6587966 梱包材

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6587966

(24)【登録日】2019年9月20日

(45)【発行日】2019年10月9日

(54)【発明の名称】梱包材

(51)【国際特許分類】

   B65D 85/86 20060101AFI20191001BHJP

   B65D 81/113 20060101ALI20191001BHJP

【ＦＩ】

   B65D85/86 400

   B65D81/113 110Z

   B65D81/113 110A

【請求項の数】5

【全頁数】14

(21)【出願番号】特願2016-69060(P2016-69060)

(22)【出願日】2016年3月30日

(65)【公開番号】特開2017-178380(P2017-178380A)

(43)【公開日】2017年10月5日

【審査請求日】2018年8月7日

(73)【特許権者】

【識別番号】000002440

【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100091096

【弁理士】

【氏名又は名称】平木 祐輔

(74)【代理人】

【識別番号】100105463

【弁理士】

【氏名又は名称】関谷 三男

(74)【代理人】

【識別番号】100129861

【弁理士】

【氏名又は名称】石川 滝治

(74)【代理人】

【識別番号】100160668

【弁理士】

【氏名又は名称】美馬 保彦

(72)【発明者】

【氏名】山口 雅人

(72)【発明者】

【氏名】坂本 勝弘

【審査官】 蓮井 雅之

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１４−００９０１９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 登録実用新案第３１９２２４５（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 米国特許出願公開第２０１４／０３１１９３５（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 韓国公開特許第２００３−００３５３１５（ＫＲ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２００５／０１１５８６０（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ６５Ｄ ８５／８６

Ｂ６５Ｄ ８１／１１３

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

パネルの側辺部にフレキシブル回路を介して回路基板が接続された被梱包物を梱包するための梱包材であって、
前記梱包材は、被梱包物を収納する収納凹部が形成された容器本体と、前記収納凹部に形成された開口部を密閉するように前記容器本体を覆う蓋体とを備えており、
前記収納凹部には、前記被梱包物の前記回路基板を収容するための基板収容凹部が形成されており、
前記収納凹部の前記基板収容凹部が形成された側の隅部には、前記容器本体に着脱自在に嵌合すると共に、前記被梱包物の前記パネルの角部を保護する保護部材が設けられており、
前記隅部には、前記保護部材に嵌合する嵌合凹部が形成されているとともに、前記嵌合凹部に前記保護部材を嵌合させた状態で、先端面が前記保護部材に接触するように、前記容器本体の側壁部から前記保護部材に向かって突出したリブが形成されており、
前記嵌合凹部に前記保護部材を嵌合させた状態で、前記リブの両側のうち、一方側には、前記基板収容凹部が位置し、他方側には、空隙部が形成されるように、前記リブが設けられており、
前記嵌合凹部には、前記収納凹部に連通し、第１の方向に延在する第１嵌合凹部と、第１嵌合凹部に連通し、前記第１の方向と交差する第２の方向に延在する第２嵌合凹部とが形成されており、
前記第１嵌合凹部により、前記リブの前記先端面が形成され、前記第２嵌合凹部により、前記リブの前記両側のうち前記他方側における前記リブの側面が形成され、
前記保護部材は、前記第１および前記第２嵌合凹部に嵌合した状態で、前記第２嵌合凹部の一部が、前記空隙部になっていることを特徴とする梱包材。

【請求項2】

前記嵌合凹部に前記保護部材を嵌合させた状態で、前記保護部材は、前記リブの前記先端面よりもさらに前記基板収容凹部側に延在していることを特徴とする請求項１に記載の梱包材。

【請求項3】

前記リブは、前記リブの基端部から前記リブの前記先端面に進むに従って、前記リブの肉厚が減少していることを特徴とする請求項１または２に記載の梱包材。

【請求項4】

前記リブは、前記リブの基端部と前記リブの前記先端面との間に、前記リブの肉厚が減少した部分を有することを特徴とする請求項１または２に記載の梱包材。

【請求項5】

前記リブには、肉抜き部が形成されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の梱包材。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、矩形状のパネルの側辺部に、フレキシブル回路を介して回路基板が接続された被梱包物を梱包するのに好適な梱包材に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、被梱包物を梱包する梱包材として、容器本体と蓋体とが用いられている。容器本体の上部には、被梱包物を収納するための収納凹部が形成されており、蓋体は、この収納凹部から露呈した被梱包物を覆うようになっている。

【0003】

被梱包物として、たとえば、パネルの側辺部に、フレキシブル回路を介して回路基板が接続された被梱包物を梱包する際には、合紙を介して同じ大きさのパネルを幾重にも積み重ねて、容器本体の収納凹部に収納される。このような被梱包物を梱包する梱包材として例えば特許文献１に開示された梱包材が提案されている。

【0004】

この梱包材は、被梱包物を収納する収納凹部が形成された容器本体と、収納凹部に形成された開口部を密閉するように前記容器本体を覆う蓋体とを備えており、収納凹部には、被梱包物の回路基板を収容するための基板収容凹部が形成されている。梱包材には、容器本体の収納凹部の基板収容凹部が形成された側の隅部に、容器本体に着脱自在に嵌合すると共に、被梱包物のパネルの角部を保護する保護部材が設けられている。

【0005】

この梱包材によれば、被梱包物を梱包した状態で、被梱包物のパネルの角部に荷重が作用しても、保護部材により、被梱包物のパネルの角部を保護することができる。また、被梱包物のパネルの角部が、容器本体に直接的に接触しないので、保護部材で容器本体を補強することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【特許文献1】特開２０１４−００９０２０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

しかしながら、特許文献１に記載の保護部材を容器本体に装着した場合であっても、被梱包物のパネルの角部からの衝撃荷重が容器本体の隅部に作用することがあり、容器本体の形状を保持するためにも、容器本体の隅部に作用する衝撃荷重を低減することは重要である。

【0008】

本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被梱包物を梱包材で梱包した状態で、被梱包物のパネルの角部に衝撃荷重が作用した場合であっても、容器本体の隅部への衝撃荷重を低減することができる梱包材を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0009】

発明者らは鋭意検討を重ねた結果、被梱包物を梱包材で梱包した状態で、被梱包物のパネルの角部に衝撃荷重が作用した際に、この衝撃荷重を吸収するように変形する構造を、容器本体の隅部に設けることにより、隅部への衝撃荷重を低減することができるとの新たな知見を得た。

【0010】

本発明は、この新たな知見に基づくものであり、本発明に係る梱包材は、パネルの側辺部にフレキシブル回路を介して回路基板が接続された被梱包物を梱包するための梱包材であって、前記梱包材は、被梱包物を収納する収納凹部が形成された容器本体と、前記収納凹部に形成された開口部を密閉するように前記容器本体を覆う蓋体とを備えており、前記収納凹部には、前記被梱包物の前記回路基板を収容するための基板収容凹部が形成されており、前記収納凹部の前記基板収容凹部が形成された側の隅部には、前記容器本体に着脱自在に嵌合すると共に、前記被梱包物の前記パネルの角部を保護する保護部材が設けられており、前記隅部には、前記保護部材に嵌合する嵌合凹部が形成されているとともに、前記嵌合凹部に前記保護部材を嵌合させた状態で、先端面が前記保護部材に接触するように、前記容器本体の側壁部から前記保護部材に向かって突出したリブが形成されており、前記嵌合凹部に前記保護部材を嵌合させた状態で、前記リブの両側のうち、一方側には、前記基板収容凹部が位置し、他方側には、空隙部が形成されるように、前記リブが設けられていることを特徴とする。

【0011】

本発明によれば、被梱包物を梱包する際には、基板収容凹部に被梱包物の回路基板を逃がすように、被梱包物を収納凹部内において積み重ねる。この際に、容器本体の隅部に形成された嵌合凹部に保護部材を嵌合させることにより、積み重ねられた被梱包物のパネルの角部を保護することができる。

【0012】

ここで、嵌合凹部に保護部材を嵌合させた状態で、容器本体には、容器本体の側壁部から保護部材に向かって突出したリブが形成され、リブの先端面は保護部材に接触している。これにより、保護部材に作用するパネルの角部からの衝撃荷重をリブの先端面で受けることができる。

【0013】

さらに、嵌合凹部に保護部材を嵌合させた状態で、リブの両側のうち、一方側には、基板収容凹部が位置し、他方側には、空隙部が形成されるように、リブが形成されているため、リブは他の隅部の部分に比べて変形し易い。これにより、保護部材に作用するパネルの角部からの衝撃エネルギーをリブの変形により吸収することができる。このような結果、被梱包物を梱包材で梱包した状態で、被梱包物のパネルの角部に衝撃荷重が作用した場合であっても、容器本体の隅部への衝撃荷重を低減することができる。

【0014】

より好ましい態様としては、前記嵌合凹部に前記保護部材を嵌合させた状態で、前記保護部材は、前記リブの前記先端面よりもさらに前記基板収容凹部側に延在している。この態様によれば、リブの先端面よりもさらに基板収容凹部側に延在した位置において、被梱包物のパネルの角部を保護することができるため、被梱包物のパネルの角部を保護するスペースが小さい場合には有効である。また、リブの先端面よりもさらに基板収容凹部側に延在した部分は、リブの先端面に接触していないので、衝撃荷重が作用した際には、この部分が撓み、衝撃エネルギーを吸収することができる。

【0015】

より好ましい態様としては、前記嵌合凹部には、前記収納凹部に連通し、第１の方向に延在する第１嵌合凹部と、第１嵌合凹部に連通し、前記第１の方向と交差する第２の方向に延在する第２嵌合凹部とが形成されており、前記保護部材は、前記第１および前記第２嵌合凹部に嵌合する。

【0016】

この態様によれば、嵌合凹部を構成する第１嵌合凹部と第２嵌合凹部は、異なる方向に延在しており、これらに保護部材が嵌合して拘束されるので、衝撃荷重が保護部材に作用したとしても、保護部材が回転または移動することを防止することができる。

【0017】

より好ましい態様としては、前記リブは、前記リブの基端部から前記リブの前記先端面に進むに従って、前記リブの肉厚が減少している。この態様によれば、リブに作用する衝撃荷重を支持するリブの基端部から、リブに作用する衝撃荷重を直接的に受けるリブの先端面に進むに従って、リブの肉厚が減少しているので、衝撃荷重によりリブの破損を防止するとともに、リブを好適に変形させることができる。

【0018】

別のより好ましい態様としては、前記リブは、前記リブの基端部と前記リブの前記先端面との間に、前記リブの肉厚が減少した部分を有する。この態様によれば、衝撃荷重が作用した際には、リブの肉厚が減少した部分において、リブが変形し易いため、リブで衝撃エネルギーを吸収し易い。

【0019】

さらに好ましい態様としては、前記リブには、肉抜き部が形成されている。この態様によれば、リブに肉抜き部を設けることにより、衝撃荷重によりリブを変形させ易くすることができる。

【発明の効果】

【0020】

本発明によれば、被梱包物を梱包材で梱包した状態で、被梱包物のパネルの角部に衝撃荷重が作用した場合であっても、容器本体の隅部への衝撃荷重を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】本発明の第１実施形態に係る梱包材で、被梱包物を梱包する状態を示した模式的斜視図。

【図2】図１に示す保護部材の模式的斜視図。

【図3】図１に示すＡ部近傍の拡大平面図。

【図4】図３のＢ−Ｂ線矢視断面図。

【図5】図１に示す梱包材の第１変形例に係る保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【図6】図１に示す梱包材の第２変形例に係る保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【図7】図１に示す梱包材の第３変形例に係る保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【図8】図１に示す梱包材の第４変形例に係る保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【図9】第２実施形態に係る梱包材において、保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【図10】第３実施形態に係る梱包材において、保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【図11】第４実施形態に係る梱包材において、保護部材が装着された容器本体の部分拡大平面図。

【発明を実施するための形態】

【0022】

以下に、図１〜図１１を用いて、本発明に係る梱包材のいくつかの実施形態を説明する。
〔第１実施形態〕
図１は、本発明の第１実施形態に係る梱包材１で、被梱包物Ｐを梱包する状態を示した模式的斜視図であり、図２は、図１に示す保護部材３０の模式的斜視図である。図３は、図１のＡ部近傍の拡大平面図であり、図４は、図３のＢ−Ｂ線矢視断面図である。なお、図３および後述する図４〜図１１では、便宜上、保護部材３０にハッチングを加えている。

【0023】

図１〜図４に示すように、梱包材１は、ガラスパネル等の複数枚の被梱包物を重ねて梱包するための梱包材である。具体的には、梱包材１は、図１に示すように、矩形状のパネルＰａの少なくとも３つの側辺部Ｐｓに、フレキシブル回路（フィルム回路）Ｐｆを介して回路基板Ｐｂが接続された被梱包物Ｐを複数枚重ね合わせて、梱包するものである。

【0024】

梱包材１は、蓋体１０と容器本体２０とを備えている。蓋体１０および容器本体２０の材質としては、熱可塑性樹脂の発泡成形体（発泡材）であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂（例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂）、ポリエステル系樹脂（例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリ乳酸）、またはポリカーボネート系樹脂などが挙げられ、単一の樹脂や複数の樹脂を複合したものを使用できる。被梱包物がガラスパネルや電子部品である場合には、帯電防止処理された発泡用原料が好ましく、例えば積水化成品工業（株）製のＥＰＳ（エスレン（登録商標）ビーズ ＮＳＥＬＭ）、ピオセラン（登録商標）Ｌシリーズ（ＬＰ−３０ＥＮＴＲ等）、Ｏシリーズ（ＯＰ−１５ＥＮＳ）、Ｓシリーズ（ＳＰ−４０ＤＮＴ）などを挙げることができる。

【0025】

図１に示すように、蓋体１０は、短手方向および長手方向の寸法が、容器本体２０の寸法と一致しており、蓋体１０には、その短手方向および厚さ方向に沿って、４本のバンド溝１８，１８，…が形成されている。図４に示すように、蓋体１０の裏面側の外周縁１１は、凸条となるように裏面から突出しており、後述する収納凹部２１の開口部２２ａの外側に形成された外縁溝２２ｂに、嵌合するようになっている。このようにして、容器本体２０の収納凹部２１に形成された開口部２２ａを密閉するよう、蓋体１０で容器本体２０を覆うことができる。

【0026】

図１および図４に示すように、容器本体２０は、底部２３と、底部２３の周りから立ち上がった４つの側壁部２４と、を有しており、容器本体２０の中央には、底部２３および側壁部２４により、被梱包物Ｐを収納するための収納凹部２１が形成されている。さらに、図１に示すように、容器本体２０の底部２３の外面（底面）と、側壁部２４の外側面には、梱包時に蓋体１０のバンド溝１８と連続するように、バンド溝２８，２８，・・・が形成されている。

【0027】

収納凹部２１の底面２１ａの３つの側縁部には、側縁部に沿って収納凹部２１に配置された被梱包物Ｐの回路基板Ｐｂを収容するための基板収容凹部２１ｃが形成されている。これにより、被梱包物Ｐを複数枚積み重ねた際に、上下方向に扇状に膨らむ回路基板Ｐｂ，Ｐｂ…を、開口部２２ａからはみ出さないように基板収容凹部２１ｃ内に逃がすことができる。

【0028】

収納凹部２１の長辺側の基板収容凹部２１ｃが形成された側の（長辺および短辺の２つの基板収容凹部２１ｃで挟まれた）隅部２１ｄ，２１ｄには、後述する保護部材３０を着脱自在に嵌合する嵌合凹部２５，２５が形成されている。一方、長辺側の基板収容凹部２１ｃが形成されていない側の残りの隅部２１ｄ’，２１ｄ’にも、保護部材３０’を着脱自在に嵌合する嵌合凹部２５’，２５’が形成されている。

【0029】

ここで、本発明の「嵌合凹部」に相当するものが、図１および図３に示す嵌合凹部２５，２５であり、本発明の「保護部材」に相当するものが、図１および図３に示す保護部材３０であり、これらの詳細を以下に述べる。なお、図１に示す保護部材３０’および嵌合凹部２５’および保護部材３０’は、上述した特許文献１において示されたものと略同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。

【0030】

図３に示すように、本実施形態では、隅部２１ｄには、保護部材３０に嵌合する嵌合凹部２５が形成されている。隅部２１ｄには、平面視において、嵌合凹部２５に保護部材３０を嵌合させた状態で、先端面２６ａが保護部材３０（具体的には後述する嵌合部３３）に接触するように、容器本体２０の側壁部２４から保護部材３０に向かって突出したリブ２６が形成されている。

【0031】

本実施形態では、図３に示すように、嵌合凹部２５に保護部材３０を嵌合させた状態で、リブ２６の両側のうち、一方側（容器本体２０の内側）に基板収容凹部２１ｃが位置し、他方側（容器本体２０の外側）に空隙部２７が形成されるように、リブ２６が設けられている。すなわち、リブ２６は、空隙部２７を設けることにより、隅部２１ｄの他の部分から独立して変形可能な構造となっている。

【0032】

嵌合凹部２５は、平面視において、収納凹部２１に連通し、容器本体２０の長手方向を第１の方向として、第１の方向に延在する第１嵌合凹部２５ａを備えている。さらに、嵌合凹部２５は、第１嵌合凹部２５ａに連通し、第１の方向と交差する第２の方向（具体的には第１の方向に直交する容器本体２０の短手方向）に延在する第２嵌合凹部２５ｂを形成されている。

【0033】

具体的には、図３に示すように、第２嵌合凹部２５ｂは、第１嵌合凹部２５ａの端部から、長手方向に沿った両側に延在している。なお、本実施形態では、第２嵌合凹部２５ｂは、空隙部２７に連通しており、嵌合凹部２５と空隙部２７とは、容器本体２を成形する際に一体的に成形される。

【0034】

本実施形態に係る保護部材３０は、被梱包物Ｐを梱包する際に、長辺側の回路基板Ｐｂが接続された側のパネルＰａの各角部Ｐｃを保護する部材である。具体的には、各保護部材３０は、保護部材本体３１および衝撃緩衝材３２を備えている（図２，図３参照）。

【0035】

保護部材本体３１には、容器本体２０の嵌合凹部２５に嵌合する嵌合部３３と、嵌合部３３が嵌合した状態で収納凹部２１の隅部２１ｄから、収納凹部２１を形成する各内側壁面に延在するように、嵌合部３３に一体的に成形された一対のアーム部３４，３４と、が形成されている。衝撃緩衝材３２は、例えば接着剤または接着シートなどを介して、パネルＰａの角部Ｐｃを保護するように各アーム部３４，３４の表面に配置されている。

【0036】

図３に示すように、アーム部３４の１つは、平面視において、嵌合凹部２５に保護部材３０を嵌合させた状態で、保護部材３０は、容器本体２に形成されたリブ２６の先端面２６ａよりもさらに基板収容凹部２１ｃ側に延在している。本実施形態では、先端面２６ａよりもさらに延在した延在部分３４ａに、衝撃緩衝材３２が配置されている。

【0037】

このようにして、被梱包物ＰのパネルＰａの角部Ｐｃを保護するためのスペースが小さい場合であっても、基板収容凹部２１ｃ側に延在した延在部分３４ａにより、回路基板ＰｂとパネルＰａの角部Ｐｃを好適に保護することができる。また、アーム部３４の一部である延在部分３４ａは、リブ２６の先端面２６ａに接触していないので、衝撃荷重が作用した際には、延在部分３４ａが撓み、パネルＰａの角部Ｐｃからの衝撃エネルギーを吸収することができる。

【0038】

ここで、保護部材本体３１は、容器本体２０および蓋体１０よりも硬質の材料からなる。たとえば、保護部材本体３１を構成する材料の縦弾性率は、容器本体２０および蓋体１０を構成する材料の縦弾性率よりも高いものが選定されている。容器本体２０および蓋体１０が上述した発泡樹脂材の場合、保護部材本体３１は非発泡樹脂材が選定され、保護部材本体３１の材料としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、またはＡＢＳ樹脂などを挙げることができる。

【0039】

このように、保護部材本体３１は、容器本体２０および蓋体１０に比べて硬質となっており、被梱包物Ｐが梱包された梱包体に衝撃または振動が作用した際に、荷重が集中し易い収納凹部２１の隅部には、保護部材３０が配置されているので、容器本体２０の破損または欠損を抑制することができる。

【0040】

衝撃緩衝材３２は、被梱包物Ｐの角部Ｐｃからの衝撃を吸収するシート材であり、保護部材本体３１よりも軟質の、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジェンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどのゴム、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂、ゴムまたは合成樹脂を発泡させたもの、さらにはこれらを複数積層させたものであってもよい。

【0041】

図２および図３に示すように、保護部材本体３１の嵌合部３３は、第１嵌合凹部２５ａに嵌合する第１嵌合部３３ａと、第２嵌合凹部２５ｂに嵌合する第２嵌合部３３ｂと、を備えており、平面視においてＴ字状となっている。嵌合部３３の厚みは、アーム部３４の厚みよりも厚い。

【0042】

さらに、図４に示すように、保護部材３０を嵌合凹部２５に嵌合させた状態で、保護部材３０は容器本体２０の開口部２２ａから上方に突出している。これにより、容器本体２０の開口部２２ａの近傍まで、被梱包物Ｐを積み重ねて、収納凹部２１に収納した場合であっても、アーム部３４により、最上段に積み重ねられた被梱包物Ｐ（図４の一点鎖線参照）の角部Ｐｃが、アーム部３４を乗り越えることを抑制することができる。

【0043】

このような梱包材１を用いて、被梱包物Ｐを梱包する際には、図１に示すように、容器本体２０の嵌合凹部２５，２５’に、保護部材３０，３０’を嵌合させる。次に、基板収容凹部２１ｃに被梱包物Ｐの回路基板Ｐｂを逃がすように、被梱包物Ｐを収納凹部２１内において合紙を挟んで積み重ねる。

【0044】

被梱包物Ｐを収納した容器本体２０を蓋体１０で覆い、容器本体２０の開口部２２ａを密閉するよう、蓋体１０の裏面側の外周縁１１を、容器本体２０の外縁溝２２ｂに嵌合させる。この嵌合状態で、バンド溝１８，２８に沿って４本のＰＰバンドなどの樹脂製バンド（図示せず）で、蓋体１０および容器本体２０を縛ることにより、梱包体とされる。

【0045】

この際に、図３に示すように、容器本体の各隅部２１ｄ，２１ｄには、被梱包物ＰのパネルＰａの角部Ｐｃを保護する一対の保護部材３０が配置されているので、衝撃時には、角部Ｐｃを、保護部材３０の衝撃緩衝材３２に当接させ、保護することができる。

【0046】

ここで、嵌合凹部２５に保護部材３０を嵌合させた状態で、容器本体２０には、容器本体２０の側壁部２４から保護部材３０に向かって突出したリブ２６が形成され、リブ２６の先端面２６ａが保護部材３０に接触している。これにより、保護部材３０に作用するパネルＰａの角部Ｐｃからの衝撃荷重をリブ２６の先端面２６ａで受けることができる。

【0047】

さらに、本実施形態では、リブ２６には、嵌合凹部２５に保護部材３０を嵌合させた状態で、リブ２６の両側のうち、一方側には、基板収容凹部２１ｃが位置し、他方側には、空隙部２７が形成されるように、形成されている。これにより、リブ２６は、隅部２１ｄの他の部分とは異なり、独立して変形し易くなるため、保護部材３０に作用するパネルＰａの角部Ｐｃからの衝撃エネルギーをリブ２６の変形（圧縮変形または屈曲）により吸収することができる。このような結果、被梱包物Ｐを梱包材１で梱包した状態で、被梱包物ＰのパネルＰａの角部Ｐｃに衝撃荷重が作用した場合であっても、容器本体２０の隅部２１ｄへの衝撃荷重を低減することができる。

【0048】

また、本実施形態では、嵌合凹部２５を構成する第１嵌合凹部２５ａと第２嵌合凹部２５ｂは、異なる方向（直交する方向）に延在しており、これらに保護部材３０の第１および第２嵌合部３３ａ，３３ｂがそれぞれ嵌合して、保護部材３０の嵌合部３３が拘束されている。これにより、衝撃荷重が保護部材３０に作用したとしても、保護部材３０が回転または移動することを防止することができ、保護部材３０が、嵌合凹部２５から抜け出すことはない。

【0049】

図５は、図１に示す梱包材１の第１変形例に係る保護部材３０が装着された容器本体２０の拡大平面図である。図５に示すように、第１変形例では、第１嵌合凹部２５ａの途中に（第１嵌合凹部２５ａの端部より基板収容凹部２１ｃ寄りに）、第１嵌合凹部２５ａに連通するように第２嵌合凹部２５ｂが形成されている。

【0050】

図６は、図１に示す梱包材１の第２変形例に係る保護部材３０が装着された容器本体２０の部分拡大平面図である。第２変形例では、第１嵌合凹部２５ａの端部から、第２の方向の一方側に沿って（容器本体２０の短手方向の一方側に沿って）、第１嵌合凹部２５ａに連通するように第２嵌合凹部２５ｂが形成されている。

【0051】

第１および第２変形例のいずれの場合であっても、嵌合凹部２５を構成する第１嵌合凹部２５ａと第２嵌合凹部２５ｂは、異なる方向（直交する方向）に延在しており、これらに保護部材３０の第１および第２嵌合部３３ａ，３３ｂがそれぞれ嵌合している。これにより、保護部材３０の嵌合部３３が拘束されるので、衝撃荷重が保護部材３０に作用したとしても、保護部材３０が回転または移動することを防止することができる。

【0052】

図７は、図１に示す梱包材１の第３変形例に係る保護部材３０が装着された容器本体２０の部分拡大平面図である。図７に示すように、第３変形例では、嵌合凹部２５には、第１嵌合凹部２５ａのみが形成されており、第１嵌合凹部２５ａ途中に（第１嵌合凹部２５ａの端部より基板収容凹部２１ｃ寄りに）、第１嵌合凹部２５ａに連通するように空隙部２７が形成されている。

【0053】

図８は、図１に示す梱包材１の第４変形例に係る保護部材３０が装着された容器本体２０の部分拡大平面図である。図８に示すように、第４変形例では、嵌合凹部２５には、第１嵌合凹部２５ａのみが形成されており、第１嵌合凹部２５ａの端部に連通するように空隙部２７が形成されている。

【0054】

第３および第４変形例のいずれの場合も、リブ２６は、保護部材３０の第１嵌合凹部２５ａにのみに、先端面２６ａで接触するので、保護部材３０に作用するパネルＰａの角部Ｐｃからの衝撃荷重でリブ２６が変形し易い。

【0055】

〔第２実施形態〕
図９は、第２実施形態に係る梱包材１において、保護部材３０が装着された容器本体２０の部分拡大平面図である。第２実施形態に係る梱包材１が、第１実施形態のものと主に相違する点は、リブ２６の形状である。したがって、第１実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。

【0056】

第２実施形態では、リブ２６は、平面視において、リブ２６の基端部２６ｂからリブ２６の先端面２６ａに進むに従って、リブ２６の肉厚が減少している。本実施形態では、リブ２６に作用する衝撃荷重を支持するリブ２６の基端部２６ｂから、リブ２６に作用する衝撃荷重を直接的に受けるリブ２６の先端面２６ａに進むに従って、リブ２６の肉厚が減少している。これにより、リブ２６の基端部２６ｂの破損を抑え、リブ２６を先端面２６ａ側でリブ２６を変形させ易い。

【0057】

〔第３実施形態〕
図１０は、第３実施形態に係る梱包材１において、保護部材３０が装着された容器本体２０の部分拡大平面図である。第３実施形態に係る梱包材１が、第１実施形態の第４変形例（図８参照）と相違する点は、リブ２６の形状と第２嵌合部３３ｂを設けた点である。したがって、第１実施形態の第４変形例と同じ構成には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。

【0058】

第３実施形態では、リブ２６は、平面視において、リブ２６の基端部２６ｂとリブ２６の先端面２６ａとの間に、リブ２６の肉厚が減少した部分２６ｃを有する。第３実施形態では、衝撃荷重が作用した際には、第１実施形態の第４変形例に比べて、リブ２６の肉厚が減少した部分２６ｃにおいてリブ２６が変形し易い。また、第３実施形態では、保護部材３０に第２嵌合部３３ｂを形成し、嵌合凹部２５の第２嵌合凹部２５ｂに嵌合させたので、衝撃荷重が作用した際には、保護部材３０が回転または移動することを防止することができる。

【0059】

〔第４実施形態〕
図１０は、第４実施形態に係る梱包材１において、保護部材３０が装着された容器本体２０の部分拡大平面図である。第４実施形態に係る梱包材１が、第１実施形態の第４変形例（図８参照）と相違する点は、リブの形状と第２嵌合部３３ｂを設けた点である。したがって、第１実施形態の第４変形例と同じ構成には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。

【0060】

第４実施形態では、平面視において、リブ２６の中央に肉抜き部２６ｄが形成されている。第４実施形態では、リブ２６に肉抜き部２６ｄを設けることにより、第１実施形態の第４変形例に比べて、衝撃荷重によりリブ２６を変形させ易い。また、第３実施形態と同様に、保護部材３０に第２嵌合部３３ｂを形成し、嵌合凹部２５の第２嵌合凹部２５ｂに嵌合させたので、衝撃荷重が作用した際には、保護部材３０が回転または移動することを防止することができる。

【0061】

以上、本発明の実施の形態を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。

【0062】

第２および第３実施形態では、リブに肉抜き部を設けていないが、第２および第３実施形態のリブに、肉抜き部をさらに設けて、リブをより変形させ易くしてもよい。

【符号の説明】

【0063】

１：梱包材、１０：蓋体、１１：外周縁、１３：隅部、１８：バンド溝、２０：容器本体、２１：収納凹部、２１ａ：底面、２１ｃ：基板収容凹部、２１ｄ：隅部、２５：嵌合凹部、２５ａ：第１嵌合凹部、２５ｂ：第２嵌合凹部、２２ａ：開口部、２３：底部、２４：側壁部、２６：リブ、２６ａ：先端面、２６ｂ：基端部、２６ｄ：肉抜き部、２８：バンド溝、３０：保護部材、３１：保護部材本体、３２：衝撃緩衝材、３３：嵌合部、３３ａ：第１嵌合部、３３ｂ：第２嵌合部、３４：アーム部、Ｐ：被梱包物、Ｐａ：パネル、Ｐｂ：回路基板、Ｐｃ：角部、Ｐｆ：フレキシブル回路、Ｐｓ：側辺部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】