特許第6587943号(P6587943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587943
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】場所打ち杭用の注入バッグ
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/34 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   E02D5/34 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-7797(P2016-7797)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-128875(P2017-128875A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399101337
【氏名又は名称】株式会社ジェイテック
(73)【特許権者】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高崎 秀明
(72)【発明者】
【氏名】金田 淳
(72)【発明者】
【氏名】池本 宏文
(72)【発明者】
【氏名】藤原 寅士良
(72)【発明者】
【氏名】川中島 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】大島 竜二
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳
(72)【発明者】
【氏名】竹田 茂嗣
(72)【発明者】
【氏名】高山 真揮
(72)【発明者】
【氏名】板橋 了
(72)【発明者】
【氏名】影本 多加夫
(72)【発明者】
【氏名】和田 智幸
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−220708(JP,A)
【文献】 特開2005−220709(JP,A)
【文献】 特開2001−214438(JP,A)
【文献】 特開昭61−158518(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0128436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
場所打ち杭のための杭孔に建て込む鉄筋籠とともにその杭孔内に配設され、前記杭孔の底部に設置された状態で、その内部に注入材が注入されることで膨張して杭先端地盤を加圧圧縮する場所打ち杭用の注入バッグであって、
袋体と、
多数の孔が形成され、前記袋体内に収容されて同心円状に配されている複数の有孔管と、
前記袋体を貫通し、前記複数の有孔管の同心円の中心を挟んだ位置にそれぞれ接続されている、前記注入材の流路となる注入ホース及び排出ホースと、
を備えたことを特徴とする場所打ち杭用の注入バッグ。
【請求項2】
前記複数の有孔管には、前記注入ホース側における前記孔の開孔率よりも、前記排出ホース側における前記孔の開孔率の方が高くなるように前記孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の場所打ち杭用の注入バッグ。
【請求項3】
前記注入ホース及び前記排出ホースはそれぞれ、前記複数の有孔管を繋いでいる連結管を介して有孔管と接続されており、
前記連結管の近傍には、立体網目形状に成形された間隔保持部材が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の場所打ち杭用の注入バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ち杭用の注入バッグに係り、場所打ち杭の杭孔の底部の地盤に予め荷重を付与して場所打ち杭の沈下を抑制するのに用いる注入バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
場所打ちコンクリート杭は、地盤に地表から杭孔を削孔し、その杭孔内に鉄筋等の補強部材を配設した後にコンクリートを打設して地中にコンクリート構造の杭を形成したものである。このため、工場で製作された杭を地中に打ち込む打込み杭に比べ、杭の径や長さを大きくすることができるので、大きな支持力を必要とする基礎の施工に用いられている。
【0003】
そして、場所打ちコンクリート杭に沈下が生じないように、杭孔の底部の地盤の支持力を簡易かつ低コストで増強する方法として、杭先端位置となる杭底に注入バッグを配置した状態でコンクリートを打設し、コンクリート硬化後に注入バッグ内に注入材を注入して注入バッグを杭先端から下方に向けて膨張させることによって杭先端の地盤に荷重(プレロード)を付与し、その地盤を予め圧縮させて以後の杭の沈下を抑制する工法(以下、「先端プレロード場所打ち杭工法」という)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−214438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上記特許文献1の注入バッグの内部には間隔保持部材が配設されており、注入バッグに注入される注入材がそのバッグ内に入り込み易くする空間を確保しているが、注入バッグの全体に注入材が行き渡り難いことがある。
そして、注入材の注入に不具合が生じ、注入バッグが所定通りに膨らまない場合には、杭先端の地盤に付与する荷重(プレロード)が不十分になってしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、好適に膨らんで地盤に荷重を付与することができる場所打ち杭用の注入バッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、
場所打ち杭のための杭孔に建て込む鉄筋籠とともにその杭孔内に配設され、前記杭孔の底部に設置された状態で、その内部に注入材が注入されることで膨張して杭先端地盤を加圧圧縮するのに用いる場所打ち杭用の注入バッグであって、
不透水性の袋体と、
多数の孔が形成され、前記袋体内に収容されて同心円状に配されている複数の有孔管と、
前記袋体を貫通し、前記複数の有孔管の同心円の中心を挟んだ位置にそれぞれ接続されている、前記注入材の流路となる注入ホース及び排出ホースと、
を備えるようにした。
【0008】
かかる構成の注入バッグは、多数の孔が形成されている複数の有孔管が袋体内に同心円状に配されており、複数の有孔管の同心円の中心を挟んだ位置にそれぞれ注入ホースと排出ホースが接続されているので、複数の有孔管から放出される注入材を袋体内の外周側にも内周側にもバランスよく行き渡らせることができる。
そして、所定量の注入材を袋体に注入すれば注入バッグを好適に膨らませることができ、膨張した注入バッグが杭孔の底部を加圧圧縮することで、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷することができる。
このような注入バッグであれば、注入材の注入によって好適に膨らみ、地盤に所定の荷重を付与することができるので、この注入バッグを先端プレロード場所打ち杭工法に用いることで、場所打ちコンクリート杭に沈下が生じないようにすることができる。
【0009】
また、望ましくは、
前記複数の有孔管には、前記注入ホース側における前記孔の開孔率よりも、前記排出ホース側における前記孔の開孔率の方が次第に高くなるように前記孔が形成されているようにする。
【0010】
複数の有孔管に形成されている孔の開孔率が、注入ホース側よりも排出ホース側の方が高くなるようにすれば、注入材の注入圧が比較的高くなる注入ホース側と、注入材の注入圧が比較的低くなる排出ホース側とで、有孔管から袋体内に放出される注入材の量を調節でき、袋体内により一層バランスよく注入材を行き渡らせることができる。
こうすることで、より好適に注入バッグを膨らませることができ、杭先端地盤に荷重(プレロード)を良好に載荷することができる。
なお、有孔管における孔の開孔率は、孔の数によって調整しても、孔の径によって調整してもよい。
【0011】
また、望ましくは、
前記注入ホース及び前記排出ホースはそれぞれ、前記複数の有孔管を繋いでいる連結管を介して有孔管と接続されており、
前記連結管の近傍には、立体網目形状に成形された間隔保持部材が配設されているようにする。
【0012】
例えば、注入バッグの袋体内に注入材を注入した際に、連結管が注入材の流動を阻害してしまうことがあるが、この間隔保持部材を連結管の近傍に配設しておけば、間隔保持部材の網目空間に注入材が入り込み、連結管の周囲にも注入材が行き渡り易くなる。
こうして、より好適に注入バッグを膨らませることができ、杭先端地盤に荷重(プレロード)を良好に載荷することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、場所打ち杭用の注入バッグを好適に膨らますことができ、地盤に荷重を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】先端プレロード場所打ち杭工法に関する説明図(a)(b)(c)(d)である。
図2】本実施形態の場所打ち杭用の注入バッグを示す斜視図(a)と、その分解斜視図(b)である。
図3】本実施形態の注入バッグを一部破断視して示した平面図である。
図4図2(a)のIV−IV線における断面図であり、注入材を注入する前の注入バッグ(a)と、注入材を注入した後の注入バッグ(b)を示している。
図5】間隔保持部材が配設されている注入バッグを示す説明図である。
図6】注入バッグの変形例を示す説明図である。
図7】注入バッグの変形例を示す説明図である。
図8】注入バッグの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る場所打ち杭用の注入バッグの実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
まずは、先端プレロード場所打ち杭工法について説明する。
先端プレロード場所打ち杭工法では、まず、図1(a)に示すように、場所打ちコンクリート杭のための杭孔1を地盤に削孔する。この工程を「杭孔削孔工程」という。
杭孔1の削孔は、杭孔側壁1aの崩落を防止するため、ベントナイト等の粒子を混合させた水(削孔用液体)を杭孔1内に満たしながら行う。このため、杭の先端(下端)となる杭孔1の底部1bには、地盤が削孔された微細な土粒子が沈澱した柔らかい泥状のスライム部1cが形成される。
【0017】
また、鉄筋籠2を杭孔1の外部で予め作製する。鉄筋籠2は、長手方向に配置される複数の棒状の主鉄筋と、環状に配置される複数のフープ鉄筋(帯鉄筋)をナマシ鉄線で結束するなどして、円筒カゴ状に組み立てて作製する。
この鉄筋籠2の下端に後述する注入バッグ100を取り付け、図1(b)に示すように、鉄筋籠2とともに注入バッグ100をクレーン3等によって吊り込み、杭孔1内に建て込む。こうして注入バッグ100を杭孔1の底部1b(杭先端地盤)に設置する。この工程を「鉄筋カゴ・注入バッグ沈設工程」という。
なお、注入バッグ100は、杭先端地盤と対向する姿勢を維持するように、図示しない金属製のフレームに取り付けられており、そのフレームを介して鉄筋籠2に取り付けられている。
【0018】
次いで、図1(c)に示すように、予めコンクリートプラントで製造した流動状態のコンクリート4をコンクリートポンプ4aとコンクリート圧送管4b等を用いて杭孔1内に流し込んで打設し、そのコンクリート4を硬化させる。これにより、地盤内に場所打ちコンクリート杭が形成される。この工程を「コンクリート打設工程」という。
【0019】
次いで、図1(d)に示すように、注入ポンプ41を注入ホース40に繋ぎ、排出機51を排出ホース50に繋いで、注入バッグ100に注入材Gを送液する。このとき、注入バルブB1と排出バルブB2を開いている。
排出機51側に注入材Gが到達し、注入バッグ100内の気泡が抜けたことが確認されたら排出バルブB2を閉じ、更に注入ポンプ41による送液を継続し、注入バッグ100に注入材Gを注入する。
そして、所定量の注入材Gを注入して注入バッグ100を膨らませ、注入バック100内に所定の圧力が所定時間が加わったことを確認した後、注入バルブB1を閉じて注入ポンプ41を止める。
このようにして、注入バッグ100の内部に注入材Gを注入して、注入バッグ100を膨らませる。こうして膨らんだ注入バッグ100が杭孔1の底部1bを加圧圧縮し、杭先端地盤に荷重(プレロード)が載荷される。この工程を「プレロード工程」という。このプレロードによって、杭先端地盤の支持力が増強されるとともに杭沈下量が低減する。
【0020】
次に、本実施形態の場所打ち杭用の注入バッグ100について説明する。
図2(a)(b)、図3に示すように、注入バッグ100は、不透水性の袋体10と、袋体10内に収容されて同心円状に配されている複数(本実施形態では2つ)の有孔管20と、複数の有孔管20の同心円の中心を挟んだ位置で複数の有孔管20を繋いでいる連結管31,32と、一方の連結管31に接続されている注入ホース40と、他方の連結管32に接続されている排出ホース50等を備えている。
【0021】
注入ホース40及び排出ホース50は、袋体10を貫通し、複数の有孔管20の同心円の中心を挟んだ位置にある連結管31,32を介して複数の有孔管20にそれぞれ接続されている。
この注入ホース40及び排出ホース50は注入材Gの流路であって、注入ホース40は注入ポンプ41から有孔管20へ注入材Gを送液する流路となり、排出ホース50は有孔管20から排出機51へ注入材Gを送液する流路となる。
【0022】
袋体10は、不透水性(止水性)と耐圧性と可撓性を有するシート材を貼り合わせて袋状に形成した部材である。
この袋体10は、中央に丸穴を有する円形の上面シート10aと下面シート10bの外周縁と内周縁をそれぞれ貼り合わせて、浮き輪のような袋状に形成されている。特に、中央の丸穴(内周縁)には、水抜き用のメッシュシート10cが着設されている。このメッシュシート10cは、杭孔1の底部1bの泥(スライム部1c)対策のために設けられている周知の部材である。
シート材の貼り合わせは、接着剤による接着、または加圧による圧着、または加熱による熔着、或いはそれらを複合した貼着手法などによって行うことができる。なお、上面シート10aには、注入ホース40及び排出ホース50が通される貫通孔が形成されているが、その貫通孔の縁は注入ホース40と排出ホース50の周面にそれぞれ着設されている。
袋体10を構成するシート材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂材料、具体的にはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリアミドなどを用いることができる。また、ゴム系材料(天然ゴムの他、合成ゴムやエラストマー系材料等を含む)も使用可能である。
【0023】
複数の有孔管20は、例えば樹脂材料からなる管状部材であり、注入ホース40を通じて送液された注入材Gを排出ホース50に向けて流す流路となる。
各有孔管20は、径の異なる環形状を呈しており、それらが同心円状に配されている。
この有孔管20には多数の孔Hが形成されており、その孔Hから注入材Gが袋体10内に流入するようになっている。特に、排出バルブB2が閉じられて排出ホース50に注入材Gが流れなくなった状態では、有孔管20の孔Hから加圧された注入材Gが袋体10内に流れ込み、袋体10(注入バッグ100)を膨らませるようになっている(図4(b)参照)。
そして、この複数の有孔管20は袋体10内に同心円状に配されているので、袋体10内の外周側にも内周側にもバランスよく注入材Gを行き渡らせることができる。
【0024】
こうして、所定量の注入材Gを袋体10に注入して注入バッグ100を膨らませることで、膨張した注入バッグ100が杭孔1の底部1bを加圧圧縮し、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷することができる。
【0025】
連結管31,32は、例えば樹脂材料や金属材料からなる管状部材である。
一方の連結管31は、注入ホース40を通じて送液された注入材Gを複数の有孔管20に分岐させ、他方の連結管32は、複数の有孔管20に流した注入材Gを排出ホース50に向けて合流させるようになっている。
【0026】
注入材Gは、流動性を有する状態で袋体10内に注入された後、硬化する物質を用いることができる。
本実施形態では、注入材Gとしてセメントミルクを用いた。またセメントミルクの他のグラウト材や、硬化性樹脂材料等も注入材Gとして用いることができる。
そして、図4(a)(b)に示すように、袋体10内に注入材Gを注入することで、袋体10(注入バッグ100)を膨らますことができる。
【0027】
このように、本実施形態の注入バッグ100は、多数の孔Hが形成されている複数の有孔管20が袋体10内に同心円状に配されている構成を有しているので、袋体10内にバランスよく注入材Gを行き渡らせることができる。
そして、所定量の注入材Gを袋体10に注入すれば注入バッグ100を好適に膨らませることができ、膨張した注入バッグ100が杭孔1の底部1bを加圧圧縮することで、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷することができる。
【0028】
以上のように、本実施形態の注入バッグ100は、注入材Gの注入によって好適に膨らみ、地盤に所定の荷重を付与することができる。
つまり、先端プレロード場所打ち杭工法に、この注入バッグ100を用いれば、場所打ちコンクリート杭に沈下が生じないようにすることができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図5に示すように、連結管31,32の近傍に、立体網目形状に成形された間隔保持部材60を配設してもよい。
間隔保持部材60は、例えば、繊維状の樹脂材料を立体網目形状に成形した部材である。立体網目形状を有する部材としては、例えばポリプロピレンなどのプラスチック材料からなる、新光ナイロン株式会社製の「ヘチマロン(登録商標)」が知られている。
本実施形態の注入バッグ100の間隔保持部材60として、このヘチマロン(登録商標)を用いることができる。
【0030】
例えば、注入バッグ100の袋体10内に注入材Gを注入した際に、連結管31,32が注入材Gの流動を阻害してしまうことがあるが、この間隔保持部材60を連結管31,32の近傍に配設しておけば、間隔保持部材60の網目空間に注入材Gが入り込み、連結管31,32の周囲にも注入材Gが行き渡り易くなる。
このように、連結管31,32の近傍に間隔保持部材60を配設することによって、より好適に注入バッグ100を膨らませることができ、杭先端地盤に荷重(プレロード)を良好に載荷することができる。
【0031】
また、有孔管20に形成されている多数の孔Hは、管状部材にドリルなどによって穿孔を施して形成したものに限らない。
例えば、図6に示すように、有孔管20として網目構造を有する管状部材を用いてもよい。網目構造を有する管状部材であれば、多数の孔Hが形成されている有孔管20として使用することができる。
網目構造を有する管状部材としては、例えば、三井化学産資株式会社製の「エコドレパイプ(登録商標)」が知られている。
本実施形態の注入バッグ100の有孔管20として、このエコドレパイプ(登録商標)を用いることができる。
【0032】
また、有孔管20に形成されている多数の孔Hは、その有孔管20の全域に均等に設けられていることに限らない。
例えば、図7に示すように、各有孔管20に形成されている多数の孔Hは、注入ホース40側(一方の連結管31側)よりも排出ホース50側(他方の連結管32側)の方が多くなるように形成され、多数の孔Hによる開孔率が注入ホース40側よりも排出ホース50側の方が高くなるように形成されていることが好ましい。つまり、複数の有孔管20には、注入ホース40側における孔Hの開孔率よりも、排出ホース50側における孔Hの開孔率の方が高くなるように孔Hが形成されていることが好ましい。
こうすることで、注入材Gの注入圧が比較的高くなる注入ホース40側(一方の連結管31側)と、注入材Gの注入圧が比較的低くなる排出ホース50側(他方の連結管32側)とで、有孔管20から袋体10内に流入する注入材Gの量を調節でき、袋体10内により一層バランスよく注入材Gを行き渡らせることができる。
このように、多数の孔Hによる開孔率が注入ホース40側よりも排出ホース50側の方が高くなるように形成されている有孔管20を注入バッグ100に用いれば、より好適に注入バッグ100を膨らませることができ、杭先端地盤に荷重(プレロード)を良好に載荷することができる。
また、この有孔管20を用いている注入バッグ100にも、上記した間隔保持部材60を配設してもよい。
【0033】
また、エコドレパイプ(登録商標)など、網目構造を有する管状部材を有孔管20として用いている場合、多数の孔Hによる開孔率が注入ホース40側よりも排出ホース50側の方が高くなるようにするため、例えば図8に示すように、網目構造の管状部材の周囲に防水テープTを巻き付けて、網目構造の管状部材が露出する領域を調整するようにすればよい。
こうすることでも、注入材Gの注入圧が比較的高くなる注入ホース40側(一方の連結管31側)と、注入材Gの注入圧が比較的低くなる排出ホース50側(他方の連結管32側)とで、有孔管20から袋体10内に流入する注入材Gの量を調節でき、袋体10内により一層バランスよく注入材Gを行き渡らせることができる。
その結果、より好適に注入バッグ100を膨らませることができ、杭先端地盤に荷重(プレロード)を良好に載荷することができる。
また、網目構造の管状部材の周囲に防水テープTを巻き付けた有孔管20を用いている注入バッグ100にも、上記した間隔保持部材60を配設してもよい。
【0034】
なお、以上の実施の形態において、各有孔管20に形成されている多数の孔Hによる開孔率が、注入ホース40側(一方の連結管31側)よりも排出ホース50側(他方の連結管32側)の方が高くなるように形成されている一例を図7図8に基づき説明したが、孔Hの数や大きさ、また孔Hの配置や密度はこの限りではない。
例えば、注入材Gの種類や、注入ポンプ41による注入材Gの注入圧などに応じて、最適な孔Hの数や大きさ、孔Hの配置や密度を調整し、袋体10内(注入バッグ100内)にバランスよく注入材Gを行き渡らせるようにすればよい。
【0035】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 杭孔
1a 杭孔側壁
1b 底部
1c スライム部
2 鉄筋籠
3 クレーン
4 コンクリート
4a コンクリートポンプ
4b コンクリート圧送管
100 注入バッグ
10 袋体
10a 上面シート
10b 下面シート
10c メッシュシート
20 有孔管
31、32 連結管
40 注入ホース
41 注入ポンプ
50 排出ホース
51 排出機
60 間隔保持部材
G 注入材
H 孔(多数の孔)
T 防水テープ
B1 注入バルブ
B2 排出バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8