特許第6587869号(P6587869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587869
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】自動循環式索道における搬器の運行方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/00 20060101AFI20191001BHJP
   B61B 1/00 20060101ALI20191001BHJP
   B61B 12/02 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B61B12/00 A
   B61B1/00 Z
   B61B12/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-170559(P2015-170559)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-47727(P2017-47727A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 元幸
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−051086(JP,A)
【文献】 特開2007−290687(JP,A)
【文献】 特開2001−191916(JP,A)
【文献】 特開昭56−131454(JP,A)
【文献】 特開2015−057339(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0284219(US,A1)
【文献】 特開昭61−129359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 11/00
B61B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始点停留所と終点停留所との間の中間位置に中間停留所を有し、線路中にゴンドラ搬器とチェア搬器とを交互に配置して運行を行う自動循環式索道において、前記中間停留場以外では、前記ゴンドラ搬器と前記チェア搬器とが所定の間隔を有して運行しており、前記中間停留場では、前記チェア搬器が到着して減速終了後に一時停止を行い、この後、後続の前記ゴンドラ搬器と前記チェア搬器とが前記中間停留場以外を運行しているときよりも接近した状態で移動し、出発時には前記ゴンドラ搬器が加速する前に一時停止をする一方、当該ゴンドラ搬器よりも先行する前記チェア搬器は、前記ゴンドラ搬器が一時停止する間に加速されて前記接近した状態から前記所定の間隔に離間した状態としたことを特徴とする自動循環式索道における搬器の運行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、索道線路の中間位置に中間停留場を設け、複数の区間でゴンドラ搬器およびチェア搬器を混合して運行する場合の、自動循環式索道における搬器の運行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキー場において、多数の人員を輸送する設備として自動循環式索道が知られている。この自動循環式索道は、停留場間に張り渡された索条を循環駆動し、この索条に閉鎖型のゴンドラ搬器や椅子式のチェア搬器を懸垂して人員を輸送する設備である。搬器には、索条を握放索可能な握索機を備えており、線路中では索条を握索して高速で移動し、停留場内では索条を放索するとともに停留場内に敷設されたレールに沿って低速で移動して乗客の乗降が行われる。この後、再び搬器は加速されて索条を握索して線路中へ出発する。
【0003】
一般的な自動循環式索道においては、2カ所の停留場間で搬器を循環運行するように構成するのが通常であるが、線路の途中でも乗客の乗降を行いたい場合や、線路を水平方向へ屈曲して形成したい場合には、線路の中途位置に中間停留場を設けた構成とすることがある。この場合に中間停留場には、各区間どうしの間にトラックを敷設するとともに、このトラックと各区間のレールとを連結するポイントを設け、索条を放索した搬器がトラックを介して隣り合う区間間を移動するようにし、ポイントを切り替えることにより搬器が単一の区間のみ、または複数の区間を連続して運行されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、自動循環式索道においては、ゴンドラ搬器またはチェア搬器のどちらか一方のみを線路中に配置して運行を行うのが一般的であるが、これらの搬器を混合して運行を行う設備もある。このようにゴンドラ搬器とチェア搬器とを混合して運行する場合には、停留場においてそれぞれの搬器に乗降するときの搬器速度や乗降方法が異なるために、それぞれの搬器に乗降する位置を区分して乗降する方法が従来提案され、また実施されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−129359号公報
【特許文献2】特開2004−51086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように搬器を混合して運行する場合には、各終端部の停留場においては特許文献2に示された方法によって各搬器に乗降することができるが、前記したような複数の区間からなる線路構成の場合には、中間停留場における乗客の乗降方法が問題となる。すなわち、中間停留場においてゴンドラ搬器に乗客が乗降を行う場合に、当該ゴンドラ搬器と後続のチェア搬器との間隔が短いと、チェア搬器の横幅が広い為にゴンドラ搬器に乗降する乗客がチェア搬器に接触する危険性がある。このような事態を回避するには、ゴンドラ搬器と後続のチェア搬器との間隔を広くするように設定すればよいが、このようにすると停留場の長さが長くなるとともに、時間あたりの輸送人員数も減少してしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、中間停留場を有する索道設備において、ゴンドラ搬器およびチェア搬器を混合して運行する場合に乗客が安全に乗降することができ、また、中間停留場の長さを長くすることなく、時間あたりの輸送人員数を確保することのできる自動循環式索道における搬器の運行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、始点停留所と終点停留所との間の中間位置に中間停留所を有し、線路中にゴンドラ搬器とチェア搬器とを交互に配置して運行を行う自動循環式索道において、前記中間停留場以外では、前記ゴンドラ搬器と前記チェア搬器とが所定の間隔を有して運行しており、前記中間停留場では、前記チェア搬器が到着して減速終了後に一時停止を行い、この後、後続の前記ゴンドラ搬器と前記チェア搬器とが前記中間停留場以外を運行しているときよりも接近した状態で移動し、出発時には前記ゴンドラ搬器が加速する前に一時停止をする一方、当該ゴンドラ搬器よりも先行する前記チェア搬器は、前記ゴンドラ搬器が一時停止する間に加速されて前記接近した状態から前記所定の間隔に離間した状態としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゴンドラ搬器とチェア搬器との間隔を広くとらなくても乗客の乗降が安全にでき、したがって、中間停留場の長さを長くすることなく、時間あたりの輸送人員数を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】自動循環式索道の模式図
図2】中間停留場の側面図
図3】移動状態を模式的に示した平面図
図4】移動状態を模式的に示した平面図
図5】移動状態を模式的に示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、自動循環式索道の模式図である。自動循環式索道10は、始点停留場11、中間停留場12、及び終点停留場13を有しており、始点停留場11および終点停留場13には、原動滑車14および折返し滑車15を回転自在に備えている。原動滑車14と折返し滑車15には、索条16を無端状に張り渡し、原動滑車14を回転駆動することにより索条16が滑車14、15間を循環して移動する。
【0012】
索条16には、閉鎖型のゴンドラ搬器17と椅子式のチェア搬器18とを所定の間隔で交互に配置して運行を行う。ゴンドラ搬器17とチェア搬器18には、索条16を握索および放索する握索機を備えており、線路中においては索条16を握索して索条16とともに移動し、各停留場11、12、13においては、索条16を放索するとともに各停留場11、12、13に備えた押送装置により移動する。始点停留場11と終点停留場13には、平面視U字状の走行レール19、20が固設されるとともに、中間停留場12には直線状の走行レール21が固設されており、索条16を放索した各搬器17、18は、これらの走行レール19、20、21に沿って移動する。
【0013】
図2は、中間停留場12の側面図である。中間停留場12の上方には、搬器の進行方向へ直線的に延びる走行レール21が固設されており、この走行レール21に沿っては、搬器を移送するための押送装置22が設置されている。押送装置22は、多数のゴムタイヤを並列配置した従来公知の装置であって、このゴムタイヤが搬器の握索機に当接して回転することにより搬器17、18が移送される。
【0014】
押送装置22には、搬器の到着側から出発側へ向けて減速区間23と回送区間24と加速区間25が設けられており、中間停留場12に到着した搬器は、走行レール21に乗り移るとともに索条16を放索した後減速区間23で減速させられ、次いで回送区間24を微速で移送されて乗客の乗降を行い、この後加速区間25で索条16と同一速度まで加速された後、再び索条16を握索して中間停留場12を出発する。押送装置22の回送区間24の両端部付近には、電磁クラッチおよび電磁ブレーキを備えた一時停止タイヤ26、27を備えている。一時停止タイヤ26、27は、電磁クラッチを切断することにより一時停止タイヤ26、27への駆動力を遮断するとともに、電磁ブレーキを動作させることによって搬器17、18をこの位置に停止させることができる。
【0015】
次ぎに、中間停留場12においてチェア搬器18とゴンドラ搬器17が移動する状態を説明する。なお、この実施の形態においては、中間停留場12ではチェア搬器18の乗客の乗降は行わず、ゴンドラ搬器17の乗客のみが乗降を行う。図3から図5は、チェア搬器18とゴンドラ搬器17の移動状態を模式的に示した平面図である。図3において、チェア搬器18aは、中間停留場12に到着すると減速区間23で減速されて回送区間24へ進行した後、一時停止タイヤ26の位置で停止する。続いて到着したゴンドラ搬器17aが減速した後チェア搬器18a側へ進行し、ゴンドラ搬器17aとチェア搬器18aが最接近すると、一時停止タイヤ26の停止状態が解除されて、ゴンドラ搬器17aとチェア搬器18aが連なって緩速にて進行する。
【0016】
図4に示すように、ゴンドラ搬器17aとチェア搬器18aが進行すると、これにともなってゴンドラ搬器17aの後方には後続のチェア搬器18bが到着し、上記と同様に一時停止する。先行するゴンドラ搬器17aは、この間にも微速で移動しており、したがって先行するゴンドラ搬器17aと後続のチェア搬器18bとの間隔がチェア搬器18bの停止時間分広がる。この後、後続のゴンドラ搬器17bが到着してチェア搬器18bに最接近すると、上記と同様に一時停止タイヤ26の停止状態が解除されて、ゴンドラ搬器17bとチェア搬器18bが連なって緩速にて進行する。ゴンドラ搬器17aおよびチェア搬器18aの進行方向に沿っては、側方に乗降車場28が設けられており、ここに沿ってゴンドラ搬器17a(17b)が移動しながら乗客の乗降が行われる。この際、上記したように先行するゴンドラ搬器17aと後続のチェア搬器18bとの間隔は広げられており、これによって乗客は余裕をもって乗降することができる。
【0017】
続いて、図5に示すように、さらにゴンドラ搬器17aとチェア搬器18aが進行すると、チェア搬器18aが一時停止タイヤ27を通過するときには、一時停止タイヤ27は駆動状態にあり、したがって、チェア搬器18aはそのまま加速区間25へと進入し、加速後索条16を握索して線路中へ出発する。続いて、ゴンドラ搬器17aが一時停止タイヤ27に到達すると、一時停止タイヤ27は停止状態となりゴンドラ搬器17aは停止する。この後、所定の時間が経過すると一時停止タイヤ27が駆動状態となり、ゴンドラ搬器17aは加速区間25へ進行して中間停留場12を出発する。この動作により、ゴンドラ搬器17aとチェア搬器18aとは、到着時に変えられた互いの搬器間隔が元に戻されて、線路中において所定の間隔で配置される。以後、中間停留場12に到着した後続の搬器17、18は、上記と同様の動作を行って繰り返し運行される。
【符号の説明】
【0018】
10 自動循環式索道
11 始点停留場
12 中間停留場
13 終点停留場
14 原動滑車
15 折返し滑車
16 索条
17 ゴンドラ搬器
17a ゴンドラ搬器
17b ゴンドラ搬器
18 チェア搬器
18a チェア搬器
18b チェア搬器
19 走行レール
20 走行レール
21 走行レール
22 押送装置
23 減速区間
24 回送区間
25 加速区間
26 一時停止タイヤ
27 一時停止タイヤ
28 乗降車場
図1
図2
図3
図4
図5