特許第6587925号(P6587925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587925
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】魚釣用スピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   A01K89/01 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-247472(P2015-247472)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-108714(P2017-108714A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 栄仁
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−129571(JP,A)
【文献】 実開平07−000062(JP,U)
【文献】 実開平05−034862(JP,U)
【文献】 米国特許第02726052(US,A)
【文献】 実開平01−127465(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 − 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部開口部が形成され、内部にスプール往復動装置が収容支持されるボディと、
前記側部開口部を塞ぐ蓋部材と、
前記ボディの後部に取り付けられるカバー部材と、
を備え、前記ボディと前記蓋部材とでハンドル軸を回転自在に支持する魚釣用スピニングリールであって、
前記ボディの後部には、前記スプール往復動装置を構成する構成部材の少なくとも一部を受け入れて後方に配置するための後部開口部が形成され、
前記カバー部材は、前記後部開口部及び前記構成部材を覆っており、
前記ボディは、前記側部開口部と前記後部開口部との間に延在し、前記側部開口部と前記後部開口部とのそれぞれの開口の端縁を成す架橋部を有し、
前記側部開口部と前記蓋部材とは、円形に形成されており、
前記側部開口部には、雌ねじ部が設けられ、
前記蓋部材には、雄ねじ部が設けられ、
前記蓋部材が前記側開口部に着脱可能に螺合固定していることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記蓋部材には、前記側部開口部の内周面に当接し、前記側部開口部との同芯度を得るための当接部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用スピニングリールのリール本体は、ハンドル軸を回転自在に支持するボディを備える。また、ボディは、ドライブギャ及びスプール往復動装置等の駆動部を収容するための筐体としての役割を有している。このため、ボディは、側方に向って開口する有底箱状を呈し、ボディの側方の開口(以下、側部開口部という)から、ハンドル軸と一体回転するドライブギャ等の巻取駆動機構やスプール往復動装置等をボディ内に組み付けて蓋部材で閉塞する構成となっている。
【0003】
また、ボディ内において、スプールに釣糸を平行に巻回するためのスプール往復動装置は、公知のようにハンドル軸上の歯車に噛合し、ハンドル軸の回転をスプール軸の前後動に変換するための偏芯突起を有する連動歯車が、ボディの中央部から離間した下部側(竿取付部と反対側)の底部に配置されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−121048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、魚釣り操作性や携帯性向上のために、リール本体の小型化が魚釣用スピニングリールの重要な要素の1つとなっている。
しかしながら、リール本体を小型化すると、ボディ内の空間が狭小となる。よって、スプール往復動装置を構成する部品、例えば、連動歯車や摺動子等を収容するための空間も狭小となり、連動歯車の小径化を招く。この結果、スプール往復動装置の摺動子のストロークが短縮してしまい、所定の糸巻容量が確保できなくなってしまう等、スプール往復動装置の機能が低下する。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、リール本体の小型化を図りつつ、スプール往復動装置の機能低下を回避できる魚釣用スピニングリールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、側部開口部が形成され、内部にスプール往復動装置が収容支持されるボディと、前記側部開口部を塞ぐ蓋部材と、前記ボディの後部に取り付けられるカバー部材と、を備え、前記ボディと前記蓋部材とでハンドル軸を回転自在に支持する魚釣用スピニングリールであって、前記ボディの後部には、前記スプール往復動装置を構成する構成部材の少なくとも一部を受け入れて後方に配置するための後部開口部が形成され、前記カバー部材は、前記後部開口部及び前記構成部材を覆っており、前記ボディは、前記側部開口部と前記後部開口部との間に延在し、前記側部開口部と前記後部開口部とのそれぞれの開口の端縁を成す架橋部を有し、前記側部開口部と前記蓋部材とは、円形に形成されており、前記側部開口部には、雌ねじ部が設けられ、前記蓋部材には、雄ねじ部が設けられ、前記蓋部材が前記側部開口部に着脱可能に螺合固定していることを特徴とする。
【0008】
前記発明によれば、後部開口部から構成部材の少なくとも一部を受け入れてボディの後方に配置することができる。このため、リール本体内の空間の大きさに制限されることがなく、所望の大きさの構成部材を用いることができる。
また、カバー部材が構成部材及び後部開口部を覆うため、海水や塵埃が構成部材に付着したり、リール本体内に入り込んだりするおそれがない。
【0010】
また、架橋部によりボディの強度が向上する。
また、架橋部を形成することで、側部開口部を周方向に連続させること、言い換えると側部開口部を円形に形成することができる。
さらに、蓋部材及び側部開口部が円形になっていることから、蓋部材から側部開口部に作用する荷重(例えばハンドル操作の際に発生する荷重)は、側部開口部の全周に均一に分散する。よって、ボディ(側部開口部)の一部に荷重(応力)が集中し難く、ボディの耐久性が優れる。
【0012】
また、蓋部材が側部開口部に対して周方向に均一な締結力をもって固定される。また、蓋部材をボディに固定するための複数のねじ等を不要とすることができ、部品点数の削減を図れると共に組み込み、分解性が向上する。また、ネジの折損も防止できる。
【0013】
また、前記発明において、前記蓋部材には、前記側部開口部の内周面に当接し、前記側部開口部との同芯度を得るための当接部が形成されていることが好ましい。
【0014】
前記構成によれば、蓋部材と側部開口部との高精度な同芯度が得られるため、ハンドル軸の一端側を支持する蓋部材の中心と、ハンドル軸の他端側を支持するボディの中心とが一致する。よって、ハンドル軸の回転がスムーズとなり、ハンドルの操作性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リール本体の小型化を達成しつつ、スプール往復動装置の機能低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を示す側面図である。
図2】リール本体を示す側面図である。
図3】蓋部材を取り外したリール本体の側面図である。
図4】リール本体の内部構造を示す横断面図である。
図5】(a)はボディの側面図であり、(b)はカバー部材を取り外した状態のリール本体の後面図である。
図6】(a)は摺動子がストロークの最後端位置にある場合におけるリール本体の縦断面図であり、(b)は摺動子がストロークの最前端位置にある場合におけるリール本体の縦断面図である。
図7図4の破線で囲まれる範囲を拡大した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の魚釣用スピニングリールの実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「前後」「上下」を言うときは、図1に示した方向を基準とし、「左右」を言うときは、図4に示す方向を基準とする。
【0018】
図1に示すように、魚釣用スピニングリール100は、ハンドル5aが取り付けられたリール本体1と、リール本体1の前側に設けられハンドル5aの巻き取り操作により回転するロータ2と、ロータ2の前側に設けられハンドル5aの巻き取り操作により前後方向に往復運動するスプール3とを備える。
【0019】
図2に示すように、リール本体1は、左側に向って開口する側部開口部13が形成されたボディ10と、ボディ10の上部から上方に延びて釣竿に装着される竿取付部11aを先端に有する脚部11と、ボディ10の前側に設けられた筒状のボディ前部12と、側部開口部13を塞ぐ蓋部材30と、ボディ10の後部に取り付けられた保護カバー40とを備える。
なお、ボディ10と蓋部材30と保護カバー40との詳細については後述する。
【0020】
リール本体1には、ボディ前部12内から前方に突出するように、駆動軸筒7及びスプール軸8が組み付けられている。そして、駆動軸筒7の前端には、ロータ2(図1参照)が取り付けられている。スプール軸8の前端には、スプール3(図1参照)が取り付けられている。これにより、リール本体1とロータ2とスプール3とが一体になっている。
【0021】
図3に示すように、駆動軸筒7の後端は、ボディ10内に位置している。そして、その駆動軸筒7の後端には、ピニオンギャ7aが形成されている。
スプール軸8の後部8aは、駆動軸筒7の後端よりも後方に突出し、ボディ10内に位置している。
そのほか、ボディ10内には、左右方向に延在するハンドル軸5と、ハンドル軸5に固定されるドライブギャ6及び歯車6aと、スプール往復動装置70とが組み付けられている。
【0022】
図4に示すように、ハンドル軸5は、軸受5c、5dを介してボディ10と蓋部材30とに回転自在に支持されている。
ハンドル軸5の左端部は、蓋部材30を貫通するとともに、ハンドル5aに設けられた連結軸5bと螺合し、ハンドル軸5とハンドル5aとが一体になっている。
ハンドル軸5において左右方向中央部よりも左寄りの位置に、ピニオンギャ7aに噛合するドライブギャ6が固定されている。
なお、ハンドル軸5において左右方向中央部よりも右寄りの位置に、歯車6aが固定されている。
以上から、ハンドル5aの巻き取り操作が行われると、巻き取り操作による駆動力がハンドル軸5、ドライブギャ6、ピニオンギャ7aを介して駆動軸筒7に伝達し、駆動軸筒7とともにロータ2が回転する。
【0023】
図3に示すように、スプール往復動装置70は、ボディ10の前後方向に延びるガイド軸71と、右側面に案内溝73が形成されてガイド軸71に沿って移動する摺動子72と、案内溝73に係合する偏芯突部75が形成された連動歯車(構成部材)74とを備える。
図4に示すように、摺動子72には、スプール軸8の後端から後方に突出する突出部8bが連結し、摺動子72とスプール軸8が一体になっている。
なお、摺動子72と突出部8bとは図示しないボルトにより抜け止めされている。
スプール往復動装置70の連動歯車74は、ハンドル軸5から後方下側の位置に設けられてボディ10の底部に位置し(図3参照)、歯車6aの後側と噛合している。
以上から、ハンドル5aの巻き取り操作が行われると、巻き取り操作による駆動力が歯車6aを介して連動歯車74に伝達し、連動歯車74を回転する。また、連動歯車74の偏芯突部75は、摺動子72の案内溝73の側面を押圧し、摺動子72とスプール軸8(スプール3)が前後方向に往復運動する。
なお、スプール往復動装置70の構成の詳細については後述する。
【0024】
つぎに、ボディ10及び保護カバー40の詳細、スプール往復動装置70の詳細、蓋部材30の詳細を説明する。
【0025】
図5(a)に示すように、ボディ10は、底部に周壁を有する有底箱状(筒状)を呈し、左側に向って開口している。ボディ10は、円板状の右壁部22と、右壁部22の周端縁から左側に延びる筒状の筒部21とを備える。
なお、筒部21の左端部が側部開口部13を構成している。
【0026】
右壁部22の内面(左側面)には、右側中央孔23と、リブ24と、挿入孔25とが形成されている。
右側中央孔23は、ハンドル軸5の右端部が貫通する孔であり、右壁部22の中央部に設けられている。
【0027】
リブ24は、右側中央孔23よりも前側に位置し、上下方向に延在する突起である。このリブ24により右壁部22の強度が向上している。
また、リブ24の上部には、ガイド軸71の前端71aを支持するガイド軸支持孔24aが形成されている。
一方で、リブ24の下部には、スプール軸8の後部8aを後方に貫通させるための貫通孔24bが形成されている。また、貫通孔24bには、駆動軸筒7の後端を支持するカラー8cが嵌め込まれている(図4参照)。
【0028】
挿入孔25は、右側中央孔23よりも後方に形成されている。そして、この挿入孔25を右壁部22の外側(右側)に設けられた支持部材26のボス部27が貫通している。これにより、ボディ10内の後部に、連動歯車74を回転自在に支持するボス部27が配置される。
【0029】
図5(a)に示すように、筒部21は、ハンドル軸5の中心軸01を中心とする略円筒形状を呈している。
より詳細に説明すると、筒部21の内周面21aは、ハンドル軸5の中心軸01を中心とする円形状に形成され、かつ、ドライブギャ6の大きさに対応している。
筒部21の外周面21bは、ハンドル軸5の中心軸01を中心とする略円形状に形成され、かつ、筒部21の厚み(径方向の肉厚)が周方向において略均一になっている。
このため、筒部21は、従来の筒部(側面視矩形筒状の筒部)よりも小型化しており、筒部21の内周面21aとドライブギャ6との間には、不要な空間が生じないようになっている。
【0030】
筒部21の左端部(側部開口部13)の内周面13aは、筒部21の内周面21aと略同一径に形成され、比較的大きなドライブギャ6でも筒部21内に容易に組み付けることができるようになっている。
【0031】
また、図5(b)に示すように、筒部21の後部には、筒部21の外周面21bに形成された2つの保護カバー用雌ねじ穴21c(図6参照)と、筒部21の後部を貫通する後部開口部15とが形成されている
【0032】
後部開口部15は、ボディ10内に組み付けられた部品の一部を受け入れてボディ10外に、言い換えると、ボディ10から後方に突出するように配置するための開口部である。
また、図5(b)に示すように、後部開口部15は、筒部21において左右方向の中央部のみを貫通し、後部開口部15の開口(孔)と側部開口部13の開口(孔)とが連続しないようになっている。
言い換えると、側部開口部13と後部開口部15との間には、側部開口部13と後部開口部15とのそれぞれの開口の端縁を構成する円弧状の架橋部14が延在している。
このため、本実施形態によれば、後部開口部15の開口(孔)と側部開口部13の開口(孔)とが連続する場合よりも、筒部21の強度が向上している。
【0033】
図6に示すように、保護カバー40は、保護カバー用雌ねじ穴21cに螺合するボルトBに締め付けられ、ボディ10(筒部21)の後部開口部15を覆うように固定されている。
また、保護カバー40の前面は、後方に凹状に形成され、保護カバー40の前面側に収容空間が形成されている。よって、後部開口部15を介してボディ10内から後方に突出する部品の一部を保護カバー40内に収容することができる。
【0034】
そのほか、保護カバー40の内部上側には、ガイド軸71の後端71bが係合する被係合部41が形成されている
保護カバー40とボディ10との間には、シール部材50が設けられ、保護カバー40とボディ10との合わせ面から内部に水が浸入しないようになっている(図4図6参照)。
【0035】
つぎに、スプール往復動装置70の主な構成の詳細について説明する。
図6に示すように、連動歯車74は、後部開口部15を貫通するように外部後方からボディ10に組み付けられ、後部開口部15から後方に突出する連動歯車74の一部(後部領域)が保護カバー40内に収容されている。
連動歯車74は、ハンドル軸5の回転をスプール軸8の前後往復動に変換する変換駆動部材として偏芯突部75を介して摺動子72と共に協働する。
【0036】
また、ガイド軸71の後端71bが保護カバー40内の被係合部41に係合し、ガイド軸71は後部開口部15を貫通している。このため、図6(a)に示すように、摺動子72の一部は、後方へ移動した場合に保護カバー40内に入り込み、摺動子72の移動範囲が効果的に確保されている。
【0037】
また、摺動子72の前面(ハンドル軸5に対向する対向面)には、後方に向って凹む凹部72aが形成されている。このため、図6(b)に示すように、摺動子72が前方に移動した場合に凹部72a内にハンドル軸5を受け入れ、摺動子72の移動範囲が前方に拡大する。以上から、ボディ10の大型化の防止を図りつつ、摺動子72の移動範囲(ストローク)を効果的に確保している。
【0038】
つぎに、蓋部材30の詳細について説明する。
図2に示すように、蓋部材30は、円形状に形成されている。
また、蓋部材30の中央部には、ハンドル軸5の左端部が貫通する左側中央孔31が形成されている。
【0039】
図4に示すように、蓋部材30は、外周端から左側中央孔31に向うにつれて左側に突出し、断面が山形状を呈している。
また、蓋部材30の外周端には、右方に延びて側部開口部13の内側に挿入される円筒状の挿入部33が形成されている。
図7に示すように、挿入部33の外周面には、先端側(右端側)から基部側(左端側)に向って順に、雄ねじ部33aと、収容凹部33cと、当接面33bとが形成されている。
【0040】
雄ねじ部33aは、側部開口部13の内周面13aに形成された雌ねじ部13bに螺合可能に形成されている。また、雄ねじ部33aが雌ねじ部13bに螺合しており、蓋部材30がリール本体1に固定されている。これにより、側部開口部13は、蓋部材30により塞がれている。
【0041】
当接面(当接部)33bは、側部開口部13に蓋部材30を螺合により装着する際、側部開口部13の内周面13aに当接して、側部開口部13に対する蓋部材30の調芯作用を行うためのものである。
これによれば、ハンドル軸5の右側を支持するボディ10の右側中央孔23と、ハンドル軸5の左側を支持する蓋部材30の左側中央孔31との中心が一致し、同芯度が得られる。よって、ハンドル軸5は、リール本体1に対して左右方向に延在するように支持され、ハンドル軸5の回転がスムーズとなる。
【0042】
ここで、ハンドル5aの巻き取り操作時において、ハンドル軸5を支持する蓋部材30には、中心軸O1を中心として径方向外側に向う荷重が作用する。
従来の構成によれば、複数のねじにより蓋部材がボディに固定され、蓋部材に作用した荷重がボディにおいてねじが締結された部位のみに作用し、荷重が集中していた。
一方で、本実施形態によれば、雄ねじ部33aと当接面33bとを介して、挿入部33の全周が円形の側部開口部13により支持されている。よって、蓋部材30に作用した荷重は、側部開口部13の全周に均一に分散する。
【0043】
収容凹部33cは、雄ねじ部33aと当接面33bとの間に形成された窪みであり、シール材としてOリング33dが外嵌されている。このため、挿入部33と側部開口部13との間から水が内部に浸入しないようになっている。
【0044】
以上、実施形態によれば、連動歯車74の後部を保護カバー40内に収容することができる。このため、ボディ10の筒部21が円筒状に形成されてボディ10の下部側の収容空間が小さくなったとしても、所望の大きさの連動歯車74を使用することができる。
また、保護カバー40が連動歯車74及び後部開口部15を覆うため、海水や塵埃が連動歯車74に付着したり、ボディ10内に浸入したりするおそれがない。
【0045】
また、実施形態によれば、架橋部14を形成することで筒部21の強度が向上し、ボディ10の耐久性が向上する。
【0046】
また、実施形態によれば、ハンドル5aの巻き取り操作時に蓋部材30に大きな荷重が作用しても、蓋部材30に作用した荷重が側部開口部13の全周に分散するため、ボディ10の耐久性がさらに向上する。
【0047】
また、実施形態によれば、リール本体1の側部開口部13と蓋部材30とが螺合により固定されるため、ねじ等が不要となり、部品点数が削減する。
【0048】
また、実施形態によれば、蓋部材30の当接面33bによりハンドル軸5の回転がスムーズとなり、ハンドル5aの操作性が向上する。
【0049】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、ボディ10に架橋部14が形成されておらず、側部開口部13と後部開口部15とが連続していてもよい。
また、ボディ10と蓋部材30との結合は、雌ねじ部13bと雄ねじ部33aとの螺合でなくてもよく、ボルトによる固定であってもよい。
また、筒部21の形状は、円筒状でなく、矩形状であってもよい。
上記のような変形例であっても、連動歯車74の後部をボディ10外(保護カバー40内)に配置することで連動歯車(構成部材)74の小型化を回避することができる。
【0050】
さらにまた、前記実施形態では、スプール軸8の後部8aに連結固定した摺動子72を、ハンドル軸5に連動回転する連動歯車74(構成部材)の偏芯突部75に係合させ、ハンドル軸5の回転をスプール軸8の前後往復動に変換させるスプール往復動装置を用いた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ピニオンギャ7aを有する駆動軸筒7に連動回転する公知の螺軸(構成部材)に摺動子72を係合させてなるスプール往復動装置に実施してもよい。
【符号の説明】
【0051】
100 魚釣用スピニングリール
1 リール本体
5 ハンドル軸
6 ドライブギャ
10 ボディ
13 側部開口部
14 架橋部
15 後部開口部
21 筒部
22 右壁部
30 蓋部材
33 挿入部
33a 雄ねじ部
33b 当接面
40 保護カバー(カバー部材)
70 スプール往復動装置
71 ガイド軸
72 摺動子
74 連動歯車(構成部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7