特許第6587922号(P6587922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587922
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】データ生成装置およびデータ生成方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20191001BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20191001BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G01R31/28 K
   G01R31/02
   H05K3/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-241688(P2015-241688)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-106845(P2017-106845A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】大兼 和幸
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−077554(JP,A)
【文献】 特開平09−080117(JP,A)
【文献】 特開2005−326193(JP,A)
【文献】 特開2002−131364(JP,A)
【文献】 特開平06−207963(JP,A)
【文献】 特開2010−107265(JP,A)
【文献】 特開2001−033505(JP,A)
【文献】 特開2015−075456(JP,A)
【文献】 特開2000−266814(JP,A)
【文献】 特開2015−025693(JP,A)
【文献】 米国特許第04328264(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子を有する電子部品が実装された基板における当該各端子間の検査をする際の検査対象とする一対の端子の組み合わせを特定して当該組み合わせを示すデータを生成する処理部を備えたデータ生成装置であって、
前記処理部は、前記基板の構成を示すデータに基づいて当該基板における前記各端子の端子位置を特定する第1処理と、当該基板における予め決められた第1方向に沿った予め指定された幅の第1の帯状領域および当該第1方向に直交する第2方向に沿った予め指定された幅の第2の帯状領域の少なくとも一方の帯状領域に前記端子位置が複数配列されているときに、複数の当該第1の帯状領域および複数の当該第2の帯状領域で構成されて当該各帯状領域が交差する交差部に前記各端子位置が位置するように当該各帯状領域をマトリクス状に配置した判定用マトリクスを仮想的に設定する第2処理と、前記判定用マトリクスにおける平行で隣接する2つの前記帯状領域の間隔が前記少なくとも一方の帯状領域に配列されている前記各端子位置の間隔のうちの最小の間隔に予め決められた係数α(αは1よりも大きい正数)を乗算した基準間隔以上のときに当該2つの帯状領域の間に当該各帯状領域に平行な新たな帯状領域を挿入する第3処理と、当該第3処理の実行後の新たな判定用マトリクスにおける前記各交差部のうちの互いに隣接する一対の交差部に前記端子位置がそれぞれ位置しているときに当該各端子位置にそれぞれ対応する前記各端子を前記検査対象とする一対の端子の組み合わせとして特定する第4処理とを実行するデータ生成装置。
【請求項2】
前記帯状領域の幅を指定する指定操作が可能な操作部を備え、
前記処理部は、前記帯状領域を前記指定操作によって指定された幅に設定して前記各処理を実行する請求項1記載のデータ生成装置。
【請求項3】
複数の端子を有する電子部品が実装された基板における当該各端子間の検査をする際の検査対象とする一対の端子の組み合わせを特定して当該組み合わせを示すデータを生成するデータ生成方法であって、
前記基板の構成を示すデータに基づいて当該基板における前記各端子の端子位置を特定する第1処理と、当該基板における予め決められた第1方向に沿った予め指定された幅の第1の帯状領域および当該第1方向に直交する第2方向に沿った予め指定された幅の第2の帯状領域の少なくとも一方の帯状領域に前記端子位置が複数配列されているときに、複数の当該第1の帯状領域および複数の当該第2の帯状領域で構成されて当該各帯状領域が交差する交差部に前記各端子位置が位置するように当該各帯状領域をマトリクス状に配置した判定用マトリクスを仮想的に設定する第2処理と、前記判定用マトリクスにおける平行で隣接する2つの前記帯状領域の間隔が前記少なくとも一方の帯状領域に配列されている前記各端子位置の間隔のうちの最小の間隔に予め決められた係数α(αは1よりも大きい正数)を乗算した基準間隔以上のときに当該2つの帯状領域の間に当該各帯状領域に平行な新たな帯状領域を挿入する第3処理と、当該第3処理の実行後の新たな判定用マトリクスにおける前記各交差部のうちの互いに隣接する一対の交差部に前記端子位置がそれぞれ位置しているときに当該各端子位置にそれぞれ対応する前記各端子を前記検査対象とする一対の端子の組み合わせとして特定する第4処理とを実行するデータ生成方法。
【請求項4】
前記帯状領域の幅を指定操作によって指定した幅に設定して前記各処理を実行する請求項3記載のデータ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装された電子部品の各端子間の検査をする際の検査対象とする一対の端子の組み合わせを示す組み合わせデータを生成するデータ生成装置およびデータ生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のデータ生成装置として、下記特許文献1において出願人が開示したデータ生成装置が知られている。このデータ生成装置は、操作部、表示部、記憶部および制御部を備え、回路基板に実装されている電子部品の端子が接続されているランド上における検査用プローブのプロービングが可能な位置(プロービング位置)を特定し、その位置を示す位置データを生成可能に構成されている。
【0003】
一方、電子部品を基板本体に実装する際には、電子部品の端子をランドに半田付けする。このため、電子部品を実装した回路基板の検査においては、電子部品における隣接する端子の半田ブリッジによる短絡の有無の判定(短絡検査)が行われる。このため、上記したデータ生成装置を用いて短絡検査用の位置データを生成する際には、短絡検査の対象とする隣接する一対の端子の組み合わせを特定する必要がある。この場合、この種のデータ生成装置では、電子部品の構成を示す基板データに基づいて制御部が隣接する一対の端子の組み合わせを特定する。具体的には、制御部は、基板データから特定される端子の番号(例えば、端子に対して予め付された一連の数字)を特定し、番号が連続する一対の端子を1組とする処理を繰り返すことにより、一対の端子の組み合わせを特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−107265号公報(第5−7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のデータ生成装置には、解決すべき以下の課題がある。すなわち、従来のデータ生成装置では、端子の番号(一連の数字)に基づいて短絡検査の対象とする隣接する一対の端子の組み合わせを特定している。しかしながら、一連の数字が端子に付されていない(不連の数字が付されている)電子部品や、数字以外の符号が端子に付されている電子部品については、この方法で隣接する一対の端子の組み合わせを特定することが困難となる。また、電子部品の本体部を挟んで本体部の両側部に位置する一対の端子のように、短絡検査の対象とする必要がない端子に一連の数字が端子に付されているときには、短絡検査の対象とする必要がない端子が短絡検査の対象として特定されて、検査効率が低下するおそれもある。この場合、この種のデータ生成装置による処理では特定することが困難な電子部品については、オペレータが図面を確認しつつ手作業で一対の端子の組み合わせを特定しているが、この場合においても、人為的なミスに起因して、誤った組み合わせが特定されたり、短絡検査の対象とすべき組み合わせが特定されなかったりするおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、電子部品における検査対象とする一対の端子の適切な組み合わせを示すデータを生成し得るデータ生成装置およびデータ生成方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のデータ生成装置は、複数の端子を有する電子部品が実装された基板における当該各端子間の検査をする際の検査対象とする一対の端子の組み合わせを特定して当該組み合わせを示すデータを生成する処理部を備えたデータ生成装置であって、前記処理部は、前記基板の構成を示すデータに基づいて当該基板における前記各端子の端子位置を特定する第1処理と、当該基板における予め決められた第1方向に沿った予め指定された幅の第1の帯状領域および当該第1方向に直交する第2方向に沿った予め指定された幅の第2の帯状領域の少なくとも一方の帯状領域に前記端子位置が複数配列されているときに、複数の当該第1の帯状領域および複数の当該第2の帯状領域で構成されて当該各帯状領域が交差する交差部に前記各端子位置が位置するように当該各帯状領域をマトリクス状に配置した判定用マトリクスを仮想的に設定する第2処理と、前記判定用マトリクスにおける平行で隣接する2つの前記帯状領域の間隔が前記少なくとも一方の帯状領域に配列されている前記各端子位置の間隔のうちの最小の間隔に予め決められた係数α(αは1よりも大きい正数)を乗算した基準間隔以上のときに当該2つの帯状領域の間に当該各帯状領域に平行な新たな帯状領域を挿入する第3処理と、当該第3処理の実行後の新たな判定用マトリクスにおける前記各交差部のうちの互いに隣接する一対の交差部に前記端子位置がそれぞれ位置しているときに当該各端子位置にそれぞれ対応する前記各端子を前記検査対象とする一対の端子の組み合わせとして特定する第4処理とを実行する。
【0008】
また、請求項2記載のデータ生成装置は、請求項1記載のデータ生成装置において、前記帯状領域の幅を指定する指定操作が可能な操作部を備え、前記処理部は、前記帯状領域を前記指定操作によって指定された幅に設定して前記各処理を実行する。
【0009】
また、請求項3記載のデータ生成方法は、複数の端子を有する電子部品が実装された基板における当該各端子間の検査をする際の検査対象とする一対の端子の組み合わせを特定して当該組み合わせを示すデータを生成するデータ生成方法であって、前記基板の構成を示すデータに基づいて当該基板における前記各端子の端子位置を特定する第1処理と、当該基板における予め決められた第1方向に沿った予め指定された幅の第1の帯状領域および当該第1方向に直交する第2方向に沿った予め指定された幅の第2の帯状領域の少なくとも一方の帯状領域に前記端子位置が複数配列されているときに、複数の当該第1の帯状領域および複数の当該第2の帯状領域で構成されて当該各帯状領域が交差する交差部に前記各端子位置が位置するように当該各帯状領域をマトリクス状に配置した判定用マトリクスを仮想的に設定する第2処理と、前記判定用マトリクスにおける平行で隣接する2つの前記帯状領域の間隔が前記少なくとも一方の帯状領域に配列されている前記各端子位置の間隔のうちの最小の間隔に予め決められた係数α(αは1よりも大きい正数)を乗算した基準間隔以上のときに当該2つの帯状領域の間に当該各帯状領域に平行な新たな帯状領域を挿入する第3処理と、当該第3処理の実行後の新たな判定用マトリクスにおける前記各交差部のうちの互いに隣接する一対の交差部に前記端子位置がそれぞれ位置しているときに当該各端子位置にそれぞれ対応する前記各端子を前記検査対象とする一対の端子の組み合わせとして特定する第4処理とを実行する。
【0010】
また、請求項4記載のデータ生成方法は、請求項3記載のデータ生成方法において、前記帯状領域の幅を指定操作によって指定した幅に設定して前記各処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のデータ生成装置、および請求項3記載のデータ生成方法では、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理を実行して検査対象とする一対の端子の組み合わせを特定してその組み合わせを示すデータを生成する。このため、このデータ生成装置およびデータ生成方法では、端子に付されている数字や符号を用いることなく、また手作業に依存することなく、隣接する一対の端子の組み合わせだけを漏れなく特定して、その組み合わせを示すデータを生成することができる。したがって、このデータ生成装置およびデータ生成方法によれば、電子部品における検査対象とする一対の端子の適切な組み合わせを示す組み合わせを示すデータを確実に生成することができる。
【0012】
また、請求項2記載のデータ生成装置、および請求項4記載のデータ生成方法によれば、帯状領域の幅を指定操作によって指定した幅に設定して各処理を実行することにより、例えば、基板の構成を示すデータの作成過程で生じることがある各端子の長さや幅の誤差の最大値に相当する長さに各帯状領域の幅を規定することで、設計上では1つの直線上に配置する予定であった各端子の各端子位置が基板の構成を示すデータ上では位置ずれしてその直線から外れる場合においても、このような位置ずれを吸収して、これらの端子位置が1つの帯状領域に配列されていると判別することができる。このため、このデータ生成装置およびデータ生成方法によれば、検査対象とすべき一対の端子の組み合わせを確実に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】データ生成装置1の構成を示す構成図である。
図2】基板100に実装されている電子部品101aの平面図である。
図3】データ生成処理50のフローチャートである。
図4】電子部品101aにおけるデータ生成方法を説明する第1説明図である。
図5】電子部品101aにおけるデータ生成方法を説明する第2説明図である。
図6】電子部品101aにおけるデータ生成方法を説明する第3説明図である。
図7】電子部品101aにおけるデータ生成方法を説明する第4説明図である。
図8】基板100に実装されている電子部品101bの平面図である。
図9】電子部品101bにおけるデータ生成方法を説明する第1説明図である。
図10】電子部品101bにおけるデータ生成方法を説明する第2説明図である。
図11】電子部品101bにおけるデータ生成方法を説明する第3説明図である。
図12】基板100に実装されている電子部品101cの平面図である。
図13】電子部品101cにおけるデータ生成方法を説明する第1説明図である。
図14】電子部品101cにおけるデータ生成方法を説明する第2説明図である。
図15】電子部品101cにおけるデータ生成方法を説明する第3説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、データ生成装置およびデータ生成方法の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、データ生成装置の一例としての図1に示すデータ生成装置1の構成について説明する。データ生成装置1は、例えば図2に示す基板100に実装されている電子部品101aの端子T1〜T14(以下、区別しないときには「端子T」ともいう)間の短絡検査を行う際に検査対象とする隣接する一対の端子Tの組み合わせを特定して組み合わせデータDbを後述するデータ生成方法に従って生成可能に構成されている。具体的には、データ生成装置1は、図1に示すように、操作部2、表示部3、記憶部4および処理部5を備えて構成されている。
【0016】
操作部2は、各種の操作用のスイッチを備えて構成されて、操作に応じて操作信号を出力する。表示部3は、処理部5の指示に従い、各種の画像を表示する。記憶部4は、処理部5によって実行されるデータ生成処理50(図3参照)において用いられる基板データDa(基板の構成を示すデータ)を記憶する。この場合、基板データDaは、基板100に実装されている電子部品101aにおける各端子Tの中心(図心)の位置(図2参照:以下、「端子位置P」ともいう)を示す情報を含んで構成されている。また、記憶部4は、データ生成処理50において生成される組み合わせデータDbを記憶する。
【0017】
処理部5は、操作部2から出力される操作信号に従って各種の処理を実行する。具体的には、処理部5は、図3に示すデータ生成処理50を実行し、基板100における電子部品101aの各端子T間の短絡検査を行う際に検査対象とする隣接する一対の端子Tの組み合わせを特定して、その組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する。
【0018】
次に、データ生成装置1を用いて組み合わせデータDbを生成するデータ生成方法、およびその際のデータ生成装置1の動作について、図面を参照して説明する。最初に、図2に示す基板100に実装されている電子部品101aの各端子T間の短絡検査を行う際に検査対象とする隣接する一対の端子Tの組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する例について説明する。なお、上記した基板データDaが記憶部4に既に記憶されているものとする。
【0019】
まず、操作部2を操作して組み合わせデータDbの生成処理の実行を指示する。この際に、操作部2が操作信号を出力し、処理部5が、操作信号に従って図3に示すデータ生成処理50を実行する。このデータ生成処理50では、処理部5は、基板データDaを記憶部4から読み出す(ステップ51)。次いで、処理部5は、読み出した基板データDaに基づき、電子部品101aの各端子Tにおける中心の端子位置P(基板100上の座標)を特定する(ステップ52)。なお、このステップ52が第1処理に相当する。
【0020】
続いて、処理部5は、基板100における予め決められた第1の方向(図4に示す矢印Xの方向)に沿った第1の帯状領域、および第1の方向に直交する第2方向(同図に示す矢印Yの方向)に沿った第2の帯状領域の少なくとも一方に端子位置Pが複数配列されているか否かを判別する(ステップ53)。この場合、同図に示す帯状領域Dxa,Dxb(以下、区別しないときには「帯状領域Dx」ともいう)が第1の帯状領域にそれぞれ相当し、帯状領域Dya〜Dyg(以下、区別しないときには「帯状領域Dy」ともいい、帯状領域Dxと帯状領域Dyとを区別しないときには「帯状領域D」ともいう)が第2の帯状領域にそれぞれ相当する。
【0021】
ここで、このデータ生成装置1では、操作部2の操作によって各帯状領域Dの幅および長さを任意に指定して設定することが可能となっている。この場合、設計上では長さや幅が互いに等しい複数の端子Tを1つの直線上に配列する予定であった各端子Tの長さや幅が、基板データDaを作成する過程(例えば、作図ソフトで図面を作成する過程)で僅かに異なることがある。このようなときには、各端子Tの端子位置Pが位置ずれして、1つの直線上に配列されずに、その直線から外れることとなる。このような位置ずれを吸収するため、一例として、基板データDaの作成過程で生じることがある各端子Tの長さ(図2における上下方向の長さ)の誤差の最大値に相当する程度の長さに帯状領域Dxの幅を規定し、各端子Tの幅(図2における左右方向の長さ)の誤差の最大値に相当する程度の長さに帯状領域Dyの幅を規定する。また、各帯状領域Dの長さを、一例として、電子部品101aの長さよりもやや長く規定する。なお、図4,5,9,13では、帯状領域Dの幅を実際よりも広く図示している。
【0022】
この場合、いずれの帯状領域Dにも端子位置Pが複数配列されていないときには、検査対象とすべき隣接する一対の端子Tが存在しない可能性がある。このため、処理部5は、ステップ53において、いずれの帯状領域Dにも端子位置Pが複数配列されていないと判別したときには、その旨を表示部3に表示させてデータ生成処理50を終了する。
【0023】
一方、ステップ53において、帯状領域Dxおよび帯状領域Dyの少なくとも一方に端子位置Pが複数配列されていると判別したときには、処理部5は、図4に示すように、複数の帯状領域Dxおよび複数の帯状領域Dyで構成されると共に、各帯状領域Dが交差する交差部Cに各端子位置Pが位置するように各帯状領域Dをマトリクス状に配置した判定用マトリクスMaを仮想的に設定する(ステップ54)。この場合、ステップ53,54が第2処理に相当する。
【0024】
次いで、処理部5は、上記したステップ53において端子位置Pが複数配列されていると判別した帯状領域D(図4に示すように、この例では帯状領域Dxa,Dxbおよび帯状領域Dya〜Dyg)に配列されている各端子位置Pの間隔(この例では、帯状領域Dxa,Dxbにおけるそれぞれ6個(合計12個)の間隔、および帯状領域Dya〜Dygにおけるそれぞれ1個(合計7個)の間隔)のうちの最小の間隔(この例では、同図の左下の間隔Sp)を特定する。続いて、処理部5は、特定した最小の間隔Spに予め決められた1よりも大きい正数である係数αを乗算した基準間隔Ss(同図参照)を算出する(ステップ55)。ここで、係数αは、最も狭い2つの端子の間隔よりも間隔が広い2つの端子の組み合わせを検査対象とする組み合わせから除外するための係数αであって、係数αが1に近いほど、検査対象から除外される組み合わせが多くなり、係数αが大きいほど検査対象から除外される組み合わせが少なくなる。この場合、係数αを1よりも大きくかつ2未満の範囲内に規定するのが好ましく、この例では、係数αを1.5に規定している。
【0025】
次いで、処理部5は、判定用マトリクスMaにおける平行で隣接する2つの帯状領域Dの間隔Sd(つまり、隣接する帯状領域Dxの間隔および隣接する帯状領域Dyの間隔)が基準間隔Ss以上に離間している帯状領域Dが存在するか否かを判別する(ステップ56)。この場合、図4に示すように、基準間隔Ss以上に離間している2つの帯状領域Dxa,Dxbが存在していると判別したときには、処理部5は、図5に示すように、その2つの帯状領域Dxa,Dxbの間に各帯状領域Dxa,Dxbに平行な新たな帯状領域Dxcを挿入する(ステップ57)。この場合、ステップ56,57が第3処理に相当する。なお、ステップ56において、基準間隔Ss以上に離間している帯状領域Dが存在しないと判別したときには、ステップ57を実行することなく、次に説明するステップ58を実行する。
【0026】
続いて、処理部5は、第3処理の実行後の新たな判定用マトリクスMaにおける各帯状領域Dの各交差部Cの中から、帯状領域Dが間に存在しない状態で互いに隣接しかつ双方に端子位置Pが位置しているとの条件を満たす一対の交差部Cをすべて抽出する(ステップ58)。この判定用マトリクスMaでは、図6に示すように交差部Cが配列される。なお、同図において、符号が記載されている各交差部Cには端子位置Pが位置していることを示し、各符号は端子位置Pに対応する端子Tの符号を示している。この場合、このステップ58が第4処理に相当する。
【0027】
次いで、処理部5は、図7に示すように、抽出した一対の各交差部Cに位置している一対の端子位置Pにそれぞれ対応する端子Tを検査対象とする一対の端子Tの組み合わせとして特定し、その組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する(ステップ59)。この場合、電子部品101aについての判定用マトリクスMaでは、図6に示すように、互いに隣接しかつ双方に端子位置Pが位置しているとの条件を満たす一対の交差部Cが12組存在するため、処理部5は、図7に示すように、検査対象とする一対の端子Tの組み合わせとして、12個の組み合わせを特定してその組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する。続いて、処理部5は、組み合わせデータDbを記憶部4に記憶させて(ステップ60)、このデータ生成処理50を終了する。このように、このデータ生成処理50を実行することで、端子Tに付されている数字や符号を用いることなく、また手作業に依存することなく、隣接する一対の端子Tの組み合わせだけを漏れなく特定して、その組み合わせデータDbを生成することが可能となっている。
【0028】
次に、図8に示す基板100に実装されている電子部品101b(例えば、BGAソケット)の各端子A1〜J10(以下、区別しないときには「端子T」ともいう)間の短絡検査を行う際に検査対象とする隣接する一対の端子Tの組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する例について説明する。なお、上記した基板データDaが記憶部4に既に記憶されているものとする。また、以下の説明において、上記した電子部品101aについての組み合わせデータDbを生成する例において説明した内容と同じ内容については、重複する説明を省略する。
【0029】
まず、操作部2を操作して生成処理の実行を指示し、これに応じて、処理部5が、図3に示すデータ生成処理50を実行する。この場合、処理部5は、上記したステップ51,52を実行して、電子部品101bの各端子Tにおける中心の端子位置Pを特定する。
【0030】
次いで、処理部5は、図9に示すように、第1方向(矢印Xの方向)に沿った帯状領域Dxh〜Dxq(第1の帯状領域に相当する:以下、区別しないときには「帯状領域Dx」ともいう)、および第2方向(矢印Yの方向)に沿った帯状領域Dyh〜Dyq(第2の帯状領域に相当する:以下、区別しないときには「帯状領域Dy」ともいう)の少なくとも一方に端子位置Pが複数配列されているか否かを判別する(ステップ53)。
【0031】
この場合、処理部5は、ステップ53において、いずれの帯状領域Dにも端子位置Pが複数配列されていないと判別したときには、その旨を表示部3に表示させてデータ生成処理50を終了する。
【0032】
一方、ステップ53において、帯状領域Dxおよび帯状領域Dyの少なくとも一方に端子位置Pが複数配列されていると判別したときには、処理部5は、図9に示すように、複数の帯状領域Dxおよび複数の帯状領域Dyで構成されると共に、各帯状領域Dが交差する交差部Cに各端子位置Pが位置するように各帯状領域Dをマトリクス状に配置した判定用マトリクスMbを仮想的に設定する(ステップ54:図3中の「Ma」は「Mb」と読み替えるものとする)。
【0033】
続いて、処理部5は、各帯状領域Dに配列されている各端子位置Pの間隔のうちの最小の間隔(図9における左下の間隔Sp)を特定し、次いで、特定した最小の間隔Spに係数1.5を乗算した基準間隔Ss(同図参照)を算出する(ステップ55)。続いて、処理部5は、隣接する帯状領域Dxの間隔および隣接する帯状領域Dyの間隔が基準間隔Ss以上に離間している帯状領域Dが存在するか否かを判別する(ステップ56)。
【0034】
この場合、図9に示すように、基準間隔Ss以上に離間している帯状領域Dが存在しないため、処理部5は、ステップ57を実行することなく、ステップ58を実行して、互いに隣接しかつ双方に端子位置Pが位置しているとの条件を満たす一対の交差部Cをすべて抽出する。この場合、判定用マトリクスMbでは、図10に示すように交差部Cが配列される。なお、同図において、符号が記載されている各交差部Cには端子位置Pが位置していることを示し、各符号は端子位置Pに対応する端子Tの符号を示している。
【0035】
次いで、処理部5は、図11に示すように、抽出した一対の各交差部Cに位置している一対の端子位置Pにそれぞれ対応する端子Tを検査対象とする一対の端子Tの組み合わせとして特定し、その組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する(ステップ59)。この場合、電子部品101bについての判定用マトリクスMbでは、互いに隣接しかつ双方に端子位置Pが位置しているとの条件を満たす一対の交差部Cが342組存在するため、処理部5は、同図に示すように、検査対象とする一対の端子Tの組み合わせとして、342個の組み合わせを特定してその組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する。続いて、処理部5は、組み合わせデータDbを記憶部4に記憶させて(ステップ60)、データ生成処理50を終了する。
【0036】
次に、図12に示す基板100に実装されている電子部品101c(例えば、ちどり状に端子が配列されたBGAソケット)の各端子K1〜R4(以下、区別しないときには「端子T」ともいう)間の短絡検査を行う際に検査対象とする隣接する一対の端子Tの組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する例について説明する。なお、上記した基板データDaが記憶部4に既に記憶されているものとする。また、以下の説明において、上記した電子部品101a,101bについての組み合わせデータDbを生成する例において説明した内容と同じ内容については、重複する説明を省略する。
【0037】
まず、操作部2を操作して生成処理の実行を指示し、これに応じて、処理部5が、図3に示すデータ生成処理50を実行する。この場合、処理部5は、上記したステップ51,52を実行して、電子部品101cの各端子Tにおける中心の端子位置Pを特定する。
【0038】
次いで、処理部5は、図13に示すように、第1方向(矢印Xの方向)に沿った帯状領域Dxr〜Dxy(第1の帯状領域に相当する:以下、区別しないときには「帯状領域Dx」ともいう)、および第2方向(矢印Yの方向)に沿った帯状領域Dyr〜Dyy(第2の帯状領域に相当する:以下、区別しないときには「帯状領域Dy」ともいう)の少なくとも一方に端子位置Pが複数配列されているか否かを判別する(ステップ53)。
【0039】
この場合、処理部5は、ステップ53において、いずれの帯状領域Dにも端子位置Pが複数配列されていないと判別したときには、その旨を表示部3に表示させてデータ生成処理50を終了する。
【0040】
一方、ステップ53において、帯状領域Dxおよび帯状領域Dyの少なくとも一方に端子位置Pが複数配列されていると判別したときには、処理部5は、図13に示すように、複数の帯状領域Dxおよび複数の帯状領域Dyで構成されると共に、各帯状領域Dが交差する交差部Cに各端子位置Pが位置するように各帯状領域Dをマトリクス状に配置した判定用マトリクスMcを仮想的に設定する(ステップ54:図3中の「Ma」は「Mc」と読み替えるものとする)。
【0041】
続いて、処理部5は、各帯状領域Dに配列されている各端子位置Pの各間隔のうちの最小の間隔(図13における左下の間隔Sp)を特定し、次いで、特定した最小の間隔Spに係数1.5を乗算した基準間隔Ss(同図参照)を算出する(ステップ55)。続いて、処理部5は、隣接する帯状領域Dxの間隔および隣接する帯状領域Dyの間隔が基準間隔Ss以上に離間している帯状領域Dが存在するか否かを判別する(ステップ56)。
【0042】
この場合、図13に示すように、基準間隔Ss以上に離間している帯状領域Dが存在しないため、処理部5は、ステップ57を実行することなく、ステップ58を実行して、互いに隣接しかつ双方に端子位置Pが位置しているとの条件を満たす一対の交差部Cをすべて抽出する。この場合、判定用マトリクスMcでは、図14に示すように交差部Cが配列される。なお、同図において、符号が記載されている各交差部Cには端子位置Pが位置していることを示し、各符号は端子位置Pに対応する端子Tの符号を示している。
【0043】
次いで、処理部5は、図15に示すように、抽出した一対の各交差部Cに位置している一対の端子位置Pにそれぞれ対応する端子Tを検査対象とする一対の端子Tの組み合わせとして特定し、その組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する(ステップ59)。この場合、電子部品101cについての判定用マトリクスMcでは、互いに隣接しかつ双方に端子位置Pが位置しているとの条件を満たす一対の交差部Cが49組存在するため、処理部5は、同図に示すように、検査対象とする一対の端子Tの組み合わせとして、49個の組み合わせを特定してその組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する。続いて、処理部5は、組み合わせデータDbを記憶部4に記憶させて(ステップ60)、データ生成処理50を終了する。
【0044】
このように、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理を実行して検査対象とする一対の端子Tの組み合わせを特定してその組み合わせを示す組み合わせデータDbを生成する。このため、このデータ生成装置1およびデータ生成方法では、端子Tに付されている数字や符号を用いることなく、また手作業に依存することなく、隣接する一対の端子Tの組み合わせだけを漏れなく特定して、その組み合わせデータDbを生成することができる。したがって、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、電子部品101a〜101cにおける検査対象とする一対の端子Tの適切な組み合わせを示す組み合わせデータDbを確実に生成することができる。
【0045】
また、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、帯状領域Dの幅を指定操作によって指定した幅に設定して各処理を実行することにより、例えば、基板データDaの作成過程で生じることがある各端子Tの長さや幅の誤差の最大値に相当する長さに各帯状領域Dの幅を規定することで、設計上では1つの直線上に配置する予定であった各端子Tの各端子位置Pが基板データDa上では位置ずれしてその直線から外れる場合においても、このような位置ずれを吸収して、これらの端子位置Pが1つの帯状領域Dに配列されていると判別することができる。このため、このデータ生成装置1およびデータ生成方法によれば、検査対象とすべき一対の端子の組み合わせを確実に特定することができる。
【0046】
なお、データ生成装置およびデータ生成方法は、上記した構成および方法に限定されない。例えば、組み合わせデータDbの作成対象とした上記の電子部品101a〜101cは一例であって、他の各種の電子部品を対象として、上記したデータ生成装置1およびデータ生成方法を用いて組み合わせデータDbを作成することができる。
【0047】
また、端子Tの中心の端子位置Pを端子の位置として特定する例について上記したが、端子Tの先端部の位置、端子Tの基端部の位置、端子Tの側部等の、各端子Tにおける同じ部位を端子の位置として特定する構成および方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 データ生成装置
2 操作部
4 記憶部
5 処理部
100 基板
101a〜101c 電子部品
C 交差部
Da 基板データ
Db 組み合わせデータ
Dxa,Dxb,Dxh〜Dxy,Dya〜Dyy 帯状領域
Ma,Mb,Mc 判定用マトリクス
P 位置
Sd 間隔
Sp 間隔
T 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15