(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.継ぎ目処理用ノズル部材
本発明の継ぎ目処理用ノズル部材(本発明部材)は、内装用シートどうしの突き合わせ部に継ぎ目処理剤を注入するためのノズル部材であって、
(1)前記ノズル部材は、針部、ノズル胴体部及びノズル先端部を有し、これらは互いに脱着可能な状態で連結されており、
(2)針部は、ノズル部材の先端に配置されており、針状体及びそれを固定するための支持部を有し、
(3)ノズル胴体部は、(3a)その長尺方向に貫通した流路Aを有し、(3b)前記流路Aにおいて、前記支持部の一部又は全部を挿入することにより、少なくとも前記方向と直角方向に支持部を固定できる領域A1を有し、(3c)ノズル先端部と連結するための連結部A3を有し、
(4)ノズル先端部は、(4a)その長尺方向に貫通した流路Bを有し、(4b)ノズル胴体部と連結するための連結部B3を有し、
(5)前記針状体がノズル先端部の流路Bを貫通してノズル先端部の先端側の開口部から突き出し、かつ、前記開口部と針状体とが断面方向において隙間を有しながら、流路A及び流路Bが1つの流路を形成するように前記連結部A3及び連結部B3で連結されている、
ことを特徴とする。
【0026】
上記のように、本発明部材の主な構成部品としては、針部、ノズル胴体部及びノズル先端部から構成される。このため、本発明部材では、これらの構成部品以外にも、必要に応じて他の部品が付属又は装着されていても良い。
【0027】
図1には、本発明部材の構成部品である針部の一例を示す。
図2には、本発明部材の構成部品であるノズル胴体部2の一例を示す。
図3には、本発明部材の構成部品であるノズル先端部の一例を示す。また、本発明部材10を容器51に取り付けた製品を
図17及び
図18に示す。以下、これらの図面を用いながら本発明部材について詳細に説明する。
【0028】
なお、本発明部材において、特にことわりのない限り、ノズル部材10全体をみた場合において、ノズル部材の針部1(より具体的には針状体の先端方向)を「先端」、その反対方向(容器開口部と連結される方向)を「末端」という。
【0029】
本発明部材において用いられる継ぎ目処理剤は、内装用シートの突き合わせ部を接合するための液状組成物であり、樹脂成分を含む樹脂含有シーム液(溶液タイプ又はエマルションタイプ)のほか、1種又は2種以上の溶剤からなる溶剤型シーム液等のいずれも包含するものである。換言すれば、本発明部材においては、公知又は市販のシーム液のいずれも適用することができる。
【0030】
(1)針部
図1に示すように、針部1は、ノズル部材10の先端に配置されており、針状体11及びそれをノズル胴体部2に固定するための支持部12を有する。支持部12と針状体11とは、一体的に成形されていても良いし、予め別々に作製された支持部と針状体とを溶接等により接合しても良い。
【0031】
針状体11は、先端部が尖っており、外表面をつたって、その先端に継ぎ目処理剤が送られる。針状体の素材は特に限定的ではなく、例えば金属、セラミックス、プラスチックス等のいずれであっても良い。特に、継ぎ目処理剤の注入時において針先が比較的強く内装用シートないしは下地に押し付けられるので、その圧力に耐える素材であることが好ましい。かかる見地よりステンレス鋼、スチール、鉄等の金属又は合金から構成されることが好ましい。とりわけ、強度、加工性等の見地より、本発明では鉄又は鉄系合金(ステンレス鋼、スチール等)が好適であり、さびにくいのでステンレス鋼が特に好適である。
【0032】
針状体11の太さ、長さ、尖り具合等は、適用する部位、用いる継ぎ目処理剤の種類等に応じて適宜変更することができる。例えば、針状体11は、根元の太さが1〜2mmであり、長さが10〜20cmとなるように設定することができる。
【0033】
針状体11の形状は、断面が円形、楕円形、三角形、矩形等の各種の形状を採用でき、特に限定されないが、強度が強く、加工性、施工性等に優れることからその断面形状が円形であることが最も好ましい。
【0034】
支持部12は、針状体11をノズル胴体部2に固定する機能を有する。また、支持部12は、ノズル胴体部2との連結部として機能するとともに、継ぎ目処理剤の流量を制御する役割も有する。
【0035】
針部1がノズル胴体部2と連結される際は、支持部12がノズル胴体部2の領域A1に嵌め込まれる。これにより、ノズル胴体部の長尺方向に対して少なくとも直角方向(a−a‘方向)に支持部が固定される。この場合、支持部12の外寸と胴体部2の領域A1の内寸とが近いほど針状体11の前記直角方向におけるぐらつきをより効果的に抑制できる。また、支持部12の外表面と、胴体部2の領域A1との接触面積が大きいほど、また接触する箇所が多くなるほど、針状体11のぐらつきを抑制できる。
【0036】
この場合、継ぎ目処理剤の流れを確保できるような断面形状を流路A及び/又は支持部12に付与する必要がある。特に、部材の加工の容易さ等の見地より、支持部12の断面形状が、前記流路Aから前記流路Bに継ぎ目処理剤が流れるような形状に形成されていることが好ましい。これにより、断面の面積が異なる支持部12を数種類使い分けることができる結果、所望の継ぎ目処理剤流量に適宜調節することができる。その一方で、継ぎ目処理剤の粘度等に応じて、支持部12を使い分けることも可能である。例えば、同じ流路面積であれば継ぎ目処理剤の粘度が高いほど吐出速度が遅くなるが、断面の面積が小さな支持部を使用することにより、所望の継ぎ目処理剤吐出速度を確保することができる。
【0037】
支持部12の断面形状は、所望の継ぎ目処理剤流量が確保できる限りは特に限定されることなく、適宜設定することができる。支持部12は、針部1のぐらつき抑制及び継ぎ目処理剤吐出速度の2つの観点のバランスをとるように、その形状を設計することが好ましい。
【0038】
例えば、
図4に示すように、支持部12においては、その断面形状として例えば略板状(a)、略十字状(b)、略三角状(c)等の種々の形状を採用することができる。
図4(a)〜(c)は、流路Aの断面が円形状である場合に、そこに支持部12を挿入している状態を示す。
【0039】
図4(a)に示すように、ノズル胴体部2の流路Aに略板状の支持部12を挿入することにより、流路が狭くなる結果、継ぎ目処理剤の吐出量を制御することができる。このとき、例えば
図4(a)において、板状の厚みがより薄い支持部12を有する針部に交換すれば、より多くの継ぎ目処理剤吐出量を得ることができる。一方、板状の厚みがより厚い支持部12を有する針部1に交換すれば、支持部12の外表面(側面)と、胴体部2の領域A1との接触面積が大きくなり、針部1のぐらつきをより抑制することができる。
【0040】
図4(a)には、断面形状が略板状の支持部12を示す。この形状では、板状の厚みを調整することにより、針部1(特に針状体11)のぐらつき抑制と継ぎ目処理剤吐出速度のバランスを容易にとることができる。加えて、製造が簡単で安価に製造することが可能であるというメリットも有する。
【0041】
図4(b)には、断面形状が略十字状の支持部12を示す。この形状では、流路Aに挿入することにより、支持部12の外表面と、胴体部2の領域A1との接触箇所が4箇所となり、継ぎ目処理剤吐出量を確保しつつ、針部1(特に針状体11)のぐらつきをより抑制することができる。
【0042】
図4(c)には、断面形状が略三角状の支持部12を示す。この形状では、流路Aに挿入することにより、支持部12の外表面と、胴体部2の領域A1との接触箇所が3箇所となり、継ぎ目処理剤の吐出量を確保しつつ、針部1(特に針状体11)のぐらつきをより抑制することができる。略三角状の支持部12は、針部1のぐらつき抑制と継ぎ目処理剤吐出速度のバランスが良く、また加工も比較的容易なことから、特に好ましい。
【0043】
また、
図4(a)〜(c)のような形態において、その断面形状を若干変形させることによって吐出量等を精度良く制御することも可能である。例えば、
図5に示すように、
図4(c)のような略三角形状の支持部12(
図5(c))に対し、各辺を内側に湾曲させた断面形状(
図5(c1))を採用することにより継ぎ目処理剤の吐出量を増大させることができる。それとは逆に、各辺を外側に湾曲させた断面形状(
図5(c2))を採用することにより継ぎ目処理剤の吐出量を少なくすることができる。このように各辺の湾曲の形態を変更することによって、使用する継ぎ目処理剤を変更した場合でも、容易に吐出量を調整することができる。
【0044】
支持部12は、
図1に示すように、前記支持部12の先端側の一部が針状体の先端に向かって次第に断面積が小さくなるテーパー状部13を有していても良い。テーパー状部13を設けることにより、ノズル先端部3と連結するに際し、例えばノズル先端部3の流路Bのストッパー部B2とが強い圧力で押し付け合うことによって、針部1とノズル先端部との強固な連結に寄与することができる。
【0045】
さらに、
図1に示すように、必要に応じて支持部12の末端側においても、末端に向かって次第に断面積が小さくなるテーパー状部14を有していても良い。これによって、支持部12の流路Bへの挿入が容易になる。
【0046】
(2)ノズル胴体部
図2に示すように、ノズル胴体部2は、その長尺方向に貫通した流路Aを有している。この流路Aに継ぎ目処理剤が流通する。
【0047】
流路Aの断面形状は特に限定されず、例えば円形、楕円形、矩形等のいずれであっても良いが、加工性等の見地より円形であることが好ましい。また、流路Aの断面の大きさも限定的でないが、通常は内寸が2〜6mm程度の範囲内で適宜設定することができる。従って、例えば流路Aの断面形状が円形である場合は、直径2〜6mmの範囲内とすることができる。流路Aの先端側又は末端側のノズル胴体部2の開口部21から支持部12が挿入できるように領域A1が形成される。この場合、例えば
図2に示すように、流路Aの先端側の開口部21から前記支持部12の一部又は全部を挿入できる構造とすることができる。
【0048】
前記流路Aにおいて、前記支持部12の一部又は全部を挿入することにより、少なくとも前記方向と直角方向に支持部を固定できる領域A1を有する。この領域A1に支持部12が挿入される。これにより、少なくとも前記方向と直角方向に支持部12が固定される。例えば
図2においては、少なくともa−a’方向において固定することができる。この場合の固定は、支持部12が当該方向に全く動かない状態で完全固定される場合のほか、本発明部材を用いて施工する際において、本発明部材を用いて継ぎ目処理する際に支障を来さない範囲内で微動するような場合も許容される。
【0049】
このような固定を行う方法は限定的ではないが、例えば支持部12の側面の一部又は全部が領域A1のノズル胴体部2内面に接触できる形状とすることにより、ノズル胴体部2の長尺方向と直角方向に支持部12を固定することができる。例えば
図4に示すように、支持部12断面の外寸とノズル胴体部2の領域A1断面の内寸とがほぼ同じになるようにすれば、支持部の側面の一部又は全部が領域A1のノズル胴体部2内面に接触できるので、その接触面により少なくともa−a’方向における支持部12の動きを抑制することができる。
【0050】
ここで領域A1に支持部12を挿入する場合は、
図2に示すように、支持部12が領域A1(さらには流路A)に奥深く入り過ぎないように、挿入された支持部12における前記長尺方向の動きを制御するための制御機構A2が流路Aの内部に設けられていることが望ましい。前記の制御機構の構築方法としては、継ぎ目処理が可能な範囲内において、ノズル胴体部2の長尺方向と平行方向の支持部12の動きを制限できる手段であれば特に限定されない。換言すれば、ノズル胴体部2の長尺方向と平行方向において、実質的に支持部12が動けないように固定する手段、あるいは一定の範囲内で支持部12が動けるが、その範囲を超えて動くことができないように固定する手段を採用できる。これらの手段としてより具体的には、例えば
図2に示すように流路A内にストッパー部を形成する方法のほか、支持部を受け止めることができるバネ、中空の耐溶剤性弾性体(ゴムなど)等の弾性部材を流路A内に装填する方法等を採用することができる。以下においては、制御機構の一例としてストッパー部A2を流路A内に形成する場合について説明する。
【0051】
ストッパー部A2の形態は、継ぎ目処理剤の流れに支障を来さない限りは特に制限されず、例えば
図2に示すように、流路Aの断面形状が円形である場合、領域A1以外の流路Aには支持部12の直径よりも小さな内径を有する流路とすることにより、その内径差により生じる段差をストッパー部A2として用いることができる。その他にも、例えば
図15に示すように、流路A全体にわたって同じ内径とした上で、支持部12の一部が流路Aに挿入できる範囲内の箇所に凸部を流路A内に形成することにより、ストッパー部A2とすることができる。
【0052】
ノズル胴体部2では、継ぎ目処理剤が流通するように前記流路A1に支持部12の一部又は全部が嵌合されている。ここで、「全部が嵌合されている」とは、嵌合後において、支持部12の先端側の面と流路Aの開口部21との面がほぼ一致する場合を意味する。本発明では、針部1をより強固に固定できるという点で前記流路A1に前記支持部12の一部が嵌合されていることが望ましい。すなわち、支持部12の一部が開口部21からはみ出すように固定されることが望ましい。このようにすることによって、当該はみ出し部分がノズル先端部3によって押圧される結果、支持部12が上下の圧力により強固に固定することができる。
【0053】
ノズル胴体部2は、ノズル先端部と連結するための連結部A3を有している。この連結部A3によって、ノズル先端部3と着脱自在な状態で連結される。
【0054】
連結部A3の形状又は形態は、特に限定的でなく、例えば螺止固定(ねじ止め)、流体用のクイックカップリング、ワンタッチ式継ぎ手等のカップリング固定等が挙げられる。例えば、螺止固定の場合、ノズル胴体部はノズル先端部と螺止固定するために、ノズル胴体部2の先端部の外周にねじ部A3が設けられている。ねじ部A3は、高い結合強度が得られるという見地より、ノズル胴体部2の先端部の外周を切削加工することによって直接形成することが好ましい。また、螺止固定は、加工が比較的容易であり、簡易な構成で形成することができるので好ましい。
【0055】
ノズル胴体部2は、
図2に示すように、必要に応じてその表面に滑り止め部23を1つ又は2つ以上設けることもできる。これにより、各部品を取り付ける際に手指での扱いが容易となり、特にノズル胴体部2とノズル先端部3とを手指で強固に固定することが可能となる。
【0056】
ノズル胴体部2の材質は特に限定的ではないが、より強固な連結が実現できるという点で、真鍮、鉄、ステンレス鋼等の金属又は合金により構成されていることが好ましい。加工が容易であり、比較的さびにくいことから、真鍮が特に好ましい。
【0057】
(3)ノズル先端部
図3に示すように、ノズル先端部3は、その長尺方向に貫通した流路Bを有している。この流路Bに継ぎ目処理剤が流通することとなる。
【0058】
流路Bの断面形状は特に限定されず、例えば略円形、略楕円形、略矩形等のいずれであっても良いが、加工性等の見地より円形であることが好ましい。また、流路Bの断面の大きさも限定的でないが、通常は内寸が1.5〜4mm程度の範囲内で適宜設定することができる。従って、例えば流路Bの断面形状が円形である場合は、直径1.5〜4mmの範囲内とすることができる。
【0059】
前記流路Bの末端側に、ノズル胴体部2と連結するための連結部B3を有する。この連結部B3は、前記連結部A3との結合に用いられる。連結の態様としては、例えば
図7に示すように、前記針状体11がノズル先端部の流路Bを貫通してノズル先端部の先端側の開口部21から突き出し、かつ、前記開口部21と針状体とが断面方向において隙間を有しながら、流路A及び流路Bが1本の流路を形成するように連結部A3及び連結部B3で連結されていることが望ましい。このように、連結部B3が連結部A3と結合することにより、互いに脱着可能な状態でノズル先端部3とノズル胴体部2を連結することができる。
【0060】
連結部B3の形状又は形態は限定的でなく、連結部A3と同様、例えば螺止固定(ねじ止め)、流体用のクイックカップリング、ワンタッチ式継ぎ手等のカップリング固定等が挙げられる。例えば、螺止固定の場合、前記流路Bの末端側の内周面にねじ部B3が形成されている。そして、前記ねじ部B3と前記ねじ部A3とが各々雌ねじと雄ねじとなって互いにねじ止めで連結されるように、ノズル胴体部2の先端を流路Bに挿入できる領域B2が形成されている。これにより、領域B1にノズル胴体部2の先端部を挿着することができる。その上で、前記領域B1の内周にはねじ部B3が形成されているのでこれが雌ねじとなり、ノズル胴体部2のねじ部A3が雄ねじとなって、ノズル先端部3がノズル胴体部2と連結・固定される。
【0061】
また、流路Bにおいては、針部1の支持部12が流路Bの先端側に移動してぐらつくことがないように、領域B1には前記支持部12を受けるストッパー部B2が形成されている。これにより、針部1をノズル胴体部2とノズル先端部3で挟み込むように固定することができる。
【0062】
ストッパー部B2の形態は、継ぎ目処理剤の流れに支障を来さない限りは特に制限されず、例えば
図3に示すように、流路Bの断面が円形である場合、領域B1以外の流路Bには支持部12の最長径よりも小さな内径を有する流路とすることにより、その内径差により生じる段差をストッパー部B2として用いることができる。その他にも、例えば
図16に示すように、流路B全体にわたって同じ内径とした上で、支持部12の一部が流路Bに挿入できる範囲内の箇所に凸部を流路B内に形成することにより、ストッパー部B2を形成することができる。
【0063】
前記流路Bのストッパー部B2は、
図3に示すように、先端に進むにつれて内径が小さくなるように形成されていることが好ましい。これにより、針部1の支持部12のテーパー状部13と当接しながら、支持部12がくさびのように流路Bに強く押圧されるので、より強固に各構成部品を結合させることができる。
【0064】
ノズル先端部3の外周面には、
図3に示すように、必要に応じて滑り止め部33を1つ又は2つ以上設けることもできる。これにより、各部品を取り付ける際に手指での扱いが容易となり、特にノズル胴体部2とノズル先端部3とを手指等で比較的強固に連結することが可能となる。
【0065】
ノズル先端部の材質は特に限定でないが、より強固な連結が実現できるという点で、真鍮、鉄、ステンレス鋼等の金属又は合金により構成されていることが好ましい。加工が容易であるうえ、比較的さびにくいことから、真鍮が特に好ましい。
【0066】
2.継ぎ目処理用ノズル部材の組み立て
本発明部材は、例えば
図6に示すように、1)針部1の支持部12の一部又は全部をノズル胴体部2の領域A1に挿入する工程(工程1)、2)ノズル胴体部2に取り付けられた針部1の針状体11をノズル先端部の流路Bに貫通させ、ノズル胴体部2の連結部A3とノズル先端部3の連結部B3により連結する工程(工程2)を含む方法によって作製することができる。これら一連の工程は、基本的には特殊な工具を用いることなく、例えば手指等で容易に行うことができる。このようにして、前記針状体がノズル先端部の流路Bを貫通してノズル先端部の先端側の開口部21から突き出し、かつ、前記開口部21と針状体11とが断面方向において隙間を有しながら、流路A及び流路Bが1つの流路を形成するような構造を構築することができる。
【0067】
また、本発明部材を分解する際は、逆の手順(すなわち、工程2→工程1の順序)により、各構成部品ごとに分解することができる。この場合も、通常は特殊な工具を用いることなく、例えば手指等で容易に行うことができる。
【0068】
このように、本発明部材は、手指等でも比較的容易に各部品の組立て及び分解を繰り返し行うことができるので、例えば各構成部品の洗浄、交換等も簡便かつ比較的短時間で行うことができる。
【0069】
3.継ぎ目処理具
本発明は、本発明部材10及び継ぎ目処理剤を収容するための容器を含む処理具であって、前記ノズル部材10のノズル胴体部2の流路Aにおける開口部21が前記容器の開口部と直接的又は間接的に連結されてなる継ぎ目処理具も包含する。
【0070】
前記の「直接的」に連結されている継ぎ目処理具としては、例えば
図17に示すように、本発明部材10と容器51とが、他の部材を介することなく連結された態様が挙げられる。
【0071】
前記の「間接的」に連結されている継ぎ目処理具としては、例えば
図18に示すように、本発明部材10と容器51とが、例えばアダプター52等のような他の部材を介して連結された態様が挙げられる。
【0072】
上記の容器、アダプター等は、例えば金属又は合金のほか、耐溶剤性の合成樹脂等を用いることができる。その大きさ、形状等は、例えば用いる継ぎ目処理剤の種類、使用部位、作業性等に応じて適宜設定することができる。
【0073】
また、本発明部材10のノズル胴体部2と容器開口部の連結、本発明部材10のノズル胴体部2とアダプターとの連結、アダプターと容器開口部との連結等を行う手段は、本発明部材10自体の分解・組み立てが可能である限りは特に限定されず、例えばねじ止め、カップリング固定、接着、圧着、嵌め込み等の公知の連結手段を適宜採用することができる。
【0074】
4.本発明部材の使用(継ぎ目処理方法)
本発明部材10は、公知又は市販のノズル部材と同様にして用いることができる。例えば、継ぎ目処理剤が充填された容器の開口部に本発明部材10を取り付ければ、そのまま継ぎ目処理に用いることができる。すなわち、内装用シートどうしの突き合わせ部に本発明ノズル部材10の針状体11を差し込み、針状体11の先端に継ぎ目処理剤を送り込むことによって、突き合わせ部に継ぎ目処理剤を注入することができる。
【0075】
内装用シートとしては、その使用部位、材質等は特に制限されない。使用部位としては、例えば床材、壁材等のいずれであっても良い。また、材質としても、塩化ビニル系樹脂等をはじめとする各種の合成樹脂からなるシートのいずれにも適用することができる。
【0076】
また、継ぎ目処理剤としても、特に制限されず、継ぎ目処理剤等として公知又は市販のものも適用することができる。継ぎ目処理剤は、内装用シートを構成する樹脂成分を膨潤又は溶解する溶剤を含み、ドープセメントとも呼ばれる。具体的には、1)テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサン等の溶剤から選ばれるいずれか1種の溶剤又は2種以上の混合溶剤からなる継ぎ目処理剤、2)前記1種の溶剤又は2種以上の混合溶剤に50質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下の割合で塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を溶解又は分散させた継ぎ目処理剤等を用いることができる。
【0077】
特に、本発明では、樹脂成分の含有量(固形分含量)が比較的多い継ぎ目処理剤であっても、支持部12の断面形状が異なる針部1の数種を適宜使い分けることにより、継ぎ目処理剤をつまりにくくすることが可能であるとともに、たとえ継ぎ目処理剤が固化して詰まっても構成部品ごとに分解して容易に洗浄することができる。この点において、本発明部材10は、上記のような樹脂成分が多い継ぎ目処理剤にとって最適の部材である。
【0078】
継ぎ目処理剤の溶剤としては、内装用シートを構成する合成樹脂を膨潤又は溶解できるものが使用される。例えば、内装用シートが塩化ビニル系樹脂製である場合、前記溶剤として、テトラヒドロフラン等を用いることができる。特に、樹脂製床材と同種の樹脂を溶解又は分散させた継ぎ目処理剤を用いることにより、継ぎ目に前記同種の樹脂が介在するので、比較的大きい幅を有する突き合わせ部を確実に塞ぐことができ、内装用シート間の止水性が向上するので好ましい。例えば、前記同種の樹脂は、樹脂製床材が塩化ビニル樹脂製の場合には、塩化ビニル系樹脂を用いることが好ましい。
【0079】
前記継ぎ目処理剤に含まれる樹脂は、それを溶剤に溶解させる場合には、溶剤可溶性のものが用いられる一方、それを溶剤に分散させる場合には、樹脂粒子をエマルジョン化又はサスペンション化したものが用いられる。特に、塩化ビニル樹脂製床材を接合する場合には、重合度800〜1500、好ましくは重合度1000〜1300の塩化ビニル系樹脂の粒子をサスペンション化した継ぎ目処理剤を用いることにより、接合箇所の微小な間隙を埋める効果が高くなる。
【0080】
継ぎ目処理剤の粘度(23℃)は、特に限定されないが、その液が内装用シートどうしの突き合わせ部に入り込み且つ均一に広がり易いことから、1000mPa・s以下が望ましく、500mPa・s以下であることがより望ましい。継ぎ目処理剤の粘度が大きすぎると、突き合わせ部に入り込み難くなり、しかも広がり難くなるおそれがある。一方、継ぎ目処理剤の粘度が小さすぎると、作業性が悪くなり、内装用シートの表面に継ぎ目処理剤を不用意に滴下してしまう場合もあり得るので、継ぎ目処理剤の粘度は5mPa・s以上が好ましく、10mPa・s以上がより好ましい。このような粘度に設定することによって、不用意に垂れ難く、作業性もより良好となる。このような継ぎ目処理材としては、公知又は市販のものを使用することができる。市販品としては、例えばWerner Mu(ウムラウト)ller GmbH社製「PVC−COLD−WELDING LIQUID TYPE A」、「PVC−COLD−WELDING PASTE TYPE T」、東リ株式会社製「東リスーパーシーム液」等が好適に用いられ、特に「PVC−COLD−WELDING LIQUID TYPE A」は、適切な粘度に調整されており、より好適である。その他にも、例えば塩化ビニル系樹脂製床材に対しては、特開平8−157804号公報に開示されたシーム液等を用いることもできる。
【0081】
また、針部1の支持部12は、ノズル胴体部2の流路A及びノズル先端部の流路Bにおいて、継ぎ目処理剤の流路を分断するので、容器51に収容される継ぎ目処理剤をかき混ぜる効果を有する。このため、たとえ継ぎ目処理剤中の溶剤成分、樹脂成分等が分離している状態であっても、前記効果により継ぎ目処理剤が撹拌される結果、均一な状態で突き合せ部に供給することができる。
【0082】
さらに、針部1の支持部12によってノズル胴体部2の流路A及びノズル先端部3の流路Bが部分的に狭くされるので、容器51を押圧して継ぎ目処理剤を吐出させる際、その流路が狭くなっている部分で継ぎ目処理剤の圧力が高くなる。これによって、TI値が比較的高い継ぎ目処理剤であっても、圧力を付与して一時的に粘度を低下させ、突き合せ部に安定的に継ぎ目処理剤を供給することができる。例えば、継ぎ目処理剤のTI値は、通常1.5以上であり、好ましくは2.0以上とすれば良い。なお、前記継ぎ目処理剤のTI値の上限は、特に限定されないが、通常は8.0以下であり、好ましくは7.0以下とすることができる。
【0083】
<実施の形態>
第1の実施形態
以下においては、本発明部材10を用い、内装用シートとして塩化ビニル系樹脂製床材の継ぎ目処理を行う際の実施形態を図示しながら説明する。
【0084】
図11に示すように、複数の床材41a〜41dは、互いの縁部を向かい合わせた状態で、下地(図示せず)の上に配置される。なお、
図12では、便宜上、4枚の床材41a〜41dを示しているが、必ずしも床材Aは4枚に限られず、2枚以上であれば良い。また、
図11では、各床材41a〜41dは、平面視正方形状に形成されているが、これに限定されず、例えば平面視長方形状、平面視三角形状、平面視正六角形状等の任意の形状を選択することができる。
【0085】
各床材41a〜41dの縁部の間には、突き合わせ部42が形成される。前記突き合わせ部42は、突き合わせ端面どうしの間に生じる僅かな間隙である。すなわち、第1床材41aを下地上に固定した後、その突き合わせ端面に第2床材41bの突き合わせ端面が接するように第2床材41bを敷設する。この場合、前記突き合わせ端面どうしは、必ずしも縁部全体に亘って接しているわけではなく、あるいは接している部分も水が漏れないほどに密着しているわけではないので、その突き合わせ端面の間に水分等が通過する僅かな間隙が生じる。かかる間隙が突き合わせ部42である。突き合わせ部42の幅は、それが大きすぎると接合することが困難な場合があるので、通常は0〜0.5mm、好ましくは0〜0.3mmとすれば良い。
【0086】
なお、突き合わせ部42の幅が0mmの場合は、突き合わせ端面どうしが接し、かつ、巨視的には隙間が存在しない状態であるが、微視的には突き合わせ端面に存在する微小凹凸に起因して、接している部分も水漏れなしに密着しているわけではないので、その突き合わせ部を接合する必要がある。
【0087】
このような突き合わせ部に対し、継ぎ目処理剤を注入する手順の概要を
図13に示す。
図13においては、1)床材の縁部どうしを当接させるように複数の床材を敷設する工程(床材敷設工程)、2)前記突き合わせ部を跨ぐように両床材の表面にわたって粘着テープを貼付する工程(テープ貼付工程)、3)粘着テープの面内に突き合わせ部に沿った切込み線を形成し、粘着テープを切込み線を挟んだ第1領域と第2領域に分割する工程(切込み線形成工程)、4)切込み線から突き合わせ部に継ぎ目処理剤を注入する工程(注入工程)、5)注入された継ぎ目処理剤を乾燥させる工程(乾燥工程)及び6)継ぎ目処理剤が乾燥した後に粘着テープを床材から引き剥がす工程(剥離工程)を含む方法が示されている。
【0088】
1)床材の敷設工程
先に説明した通り、
図11に示すように床材41a〜41dを下地の表面に敷設する。この工程が
図13(a)に対応する。
【0089】
床材41a〜41dの敷設に際しては、接着剤等を用いて第1床材41aを下地の上に固着し、その第1床材41aの縁部の突き合わせ端面に第2床材41bの縁部の突き合わせ端面が接するように配置して、第2床材41bを下地の上に固着する。以後、同様の工程を繰り返すことにより、複数の床材が敷設された床構造を構築する。この構築した床構造(既設床)は、敷設した第1床材41aと第2床材41bの縁部間に突き合わせ部42が形成される。この既設床の突き合わせ部42を、以下の各工程に従って継ぎ目処理を行う。
【0090】
2)テープ貼付工程
テープ貼付工程では、マスキングテープとしての粘着テープ43を上記既設床に貼付する。より具体的には、
図13(b)に示すように、突き合わせ部42を跨ぐように両床材の表面にわたって粘着テープ43を貼付する。
【0091】
この場合に使用される粘着テープ43は、特に限定されないが、一般的には帯状の基材とその基材の裏面に設けられた粘着剤層とを含む積層体からなるものを使用することが好ましい。
【0092】
粘着テープ43における前記基材は、継ぎ目処理剤によって浸食されない耐溶剤性の基材が用いられる。基材は、透明、半透明又は不透明のいずれでも良い。このような基材としては、布シートと、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンシートと、が積層された積層シート;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート等が例示される。また、基材は、少なくとも幅方向に伸張可能なものが好ましい。幅方向に伸張性を有する粘着テープ43は、その面内に力を加えることによって幅方向に伸びる。特に幅方向及び長手方向に伸張性を有する粘着テープを用いることが好ましい。
【0093】
粘着剤としては、常温で粘着性を示し、なおかつ、加圧することによって被着体に接着する感圧型粘着剤等が挙げられる。粘着剤の材質としては、例えばゴム系、アクリル系等が挙げられる。なお、前記粘着剤層は、被着体に粘着剤を残存させることなく、被着体から剥離可能であり、かつ、再貼付可能である。また、粘着剤も、耐溶剤性のものを用いることが好ましい。
【0094】
粘着テープ43としては特に制限されず、公知又は市販のものを採用することができる。市販品としては、例えばスリーエムジャパン(株)製の「スコッチ シーリング・マスキングテープ」、日立マクセル(株)スリオンテック事業本部製の「スリオンテープ」等を好適に用いることができる。
【0095】
上述のように、既設床は、第1床材41a及び第2床材41bの突き合わせ端面の間に突き合わせ部42を有している。例えば
図12に示すように、この突き合わせ部42と帯状の粘着テープ43の長手方向を略平行にして、帯状の粘着テープ43の上方開口を塞ぐように、第1床材41aの表面及び第2床材41bの表面にわたって貼り付ける。これにより、1本の帯状の粘着テープが、突き合わせ部42を跨いで両床材の表面に貼着された状態となる。
【0096】
3)切込み線形成工程
図13(c)に示すように、前記粘着テープ43の突き合わせ部42上の領域の面内に突き合わせ部42に沿って切込み線44を形成し、前記切込み線44を挟んだ2つの領域に粘着テープ43を分割する。切込み線の形成は、例えばロールカッター、カッター等の刃物類を用いて行うことができる。なお、刃物類に代えて、先端が尖った治具(図示せず)等を用いても良い。
【0097】
4)注入工程
図13(d)に示すように、本発明ノズル部材10の針状体11先端を切込み線44から突き合わせ部42に押し込み、
図13(e)のように継ぎ目処理剤を突き合わせ部42に注入する。突き合わせ部42に入り込んだ継ぎ目処理剤46は、床材41a〜41bを構成する塩化ビニル系樹脂を緩やかに膨潤又は溶解させ、最終的に強固な接合が実現される。
【0098】
5)乾燥工程
継ぎ目処理剤46を注入した後、継ぎ目処理剤に含まれる有機溶剤が揮発するまで乾燥させる。これにより、継ぎ目処理剤が乾燥・硬化し、継ぎ目部47が形成される。乾燥は、自然乾燥又は強制乾燥のいずれでも良い。強制乾燥の場合は、例えば、ブロア、ドライヤー等の送風装置によって冷風又は温風を吹き付けて乾燥しても良いし、加熱しながら乾燥しても良い。自然乾燥の場合、その乾燥時間は、例えば5分〜20分程度である。
【0099】
継ぎ目処理剤46が乾燥する過程において、前記膨潤又は溶解した床材1a〜1bを構成する塩化ビニル系樹脂が硬化し、あるいは床材1a〜1bを構成する塩化ビニル系樹脂と継ぎ目処理剤46に含まれる樹脂成分が硬化し、第1床材1aの縁部と第2床材1bの縁部が継ぎ目処理剤による硬化体からなる継ぎ目部47を介して一体的に繋がることによって突き合わせ部どうしが接合される。
【0100】
6)粘着テープ剥離工程
図13(f)に示すように、継ぎ目処理材の乾燥硬化によって継ぎ目部7が形成された後、粘着テープ43(2つに分割された粘着テープの双方)を第1床材41a及び第2床材41bから剥離しながら取り除くことにより、継ぎ目処理剤による硬化体からなる継ぎ目部47を介して突き合わせ部42が接合された床構造が得られる。
【0101】
突き合わせ部42を接合すると、第1床材41aの突き合わせ端面及び第2床材41bの突き合わせ端面は実質的に消失する。このため、得られた床構造は、各床材が一体的に接合された状態となり、優れた水封止性等を発揮することができる。
【0102】
第2の実施形態
また、継ぎ目処理剤を注入する他の実質形態を
図14に示す。
図14では、1)床材の縁部どうしを対向させるように複数の床材を敷設する工程(床材敷設工程)、2)突き合わせ部に継ぎ目処理剤を注入する工程(注入工程)、3)注入された継ぎ目処理剤が硬化する前において、前記突き合わせ部にある継ぎ目処理剤及び保護層に接するように、前記突き合わせ部を跨いで粘着テープを貼着する工程(テープ貼着工程)、4)注入された継ぎ目処理剤を乾燥させる工程(乾燥工程)及び5)継ぎ目処理剤が乾燥した後に粘着テープを床材から引き剥がす工程(粘着テープ剥離工程)を含む方法が示されている。
【0103】
第2の実施形態による方法によれば、注入工程において継ぎ目処理剤の余剰分が突き合わせ部から溢れ出ても、継ぎ目処理剤の乾燥後にはその余剰分を粘着テープによって容易に取り除くことができる。このため、比較的容易に継ぎ目処理を実施することができる。また、注入工程後、継ぎ目処理剤が完全に乾燥硬化する前において、粘着テープが保護層となってホコリ、砂等が注入部分に付着することを効果的に防ぐことができる。このため、継ぎ目処理剤が完全に乾燥硬化する前に例えば人に踏まれてもほとんど問題がないことから、例えば工期の短縮化、効率化等に貢献することもできる。
【0104】
第2の実施形態における床材敷設工程は、
図14(a)に示すように第1の実施形態における床材敷設工程と同様にして実施することができる。第2の実施形態における注入工程は、
図14(b)に示すように、マスキングを施さないほかは、第1の実施形態における注入工程と同様にして実施することができる。第2の実施形態におけるテープ貼付工程は、
図14(c)〜(d)に示すように、注入された継ぎ目処理剤が硬化する前に実施される点を除いては、第1の実施形態におけるテープ貼付工程と同様にして実施することができる。第2の実施形態における乾燥工程は、
図14(d)に示すように、粘着テープが貼着された状態で実施されるほかは、第1の実施形態における乾燥工程と同様にして実施することができる。第2の実施形態における粘着テープ剥離工程は、
図14(e)に示すように第1の実施形態における粘着テープ剥離工程と同様にして実施することができる。ただし、本実施形態における粘着テープ剥離工程では、注入された継ぎ目処理剤のうち内装用シート(床材)表面に溢れた分を取り除くことができるという利点がある。
【0105】
特に、第2の実施形態のテープ貼付工程においては、注入された継ぎ目処理剤が硬化する前において、前記突き合わせ部にある継ぎ目処理剤及び保護層表面に接するように、前記突き合わせ部を跨いで粘着テープを貼着する。これは、例えば
図14(d)にも示されているように、硬化していない液状の継ぎ目処理剤と保護層表面に接触する状態で粘着テープを貼着すれば良い。
【0106】
また、第2の実施形態では、継ぎ目処理剤の乾燥硬化をより促進できるという見地より、例えば紙シート等の多孔性繊維質材料を基材とする粘着テープを用いることが望ましい。紙シートとしては、第1の実施形態の場合と同様、セルロース繊維等の紙シートを好適に採用することができる。紙シートは、通気性が高いので継ぎ目処理剤の乾燥が速まるので好ましいが、樹脂製シートでも通気性の高いものであれば紙シートと同等の効果を期待できる。
【実施例】
【0107】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0108】
実施例1
図7に示す継ぎ目処理用ノズル部材10を作製した。
図7(a)の断面図に示すように、針部1、ノズル胴体部2及びノズル先端部3から構成されるものである。針部1はステンレス鋼製であり、ノズル胴体部2及びノズル先端部3はともに真鍮製である。
【0109】
針部1は、
図8(a)に示すように、針部1は、針状体11と支持部12から構成されている。針状体11の長さは約15mmとした。支持部12の先端側の一部が面取り加工されることによって、針状体11の先端に向かって次第に断面積が小さくなっているテーパー状部13が形成されている。また同様に、支持部12の末端側の一部が面取り加工されることによって、針状体11の末端に向かって次第に断面積が小さくなっているテーパー状部14が形成されている。また、
図8(b)に示すように、支持部12の断面形状は、厚み約2mmの板状体に加工されている。
【0110】
ノズル胴体部2は、
図9(a)の断面図に示すように、長尺方向に貫通する流路Aが形成されている。その先端部は、前記支持部12の最長径(約4mm)よりも大きな内径を有する領域A1が形成されている。領域A1よりも末端側の流路Aは、領域A1の内径よりも小さな内径を有する流路となっており、その段差部分がストッパー部A2になっている。また、領域A1の外周面にはねじ部A3が形成されている。
【0111】
ノズル先端部3は、
図10(b)に示すような外観を有する。また、
図10(a)の断面図に示すように、長尺方向にわたって貫通する流路Bが形成されている。流路Bの末端側の一部は、ノズル胴体部2の先端の外径よりも大きな内径を有する領域B1になっている。領域B1よりも先端側は、内径がより小さくなっており、その段差によりストッパー部B2が形成されている。なお、
図10(a)に示すように、領域B1よりも先端側の流路Bは、さらに内径が小さい流路B’が形成されているが、このような流路B’は必要に応じて形成することができる。また、領域B1の外周にはねじ部B3が形成されていて、前記ねじ部A3とのねじ止めに使用されるものである。
【0112】
これらの部品の組み立てに際しては、
図6に示すような手順に従って継ぎ目処理用ノズル部材10を完成させた。この場合、手指で容易に連結して完成させることができた。このようにして組み立てられた継ぎ目処理用ノズル部材10は、例えば
図21(a)と同様に、ノズル先端部3の円形開口部31のほぼ中心に針状体11の中心軸が位置するように固定されていることが確認された。また、上記ノズル部材10の分解に際しても、手指で容易に各構成部品に分けることができた。
【0113】
また、上記ノズル部材10では、支持部12の断面形状が板状であるがゆえに吐出量を比較的多くなるように制御できることから、特に粘度の高い継ぎ目処理剤に適当な部材となっている。
【0114】
実施例2
図19に示すような針部1を使用したほかは、実施例1と同様にして継ぎ目処理用ノズル部材10を作製した。
【0115】
針部1は、
図19(a)に示すように、針部1は、針状体11と支持部12から構成されている。針状体11の長さは約15mmとした。支持部12の先端側の一部が面取り加工されることによって、針状体11の先端に向かって次第に断面積が小さくなっているテーパー状部13が形成されている。また同様に、支持部12の末端側の一部が面取り加工されることによって、針状体の末端に向かって次第に断面積が小さくなっているテーパー状部14が形成されている。また、
図19(b)に示すように、支持部12の断面形状は、頂点が円弧状に面取りされてなる略正三角形状に加工されている。
【0116】
これらの部品の組み立てに際しては、
図6に示すような手順に従って継ぎ目処理用ノズル部材10を完成させた。手指で容易に連結して完成させることができた。このようにして組み立てられた継ぎ目処理用ノズル部材10は、例えば
図21(a)と同様に、ノズル先端部3の円形開口部31のほぼ中心に針状体11の中心軸が位置するように固定されていることが確認された。また、このノズル部材10の分解に際しても、手指で容易に各構成部品に分けることができた。
【0117】
また、上記ノズル部材10は、支持部12の断面形状が実施例1と異なり、その断面積もより大きくなることから、粘度が低い継ぎ目処理剤の吐出量を効果的に制御することが可能となる。