(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記半田厚み情報と、前記接続部高さ情報とに基づいて、前記部品の複数の接続部のうちの一部を対応する半田に接触させた場合の、前記基板の他の半田と、対応する前記部品の前記接続部との隙間を算出して、前記基板の前記複数の半田配置領域への前記部品の実装の可否を判断するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
前記制御部は、算出した前記基板の半田と前記部品の対応する前記接続部との隙間が、全ての接続部についてしきい値以下であれば、前記部品が前記基板の前記複数の半田配置領域へ実装可能であると判断し、算出した前記基板の半田と前記部品の対応する前記接続部との隙間が、一部または全ての接続部についてしきい値より大きければ、前記部品が前記基板の前記複数の半田配置領域へ実装可能でないと判断するように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
前記半田厚み情報は、外部記憶装置に記憶されるか、または、上流の部品実装装置から下流の部品実装装置へ転送されるように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の電子部品の実装装置(部品実装装置)において、上記従来の技術を適用した場合には、複数のリード(接続部)を有する部品を実装しようとする場合に、基板の半田厚み、および、部品の複数のリードの高さに基づいて、基板上に部品を実装可能か否かをそれぞれ判断すると考えられる。この場合、部品実装の質を担保するために、実装可能となるそれぞれの基準(半田厚みの基準および部品の複数のリードの高さの基準)を厳格にする必要がある。このため、半田厚みの基準を満たさない基板と、部品の複数のリードの高さ基準を満たさに部品とが、それぞれ増加するため、基板上に部品を実装可能でないと判断された基板および部品が廃棄される量がそれぞれ増加するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の接続部を有する部品を実装する場合に、廃棄される基板および部品が増加するのを抑制することが可能な部品実装装置および部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における部品実装装置は、基板に部品を実装する実装部と、基板の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、複数の半田配置領域に対応する部品の複数の接続部の接続部高さ情報とに基づいて、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断する制御部とを備え
、制御部は、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、基板の半田と、対応する部品の接続部との隙間を算出して、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断するとともに、複数の半田配置領域を含む一の搭載点への部品の実装が否である場合に、複数の半田配置領域を含む他の搭載点への部品の実装の可否を判断するように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、基板の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、複数の半田配置領域に対応する部品の複数の接続部の接続部高さ情報とに基づいて、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断する制御部を設ける。これにより、半田配置領域の半田厚みと、対応する接続部の高さとの相性を加味して、複数の接続部を有する部品の実装の可否を判断することができる。たとえば、基板の複数の半田の凹凸と、部品の複数の接続部の凹凸との対応する隙間の大きさに基づいて、複数の接続部を有する部品の実装の可否を判断することができる。これにより、基板の半田厚み、および、部品の複数の接続部の高さに基づいて、基板上に部品を実装可能か否かをそれぞれ判断する場合と比べて、個々の基準を厳格にしなくても、部品実装の質を担保することができる。その結果、複数の接続部を有する部品を実装する場合に、廃棄される基板および部品が増加するのを抑制することができる。これにより、歩留りを向上させることができる。また、基板上に部品を実装可能か否かを精度よく判断することができるので、部品の接続部と半田との接合不良の発生を抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、部品の複数の接続部のうちの一部を対応する半田に接触させた場合の、基板の他の半田と、対応する部品の接続部との隙間を算出して、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断するように構成されている。このように構成すれば、部品の複数の接続部のうちの一部を対応する半田に接触させた場合の、基板の他の半田と、対応する部品の接続部との隙間に基づいて、複数の接続部を有する部品の実装の可否を精度よく判断することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、算出した基板の半田と部品の対応する接続部との隙間が、全ての接続部についてしきい値以下であれば、部品が基板の複数の半田配置領域へ実装可能であると判断し、算出した基板の半田と部品の対応する接続部との隙間が、一部または全ての接続部についてしきい値より大きければ、部品が基板の複数の半田配置領域へ実装可能でないと判断するように構成されている。このように構成すれば、算出した基板の半田と部品の対応する接続部との隙間が、一部または全ての接続部についてしきい値より大きい場合にだけ、部品が基板の複数の半田配置領域へ実装可能でないと判断される。これにより、部品の複数の接続部の高さに基づいて、基板上に部品を実装可能か否かをそれぞれ判断する場合と比べて、廃棄される基板および部品が増加するのを効果的に抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、接続部高さ情報は、部品の複数の接続部の平坦度情報を含む。このように構成すれば、接続部の数が多くなった場合でも、部品の複数の接続部の平坦度情報に基づいて、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を容易に判断することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、半田厚み情報は、外部記憶装置に記憶されるか、または、上流の部品実装装置から下流の部品実装装置へ転送されるように構成されている。このように構成すれば、半田厚み情報を外部記憶装置に記憶させた場合、下流側の部品実装装置において、外部記憶装置に記憶された半田厚み情報を用いて、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を容易に判断することができる。また、半田厚み情報を上流の部品実装装置から下流の部品実装装置へ転送させた場合、基板の搬送とともに、半田厚み情報を下流側の部品実装装置に移転させることができるので、下流側の部品実装装置において、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を容易に判断することができる。
【0014】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、半田厚み情報、および、接続部高さ情報は、部品実装装置または外部装置により
部品の実装動作よりも事前に測定されるように構成されている。このように構成すれば、部品を実装する際に、半田厚みの測定および接続部の高さの測定を行う必要がないので、その分、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、基板に複数の同種の部品を実装する場合
、基板の複数の半田配置領域
に部品を実装可能か否かを識別して順次実装するように構成されている。このように構成すれば、部品を実装可能な位置に順次実装するので、実装部が実装可能な部品を吸着し直してから実装する場合に比べて、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0016】
この場合、好ましくは、基板に複数の同種の部品を実装する場合、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、複数の部品
が基板の複数の半田配置領域のそれぞれ適する位置に実装
される第1モードと、
半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、実装部に保持される部品
が実装可能な基板の複数の半田配置領域
に順次実装
される第2モードとを選択可能に構成されている。このように構成すれば、複数の部品を基板の複数の半田配置領域のそれぞれ適する位置に実装する第1モードの場合、部品の接続部と半田との接合不良の発生を効果的に抑制することができる。また、部品を実装可能な基板の複数の半田配置領域を識別して順次実装する第2モードの場合、部品を実装可能な位置に順次実装するので、実装部が実装可能な部品を吸着し直してから実装する場合に比べて、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0017】
この発明の第2の局面における部品実装システムは、基板に部品を実装する実装部を含む部品実装装置と、基板の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、複数の半田配置領域に対応する部品の複数の接続部の接続部高さ情報とに基づいて、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断する制御部とを備え
、制御部は、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、基板の半田と、対応する部品の接続部との隙間を算出して、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断するとともに、複数の半田配置領域を含む一の搭載点への部品の実装が否である場合に、複数の半田配置領域を含む他の搭載点への部品の実装の可否を判断するように構成されている。
【0018】
この発明の第2の局面による部品実装システムでは、上記のように、基板の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、複数の半田配置領域に対応する部品の複数の接続部の接続部高さ情報とに基づいて、基板の複数の半田配置領域への部品の実装の可否を判断する制御部を設ける。これにより、半田配置領域の半田厚みと、対応する接続部の高さとの相性を加味して、複数の接続部を有する部品の実装の可否を判断することができる。たとえば、基板の複数の半田の凹凸と、部品の複数の接続部の凹凸との対応する隙間の大きさに基づいて、複数の接続部を有する部品の実装の可否を判断することができる。これにより、基板の半田厚み、および、部品の複数の接続部の高さに基づいて、基板上に部品を実装可能か否かをそれぞれ判断する場合と比べて、個々の基準を厳格にしなくても、部品実装の質を担保することができる。その結果、複数の接続部を有する部品を実装する場合に、廃棄される基板および部品が増加するのを抑制することができる。これにより、歩留りを向上させることができる。また、基板上に部品を実装可能か否かを精度よく判断することができるので、部品の接続部と半田との接合不良の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、複数の接続部を有する部品を実装する場合に、廃棄される基板および部品が増加するのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1を参照して、本発明の一実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0023】
(部品実装システムの構成)
本実施形態による部品実装システム100は、基板10に部品431および432を実装して、部品431および432が実装された基板10を製造するように構成されている。部品実装システム100は、
図1に示すように、制御装置1と、印刷機2と、検査装置3と、実装装置4(4a、4b、4c)とを備えている。部品実装装置4(4a、4b、4c)は、基板製造ラインに沿って複数設けられている。なお、制御装置1は、特許請求の範囲の「外部記憶装置」の一例である。
【0024】
また、部品実装システム100では、基板製造ラインに沿って上流側(左側)から下流側(右側)に向かって基板10が搬送されるように構成されている。また、部品実装システム100を構成する各装置(印刷機2、検査装置3、部品実装装置4)は、各々が制御部を有する自立型の装置であり、各装置の動作は、各々の制御部により個別に制御されている。また、制御装置1は、制御プログラム(生産プログラム)を実行して部品実装システム100全体を統括する役割を有している。つまり、制御装置1と各装置とが生産計画に関する情報を随時送受信することにより、部品実装システム100において部品431および432が実装された基板10の生産が行われるように構成されている。
【0025】
次に、部品実装システム100を構成する各装置の構成について説明を行う。
【0026】
制御装置1は、部品実装システム100の各装置を制御するように構成されている。また、制御装置1は、記憶部1aを備えている。また、制御装置1は、たとえば、部品実装システム100を管理する管理パソコンなどである。
【0027】
印刷機2は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板10の実装面上に塗布する機能を有する。また、印刷機2は、印刷後の基板10を下流の検査装置3に受け渡すように構成されている。具体的には、印刷機2は、基板10を搬送する搬送部と、所定の位置において固定された基板10にクリーム半田の印刷を行う作業部とを備えている。
【0028】
検査装置3は、可視光により基板10の外観を検査する機能を有する。具体的には、検査装置3は、基板10に印刷された半田11の状態を検査するように構成されている。また、検査装置3は、基板10に印刷された半田11の高さを計測して、半田厚み情報を取得することが可能に構成されている。また、検査装置3は、検査後の基板10を下流の部品実装装置4(4a)に受け渡すように構成されている。
【0029】
部品実装装置4は、クリーム半田が印刷された基板10の所定の実装位置に部品を実装(搭載)する機能を有する。なお、部品は、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。また、部品実装装置4(4a〜4c)は、基板10の搬送方向に沿って複数配置されている。複数の部品実装装置4は、基板10の搬送方向上流から、部品実装装置4a、部品実装装置4b、部品実装装置4cの順で配置されている。部品実装装置4a〜4cは、同様の構成を有している。また、部品実装装置4(4a〜4c)は、
図2に示すように、基台41と、一対のコンベア42と、部品供給部43と、ヘッドユニット44と、支持部45と、一対のレール部46と、部品認識撮像部47と、制御部48とを備えている。なお、ヘッドユニット44は、特許請求の範囲の「実装部」の一例である。
【0030】
一対のコンベア42は、基台41上に設置され、基板10をX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア42は、搬送中の基板10を実装作業位置で停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア42は、基板10の寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0031】
部品供給部43は、一対のコンベア42の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部43には、複数のテープフィーダ43aまたは部品供給トレイ43bが配置されている。
【0032】
テープフィーダ43aは、複数の部品431を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ43aは、リールを回転させて部品431を保持するテープを送出することにより、テープフィーダ43aの先端から部品431を供給するように構成されている。部品供給トレイ43bは、大型の部品432を供給するように構成されている。具体的には、部品供給トレイ43bには、部品432が所定の間隔を隔てて配置されている。なお、部品432は、複数のリード432a(接続部)(
図4参照)を有する電子部品である。
【0033】
ヘッドユニット44は、一対のコンベア42の上方と部品供給部43の上方との間を移動するように設けられており、ノズルが下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド441と、基板認識カメラ442と、撮像ユニット443とを含んでいる。
【0034】
実装ヘッド441は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、負圧発生機(図示せず)によりノズルの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ43aまたは部品供給トレイ43bから供給される部品(部品431または部品432)を吸着して保持し、基板10における実装位置に部品を装着(実装)するように構成されている。
【0035】
基板認識カメラ442は、基板10の位置および姿勢を認識するために、基板10のフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板10における部品(部品431および432)の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0036】
撮像ユニット443は、ヘッドユニット44に取り付けられている。これにより、撮像ユニット443は、ヘッドユニット44がXY方向に移動することにより、ヘッドユニット44と共にXY方向に移動するように構成されている。また、撮像ユニット443は、基板10の実装位置を複数の方向(角度)から撮像することが可能である。たとえば、撮像ユニット443は、ステレオカメラを含む。また、撮像ユニット443は、撮像により基板10の実装位置の高さを測定することが可能に構成されている。また、撮像ユニット443は、基板10に印刷された半田11の高さを計測して、半田厚み情報を取得することが可能に構成されている。
【0037】
具体的には、
図3に示すように、撮像ユニット443は、基板10の実装位置12の複数の半田配置領域の半田11の厚み(高さ)(ha1〜ha12)を測定可能に構成されている。半田11の厚み(ha1〜ha12)は、時間経過による半田粘度の変化や、半田品種、印刷機2のマスク開口部方向とスキージ移動方向などにより、それぞれ異なる場合がある。
【0038】
図2に示すように、支持部45は、モータ451を含んでいる。支持部45は、モータ451を駆動させることにより、支持部45に沿ってヘッドユニット44をX方向に移動させるように構成されている。支持部45は、両端部が一対のレール部46により支持されている。
【0039】
一対のレール部46は、基台41上に固定されている。X1側のレール部46は、モータ461を含んでいる。レール部46は、モータ461を駆動させることにより、支持部45を一対のレール部46に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット44が支持部45に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部45がレール部46に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット44はXY方向に移動可能である。
【0040】
部品認識撮像部47は、基台41の上面上に固定されている。部品認識撮像部47は、一対のコンベア42の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部47は、部品(部品431および432)の実装に先立って部品の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド441のノズルに吸着された部品を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド441のノズルに吸着された部品(部品431および432)の吸着状態を取得することが可能である。また、部品認識撮像部47は、部品432の複数のリード432aの高さを測定して、部品432の接続部高さ情報を取得することが可能に構成されている。具体的には、
図4に示すように、部品認識撮像部47は、部品432の複数のリード432aの高さ(hb1〜hb12)を測定可能に構成されている。また、部品認識撮像部47は、部品432を複数の方向(角度)から撮像することが可能である。たとえば、部品認識撮像部47は、ステレオカメラを含む。
【0041】
制御部48は、CPUを含んでおり、一対のコンベア2による基板10の搬送動作、ヘッドユニット44による実装動作、部品認識撮像部47や撮像ユニット443による撮像動作などの部品実装装置4の全体の動作を制御するように構成されている。
【0042】
ここで、本実施形態では、制御部48は、基板10の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、複数の半田配置領域に対応する部品432の複数のリード432aの接続部高さ情報とに基づいて、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を判断するように構成されている。
【0043】
具体的には、
図5に示すように、制御部48は、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、部品432の複数のリード432aのうちの一部を対応する半田11に接触させた場合の、基板10の他の半田11と、対応する部品432のリード432aとの隙間(d1〜d5)を算出して、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を判断するように構成されている。
【0044】
また、制御部48は、算出した基板10の半田11と部品432の対応するリード432aとの隙間が、全てのリード432aについてしきい値以下であれば、部品432が基板10の複数の半田配置領域へ実装可能であると判断するように構成されている。なお、しきい値は、部品432を半田11に対して押し込んで実装(搭載)した場合に、リード432aが半田11と接合可能となるような値に設定されている。また、制御部48は、算出した基板10の半田11と部品432の対応するリード432aとの隙間が、一部または全てのリード432aについてしきい値より大きければ、部品432が基板10の複数の半田配置領域へ実装可能でないと判断するように構成されている。
【0045】
また、本実施形態では、接続部高さ情報は、部品432の複数のリード432aの平坦度情報を含む。平坦度(コプラナリティ)情報は、部品432の複数のリード432aがある平面に対して、それぞれどの程度ズレているかを示す情報である。なお、平坦度情報を含む接続部高さ情報は、部品実装装置4または外部装置により事前に測定されるように構成されている。たとえば、部品実装装置4により接続部高さ情報を事前に測定する場合は、部品実装装置4に基板10を搬入・搬出する時、基板10の搬送待ちの時に、行われる。また、事前に接続部高さ情報が測定された部品432は、測定結果が紐付された状態で、部品供給トレイ43bの所定の位置に載置される。
【0046】
また、半田厚み情報は、部品実装装置4または外部装置により事前に測定されるように構成されている。たとえば、外部装置により半田厚み情報を事前に測定する場合は、印刷機2により半田11が印刷された後の検査装置3により行われる。また、半田厚み情報は、外部の制御装置1に記憶されるか、または、上流の部品実装装置4(4aまたは4b)から下流の部品実装装置4(4bまたは4c)へ転送されるように構成されている。つまり、半田厚み情報が上流側の装置により取得された場合、外部の制御装置1の記憶部1aに記憶されるか、または、基板10の搬送とともに、下流の装置に転送されるように構成されている。
【0047】
また、本実施形態では、部品実装装置4は、基板10に複数の同種の部品432を実装する場合、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、複数の部品432を基板10の複数の半田配置領域のそれぞれ適する位置に実装する第1モードと、部品432を実装可能な基板10の複数の半田配置領域を識別して順次実装する第2モードとを選択可能に構成されている。具体的には、
図6に示すように、基板10に複数の同種の部品432を実装する実装位置12がある場合、第1モードでは、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、複数の部品432が基板10の複数の実装位置12のそれぞれ最適な位置に実装(搭載)される。また、第2モードでは、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、ヘッドユニット44に保持される部品432が実装可能な実装位置12に順次実装(搭載)される。
【0048】
(接続部毎の隙間の計算処理)
次に、
図7および
図8を参照して、本実施形態の部品実装装置4の制御部48による接続部毎の隙間の計算処理について説明する。
【0049】
ステップS1において、基板10に部品432が実装される実装領域12の複数の半田11(
図3参照)のうち、最も厚い(高い)ものから順に3点抽出される。ステップS2において、抽出された3点の半田11の先端を通る半田側の面が算出される。
【0050】
ステップS3において、
図8に示すように、算出された半田側の面に対して各半田11の凹凸量が算出される。つまり、抽出された3点以外の半田11と、半田側の面との差が算出される。この場合、半田11が半田側の面より下にある場合、負の値となり、半田11が半田側の面より上にある場合、正の値となる。
【0051】
図7のステップS4において、半田側の面の算出に使用された3点の半田11に対応する点を使用して部品側の面が算出される。つまり、半田側の面に用いられた半田11に対応する部品432のリード432a(接続部)の先端を通る部品側の面が算出される。
【0052】
ステップS5において、
図8に示すように、算出された部品側の面に対して各リード432aの凹凸量が算出される。つまり、部品側の面を算出するために用いられた3点以外のリード432aと、部品側の面との差が算出される。この場合、リード432aが部品側の面より下にある場合、負の値となり、リード432aが部品側の面より上にある場合、正の値となる。
【0053】
図7のステップS6において、接続部(リード432a)毎の隙間が算出される。なお、接続部の隙間は、部品側のリード432aの凹凸量から対応する半田側の凹凸量が引かれることにより算出される。値が正であれば、隙間があることを示している。一方、値が負であれば、半田11にリード432aがめり込むことを示している。
【0054】
ステップS7において、全ての隙間が0以上か否かが判断される。全ての隙間が0以上であれば、接続部毎の隙間の計算処理が終了される。一方、一部の隙間が0未満である場合、ステップS8に進む。ステップS8において、隙間が小さい方から抽出する3点を選び直す。そして、ステップS2に戻る。その後、全ての隙間が0以上となるまで、ステップS2〜S8の処理が繰り返される。
【0055】
(部品搭載処理)
次に、
図9を参照して、本実施形態の部品実装装置4の制御部48による部品搭載処理について説明する。
【0056】
ステップS11において、注目搭載点(実装領域12)の半田厚み情報が取得される。ステップS12において、コプラナリティ情報(平坦度情報)が取得された部品432があるか否かが判断される。部品432があれば、ステップS13に進み、部品432がなければ、ステップS17に進む。
【0057】
ステップS13において、注目部品(平坦度情報が取得された部品432)が注目搭載点(実装領域12)に搭載可能か否かが判断される。具体的には、基板10の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、対応する部品432の複数のリード432aの接続部高さ情報とに基づいて、基板10への部品432の実装の可否が判断される。搭載可能であれば、ステップS14に進み、搭載可能でなければ、ステップS25に進む。ステップS14において、ヘッドユニット44により部品432が吸着される。また、吸着された部品432の位置決め認識が行われ、基板10に部品432が搭載(実装)される。
【0058】
ステップS15において、次の搭載点があるか否かが判断される。次の搭載点があれば、ステップS16に進み、次の搭載点がなければ、部品搭載処理が終了される。ステップS16において、次の注目搭載点(実装領域12)が設定された後、ステップS11に戻る。
【0059】
ステップS12においてコプラナリティ情報が取得された部品432がないと判断された場合、ステップS17において、次の吸着位置の部品432が吸着される。また、吸着された部品432の位置決め認識が行われる。また、吸着された部品432のコプラナリティ情報(平坦度情報)が取得される。
【0060】
ステップS18において、吸着された部品432のコプラナリティ(平坦度)がしきい値以下であるか否かが判断される。つまり、部品432のリード432aの凹凸のバラツキが大きいか否かが判断される。コプラナリティがしきい値以下であれば、ステップS20に進み、コプラナリティがしきい値より大きければ、ステップS19に進む。ステップS19において、コプラナリティがしきい値より大きい部品432が廃棄される。その後ステップS17に戻る。
【0061】
ステップS20において、吸着されている部品432が注目搭載点(実装領域12)に搭載可能か否かが判断される。具体的には、基板10の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、対応する部品432の複数のリード432aの接続部高さ情報とに基づいて、基板10への部品432の実装の可否が判断される。搭載可能であれば、ステップS21に進み、搭載可能でなければ、ステップS22に進む。ステップS21において、基板10に部品432が搭載(実装)される。その後、ステップS15に進む。
【0062】
ステップS22において、搭載可能な別の搭載点があるか否かが判断される。つまり、部品432の複数のリード432aの接続部高さ情報と、基板10の他の対応する実装領域12の半田厚み情報とに基づいて、基板10の他の搭載点(実装領域12)への部品432の実装の可否が判断される。別の搭載点があれば、ステップS23に進み、別の搭載点がなければ、ステップS24に進む。
【0063】
ステップS23において、吸着された部品432が実装可能な別の搭載点(実装領域12)に搭載(実装)される。その後、ステップS11に戻る。ステップS24において、吸着された部品432がコプラナリティ情報(平坦度情報)の取得済み部品としてストックされる。その後、ステップS11に戻る。
【0064】
ステップS13において注目部品が搭載可能でないと判断された場合、ステップS25において、コプラナリティ情報(平坦度情報)が取得された部品432があるか否かが判断される。部品432があれば、ステップS26に進み、部品432がなければ、ステップS17に進む。ステップS26において、次の注目部品が設定された後、ステップS13に戻る。
【0065】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
本実施形態では、上記のように、基板10の複数の半田配置領域の半田厚み情報と、複数の半田配置領域に対応する部品432の複数のリード432aの接続部高さ情報とに基づいて、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を判断する制御部48を設ける。これにより、半田配置領域の半田厚みと、対応するリード432aの高さとの相性を加味して、複数のリード432aを有する部品432の実装の可否を判断することができる。すなわち、基板10の複数の半田11の凹凸と、部品432の複数のリード432aの凹凸との対応する隙間の大きさに基づいて、複数のリード432aを有する部品432の実装の可否を判断することができる。これにより、基板10の半田厚み、および、部品432の複数のリード432aの高さに基づいて、基板10上に部品432を実装可能か否かをそれぞれ判断する場合と比べて、個々の基準を厳格にしなくても、部品実装の質を担保することができる。その結果、複数のリード432aを有する部品432を実装する場合に、廃棄される基板10および部品432が増加するのを抑制することができる。これにより、歩留りを向上させることができる。また、基板10上に部品432を実装可能か否かを精度よく判断することができるので、部品432のリード432aと半田11との接合不良の発生を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、制御部48を、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、部品432の複数のリード432aのうちの一部を対応する半田11に接触させた場合の、基板10の他の半田11と、対応する部品432のリード432aとの隙間を算出して、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を判断するように構成する。これにより、部品432の複数のリード432aのうちの一部を対応する半田11に接触させた場合の、基板10の他の半田11と、対応する部品432のリード432aとの隙間に基づいて、複数のリード432aを有する部品432の実装の可否を精度よく判断することができる。
【0068】
また、本実施形態では、制御部48を、算出した基板10の半田11と部品432の対応するリード432aとの隙間が、全てのリード432aについてしきい値以下であれば、部品432が基板10の複数の半田配置領域へ実装可能であると判断し、算出した基板10の半田11と部品432の対応するリード432aとの隙間が、一部または全てのリード432aについてしきい値より大きければ、部品432が基板10の複数の半田配置領域へ実装可能でないと判断するように構成する。これにより、算出した基板10の半田11と部品432の対応するリード432aとの隙間が、一部または全てのリード432aについてしきい値より大きい場合にだけ、部品432が基板10の複数の半田配置領域へ実装可能でないと判断される。その結果、部品432の複数のリード432aの高さに基づいて、基板10上に部品432を実装可能か否かをそれぞれ判断する場合と比べて、廃棄される基板10および部品432が増加するのを効果的に抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、接続部高さ情報は、部品432の複数のリード432aの平坦度情報を含む。これにより、リード432aの数が多くなった場合でも、部品432の複数のリード432aの平坦度情報に基づいて、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を容易に判断することができる。
【0070】
また、本実施形態では、半田厚み情報は、外部の制御装置1に記憶されるか、または、上流の部品実装装置4(4aまたは4b)から下流の部品実装装置4(4bまたは4c)へ転送されるように構成する。これにより、半田厚み情報を外部の制御装置1に記憶させた場合、下流側の部品実装装置4において、外部の制御装置1に記憶された半田厚み情報を用いて、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を容易に判断することができる。また、半田厚み情報を上流の部品実装装置4から下流の部品実装装置4へ転送させた場合、基板10の搬送とともに、半田厚み情報を下流側の部品実装装置4に移転させることができるので、下流側の部品実装装置4において、基板10の複数の半田配置領域への部品432の実装の可否を容易に判断することができる。
【0071】
また、本実施形態では、半田厚み情報、および、接続部高さ情報が、部品実装装置4または外部装置により事前に測定されるように構成する。これにより、部品432を実装する際に、半田厚みの測定およびリード432aの高さの測定を行う必要がないので、その分、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、基板10に複数の同種の部品432を実装する場合、部品432を実装可能な基板10の複数の半田配置領域を識別して順次実装するように構成する。これにより、部品432を実装可能な位置に順次実装するので、ヘッドユニット44が実装可能な部品432を吸着し直してから実装する場合に比べて、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0073】
また、本実施形態では、基板10に複数の同種の部品432を実装する場合、半田厚み情報と、接続部高さ情報とに基づいて、複数の部品432を基板10の複数の半田配置領域のそれぞれ適する位置に実装する第1モードと、部品432を実装可能な基板10の複数の半田配置領域を識別して順次実装する第2モードとを選択可能に構成する。これにより、複数の部品432を基板10の複数の半田配置領域のそれぞれ適する位置に実装する第1モードの場合、部品432のリード432aと半田11との接合不良の発生を効果的に抑制することができる。また、部品432を実装可能な基板10の複数の半田配置領域を識別して順次実装する第2モードの場合、部品432を実装可能な位置に順次実装するので、ヘッドユニット44が実装可能な部品432を吸着し直してから実装する場合に比べて、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0074】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0075】
たとえば、上記実施形態では、部品実装装置に設けられた制御部が半田厚み情報と接続部高さ情報とに基づいて、基板への部品の実装の可否を判断する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置の外部に設けられた制御部が半田厚み情報と接続部高さ情報とに基づいて、基板への部品の実装の可否を判断してもよい。たとえば、部品実装システム全体を制御する制御装置1が半田厚み情報と接続部高さ情報とに基づいて、基板への部品の実装の可否を判断してもよい。この場合、制御装置1は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0076】
また、上記実施形態では、部品の接続部がリードである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の接続部がボール状の電極であってもよい。この場合、接続部高さ情報を、部品のボール状の電極の高さを測定することにより取得するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、部品供給トレイから供給される部品について、半田厚み情報と接続部高さ情報とに基づいて、基板への部品の実装の可否を判断される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給トレイ以外から供給される部品が半田厚み情報と接続部高さ情報とに基づいて、基板への部品の実装の可否を判断される構成でもよい。たとえば、テープフィーダから供給される部品が半田厚み情報と接続部高さ情報とに基づいて、基板への部品の実装の可否を判断される構成でもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、印刷機と検査装置とが別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、印刷機に検査装置の機能を持たせて一体的に構成してもよい。この場合、印刷機により印刷した基板の半田の厚みを印刷機により測定して、半田厚み情報を印刷機により取得してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、部品実装システムに制御装置が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の装置のそれぞれの制御部により基板の実装処理が制御されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。