(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1〜
図4を参酌して説明する。なお、各図(
図5〜
図8も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1は、ビード2aを有する一対のビード部2と、各ビード部2からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部3と、一対のサイドウォール部3のタイヤ径方向D2の外端部に連接され、トレッド面4aを構成するトレッド部4とを備えている。そして、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤであって、リム100に装着される。
【0015】
図1において、タイヤ幅方向D1は、左右方向である。また、タイヤ径方向D2は、タイヤ1の直径方向であり、タイヤ周方向D3(
図1において図示していない)は、タイヤ回転軸周りの方向である。なお、
図1において、タイヤ径方向D2のうち、紙面と平行であるタイヤ径方向D2は、上下方向である。また、タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面は、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0016】
タイヤ1は、一対のビード2a,2aの間に架け渡されるカーカス層5と、カーカス層5の内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナー6とを備えている。カーカス層5及びインナーライナー6は、ビード部2、サイドウォール部3、及びトレッド部4に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0017】
カーカス層5は、本実施形態においては、1つのカーカスプライ5aで構成されている。該カーカスプライ5aは、ビード2aを巻き込むようにビード2aの周りで折り返されている。また、ビード部2は、外表面を構成すべく、カーカスプライ5aのタイヤ幅方向D1の外側に配置されるリムストリップゴム2bを備えている。そして、サイドウォール部3は、外表面を構成すべく、カーカス層5のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム3aを備えている。
【0018】
トレッド部4は、地面と接するトレッド面(接地面)4aを構成すべく、カーカス層5の外周側に配置されるトレッドゴム7と、カーカス層5の外周側で且つトレッドゴム7の内周側に配置されるベルト層8とを備えている。本実施形態においては、ベルト層8は、二層のベルトプライ8a,8bを備えている。
【0019】
トレッドゴム7は、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周溝9を備えている。本実施形態においては、周溝9は、四つ備えられている。なお、複数の周溝9においては、タイヤ幅方向D1の最外側に配置される周溝9は、ショルダー周溝9sといい、一対のショルダー周溝9s,9sの間に配置される周溝9は、センター周溝9cという。
【0020】
また、
図2に示すように、トレッド部4は、複数の周溝9により、複数の領域10に区画されている。トレッド部4のうち、ショルダー周溝9sよりもタイヤ幅方向D1の外側の領域10は、ショルダー領域10sといい、ショルダー周溝9sとセンター周溝9cとの間の領域10は、メディエイト領域10mといい、一対のセンター周溝9c,9cの間に配置される領域10は、センター領域10cという。
【0021】
各領域10は、凸状に形成されて接地する陸部11と、タイヤ周方向D3と交差するように凹状に延びる複数の横溝12とから成る。なお、センター領域10cにおいては、横溝12がタイヤ幅方向D1の全長に亘って配置されているため、陸部11は、タイヤ周方向D3に並列するように分割されているブロック形状である。また、メディエイト領域10m及びショルダー領域10sにおいては、横溝12がタイヤ幅方向D1の一部に配置されているため、陸部11は、タイヤ周方向D3に連続しているリブ形状である。
【0022】
なお、本実施形態においては、周溝9は、タイヤ周方向D3と平行となるように、直線状に形成されている。しかしながら、周溝9は、斯かる構成に限られず、例えば、ジグザグ状に形成されていてもよい。
【0023】
図2〜
図4に示すように、陸部11は、深さ寸法が幅寸法よりも大きい凹状のサイプ13を複数備えている。また、陸部11は、深さ寸法が幅寸法以下である凹状の浅溝14を複数備えている。
【0024】
本実施形態においては、横溝12は、幅寸法が3mmよりも大きい凹状部をいう。そして、サイプ13は、幅寸法が3mm以下(好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2mm以下)であり、深さ寸法が幅寸法よりも大きい凹状部をいい、浅溝14は、幅寸法が3mm以下(好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下)であり、深さ寸法が幅寸法よりも小さい凹状部をいう。
【0025】
サイプ13は、陸部11のタイヤ幅方向D1の全長に亘って配置されている。即ち、サイプ13は、一対の周溝9,9(又は、周溝9及び横溝12)にそれぞれ接続されている。そして、サイプ13は、タイヤ幅方向D1に沿って配置されている。具体的には、サイプ13は、トレッド面4aにおいて、直線状に形成され、タイヤ幅方向D1と平行となるように配置されている。なお、サイプ13は、タイヤ幅方向D1に対して傾斜して配置されていてもよく、また、トレッド面4aにおいて、曲線状に形成されていてもよい。
【0026】
浅溝14は、一つの周溝9と接続され、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央に向けて延びている。そして、浅溝14は、周溝9から、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央を越える位置まで延びている。即ち、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法は、陸部11のタイヤ幅方向D1の寸法の50%以上である。なお、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法が小さい場合、浅溝14による除水効果が発揮し難く、また、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法が大きい場合、陸部11の剛性が低下する。
【0027】
したがって、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法は、陸部11のタイヤ幅方向D1の寸法の40%〜90%であることが好ましく、50%〜80%であることがより好ましく、60%〜70%であることがさらに好ましい。本実施形態においては、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法は、陸部11のタイヤ幅方向D1の寸法の70%としている。
【0028】
浅溝14の幅寸法は、接続される周溝9に向けて、即ち、陸部11の中央側の先端141から周溝9側の基端142に向けて、大きくなっている。例えば、浅溝14による除水効果が発揮するように、基端142の幅寸法は、先端141の幅寸法の1.2倍〜10倍であることが好ましく、1.3倍〜3.0倍であることがより好ましく、1.5倍〜2.5倍であることがさらに好ましい。本実施形態においては、基端142の幅寸法は、先端141の幅寸法の2倍としている。
【0029】
また、浅溝14による除水効果が発揮し、且つ、陸部11の剛性が低下することを抑制するように、先端141の幅寸法は、0.1mm〜1.0mmであることが好ましく、基端142の幅寸法は、0.5mm〜2.0mmであることが好ましい。本実施形態においては、先端141の幅寸法は、1.0mmとし、基端142の幅寸法は、2.0mmとしている。
【0030】
浅溝14の深さ寸法は、接続される周溝9に向けて、即ち、先端141から基端142に向けて、大きくなっている。例えば、浅溝14による除水効果が発揮するように、基端142の深さ寸法は、先端141の深さ寸法の1.2倍〜10倍であることが好ましく、1.3倍〜3.0倍であることがより好ましく、1.5倍〜2.5倍であることがさらに好ましい。本実施形態においては、基端142の幅寸法は、先端141の幅寸法の2倍としている。
【0031】
また、浅溝14による除水効果が発揮し、且つ、陸部11の剛性が低下することを抑制するように、先端141の深さ寸法は、0.1mm〜1.0mmであることが好ましく、基端142の深さ寸法は、0.3mm〜1.5mmであることが好ましい。本実施形態においては、先端141の深さ寸法は、0.5mmとし、基端142の深さ寸法は、1.0mmとしている。
【0032】
ところで、浅溝14は、サイプ13,13の間(又は、サイプ13と横溝12との間)に一つ配置されている。即ち、サイプ13と浅溝14とは、タイヤ周方向D3において、交互に並列されている。これにより、浅溝14がタイヤ周方向D3で均等に配置されているため、陸部11は、タイヤ周方向D3に亘って、除水効果を有し、さらに、良好な接地性を有する。
【0033】
そして、浅溝14は、サイプ13に沿って配置されている。具体的には、浅溝14は、トレッド面4aにおいて、直線状に形成されており、サイプ13と平行となるように、配置されている。また、浅溝14は、サイプ13とタイヤ周方向D3で離間しており、また隣接する浅溝14ともタイヤ周方向D3で離間している。
【0034】
また、浅溝14は、陸部11を区画する一対の周溝9,9のうち、一方の周溝9のみに接続される第1浅溝14aと、他方の周溝9のみに接続される第2浅溝14bとを備えている。そして、陸部11がタイヤ幅方向D1に亘って除水効果を有するように、第1浅溝14aと第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置されている。
【0035】
また、浅溝14の体積(空体積)が大きい場合、陸部11の剛性が低下する。そこで、浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積よりも小さくなっている。但し、浅溝14の体積が小さい場合、浅溝14による除水効果が低下するため、浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積の30%〜90%であることが好ましく、40%〜80%であることがより好ましく、50%〜70%であることがさらに好ましい。
【0036】
そして、陸部11において、浅溝14の体積の総和は、サイプ13の体積の総和よりも小さい。ところで、浅溝14の体積の総和が大きい場合、陸部11の剛性が低下し、浅溝14の体積の総和が小さい場合、浅溝14による除水効果が低下する。したがって、陸部11において、浅溝14の体積の総和は、サイプ13の体積の総和の30%〜90%であることが好ましく、40%〜80%であることがより好ましく、50%〜70%であることがさらに好ましい。
【0037】
以上より、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周溝9を備える空気入りタイヤ1であって、前記周溝9で区画される陸部11を備え、前記陸部11は、深さ寸法が幅寸法以下である浅溝14を備え、前記浅溝14は、少なくとも一つの前記周溝9と接続され、前記浅溝14の幅寸法は、接続される前記周溝9に向けて大きくなる。
【0038】
斯かる構成によれば、陸部11は、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周溝9で区画されている。そして、陸部11は、深さ寸法が幅寸法以下である浅溝14を備えている。これにより、タイヤ1は、使用初期時に、浅溝14のエッジが路面を引っ掻くことにより、浅溝14によるエッジ効果を有している。
【0039】
そして、浅溝14は、少なくとも一つの周溝9と接続されており、さらに、浅溝14の幅寸法は、接続される周溝9に向けて大きくなっている。これにより、使用初期時に、浅溝14内の水分が周溝9に向けて移動するため、浅溝14による除水効果が発揮される。これにより、エッジ効果だけでなく、除水効果も発揮されるため、使用初期時でのさらなる性能向上を図ることができる。例えば、アイス制動性能やウエット制動性能を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記浅溝14の深さ寸法は、接続される前記周溝9に向けて大きくなる、という構成である。
【0041】
斯かる構成によれば、浅溝14の深さ寸法が、接続される周溝9に向けて大きくなるため、使用初期時に、浅溝14内の水分が周溝9に向けて移動し易くなる。これにより、浅溝14による除水効果を効果的に発揮させることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記浅溝14は、一つの前記周溝9とのみ接続され、前記陸部11の少なくともタイヤ幅方向D1の中央まで延びる、という構成である。
【0043】
斯かる構成によれば、浅溝14が一つの周溝9とのみ接続されているため、陸部11の剛性が低下することを抑制することができる。これにより、例えば、ドライ操縦安定性能が低下することを抑制することができる。そして、浅溝14が陸部11の少なくともタイヤ幅方向D1の中央まで延びているため、除水が難しい陸部11のタイヤ幅方向D1の中央の部分についても、浅溝14による除水効果を効果的に発揮することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記浅溝14は、前記陸部11を区画する一対の前記周溝9,9のうち、一方の周溝9のみに接続される第1浅溝14aと、他方の周溝9のみに接続される第2浅溝14bとを備え、前記第1浅溝14aと前記第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置される、という構成である。
【0045】
斯かる構成によれば、第1浅溝14aは、陸部11を区画する一対の周溝9,9のうち、一方の周溝9のみに接続され、第2浅溝14bは、他方の周溝9のみに接続されている。そして、第1浅溝14aと第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置されている。これにより、陸部11のタイヤ幅方向D1に亘って、浅溝14による除水効果を発揮することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記陸部11は、深さ寸法が幅寸法よりも大きいサイプ13を備え、前記陸部11において、前記浅溝14の体積の総和は、前記サイプ13の体積の総和よりも小さい、という構成である。
【0047】
斯かる構成によれば、陸部11は、浅溝14だけでなく、深さ寸法が幅寸法よりも大きいサイプ13も備えている。これにより、例えば、アイス制動性能を向上させることができる。そして、陸部11において、浅溝14の体積の総和が、サイプ13の体積の総和よりも小さいため、陸部11の剛性が低下することを抑制することができる。これにより、例えば、ドライ操縦安定性能が低下することを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記陸部11は、深さ寸法が幅寸法よりも大きいサイプ13を備え、前記浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接される前記サイプ13の体積よりも小さい、という構成である。
【0049】
斯かる構成によれば、陸部11は、浅溝14だけでなく、深さ寸法が幅寸法よりも大きいサイプ13も備えている。これにより、例えば、アイス制動性能を向上させることができる。そして、浅溝14の体積が、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積よりも小さいため、陸部11の剛性が低下することを抑制することができる。これにより、例えば、ドライ操縦安定性能が低下することを抑制することができる。
【0050】
なお、空気入りタイヤは、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0051】
上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、サイプ13と浅溝14とは、タイヤ周方向D3において、交互に並列されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、
図5に示すように、浅溝14は、タイヤ周方向D3において、サイプ13,13の間に複数(
図5においては2つ)備えられている、という構成でもよい。
【0052】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14は、周溝9から、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央を越える位置まで延びている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、
図6に示すように、浅溝14は、周溝9から、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央の手前の位置まで延びる、という構成でもよい。なお、
図6においては、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法は、陸部11のタイヤ幅方向D1の寸法の45%としている。
【0053】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、一方の周溝9のみに接続される第1浅溝14aと、他方の周溝9のみに接続される第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。
【0054】
例えば、空気入りタイヤにおいては、
図6に示すように、第1浅溝14aと第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重ならないように、配置されている、という構成でもよい。なお、浅溝14による除水効果を効果的に発揮させるために、第1浅溝14aと第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置されている、という構成が好ましい。
【0055】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法は、同じである、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法は、それぞれ異なる、という構成でもよい。
【0056】
また、ブロックである陸部11において、タイヤ周方向D3の中央で且つタイヤ幅方向D1の中央の部分は、除水し難く、また、接地性も悪い。そこで、
図7に示すように、ブロックである陸部11において、タイヤ周方向D3の中央に位置するほど、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法が大きい、という構成でもよい。斯かる構成によれば、ブロックである陸部11において、タイヤ周方向D3の中央で且つタイヤ幅方向D1の中央の部分も、除水でき、しかも、接地性を向上させることができる。
【0057】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14は、一つ周溝9と接続されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。
【0058】
例えば、空気入りタイヤにおいては、浅溝14は、備えられる陸部11を区画する二つの周溝9,9と接続されている、という構成でもよい。斯かる構成の場合、浅溝14の幅寸法は、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央から各周溝9に向けてそれぞれ大きくなる。なお、陸部11の剛性が低下することを抑制するために、浅溝14は、一つの周溝9と接続されている、という構成が好ましい。
【0059】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14の深さ寸法は、接続される周溝9に向けて大きくなる、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。
【0060】
例えば、空気入りタイヤにおいては、浅溝14の深さ寸法は、接続される周溝9に向けて小さくなる、という構成でもよく、また例えば、浅溝14の深さ寸法は、一定である、という構成でもよい。なお、浅溝14の除水効果を効果的に発揮させるために、浅溝14の深さ寸法は、接続される周溝9に向けて大きくなる、という構成が好ましい。
【0061】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積よりも小さい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。
【0062】
例えば、空気入りタイヤにおいては、浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積と同じ、という構成でもよく、また例えば、浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積よりも大きい、という構成でもよい。なお、陸部11の剛性が低下することを抑制するために、浅溝14の体積は、タイヤ周方向D3で隣接されるサイプ13の体積よりも小さい、という構成が好ましい。
【0063】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、陸部11において、浅溝14の体積の総和は、サイプ13の体積の総和よりも小さい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。
【0064】
例えば、空気入りタイヤにおいては、陸部11において、浅溝14の体積の総和は、サイプ13の体積の総和と同じ、という構成でもよく、また例えば、陸部11において、浅溝14の体積の総和は、サイプ13の体積の総和よりも大きい、という構成でもよい。なお、陸部11の剛性が低下することを抑制するために、浅溝14の体積は、陸部11において、浅溝14の体積の総和は、サイプ13の体積の総和よりも小さい、という構成が好ましい。
【0065】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、陸部11は、サイプ13を備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、陸部11は、サイプ13を備えていない、という構成でもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14は、トレッド面4aにおいて、直線状に形成されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、浅溝14は、トレッド面4aにおいて、湾曲状に形成されている、という構成でもよい。
【0067】
また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、浅溝14は、タイヤ幅方向D1に平行に配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤは、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤにおいては、浅溝14は、タイヤ幅方向D1に対して傾斜して配置されている、という構成でもよい。
【実施例】
【0068】
ここで、空気入りタイヤ1の構成と効果を具体的に示すため、空気入りタイヤ1の実施例とその比較例とについて、
図2〜
図6及び
図8〜
図9を参酌して、以下に説明する。
【0069】
<アイス制動性能>
車両に各タイヤを装着させて、時速40キロメートルでアイス路面を走行させた状態からABSを作動させた際の、制動距離を測定し、その測定値の逆数を算出した。比較例の結果を100とする指数で評価し、指数が大きいほど、アイス制動性能が優れていることを示す。
【0070】
<ウエット制動性能>
車両に各タイヤを装着させて、時速100キロメートルで水深1mmの路面を走行させた状態からABSを作動させた際の、制動距離を測定し、その測定値の逆数を算出した。比較例の結果を100とする指数で評価し、指数が大きいほど、ウエット制動性能が優れていることを示す。
【0071】
<ドライ操縦安定性能>
車両に各タイヤを装着させて、ドライ路面を、加速・制動・旋回・レーンチェンジをする走行を実施した。そして、ドライバーによる官能試験により、操縦安定性能を評価した。比較例1の結果を100とする指数で評価し、指数が大きいほど、ドライ操縦安定性能が優れていることを示す。
【0072】
<実施例1〜3>
実施例1は、
図2〜
図4に係る上記実施形態に係るタイヤである。
実施例2は、
図5に示すように、サイプ13,13の間に二つの浅溝14を備えるタイヤである。
実施例3は、
図6に示すように、浅溝14のタイヤ幅方向D1の寸法が陸部11のタイヤ幅方向D1の寸法の50%未満であるタイヤである。
【0073】
<比較例>
比較例は、
図8に示すように、陸部11が浅溝14を備えておらずサイプ13のみ備えるタイヤである。
【0074】
<評価結果>
実施例1〜3は、比較例に対して、ドライ操縦安定性能を維持しつつ、アイス制動性能及びウエット制動性能を向上できている。このように、実施例1〜3は、浅溝14による除水効果が発揮されているため、アイス制動性能及びウエット制動性能を向上できている。
【0075】
また、タイヤのより好ましい実施例について、以下に説明する。
【0076】
まず、実施例1及び2に係るタイヤにおいては、浅溝14は、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央を超える位置まで延びている、という構成である。それに対して、実施例3に係るタイヤにおいては、浅溝14は、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央の手前の位置まで延びている、という構成である。
【0077】
そして、実施例3に係るタイヤにおいては、アイス制動性能及びウエット制動性能を向上させることができているのに対して、実施例1及び2に係るタイヤにおいては、アイス制動性能及びウエット制動性能を非常に効果的に向上させることができている。これにより、タイヤにおいては、浅溝14は、陸部11のタイヤ幅方向D1の中央を超える位置まで延びる、という構成が好ましい。
【0078】
また、実施例1及び2に係るタイヤにおいては、一方の周溝9のみに接続される第1浅溝14aと、他方の周溝9のみに接続される第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置される、という構成である。それに対して、実施例3に係るタイヤにおいては、一方の周溝9のみに接続される第1浅溝14aと、他方の周溝9のみに接続される第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重ならないように、配置される、という構成である。
【0079】
そして、実施例3に係るタイヤにおいては、アイス制動性能及びウエット制動性能を向上させることができているのに対して、実施例1及び2に係るタイヤにおいては、アイス制動性能及びウエット制動性能を非常に効果的に向上させることができている。これにより、タイヤにおいては、一方の周溝9のみに接続される第1浅溝14aと、他方の周溝9のみに接続される第2浅溝14bとは、タイヤ周方向D3で重なるように、配置される、という構成が好ましい。