特許第6587906号(P6587906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6587906空燃比センサの異常検出装置、空燃比センサの制御装置および異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587906
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】空燃比センサの異常検出装置、空燃比センサの制御装置および異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20191001BHJP
   G01N 27/419 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G01N27/26 391A
   G01N27/46 327Z
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-217736(P2015-217736)
(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公開番号】特開2017-90122(P2017-90122A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宮 基樹
(72)【発明者】
【氏名】木戸 啓介
(72)【発明者】
【氏名】森崎 知治
(72)【発明者】
【氏名】梅山 重人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将利
(72)【発明者】
【氏名】三浦 広土
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−272956(JP,A)
【文献】 特開2008−128830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26
G01N 27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス検出室の酸素濃度を検出するための検出セルと前記ガス検出室への酸素の汲み入れや汲み出しを行うポンプセルとを備えるガスセンサ素子を有する空燃比センサの異常検出装置であって、
前記検出セルの一端が接続される第1端子と前記検出セルの他端が接続される第2端子との間の電圧を検出する端子間電圧検出部と、
前記検出セルのインピーダンスの状態を測定するために前記第1端子と前記第2端子との間に供給される測定用電流によって変化する前記第2端子の電圧を検出する端子電圧検出部と、
前記端子間電圧検出部によって検出される電圧と前記端子電圧検出部によって検出される電圧の前記測定用電流による変化量とに基づいて、前記第1端子と前記第2端子との間のショート状態を判定する異常判定部と、を備える
ことを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、
前記端子間電圧検出部によって検出された電圧が所定値以下であり、かつ、前記端子電圧検出部によって検出される電圧の前記測定用電流による変化量が所定値以下である場合に、前記第1端子と前記第2端子との間がショートしていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記異常判定部は、
前記測定用電流が供給されなくなってから所定期間経過後であって前記測定用電流の供給前に前記端子間電圧検出部によって検出された電圧に基づいて、前記第1端子と前記第2端子との間のショート状態を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記異常判定部は、
前記空燃比センサが空燃比を検出する動作モードへ移行してから所定期間経過後に、前記第1端子と前記第2端子との間のショート状態の判定処理を開始する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記異常判定部は、
前記端子電圧検出部によって検出される前記測定用電流による変化量に基づいて求められる前記インピーダンスが所定値以下になってから所定期間が経過するまで、前記ガスセンサ素子を加熱するヒータへ供給する電力量の調整を制限する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の異常検出装置。
【請求項6】
前記異常判定部は、
前記インピーダンスが前記所定値以下になる前の前記電力量を前記所定期間維持することによって、前記電力量の調整の制限を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の異常検出装置。
【請求項7】
前記異常判定部は、
前記電力量が所定値以下になることを禁止することによって、前記電力量の調整の制限を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の異常検出装置。
【請求項8】
前記所定期間は、
前記第1端子と前記第2端子との間のショートの発生によって前記インピーダンスが前記所定値以下になってから前記異常判定部によって前記第1端子と前記第2端子との間がショートしていると判定されるまでの期間よりも長い
ことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の異常検出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の異常検出装置を有する
ことを特徴とする空燃比センサの制御装置。
【請求項10】
ガス検出室の酸素濃度を検出するための検出セルと前記ガス検出室への酸素の汲み入れや汲み出しを行うポンプセルとを備えるガスセンサ素子を有する空燃比センサの異常検出方法であって、
前記検出セルの一端が接続される第1端子と前記検出セルの他端が接続される第2端子との間の電圧を検出する端子間電圧検出工程と、
前記検出セルのインピーダンスの状態を測定するために前記第1端子と前記第2端子との間に供給される測定用電流によって変化する前記第2端子の電圧を検出する端子電圧検出工程と、
前記端子電圧検出工程によって検出される電圧の前記測定用電流による変化量と前記端子間電圧検出工程によって検出される電圧とに基づいて、前記第1端子と前記第2端子との間のショート状態を判定する異常判定工程と、を含む
ことを特徴とする異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空燃比センサの異常検出装置、空燃比センサの制御装置および異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃費向上などを目的として、内燃機関から排出される排気ガス中の空気と燃料の比である空燃比を目標空燃比に近づけるフィードバック制御が広く知られており、かかる空燃比は、空燃比センサ(A/Fセンサ)によって検出される。
【0003】
空燃比センサとして、ポンプセルと検出セルを有するガスセンサ素子を備える空燃比センサが知られている。かかる空燃比センサでは、検出セルの両端がショートする等の異常が生じると、空燃比を正確に検出することが困難になる。そこで、検出セルの両端がショートする異常が生じたことを検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、検出セルの両端がショートする異常を精度よく検出することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、検出セルの両端がショートする異常を精度よく検出することができる空燃比センサの異常検出装置、空燃比センサの制御装置および異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ガス検出室の酸素濃度を検出するための検出セルと前記ガス検出室への酸素の汲み入れや汲み出しを行うポンプセルとを備えるガスセンサ素子を有する空燃比センサの異常検出装置であって、端子間電圧検出部と、端子電圧検出部と、異常判定部とを備える。前記端子間電圧検出部は、前記検出セルの一端が接続される第1端子と前記検出セルの他端が接続される第2端子との間の電圧を検出する。前記端子電圧検出部は、前記検出セルのインピーダンスの状態を測定するために前記第1端子と前記第2端子との間に供給される測定用電流によって変化する前記第2端子の電圧を検出する。前記異常判定部は、前記端子間電圧検出部によって検出される電圧と前記端子電圧検出部によって検出される電圧の前記測定用電流による変化量とに基づいて、前記第1端子と前記第2端子との間のショート状態を判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出セルの両端がショートする異常を精度よく検出することができる空燃比センサの異常検出装置、空燃比センサの制御装置および異常検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る空燃比センサの構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示す空燃比センサの具体的構成例を示す図である。
図3図3は、図2に示すガスセンサ素子の具体的構成例を示す図である。
図4図4は、測定用電流供給部の他の構成例を示す図である。
図5図5は、空燃比センサが正常時における、COM電圧、VS電圧およびIP電流の状態変化を示す図である。
図6図6は、異常判定部の構成例を示す図である。
図7図7は、測定用電流とVS電圧とCOM電圧との状態変化を示す図である。
図8図8は、異常判定部で用いる端子間電圧の検出タイミングの説明図である。
図9図9は、第1モードから第2モードへ移行してから、検出セルの両端のショートが発生した場合の動作説明図である。
図10図10は、インピーダンスが閾値以下になった場合、異常検出部がデューティ比の調整を制限しない場合の動作説明図である。
図11図11は、異常検出部が実行する主な処理手順を示すフローチャートであり、繰り返し実行される処理である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる空燃比センサ(A/Fセンサ)の異常検出装置、空燃比センサの制御装置および異常検出方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、かかる実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[1.空燃比センサの構成]
図1は、本発明の実施形態に係る空燃比センサの構成の一例を示す図である。図1に示すように、空燃比センサ1は、ガスセンサ素子2と、制御装置3とを備える。
【0012】
図1に示すガスセンサ素子2は、例えば、全領域空燃比ガスセンサ素子であり、不図示のガス検出室への酸素の汲み入れや汲み出しを行うポンプセル4と、ガス検出室の酸素濃度を検出するための検出セル5とを備える。かかるガスセンサ素子2は、例えば、不図示の車両の内燃機関の排気管に配置され、排気ガス中の酸素濃度(空熱比)を検出する。
【0013】
制御装置3は、COM端子Tcom(第1端子の一例)と、VS端子Tvs(第2端子の一例)と、IP端子Tipと、電圧制御部10と、端子電圧検出部11と、フィードバック制御部12と、電流供給部13と、電流検出部14と、空燃比演算部15と、測定用電流供給部16と、異常検出部19(異常検出装置の一例)とを備える。
【0014】
IP端子Tipには、ポンプセル4の一端に接続され、COM端子Tcomには、ポンプセル4の他端と検出セル5の一端とが共通に接続され、VS端子Tvsには、検出セル5の他端が接続される。
【0015】
電圧制御部10は、COM端子Tcomの電圧Vcom(以下、COM電圧Vcomと記載する)が一定電圧になるように電圧を出力する。端子電圧検出部11は、VS端子Tvsの電圧Vs(以下、VS電圧Vsと記載する)を検出する。
【0016】
フィードバック制御部12は、端子電圧検出部11によって検出されるVS電圧Vsに応じた制御電圧Vcntを電流供給部13へ出力する。電流供給部13は、制御電圧Vcntに応じた電流をIP端子Tipからガスセンサ素子2のポンプセル4へ供給する。
【0017】
電流検出部14は、IP端子TipとCOM端子Tcomとの間に流れる電流Ip(以下、IP電流Ipと記載する)を検出する。空燃比演算部15は、IP電流Ipに基づいて空燃比(以下、A/F値と記載する場合がある)を演算する。測定用電流供給部16は、検出セル5のインピーダンスZsの状態を測定するための測定用電流ImをVS端子TvsとCOM端子Tcomとの間に供給することで、測定用電流Imを検出セル5へ供給する。
【0018】
異常検出部19は、端子間電圧検出部51と、端子電圧検出部52と、異常判定部53とを備える。端子間電圧検出部51は、COM端子TcomとVS端子Tvsとの間(以下、COM−VS間と記載する場合がある)の電圧Vcv(以下、端子間電圧Vcvと記載する)を検出する。端子電圧検出部52は、VS電圧Vsを検出する。
【0019】
異常判定部53は、端子間電圧検出部51によって検出された端子間電圧Vcvと、端子電圧検出部52によって検出されたVS電圧Vsの測定用電流Imによる変化量(以下、電圧変化量ΔVsと記載する)とに基づいて、COM−VS間がショート状態であるか否かを検出する。これにより、COM−VS間、すなわち、検出セル5の両端がショートする異常を精度よく検出することができる。
【0020】
例えば、異常判定部53は、端子間電圧Vcvが閾値Vth1(所定値の一例)以下であり、かつ、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2(所定値の一例)以下である場合に、COM−VS間がショートしていると判定する。COM−VS間は、例えば、検出セル5の端子T2と制御装置3の端子Tcomとを接続する接続線と検出セル5の端子T3と制御装置3の端子Tvsとを接続する接続線との間の接触などによって生じる。
【0021】
IP端子TipとCOM端子Tcomとの間(以下、IP−COM間と記載する場合がある)がショートしている場合、IP電流Ipがポンプセル4に流れないため、VS電圧Vsは雰囲気(ガスセンサ素子2が配置される空間の酸素濃度)に応じた電圧になる。そのため、空燃比がリーンである場合、端子間電圧Vcvがほぼ0Vになり、端子間電圧Vcvのみに着目した場合、検出セル5の両端がショートしてないにも関わらず、検出セル5の両端がショートしていると誤判定する場合がある。
【0022】
そこで、異常判定部53は、端子間電圧Vcvが閾値Vth1(所定値の一例)以下であるかに加え、測定用電流ImによるVS電圧Vsの変化量ΔVsが閾値Vth2以下であるかを判定するようにしている。これにより、IP−COM間がショートしている場合であっても、検出セル5の両端のショート状態を精度よく検出することができる。
【0023】
[2.空燃比センサ1の具体的構成例]
次に、空燃比センサ1の具体的構成の一例について説明する。図2は、実施形態に係る空燃比センサ1の具体的構成例を示す図であり、図3は、ガスセンサ素子2の具体的構成例を示す図である。なお、空燃比センサ1の制御装置3は、例えば、車両に設けられたECU(Electronic Control Unit)内に設けられる。
【0024】
[2.1.ガスセンサ素子2の具体的構成例]
まず、図3を参照してガスセンサ素子2の具体的構成例について説明する。図3に示すように、ガスセンサ素子2は、例えば、全領域空燃比ガスセンサ素子であり、固体電解質体81、絶縁基体85、固体電解質体87、89を順に積層した構成を有する。
【0025】
固体電解質体81、87、89は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体であり、例えば、ジルコニア(ZrO2)にイットリア(Y2O3)を添加して構成される。絶縁基体85は、例えば、アルミナなどによって構成される。
【0026】
絶縁基体85にはガス検出室90が形成され、かかるガス検出室90の両端には、ガス検出室90への排気ガスの流入量を規制する多孔質状の拡散律速部84が設けられる。
【0027】
ポンプセル4は、固体電解質体81と、当該固体電解質体81の両面に多孔質の白金などにより形成された電極82、83とを備え、電極82、83間に供給される電流の大きさおよび方向に応じてガス検出室90への酸素の汲み入れや汲み出しを行う。電極82は、例えば、多孔質性の保護層80によって保護される。
【0028】
検出セル5は、固体電解質体87と、当該固体電解質体87の両面に多孔質の白金などにより形成された電極86、88とを備える。電極86、88間に定電流Icpが供給されることにより、ガス検出室90の酸素濃度に応じた起電力が電極86、88間に発生する。
【0029】
なお、図3に示していないが、ガスセンサ素子2にはヒータ6(図2参照)が設けられており、かかるヒータ6の加熱によってガスセンサ素子2が活性化される。ヒータ6は、例えば、セラミックヒータであり、内部にヒータ配線が設けられる。
【0030】
[2.2.制御装置3の具体的構成例]
次に、図2に示す制御装置3について説明する。制御装置3は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。なお、制御装置3は、演算処理の一部または全部をCPU(Central Processing Unit)によって実行する構成であってもよい。
【0031】
図2に示すように、制御装置3は、COM端子Tcomと、VS端子Tvsと、IP端子Tipと、電圧制御部10と、端子電圧検出部11と、フィードバック制御部12と、電流供給部13と、電流検出部14と、空燃比演算部15と、測定用電流供給部16と、ヒータ制御部17と、モード制御部18と、異常検出部19(異常検出装置の一例)とを備える。
【0032】
[2.2.1.電圧制御部10]
電圧制御部10は、ガスセンサ素子2の端子T2の電圧が一定の電圧Va(例えば、3.3[V])になるように電圧を出力する。かかる電圧制御部10は、オペアンプOP1と、抵抗R1、R2とを備え、抵抗R1と抵抗R2との接続点が一定電圧Vaになるように動作し、抵抗R1を介して端子Tcomへ一定電圧Vaを供給する。
【0033】
[2.2.2.端子電圧検出部11]
端子電圧検出部11は、電流源42と、ボルテージフォロア41とを備える。電流源40は、検出セル5に定電流Icpを流す。ボルテージフォロア41は、VS端子Tvsの電圧であるVS電圧Vsを検出する。
【0034】
電流源40からの定電流Icpが図3に示すガスセンサ素子2の電極88から電極86に流れることによって、一定濃度の酸素が電極88に蓄積される。これにより、電極86、88間の酸素濃度に応じた起電力が電極86、88間に発生し、端子T2、T3間の電圧として現れる。
【0035】
[2.2.3.フィードバック制御部12]
フィードバック制御部12は、端子電圧検出部11によって検出されるVS電圧Vsに応じた制御電圧を生成し、かかる制御電圧Vcntを電流供給部13へ出力する。
【0036】
フィードバック制御部12は、例えばPI(比例積分)制御またはPID(比例積分微分)制御によって、VS電圧Vsと予め定められた基準電圧値Vref(例えば、0.45[V])との差に応じた方向および大きさの電流Ipが電流供給部13からガスセンサ素子2の端子T1へ供給されるように、電流供給部13へ制御電圧Vcntを出力する。
【0037】
[2.2.4.電流供給部13]
電流供給部13は、抵抗R3〜R7と、オペアンプOP2とを備え、フィードバック制御部12から出力される制御電圧Vcntと基準電圧Vbとの差に応じた方向および大きさの電流IpをIP端子Tipからガスセンサ素子2のポンプセル4へ供給する。なお、電流供給部13は図2に示す回路に限定されるものではなく、フィードバック制御部12の制御に応じた電流Ipを端子T1へ供給することができる構成であればよい。
【0038】
[2.2.5.電流検出部14]
電流検出部14は、電圧制御部10の抵抗R2の両端電圧Vr2を検出し、抵抗R2(例えば、R2=200Ω)の両端電圧Vr2からポンプセル4に流れる電流Ip(=Vr2/R3)を検出する。空燃比演算部15は、IP電流Ipに基づいて空燃比(A/F値)を演算する。
【0039】
なお、電流検出部14は、IP電流Ipを検出する構成であればよく、図2に示す構成に限定されない。例えば、電流検出部14は、オペアンプOP1の出力と一定電圧Vaとの差から両端電圧Vr2を検出し、IP電流Ipを検出する構成であってもよい。また、図2に示していないが、制御装置3には定電流Icpを流すための定電流源がVS端子TvsとCOM端子Tcomとにそれぞれ設けられており、定電流Icpは電流検出部14によって検出されるIP電流Ipには含まれない。
【0040】
[2.2.6.空燃比演算部15]
空燃比演算部15は、電流検出部14によって検出されたIP電流Ipに基づいて空燃比(A/F値)を演算する。
【0041】
[2.2.7.測定用電流供給部16]
測定用電流供給部16は、検出セル5のインピーダンスZsの状態を測定するための定電流である測定用電流Imを電流源42からCOM端子TcomとVS端子Tvsとの間に供給する。これにより、検出セル5に測定用電流Iが供給される。かかる測定用電流供給部16は、電流源42とスイッチ43とを備える。
【0042】
電流源42とスイッチ43は、VS端子TvsとグランドGNDとの間に直列に接続されて配置される。スイッチ43は、断続的にオン(例えば、所定期間TA毎に所定期間TBの間だけオン)になり、測定用電流Iが電流源42から検出セル5へ断続的に供給される。
【0043】
なお、測定用電流供給部16は、図2に示す構成に限定されない。図4は、測定用電流供給部16の他の構成例を示す図である。図4に示す測定用電流供給部16は、スイッチ43と、電圧源44と、コンデンサ45とを備える。
【0044】
スイッチ43、電圧源44およびコンデンサ45は、VS端子TvsとグランドGNDとの間に直列に接続されて配置される。スイッチ43は、断続的にオンになり、測定用電流Iが電圧源44およびコンデンサ45から検出セル5へ断続的に供給される。
【0045】
[2.2.8.ヒータ制御部17]
ヒータ制御部17は、ガスセンサ素子2に設けられたヒータ6のヒータ配線に接続され、バッテリーBATからヒータ6へ供給する電力量を制御する。これによりヒータ6の温度が制御される。
【0046】
かかるヒータ制御部17は、駆動部46と、スイッチング素子47とを備える。駆動部46は、ヒータ6へ供給する電力量に応じたデューティ比Dの駆動信号を生成し、スイッチング素子47へ出力する。これにより、駆動信号に基づきデューティ比Dでスイッチング素子47がオン/オフされてヒータ6にバッテリーBATからデューティ比Dに応じた電力が供給される。
【0047】
[2.2.9.モード制御部18]
モード制御部18は、端子電圧検出部11によって検出されるVS電圧Vsに基づいて、ガスセンサ素子2の活性状態を判定する。
【0048】
ガスセンサ素子2の活性状態には、ガスセンサ素子2が活性化していない状態(以下、非活性状態と記載する)とガスセンサ素子2が活性化している状態(以下、活性状態と記載する)とがある。後述するセンサ非活性領域は、ガスセンサ素子2が活性化していない期間であり、センサ活性領域は、ガスセンサ素子2が活性化している期間である。
【0049】
モード制御部18は、判定したガスセンサ素子2の活性化状態に基づいて、制御モードを設定する。制御モードには、第1モードと、第2モードとが含まれる。第1モードは、ガスセンサ素子2が非活性状態である場合の動作モードであり、ガスセンサ素子2を活性化させる動作モードである。第2モードは、ガスセンサ素子2が活性状態である場合の動作モードであり、A/F値を検出する動作モードである。以下、制御装置3がガスセンサ素子2に対する制御を開始してからのCOM電圧Vcom、VS電圧VsおよびIP電流Ipの状態変化について説明する。
【0050】
図5は、空燃比センサ1が正常時における、COM電圧Vcom、VS電圧VsおよびIP電流Ipの状態変化を示す図である。なお、以下においては、Va=3.3[V]、Vref=0.45であるものとして説明するが、VaおよびVrefはかかる電圧値に限定されるものではない。
【0051】
図5に示すように、制御装置3がガスセンサ素子2に対する制御を開始した場合(時刻t0)、制御装置3は、第1モードを開始する。第1モードにおいて、電圧制御部10は、COM電圧Vcomが一定電圧Va(=3.3[V])になるように電圧を出力する。
【0052】
また、モード制御部18は、ヒータ制御部17を制御し、バッテリーBATからヒータ6へ電力を供給させてガスセンサ素子2を加熱すると共に、ガスセンサ素子2の活性化判定を行う。かかる活性化判定は、ヒータ6の加熱によってガスセンサ素子2が活性状態になったか否かの判定である。
【0053】
ガスセンサ素子2の温度Tsが高いほど検出セル5のインピーダンスZsが小さくなることから、モード制御部18は、インピーダンスZsが閾値Zth1以下である場合に、ガスセンサ素子2が活性化されている状態であると判定する。なお、閾値Zth1は、ガスセンサ素子2が活性状態になる温度である活性温度Tth1以上である場合の検出セル5のインピーダンスZsである。
【0054】
活性化判定処理において、モード制御部18は、測定用電流供給部16のスイッチ43を断続的にオンにして測定用電流供給部16から測定用電流Iを検出セル5に供給させる。モード制御部18は、測定用電流Iによって生じる電圧変化量ΔVsから検出セル5のインピーダンスZs(=ΔVs/I)を求める。
【0055】
モード制御部18は、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になった場合(図5に示す時刻t1)に、ガスセンサ素子2が活性したと判定し、動作モードを第2モードへ移行する。フィードバック制御部12は、第2モードへ移行すると、フィードバック制御を開始し、VS電圧Vsに応じた制御電圧Vcntを電流供給部13へ出力する。
【0056】
これにより、Vs=VrefとなるようにIP電流Ipが電流供給部13からポンプセル4へ供給され、空燃比演算部15において、IP電流Ipに応じた空燃比(A/F値)の演算が実行される。このように、制御装置3は、第1モードにおいてガスセンサ素子2を活性化させた後、第2モードにおいて、空燃比(A/F値)の演算を繰り返し行うことができる。
【0057】
なお、第2モードにおいて、ヒータ制御部17は、ガスセンサ素子2の活性状態を維持することができるようにデューティ比Dを調整してヒータ6に電力を供給する。例えば、ヒータ制御部17は、モード制御部18によって演算されるインピーダンスZsが閾値Zth2(<Zth1)となるように、例えば、PI制御やPID制御によって、デューティ比Dを調整する。これにより、ガスセンサ素子2の活性状態を維持することができる。なお、モード制御部18は、第2モードにおいても活性化判定処理を継続して行う。
【0058】
[2.2.10.異常検出部19]
図2に示す異常検出部19は、端子間電圧VcvおよびVS電圧Vsの変化量ΔVsに基づき、COM−VSがショート状態であるか否かを検出する。かかる異常検出部19は、端子間電圧検出部51と、端子電圧検出部52と、異常判定部53とを備える。
【0059】
端子間電圧検出部51は、COM端子TcomとVS端子Tvsとの間の電圧である端子間電圧Vcvを検出する。なお、端子間電圧検出部51は、COM端子TcomとVS端子Tvsとの間の電圧差を直接検出する構成であってもよく、また、COM電圧VcomとVS電圧Vsとをそれぞれ検出し、COM電圧VcomとVS電圧Vsとの差を端子間電圧Vcvとして検出する構成であってもよい。
【0060】
端子電圧検出部52は、VS電圧Vsを検出する。端子電圧検出部52は、例えば、端子電圧検出部11と同様の構成にすることができる。なお、端子電圧検出部52を設けずに、端子電圧検出部11を端子電圧検出部52として用いることができる。これにより、端子電圧検出部を共用化してコスト等を低減することができる。
【0061】
異常判定部53は、端子間電圧検出部51によって検出された端子間電圧Vcvと、端子電圧検出部52によって検出されたVS電圧Vsに基づいて、COM−VS間がショート状態であるか否かを検出する。
【0062】
図6は、異常判定部53の構成例を示す図である。図6に示すように、異常判定部53は、第1状態判定部61と、第2状態判定部62と、仮判定部63と、エラーカウンタ64と、異常確定判定部65とを備える。
【0063】
第1状態判定部61は、端子間電圧Vcvと閾値Vth1とを比較し、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下であるか否かを判定する。第2状態判定部62は、電圧変化量ΔVsと閾値Vth2とを比較し、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下であるか否かを判定する。
【0064】
仮判定部63は、第1状態判定部61によって端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下であると判定され、かつ、第2状態判定部62によって電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下であると判定された場合、エラーカウンタ64のカウンタ値Cdをインクリメントする。異常確定判定部65は、エラーカウンタ64のカウンタ値Cdが閾値Cth以上である場合に、COM−VS間がショートしていると判定する。
【0065】
なお、異常検出部19の構成は、図6に示す構成例に限定されない。例えば、異常判定部53は、フラグを用いて異常判定処理を行う構成であってもよい。例えば、異常判定部53は、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下である場合に、第1検出フラグをオンにし、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下である場合に、第2検出フラグをオンにする。異常判定部53は、第1検出フラグと第2検出フラグとがオンである場合に、仮判定フラグをオンにし、仮判定フラグが所定回数以上継続してオンである場合に異常確定フラグをオンにする。
【0066】
図7は、検出セル5の両端がショートしていない場合(以下、正常時と記載する)と検出セル5の両端がショートしている場合(以下、COM−VS間ショート時と記載する)とにおける、測定用電流ImとVS電圧VsとCOM電圧Vcomとの状態変化を示す図である。
【0067】
図7に示すように、測定用電流供給部16は、検出セル5に所定期間TA毎に所定期間TBだけ測定用電流Imを供給している。COM−VS間ショート時では正常時に比べて、COM−VS間のインピーダンスは低くなることから、端子間電圧Vcvと測定用電流ImによるVS電圧Vsの変化量ΔVsとは、正常時に比べCOM−VS間ショート時が小さくなる。
【0068】
異常判定部53は、上述するように、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下であり、かつ、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下である場合に、COM−VS間がショートしていると判定する。これにより、IP−COM間がショートしている場合であっても、検出セル5の両端のショート状態を精度よく検出することができる。
【0069】
ところで、モード移行直後は、不安定な状態であり、第2モードへ移行した時刻t1からCOM−VS間のショート状態を検出すると、誤検出の可能性がある。そこで、異常判定部53は、第1モードから第2モードへ移行した時刻t1(図5参照)から所定期間T0(図5参照)が経過後(図5の時刻t2)に、COM−VS間のショート状態の判定処理を開始する。これにより、検出セル5の両端のショート状態をより精度よく検出することが可能になる。
【0070】
また、異常判定部53は、所定条件を満たす期間に端子間電圧検出部51によって検出された端子間電圧Vcvに基づいて、検出セル5の端子間のショート状態を判定する。図8は、異常判定部53で用いる端子間電圧Vcvの検出タイミングの説明図である。
【0071】
図8に示すように、測定用電流Imが供給されなくなる時刻t10から所定期間T11経過後であって測定用電流Imが供給される時刻t11の前の期間T13において端子間電圧検出部51によって検出された端子間電圧Vcvが異常判定部53によるCOM−VS間のショート状態の判定に用いられる。
【0072】
期間T13は、端子間電圧Vcvが安定している状態であり、測定用電流Imに起因する端子間電圧Vcvの誤差が少ないことから、検出セル5の両端のショート状態をより精度よく検出することが可能になる。なお、図8において、期間T10は、測定用電流が供給されている期間であり、期間T12は、期間T10と期間T11とを含む期間である。
【0073】
ところで、モード制御部18は、第1モードから第2モードへ移行してから、COM−VS間のショートが発生した場合に、ガスセンサ素子2が非活性状態になることを防止して、COM−IP間のショートを精度よく判定することができるようにしている。この点について、図9および図10を参照して説明する。
【0074】
図9は、第1モードから第2モードへ移行してから、COM−VS間のショートが発生した場合の動作説明図である。図9に示すように、正常な状態から時刻t20においてCOM−VS間のショートが発生した場合、次の処理タイミングである時刻t22で、インピーダンスZsが急に低下し、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になる。
【0075】
このようにインピーダンスZsが閾値Zth1以下になった場合、異常検出部19は、ヒータ制御部17を制御し、デューティ比Dの調整を制限する。これにより、ヒータ6へ供給する電力量の調整を制限される。図9に示す例では、デューティ比DをCOM−IP間がショートする直前のデューティ比Dに所定期間TCだけ固定される。かかる所定期間TCは、COM−VS間ショート異常を検出に必要な期間TDよりも長い期間に設定される。
【0076】
また、異常検出部19は、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になった場合、ヒータ制御部17を制御し、所定期間TCだけデューティ比Dが所定値Dth未満になることを禁止することもできる。これにより、ヒータ6へ電力を継続して供給することができる。なお、所定値Dthは、ガスセンサ素子2の温度Tsが閾値Tth2から所定期間TC内に活性温度Tth1以下にならないように設定される。また、所定値Dthをゼロにしてヒータ6へ供給する電力量がゼロになることを防止するようにしてもよい。
【0077】
このように、異常検出部19は、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になった場合にデューティ比Dの調整を制限することから、ガスセンサ素子2が非活性状態になることを防止することができる。図10は、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になった場合、異常検出部19がデューティ比Dの調整を制限しない場合の動作説明図である。
【0078】
インピーダンスZsが閾値Zth1以下になっても異常検出部19がデューティ比Dの調整を制限しない場合、図10に示すように、ヒータ制御部17によってデューティ比Dがゼロになってヒータ6へ供給する電力量がゼロになる。
【0079】
そのため、ガスセンサ素子2の温度Tsが低下し、図10に示す例では、時刻t25において、ガスセンサ素子2の温度Tsが活性温度Tth1以下になり、ガスセンサ素子2が不活性状態になる。そのため、異常検出部19によってCOM−VS間のショート状態を検出することができない。
【0080】
一方、異常検出部19は、上述したように、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になった場合にデューティ比Dの調整を制限することから、COM−VS間のショート状態を精度よく検出することが可能になる。
【0081】
なお、上述した例では、異常検出部19は、演算されたインピーダンスZsに基づいてデューティ比Dの調整を制限するが、異常検出部19は、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下、かつ、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下である場合に、ヒータ制御部17を制御し、デューティ比Dの調整を制限することもできる。
【0082】
また、上述した実施形態では、制御装置3内に異常判定部53(異常判定装置の一例)を設ける例を説明したが、制御装置3の異常判定部53は外部に設けることができる。
【0083】
[3.異常検出部19の異常判定処理フロー]
次に、フローチャートを用いて、異常検出部19の異常判定処理の流れの一例を説明する。図11は、異常検出部19が実行する主な処理手順を示すフローチャートであり、繰り返し実行される処理である。
【0084】
図11に示すように、異常検出部19は、動作モードが第2モードであるか否かを判定し(ステップS10)、動作モードが第2モードであると判定した場合(ステップS10;Yes)、第2モードに移行して所定期間T0が経過したか否かを判定する(ステップS11)。異常検出部19は、第2モードに移行して所定期間T0が経過したと判定した場合(ステップS11;Yes)、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0085】
異常検出部19は、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下であると判定した場合(ステップS12;Yes)、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下であるか否かを判定する(ステップS13)。異常検出部19は、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下である場合(ステップS13;Yes)、カウンタ値Cdがゼロ(初期値)であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0086】
異常検出部19は、カウンタ値Cdがゼロであると判定した場合(ステップS14;Yes)、異常検出部19を制御し、デューティ比Dの調整を所定期間TC制限する処理を開始する(ステップS15)。なお、異常検出部19は、ステップS14、S15の処理に代えて、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になったタイミングで、デューティ比Dの調整を所定期間TC制限する処理を開始することもできる。
【0087】
ステップS15の処理が終了した場合、または、カウンタ値Cdがゼロではないと判定した場合(ステップS14;No)、異常検出部19は、カウンタ値Cdをインクリメントする(ステップS16)。異常検出部19は、カウンタ値Cdが閾値Cth1以上であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0088】
異常検出部19は、カウンタ値Cdが閾値Cth1以上であると判定した場合(ステップS17;Yes)、COM−VS間がショートしていると判定する(ステップS18)。ステップS18の処理が終了した場合、第2モードでない場合(ステップS10;No)、所定期間T0が経過している場合(ステップS11;No)、端子間電圧Vcvが閾値Vth1以下でない場合(ステップS12;No)、電圧変化量ΔVsが閾値Vth2以下でない場合(ステップS13;No)、カウンタ値Cdが閾値Cth1以上でない場合(ステップS17;No)、図11に示す処理を終了し、次の処理タイミングでステップS10の処理から実行される。
【0089】
上述したように、空燃比センサ1の異常判定部53は、端子間電圧検出部51と、端子電圧検出部52と、異常判定部53とを備える。端子間電圧検出部51は、検出セル5の一端が接続されるCOM端子Tcom(第1端子の一例)と検出セル5の他端が接続されるVS端子Tvs(第2端子の一例)との間の端子間電圧Vcvを検出する。検出セル5のインピーダンスZsの状態を測定するためにCOM端子TcomとVS端子Tvsとの間に供給される測定用電流Imによって変化するVS端子TvsのVS電圧Vsを検出する。端子電圧検出部52は、検出セル5のインピーダンスZsの状態を測定するための測定用電流Imによって変化するVS電圧Vs(第2端子の電圧の一例)を検出する。異常判定部53は、端子間電圧検出部51によって検出される端子間電圧Vcvと端子電圧検出部52によって検出されるVS電圧Vsの測定用電流Imによる変化量ΔVsとに基づいて、COM−VS間のショート状態を判定する。
【0090】
これにより、例えば、IP−COM間がショートしている場合であっても、COM−VS間のショート状態の誤判定を回避することができ、COM−VS間のショート状態、すなわち、検出セル5の両端のショート状態を精度よく検出することができる。
【0091】
異常判定部53は、測定用電流Imが供給されていない状態で端子間電圧検出部51によって検出された端子間電圧Vcvが閾値Vth1(所定値の一例)以下であり、かつ、端子電圧検出部52によって検出されるVS電圧Vsの測定用電流Imによる変化量ΔVsが閾値Vth2(所定値の一例)以下である場合に、COM−VS間がショートしていると判定する。これにより、検出セル5の両端のショート状態を精度よく検出することができる。
【0092】
異常判定部53は、測定用電流Imが供給されなくなってから所定期間T11経過後であって測定用電流Imの供給前に端子間電圧検出部51によって検出された端子間電圧Vcvに基づいて、COM−VS間のショート状態を判定する。これにより、測定用電流Imに起因する端子間電圧Vcvの誤差によってCOM−VSショート異常を精度よく検出することができる。
【0093】
また、異常判定部53は、空燃比センサ1が空燃比を検出する第2モードへ移行してから所定期間T0経過後に、COM−VS間のショート状態の判定処理を開始する。これにより、モード移行直後の不安定な状態での異常検出を行うことによる誤判定を抑制することができる。
【0094】
また、異常判定部53は、COM−VS間のインピーダンスZsが閾値Zth1(所定値の一例)以下になってから所定期間TCが経過するまで、ガスセンサ素子2を加熱するヒータ6へ供給する電力量の調整を制限する。これにより、第2モードにおいて正常状態から、検出セル5の両端のショートが発生した場合に、ガスセンサ素子2が非活性状態になることを防止でき、COM−IP間のショートを精度よく判定することができる。
【0095】
また、異常判定部53は、インピーダンスZsが閾値Zth1以下になる前のヒータ6へ供給される電力量を所定期間TC維持することによって、電力量の調整の制限を行う。これにより、COM−IP間のショートが発生した場合に、ヒータ6の温度Tsを略一定に維持することができる。
【0096】
また、異常判定部53は、ヒータ6へ供給される電力量が所定値以下になることを禁止することによって、電力量の調整の制限を行う。これにより、COM−IP間のショートが発生した場合に、ヒータ6への電力供給が停止されることを抑制できる。
【0097】
また、所定期間TCは、COM−VS間のショートの発生によってインピーダンスZsが閾値Zth1以下になってから異常判定部53によってCOM−VS間がショートしていると判定されるまでの期間TDよりも長い。これにより、COM−IP間のショートが発生した場合に、COM−IP間のショートを精度よく判定することができる。
【0098】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 空燃比センサ
2 ガスセンサ素子
3 制御装置
4 ポンプセル
5 検出セル
6 ヒータ
10 電圧制御部
11 端子電圧検出部
12 フィードバック制御部
13 電流供給部
14 電流検出部
15 空燃比演算部
16 測定用電流供給部
17 ヒータ制御部
18 モード制御部
19 異常検出部
42 電流源
44 電圧源
51 端子間電圧検出部
52 端子電圧検出部
53 異常判定部
61 第1状態判定部
62 第2状態判定部
63 仮判定部
64 エラーカウンタ
65 異常確定判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11