記操作入力を受け付けたとき、当該操作入力に対する受付レスポンスとして、音による報知動作を断続的に行い、前記制御手段は、前記受付レスポンスの実行期間が満了する以前に、前記挟み込み検出用センサに対する操作入力が解除されたことを条件に、当該操作入力を契機とする前記開閉体の動作を行うこととしてもよい。
【0012】
この構成によれば、挟み込み検出用センサを入力スイッチとして用いるべくユーザ自らの行った操作が正常に受け付けられたことを知ることができる。また、解除待ちの時間アップで操作入力を無効にすることができる。
【0013】
上記開閉制御装置について、前記制御手段は、前記操作入力を受け付けた後、当該操作入力が解除されたことを条件に、当該操作入力を契機とする前記開閉体の動作を行うこととしてもよい。
【0014】
この構成によれば、操作入力が解除されるまで開閉体は動作しないため、安全性を確保できる。
上記開閉制御装置について、前記制御手段は、前記スイッチモードの制御として、前記挟み込み検出用センサを開動作指示用の入力スイッチとして用いる開操作スイッチモードの制御と、前記挟み込み検出用センサを閉動作指示用の入力スイッチとして用いる閉操作スイッチモードの制御との双方を優先順位の高い方から順に行うとともに、当該優先順位の高い方の制御を行っている過程で、前記挟み込み検出用センサに対する操作入力を再び検出したとき、当該操作入力を前記優先順位の高い方の制御に関わる操作入力として受け付ける一方、優先順位の低い方の制御に関わる操作入力を受け付けないこととしてもよい。
【0015】
この構成によれば、優先順位の高い方の制御に関わる操作入力の受付時点で、優先順位の低い方の制御に関わる操作入力の入力待ちを不要にしつつ、専ら前者の制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、挟み込み検出用のセンサを他の用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パワーウインドの構成を示す模式図。
図2】静電センサをオートアップ操作に用いる場合のタイミングチャート。
図3】静電センサをオートダウン操作に用いる場合のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、開閉制御装置、及び制御装置の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、開閉制御装置の一例であるパワーウインド1は、車両のドア2の窓ガラス3を制御対象として、その窓ガラス3の開閉動作を制御する。窓ガラス3の開動作が当該窓ガラス3の下降動作によって規定されるとともに、窓ガラス3の閉動作が当該窓ガラス3の上昇動作によって規定されている。窓ガラス3は開閉体に相当する。窓ガラス3の上端面或いは窓ガラス3の上端付近における車室内側の側面には、挟み込み検出用センサの一例である静電センサ4が設けられている。静電センサ4は非接触センサの一例である。
【0019】
パワーウインド1は、窓ガラス3の開閉動作の統括的な制御を司るECU(electronic control unit )5の他、窓ガラス3の開閉動作の契機となる操作入力に供される操作スイッチ(図示略)を備えている。上記操作スイッチは、座席近くに設けられ、この操作スイッチに対する操作入力が行われると、当該操作入力がECU5にて認識される。その結果、ユーザが操作スイッチを開操作すると、ECU5による制御のもと、窓ガラス3の下降される開動作が行われ、ユーザが操作スイッチを閉操作すると、ECU5による制御のもと、窓ガラス3の上昇される閉動作が行われる。
【0020】
尚、開操作と閉操作は共に、操作解除に伴って窓ガラス3の動作が停止されるマニュアル操作と、全開位置或いは全閉位置に達するまで窓ガラス3の動作が継続されるオート操作との双方が可能である。オート操作のうち、全開位置に達するまで窓ガラス3の下降動作が継続される操作を「オートダウン操作」と呼び、全閉位置に達するまで窓ガラス3の上昇動作が継続される操作を「オートアップ操作」と呼ぶ。
【0021】
オートアップ操作を契機とする窓ガラス3の上昇動作時に静電センサ4によって挟み込みが検出されると、ECU5は、窓ガラス3の動作を反転する。これにより、挟み込み対象物が窓ガラス3から解放されることになる。
【0022】
また、ECU5は、窓ガラス3の動作停止時に静電センサ4例えば手の側面や腕によタッチ操作されると、窓ガラス3の開閉動作を行うスイッチモードの制御を行う。ECU5は制御手段に相当するとともに、制御装置の一例に相当する
【0023】
次に、パワーウインド1の作用について説明する。
図2に示すように、窓ガラス3の動作停止時にポイントP1において静電センサ4に対するタッチ操作が開始され、このタッチ操作がポイントP2において検出されると、窓ガラス3の開閉動作を行うスイッチモードの制御が開始される。このスイッチモードの制御では、最初の約1秒間に亘り低音の「ド」が連続出力された後、次の約1秒間に亘り高音の「ド」が連続出力される。
【0024】
最初の低音の「ド」の出力にて、静電センサ4を下降動作指示用の入力スイッチとして用いる下降操作スイッチモードの制御中であることが示唆されるとともに、その後の高音の「ド」の出力にて、静電センサ4を上昇動作指示用の入力スイッチとして用いる上昇操作スイッチモードの制御中であることが示唆される。つまり、音の高低にて窓ガラス3の上昇及び下降を容易にイメージできることになる。
【0025】
そして、ここでは高音の「ド」が約1秒間に亘り連続出力される途中のポイントP3において、静電センサ4に対するタッチ操作が再び開始され、このタッチ操作がポイントP4において検出されると、当該タッチ操作が受け付けられる。つまり、この場合、静電センサ4を用いたオートアップ操作が受け付けられる。
【0026】
静電センサ4を用いたオートアップ操作が受け付けられると、受付レスポンスとして、高音の「ド」が断続出力される。この受付レスポンスを受けてポイントP5において静電センサ4に対するタッチ操作が解除され、この操作解除がポイントP6において検出されると、窓ガラス3の上昇動作が開始される。
【0027】
上記受付レスポンスの実行期間が満了する以前に、つまり、この場合、高音の「ド」が断続出力されている間に、静電センサ4に対するタッチ操作が解除されたことを条件に、当該タッチ操作を契機とする窓ガラス3の上昇動作が行われる。言い換えれば、解除待ちの時間アップでオートアップ操作は無効になる。
【0028】
図3に示すように、窓ガラス3の動作停止時にポイントP1において静電センサ4に対するタッチ操作が開始され、このタッチ操作がポイントP2において検出されると、窓ガラス3の開閉動作を行うスイッチモードの制御が開始される(図2と同様)。このスイッチモードの制御では、最初の約1秒間に亘り低音の「ド」が連続出力された後、次の約1秒間に亘り高音の「ド」が連続出力されるが(図2と同様)、ここでは低音の「ド」が約1秒間に亘り連続出力される途中のポイントP7において、静電センサ4に対するタッチ操作が再び開始される。そして、このタッチ操作がポイントP8において検出されると、当該タッチ操作が受け付けられる。つまり、この場合、静電センサ4を用いたオートダウン操作が受け付けられる。オートダウン操作の受付時点で、オートアップ操作の入力待ちは不要になる(破線参照)。
【0029】
静電センサ4を用いたオートダウン操作が受け付けられると、受付レスポンスとして、低音の「ド」が断続出力される。この受付レスポンスを受けてポイントP9において静電センサ4に対するタッチ操作が解除され、この操作解除がポイントP10において検出されると、窓ガラス3の下降動作が開始される。
【0030】
上記受付レスポンスの実行期間が満了する以前に、つまり、この場合、低音の「ド」が断続出力されている間に、静電センサ4に対するタッチ操作が解除されたことを条件に、当該タッチ操作を契機とする窓ガラス3の下降動作が行われる。言い換えれば、解除待ちの時間アップでオートダウン操作は無効になる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)窓ガラス3の動作停止時に静電センサ4がタッチ操作されると、窓ガラス3の開閉動作を行うスイッチモードの制御を行うことで、当該静電センサ4を挟み込み検出とは異なる他の用途に用いることができる。
【0032】
(2)静電センサ4を開動作指示用の入力スイッチとして用いるとともに、閉動作指示用の入力スイッチとして用いることで、当該静電センサ4を挟み込み検出とは異なる他の複数の用途に用いることができる。
【0033】
(3)ECU5は、窓ガラス3の動作停止時に静電センサ4タッチ操作されると、当該タッチ操作に対するレスポンスとして、音による報知動作を伴いつつ、スイッチモードの制御を行う。この構成によれば、音による報知動作を伴うことで、スイッチモードの制御中であることを視線をそらさず知ることができる。
【0034】
(4)ECU5は、高低差のある2つの音のうち高音による報知動作を伴いつつ、静電センサ4を上昇動作指示用の入力スイッチとして用いる上昇操作スイッチモードの制御を行うとともに、低音による報知動作を伴いつつ、静電センサ4を下降動作指示用の入力スイッチとして用いる下降操作スイッチモードの制御を行う。この構成によれば、音の高低にて窓ガラス3の上昇及び下降を容易にイメージ可能であり、感覚的な操作を実現できる。
【0035】
(5)ECU5は、音による報知動作を行っている間に、静電センサ4が再びタッチ操作されると、当該タッチ操作を受け付ける。この構成によれば、音による報知動作を行っている特定の期間に再操作を監視することで、ユーザの意思を的確に酌み取ることができる。
【0036】
(6)ECU5は、タッチ操作を受け付けたとき、当該タッチ操作に対する受付レスポンスとして、音による報知動作を断続的に行う。この構成によれば、窓ガラス3の開閉動作を行うべくユーザ自らの行った操作が正常に受け付けられたことを知ることができる。
【0037】
(7)ECU5は、受付レスポンスの実行期間が満了する以前に、静電センサ4に対するタッチ操作が解除されたことを条件に、当該タッチ操作を契機とする窓ガラス3の動作を行う。この構成によれば、解除待ちの時間アップで操作入力を無効にすることができる。
【0038】
(8)ECU5は、タッチ操作を受け付けた後、当該タッチ操作が解除されたことを条件に、当該タッチ操作を契機とする窓ガラス3の動作を行う。この構成によれば、タッチ操作が解除されるまで窓ガラス3は動作しないため、安全性を確保できる。
【0039】
(9)ECU5は、開操作スイッチモードの制御と閉操作スイッチモードの制御との双方を優先順位の高い方から順に行うようにした。そして、当該優先順位の高い方の制御を行っている過程で、静電センサ4が再びタッチ操作されると、当該タッチ操作を上記優先順位の高い方の制御に関わるタッチ操作として受け付ける一方、優先順位の低い方の制御に関わるタッチ操作を受け付けないこととした。この構成によれば、優先順位の高い方の制御に関わるタッチ操作の受付時点で、優先順位の低い方の制御に関わるタッチ操作の入力待ちを不要にしつつ、専ら前者の制御を行うことができる。
【0040】
(10)パワーウインド1において、手又は操作スイッチの汚れ等で操作スイッチに触れずに窓ガラス3を開閉したい時、既存のスイッチ操作や新たなスイッチ追加をすることなく、挟み込み検出用として用意されているセンサ(静電センサ4)1個だけを用いて開閉操作可能とすることができる。
【0041】
(11)静電センサ4を用いたオートアップ操作を契機とする窓ガラス3の上昇動作時に挟み込みが発生した場合、当該静電センサ4によって挟み込みを検出できるため、窓ガラス3の反転動作を伴って、挟み込み対象物を解放することができる。この点が、挟み込み検出用の静電センサ4を入力スイッチとして用いることを可能にした本構成の技術的意義ということになる。
【0042】
(12)挟み込み検出用のセンサ(静電センサ4)入力1個にて、操作スイッチを触ることなく容易且つ安全な感覚的パワーウインド操作の実現を可能にすることができる。
尚、上記実施の形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0043】
・スイッチモードの制御として、先に閉操作スイッチモードの制御を行うとともに、その後で開操作スイッチモードの制御を行ってもよい。この場合、オートアップ操作の受付時点で、オートダウン操作を受け付けないようにしてもよい。
【0044】
・スイッチモードの制御として、先に開操作スイッチモードの制御を行うとともに、その後で閉操作スイッチモードの制御を行い、さらにその後、もう一度、開操作スイッチモードの制御を行った後、閉操作スイッチモードの制御を行ってもよい。尚、開操作スイッチモードの制御と閉操作スイッチモードの制御の双方を2回に限らず規定回数繰り返してもよい。
【0045】
・窓ガラス3の全開位置と全閉位置との双方にて、静電センサ4に対するタッチ操作が検出可能な位置に当該静電センサ4を設定しつつ、タッチ操作を高精度で検出できる工夫を凝らしてもよい。
【0046】
・窓ガラス3の位置を検出する方法として、駆動源であるモータの回転速度に応じたパルスを監視する方法、或いは、モータの電流値を監視する方法、或いは、閉じ切りスイッチの信号を監視する方法等を用いてもよい。
【0047】
・静電センサ4を用いたオートアップ操作を契機とする窓ガラス3の上昇動作中或いは静電センサ4を用いたオートダウン操作を契機とする窓ガラス3の下降動作中に、静電センサ4がタッチ操作されたとき、窓ガラス3の動作を停止させる等の付加機能を追加してもよい。
【0048】
・高低差のある2つの音は、高音の「ド」と低音の「ド」との組み合わせに限らない。窓ガラス3の上昇を高音でイメージできるとともに、窓ガラス3の下降を低音でイメージできる他の2つの音の組み合わせであってもよい。人の声や鳥の鳴き声等を用いてもよい。「上昇できます」或いは「下降できます」等の音声メッセージであってもよい。
【0049】
・音による報知動作に代えて又は加えて、例えば、運転席前方のヘッドアップディスプレイ等を用いた表示による報知動作を行ってもよい。座席或いはハンドルの振動による報知動作であってもよい。
【0050】
・建物のシャッタ等のように、開動作が上昇動作によって規定されるとともに、閉動作が下降動作によって規定される開閉体を制御対象とする開閉制御装置に本発明を適用してもよい。この場合、高低差のある2つの音のうち高音による報知動作を伴いつつ、挟み込み検出用センサを上昇動作指示用の入力スイッチとして用いる上昇操作スイッチモードの制御を行うとともに、低音による報知動作を伴いつつ、挟み込み検出用センサを下降動作指示用の入力スイッチとして用いる下降操作スイッチモードの制御を行ってもよい。
【0051】
・車両のスライドドア或いは建物の自動ドア等のように、水平方向に動作する開閉体を制御対象とする開閉制御装置に本発明を適用してもよい。
・車両のサンルーフ等を制御対象とする開閉制御装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…パワーウインド(開閉制御装置)、2…ドア、3…窓ガラス(開閉体)、4…静電センサ(挟み込み検出用センサ)、5…ECU(制御手段、制御装置)。
図1
図2
図3