(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レール矯正装置は、前記一対の爪部がレールの継目を挟み込んだ状態で、前記支持部材が上方に移動することで、前記レールの継目を持ち上げることが可能に構成されている、
請求項1乃至9のいずれかに記載の台車。
前記車両本体には、地面や道路上を走行するためのタイヤと、前記タイヤを駆動させるエンジンと、前記車輪を昇降させる昇降手段とが設けられ、 前記昇降手段により前記車輪を下降させた場合、前記車輪により鉄道のレール上を走行可能とされ、前記昇降手段により車輪を上昇させた場合、前記タイヤにより地面や道路上を走行可能とされる請求項1乃至12のいずれかに記載の台車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されるような、油圧シリンダでレールの継目を持ち上げる従来のレール矯正装置は、600Kg程度の重量を有する。このようなレール矯正装置は、トラックで鉄道の踏切まで運送された後、踏切からレールの継目まで人力で運送されており、この人力による運送のため、多大な手間を要していた。
【0005】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、手間を要せず、レール矯正装置をレールの継目箇所まで運送可能な台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明の台車は、荷台、鉄道のレール上に載置される車輪、及び前記車輪を回転させる駆動機構が設けられる車両本体と、前記荷台に上下に立設されて、軸回りに回転可能な支柱と、前記支柱から横方向に延びて、前記支柱に連結される基端を支点として上下に傾動可能なアームと、レールの継目を挟持するための一対の爪部が設けられて、前記アームに吊下されるレール矯正装置とを備え、前記車輪がレール上を回転することで、レールの継目箇所まで走行可能であり、前記支柱の回転で前記アームを旋回させることや、前記アームを上下に傾動させることで、前記レール矯正装置を前記荷台に載置したり、前記レール矯正装置を前記荷台の外側に突き出して、前記一対の爪部をレールの継目近傍に位置づけることが可能である。
【0007】
好ましくは、前記レール矯正装置には、上下方向に延びる一対のレバーが設けられ、前記一対のレバーは、下端同士が接近及び離反するよう傾動可能であり、前記一対の爪部は、前記一対のレバーの下端に設けられ、前記一対の爪部がレールの継目近傍に位置づけられた状態で、前記一対のレバーが傾動することで、前記一対の爪部にレールの継目を挟み込ませることが可能である。
【0008】
好ましくは、前記一対の爪部は、前記一対のレバーの下端に着脱自在に設けられる。
【0009】
好ましくは、前記レール矯正装置には、前記一対のレバーを傾動可能に支持して、上下動可能な支持部材が設けられ、前記一対の爪部がレールの継目を挟み込んだ状態で、前記支持部材が上方に移動することで、前記レールの継目を持ち上げることが可能である。
【0010】
好ましくは、本発明の台車は、前記アームと前記支柱とに連結されて、前記アームを傾動させる伸縮動作を行う第1油圧シリンダと、前記レール矯正装置に設けられて、前記支持部材を上下動させる伸縮動作を行う第2油圧シリンダと、前記レール矯正装置に設けられて、前記一対のレバーを傾動させる伸縮動作を行う第3油圧シリンダとを備える。
【0011】
好ましくは、本発明の台車は、前記第1、第2、及び第3油圧シリンダに供給する圧力油の量を制御するための電磁弁を切り替えることで、前記油圧源から前記第1、第2、及び第3油圧シリンダに供給される圧力油の量をリモートコントロール可能な操作スイッチをさらに備える。
【0012】
好ましくは、本発明の台車は、上下方向に延びて、上端が前記アームに連結される吊下軸をさらに備え、前記レール矯正装置には、コの字状のフレームと、連結板とがさらに設けられ、前記フレームは、横方向に延びる主部材と、前記主部材の両端から下方に延びる一対の脚部とを備え、前記主部材の中央部は、前記吊下軸の下端に連結され、前記第2油圧シリンダは、前記一対の脚部の各々に対して設けられるものであり、前記第2油圧シリンダの各々は、前記油圧源から圧力油が供給されるシリンダチューブと、前記シリンダチューブ内の油圧で往復動するピストンロッドとを備え、各前記第2油圧シリンダの前記シリンダチューブは、前記脚部の下部に固定され、各前記第2油圧シリンダの前記ピストンロッドは、前記シリンダチューブから上方に延び出ており、前記連結板は、一方の前記第2油圧シリンダの上方位置から、他方の前記第2油圧シリンダの上方位置まで、横方向に延びており、前記連結板の一端が、一方の前記第2油圧シリンダのピストンロッドに連結され、前記連結板の他端が、他方の前記第2油圧シリンダのピストンロッドに連結されることで、前記連結板は、前記第2油圧シリンダの伸縮動作で上下動可能であり、前記支持部材は、上下方向に延びるものであって、その上部が前記連結板の中央部に連結されることで、前記連結板の上下動に伴い、上下動可能であり、前記支持部材の下部には、前記一対のレバーの中間部が回動自在に軸支されており、前記第3油圧シリンダは、前記油圧源から圧力油が供給されるシリンダチューブと、当該シリンダチューブから延び出て、前記シリンダチューブ内の油圧で往復動するピストンロッドとを備え、前記第3油圧シリンダのシリンダチューブは、一方の前記レバーの上端に連結され、前記第3油圧シリンダのピストンロッドは、他方の前記レバーの上端に連結され、前記一対の爪部は、前記一対のレバーの下端に設けられる。
【0013】
好ましくは、前記吊下軸は、前記アームに連結される上端を支点として前後に傾動可能、且つ、軸周りに回転可能である。
【0014】
好ましくは、前記主部材の中央部は、当該主部材の中央部と前記吊下軸の下端とを貫通するピンを介して、前記吊下軸の下端に連結され、前記フレームは、前記ピンを軸として傾動可能である。
【0015】
好ましくは、前記一対の脚部には、それぞれ一対の突起が設けられ、前記一対の突起は、それぞれ前記脚部の下端から下方に突出するものであり、レールの幅に対応する間隔を介して相対する。
【0016】
好ましくは、本発明の台車は、前記荷台に固定される筒状のホルダーをさらに備え、前記支柱の下部は、前記ホルダーの内部に挿入され、前記ホルダーの上方に延び出た前記支柱の上部に、前記アームの基端が回動可能に連結され、前記ホルダーの内面と前記支柱の下部の外面との間には、前記支柱の鉛直荷重を受けるスラストベアリングと、前記支柱の回転を円滑にするためのラジアルベアリングとが設けられる。
【0017】
好ましくは、本発明の台車は、前記レール矯正装置が前記荷台に載置された状態で、前記支柱の回転を規制する手段をさらに備える。
【0018】
好ましくは、前記車両本体には、地面や道路上を走行するためのタイヤと、前記タイヤを駆動させるエンジンと、前記車輪を昇降させる昇降手段とが設けられ、前記昇降手段により前記車輪を下降させた場合、前記車輪により鉄道のレール上を走行可能とされ、前記昇降手段により車輪を上昇させた場合、前記タイヤにより地面や道路上を走行可能とされる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る台車1を示す側面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る台車1の側面図である。
【0021】
図1や
図2に示すように、本実施形態の台車1は、車両本体2と、支柱3と、アーム4と、吊下軸5と、レール矯正装置6とを備える。
【0022】
車両本体2は、荷台7や、車輪8や、車輪8を回転させる駆動機構を備える。車輪8は、鉄道のレールRの上に載置される。駆動機構は、発電機10やモータ11やチェーン12等を備える。この駆動機構は、発電機10から供給される電力でモータ11の駆動軸を回転させて、駆動軸の回転力をチェーン12を介して車輪8に伝達することで、車輪8を回転させる。発電機10やモータ11は、荷台7上に載置される。モータ11の上には、作業員が座る座席13が設けられる。
【0023】
また荷台7の上には、圧力油を発生する油圧源14(
図2)が設けられる。圧力油は、後述する第1油圧シリンダ15や第2油圧シリンダ16A,16Bや第3油圧シリンダ17に供給されるものであり、油圧源14に対して設けられる電磁弁が切り替えられることで、油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給する圧力油の量が制御される。
【0024】
モータ11の駆動や、油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給される圧力油の量は、コントロールユニットによって制御される。このコントロールユニットは、本体部98と、本体部98から着脱自在とされた図示しない操作スイッチとを備える。本体部98は、荷台7上に載置されるものであって、モータ11や上記の電磁弁と接続される。この本体部98は、座席13に座った作業員の操作により、モータ11の駆動を制御したり、上記の電磁弁を切り換えて、油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給する圧力油の量を制御できる。また、操作スイッチは、本体部98との有線接続又は無線接続により、本体部98を介して上記の電磁弁と接続されるものであり、荷台7から降りた作業員が手に持って操作する。この操作スイッチに対する操作で、上記の電磁弁を切り替えて、油圧源14から油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給される圧力油の量をリモートコントロールできる。
【0025】
図3は、支柱3の一部を拡大して示す断面図である。支柱3は、荷台7の前端部に上下に立設される。支柱3は、上部が角パイプ18によって構成され、下部が円柱状のシャフト19によって構成されるものであり、角パイプ18とシャフト19とは、金属板20を介して一体に溶接される。支柱3の設置位置となる荷台7の前端部には、筒状のホルダー21が固定されており、シャフト19はホルダー21の内部に挿入され、角パイプ18や金属板20はホルダー21の上方に延び出される。
【0026】
ホルダー21の内面とシャフト19の外面との間には、スラストベアリング22と、ラジアルベアリング23とが設けられる。
【0027】
スラストベアリング22は、ホルダー21・シャフト19間の下側位置に設けられる。スラストベアリング22は、アッパーリング24と、ロアリング25と、ボール26とからなる。アッパーリング24は、シャフト19の外周回りに延びる段差19aの下面に接合される。ロアリング25は、ホルダー21の内周回りに延びる環状突起21aの上面に接合される。アッパーリング24とロアリング25とは上下に相対しており、これらの間にボール26が回動可能に配置される。上記のスラストベアリング22は、支柱3の鉛直荷重を受けるものであり、このスラストベアリング22によって、支柱3は、軸回りに回転可能に支持される。
【0028】
ラジアルベアリング23は、ホルダー21・シャフト19間の上端位置と下端位置とに設けられる。ラジアルベアリング23は、インナーリング27と、アウターリング28と、ボール29とからなる。インナーリング27は、シャフト19の外周面に接合される。アウターリング28は、ホルダー21の内周面に接合されており、このアウターリング28の内側にインナーリング27が設けられる。ボール29は、アウターリング28とインナーリング27との間に回動可能に配置される。以上のラジアルベアリング23が設けられることで、支柱3の回転が円滑なものとされる。
【0029】
図1に示すように、アーム4は、支柱3の角パイプ18から横方向に延びるものであり、アーム4の基端4aは、角パイプ18に上下に回動可能に連結される。
【0030】
第1油圧シリンダ15は、シリンダチューブ30と、ピストンロッド31とを備える。シリンダチューブ30は、角パイプ18の上端から横方向に延びるものであって、シリンダチューブ30の基端30aは、角パイプ18に上下に回動可能に連結される。このシリンダチューブ30には、油圧源14からの圧力油がホース65を介して供給される。ホース65は、支柱3に取り付けられるものであって、一端が油圧源14に接続され、他端がシリンダチューブ30に接続される。ピストンロッド31は、シリンダチューブ30から横方向に延び出ており、ピストンロッド31の先端31aは、アーム4に連結される。ピストンロッド31はシリンダチューブ30内の油圧で往復動するものであり、この往復動で第1油圧シリンダ15が伸縮するとともに、第1油圧シリンダ15がシリンダチューブ30の基端30aを支点として上下に傾動することで、アーム4は、角パイプ18に支持される基端4aを支点として上下に傾動する。
【0031】
図4は、アーム4の先端を拡大して示す図であり、
図4(a)は、アーム4の先端を示す側面図であり、
図4(b)は、アーム4の先端を示す平面図である。
図5は、
図4(a)のA−A線断面図である。アーム4の先端には、上下に開口する筒体32が設けられる。この筒体32は、断面矩形状を呈しており、アーム4の幅方向に相対する側壁32a,32bを有する。吊下軸5は、上下方向に延びるものであって、吊下軸5の上端は、筒体32の内側に通される。吊下軸5の上端と筒体32の側壁32a,32bとの間には、ベアリングホルダ33や、ラジアルベアリング34や、ピン35A,35Bが設けられる(
図4(a)では、筒体32内に配置される構成(ベアリングホルダ33、ラジアルベアリング34、ピン35A,35B、吊下軸5の上端など)を、破線で示すべきであるが、見難くなるので、実線で示している)。
【0032】
ベアリングホルダ33は、上下に開口する断面円形の筒状を呈しており、このベアリングホルダ33の内側に吊下軸5が通される。ベアリングホルダ33の上半部には、環状溝36が形成される。この環状溝36は、ベアリングホルダ33の内周回りに延びる。
図5に示すように、ベアリングホルダ33の下半部には、一対の貫通孔37A,37Bが形成される。これら貫通孔37A,37Bは、ベアリングホルダ33を水平方向に貫通する。
【0033】
ラジアルベアリング34は、ベアリングホルダ33の環状溝36に配置されるものであって、インナーリング38と、アウターリング39と、ボール40とを備える。インナーリング38は、吊下軸5の外周面に接合される。アウターリング39は、環状溝36の内側面に接合されており、このアウターリング39の内側にインナーリング38が設けられる。ボール40は、アウターリング39とインナーリング38との間に回動可能に配置される。
【0034】
ピン35A,35Bは、それぞれ小径部35aと大径部35bとが連なるものである。ピン35Aの小径部35aは、ベアリングホルダ33の貫通孔37Aに挿入される。ピン35Aの大径部35bは、アーム4の側壁32aに支持されるメタルブッシュ66Aに挿入される。ピン35Bの小径部35aは、ベアリングホルダ33の貫通孔37Bに挿入される。ピン35Bの大径部35bは、アーム4の側壁32bに支持されるメタルブッシュ66Bに挿入される。
【0035】
以上のラジアルベアリング34やベアリングホルダ33やピン35が設けられていることで、吊下軸5の上端は、アーム4の側壁32a,32bに連結される。また、吊下軸5は、その上端を支点として前後に傾動可能、且つ、軸周りに回転可能である。具体的には、吊下軸5とラジアルベアリング34とベアリングホルダ33とは、ピン35A,35Bを支点として前後に傾動可能であり、吊下軸5とインナーリング38とは、吊下軸5の軸周りに回転可能である。
【0036】
図6は、レール矯正装置6を示す側面図である。
図7は、レール矯正装置6の一部を示す正面図であり、
図6に示すD−D位置からE方向に、後述する支持部材42を視た状態を示している。
【0037】
レール矯正装置6は、吊下軸5を介して、アーム4に吊下されるものである。このレール矯正装置6には、フレーム40と、一対の第2油圧シリンダ16A,16Bと、連結板41と、支持部材42と、一対のレバー43A,43B(
図7)と、第3油圧シリンダ17と、一対の爪部44A,44B(
図7)とが設けられる。
【0038】
フレーム40は、コの字状を呈するものであって、横方向に延びる主部材45と、主部材45の両端から下方に延びる一対の脚部46A,46Bとを備える。主部材45の中央部は、主部材45や吊下軸5を貫通するピン48を介して、吊下軸5の下端に連結される。具体的には、主部材45の中央部には、コの字状のフランジ47が上方に突出するようにボルト等で取り付けられており、フランジ47の側壁47a,47bの間に吊下軸5の下端が挿入されている。そして、側壁47a,47bの貫通孔や吊下軸5の貫通孔にピン48が通されており、側壁47a,47bの外側に延び出たピン48の範囲にナットが締結されている。以上の構成から、主部材45の中央部は、ピン48を介して吊下軸5の下端に連結されており、フレーム40は、ピン48を軸として前後に傾動可能とされている。
【0039】
第2油圧シリンダ16A,16Bは、それぞれ脚部46A,46Bに設けられる。第2油圧シリンダ16A,16Bの各々は、シリンダチューブ49と、ピストンロッド50とを備える。第2油圧シリンダ16A,16Bのシリンダチューブ49は、脚部46の下部にボルト等で固定されており、油圧源14からの圧力油がホース51(
図1)を介して供給される。
図1に示すように、ホース51は、支柱3やアーム4に取り付けられる本体部51aと、フレーム40に取り付けられる二股の分岐部51b,51cとを備えるものであって、本体部51aの一端が油圧源14に接続され、分岐部51b,51cの一端が本体部51aの他端に接続され、分岐部51b,51cの他端がそれぞれ第2油圧シリンダ16A,16Bのシリンダチューブ49に接続される。第2油圧シリンダ16A,16Bのピストンロッド50は、シリンダチューブ49から上方に延び出ており、シリンダチューブ49内の油圧で往復動する。
【0040】
脚部46A,46Bの下端には、それぞれ、レールRを挟み込むための一対の突起60,60が設けられる。これら突起60,60は、脚部46A,46Bの下端から下方に突出するものであり、レールRの幅に対応する間隔を介して相対する(突起60,60は、脚部46の幅方向(
図1や
図6の奥行き方向)に間隔をあけて相対するものであり、
図1や
図6では、突起60,60の一方のみを示している)。
【0041】
連結板41は、第2油圧シリンダ16Aの上方位置から、第2油圧シリンダ16Bの上方位置まで、横方向に延びる。連結板41の一端は、第2油圧シリンダ16Aのピストンロッド50に連結される。連結板41の他端は、第2油圧シリンダ16Bのピストンロッド50に連結される。第2油圧シリンダ16A,16Bは、ピストンロッド50の往復動で伸縮するものであり、この第2油圧シリンダ16A,16Bの伸縮動作によって、連結板41は上下に移動する。
【0042】
支持部材42は、上下方向に延びるものであり、その上部が、連結板41の中央部に連結される。具体的には、支持部材42は、上下方向に延びる一対の対向板61A,61Bを備える。これら対向板61A,61Bは、連結板41の長手方向(
図6の左右方向)に相対するものであって、これら対向板61A,61Bには、凹み62(
図7)が形成される。凹み62は、対向板61の上端から下方に延びるものであって、対向板61の幅中央に形成される。対向板61A,61Bの凹み62に連結板41の中央部が通されるとともに、抑え板63によって連結板41が凹み62の上方に抜け出ないようにされることで、支持部材42の上部(対向板61A,61Bの上部)が連結板41の中央部に連結される。抑え板63は、対向板61Aの上端と対向板61Bの上端との間に架け渡されるものである。
図6に示すように、抑え板63は、その一端が対向板61Aの溝64Aに嵌め込まれ、その他端が対向板61Bの溝64Bに嵌め込まれて、対向板61A,61Bにボルトで締結される。この抑え板63は、ボルトの締結を解除することで、対向板61A,61Bから取り外すことができる。レール矯正装置6を組み立てる際には、抑え板63を取り外した状態で、クレーンで吊った連結板41が、凹み62の上方から凹み62に挿入され、この後、抑え板63の一端及び他端をそれぞれ溝64A,64Bに嵌め込んで、ボルトで抑え板63を締結することが行われる。この手順によれば、連結板41を横方向に移動させる作業を要せず、支持部材42と連結板41とを連結できるので、レール矯正装置6の組み立てが容易となる。
【0043】
レバー43A,43Bや、第3油圧シリンダ17は、連結板41よりも下方の位置で、対向板61A,61Bの間に配置される(
図7では、対向板61A,61Bの間に配置されるレバー43A,43Bや第3油圧シリンダ17を、破線で示すべきであるが、見難くなるので、実線で示している)。レバー43A,43Bの各々は、上下方向に延びるものであって、レバー43Aとレバー43Bとは、対向板61の幅方向(
図7の左右方向)に相対する。これらレバー43A,43Bは、その中央部がピン70A,70Bを用いて支持部材42の下部(対向板61A,61Bの下部)に回動自在に軸支される。ピン70Aは、対向板61A,61Bの間を延びて、レバー43Aを貫通支持するものである。ピン70Bは、対向板61A,61Bの間を延びて、レバー43Bを貫通支持するものである。
【0044】
第3油圧シリンダ17は、横方向(対向板61A,61Bの幅方向)に延びるシリンダチューブ80とピストンロッド81とを備える。シリンダチューブ80は、レバー43Aの上端に連結されており、油圧源14からの圧力油が図示しないホースを介して供給される。このホースは、支柱3やアーム4やフレーム40に取り付けられるものであって、一端が油圧源14に接続され、他端がシリンダチューブ80に接続される。ピストンロッド81は、レバー43Bの上端に連結されており、シリンダチューブ80内の油圧により往復動する。このピストンロッド81の往復動で第3油圧シリンダ17が伸縮することで、レバー43A,43Bは、ピン70A,70Bに軸支される中央部を支点として、下端同士が接近及び離反するよう傾動する。すなわち、第3油圧シリンダ17が伸びたときには、レバー43A,43Bの上端同士が離反して、レバー43A,43Bの下端同士が接近する。また、第3油圧シリンダ17が縮んだときには、レバー43A,43Bの上端同士が接近して、レバー43A,43Bの下端同士が離反する。
【0045】
爪部44A,44Bは、レバー43A,43Bの下端に着脱自在に設けられるものである。爪部44A,44Bは、それぞれ、L字状を呈するものであって、板状の本体部85と、本体部85の一端から突出する突起86とを備える。レバー43A,43Bの下端の内側面には、爪部44A,44Bの本体部85を差し込むための溝95が形成される。この溝95に本体部85を差し込み、ボルト等で本体部85をレバー43A,43Bに締結することで、爪部44A,44Bは、レバー43A,43Bの下端に取り付けられる。このように爪部44A,44Bが取り付けられた状態では、爪部44Aの突起86と爪部44Bの突起86とは、横方向(対向板61A,61Bの幅方向)に相対した状態になる。そして、レバー43A,43Bの下端同士が接近するようレバー43A,43Bが傾動したときに、爪部44Bの突起86,86は、レールRの継目を挟み込む(具体的には、
図7に示すように、レールRの継目には継目板R1,R2が設けられており、レバー43A,43Bの傾動によって、突起86,86に継目板R1,R2を挟み込ませることが可能である)。爪部44A,44Bは、ボルトの締結を解除し、本体部85を溝から抜き出すことで、レバー43A,43Bから取り外すことができる。上記の爪部44A,44Bは、焼き入れ・焼き戻し処理で強靭化できる鋼材から形成される。このような鋼材として、例えば、炭素鋼S45Cがある。
【0046】
以上の構成を有する台車1では、座席13に座った作業員が、コントロールユニットの本体部98を操作して、モータ11の駆動を制御することで、車輪8を回転させて、台車1を走行させることができる。また本体部98に対する操作によって、油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給される圧力油の量を制御して、油圧シリンダ15,16A,16B,17を伸縮させることができる。さらに、作業員が、コントロールユニットの操作スイッチを操作することで、油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給される圧力油の量をリモートコントロールして、油圧シリンダ15,16A,16B,17を伸縮させることができる。
【0047】
そして、アーム4と支柱3とに連結される第1油圧シリンダ15の伸縮動作によって、アーム4が、その基端4aを支点として上下に傾動する。また連結板41の一端及び他端が第2油圧シリンダ16A,16Bのピストンロッド50に連結されることで、第2油圧シリンダ16A,16Bの伸縮動作によって、連結板41が上下動する。さらに、支持部材42の上部が連結板41の中央部に連結されることで、連結板41の上下動に伴い、支持部材42も上下動する。また第3油圧シリンダ17の伸縮動作によってレバー43A,43Bが傾動して、レバー43A,43Bの下端同士が接近及び離反することで、爪部44A,44Bの突起86,86(
図7)も接近及び離反する。さらに、作業員が支柱3やアーム4やレール矯正装置6等に力を加えることで、支柱3を回転させてアーム4を旋回させることや、吊下軸5をその軸回りに回転させることや、吊下軸5やフレーム40を前後に傾動させることができる。
【0048】
そして、支柱3の回転でアーム4を旋回させることや、アーム4を上下に傾動させることによって、レール矯正装置6を荷台7に載置することや、レール矯正装置6を荷台7の外側に突き出して、爪部44A,44BをレールRの継目近傍に位置づけることができる(
図1では、レール矯正装置6が荷台7に載置された状態を二点鎖線で示し、レール矯正装置6が荷台7の外側に突き出た状態を実線で示している)。さらに吊下軸5を回転させることや、吊下軸5やフレーム40を前後に傾動させることによって、突起60,60の間にレールRを挟み込んで、レール矯正装置6をレールR上に固定することができる。さらに第3油圧シリンダ17の伸縮動作を制御することで、レバー43A,43Bを傾動させて、爪部44A,44BにレールRの継目を挟み込ませたり、当該挟み込みを解除することができる。さらに、爪部44A,44BがレールRの継目を挟み込んだ状態で、第2油圧シリンダ16A,16Bを伸ばして支持部材42を上昇させることで、レールRの継目を持ち上げて、レール継目落ちを矯正することができる。
【0049】
また本実施形態の台車1では、
図1の二点鎖線で示すようにレール矯正装置6が荷台7に載置された状態で、支柱3の回転を規制する手段が設けられている。以下、この構成について再び
図3を参照して説明する。
【0050】
図3に示すように、ホルダー21の上端には、突出部90が設けられる。突出部90は、ホルダー21の径外側に突出するものであり、上下方向に延びる貫通孔91が形成される。金属板20には、突出部92が設けられる。突出部92は、角パイプ18の側面よりも外側に突出するものであり、上下方向に延びる貫通孔93が形成される。突出部92は、支柱3の回転時にホルダー21の上方を旋回するものであり、この突出部92の旋回によって、貫通孔93の位置が変わる。そして、支柱3の回転(アーム4の旋回)等により、
図1に二点鎖線で示すようにレール矯正装置6が荷台7に載置されたときには、貫通孔93が貫通孔91の上方に位置した状態になる。このように貫通孔91,93が上下に相対した状態では、貫通孔91,93にピン94を挿入でき、このピン94の挿入により支柱3の回転を規制できる(
図3は、ピン94が貫通孔91,93に挿入された状態を示している。支柱3の回転は、貫通孔91,93からピン94が抜き出されることで可能となる)。なお、支柱3の回転を規制する手段は、上述した構成に限らず、例えば、金属板20とホルダー21との間の隙間に楔を挿入することで、支柱3の回転を規制するものであってもよい。
【0051】
次に、上記構成の台車1を車庫からレール継目箇所まで運送して、レール継目落ちを矯正する作業の手順について説明する。
【0052】
まず台車1の保管場所等において、支柱3の回転でアーム4を旋回させること等により、レール矯正装置6を荷台7に載置した状態(
図1の二点鎖線の状態)にする。そして、貫通孔91,93にピン94を挿入することで、支柱3の回転を規制する。そして、台車1をトラックに搭載して、トラックで台車1を鉄道の踏切まで運送する。トラックが踏切に到達した際には、台車1をトラックから降ろし、車輪8を鉄道のレールR上に載置する。そして、車輪8を回転させることで、台車1をレールRの継目箇所まで走行させる。
【0053】
台車1がレールRの継目箇所に到達した際には、貫通孔91,93からピン94を抜き出して、支柱3を回転可能な状態とする。そして、支柱3の回転でアーム4を旋回させることや、操作スイッチの操作で第1油圧シリンダ15を伸縮させアーム4を上下に傾動させることで、レール矯正装置6を荷台7の外側に突き出し、爪部44A,44Bを1本目のレールRの継目近傍に位置づける。この際には、作業員は、爪部44A,44Bやアーム4等の位置を確認しながら、操作スイッチを用いて第1油圧シリンダ15をリモートコントロールすることで、爪部44A,44BがレールRの継目に近づくよう、アーム4の傾動を制御する。
【0054】
そして、吊下軸5をその軸回りに回転させることや、吊下軸5やフレーム40を傾動させることで、脚部46A,46Bの下端にある突起60,60の間にレールRを挟み込ませて、レール矯正装置6をレールR上に固定する。
【0055】
そして、操作スイッチの操作で第3油圧シリンダ17を伸ばし、レバー43A,43Bの下端同士が接近するようレバー43A,43Bを傾動させることで、爪部44A,44BにレールRの継目を挟み込ませる。この際には、作業員は、爪部44A,44Bやレバー43A,43Bの状態を確認しながら、操作スイッチを用いて第3油圧シリンダ17をリモートコントロールすることで、レバー43A,43Bの傾動を制御する。
【0056】
そして、操作スイッチの操作で第2油圧シリンダ16A,16Bを伸ばし、連結板41や支持部材42を上昇させることで、レールRの継目を持ち上げて、レール継目落ちを矯正する。この際には、作業員は、爪部44A,44Bや連結板41や支持部材42等の状態を確認しながら、操作スイッチを用いて第2油圧シリンダ16A,16Bをリモートコントロールすることで、連結板41や支持部材42の動きを制御する。
【0057】
以上の作業により、1本目のレールRの継目落ちの矯正が完了する。ついで、以下に示す2本目のレールRの継目落ちを矯正する作業が行われる。
【0058】
まず、操作スイッチの操作で第3油圧シリンダ17を縮めて、レバー43A,43Bの下端同士が離反するようレバー43A,43Bを傾動させ、爪部44A,44Bによる1本目のレールRの挟み込みを解除する。
【0059】
そして、操作スイッチの操作で第2油圧シリンダ16A,16Bを伸縮させて支持部材42を上下動させることや、吊下軸5を回転させることや、吊下軸5やフレーム40を前後に傾動させることで、突起60,60による1本目のレールRの挟み込みを解除する。
【0060】
そして、アーム4を旋回させることや、操作スイッチの操作で第1油圧シリンダ15を伸縮させてアーム4を傾動させることによって、爪部44A,44Bを2本目のレールRの継目近傍に位置づける。
【0061】
そして、吊下軸5を回転させることや、吊下軸5やフレーム40を傾動させることによって、突起60,60の間に2本目のレールRを挟み込ませて、レール矯正装置6を2本目のレールR上に固定する。
【0062】
そして、操作スイッチの操作で第3油圧シリンダ17を伸ばし、レバー43A,43Bの下端同士が接近するようレバー43A,43Bを傾動させることで、爪部44A,44Bに2本目のレールRの継目を挟み込ませる。
【0063】
そして、操作スイッチの操作で第2油圧シリンダ16A,16Bを伸ばし、連結板41や支持部材42を上昇させることで、2本目のレールRの継目を持ち上げて、レール継目落ちを矯正する。
【0064】
以上の作業により、2本目のレールRの継目落ちの矯正が完了する。この後、次のレール継目箇所の矯正作業のため、レール矯正装置6を荷台7に載置した状態(
図1に示す二点鎖線の状態)にして、台車1を次のレール継目箇所まで走行させることが行われる。この際には、貫通孔91,93にピン94が挿入されることで、支柱3の回転が規制される。
【0065】
本実施形態に係る台車1によれば、レール矯正装置6を荷台7に載置した状態で、車輪8をレールR上で回転させることで、レール矯正装置6をレールRの継目箇所まで運送できる。したがって、手間を要せず、レール矯正装置6をレールRの継目箇所に運送できる。
【0066】
また、支柱3の回転でアーム4を旋回させることや、アーム4を上下に傾動させることで、レール矯正装置6を荷台7の外側に突き出し、爪部44A,44BをレールRの継目近傍に位置づけることができる。このため、作業員がレール矯正装置6を支えることを要せず、爪部44A,44BをレールRの継目近傍に位置づけることができる。
【0067】
また、吊下軸5を回転させることや、吊下軸5やフレーム40を傾動させることが可能であるため、レールRの起伏や、レールRが延びる方向にあわせて、レール矯正装置6の向きを調整することができる。したがって、突起60,60の間にレールRを挟み込み、レール矯正装置6を固定する作業を円滑に行うことができる。
【0068】
また、レバー43A,43Bの傾動で爪部44A,44BにレールRを挟み込ませるようにしていることで、レバー43A,43Bや爪部44A,44Bの寸法や間隔等を適宜調整することで、様々な種類のレールRを、爪部44A,44Bに挟み込ませることができる。
【0069】
また、レバー43A,43Bの下部に爪部44A,44Bが着脱自在に設けられることで、繰り返しの使用で強度が低下した爪部44A,44Bを、新しい爪部44A,44Bに交換することや、レバー43A,43Bに取り付ける爪部44A,44Bの種類を、レールRの種類に応じて変更することができる。また、爪部44A,44B以外の部品を取り替えることなく、爪部44A,44Bのみを交換できるので、爪部44A,44Bの交換に要するコストを小さく抑えることができる。
【0070】
また、アーム4の傾動や、支持部材42の上下動や、レバー43A,43Bの傾動を生じさせる動力が、いずれも油圧によるものなので、単一の動力源(油圧源14)によって、上述したアーム4や支持部材42やレバー43A,43Bの動作を実現できる。このため、設備コストを安価に抑え、車両本体2等の寸法を小さく抑えることができる。
【0071】
また、操作スイッチによって油圧シリンダ15,16A,16B,17の伸縮動作をリモートコントロールできるので(すなわち油圧源14から油圧シリンダ15,16A,16B,17に供給される圧力油の量をリモートコントロールできるので)、作業員は、爪部44A,44Bやアーム4やレバー43A,43Bや支持部材42や油圧シリンダ15,16A,16B,17等の状態をみながら、油圧シリンダ15,16A,16B,17の伸縮動作を制御できる。このため、爪部44A,44BをレールRの継目に近づける作業や、爪部44A,44BにレールRの継目を挟み込ませる作業や、レールRの継目を持ち上げる作業等を円滑に行うことができる。なお上記では、操作スイッチを用いて油圧シリンダ15,16A,16B,17をリモートコントロールする例を示したが、座席13に座った作業員がコントロールユニットの本体部98を操作することで、油圧シリンダ15,16A,16B,17の伸縮動作が制御されてもよい。この場合、爪部44A,44B等の状態を確認する作業員が、座席13に座った作業員に指示を出すことで、上述したレール矯正作業を円滑に進めることができる。
【0072】
また、2つの第2油圧シリンダ16A,16Bの伸縮で支持部材42を上下動させていることで、1つの油圧シリンダ16の伸縮で支持部材42を上下動させる場合に比べ、油圧シリンダ16の高さを小さく抑え、また、油圧シリンダ16を構成する部材の肉厚を薄くすることができる。このため、レール矯正装置6の重量や寸法を小さく抑えることができる。
【0073】
また、レール矯正装置6が荷台7に載置されているときに、支柱3の回転を規制する手段が設けられているので、台車1の走行時において、支柱3の回転で、レール矯正装置6が荷台7の外側に突き出て、事故が生じることが防止される。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変することができる。
【0075】
例えば上記実施形態では、2つの第2油圧シリンダ16A,16Bの伸縮動作で、支持部材42が上下動する例を示したが、1つの油圧シリンダ16の伸縮動作や、3つ以上の油圧シリンダ16の伸縮動作によって、支持部材42を上下動させてもよい。
【0076】
また上記実施形態では、アーム4の傾動や、支持部材42の上下動や、レバー43A,43Bの傾動を生じさせる動力が、油圧である例を示したが、例えば電力で駆動する手段を用いて、アーム4や支持部材42やレバー43A,43Bを動作させてもよい。
【0077】
また、車両本体2には、地面や道路上を走行するためのタイヤと、タイヤを駆動させるエンジンと、車輪を昇降させる昇降手段とが設けられてもよい。この場合、昇降手段により車輪を下降させた場合に、車輪により鉄道のレールR上を走行可能とされ、昇降手段により車輪を上昇させた場合、タイヤにより地面や道路上を走行可能とされる。なお、地面や道路上を走行するためには、タイヤでなくてもキャタピラなどが車両本体2に備えられていてもよい。このキャタピラも、車両本体2に設けられるエンジンで駆動できる。