【実施例】
【0057】
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。
【0058】
(実施例1)
経糸及び緯糸に、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex48fを用い、経糸密度150本/2.54cmかつ緯糸密度110本/2.54cmの平組織織物を製織した。続いて、日華化学株式会社製精練剤「サンモールFL(商品名)」1g/Lを使用して80℃で20分間精練し、その後、ダイスタージャパン株式会社製分散染料「Dianix Blue UN−SE(商品名)」を0.5%omf使用して130℃で30分間染色した。
【0059】
その後、フッ素系撥水剤エマルジョンの水分散液(濃度6質量%)に、上記織物をパディングし、ウェットピックアップ率を40%に調整した後、乾燥した。さらに170℃で40秒間熱処理することで、撥水加工布帛とした。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で撥水加工布帛を目潰し加工し、基布とした。
【0060】
次に、エリーテルUE3220(ユニチカ株式会社製、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂)20質量部を、トルエン80質量部に混合・溶解させて20質量%のエステル系樹脂を調製した。そして、下記処方1の内層用樹脂組成物(粘度7500mPa・s/25℃、固形分25質量%)を調液した。続いて、下記処方2の外層用樹脂組成物(粘度12000mPa・s/25℃、固形分26質量%)を調液し、ともに経時で自然脱泡させた。
【0061】
<処方1>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MZ−10HN 2質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が10μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 2質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
UE3220が20質量%のトルエン溶液 15質量部
トルエン 27質量部
【0062】
<処方2>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 20質量部
メチルエチルケトン 5質量部
【0063】
前記基布における目潰し面に、ナイフコータにて、先ず、処方1の樹脂組成物を20g/m
2塗布し、100℃で3分間の乾燥し、厚みが4μmの内層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子7質量部、イソシアネート化合物7質量部、ポリエステル系樹脂10質量部を含有)を形成した。次に、処方2の樹脂組成物を内層上に60g/m
2塗布し、90℃で1分間の乾燥した後、120℃で2分間の乾燥し、厚みが15μmの外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部を含有)を積層し、続いて、170℃で1分間のセット加工を行い、実施例1の血液・ウイルスバリア性積層布帛(内層の厚みは全厚みの4/19)を得た。
【0064】
(実施例2)
実施例1において、処方2の外層用樹脂組成物に代えて、下記処方3の外層用樹脂組成物(粘度11000mPa・s/25℃、固形分28質量%、)を用い、厚みが約17μmの外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部、イソシアネート化合物5質量部を含有)を積層した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
【0065】
<処方3>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 1.5質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
トルエン 20質量部
メチルエチルケトン 5質量部
【0066】
(実施例3)
経糸及び緯糸にポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント84dtex72fを用い、経糸密度190本/2.54cm、緯糸密度110本/2.54cmの2/2ツイル織物を製織した。続いて、日華化学株式会社製精練剤「サンモールFL(商品名)」を1g/L使用して、80℃で20分間精練し、その後、ダイスタージャパン株式会社製分散染料「Dianix Blue UN−SE(商品名)」を0.5%omf使用して130℃で30分間染色した。
【0067】
その後、フッ素系撥水剤エマルジョンの水分散液(濃度6質量%)に上記織物をパディングし、ウェットピックアップ率を40%に調整した後、乾燥し、さらに170℃で40秒間熱処理することで、撥水加工布帛とした。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で片面を目潰し加工して基布とした。
【0068】
次に、基布のカレンダー加工面に、下記処方4の内層用樹脂組成物(粘度8000mPa・s/25℃、固形分26質量%)を調液・脱泡後、ナイフコータにて35g/m
2塗布し、100℃で3分間乾燥し、厚み7μmの内層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子10質量部、イソシアネート化合物7質量部、ポリエステル系樹脂13質量部を含有)を形成した。
【0069】
<処方4>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、不揮発分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MX−150 3質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が3μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 2質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
UE3220が20質量%のトルエン溶液 20質量部
トルエン 25質量部
【0070】
続いて、下記処方5の中層用樹脂組成物(粘度5000mPa・s/25℃、固形分22質量%)を調液・脱泡後、コンマコータにて80g/m
2塗布し、80℃で1分間の乾燥後、130℃で2分間の乾燥を行い、厚み17μmの中層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部)を積層した。
【0071】
<処方5>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 40質量部
メチルエチルケトン 15質量部
【0072】
次に、下記処方6の外層用樹脂組成物(粘度8000mPa・s/25℃、固形分25質量%)を調液・脱泡後、ナイフコータにて45g/m
2塗布し、100℃で3分間の乾燥を行い、厚みが11μmの外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子23質量部を含有)を積層し、続いて、170℃で1分間のセット加工を行い、実施例3の血液・ウイルスバリア性積層布帛(内層の厚みは全厚みの1/5)を得た。
【0073】
<処方6>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 7質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 30質量部
メチルエチルケトン 10質量部
【0074】
(実施例4)
実施例3において、処方5の中層用樹脂組成物を下記処方7の中層用樹脂組成物(粘度5000mPa・s/25℃、固形分22質量%)に変更して中層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部、イソシアネート化合物3質量部を含有)を形成し、上記処方6の外層用樹脂組成物を下記処方8の外層用樹脂組成物(粘度8100mPa・s/25℃、固形分26質量%)に変更して外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子27質量部、イソシアネート化合物3質量部を含有)を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、実施例4の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
【0075】
<処方7>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 1質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
トルエン 40質量部
メチルエチルケトン 15質量部
【0076】
<処方8>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 8質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 1質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
トルエン 30質量部
メチルエチルケトン 10質量部
【0077】
(比較例1)
実施例1において、処方2の外層用樹脂組成物の塗布量を15g/m
2に変更し外層の厚みを4μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の積層布帛を得た。
【0078】
(比較例2)
実施例1において、処方2の外層用樹脂組成物の塗布量を130g/m
2に変更し、90℃で1分間の乾燥を2分間に、120℃で2分間の乾燥を4分間に変更し、厚みが34μmの外層を積層した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2の積層布帛を得た。
【0079】
(比較例3)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物から架橋アクリル微粒子(MZ−10HN)を除き、実施例1と同様の方法により内層を形成したところ、基布表面と内層との密着性が過度に強くなり、取扱が困難となり巻取ることができなくなった。そのため次工程に進むことができなかったので加工中止とした。
【0080】
(比較例4)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物からイソシアネート化合物(レザミンX)を除いて内層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4の積層布帛を得た。
【0081】
(比較例5)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物からポリエステル系樹脂(UE3220の濃度が20質量%のトルエン溶液)を除いて内層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例5の積層布帛を得た。
【0082】
(比較例6)
実施例1で用いた基布の目潰し面に、処方1の樹脂組成物をコンマコータにて85g/m
2塗布し、90℃で1分間の乾燥後、続いて120℃で2分間の乾燥を行い、厚みが20μmの樹脂層(単層)を形成し、比較例6の積層布帛を得た。
【0083】
(比較例7)
実施例1で用いた基布の目潰し面に、処方2の樹脂組成物をコンマコータにて85g/m
2塗布し、90℃で1分間の乾燥後、続いて120℃で2分間の乾燥を行い、厚みが20μmの樹脂層(単層)を形成し、比較例7の積層布帛を得た。
【0084】
(比較例8)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物の塗布量を60g/m
2に変更し、厚みが13μmの内層を積層した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例8の積層布帛を得た。
【0085】
(比較例9)
実施例3において、処方4の内層用樹脂組成物からイソシアネート化合物のレザミンXを除いて内層を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、比較例9の積層布帛を得た。
【0086】
(比較例10)
実施例3において、処方6の外層用樹脂組成物の塗工量を20g/m
2に変更し外層の厚みを4μmとした以外は、実施例3と同様の方法により、比較例10の積層布帛を得た。
【0087】
(比較例11)
実施例3において、処方6の樹脂組成物の塗布量を180g/m
2に変更し外層の厚みを34μmとした以外は、実施例3と同様の方法により、比較例11の積層布帛を得た。
【0088】
以上の実施例及び比較例の積層布帛について、以下の方法による連続処理を行い、各々の物性を測定・評価した。
[工業洗濯]
工業洗濯機(株式会社大栄科学精器製作所製、型式;WS−1SE)を用いて、標準的な1回分の洗濯条件「73℃×20分間」を下記条件に変更し、10回分の洗濯とした。
浴比;1:40(1.5kg:60L)
洗剤;ピュア−石鹸(株式会社不動化学製)1g/L、苛性ソーダ0.08g/Lを添加しPH値を10に調整したものを用いた。
工程;洗い(73℃×200分間)→湯洗(40℃×30分間)→オーバーフローすすぎ(常温×15分間)→脱水→タンブル乾燥(60℃×20分間)
【0089】
[湿熱滅菌処理]
高圧蒸気滅菌器(株式会社平山製作所製、「HV50型」)を用いて、標準的な1回分の滅菌条件「135℃×8分間」を「135℃×80分間」に変更し、10回分の湿熱滅菌処理とした。
【0090】
[連続処理]
前記工業洗濯10回分と前記湿熱滅菌処理10回分との連続処理を、1サイクル(10回分)として処理を行った。
【0091】
(1)耐水圧(防水性)
JIS L1092(高水圧法)に基づいて測定した。
【0092】
(2)剥離強度(耐剥離性)
JIS L1089 6.10に基づいて経方向の剥離強度を測定した。10サイクル処理後の剥離強度が4.0N/2.54cm以上であれば、実用に十分に耐えうるものであると評価した。
【0093】
(3)連続処理後の樹脂膜の剥離状況(耐剥離性)
5サイクル(5Cとも表記する)及び10サイクル(10Cとも表記する)の連続処理を行い、下記基準に基づき目視判定し、耐剥離性の評価とした。
○:全く剥離なし
○−△;僅かではあるが部分的に剥離した部分があった
△:部分的に剥離し、剥離した部分が多かった
×:全て(全面で)剥離した
【0094】
(4)人工血液バリア性
ASTM F 1670−08B法に基づいて評価した。10サイクル後の判定が合格であれば実用に十分耐えうるものであると評価した。
【0095】
(5)ウイルスバリア性
ASTM F 1671−07B法に基づいて評価した。5サイクル後の判定が合格であれば実用に十分耐えうるものであると評価した。
【0096】
【表1】
なお、表1中「−」は樹脂膜が剥離してしまい、評価不能であったことを示す。
【0097】
表1から明らかなように、本発明の積層布帛は、耐剥離性、防水性、及び血液・ウイルスバリア性の耐久性の全てにおいて優れていた。特に、実施例2及び実施例4のウイルスバリア性積層布帛は、外層にもイソシアネート化合物が含有されていたため、耐剥離性、及び血液・ウイルスバリア性の耐久性にいっそう優れていた。
【0098】
比較例1の積層布帛は、樹脂膜の総厚みが過小であり内層厚みの割合が過大であったため、工業洗濯及び滅菌処理後の血液・ウイルスバリア性に劣っていた。比較例2及び11の積層布帛は、樹脂層の総厚みが過大であったため、比較例2は8C目の工業洗濯中に全剥離が生じ、比較例11は7C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例3の積層布帛は、内層に架橋アクリル微粒子を用いなかったため、タック感が強過ぎて取扱性及び巻取性に劣り、積層布帛を得ることができなかった。
【0099】
比較例4及び9の積層布帛は、内層にイソシアネート化合物が含有されていなかったため、共に8C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例5は内層にポリエステル系樹脂が含有されていなかったため、9C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例6及び7の積層布帛は樹脂膜が単層であったため、比較例6は8C目の工業洗濯中に全剥離が生じ、比較例7は6C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例8の積層布帛は内層厚みが過大であったため、6C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例10の積層布帛は樹脂層の総厚みが過小であったため、工業洗濯及び滅菌処理後の血液・ウイルスバリア性に劣っていた。